西松建設(1820)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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西松建設(1820)の株価チャート 西松建設(1820)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3 【事業の内容】 西松建設グループは、西松建設、子会社22社及び関連会社19社(うち持分法適用関連会社は2社)で構成され、建設事業、アセットバリューアッド事業及び地域環境ソリューション事業を主な事業内容としております。なお、当連結会計年度末後の2026年4月に、アセットバリューアッド事業本部と地域環境ソリューション事業本部を統合し、新たに環境・都市開発事業本部を設置しております。 西松建設グループの事業に係わる位置づけ及び報告セグメントとの関連は以下のとおりであります。 (建設事業(土木・建築・国際))・西松建設、連結子会社の泰国西松建設㈱他3社及び関連会社の㈱増永組他1社は、建設事業を営んでおります。西松建設はこれらの会社に工事の一部を発注することがあります。(アセットバリューアッド事業・地域環境ソリューション事業)・西松建設、連結子会社の西松地所㈱他4社、非連結子会社の嶋静商事㈱他3社及び関連会社の浜松中央西ビル㈱他2社は、不動産の販売・賃貸・管理・その他の事業を営んでおります。また、連結子会社の西松リアルエステート・デベロップメント(アジア)社他4社は海外において収益不動産への投資・その他の事業を行っております。・非連結子会社の新浦安駅前PFI㈱他1社及び関連会社の㈱徳島農林水産PFIサービス他11社は、PPP事業の主体企業であります。・連結子会社の山陽小野田グリーンエナジー㈱、非連結子会社の㈱サイテックファーム及び関連会社のエヌエナジー㈱他1社は、その他の事業を行っております。(その他の関係会社) ・その他関係会社の伊藤忠商事㈱と西松建設との間で、工事施工、資材調達、不動産開発・共同投資の取引がありま  す。  ≪事業の系統図≫

有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において西松建設グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針  西松建設は、企業理念として掲げた「価値ある建造物とサービスで安心して暮らせる持続可能な社会をつくる」を実 践するため、サステナビリティスローガン(基本方針)「みんなでつくる みんなが輝く」を策定しております。     この基本方針のもと、西松建設は、ひと、まち、自然を大切につなぎ、人々が活き活きできる場を創ることで「みんなが輝く社会」を実現してまいります。 西松建設は、インフラ老朽化、自然災害の激甚化および人口減少・高齢化等を受け、将来のありたい姿や役割・提供する価値について改めて見つめ直し、長期ビジョンを2026年5月、「西松-Vision 2035」に刷新いたしました。 「西松-Vision 2035」では、「強い事業ポートフォリオの構築」「人的資本経営による社員が創出する価値の最大化」「組織の筋肉質化による効率的経営」を3本柱とし、基盤事業(国内土木、国内建築)の事業規模・領域を一層拡大するとともに、次世代に向けた成長事業(国際、環境・都市開発)の基盤を構築することを中長期の企業戦略と位置付け、2035年度のありたい姿「魅力あるゼネコンNo.1」を目指してまいります。また、本戦略の推進にあたっては、M&Aを含めた積極的な成長投資が重要であると認識しており、これらの投資を確実に実行するため、財務健全性の更なる強化を図ってまいります。 この変革は、単なる事業規模の拡大ではなく、企業としての"質"を伴った"量"の拡大を追求するものです。エンゲージメントスコアの向上と一人当たり付加価値額の向上により、提供サービスの質を高め、その結果としてステークホルダーのエンゲージメントが向上します。この「エンゲージメントの発展的連鎖」により、顧客・株主・協力会社および入職者から「評価される企業」、「選ばれる企業」となることを目指し、持続的な成長と新たな中長期的企業価値の創出を実現してまいります。 (2) 「西松-Vision 2035」の全体像 2035年に目指す定量目標指標2025年実績2035年目標営業利益280億円650億円ROE(注)13.1%12%程度自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度一人当たり付加価値額20.7百万円35百万円以上社員エンゲージメントスコア3.764.00以上 (注)2025年度は政策保有株式の売却を期首の計画以上に進めたことにより、特別利益(投資有価証券売却益)83億円を計上しました。この影響を除くとROEは約10.1%となります。 (3) 外部環境認識  建設業界を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えております。  ① 需要面における変化国内建設市場は、2030年度までは公共投資の増加、維持・修繕需要の拡大により堅調に推移する見込みですが、長期的には新設需要の減少により先行き不透明感が増しております。一方で、海外市場、都市開発、再生可能エネルギー、インフラ運営等の建設周辺市場は高い成長が期待されます。    ② リソース面における課題 労働規制の強化と就労人口の減少により、担い手不足が深刻化しております。 (4) 西松建設の強みと役割このような外部環境において、西松建設は創業以来培ってきた「現場力」という強みを最大限に発揮してまいります。現場力とは、粘り強さ、堅実・誠実さ、まとめ上げる力といった「西松らしさ」そのものであり、これを活かして多様なステークホルダーを巻き込み、社会課題の解決に、より広く・深く・永く貢献することが、西松建設の役割であると認識しております。 (5) 中長期の企業戦略(3本柱) ① 強い事業ポートフォリオの構築基盤事業である国内建設事業の更なる拡大を図りながら、次世代成長基盤となる国際事業、環境・都市開発事業への積極投資を加速させてまいります。2035年度には、国際、環境・都市開発、領域拡大の営業利益構成比を35%以上(2025年度:18.1%)へと引き上げ、強靭な収益構造を構築いたします。 ② 人的資本経営による社員が創出する価値の最大化「エンゲージメントの発展的連鎖」の起点となる社員エンゲージメントスコアが向上することで、ステークホルダーのエンゲージメント向上を実現してまいります。具体的には、活躍・貢献に応じた適切な評価・処遇制度の導入、挑戦を奨励する風土の醸成、全社・横断視点での最適な人財配置を推進し、社員エンゲージメントスコアを2025年度の3.76から2035年度には4.00以上へ向上させます。 ③ 組織の筋肉質化による効率的経営 DX推進、AI活用推進による労働時間削減、現場人員配置見直し、業務効率化等を通じて生産性を向上させます。並行して、管理部門の業務・人財のスリム化、生産現場への再配置等、全社・横断視点で人員配置・組織の最適化を図り、一人当たり付加価値額を2025年度対比で約2倍の35百万円以上へと引き上げてまいります。 (6) 対処すべき事業上及び財務上の課題(中期経営計画2028と計画達成に向けた課題と取り組み)西松建設を取り巻く環境は、インフラの老朽化や都市機能の衰退、自然災害の激甚化など、社会課題が一層深刻化する一方で、国・地方ともに人手及び財源の制約が強まっています。建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに増加傾向にあります。一方で、労務需給逼迫の影響や中東情勢をはじめとする国際情勢の動向は先行き不透明であり、経済環境は不確実性の高い状況が続いています。原油価格の変動に加え、建設資機材の価格や供給制約、エネルギーコストの動向等をはじめ、潜在的リスクを含め西松建設グループの事業環境に影響を及ぼす可能性が懸念されます。 また、金利上昇を背景とした金融環境の変化やインフレの進行、賃上げの動きを受け、労務費や外注費をはじめとする建設コスト全般の増加及びこれらの環境変化は民間建設投資の動向にも影響を及ぼす可能性があります。 今後、国内建設市場は2030年頃までは拡大が見込まれるものの、その後は人口減少や担い手不足の加速により、先行き不透明な事業環境が続くものと想定されます。 このような事業環境のもと、長期ビジョンを「西松-Vision 2035」に刷新するとともに、「中期経営計画2028」を策定いたしました。 「中期経営計画2028」では、基本方針として、「積極的な投資・M&Aによる新たな収益基盤の創出」「人財の確保・育成・活躍を促進する仕組みづくり」「DXによる全社効率化」「AIによる効率的組織への変革」を掲げております。この基本方針のもと、基盤である国内建設事業を強化・拡大しつつ、将来の収益柱となり得る事業への投資を加速させるほか、人財マネジメントや全社効率化を推進し、持続的成長に向けた土台を整備してまいります。「中期経営計画2028」における計画や主な取り組みは以下のとおりです。 ① 業績及び財務指標(連結)指標2025年度実績2028年度計画売上高3,960億円5,000億円営業利益280億円350億円資本効率ROE13.1%11%程度財務健全性自己資本比率28.4%35%程度D/Eレシオ1.19倍1.0倍程度株主還元配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当自己資本配当率(DOE)5%程度の安定配当 ② 財務計画事業の稼ぐ力の強化と、資産の戦略的な入替えによって生まれたキャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分してまいります。不動産・政策保有株式の売却により資産を圧縮し、事業領域の拡大とそれらを支える人財開発、技術開発・DX・AIへ積極的な投資・M&Aを実施します。最適な資本構成と資金調達能力を維持しながら、成長投資による収益の拡大によって資本効率を最大化していきます。 キャッシュアロケーション(2026年度~2028年度 3年間累計)キャッシュインキャッシュアウト事業活動による キャッシュ創出650億円成長投資・M&A 成長領域 GX・まちづくり 都市開発 人財(費用性投資) 技術・DX・AI(費用性投資) 成長投資・M&A 合計 費用性投資 成長投資・M&A 改計 200億円300億円1,000億円 60億円100億円1,660億円 △160億円1,500億円不動産の売却1,000億円株主還元(DOE5%程度)300億円政策保有株式の売却150億円 ③ 投資計画 2026年度から2028年度の3年間で、総額1,660億円(NET660億円)のM&Aを含む成長投資を実行いたします。 成長投資・M&A投資分類投資方針2026~2028年度成長領域建設事業の更なる事業領域・規模拡大建設事業以外の成長領域への投資200億円GX・まちづくり環境に優しく、住みやすいまちづくりの推進300億円都市開発高採算物件への入替による収益力・インフレ耐性・資本効率向上1,000億円(売却による回収△1,000億円)人財事業拡大を支える多様な人財の獲得・育成・エンゲージメント向上60億円(費用性投資)技術開発・DX・AI生産性向上・革新的な技術を活用した価値創出100億円(費用性投資)総額1,660億円(NET 660億円) ④ 事業戦略  土木事業 2028年度目標:営業利益 123億円 (2025年度実績 91億円)環境認識国土強靭化、防災減災ニーズの高まりによる市場拡大維持・修繕需要の高まり資材価格高騰、労働力不足の深刻化課  題成長領域、領域拡大への対応技術開発の更なる推進、要素技術を用いた受注の拡大受注拡大に向けた応札体制、施工体制の整備重点施策トンネル、シールド、ダム、リニューアル工事の取組み強化トンネル他自動化施工に向けた技術開発・改良、床版取替え技術開発、DB(設計施工一括発注方式)・ECI(設計段階から施工者が関与する発注方式)への取組み推進応札部門の人員増強・育成、外部連携の推進、若手/再雇用所長の活躍推進、生産性向上に資する現場運営・DX、協力会社の確保   建築事業 2028年度目標:営業利益 169億円 (2025年度実績 137億円)環境認識労務不足、建設コストの上昇データセンター、冷凍冷蔵倉庫等の需要の高まり課  題ポートフォリオの再構築事業規模拡大に必要な人財の育成・確保現場職員一人当たり利益の向上重点施策メーカー顧客の拡大、事務所、データセンター、物流施設等への注力次世代所長の早期育成、スペシャリスト育成、設備職員の育成・確保、キャリア採用の強化、リテンション強化フロントローディング部門強化、BIM活用・DXの協力推進、現場業務改革(標準化・効率化・外注化)   国際事業 2028年度目標:営業利益 黒字化 (2025年度実績 △23億円)環境認識(土木)シンガポール、フィリピン、バングラデシュのインフラ整備市場・    リニューアル市場は拡大(建築)タイの市場成長は見込まれるが、日系企業は国内回帰の動きにより 減少傾向、外資企業や現地企業からの発注案件は競争環境激化課  題(土木)収益改善・安定化、人財の確保・育成(建築)ポートフォリオ改革、利益率・収益性の改善重点施策(土木)施工体制の早期構築、遅延要因の情報収集・早期交渉    次世代幹部の育成、若手職員の早期抜擢、現地人財主体の組織構築(建築)外資生産工場の比率拡大、成長領域(食品・消費財・電子部品・ DC等)の拡大、営繕・改修案件の獲得強化、現地人財の活躍推進(共通)環境・都市開発事業との連携による海外における建設ニーズの創出   環境・都市開発事業 2028年度目標:営業利益 58億円 (2025年度実績 69億円)環境認識不動産マーケットは堅調、建設コスト高騰により事業性確保が厳しい状況再生可能エネルギーや資源循環、インフラ分野は市場拡大が見込まれるが、制度や市場環境の変化が大きく、収益性や継続性の確保が困難課  題資産ポートフォリオの収益性向上、資産入替による資本効率の向上海外や新規分野など事業機会の創出、事業開発スキルの獲得重点施策高付加価値型事業の組成に注力、インフレに強い分野・用途のアセットに取組み注力、投下資金の収益性・効率性を向上収益性・成長性のある海外再エネ・PPP案件の強化、経験豊富なパートナー企業との共同事業参画を通じた事業ノウハウの獲得 ⑤ 機能戦略  人財戦略 2028年度目標:社員エンゲージメントスコア 3.80課  題多様な人財の活躍を最大化する人財ポートフォリオの構築社員が能力と挑戦意識を最大限発揮できる企業文化の醸成重点施策経営戦略・事業戦略と連動した人財配置、適財適所配置を実現するタレントマネジメントの拡充、ターゲットを明確化した採用活動、キャリア採用体制の強化キャリアの多様化、キャリア選択と学びの機会提供、対話機会の拡充と定着、Well-beingの推進、活躍貢献を促す評価処遇制度   技術戦略 2028年度目標:一人当たり出来高 1.11倍(2024年度比)       :AI活用により管理部門の20%人員創出       :新たな価値につながる技術の事業適用 6件課  題技術とDX、人とAIによる生産性向上サステナブルな社会の実現に寄与する新たな価値の創出重点施策技術開発による施工の効率化・自動化推進、基幹業務システムを活用した業務プロセスの効率化、生成AI活用促進とAI市民開発による業務効率化公共インフラのリニューアルによる価値向上、木造建築や環境配慮型材料などによる新価値創出、地域課題解決による新価値創出 ⑥ 目指す未来 ~魅力あるゼネコンNo.1へ~2035年、西松建設は「魅力あるゼネコンNo.1」として、ステークホルダーの皆様から評価され、選ばれる企業になっていることを目指しております。 社員一人ひとりが自律的にキャリアを描き、挑戦し、成長実感を得られる環境。 多様な人財が協働し、現場力を最大限に発揮できる組織。それらから創造される価値が、社員、お客様、協力会社、株主・投資家、地域社会といったステークホルダーの皆様のエンゲージメントの向上と社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会づくりに繋がっていく──。 このような発展的連鎖を実現することで、西松建設が持続的に成長し、新たな中長期的企業価値を創出していく未来を描いております。  「西松-Vision2035」「中期経営計画2028」につきましては、西松建設ウェブサイトに掲載しておりますので、併せてご参照ください。

事業等のリスク

3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が西松建設グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。全社的リスク管理プロセス(ERM)として、サステナビリティ戦略会議において、長期視点に立ったリスクおよび事業活動におけるリスクの管理を行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において西松建設グループが判断したものであります。 (1) 長期視点に立ったリスク長期視点に立ったリスクは、持続的な企業価値向上を目指し、中長期的なスパンにおいてバックキャストの視点でリスクマネジメントが必要な、企業レベルの重要リスクとして捉えております。サステナビリティスローガン(基本方針)やマテリアリティ等にもとづき、成長におよぼす影響度と発現時期の観点から評価した6項目と気候変動リスクを併せた下記7項目について、シナリオ分析をした上で対応方針を策定し、モニタリングしています。 ① 人財リスク(技術者不足)国内の生産年齢人口の減少に伴う西松建設グループの基幹である土木および建築分野の技術者不足は、将来の事業継続および成長に支障をきたす大きな可能性があります。よって、技術者の人数や能力の充足状況、技術革新による生産性向上、離職率や採用動向、技術継承の進捗などを中心に対応方針に基づき施策の効果をモニタリングし、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ② 人財リスク(所長候補人財の不足)年代別の従業員構成比率の不均衡や価値観の変化などに伴う所長候補人財不足は、将来の事業継続および成長へ支障をきたす大きな可能性があります。よって、事業戦略に基づく現場所長の要員数に対する候補者の充足、所長候補者世代の人数および能力の充足、所長職の魅力向上などを中心に対応方針に基づき施策の効果をモニタリングし、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ③ 建設業担い手不足のリスク生産年齢人口の減少や建設業界の入職者の減少に伴う業界内の下請け構造の変化は、労務費の上昇や事業活動に不可欠な協力会社の確保に困難をきたす大きな可能性があります。よって、建設労働者数、サブコンおよび協力会社数、Nネット会員企業の状況、同業他社の動向等を中心にモニタリングを継続しながら必要な施策を検討および実行します。 ④ 業界再編リスク昨今の建設業界を取り巻く業界再編の動きは、経営戦略および事業戦略の遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。よって、本リスクについては、経営層による的確かつ迅速な対応のため、随時経営会議で業界動向などのモニタリングを行います。 ⑤ 技術開発リスク西松建設グループにおける技術開発や技術活用といった技術革新の遅れは、競争力の低下および受注の逸失による事業継続や成長への大きな影響を及ぼす可能性があります。よって、技術開発の進捗や社会のニーズへの適合、同業他社との優位性等を中心にモニタリングを行い、必要な場合はさらなる施策を講じていきます。 ⑥ 長期市場リスク国内の人口減少に伴う将来的な建設市場縮小は不可避であるため、西松建設グループが市場の変化に対応できない場合は、事業継続および成長に影響を及ぼす大きな可能性があります。よって、経済成長、建設投資額の動向、西松建設の得意分野における建設投資額の動向、社会のニーズや価値観の変化などについて、西松-Vision2035策定の前提条件と乖離が生じていないかモニタリングを行い、必要な場合は施策実行や前提条件の見直しなどを講じていきます。 ⑦ 気候変動リスク※気候変動リスクの詳細に関しては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」に記載のとおりです。 (2) 事業活動におけるリスク事業活動におけるリスクは、四半期ごとに個別リスクの管理状況のモニタリングと有効性評価を行います。個別リスクは影響度と発生可能性を3段階でリスクマップを用いて評価し、影響度については、財務、資産保全に関する定量的な指標、および業務継続に関する定性的な指標を社内で定めています。ただし、以下は多岐にわたる個別リスクを主要なリスクとして、一部集約して記載しています。 リスクマップの抜粋(○の番号はリスク項目に対応する個別リスクです) ① 資材価格及び労務費等の上昇リスク長期にわたる工事を受注する時点で将来の資材等調達価格を適切に予測することが困難な場合があるため、工期中に資材価格や調達の状況が大きく変わることがあります。これにより建設コストが大幅に増加することがありますが、当該建設コスト増加分を工事請負金額に反映させることができない場合には、受注時に計画していた工事損益が変動し、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、工事請負契約の締結にあたり、適正な価格、適正な工期で工事を実施できるよう、発注者に対して協議の申し入れを行っております。また、施工条件や資材価格動向の精査による物価変動リスクの定量評価、主要資材の早期調達等により、工事損益の確保に努めております。 ② 施工品質リスク工事目的物の品質管理には万全を期しておりますが、重大な欠陥が発生した場合には、顧客からの信頼を損なうことに加え、契約不適合責任に基づく損害賠償金の支払等により、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、各種の社内基準書に準拠した施工、品質パトロールの実施、社内組織を活用した施工管理検討の実施、契約不適合事例や不具合事例の全社水平展開、各種研修の実施等により、工事目的物の品質管理に努めております。 ③ 長時間労働に関するリスク長時間労働は、従業員の健康リスクを増大させるほか、エンゲージメントや生産性の低下および離職者の増加、さらには法令違反による行政指導を受けた場合の社会的信用の失墜など西松建設グループの事業遂行に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、2017年度以降、フレックスタイム制度や在宅勤務制度の導入、現場工務革新センターの設置による現場業務の見直し、具体的な時間外労働削減の取組の全社共有などを進め、段階的に36協定届出の時間を低減してまいりました。また、時間外労働状況の見える化システムによるリスク管理を徹底し、工事進捗状況などにより長時間労働リスクの高まった現場に対しては、人員の増強、支社・支店による支援強化などの対策を適時に講じております。 ④ コンプライアンスリスク 業務活動上の不祥事や重大なハラスメント行為は顧客や株主等の信頼を失い西松建設グループの業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、社外出身者を委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、内部通報を含む各種情報について審査、処分を含む措置を決定するとともに、必要な対策を展開しております。また、コンプライアンス意識を浸透させ企業文化に高めるため、幹部を始め全従業員に対してレベルごとの研修を毎年実施し、隔年毎のコンプライアンス意識調査により従業員の意識レベルを把握するとともに、部署ごとの具体的なコンプライアンスリスク管理状況を確認するため、毎年コンプライアンス監査を実施し効果の確認と新たなリスク抽出に努めております。 ⑤ 情報セキュリティリスク 西松建設グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しております。コンピュータウイルスその他の要因によって情報システムの機能に支障が生じた場合、西松建設グループの事業活動や業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、西松建設グループは、設計・施工をはじめとする事業活動を通じて構造物やお客様に関する情報、取引先の個人情報あるいは機密情報等を取り扱っております。これらの情報が外部からのサイバー攻撃(ランサムウェア、標的型メール等)や従業員の過失、内部不正等によって漏洩又は紛失した場合、損害賠償、復旧費用等の発生により、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、西松建設グループで情報セキュリティポリシーを定め、外部からの不正アクセス防止、コンピュータウイルス対策、クラウドサービス利用の可視化・制御、内部不正対策等の技術的対策、ならびに従業員の教育や標的型メール訓練の実施等の人的対策を通じて、情報セキュリティ対策の継続的な強化に努めております。 ⑥ 人財確保に関するリスク 事業活動に必要な専門性を持つ人財や、リーダーの確保と育成が推進できない場合には、経営計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため次の通り、人財の採用、育成、流出防止及び生産性向上に努めております。 採用は、少子化による新卒者数の減少を背景として、初任給の増額、現場勤務手当や若手社員の帰省旅費制度の創設など制度面の改定に加え、西松建設の魅力として評価されている「社員・社風の良さ」を体験してもらう機会としてのインターンシップや現場見学会の強化のためリクルーター制度などの新卒採用体制強化を図っております。また、アルムナイ採用やリファラル採用奨励を制度化したほか、各部門や支社支店の採用担当者と必要人財や求職応募者の情報共有を進め、全社的なキャリア採用体制強化も図っています。 育成は、専門力や一般教養を含めた多様な能力獲得の機会整備、マネジメント能力・リーダーシップ能力の開発を目的とした社員研修カリキュラムの充実を進めております。人財の流出防止のため、対話の活性化による心理的安全性の高い職場風土の醸成や柔軟な働き方の促進等を行うことでエンゲージメントの向上を図っております。加えて、現場における生産性向上に向けて、デジタル技術活用による「スマート現場」の実現をはじめとする、デジタルトランスフォーメーションの推進を積極的に進めております。 ⑦ 労働災害リスク施工中に予期せぬ重大事故や労働災害が発生した場合には、顧客その他ステークホルダーからの信頼を損なうとともに西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のリスクに対応するため、過去事例の全社水平展開や定期的な現場パトロールのほか、西松建設職員や協力会社の職長・作業員に対する安全教育の継続的な実施により、労働災害を未然に防止するよう努めております。 ⑧ 事業環境の変化に関するリスク(市場)景気悪化等による建設需要の減少や不動産市場の縮小等、西松建設事業に係る著しい環境変化が生じた場合には、建設工事受注高の減少や不動産販売事業・賃貸事業の低迷など、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、西松建設グループは、長期ビジョン「西松-Vision2035」や「中期経営計画2028」を策定し、事業活動に取り組んでおります。また、計画時の想定を上回る事業環境の変化が生じた場合には、適宜計画の見直しを行い、業績等に与える影響の低減に取り組んでおります。 ⑨ 開発事業・投資リスク(自社開発、投資)不動産市況の悪化により出口戦略が予定どおり遂行されない場合の事業計画の変更や投資先の業績悪化等に伴う採算の悪化など、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、事業管理体制の確立、プロジェクトリスク評価の実施、事業計画の適時見直し、代替出口戦略の確保等により、業績への影響を低減させるよう努めております。新規事業は、経験者・専門家・第三者の意見を取り入れリスク項目を抽出し、最大リスクを考慮した感度分析を実施して、そのリスクに対応していきます。 ⑩ 自然災害・感染症リスク大規模な地震や台風・洪水等の自然災害は、施工中案件の被災、工程遅延、自社所有建物等への被害等、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の拡大により、西松建設および協力会社の職員の感染症患者が多数発生した場合には、感染拡大防止措置に伴う工程遅延や工事中断による工事損益の変動等、西松建設グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、事業継続計画(BCP)の策定及び定期的なBCP訓練の実施により、建設会社の社会的責任としてインフラ復旧工事に積極的に協力し、被災地の復旧・支援やお客様の事業の早期再開に貢献できるよう努めております。また、自然災害に備え、施工中案件においてはリスクに応じて建設工事保険を、自社所有建物等においては損害保険等を付保し損害低減策を講じております。 ⑪ 海外事業リスク(カントリーリスク、市場、戦略)西松建設グループは東南アジア・南西アジアを中心に海外事業を展開しているため、進出国におけるテロの発生や政治経済情勢の変動、法制度の変更等があった場合には、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、進出国における外資企業の活動制限、日系企業の投資状況等による発注量の伸び悩み等により受注量が変動し、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 上記のカントリーリスクに対応するため、外務省海外安全ホームページによる危険度レベルの定期的な確認や、「リスク確認チェックシート」によるカントリーリスクの定期的な評価や「海外危機管理マニュアル」の周知等により、事業継続や工事への悪影響を最小限に抑えるよう努めております。また、海外建築事業に関しては、日系企業投資が鈍化する中でより事業を安定化させるため、これまでの日系工場案件中心の取り組みから、現地・外資系案件の取り組みを拡大することで入札機会を増やすとともに、アセットバリューアッド事業との連携を強化します。運営体制のローカル化により価格競争力を高め、戦略的な受注を目指します。 ⑫ 為替変動リスク為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、西松建設グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。上記のリスクに対応するため、海外工事では原則、工事取下金と工事支出金の通貨を合致させることで為替リスクを回避し、為替レート毎の為替差損益の試算を行い、外貨残高の適正な管理を行います。国内工事では海外より資機材の調達を行う際には、為替予約等を検討することで、業績への影響を低減させるよう努めております。



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