石油資源開発グループ(石油資源開発及び石油資源開発の関係会社)は、石油資源開発、子会社23社及び関連会社20社(2025年3月31日現在)により構成されており、「E&P事業」「インフラ・ユーティリティ事業」「その他の事業」を事業内容の区分とし、国内での事業活動に加え、海外においては事業拠点ごとに設立されたプロジェクト会社により事業活動を展開しております。
石油資源開発グループは事業拠点別のセグメントから構成されております。各事業セグメントの事業内容及び石油資源開発と関係会社の位置付けは次のとおりであります。
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事業セグメント |
事業内容 |
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日本 |
(1)E&P事業 石油資源開発及び連結子会社の日本海洋石油資源開発㈱は、国内において原油・天然ガスの生産を行っております。また、連結子会社の北日本オイル㈱は、石油資源開発の原油を購入し販売しております。 |
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(2)インフラ・ユーティリティ事業 石油資源開発は、石油資源開発グループが生産する国産天然ガスに加え、相馬LNG基地及び日本海エル・エヌ・ジー㈱新潟基地において輸入LNGを原料とする気化ガスを製造し、これらのガスを、石油資源開発が保有する総延長800km超のガスパイプライン網を通じて沿線地域の需要家に販売しております。連結子会社の白根瓦斯㈱及び関連会社の東北天然ガス㈱は、石油資源開発より卸供給を受けてガスの販売を行っており、また、連結子会社の秋田県天然瓦斯輸送㈱は、石油資源開発が秋田県内で販売するガスの輸送を行っております。北海道では、勇払LNG受入基地において内航船及びタンクローリーにより原料を受け入れ、その気化ガスを、国産天然ガスとともに道内需要家に販売しております。 加えて、石油資源開発及び一部の関係会社では、パイプライン沿線以外の地域における天然ガスの需要に対応するため、タンクローリー及びタンクコンテナを利用したLNGサテライト供給を行っております。 また石油資源開発は、託送供給依頼者に対し、石油資源開発導管を利用した託送供給サービスを提供しております。 石油資源開発の関連会社である福島ガス発電㈱(以下、FGP)は、相馬LNG基地に隣接する福島天然ガス発電所において発電事業を行っております。石油資源開発は、FGPに発電を委託しており、当該電力を、主として他の小売電気事業者に販売しております。また石油資源開発は、FGPより、同発電所が燃料として使用するLNGの気化業務を受託しております。 ガス事業や電力事業に必要となる原燃料LNGを安定的に調達するため、石油資源開発は、調達先や契約条件の多様化に努めております。 これに加え、石油資源開発では再生可能エネルギーの開発に取り組んでおります。 関連会社の(同)網走バイオマス第2発電所及び(同)網走バイオマス第3発電所は、北海道産の国内材木質チップを発電燃料としたバイオマス発電を行っております。 関連会社の大洲バイオマス発電㈱を営業者とする匿名組合は、石油資源開発より燃料供給を受けてバイオマス発電を行っております。 |
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(3)その他の事業 連結子会社のエスケイエンジニアリング㈱は、石油資源開発等から坑井の掘さく作業及び改修作業を請け負っております。 連結子会社の㈱物理計測コンサルタントは、石油資源開発等から坑井の掘さく作業及び改修作業に係る物理検層及びマッドロギング作業(掘さく中に坑井内を循環させる泥水や、泥水によって地表に上がる地層の掘りくず等の調査・分析結果を記録する作業)を請け負っております。 連結子会社の㈱地球科学総合研究所は、石油資源開発等から物理探鉱作業等を請け負っております。 連結子会社の㈱ジャペックスエネルギーは、石油製品等の販売を主な事業としております。同社は石油資源開発にLPG等、並びにエスケイ産業㈱他に石油製品等を販売しております。 |
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事業セグメント |
事業内容 |
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北米 |
(1)E&P事業 石油資源開発は海外において原油・天然ガスの探鉱開発事業を行うにあたり、プロジェクトの効率的な運営のため、多くの場合、プロジェクトごとに会社を設立のうえ、他社との共同事業形態をとることによりリスクの分散化を図っております。 北米において、生産段階の連結子会社にJapex (U.S.) Corp.があります。 |
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(2)インフラ・ユーティリティ事業 関連会社のGulf Coast LNG Holdings LLCは、米国テキサス州「フリーポートLNGプロジェクト」に参画しております。 |
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欧州 |
E&P事業 英領北海において生産段階の連結子会社にJAPEX UK E&P Ltd.が、ノルウェー領海上鉱区において探鉱開発、生産段階の連結子会社にJAPEX Norge ASがあります。 |
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中東 |
E&P事業 イラク共和国ガラフ油田において生産段階の連結子会社に㈱ジャペックスガラフがあります。 |
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その他 |
E&P事業 東南アジア(生産段階の関連会社にEnergi Mega Pratama Inc.等)、ロシア(関連会社にサハリン石油ガス開発㈱)の事業セグメントがあります。 |
事業の系統図は、次のとおりであります。なお、( )は事業セグメント、〔 〕は事業内容を表しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において石油資源開発グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本経営方針
石油資源開発グループは、1955年の創業以来、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産・販売を中心事業とする企業として、埋蔵量の確保と生産の拡大を図ることを通じて我が国のエネルギーの供給に貢献することを使命に、石油・天然ガスの発見を重ねながら現在の経営基盤を確立してまいりました。
供給規模の拡大に伴い、安定供給に対する石油資源開発グループの社会的責任は益々増加するとともに、世界的な脱炭素化の進展による不可逆的なエネルギー需給構造等の変化を踏まえた新たなビジネスモデルの構築が極めて重要となることから、石油資源開発は、経営環境の変化に対応しながら市場競争力を持った企業として発展することを目指し、次のとおり石油資源開発企業グループの経営理念を掲げております。
「私たちは、エネルギーの安定供給を通じた社会貢献を使命とするとともに、持続可能な開発目標の実現に向けた社会的課題の解決に取り組みます。」
・国内外において、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産・販売に取り組みます。
・石油資源開発国内インフラ基盤を活用したガスサプライチェーンを、電力供給を加えてさらに強化します。
・石油資源開発の技術と知見を活かした新技術開発とその事業化を通じて、エネルギーや気候変動に係る持続可能な社会への課題解決に貢献します。
・すべてのステークホルダーとの信頼を最優先とし、企業としての持続的な発展と企業価値の最大化を図ります。
(2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
石油資源開発は、世界的な脱炭素化の進展による不可逆的なエネルギー需要構造等の変化を踏まえ、2021年5月に、カーボンニュートラル社会実現に向けて石油資源開発が果たすべき責務と今後の事業展開の方向性を整理した「JAPEX2050」を策定・公表しました。
また、収益力強化と2030年以降を見据えた事業基盤の構築を基本方針とする「JAPEX経営計画2022-2030」を2022年3月に策定・公表しました。
「JAPEX2050」及び「JAPEX経営計画2022-2030」の要旨は以下のとおりです。
[JAPEX2050]
1) GHG排出削減目標
①自社操業の排出量(Scope1+Scope2)の「2050年ネットゼロ」実現
第1段階として、石油資源開発操業のCO2排出原単位を2030年度までに、2019年度比で40%削減します。
(注)Scope1:事業者又は家庭が所有又は管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出
Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出
②自社サプライチェーン排出量(Scope3)の削減に寄与する事業領域の強化
CO2実質排出量削減を目指し、新たな技術の確立や環境負荷の低いエネルギー供給で貢献します。
(注)Scope3:Scope2を除くサプライチェーンの間接排出
2) カーボンニュートラル社会実現に向け注力する取り組み
①CO2圧入・貯留技術を核としたネットゼロ達成へ貢献する分野の事業化
国内トップランナーとして、CCS/CCUSの早期の実用化と事業化を目指します。
・実施候補地点(深部塩水層)の調査・選定、圧入坑井の掘削、貯留したCO2のモニタリング等で、石油・天然ガスE&Pで培った石油資源開発の強みを最大限に活用
(注)深部塩水層:飲料に適さない古海水(塩水)を含んだ地下深部の砂岩層等のこと。石油・天然ガスの貯留層と比較し地理的分布が広く、CO2貯留の可能性が期待される
・分離・回収されたCO2の輸送に関しては、天然ガス・LNG(液化天然ガス)供給に関する経験や知見を活用し貢献
CCS/CCUSとの連携が期待できる、カーボンニュートラルに関する協業や参入を目指します。
・BECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage:CCS付きバイオマス発電)、CCS付き天然ガス火力発電所等を想定
・ブルー水素や、メタネーション等のカーボンリサイクル分野への参入を視野
②再生可能エネルギープロジェクトの参画拡大
従来事業の知見や経験を活かしながら、石油資源開発が参画する再生可能エネルギープロジェクトの拡大を目指していきます。
・特に、天然ガス発電の経験を活用できるバイオマスや、E&Pの知見との親和性が高い洋上風力を中心に、候補案件の拡大を含む事業化検討を推進
③石油・天然ガスの安定供給
石油・天然ガスは今後も世界の主要なエネルギーの一つであるという認識のもと、石油資源開発はその需要に引き続き応えていきます。
「石油・天然ガスからの完全な脱却」ではなく、CCS/CCUS等脱炭素技術の併用による「カーボンニュートラル社会」の実現を、総合エネルギー企業として目指していきます。
・天然ガス開発プロジェクトへの参画と、参画プロジェクトへのCCS/CCUS導入検討
・石炭や重油からの燃料転換需要に対応する、天然ガス・LNGの多様な供給方式の横展開
[JAPEX経営計画2022-2030]
1) 基本方針
収益力の強化と、2030年以降を見据えた事業基盤の構築
・E&P分野、インフラ・ユーティリティ分野、カーボンニュートラル分野における重点項目の推進を通じて、資本コストに見合う利益水準の達成と株主還元の強化を実現
2) 経営目標
①定量目標
・事業利益:2026年度に300億円、2030年度に500億円
・ROE:2026年度に5%、2030年度に8%
・利益構成(E&P分野:E&P以外の分野):2026年度に6:4、2030年度に5:5
(注)事業利益:各分野の営業利益および持分法投資利益等(投資事業有限責任組合契約や匿名組合契約にもとづき分配される利益を含む)の合計から、本社管理費等の約60億円を減じた値。原油価格想定はJCC50USD/bbl。
②カーボンニュートラル関連目標
・2030年度までに石油資源開発既存国内油ガス田等を活用したハブ&クラスター型CCS/CCUSモデル事業を立ち上げ
・2030年度までに自社操業におけるGHG排出原単位を2019年度比40%削減
3) 資金配分
・キャッシュイン5,000億円のうち、4,500億円を成長投資に、500億円を株主還元に配分
4)分野別事業利益目標と重点項目
①E&P分野
早期の収益規模拡大へ貢献しつつ、低炭素化へも対応
・事業利益目標:2026年度に230億円、2030年度に270億円
・重点項目
国内:既存油ガス田における石油・天然ガスの安定生産、既存油ガス田および周辺の追加開発、
油ガス生産操業拠点のGHG排出量削減対応
海外:既存プロジェクトの着実な遂行、新規権益取得
②インフラ・ユーティリティ分野
油価変動等の外部環境の変化に耐えうる事業構造への移行
・事業利益目標:2026年度に120億円、2030年度に270億円
・重点項目
国内:ガス供給量の維持・拡大、FGP発電所の安定運転継続、再生可能エネルギー開発中案件の
着実な進捗と参入案件追加
海外:LNG供給インフラ開発案件への参入、再生可能エネルギー参入検討
(注)FGP:福島天然ガス発電所を運営する、福島ガス発電株式会社(石油資源開発33%出資)の略
③カーボンニュートラル分野
2050年カーボンニュートラル社会への円滑な移行に貢献
・事業利益目標:2026年度に10億円、2030年度に20億円
・重点項目
国内:既存油ガス田等を活用したハブ&クラスター型CCS/CCUSモデル事業立ち上げ等
海外:CCS先進地域での案件参入、新興国におけるCCS/CCUS実現可能性調査への参加
5) 株主還元
2023年3月期中間・期末配当から、連結配当性向30%を目安に各期の業績に応じた配当を行うことを基本方針としつつ、事業環境の変化等により一時的に業績が悪化した場合でも、一株当たり年間50円配当の維持に努めます。(ただし、特別損益等の特殊要因により親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する事業年度については、その影響を考慮し配当額を決定します。)
上記を踏まえ、2023年度には、持続的な成長と中長期的な企業価値向上への取り組みを加速するために以下の整理を行いました。
・ROEは東証プライム平均値を上回る水準で推移していることから、PBR1倍未達の主たる要因は平均を下回るPERにあると分析
・低PERの原因として、脱炭素社会に向けた石油・天然ガス事業の持続可能性や、原油・天然ガス価格のボラティリティ等の構造的要因に加え、石油資源開発の企業価値向上に向けた取り組みに対する理解・信認が得られていないことも一因と認識
・企業価値向上に向けた今後の方針を「資本効率にこだわった投資」「株主還元の充実」「継続的なステークホルダーとの対話」の3点に整理
石油資源開発は、「JAPEX2050」及び「JAPEX経営計画2022-2030」の着実な遂行により、2050年カーボンニュートラル社会実現への貢献と、総合エネルギー企業としての成長と企業価値のさらなる向上を引き続き目指してまいります。
以下には、石油資源開発グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主な事項を記載しております。石油資源開発グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針であります。
石油資源開発では、経営リスク委員会をはじめとした各種社内委員会を用いてリスクの管理を行っていますが、詳細については前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 <リスク管理>」及び後記「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項(リスク管理体制の整備の状況)」をご参照ください。
以下のリスクは、影響度と蓋然性の観点から抽出・分析し、管理しております。なお、各リスクは、経営リスク委員会及び取締役会での議論を経て、石油資源開発が主要なリスクとして判断したリスクであり、以下に記載していないリスクにより、石油資源開発グループの経営成績及び財政状態等が影響を受ける可能性があります。また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は提出日現在において石油資源開発が判断したものであります。
1 商品市況及び為替に関するリスク
(1) 原油・天然ガス価格の変動リスク
石油資源開発グループは、国内外でE&P事業と国内においてインフラ・ユーティリティ事業を行っており、その売上高や営業利益は、原油価格や天然ガス価格の変動により大きな影響を受けます。例えば、原油価格や天然ガス価格の変動リスクを低減するため、商品スワップ取引等により対策を一部講じておりますが、当該リスクを完全に回避するものではありません。
例えば、石油資源開発の2025年3月期の営業利益は、油価が1米ドル/バレル増減すると620百万円増減すると試算しております。この増減額には、原油価格にリンクしているLNGの調達コストの増減及びそれによる国内天然ガスと電力の販売価格の増減による影響等を含みます。但し、実際の営業利益は上記以外の様々な要因によっても影響を受けます。
さらに、原油、天然ガス等の中長期的な想定販売価格の引き下げ等を理由としてその時点における事業用資産の帳簿価額を将来の収益から回収できない見込みとなった場合には、当該資産について減損損失を計上することとなるため、石油資源開発グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替の変動リスク
石油資源開発グループが国内で生産する原油や天然ガスは、原油やLNGの通関価格(CIF価格)を参照した円建てで販売するため、米ドル・円のレートの変動は、売上高や営業利益等に影響を与えます。また、輸入LNGを原料とした天然ガス及び輸入LNGを燃料とした電力の国内販売価格にも影響を与えますが、仕入れ価格も同様の影響を受けます。為替予約等により為替変動リスクを低減する対策を一部講じておりますが、当該リスクを完全に回避するものではありません。
石油資源開発の2025年3月期の営業利益は、為替が1円/米ドル増減すると580百万円増減すると見込んでおります。
2 事業に関するリスク
1.E&P事業
(1) E&P事業投資(探鉱投資、開発投資等)に関するリスク
石油資源開発によるE&P事業の一般的な特徴として、以下のような投資に関するリスクがあります。
① 探鉱投資に関するリスク
探鉱活動においては、まずは対象地域の地質状況や地層の分析、物理探査などで地質構造を把握し、有望と評価された場合に試掘を行い油ガス層の広がりや資源量を確認します。しかし、近年の発達した探査技術によっても地質的な不確実性を排除することはできず、期待した規模の原油、天然ガスを必ずしも発見できるとは限らないため、探鉱活動の不成功によりそれまでに投じた支出の回収ができず、投資損失が発生する可能性があります。
② 開発投資に関するリスク
油・ガス田の開発移行にあたっては、探鉱活動により得られた資源量の見込みや、それを経済的に生産するための坑井、生産・輸送設備等の建設費及び操業費、生産物の販売価格等の見込みといったその時点で得られる様々な情報、想定に基づき合理的に最終投資決定を行うよう努めています。しかし、その後に行う詳細な技術検討による設備仕様の変更や、開発に必要な資機材やサービスの価格高騰、政府等による許認可手続きや掘削等の作業の遅延、生産段階における新たな地質的問題の発生や原油価格・天然ガス価格の下落といった様々な要因により、最終投資決定ができない、又は最終投資決定時の想定と比べて事業の収益性が低下することで、それまでに投じた支出の回収ができず、投資損失が発生する可能性があります。
③ 将来の廃鉱に関するリスク
石油資源開発グループが現在生産を行っている坑井及び鉱山等については、生産終了後に廃鉱作業を実施する必要があります。石油資源開発グループは、現在の見積りに基づく廃鉱に関連して発生する費用の現在価値を資産除去債務として計上しております。将来的に、廃鉱作業計画の変更や法令等の規制強化、又は資機材の高騰等により、当該見積り額が不足すると見込まれる場合には、資産除去債務額の積み増しが必要になり、石油資源開発グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、資産除去債務の詳細は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(資産除去債務関係)」をご参照ください。
④ 投資回収期間の長さによるリスク
E&P事業では、初期の基礎的な調査から掘さく作業を経て資源の発見に至るまでの探鉱段階及び資源の発見に至った後に開発井の掘さく、生産設備や輸送設備の建設等を伴う開発段階において、長い期間と多額の投資が必要となります。従って、事業に着手してから投資額を回収し、利益に寄与するまでに長いリードタイムを要するのが通例であり、この間、事業環境の変化により、投資額の増大(開発スケジュールの遅延に起因するものを含みます。)、需要の減少、販売単価の下落、操業費の増加、為替の変動等が発生し、事業の収益性が低下し、それまでに投じた支出の回収ができず、投資損失が発生する可能性があります。
⑤ 埋蔵量・生産量に関するリスク
E&P事業の維持発展には、継続的な鉱区権益の取得、探鉱、開発の取組みによって生産活動に伴い減少する埋蔵量・生産量を中長期的に補填・拡大していく必要がありますが、前記「① 探鉱投資に関するリスク」から「④ 投資回収期間の長さによるリスク」に掲げるリスクや後記の海外E&P事業に係るリスク及び気候変動に関するリスク等が存在するため、これらが成功しない場合には、将来的に埋蔵量・生産量が減少し、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
埋蔵量は、評価時点において既知の油・ガス層から地質的、工学的データに基づき経済的にも操業面からも今後確実に採取可能であろうと予測された油・ガスの地上状態での数量であり、今後新たに取得されるデータ等に基づく見直しや経済条件の変動及び国際的に認知された埋蔵量定義の変更等によって、上方にも下方にも修正される可能性があります。詳細は後記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④石油資源開発グループの埋蔵量」をご参照ください。
(2) 海外E&P事業投資に特有のリスク
海外E&P事業には、前記「(1) E&P事業投資(探鉱投資、開発投資等)に関するリスク」に加えて、一般的な傾向としてカントリーリスクがあります。海外E&P事業の一部はカントリーリスクの相対的に高い地域で実施されることがあり、これらの国々の政治・経済・社会的な混乱(治安の著しい悪化を含みます。)、法制や税制もしくは政策等の変更が、石油資源開発グループの海外事業の円滑な遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な海外プロジェクトに関しては、経営リスク委員会において各所在国において懸念される当該リスクについて評価、管理しております。
(3) 海外E&P事業の主な個別プロジェクトに係るリスク
① イラク ガラフ油田開発プロジェクト
石油資源開発は、連結子会社㈱ジャペックスガラフへの出資を通じて(2024年3月期末の出資比率 55.00%)、イラク共和国南部におけるガラフ油田開発生産プロジェクトに参画し(同社参加比率30%、資金負担比率40%)、オペレーターであるPETRONAS Carigali Iraq Holding B.V.(ペトロナス社の子会社)と共同で開発事業を推進しております。
2013年8月に生産を開始し、現在、原油増産に向けて最終開発計画に基づき、引き取り原油の販売収入を設備投資に充当しながら追加開発作業を進めております。
同プロジェクトにおいては、同国の政治・社会・治安状況等の悪化や石油輸出国機構(OPEC)による協調減産の合意等により、生産量・販売量や売上高・営業利益が減少する可能性があります。また、コストの増加や開発スケジュールの遅延又は生産量の減少が生じた場合等には、設備投資に充当する原油販売収入が不足し、同社に対する石油資源開発資金負担額が増加する可能性があります。
② ロシア サハリン1プロジェクト
石油資源開発は、サハリン石油ガス開発㈱への出資を通じて(2024年3月期末の出資比率 15.29%)、ロシア・サハリン島沖合における原油・天然ガス開発事業(サハリン1プロジェクト)に参画しております。
サハリン1プロジェクトにおける原油・ガスの生産販売にあたっては、上記「1 商品市況及び為替に関するリスク(1)原油・天然ガス価格の変動リスク」に記載のとおり、その営業利益は、原油価格や天然ガス価格の変動により大きな影響を受けます。サハリン石油ガス開発㈱は石油資源開発の重要な関連会社であり、当該要因により同社の利益が大きく減少した場合には、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ウクライナ情勢が緊迫化する中、ロシア連邦政府により新会社が設立され、生産物分与契約に基づく全ての権利義務は新会社に承継されました。サハリン石油ガス開発㈱は、ロシア連邦政府から権益比率に応じた新会社の持分引き受けの許可を得ております。ロシアに対する経済制裁の影響により長期にわたる事業活動への制約が生じた場合には、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.インフラ・ユーティリティ事業
(1) 天然ガス販売等に関するリスク
石油資源開発は、E&P事業における諸リスクの影響を緩和する観点からインフラ・ユーティリティ事業の一部として天然ガス取扱量の拡大に取り組んでおります。既存の天然ガスパイプライン等を活用した需要開拓やパイプライン沿線外でのタンクローリー等を利用したLNGサテライト供給による需要開拓等に積極的に取り組んでいるものの、少子高齢化に伴う人口減や、需要家の設備稼働率の低下、他社との競合関係激化等を要因として、既存の天然ガス取扱数量(第三者からの託送供給量を含む)の減少、新規需要開拓の不調、又は販売単価の下落等により、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
石油資源開発は、将来の販売量見込みに基づき必要となるLNGについて、長期契約及びスポット契約を組み合わせること等により、調達の安定性と需要変動への柔軟性を両立する調達に努めておりますが、想定外の需要減少等が発生した場合には、スポットによる調達量の調整のみで対応できず、長期契約に基づくLNG数量に係る未達補償料の支払いや安値での転売等が必要となる可能性があります。
石油資源開発は、LNGの調達価格の変動を販売価格に適切に転嫁する等の対策を講じていますが、LNGの調達価格が短期的に上昇した場合には十分な転嫁が行えず、石油資源開発グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 天然ガス火力発電事業に関するリスク
石油資源開発は、福島県・相馬港における天然ガス火力発電事業の推進主体である福島ガス発電㈱に出資しており(2024年3月期末の出資比率33.30%)、出資比率相当の同社発電能力を利用した電力事業を行っております。
石油資源開発は、自社で引き取る電力の相当部分について小売電気事業者を中心とする複数の顧客と長期の販売契約を締結しておりますが、発電所設備トラブルによる代替電力の調達や、電源間の競合激化等により電力販売量の減少や販売単価の下落等が将来発生した場合には、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.事業全体
(1) 事故・災害等に関するリスク
石油資源開発グループでは、坑井の掘さく、原油や天然ガスの生産・輸送、LNGの貯蔵・気化・輸送等の操業に関して、設備(天然ガスパイプライン等)の健全性維持や、保安体制及びBCP(事業継続計画)を含む緊急時対応策の整備等に努めておりますが、操業上の事故や災害(異常気象・地震等の自然災害を含む)、疫病の蔓延(パンデミック)、犯罪やテロリズム(サイバーセキュリティに関するものを含む)の発生によって、人的・物的損害が発生したり油・ガス田等の操業ができなくなったりするリスクを完全に防止することはできません。損害保険契約を締結する等の対策を一部講じておりますが、こうした事態が発生した場合、その損害の全てが保険によりカバーされるわけではなく、また、直接的な損害だけでなく、販売の中断による収入の減少、石油資源開発が供給義務を負う販売先に対する損害賠償、土壌・大気・水質・海洋等の環境汚染による損害賠償、行政処分、社会的信用の低下といった副次的な損害をもたらす可能性があります。
(2) 新型コロナウイルス(COVID-19)等の感染症に関するリスク
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症による国内外の経済活動に対する影響は改善しつつあると捉えているものの、類似の又は新たな感染症の拡大に伴う対応(都市閉鎖、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置等)が生じた場合には、石油・天然ガス・電力の需要が減少し、さらには、原油価格・天然ガス価格・電力価格が下落する可能性があります。
(3) 気候変動に関するリスク
パリ協定の採択を受け、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められており、低炭素社会実現に向けた動きが加速しております。
石油資源開発は、気候変動対応の重要性を認識し、TCFD提言に基づいてガバナンス、事業戦略、リスク管理、排出量管理等の分野で必要な取組みを進めております。気候変動に関するリスクのうち、社会の低炭素化・脱炭素化への移行に伴うリスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)及び災害発生による物理的リスク(台風等の突発的な気象事象に伴う急性リスク及び海面上昇等の長期的な気候変化に伴う慢性リスク)が中長期的に顕在化することに伴い、各国において気候変動政策が強化され、炭素税を始めとする環境関連法規等が変更・新規導入された場合、国内外の石油・天然ガス需要の減少、販売価格の長期低迷及び追加的な費用負担等により事業価値が毀損される可能性があります。また、国際機関や国家間の取り決め等により、金融機関等からのE&P事業投資に係る資金調達や損害保険契約締結が難しくなる可能性があります。
(4) 新規案件獲得ならびに新規事業成立に関するリスク
石油資源開発では、「第2 事業の概況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2021年5月にカーボンニュートラル社会実現に向けて石油資源開発が果たすべき責務と取り組むべき課題、今後の自社対応及び事業展開の方向性を整理した「JAPEX2050」を公表し、2022年3月には、「JAPEX2050」で示した事業構造への移行を目指す中長期の経営計画として「JAPEX経営計画2022-2030」を公表しました。「JAPEX2050」及び「JAPEX経営計画2022-2030」では、事業基盤として、E&P分野、再生可能エネルギーの供給を中心としたインフラ・ユーティリティ分野、その他CCS(CO2の回収・貯留)/CCUS(CO2の回収・有効活用・貯留)に係るカーボンニュートラル分野に取組むことを掲げ、新規案件の獲得ならびに新規事業の組成を図っておりますが、かかる取組みにおいて新規案件獲得ならびに新規事業成立が進まない場合には、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) パートナーリスク
事業の遂行に多額の投資が必要となる、又は技術面等においてリスクが高い場合などには、資金・リスクの分散を目的に、石油資源開発単独ではなく他の企業をパートナーとした上で共同事業化しています。
共同事業にかかわる意思決定にあたっては、パートナーごとにその保有権益の多寡に応じた議決権が認められるのが一般的であり、石油資源開発としてマイナーシェアを保有するに留まる共同事業において、石油資源開発は支配的権限を有しません。そのため、事業上の決定等の場合において石油資源開発の意向が必ずしも反映されるとは限らず、これらが石油資源開発利益に沿わない形で実施された場合には、期待した収益を得られない可能性があります。また、一部パートナーが事業から撤退した場合等には、事業の円滑な実施に支障を来す可能性があります。
また、共同事業のパートナーが資金不足に陥った場合、石油資源開発は契約等に基づいて一時的に資金を肩代わりすることがあります。この場合、石油資源開発の資金負担が増加するほか、事業の進捗次第では石油資源開発の損失が拡大する可能性があります。
3 固有の法規について
(1) ガス事業、電気事業に係る法規
我が国のガス事業および電気事業においては、競争原理の導入を目指した小売自由化の一環として、累次の事業法改正が行われてきた経緯があり、今後も新たな制度改正が行われる可能性があります。こうした法制度の改正が行われた場合には、市場の活性化等による石油資源開発グループの事業拡大の機会となり得る一方で、追加的な義務の発生や競争の激化等により経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) その他石油資源開発グループ事業に係る固有法規
石油資源開発グループの事業は、その特性上、操業の過程で環境に対して様々な負荷を与え、また与える可能性があります。このため石油資源開発グループでは、鉱山保安法、高圧ガス保安法等の関連法令に基づいて、監督官庁からの許認可取得、届出、販売先への製品情報の提供等、必要な手続きについて適法かつ適正な処理を行っており、これまで重大な問題が発生したことはありません。但し、世界的な環境意識の高まりにより現行の法規制が強化された場合には、追加の設備・操業対策に係る費用の増加等により、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
4 ㈱INPEXの株価・業績変動に伴うリスクについて
石油資源開発は、2024年3月期末現在、㈱INPEX株式を4.24%保有しており、石油資源開発グループの当連結会計年度末の投資有価証券の残高180,415百万円のうち同社株式は125,091百万円となっております。同社株価・業績が変動した場合、石油資源開発グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5 国の保有する石油資源開発株式について
石油資源開発は、2003年12月、石油公団(当時)が保有していた石油資源開発株式の一部の売出しにより、東京証券取引所市場第一部に株式を上場しましたが、この結果、同公団の所有株式数の割合は、65.74%から49.94%に低下しました。
さらに、同公団が保有していた石油資源開発株式は、同公団の廃止に伴い、2005年4月1日付で国(経済産業大臣)に承継されるとともに、2007年6月15日を受渡期日とする株式売出しにより、当該保有株式のうち15.94%相当分が売却された結果、同大臣の所有株式数の割合は34.00%まで低下しました。その後、石油資源開発において、2021年11月から2022年8月までに自己株式を取得し、2022年9月に当該自己株式を消却した結果、同大臣の所有株式数の割合は35.79%に上昇しております。また、石油資源開発は、2023年11月10日開催の取締役会の決議に基づき、2023年11月13日から2024年8月30日までを取得期間として自己株式を取得中であり、その全数を2024年9月30日付で消却する予定です。当該消却により、同大臣の所有株式数の割合は、35.79%から上昇する見込みです。
同大臣が所有する株式は今後も売却される可能性があり、その時期、方法、数量等によっては、石油資源開発の株価に影響を及ぼす可能性があります。
6 コンプライアンス等について
石油資源開発グループが国内外で事業を行う上では、以下のような社会的責任を果たす必要があります。
① 法令遵守
会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、労働基準法、環境関連諸法、情報セキュリティ関連諸法、贈賄防止関連諸法や、鉱業法、ガス事業法等の各種業法を含む法令を遵守すること。
② 情報セキュリティ対策の実施
業務を遂行する上で収集される個人情報を含む秘密情報が漏洩したり目的外に利用されたりすることのないよう適切に管理すること。
③ 不公正取引の遮断
贈賄や反社会的勢力への利益供与といった不公正な取引を行わないこと。
④ 人権の尊重
サプライチェーン全体において、差別やハラスメント、強制労働や児童労働、先住民の権利への不当な干渉といった人権侵害を行わない、またはこれらに加担しないこと。
石油資源開発グループは、これらの社会的責任を果たすために、社内研修等を通して役職員のコンプライアンス意識・人権意識の向上に努めるほか、社内規程、委員会(後記「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」参照)を整備するとともに、社内監査、財務報告に係る内部統制システム等の必要な制度を構築しているものの、石油資源開発役職員による違法または不正な行為があった場合には、油・ガス田の生産操業の停止や訴訟費用の発生といった有形の損害に加え、社会的信用の失墜といった無形の損害が発生し、石油資源開発グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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