スカパーJSAT(9412)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】スカパーJSATグループは、スカパーJSAT、子会社20社及び関連会社28社により構成されており、政府・公共団体や企業に、データ通信や移動体通信等の衛星通信サービスを提供するとともに、有料多チャンネル放送の各チャンネルを運営する放送事業者に衛星回線を提供する「宇宙事業」を展開しております。また、放送事業者に対する顧客管理業務等のプラットフォームサービスの提供に加え、通信衛星や光ファイバー等の回線を利用して放送や配信を行う「メディア事業」を行っております。 また、スカパーJSATの「その他の関係会社」は、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、伊藤忠商事㈱であります。各事業の内容と各関係会社の位置付けは、次のとおりであります。(各事業は、セグメント情報における報告セグメントの区分と同一であります。) なお、スカパーJSATは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 <宇宙事業>宇宙事業は、静止軌道上に打ち上げた通信衛星を利用し、広域性、柔軟性、耐災害性といった衛星の優位点を活かし、政府機関、公共団体、国内外企業、移動体向けに通信サービスを提供しております。また、有料多チャンネル放送の各チャンネルを運営する放送事業者に衛星回線を提供しております。 加えて、低軌道衛星から得られる画像や位置情報等の様々なデータを解析・活用し、社会課題の解決や産業の高度化に資する情報・ソリューションを提供するスペースインテリジェンス事業も展開しております。宇宙事業には、スカパーJSAT㈱の宇宙事業部門を中心として、スカパーJSAT㈱の子会社であるJSAT International Inc.、JSAT Beyond Innovation LLC、JSAT MOBILE Communications㈱、JSAT IOM Limited、㈱ディー・エス・エヌが関わっております。 <メディア事業>メディア事業は、東経110度で運用中の衛星を利用し、デジタルテレビですぐに楽しめる約70チャンネルを提供する「スカパー!」と、東経124度及び128度で運用中の衛星を利用し、より多くの約140チャンネルを提供する「スカパー!プレミアムサービス」を提供しております。スカパーJSATはプラットフォーム事業者として、顧客管理業務や広告宣伝等による有料多チャンネル放送の普及促進に加え、放送信号のデジタル化・暗号化等を行っております。また、NTTグループの光ファイバー網を利用した地上波、BS、110度CS放送の再送信サービス等も提供しております。加えて、東京メディアセンター(TMC)を中核拠点とし、法人向けに映像関連サービスを提供するメディアソリューションサービスを展開しております。メディア事業には、スカパーJSAT㈱のメディア事業部門を中心に、スカパーJSATの子会社で放送事業者である㈱スカパー・エンターテイメント及びスカパーJSAT㈱の子会社である㈱スカパー・ピクチャーズが関わっております。 スカパーJSATグループの事業系統図
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてスカパーJSATグループが判断したものであります。(1) 経営理念スカパーJSATグループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、スカパーJSATグループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げております。 Space for your Smile不安が「安心」にかわる社会へ不便が「快適」にかわる生活へ 好きが「大好き」にかわる人生へ Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。このグループミッションを、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決するとともに企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 経営環境宇宙関連市場では、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、競争環境が激化しておりますが、航空機・船舶向けの移動体衛星通信や安全保障領域における衛星データの需要が拡大しております。メディア関連市場においては、動画配信サービスとのコンテンツ及び顧客の獲得競争が継続しており、厳しい市場環境が続いております。一方、スポーツ・音楽等のライブコンテンツに対する需要は堅調に推移しており、市場機会が拡大しております。 (3) 経営方針・経営戦略スカパーJSATグループは、2030年の目指す姿や社会へもたらす価値の実現に向けた成長の道程を示す価値創造ストーリーを策定しております。経営戦略としては、事業に関わる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略、それらの基盤となる「人的資本強化」「経営基盤拡充」の2つの戦略を掲げております。また、宇宙事業では「Multi-Orbit戦略」のもと、スペースインテリジェンス事業を成長ドライバーとして事業領域を拡大し、メディア事業では「Multi-Alliance戦略」を通じて、放送・配信事業及び光アライアンス事業により利益水準の維持・拡大を図ってまいります。 <2030年度目標>2030年度の目標として、営業収益 1,850億円・当期純利益 350億円・EBITDA 850億円を掲げております。変化する環境を捉えながら、既存ビジネスの延長線上にとどまることなく、事業領域の拡大を進めてまいります。 <収益基盤強化・事業の進化・新規領域の開拓>宇宙事業、メディア事業は、「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」の3つの戦略で事業に取り組んでまいります。両事業のビジョン、取り組みは以下になります。 (宇宙事業)40年にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、静止軌道から非静止軌道へ事業領域を拡大するとともに、衛星オペレーターから宇宙ソリューションプロバイダーへの転換を進めてまいります。 収益基盤強化:通信関連事業では、衛星フリートの最適化等を実行し、収益力を一層高めてまいります。また、2027年より新衛星の打ち上げを順次予定しており、移動体向け・グローバル向け販売を拡充してまいります。事業の進化:スペースインテリジェンス事業では、2025年12月に三菱電機㈱、三井物産㈱、㈱QPS研究所、㈱Synspective、㈱アクセルスペース、三井物産エアロスペース㈱とともに、 防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を落札いたしました。本事業の着実な遂行を通じて、わが国の安全保障及び防衛産業基盤の強化に貢献し、成長市場における収益の拡大を目指してまいります。 新規領域の開拓:衛星量子鍵配送、宇宙状況把握、光データリレー等、新たな技術を活用したサービスの実現を目指してまいります。 (メディア事業)衛星放送における30年の運用実績、蓄積されたノウハウや資産を活かし、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、人と人、企業、社会をつなぐエンタメプラットフォーマーとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。 収益基盤強化:放送・配信事業では、「スカパー!基本プラン」や「スカパー!プロ野球セット」等の主力商品への注力により、契約件数の最大化及び継続期間の長期化を図り、収益基盤の強化に努めてまいります。 メディアソリューション事業では、放送・配信事業における既存資産や放送技術を活用し、映像中継・制作・伝送・配信等の課題を解決するソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。 事業の進化:光アライアンス事業の再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、ケーブルテレビ事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。新規領域の開拓:アニメコンテンツIPビジネスの更なる成長と周辺事業の戦略的拡大を目指してまいります。 <人的資本強化>求める人財の採用・育成と抜擢・配置を図る「人財戦略」と、安心安全で挑戦を促す組織づくりのための「組織基盤の強化」の2つを柱としております。 スカパーJSATグループの人的資本の考え方や取り組みにつきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本・多様性」に記載しております。 <経営基盤拡充>企業価値の向上への取り組みとして「資本コストや株価を意識した経営」と、経営の持続性を支える基盤として「ガバナンス及びリスク管理の高度化」の2つを柱としております。「資本コストと株価を意識した経営」については、以下の取組を継続的に実行し、連動させていくことで、推進してまいります。(成長投資)2025年~2027年度は累計2,200億円の投資を計画。2026年度は700億円の投資を見込む。(資金調達)投資の実行等による資金需要に対して、外部借入による調達を想定。(株主還元)配当性向50%以上、2027年3月期の1株当たり予想配当金は48円。詳細は、「第4 提出会社の状況」の「3 配当政策」に記載しております。(株式付与)株主と同じ目線での経営を一層促進すべく、役員報酬における株式報酬比率引き上げ、従業員の中長期的なコミットメントやエンゲージメント強化を目的とした株式付与制度を新たに導入。(投資管理)ハードルレートを8%に見直し、質の高い投資の実行と収支管理を徹底。 「ガバナンス及びリスク管理の高度化」については、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント、個人情報保護、情報セキュリティマネジメントの詳細を、「3 事業等のリスク」、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2026年度の連結業績目標は以下のとおりです。 営業収益 1,350億円 営業利益 390億円 経常利益 390億円 親会社株主に帰属する当期純利益 270億円 EBITDA 540億円(注)EBITDAは「営業利益+減価償却費」として算定しております。 算出式を、従来の「純利益+税金費用+減価償却費+のれん償却費+支払利息」から、変更しております。 (5) 対処すべき課題宇宙事業及びメディア事業において、近年のデジタル技術の急激な進化に伴い事業環境が変化していく中で、既存サービスの顧客維持や成長市場の需要取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、経営戦略に掲げる「収益基盤強化」「事業の進化」「新規領域の開拓」を図ってまいります。 (宇宙事業)宇宙事業においては、世界規模で宇宙産業市場が拡大する中、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、事業環境が大きく変化しております。また、昨今の国際情勢を踏まえ、宇宙空間の重要性が高まっており、市場機会が拡大しております。このような環境下において、通信・宇宙データ・運用を組み合わせた宇宙ソリューションプロバイダーへの進化を図り、次に示す取り組みを通じて事業領域を拡大し、持続的な成長を目指してまいります。 ① 通信関連事業国内衛星通信分野においては、インフラ事業者をはじめとする既存顧客に対する通信サービスの長期契約更新の提案に加え、地上アセットを活用したサービス等を合わせて展開していくことで、事業基盤の強化を図ってまいります。また、40年にわたる衛星通信事業を通じて培ってきた知見を活かし、内閣府宇宙開発戦略推進事務局による「宇宙基本計画」などに基づく安全保障領域を含む政府主導のプロジェクトへの参画、衛星の運用、観測・監視サービスなど、積極的に活動領域を拡げてまいります。グローバル・モバイル分野においては、航空機でのインターネット利用等の成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスを提供することにより、競争力の強化と収益の拡大を目指してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討を進め、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。更に、未来社会が求める様々な通信要件に応えるため、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星などを加えた多層的な通信ネットワークを構築し、多様なユースケースに応じた柔軟な通信サービスの提供を目指してまいります。 ② スペースインテリジェンス事業低軌道衛星コンステレーションを構築及び保有し、地球観測衛星事業者等との業務提携の推進や、衛星画像販売サービスを基盤とした事業展開を強化することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、パートナー企業とも連携しながら、地球観測衛星から得られる多様なデータを活用した顧客課題の解決に資するソリューションの開発と販売活動を推進し、安全保障や防災・減災に加え、金融、保険、農林水産、物流等、新たな市場の開拓に取り組んでまいります。 ③ 開拓領域㈱Space Compassのほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度通信プラットフォーム)を用いた通信ネットワーク及び光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。また、衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。 (メディア事業)メディア事業においては、メディア消費の多様化や国内外の動画配信サービスとのコンテンツ獲得及び顧客獲得の競争激化が継続しており、従来の延長線上にある各種施策だけでは事業基盤の維持・拡大が困難な状況にあります。このような競争環境下において、多様なパートナー企業との協業を通じた「Multi-Alliance戦略」により、収益性の改善及び新たな収益の獲得を図ってまいります。 ④ 放送・配信事業顧客基盤の維持・拡大には、魅力的かつ差別化されたコンテンツが揃っていることに加え、テレビ視聴習慣層から認知を獲得することが重要となってまいります。プロ野球、モータースポーツ、韓流といった重点ジャンルを軸とした主力商品への注力により、顧客獲得及び契約継続率向上に取り組んでまいります。テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが視聴可能な「スカパー!基本プラン」については、加入初期段階における視聴習慣の醸成や、顧客の嗜好に応じたコンテンツ情報の提供等により、顧客との長期的な関係を構築してまいります。プロ野球においては、2026年シーズンもセ・パ全12球団の公式戦を放送・配信し、“プロ野球を見るならスカパー!”として、引き続きファンの期待に応えられるよう取り組んでまいります。その他のスポーツジャンルにおいても、サービスの拡充を進めてまいります。また、採算性及び将来性の観点から各種施策を精査し、コスト削減や生産性の向上を通じて、持続的な事業運営を図ってまいります。 更に、放送・配信事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウド」等、既存アセットを活用したメディアソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。また、複数のラジオ局や地上波テレビ局を含む放送マスターの集約・運用など、新たな収益基盤の確立にも取り組んでまいります。 ⑤ 光アライアンス事業ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線を利用して提供している地上デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、提供エリアを拡大しながら拡販を図ってまいります。光アライアンス事業販路における顧客接点も強化し、新規放送顧客の獲得やアップセル等、放送サービスの基盤維持に向けても取り組んでまいります。また、有料放送市場の維持・発展に向けて、ケーブルテレビ事業者向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供に引き続き取り組んでまいります。 ⑥ 開拓領域アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売、及び周辺事業の推進を通じて、グローバルにビジネスを展開する「アニメコンテンツIPビジネス」の更なる成長と周辺事業の戦略的な展開を進めてまいります。また、既存事業領域にとどまらない事業変革の実現を目指し、新規事業の立ち上げをはじめ、M&Aを含む「Multi-Alliance戦略」の下、多様なパートナー企業との協業を推進してまいります。これらの取り組みを通じて、事業基盤の強化に取り組んでまいります。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてスカパーJSATグループが判断したものであります。(1) リスクマネジメント体制についてスカパーJSATはグループ経営の中核として事業運営とグループ統括機能を担っており、スカパーJSATグループ全体のリスクマネジメントの推進および必要な情報の共有を図るため、グループ全体のリスク管理に関する基本方針及び管理体制を整備しております。当該基本方針及び管理体制に基づき、リスクマネジメント統括責任者を委員長とするリスクマネジメント委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止・リスクの低減に取り組んでおります。具体的には、原則半期ごとに、また必要に応じて適宜、リスクマネジメントの対象とするリスク及びリスク評価の見直しを行い、各リスクの評価結果を踏まえて、当該リスクに対する対策を策定しております。リスク評価にあたっては、各リスクの発生頻度と影響度の積をリスクレベルと定義し、これをスコア化し分析しております。その結果、一定以上のリスクレベルとなるものを重大リスク(優先的に対策を講じるべきリスク)として定めております。また、洗い出されたリスクのうち、対策の緊急度が高いものについては、リスクレベルにかかわらず重大リスクとして定めております。これらの重大リスクについては、当該リスクを所管する部署において重点施策を策定し、リスクマネジメント委員会における協議・検討を経た上で経営会議及び取締役会等に報告するとともに、定期的にその進捗状況をモニタリングする体制を構築しております。スカパーJSATでは、内部統制に係る各種委員会を設置し活動を行っており、リスクマネジメント委員会においても、必要に応じてこれらの委員会との間で情報共有を行っております。なお、気候変動関連のリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、サステナビリティ委員会において別途詳細な検討を行っており、その検討結果及び内容の報告を受けた上で、リスクマネジメント委員会においても必要な協議を行っております。また、実際にリスクが顕在化した場合には、BCP(事業継続計画)、情報セキュリティ、サイバーセキュリティ等、各リスクに対応したマニュアルに従い、迅速かつ適切に対応するとともに、必要に応じてリスクマネジメント委員会を招集する体制を整え、グループ全体のリスクを適切にコントロールしております。以下に記載するリスクは、スカパーJSATグループが当連結会計年度におけるリスクマネジメント委員会での審議を踏まえ、重大リスクであると認識している項目について、その対策と併せて記載したものです。なお、ここに記載したリスクは、スカパーJSATグループが直面するすべてのリスクを網羅したものではありません。また、スカパーJSATグループが現時点では認識していない未知のリスクや、今後その重要性が増大し、スカパーJSATグループの事業、財政状態、経営成績等に重大な影響を及ぼすリスクが生じる可能性があります。 (2) スカパーJSATグループが認識する重大リスクについて<宇宙事業>リスク名称① 衛星通信市場における競争力低下のリスクリスク概要技術進展や競争環境の変化により、スカパーJSATの主力製品・サービスの競争力が低下し、収益性に影響を及ぼすリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況世界規模で宇宙産業市場が拡大する一方、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、衛星通信事業においては競争が激化しております。また、国際情勢、とりわけ、わが国を取り巻く環境の変化を受け、宇宙空間の重要性が高まっています。このような競争環境下において、事業領域を拡大し、宇宙事業の持続的な成長を目指すことが課題となっております。リスクへの対策各事業ポートフォリオの特性に応じた対策を推進してまいります。 (1)通信関連事業 国内衛星通信分野においては、既存顧客に対する長期契約の提案、衛星機器やスカパーJSATグループの地上局設備を活用したサービス等の提供にて事業基盤を強化し、後継衛星についてはビームや帯域に可変性を持たせることで、お客様の多様なニーズに柔軟に対応してまいります。 また、安全保障領域を含む政府主導プロジェクトへ参画し、政府系衛星の運用、観測・監視サービス等、スカパーJSATの経験と知見を活かした新たなサービスの提供を進めてまいります。 グローバル・モバイル分野においては、運用中のハイスループット衛星及び今後投入予定のフルデジタル衛星を活用し、航空機・船舶等の成長市場に向けた通信サービスの提供拡大を目指してまいります。また、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。 更に、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星等を加えた多層的な通信ネットワークの構築を目指してまいります。(2)スペースインテリジェンス事業 低軌道衛星コンステレーションの構築・保有、地球観測衛星事業者等との業務提携を推進し、衛星画像販売サービスの強化による収益の拡大を目指してまいります。(3)開拓領域 ㈱Space Compassほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワークと、光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。衛星量子鍵配送、宇宙状況把握等、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。残存リスク現在想定している対策を講じていても、低軌道衛星等を利用した新たな衛星事業者の台頭によって市場環境が急速に変化する等、スカパーJSATグループの提供する通信サービスが市場における競争力を維持できない可能性があります。新規事業への取り組みは、事前の調査や分析を入念に行い、事業パートナーの選定や設備投資の規模等についても、事業計画を策定した上で、必要な判断プロセスを経て実施しますが、技術開発の遅延や事業パートナーの経営状況、当該新規事業で想定した市場の状況変化等、当初計画と異なる状況が発生した場合には、スカパーJSATグループの事業及び経営指標に影響を及ぼす可能性があります。 リスク名称② 通信衛星調達に関するリスクリスク概要衛星・地上設備等の調達において、納期・性能・コスト面の不確実性が顕在化し、事業計画に影響を及ぼすリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況通信衛星調達の際には、調達先における製造の遅延や打ち上げの遅延または失敗等のリスクがあります。これらの事由により、予定されていた通信衛星の運用開始が遅延し、継続的なサービス提供が不可能な期間が生じた場合、当該期間における収益の低下や顧客流出の可能性があります。 また、通信衛星の製造期間中に設計上その他の要因によって予定外の支出を負担することがあります。リスクへの対策調達スケジュールを設定する際には、打ち上げ失敗の場合を想定し、予備衛星や既存衛星によるフリートバックアップ対策、もしくは代替衛星の早期納入をより確実にするための代替衛星用の長納期品の先行発注等の対応策を講じております。調達先への支払いに関しては、衛星の製造、打ち上げサービスともに、進捗度に応じたマイルストーン支払いとしています。衛星の製造に関しては納期遅延時には一定額の賠償金請求ができる権利を確保することでリスク低減を図っており、打ち上げサービスに関しては、衛星の完成後できるだけ速やかに打ち上げが行えるよう、衛星の予定納期に合わせて打ち上げ予定時期を設定し、製造期間中も可能な限りの契約調整を行いますが、衛星の製造が大幅に遅延した場合等、スカパーJSATの希望する条件や時期での打ち上げが行えない場合があります。 保険契約については、打ち上げ時及び軌道上における運行時それぞれの保険契約を締結しております。打ち上げ危険担保保険は、初期段階において通信衛星の全部または一部が損傷を受けた際に、通信衛星の再調達、その他修復に必要な費用を填補するもので、打ち上げ時点から、通常1年間有効となっております。残存リスク現在想定している対策を講じていても、後継衛星の製造・打ち上げが技術開発の進捗及びサプライチェーンの問題や予期せぬ事故及び地政学的な状況により遅延するリスクが想定されます。また、衛星の打上げ失敗や軌道上での損傷時の金銭補償に関しては、衛星の損傷の度合いや原因その他の要因により、打ち上げ危険担保保険では打ち上げに要する費用の全額を補償できないリスク、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスク及び戦争危険等の絶対免責に該当する場合に損害保険の対象にならないリスクが想定されます。 リスク名称③ 通信衛星の運用に関するリスクリスク概要衛星フリートの構成や投入タイミングを誤ることで、サービス中断や顧客対応コストが発生するリスクリスクオーナー宇宙事業部門長リスクの状況スカパーJSATグループが保有する通信衛星は15年以上の長期にわたって使用されますが、運用期間中に製造上の瑕疵、欠陥部品、太陽活動に伴う磁気嵐、デブリや隕石等との衝突、過度の燃料消費、衛星管制上または運用上の不具合その他の要因による衛星の機能不全または運用能力低下の可能性があります。このような事態が生じた場合、サービスの提供ができないことによる収益の低下や顧客の流出、あるいはスカパーJSATグループ所有の別衛星への顧客移行に係わるコスト負担等で、収益性の低下等の悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策スカパーJSATグループはこれまで、軌道上にバックアップ専用の予備衛星を保有し、運用中の衛星に不具合が生じた場合に可能な限り短期間でバックアップができる体制をとってきましたが、後継機として調達した衛星のサービス開始予定日に遅れが見込まれているため、後継衛星のサービス開始まで、バックアップ専用の予備衛星を一時的に後継機として運用する計画としました。 そのため、運用中の衛星に不具合が生じた場合は、バックアップ専用の予備衛星を維持する軌道位置ではバックアップ専用衛星への切り替えを、それ以外の軌道位置では、衛星フリート計画に基づいて、スカパーJSATグループの所有する他衛星を用いたサービスの継続等可能な対応を行いますが、不具合の発生した通信衛星の能力を完全には代替できない可能性があります。スカパーJSATグループでは、打ち上げ保険が期間満了となった後に効力を生じる軌道上危険担保保険契約を、打ち上げた通信衛星ごとに締結しています。ただし、この保険は通信衛星の技術上の機能不全に起因してスカパーJSATグループが負う第三者賠償責任や収益の喪失等の営業上の損害を補填するものではありません。また、宇宙保険市場環境の変動による保険料高騰のリスクに対しては、適宜、補償範囲や補償金額の見直し等を行っています。残存リスク現在想定している対策を講じていても、不測の事態により、スカパーJSATグループ所有衛星による代替機能が提供できないことによる収益低下リスクが想定されます。また、運用中の衛星の損傷時は、保険契約の補償範囲の設定や通信衛星の機能不全の要因により、損害保険の対象にならないリスク、スカパーJSATに生じる損害の一部が補填されないリスクが想定されます。 <メディア事業>リスク名称④ 放送・配信事業の事業性低下に関するリスクリスク概要視聴環境や顧客行動の変化により、放送・配信事業の収益性が低下するリスクリスクオーナーメディア事業部門長リスクの状況加入者の獲得及びその維持は、スカパーJSATグループの収益拡大にとって重要な要素です。2026年3月末において2,454千件の加入件数を有していますが、将来にわたってスカパーJSATグループの計画どおりに加入件数が推移する保証はありません。今後、コンテンツの差別化やプロモーションの強化、キャンペーン等の各種マーケティング施策の実施にもかかわらず、同様のコンテンツを提供するインターネット経由での動画配信サービスの浸透等、競合サービスとの競争激化やユーザーの視聴習慣の変化により加入件数の減少が継続または急激に発生した場合、スカパーJSATグループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争の激化によって有力コンテンツを獲得できなかったこと等によりスカパーJSATグループのサービスの魅力が低下し、既存加入者の解約が想定以上に多く発生する場合には、累計の加入件数の減少につながり、これによりスカパーJSATグループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策各事業ポートフォリオの特性に応じた対策を推進してまいります。 (1)放送・配信事業プロ野球、モータースポーツ、韓流等の重点ジャンルを軸とした主力商品への注力により、顧客獲得および契約継続率の向上に取り組んでおります。また、採算性及び将来性の観点から各種施策を精査し、コスト削減や生産性の向上を通じて、持続的な事業運営を図ってまいります。(2)メディアソリューション事業放送・配信事業における既存資産や放送技術を活用し、映像中継・制作・伝送・配信等の課題を解決するソリューションサービスの更なる受注拡大に取り組んでまいります。(3)光アライアンス事業再送信サービスでは、アライアンス先との連携強化を通じて、接続世帯数を拡大してまいります。また、CATVパススルーサービスでは、ケーブルテレビ事業者の抱える課題へのソリューション対応力を高め、利用拡大を図ってまいります。(4)開拓領域アニメを中心とした映像コンテンツの企画、製作投資、販売及び周辺事業を推進し、グローバルに展開可能なアニメコンテンツIPビジネスの成長を図るとともに、新規事業の創出やM&Aを含むパートナー連携により新たな収益機会の獲得に取り組んでまいります。残存リスク動画配信サービスの台頭が一層進んでいること等から、従前よりリスクレベルが上がっていると認識しており、現在想定している対策を講じていてもなお、競争激化による加入者の減少が想定以上となる場合、スカパーJSATグループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 <全般>リスク名称⑤ 事業投資等に関するリスクリスク概要不採算事業や新規事業の見直し・撤退判断の遅れや、出資・投資における管理不全により、経営資源の最適配分が進まず、投下資本の毀損や減損等が生じるリスクリスクオーナー経営管理部門長リスクの状況スカパーJSATグループは、事業拡大のために、買収等や出資、他企業との提携及び協力体制構築等の検討を行い、その結果、将来のスカパーJSATグループの事業戦略や経営成績に貢献すると判断した場合には、これらを実行いたします。しかしながら、買収等の対象事業をスカパーJSATグループの経営戦略に沿って統合することができなかった場合、スカパーJSATグループの期待する相乗効果が得られなかった場合、買収等の対象事業にスカパーJSATグループの内部統制体制を適用することができなかった場合、またはスカパーJSATグループに必ずしも経験や知見の無い技術分野における問題点を含む、想定しなかった重大な問題点が買収等の後に発見された場合には、スカパーJSATグループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、買収等により多額ののれん及び無形資産を計上する可能性があり、対象事業の収益性が低下した場合にはのれん及び無形資産の減損が発生するほか、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う損失の発生等により、スカパーJSATグループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策投資に係る規程を整備し、出資・投資に際しては、事業計画、内部収益率、撤退基準、その他リスク等を検討して審議・判断しております。加えて、大型出資案件については、各部門の会議を経て、代表取締役執行役員社長の諮問機関である経営会議にも付議し、取締役会でも決議を行う等、複数のチェック体制を取っており、慎重に多角的な検討を行っております。また、適切な内部統制構築・運用のため、必要に応じて出資先への人員派遣やスカパーJSATグループで定めている規程等の遵守を求め、適正に管理を行っております。投資判断時には、マイルストーンを設定し、適切なタイミングでレビューを行っており、出資後においても、各出資先の財務状況、取組方針、収益性、資本コスト、保有意義、出資の適正性等についてレビューを行い、その結果を取締役会にて検証しております。残存リスク現在想定している対策を講じていても、市場・競争環境の変化や出資・買収後の事業管理の不徹底等により、買収等をした事業における損失の発生、投資有価証券やのれんの減損等を完全に防止することは不可能であり、投資に見合う利益を確保できる保証はありません。また、出資先でコンプライアンスに関する問題等が発生した場合には、スカパーJSATグループの社会的信用を損なう可能性があります。 リスク名称⑥ 重要情報及び個人情報の流出や取扱い、サイバーセキュリティに関するリスクリスク概要サイバー攻撃や人的ミス等により、重要情報・個人情報の漏洩やシステム停止が発生し、事業運営や社会的信用の低下、対応コストの発生につながるリスクリスクオーナー経営管理部門長リスクの状況スカパーJSATグループは、宇宙事業においては技術情報を含む重要な情報を、メディア事業においては提供するサービスへの加入者情報をはじめとした顧客情報をそれぞれ保有しております。当該情報がハードウェア、ソフトウェアの不具合及び人為的ミスによるシステム障害や第三者による不正アクセス等により流出した場合や、個人情報の不適切な取扱いが発生した場合は、社会的信用の低下や損害賠償その他の対応に係るコスト負担等により、スカパーJSATグループの事業及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、大規模なサイバー攻撃を受けた場合、当該情報が流出するのみならず、放送・配信サービス及び衛星通信サービスの運用に支障が生じる可能性があります。リスクへの対策スカパーJSATグループは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証及びプライバシーマークを取得し、情報セキュリティ・個人情報保護マネジメントシステムを構築し、厳格な情報管理を行っております。当該活動の一環で、スカパーJSATグループを対象とした情報セキュリティ管理委員会・個人情報管理委員会を設置し、情報セキュリティ管理の状況をモニタリングしております。また、セキュリティインシデント発生時の対応を行う組織としてCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、訓練も実施しております。一方、システム対応として、個人情報及び事業上の重要情報保管時の暗号化サーバの利用、不正侵入防止システムやウィルス対策ソフトによる感染防止、各システムによるログの取得、セキュリティ診断による脆弱性の発見等を実施しております。更に、サイバー攻撃の多様化、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進等によるサイバーセキュリティリスクの増加等を受け、最高情報セキュリティ責任者(Chief Information Security Officer)を任命し、サイバーセキュリティへの対策を実施・強化しております。その他、マルウェアや不正な通信の検知力強化や社内ネットワーク構築基準の見直しを実施しています。残存リスク現在想定している対策を講じていても、新技術を用いた高度なサイバー攻撃等、現在想定している対策を超える事態の発生により、情報流出やサービスに障害が発生する可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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