FCE(9564)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


FCE(9564)の株価チャート FCE(9564)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

FCEグループは、株式会社FCE(以下、FCE)と連結子会社1社で構成されており、DX推進事業、教育研修事業、その他事業を展開しております。

サービス区分としては、DX推進コンサルティング、人財育成コンサルティング、その他の3つのサービスを提供しております。DX推進コンサルティングでは、RPAサービス(RPA Robo-Pat DX)、企業向け・教育業界にeラーニング(Smart Boarding・Find!アクティブラーナー事業)やオンラインツールを用いた教育プログラムの提供(7つの習慣J®オンライン)などの提供を行っております。人財育成コンサルティングでは、教育業界向けに7つの習慣J事業、学習塾支援事業、インターナショナルスクール事業、フォーサイト手帳事業などを行っております。また、企業向けに研修やコンサルティング事業を行っております。

なお、セグメントの名称は「第5 経理の状況」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

セグメントの名称

事業名

サービス区分

事業本部または連結子会社の名称

DX推進

コンサルティング

人財育成

コンサルティング

その他

Education

DX*

 

HR DX*

RPA*

Education*

HR*

 

(1) DX推進
 事業

RPAサービス及び
 DX化支援事業

 

 

 

 

 

プロセス&テクノロジー事業本部

(2) 教育研修
 事業

①7つの習慣J事業

 

 

 

 

エデュケーション事業本部

②学習塾支援事業

 

 

 

 

 

③インターナショナルスクール事業

 

 

 

 

 

④Find!アクティブ
 ラーナー事業

 

 

 

 

 

⑤フォーサイト手帳
 事業

 

 

 

 

 

⑥企業向け研修、

コンサルティング事業

 

 

 

 

トレーニング・カンパニー事業本部

⑦デジタル学習コンテンツ事業

 

 

 

 

 

株式会社日本コスモトピア

(3) その他

出版事業

 

 

 

 

 

パブリッシング事業本部

 

(*主なサービス区分における定義)

Education DX:オンラインツールやeラーニングコンテンツの提供によるサービス

HR DX:eラーニングコンテンツの提供によるサービス

RPA:RPAソフトウェアの提供によるサービス

Education:学校や学習塾等に対して役務を提供するサービス

HR:集合型・対面型の研修やコンサルティングによる役務を提供するサービス

 

各セグメントの詳細は、次のとおりです。

 

 

(1) DX推進事業

プロセス&テクノロジー事業本部が運営する当事業では、純国産RPAソフトウェア「Robo-Pat DX(ロボパット ディーエックス)」を開発、提供(コンサルティング含む)しております。

RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン内の業務を自動化する取り組みを表す言葉であり、オフィスで日常的に行われている作業をソフトウェアロボットにあらかじめ登録しておくことで、人が操作をしなくてもパソコンに自動的に作業を行わせることが可能となります。今後の人口減少社会を見据え、働き方改革や生産性向上を実現する有効な方法と言われております。

当製品は、「パーソナルRPA」をコンセプトに、①ユーザー部門(日々の事務作業にあたっている現場部門)でも運用できる直感的な操作性、②対象アプリケーションを問わない融通性、③初期費用無し、リーズナブルな利用料金によりスモールスタートが可能、④月ごとの契約によりフレキシブルな運用が可能と、従来RPA製品の導入にハードルを感じていた中堅・中小企業や、大企業の部門単位での利用ニーズに応えられる特徴を有しており、RPAという「新たなテクノロジー」の提供とそのRPAを使いこなせる「人・組織の変革」の支援の両輪によって、企業のDXを推進しています。

当製品を構成する技術の一部は、株式会社PKSHA Associatesと契約を締結し、ライセンスの供与を受けております。

また顧客企業へのライセンス提供は、FCEが直接利用契約を締結して提供する形態のほか、全国の販売パートナーを通じての提供も行っております。

当事業は主に、顧客企業及び販売パートナーを通じて得られるライセンス利用料収入を受領しております。

 

 

(2) 教育研修事業

① 7つの習慣J事業(エデュケーション事業本部)

全世界で4,000万部、日本でも260万部売れた世界的ベストセラーのビジネス書『7つの習慣』をベースに、日本の子どもたち向けに「7つの習慣J®」という授業プログラムを開発しており、これまでに累計33万人が受講しております。

アクティブ・ラーニング教育の必要性が高まる中、本プログラムを通して、子どもたちの主体性を引き出し、課題発見能力、課題解決能力を育むことを目的としている他、当サービスを導入される学校法人に対しては、教育理念の実現と生徒数確保の両立に寄与できることを目指しております。

当事業では、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社より「7つの習慣®」ライセンスの提供を受け、学校法人(中学・高校及び専門学校)及び学習塾(主に小中学生を対象とした学習塾)に対して「7つの習慣J®」授業プログラム、テキスト等を通年型で提供し、その対価を継続的に受領しております。また、同授業を導入した学校や学習塾の教師が「ファシリテーター」(同授業を生徒に実施することができる資格)の資格取得のための研修も提供し、対価を受領しております。また、実際の教室を持たず、Web会議システム等を用いて授業を行う「7つの習慣J®オンライン」についても、全国の教育関係者に提供し、その対価を受領しております。

 

② 学習塾支援事業(エデュケーション事業本部)

学習塾支援事業として、NOVAホールディングス株式会社と業務提携し、同社が運営する個別指導塾「ITTO個別指導学院」のフランチャイズ運営支援を行っております。

スーパーバイジング活動(生徒獲得方法の指導・教室運営の指導等)の業務を受託することにより、同社より業務委託料を得ております。なお、本事業のうち、2022年1月に学習塾教室運営事業(FCE運営校舎)を外部へ売却しており、現在は既存のフランチャイズ加盟校舎の運営支援を中心に事業活動を行っております。

 

③ インターナショナルスクール事業(エデュケーション事業本部)

子どもたちをグローバル時代に必要とされる人材へと育てる一環として、東京インターナショナルスクール勝どき校を運営し、キンダーガーデン(未就学児を対象とした認可外保育)、アフタースクール(学童保育)、LTE(Learning Through English、週1回通学)を提供しております。

 

 

④ Find!アクティブラーナー事業(エデュケーション事業本部)

「Find!アクティブラーナー」は、教員の方々を始めとして、子どもの教育に関わる教育関係者・保護者、人材育成に携わる方々など、アクティブラーナーの育成に関わるすべての人たちを対象にした総合情報サイトです。

2018年・2019年に実施された学習指導要領改訂における教育改革のメインテーマである「アクティブ・ラーニング」を始めとして、子どもたちの主体性を引き出す手法を「動画」や「記事」で紹介する教育ノウハウを提供しております。

当事業では主に、当サイトを導入する学校(公立及び学校法人)より、サイト利用の対価を継続的に受領しております。

 

⑤ フォーサイト手帳事業(エデュケーション事業本部)

当事業では、中高生向けビジネス手帳「フォーサイト」を開発し販売しています。

「フォーサイト」手帳は、子どもたちが日々の振り返りを通して、自分の人生を自分で切り拓いていく力=「自律力」を向上させることを支援するものになります。

当事業では、生徒の補助教材としてフォーサイト手帳を購入する学校(公立及び学校法人)より対価を受領しております。

 

⑥ 企業向け研修、コンサルティング事業(トレーニング・カンパニー事業本部)

トレーニング・カンパニー事業本部では、企業向けに研修、コンサルティング、人財育成プラットフォームを提供しており、提供先企業より、役務提供やサービス利用の対価を受領しております。

主に以下のようなサービスを提供しております。

・「Smart Boarding」

OJTも研修もeラーニングも「社員教育」をこの1つで実現できる人財育成プラットフォームです。eラーニングのコンテンツは、汎用的なビジネススキルを中心にしておりますが、システム内でクライアント企業が自社で作成したカリキュラムをアップデートすることも出来ます。従来から提供している組織成長に必要な社員教育を実現する「人材育成」機能に加え、タレントマネジメント機能の「人材管理」と「人材評価」の機能を新たにリリースし、オール・イン・ワンの統合型人財育成プラットフォームとなり、これ一つで人財に関するすべてをマネジメントすることが可能になっております。

・「7つの習慣研修®Business Ownership」

フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社より「7つの習慣®」ライセンスの提供を受け、「7つの習慣®」をビジネスシーンにフォーカスして開発した研修プログラムです。

イノベーションを起こす土台を築くための2日間の研修プログラムで、これまでに3,000社以上が導入しております。

・「xDrive」

会議型コンサルティングとして、組織にPDCAサイクルを定着させる実践型現場トレーニングです。FCEのトレーナーがクライアント企業の会議をファシリテートし、目的・目標を達成するための効果的な質問を行い、参加者の思考を引き出し、考えを見える化することを支援しております。

・「Axis」

「組織の目指す姿を実現する」ための評価制度構築・運用を支援します。顧客企業のミッションの構築とそれを実現するための姿勢や具体的なアクションまで落とし込んだValuebook作成や評価制度・教育制度構築を支援します。併せてその制度を推進する人材の育成を支援します。

 

 

⑦ デジタル学習コンテンツ事業(株式会社日本コスモトピア)

株式会社日本コスモトピアでは、公教育・学校向けに「みんなの学習クラブ」、学習塾向けに「Selfee」というデジタル学習コンテンツを販売しています。学習コンテンツの提供に加え、WEBアプリへの転換や外部システムとの連携を図りユーザーの利便性の向上や、学習効果を高める支援を行っております。

 

上記、教育研修事業の中でDX推進コンサルティングサービスは、教育向け(Education DX)としてはエデュケーション事業本部の「7つの習慣J®」をオンラインにて提供する事業や、Find!アクティブラーナー事業、株式会社日本コスモトピアのデジタル学習コンテンツ事業が該当します。また、企業向け(HR(Human Resource) DX)としてはトレーニング・カンパニー事業本部の「Smart Boarding」が該当します。その他の上記の事業は人財育成コンサルティングサービスに該当します。

 

(3) その他

パブリッシング事業本部では、「キングベアー出版」の名称で、一般消費者向けに『完訳 7つの習慣』等のビジネス書を出版しております。当事業では、出版取次店等からの発注を受けて書籍を納品し、対価を受領しております。また、7つの習慣セルフコーチングプログラムの提供をしています。同プログラムは「ありたい自分になるために、客観的に自分と対話する(セルフコーチング)」技術を高めることで、自分の持つ「無意識の思い込み」に気づき、より自由に自分らしく生きるきっかけを手に入れる「自己対話力」を高めるための講座型プログラムとなっております。

 

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 


 

(セグメントとサービスの相関図)



有価証券報告書(2024年9月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

経営方針、経営指標及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてFCEグループが判断したものであります。

 

(1) 企業理念・経営方針

 FCEグループは「チャレンジあふれる未来をつくる」をパーパスに掲げ、「『人』×『Tech』で人的資本の最大化に貢献する」をミッションとしております。

 

 また、FCEグループのFCEの由来や経営方針は以下となっております。

Future Created by Entrepreneurs

「社会の課題をビジネスで解決する」をコンセプトに

「人の可能性を高め、社会の未来を切り開く」新事業創造企業

 

■日本社会の問題を解決するビジネスを創り出し、その過程で関わる多くの人達の持つ無限の可能性を引き出していきます。

■これからの日本を創っていくため、FCEグループは「独創的企業家集団」として、社会の問題を解決する新事業に次々と取り組んでまいります。

■また、2024年11月より「アントレプレナーファーム(企業家集団)FCE」というカルチャーコンセプトを発信しています。アントレプレナーファームとは、一人ひとりが「企業家マインド」をもって、チャレンジあふれる未来を作り出す主体であり続ける、と定義しています。

 

(2) 経営環境

FCEグループは、FCEと連結子会社1社で構成されており、DX推進事業、教育研修事業、その他事業を展開しております。なお、販売体制としては、本社営業部門を中心とし、DX推進事業は、それ以外に代理店を活用して提供しており、販売網としては本社(東京)以外に大阪と福岡に拠点を設けています。FCEグループは全社員を『コンサルタント』として育成しており、各事業に共通して、クライアントの根本的な課題解決の実現をサポートしていることが他社との差別化・強みと考えております。

FCEグループを取り巻く経営環境としては、我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかに回復しました。見通しについては、引き続き緩やかな回復が期待されるものの、海外景気の下振れにより我が国の景気を下押しするリスクや物価上昇の変動等、不透明な部分もあります。

このような状況の中、FCEグループは、「チャレンジあふれる未来をつくる」をパーパスに掲げ、人口減少による労働力不足に対して「『人』×『Tech』で人的資本の最大化に貢献する」をミッションとして事業の拡大と収益性の向上に取り組んでおります。

DX推進事業に関連する業界では、働き方改革や出社・リモートといった働き方を問わず、自動化や生産性改善に対するニーズは継続しており、市場環境は良好な状況が続いております。さらに、少子高齢化、働き方改革並びに深刻な企業の人手不足などの課題解決の一助として、DX推進の流れは、今後も継続するものと考えており、こうした経営環境を踏まえ、FCEグループのDX推進事業で提供しているRPAサービス及びDX化支援事業については注力していく方針であります。

教育研修事業のうち、研修業界は、若年層の人材採用難や社員教育・人材育成に対する投資意欲の高まりやリスキリング教育の流れを受け、eラーニング市場の拡大は継続しております。教育業界においては少子化の進行や物価上昇による家計の教育投資抑制などの影響があるものの、文部科学省の掲げる「GIGAスクール構想」の下、学校現場のデジタル環境の整備が進み、ハード面の整備に加えて今後は、学習コンテンツ等のソフト面での整備が進むことが期待されます。
 

 

(3) 経営戦略

FCEグループは、経営方針に基づき、これまで様々な事業を立ち上げ取り組んだ結果、現在の事業はDX推進事業と教育研修事業、その他から構成されます。今後も、社会の問題を解決するとともに、そこに関わる人たちの人財価値を革新することで、企業価値をさらに高めていくことを目指してまいります。また、これまで新しい事業に取り組んできたのはFCEグループの人財によるものと考えており、引き続き、人財育成にも注力します。

 

そのため、経営戦略については、以下のとおりとなります。

 

① FCEグループの人財に関する事項

FCEグループでは、成長コンセプトとして「3年で10年分の成長」とし、多くの育成プログラムや環境を提供しております。また、人財育成のノウハウをすべて標準化・仕組み化(下図)し、ライン(営業等、業務の遂行に直接かかわるメンバー)からスタッフ(事務等、事業のサポートを行うメンバー)に至るまでの『全社員コンサルタント化』をテーマに育成しています。

『コンサルタント』として育成することにより、クライアントに対して単なるサービス提供の範囲にとどまらず、根本的な課題解決、ありたい姿の実現をサポートすることを他社との差別化・強みとしています。

現在、Great Place to Work®が主催する「働きがいのある会社ランキング」にて12年連続ベストカンパニーを受賞しておりますが、引き続き、「働きやすさ」や「やりがい」の維持・向上により、既存事業の拡大や新規事業の創出が出来るような人財育成を継続します。

 

 

(標準化・仕組み化した人財育成のノウハウ)

 


 

※研修やトレーニングはオンラインでの参加・配信で提供しています。

 

② DX推進事業に関する事項

FCEグループの「RPA Robo-Pat DX」の導入企業数は、2019年9月末時点で449社、2020年9月末で648社、2021年9月末で850社、2022年9月末で995社、2023年9月末で1,192社、2024年9月末で1,481社となっております。
 今後の継続的な成長を実現するべく、FCEグループの「RPA Robo-Pat DX」の機能充実・認知度向上はもとより、販売体制の強化を重点施策として取り組んでまいります。特に地方企業に向けた展開スピードを速めるため、代理店網の強化や販売パートナーの増強などを起点に地方における認知拡大、販売体制を構築してまいります。

 

 

③ 教育研修事業に関する事項

「7つの習慣®」は研修プログラムとしても体系化されており、世界160カ国にて展開。それらをベースにした「7つの習慣J®」「7つの習慣®研修」のオンライン事業化をスタートした結果、従来の集合型・対面型の受講形式に比べて受講時の利便性が高まり、世界中から講師・受講生を募ることが可能となっています。今後は、全方位的な年代・層に合わせてコンテンツラインナップを増加し、コンテンツ間のシナジーによる認知拡大・クロスセルなども目指します。

 

eラーニング市場は、コロナ禍以降、オンライン研修による需要の高まりやリスキリング教育の流れを受け引き続き、市場の拡大が期待されます。トレーニング・カンパニー事業本部が提供する「Smart Boarding」(OJTも研修もeラーニングも社員教育を1つで実現できる人財育成プラットフォームサービス)の拡販により、事業の拡大を目指します。

 

④ DX推進事業並びに教育研修事業に関する事項

FCEグループの特徴として、顧客に対して単なるサービス提供にとどまらず、ありたい姿の実現をサポートすることにより、本質的な課題の把握に努め、顧客基盤を構築して参りました。今後は、こうした既存の顧客基盤に対してもFCEグループが有する様々な商材を提供(クロスセル)していくことで、収益の安定化と高い成長の両立を目指します。

例えば、「7つの習慣®研修」のフォローツールとして「Smart Boarding」をセット提供していくことにより、ストック比率をさらに高めることが可能になります。また、「Smart Boarding」の導入から研修やコンサルティングなどに展開していくなど、コンテンツ間のシナジーを生み出してまいります。更にDX推進事業と教育研修事業の事業間のクロスセル、具体的には、「RPA Robo-Pat DX」と「Smart Boarding」のそれぞれの顧客にサービスを紹介することで更なる成長を企図します。

すでに「7つの習慣®研修」はこれまでに2,600社以上が導入しており、「Smart Boarding」の導入企業数は、2024年9月末で1,095社となっており、「RPA Robo-Pat DX」の導入企業数は2024年9月末で1,481社となっております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

FCEグループは、継続的な成長による企業価値の向上を図るため、「連結売上高」と「連結経常利益」及び「連結経常利益率」を重要な経営指標として位置付けております。連結売上高は事業規模の成長を示す重要な指標として、連結経常利益率は事業規模の追求だけではなく、収益性も考慮した上で、グループ全体としての成長を示す重要な指標として考えております。

なお、連結売上高は、2024年9月期実績は5,006百万円(2023年9月期実績は4,174百万円)となっており、連結経常利益は、2024年9月期実績は706百万円(2023年9月期実績は575百万円)となっており、連結経常利益率は、2024年9月期実績は14.1%(2023年9月期実績は13.8%)となっております。

また、事業別には、教育研修事業においては、既存の顧客に対するクロスセルや、リスキングのニーズを追い風としたeラーニングの需要の高まりを捉え、「Smart Boarding」(eラーニング)の導入社数を重視しており、DX推進事業においては、RPA市場を拡大期と捉え、販売体制の強化を重点施策としており、「RPA Robo-Pat DX」の導入社数を重視しております。

 

(5) FCEグループの対処すべき課題

① DX推進事業の商品力強化

DX推進事業は近年市場の拡大が著しく、既存事業者や新規参入企業の競合商品との競争は引き続き、激化するものと想定しております。

FCEグループが顧客対象とする「企業のユーザー部門」への更なる浸透を考えると、商品の使いやすさを高めていく余地が十分に存在していると認識しており、ユーザーフレンドリーな操作性の向上、マニュアル類やトレーニング環境の充実、作成サポート体制の充実も含めて、商品力強化に継続的に努めてまいります。

 

② DX推進事業の認知度向上、販売体制強化

FCEグループが「Robo-Pat」の商品名でDX推進事業を開始してから約7年と年数が浅く、また小規模の組織体制で運営してきたことから、知名度の向上と販売体制の拡充が不可欠であります。

そのため、費用対効果を検討のうえ、効果的な広告宣伝活動により知名度を向上させることに加え、継続的なプロモーション展開や販売パートナー及び紹介パートナーの確保に取り組み、日本全国での認知度向上と販売体制の強化に取り組んでまいります。

また、引き続き、生産性向上のニーズを捕捉しながら市場の拡大に合わせて導入企業の開拓や既存導入企業の更なる利用の拡大を企図し、業界特化型シナリオセット販売スキームの展開やKMT研究所から事業譲受したデータベース事業を展開します。

 

③ 教育研修事業の販売体制強化

教育事業においては株式会社日本コスモトピア買収による事業シナジーの実効性を高めるべく、同社の科目教育に関する商品とFCEの既存の事業であるフォーサイト(中高生向けビジネス手帳)の相乗効果を加速させます。また研修事業の注力商品であるSmart Boardingの拡販により成長を企図します。

 

④ 人材確保、社員教育

FCEグループが、経営環境の変化に適応し、継続的な発展を実現していくためには、各事業において主体的に課題解決に向け行動する人材の確保が重要であると考えております。FCEグループの理念・価値観に共鳴する人材の採用活動及び社内研修を継続してまいります。

 

⑤ 社内管理体制の強化

FCEグループの成長を維持していくためには、社内管理体制の強化が不可欠であると考えております。そのために内部統制体制を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を充実させていくとともに、情報セキュリティ、労務管理等のコンプライアンス体制の構築に取り組んでまいります。

 

(その他管理体制面等)

新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が終息しているものの、FCEグループはお客様と従業員の安全を最優先に事業運営を行うべく、感染防止策にも注力しております。引き続き、部分的なテレワークの導入やフレックスの勤怠による時差出勤等を推奨しながら、オンラインツールを用いた会議体の設定等、柔軟な組織運営を図ってまいります。

 

⑥ 財務上の課題

純資産と負債の適切なバランスを保ちながら、事業収益や金融機関の借入等を通じて事業の成長資金を確保することで既存事業の強化や新規事業創出のための機動的な資金調達を実現することが財務上の課題として認識しております。2024年9月末時点における自己資本比率は66.4%でありますが、引き続き、財務体質の維持・向上を図ってまいります。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

(1)FCEのリスク管理体制

FCEは、FCEグループの事業活動において、予期せぬ損害、損失等を発生させる可能性のあるものをリスクとして定義し、リスク管理規程を定め、代表取締役を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理体制の整備の状況等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

(2)事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてFCEグループが判断したものであります。

なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価、「影響度」については、発生した際にグループ連結営業利益に与える影響より評価しております。

 

 

発生可能性

発生する時期

影響度

1.教育事業に関するもの

 ① 少子化の影響について

不特定

 ② 教育制度の変更について

不特定

 ③ 競合について

不特定

 ④ 提携先との関係について

不特定

 ⑤ 学校法人を通じた提供について

不特定

2.研修事業に関するもの

 ① 業界環境の変化について

不特定

 ② 競合について

不特定

 ③ 提携先との関係について

不特定

3.DX推進事業に関するもの

 ① DX推進事業の市場について

不特定

 ② 競合について

不特定

 ③ 提携先との関係について

不特定

 ④ 販売パートナーとの委託契約について

不特定

4.グループに共通するもの

 ① 人材確保、労務について

中長期

 ② IT技術革新について

不特定

 ③ 法的規制について

不特定

 ④ 個人情報の管理について

不特定

 ⑤ 自然災害について

不特定

  新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

不特定

  特定人物への依存について

不特定

 ⑧ 重大な感染症の影響について

不特定

   業績の季節変動性について

不特定

 

 

 

1.教育事業に関するもの

① 少子化の影響について

FCEグループは、教育事業を行っております。

教育業界は、出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という問題に直面しており、今後ますます生徒数確保に向けた競争が激化していくことが予想されます。

このような状況の中、FCEグループは、子どもたちに対しては、サービスを通して主体性、協調性を育み、社会で活躍できる能力を身につけてもらうことを目指し、またFCEグループのサービスを導入される学校法人に対しては、教育理念の実現と生徒数確保の両立をしていただくことを目指して事業展開をしてまいります。

しかしながら、今後急速に少子化が進行し、教育業界全体が著しく縮小した場合、FCEグループの教育事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 教育制度の変更について

近年、教育分野においては、変化の激しいこれからの社会で活躍できる人材育成を目指し、学習指導要領の改訂や大学入試制度の変更など、行政による教育制度の変更が行われ、今後も子どもたちの学び方や学校での教え方が大きく変わっていく可能性があります。

この教育制度変更の目的に関しては、FCEグループが提供するサービスの目的と合致しており、今後も顧客ニーズを満たすべく商品・サービスの強化・改善に努めてまいります。

しかしながら、今後の教育制度の変更等に、FCEグループが早期の対応を行えなかった場合は、FCEグループの教育事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合について

当事業で提供する「7つの習慣J®」「フォーサイト手帳」「Find!アクティブラーナー」「デジタル学習コンテンツ」等の教育サービスの市場には、競合が多数存在しています。

FCEグループでは、「7つの習慣®」のブランド力を強みに、子どもたちの主体性を高める教育サービスの強化・充実を図り、他社との差別化を図っています。

しかしながら、FCE同様に主体性を高める教育サービスをもって、新たに教育業界に新規参入してくる企業や、FCEの対応を上回るスピードで事業展開をしていく企業が現れた場合、競争激化となり、顧客の流出やコストの増加等、FCEグループの教育事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 提携先との関係について

当事業のサービスである「7つの習慣J®」は、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社より「7つの習慣®」に係るライセンスの提供を受け、学校法人及び学習塾に対して提供しております。

FCEグループでは、業務提携先との良好なパートナーシップを構築するよう注力しております。しかしながら、何らかの事情によりライセンス提供や業務提携の内容が変更する状況が生じた場合、FCEグループの教育事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 学校法人を通じた提供について

当事業のサービスの幾つかは、学校法人を通じて生徒が利用するという提供形態をとっており、提携する多くの学校法人とは5年、10年と長期に渡る継続した関係を構築・維持しております。

しかしながら、少子化、教育環境の変化、他社サービスの切り替えといった様々な理由により、FCEサービスの利用が終了となった場合、あるいは学校法人の受講生徒数が著しく減少するなど、FCEサービスを利用する生徒数の大幅な減少があった場合、FCEグループの教育事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

2.研修事業に関するもの

① 業界環境の変化について

FCEグループは、企業向け研修事業を行っております。

日本国内では労働力人口の減少に伴い、生産性向上のニーズは高く、当事業分野の需要は今後も増加していくとの予測に基づき事業を拡大していく方針です。しかしながら、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業の教育費用が減退するような場合には、FCEグループの企業向け研修事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

当事業は、研修会社、コンサルティング会社、人材関連システムサービスの提供会社等、多数の企業が参入しており、今後一層、競争が激化するものと認識しております。FCEグループでは、現場に寄り添ったコンテンツ開発力や支援方法において強みを有していると認識しておりますが、今後、競合他社に対する優位性が維持できなくなった場合、FCEグループの企業向け研修事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 提携先との関係について

当事業のサービスの「7つの習慣研修®Business Ownership」は、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社より「7つの習慣®」のライセンスを受け、顧客企業に提供しております。FCEグループでは、業務提携先との良好なパートナーシップを構築するよう注力しております。しかし、何らかの事情により、同社からライセンス提供を受けられない状態となった場合には、FCEグループの企業向け研修事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.DX推進事業に関するもの

① DX推進事業の市場について

FCEグループは、DX推進事業を行っております。日本国内では少子高齢化、労働力人口の減少が今後も進むことから、当事業分野の需要は今後も増加していくとの予測に基づき事業を拡大していく方針ですが、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業の投資マインドが減退するような場合には、FCEグループのDX推進事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

当事業には競合が複数存在しております。FCEグループでは、提携企業との連携したサービス改善や顧客支援体制の整備・充実等を通じて他社との差別化を図っておりますが、今後の市場の拡大により、当事業の既存事業者や新規参入企業との競争激化による顧客企業の流出や、その対策のためのコスト負担等により、FCEグループのDX推進事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 提携先との関係について

当事業の主力商品である「RPA Robo-Pat DX」は、株式会社PKSHA Associatesとのパートナー契約により、RPAソフトウェアライセンスのOEM提供を行っております。FCEグループでは、業務提携先との良好なパートナーシップを構築するように注力しています。しかしながら、何らかの事情により、同社からのライセンスの供給や業務提携の内容に変更が生じた場合、FCEグループのDX推進事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 販売パートナーとの委託契約について

当事業では、顧客企業の獲得・維持、それらに付随する業務の一部を、他社(販売パートナー)に委託しております。FCEグループでは、販売パートナーの営業支援活動を通じて、販売パートナーと良好なパートナーシップを構築するよう注力しています。しかし、何らかの事由により、販売力の高い販売パートナーとの契約関係が終了となる場合には、顧客の獲得や維持に影響することとなり、FCEグループのDX推進事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.グループに共通するもの

① 人材確保、労務について

FCEグループが展開する各事業では、各事業を拡大するうえで必要な人材を確保し、育成していくことが重要な経営課題と捉えております。そのため、新卒や中途採用の活動を計画的に実施し、また採用した人材の能力開発につながる教育や人事諸制度の構築運用を講じております。

しかしながら、労働人口が減少する中で採用環境が厳しくなり、必要な人材を確保できない状況が生じたり、あるいは、想定より多くの離職が生じた場合には、FCEグループの競争力に影響を及ぼす可能性があります。

また、昨今の労働法制を鑑みると、従業員の労働環境に関して雇用者のきめ細かな管理や対応が求められております。

FCEグループとしては、法令等を遵守して運営できていると認識しておりますが、今後法規制に変化があった場合、それに対応するための人件費等の増加により、FCEグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② IT技術革新について

FCEグループで提供するサービスには、RPAやeラーニングサービスなど、IT技術を用いるものが含まれています。FCEグループでは、最新技術に関する社員教育や提携企業との連携強化及び新たな協力企業との連携によって、環境変化に対応するよう努めております。しかし、この分野では新技術や新サービスの開発の動きが激しく、FCEグループが環境変化に適切に対応できない場合には、サービスの競争力の低下を招き、FCEグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 法的規制について

FCEグループで展開する各事業では、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、著作権法、個人情報の保護に関する法律、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律等の規制を受けております。

FCEグループでは、各事業における社内管理体制の構築を通じ、法令遵守に努めておりますが、不測の事態によりこれらの規制を遵守できない状況が生じた場合には、FCEグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報の管理について

FCEグループの各事業では、商品・サービスの提供や営業活動に際し、顧客及び潜在顧客の氏名やメールアドレス等の個人情報を保有し、情報システム上で管理を行っております。

これらの情報システムの管理にあたっては、外部からの侵入の防止、社内規程の整備、従業員の教育指導等、個人情報の管理には十分な注意を講じております。しかしながら、第三者によるセキュリティ侵害、ハッキング、従業員の故意または過失等によって、FCEグループで保有する個人情報が外部に漏えいした場合は、社会的信用やブランド価値が毀損され、FCEグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 自然災害について

FCEグループが展開している地域において、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、業務遂行が困難になる可能性があります。

FCEグループでは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、これら自然災害等が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、サービスの提供が困難となり、FCEグループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

FCEグループでは、取締役、従業員に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。これらの新株予約権が行使された場合には、FCE株式の1株当たりの価値が希薄化し、将来における株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、当事業年度の末日現在、新株予約権による潜在株式は987,300株あり、株式総数(潜在株式を含む)の8.29%に相当します。

 

⑦ 特定人物への依存について

FCE代表取締役社長である石川淳悦は、FCEの創業者及び経営の最高責任者であり、当事業年度の末日現在、FCE株式の34.40%を所有する大株主であるとともに、経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。

FCEグループでは、過度な依存を回避すべく、持株会社制度を採って経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ると共に、取締役会及びグループ報告会議等における役員及びグループ報告会議参加社員の情報共有を行い、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、現時点において同氏に対する依存度は高い状況にあるといえます。そのため、何らかの理由により同氏がFCEグループの経営を行うことが困難な状態となり、また、後任となる経営層の採用・育成が進展していなかった場合には、FCEの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 重大な感染症の影響について

FCEグループでは従業員やその家族、インターナショナルスクールに通う生徒、取引先の方々など、あらゆる方の安全や健康を守ることを最優先としながら事業活動を継続しておりますが、インフルエンザ等の感染症の大規模な流行等、重大な感染症の影響により経済活動の停滞が長期化した場合には、各事業において以下のような可能性があります。

教育事業では、インターナショナルスクールに通う生徒数の減少に伴い、FCEグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

研修事業では、FCEの顧客の業績が悪化しFCEサービスが解約に至るほか、商談中の案件が延期や失注となり、FCEグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

DX推進事業では、FCEの顧客の業績が悪化しFCEサービスが解約となる可能性があります。また、現在Webによる営業活動を積極的に取り入れてはおりますが、展示会等の延期・中止等により十分な広告宣伝活動を行う事ができず、FCEサービスへの問い合わせの減少、それに伴う新規顧客からの申し込みの減少により、FCEグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨  業績の季節変動性について

FCEグループのうち、教育研修事業では、教育関係の年度の変わり目である4月からFCEグループの商品を利用するニーズがあることから、主として毎年第2四半期(1月から3月)に、商品の出荷・販売を行います。その影響により、FCEグループの売上高及び利益には一定の季節変動があり、FCEとしては偏重状況の予測とモニタリング等により対応しております。

また、FCEグループの年間の予算達成状況等を見ながら、第4四半期(7月から9月)に翌期の成長に向けた戦略的な投資(主に広告宣伝)を行う場合があります。そのため、第4四半期の損益は他の期間と比較して低位または赤字となる場合があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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