五洋建設(1893)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】五洋建設グループは、五洋建設、子会社32社及び関連会社8社で構成され、国内土木事業、国内建築事業、海外建設事業及びこれらに関連する建設資材の販売、機器リース並びに国内開発事業、造船事業等の事業活動を展開している。五洋建設グループの事業に関わる位置付け及びセグメント情報との関連は、次のとおりである。なお、これらはセグメント情報に記載された区分と同一である。(1) 国内土木事業 五洋建設及び連結子会社である五栄土木㈱、洋伸建設㈱等が営んでおり、五洋建設は工事の一部をこれらの連結子会社に発注している。(2) 国内建築事業 五洋建設及び連結子会社であるペンタビルダーズ㈱が営んでおり、五洋建設は工事の一部を連結子会社に発注している。(3) 海外建設事業 五洋建設及び連結子会社であるUG M&E社等が営んでおり、五洋建設は工事の一部をこれらの連結子会社に発注している。また、連結子会社であるアンドロメダ・ファイブ社及びカシオペア・ファイブ社が大型自航式浚渫船の賃貸・運航管理を営んでいる。(4) その他 五洋建設が不動産の自主開発、販売及び賃貸等の開発事業を営んでおり、連結子会社に対して、土地・建物の賃貸を行っている。また、連結子会社である警固屋船渠㈱が造船事業を営んでいる。連結子会社であるペンタテクノサービス㈱が事務機器等のリース事業を営んでおり、五洋建設に事務機器等の一部をリースしている。このほか、連結子会社であるジャイワット㈱等が環境関連事業を営んでいる。 事業の系統図は次のとおりである。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において五洋建設グループ(五洋建設及び連結子会社)が判断したものであるが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について、五洋建設が保証するものではない。 (1) 会社の経営の基本方針五洋建設グループは、すべての事業活動、企業活動のよりどころとなるものとして「経営理念」、サステナビリティ経営の「ビジョン」及び「マテリアリティ」、そして「行動規範」からなる理念体系を定めています。 「経営理念」『社会との共感』 『豊かな環境の創造』 『進取の精神の実践』 「ビジョン」サステナビリティ経営を実践し、建設の未来を切り拓く 真のグローバル・ゼネラルコントラクター~サステナブルな建設事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献する 「行動規範」1.誠実な企業活動2.人間尊重、社会・環境との共生1)法令等の遵守1)人権の尊重2)公正な競争と適正な取引2)DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進3)取引先とのパートナーシップ推進と持続可能なサプライチェーンの構築 3)安全・安心な職場環境づくり4)適正な会計処理・納税4)良質な社会インフラ・建築物の建設5)情報・資産の適切な管理と使用5)気候変動問題への取り組み6)贈収賄・腐敗行為の防止6)環境の保全と創造7)反社会的行為の根絶7)ステークホルダーとのコミュニケーション、会社情報の適切な開示8)リスクマネジメント8)地域社会への貢献 (2) 目標とする経営指標五洋建設グループは、上記の経営理念、ビジョンの実現を目指し、企業価値の向上を図るため、3か年を期間とする中期経営計画を策定しております。その中で、本業収益力を示す営業利益や株主価値を示す1株当たり当期純利益などの業績指標、財務の健全性を表す有利子負債残高、D/Eレシオ(ネット)などの経営指標とともに、自己資本利益率(ROE)と総還元性向を株主価値向上への取組みを明確化するための目標数値としております。中期経営計画(2026~2028年度)の最終年度である2028年度における主要数値の目標は次のとおりです。 ○中期経営計画の最終年度(2028年度)目標 (連結)売上高8,800億円 当期純利益380億円 有利子負債残高1,660億円 ROE10%以上(概ね16%超の見通し) 配当性向40%以上 総還元性向60%以上 2025年度実績中期経営計画(2026~2028年度)2028年度(計画)個別連結個別連結 業績目標 建設受注高8,511億円 7,800億円 売上高7,455億円7,943億円8,305億円8,800億円営業利益512億円553億円605億円635億円経常利益492億円532億円570億円585億円当期純利益316億円347億円370億円380億円1株当たり当期純利益114.5円125.6円143.5円147.4円 財務目標(連結) 有利子負債残高1,961億円1,660億円D/Eレシオ(ネット)0.6倍0.4倍自己資本利益率(ROE)18.7%16.7% 株主還元 配当性向38.1%40%以上総還元性向66.9%60%以上 (3) 中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題建設業を取り巻く環境は、世界的な資源・エネルギー及び建設資材の高騰・高止まりにより工事費の上昇が続いていますが、国内においては、国土強靱化や防衛力強化のための堅調な公共投資に加え、経済安全保障の観点からサプライチェーン強靱化のための国内生産拠点や物流施設、AIの進展によるデータセンターの建設需要の高まり、さらには省力化・カーボンニュートラル対応など旺盛な民間投資が見込まれます。海外においても、五洋建設の拠点であるシンガポールや香港、東南アジアでは引き続きインフラ需要は旺盛であり、質の高いインフラ輸出(ODA)による大型港湾工事も見込まれます。しかしながら、イラン情勢に起因する原油や原油由来の資材価格高騰、供給制約に注視する必要があります。以上のような見通しの下、2026年度を初年度とする「中期経営計画(2026~28年度)」を策定しました。新中期経営計画では、「サステナビリティ経営を実践し、建設の未来を切り拓く 真のグローバル・ゼネラルコントラクター」を目指します。そのため二つのEvolution(進化)に取り組みます。一つ目は「サステナビリティの取組みは現場から~協力会社・取引先のみなさまと、常にサステナビリティを考えた事業を展開します」、二つ目は「建設の未来を切り拓く~AIとロボティクスを活用したDXとGXを推進し、ワクワクする建設現場へと変革します」です。五洋建設グループは、これからも進取の精神で、サステナブルな建設事業活動の実践と新技術・新分野への挑戦をつづけることで、企業の持続的成長ならびに企業価値の向上につなげてまいります。「中期経営計画(2026~28年度)」では、豊富な手持工事の確実な進捗や旺盛な建設需要を確実に取り込むことで、本計画期間中に過去最高売上高と過去最高益を見込んでいます。 ■中期経営計画(2026~2028年度)● 目指す姿(ビジョン)サステナビリティ経営を実践し、建設の未来を切り拓く 真のグローバル・ゼネラルコントラクター~サステナブルな建設事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献する ● 目指す姿と基本戦略1. サステナビリティの取組みは現場から○ サステナビリティ経営を進化させる仕組みづくり○ マテリアリティ(重要課題)への取組み強化○ サステナビリティ情報開示の拡充 2. サステナブルな建設事業活動の実践○ 「良質な社会インフラ・建築物の建設」こそが最大の社会貢献○ 事業量の拡大を利益の拡大につなげるフロントローディング × 技術力 × リスクマネジメント力× 部門間連携 × 進取の精神 ○ AIとロボティクスを活用したDXの推進 3. 多様な人材が活躍する社会の実現○ DE&Iの推進 4.豊かな地球環境の創造○ 気候変動問題への対応○ ネイチャーポジティブの取組み○ 資源循環型社会の形成 5. 実効あるガバナンスの推進○ コーポレートガバナンス体制の見直し○ 株主との価値共有・中長期的企業価値向上 ● 投資計画◎ 成長投資として3年で1,000億円を計画○ 洋上風力関連投資: 700億円/3年(うち建造費670億円)・ 洋上風力関連作業船のラインアップ強化・ HLV(大型基礎施工船)、CLV(ケーブル敷設船)は2028年完成予定 新たにOCV(作業支援船)、FV(風車部材等運搬船)を追加で建造 (いずれも2028年度完成予定)・ 2029年度の事業本格化に向けて人員及び研究開発を強化 ○ DX、GX推進関連投資: 250億円/3年・ グローバルDXセンター(26年4月新設)主導でDX推進を強化・ 建設DX、ナレッジDX、経営DXを推進 (システム開発や作業船、建機のロボティクス、情報基盤整備等)・ GX推進に向けた取組みや研究開発を継続 ○ 人材関連投資: 約50億円/3年・ 従業員向け株式給付信託(J-ESOP)の導入、 従業員持株会の加入促進・インセンティブ強化、人材育成・研修の充実、自己啓発支援の強化 ● 財務計画○ 成長投資と株主還元に向けた資金の確保・ 完工高が高水準を維持 ⇒ 営業CFも高水準を維持・ 成長投資(洋上風力関連作業船やDX投資等)の資金確保・ 必要資金の確保と有利子負債残高の管理を強化 ⇒ 成長投資には計画的な社債発行による資金を充当 ⇒ 有利子負債はEBITDAの3倍程度に抑えて有効活用 ○ 増加する運転資本への対応・ 事業量の増加に伴い、期中の立替金も大きく増加 ⇒ 金利コストを意識したキャッシュフロー管理の徹底 ⇒ 金利高騰による支払利息の増加を出来る限り抑制・ 期中の一時的な資金需要にはコスト重視の調達で対応 ● 株主還元○ 株主還元の目標資本コストや株価を意識した経営実践のため、当中期経営計画(2026~28年度)の期間を、企業価値の向上を更に促進させる期間と位置づけ、積極的な株主還元を実施① 連結配当性向 40%以上(35%以上から引き上げ)② 自己株式取得額 300億円・ 従来計画(2025~27年の3年間で300億円)を1年延長 本中計期間中(2026~28年)に300億円実施・ 毎年度、中間期(下期)と決算期(翌年度上期)に、それぞれ約50億円の自己株式取得を実施予定 (年間の連結還元性向20%以上)
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】五洋建設グループの経営成績、株価及び財政状態などに影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において五洋建設グループが判断したものである。(1)市場のリスク公共投資の減少や国内外の景気後退による民間設備投資の減少などにより、建設投資が想定を超えて大幅に減少した場合には、競争環境や事業環境が大幅に変化し、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。 (2)取引先の信用リスク建設工事においては、一般的に一件の取引額が大きく、工事代金の多くの部分が引渡し時に支払われる場合が多いことから、発注者、協力業者、共同施工会社などが信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などにより、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、一定の基準を設けて取引先の与信審査を実施している。また、引き渡しから工事代金の回収までに要する期間が長期に及ぶリスクを検証し、社内基準に則り取締役会にて審議している。 (3)工事用資材価格、労務費などの変動工事用資材価格、労務費などが高騰した場合には、工事原価の上昇による利益率の低下により、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、早期調達や集中購買、価格動向の調査等を実施している。また、発注者との工事請負契約締結の際に物価スライド条項を適用するよう努めている。 (4)海外工事におけるカントリーリスク五洋建設グループは、東南アジアを中心として海外で事業を展開しているため、現地での予期しない法律や規制の変更、テロ・戦争・紛争の発生などにより、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。 上記のリスクに対応するため、進出国における法令や諸規則、政治経済、社会情勢などについて、現地の専門家等より定期的に情報を入手し研修を実施するなど、リスクの早期把握、未然防止に努めている。 (5)為替相場の変動(及び金利上昇リスク)外国通貨の急激な為替相場の変動または金利の上昇等により、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、為替変動による業績への影響を緩和することを目的として、主要通貨に関して先物為替予約等を活用して為替ヘッジを行っている。また、金利上昇リスクに対しては、金利の先高感を見越し、必要な中長期資金については早めの調達を行うことでリスク回避を図っている。短期資金については資金収支の精度を高めることで調達する運転資金を最低限に抑えることにより支払利息の低減を図っている。 (6)保有資産の時価変動等保有する棚卸不動産、有価証券などの時価の著しい下落や事業用の固定資産の収益性の著しい低下などが発生した場合には、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、資産の購入・売却に関する社内基準に則り取締役会にて審議している。また、政策保有株式は、銘柄ごとに保有目的、保有に伴う便益やリスク及び資本コストと見合っているか等について、毎年、取締役会にて具体的に検証し保有の適否を判断している。 (7)施工リスク(品質)契約不適合や瑕疵による多額の損害賠償や改修費用が発生した場合には、五洋建設グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、品質管理に万全を期すべく、国内外の各拠点において着工前のリスクアセスメントや品質パトロールを実施しリスク低減を図っている。 (8)施工リスク(安全衛生環境)工事の施工にあたり予期しない重大事故や労働災害などが発生した場合には、受注機会の喪失や工期遅延などにより、五洋建設グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、事故防止に万全を期すべく着工前のリスクアセスメントや安全衛生環境パトロールを実施しリスク低減を図っている。 (9)コンプライアンスリスク五洋建設グループの事業は、建設業法、宅地建物取引業法などによる法的規制を受けているが、万一これらに抵触する事象が発生した場合には、五洋建設グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会を中心に「コンプライアンス方針」に基づき、役職員の法令遵守はもとより、社会的規範・企業倫理を尊重し常に誠実な行動の徹底を図っている。 (10)情報リスク個人情報や機密情報の漏洩などの情報セキュリティ事故が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償の発生等により、五洋建設グループの業績や企業評価に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、情報管理規則を定めるとともに、外部専門家による情報セキュリティ診断をもとに情報セキュリティの強化を図っている。また、eラーニング等による情報教育を通じて情報管理技術・意識の向上に努めている。 (11)BCP、大規模災害リスク大規模地震、津波、感染症の大流行などが発生し、工事中の構造物の損傷や流失、保有資産やサプライチェーンの毀損などにより、工事中断や物件の引渡遅延等により多額の費用が発生した場合には、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、事業継続計画を策定しており、毎年大規模なBCP防災訓練と津波避難訓練を行うことにより発災時のリスクを最小限に抑制するよう努めている。 (12)気候変動に関するリスク気候変動問題に関する政策・規制強化により設備投資や資材調達コストが増加する移行リスクや、自然災害が激甚化・頻発化し、サプライチェーンの寸断や施工中の工事が被災することで工期遅延が発生するなどの物理的リスクが顕在化した場合には、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、2022年5月にTCFD提言への賛同を表明し、関連情報を開示するとともに、事業活動で排出するCO2削減やBCP体制の強化に努め、建物の省エネルギー化、洋上風力発電施設の建設などを通じて、脱炭素社会の実現に向けて貢献していく。 (13)人権に関するリスク配慮すべき人権が広範囲に及び、自社のみならずサプライチェーン全体における人権尊重に取り組む必要がある中で、人権問題への対応や未然防止を怠ることは、社会的信用の失墜、職場の生産性低下や離職者の増加など、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、2022年度から国際規範に則した形へ取組みを強化した。2023年度には代表取締役社長を委員長とする人権委員会の設置、人権方針の策定、人権相談窓口を新設し、社内(グループ会社、海外を含む)を対象とした人権モニタリングを開始した。2025年度は、五洋建設グループ、主な協力会社・資材納入会社を対象にモニタリングを実施し、調査結果に基づくリスクの予防・是正策、及びサプライチェーンへの展開を行った。今後も引き続き、モニタリング調査を随時実施し予防・是正を図るとともに、サプライチェーンについても人権デューデリジェンスの対象範囲を拡大し、リスクの低減を図っていく。 (14)人材確保・育成に関するリスク事業量の拡大を支えるのに必要な、専門性を持つ人材やリーダーの確保と育成ができない場合には、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、事業量の拡大を支える人材戦略として、多様な人材の確保に向けた、計画的な新卒採用、積極的なキャリア採用、再雇用希望者に対するジョブ・リターン制度等を実施している。また、国籍、性別、専門性を問わず、公正にいきいきと働ける職場環境の整備のためのDE&I諸施策を推進することにより、人材の定着を図っている。 (15)サイバーリスクサイバー攻撃(標的型メールやマルウェアによるウイルス感染、不正アクセス等)やシステム障害等による業務の遅延・停滞や事案への対応コスト等が発生した場合には、五洋建設グループの業績に影響を与える可能性がある。上記のリスクに対応するため、サイバー攻撃への対策として、高機能なウイルス対策ソフト(EDR)を、サーバーを含む全端末に導入しており、常時不審な動きがないかを監視する体制をとっている。また、システム障害への対策として、業績への影響を最小限にすべく、情報の重要性に応じて複数のバックアップ手段をとっている。 (16)地政学的リスク特定の地域における政治的・軍事的な緊張の高まりによって、五洋建設グループだけでなくサプライチェーンの海外駐在または出張中の従業員に直接的な危険をもたらす可能性がある。上記のリスクに対応するため、中国出張者については、反スパイ法を中心とした事前レクチャーを行っている。また、近隣国での軍事的有事の際の周辺工事従事者の安全確保なども検討する。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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