D&Mカンパニー(189a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


D&Mカンパニー(189a)の株価チャート D&Mカンパニー(189a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

D&Mカンパニーグループは、D&Mカンパニー及び連結子会社2社で構成されており、医療機関等に対する経営サポート事業を営んでおります。私たちの理念は「人の願いを叶える会社たる」であり、安心できる医療、穏やかな老後を暮らせる福祉、子供から老人まで全ての世代が夢を持って生きられる仕組みを創り、より素晴らしい社会・世界の実現に貢献することを追求しています。事業を構成する主要なサービスは①F&I(ファイナンス&インベストメント)、②C&Br(コンサルティング&ビジネスリノベーション)、③HR&OS(人材&アウトソーシング)の3つのサービスであり、複合的に医療機関等に提供することにより事業展開しております。D&Mカンパニーグループの特徴は、先ずはコンサルティングを行うことで、顧客の課題と問題点をあぶり出し、その解決策を実行するために、これら3つのサービスを融合して提供することであります。

 

事業系統図は次のとおりであります。

 


 

※社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会

 

  (1)F&Iサービス

         当サービスは、①診療・介護報酬債権等譲渡に基づく資金支援と②各種動産のリースで構成されております。

 

 診療・介護報酬債権等譲渡に基づく資金支援サービス

D&Mカンパニーは、診療・介護報酬債権等買取サービスを提供しています。医療機関・介護施設等(以下、「事業者等」という。)が、国民健康保険、社会保険及び介護保険(以下、総称して「保険者」という。)に対して有する債権について、既に医療・介護サービス提供が終了し、診療・介護報酬請求行為も終了した債権又は医療・介護サービス提供は完了しているものの、診療・介護報酬請求行為が未了の債権(以下、「確定債権」という。)及び、事業を継続することで将来発生する見込みの債権(以下、「将来債権」という。)のうち、あらかじめ定めた月あたりの買取債権金額分(以下、「月間買取金額」という。)を買取り、事業者等から手数料を受領しております。

毎月、保険者から、当該月の保険報酬総額がD&Mカンパニーに入金され、そこからD&Mカンパニーが買取った月間買取金額を控除します。この残金に加え、新たに将来債権の中から、1ヶ月分の月間買取金額を買取り、残金と合わせて事業者等に支払います。これらの債権買取を継続することで、事業者等の必要な資金を継続的に支援しております。一般的に、債権買取はすでに確定したものを買取るため、事業者等の資金需要に関係なく、確定債権(約2ヶ月)に限定されますが、D&Mカンパニーグループが抱える大手金融機関出身者や医療コンサルタントらの目利きと経験を活かすことで、事業者等が行う事業に地域インフラとして必要性や持続可能性があるか、また事業者等の再生が可能か等を見極め、積極的に将来債権を買取る点が、D&Mカンパニーの特徴です。

またD&Mカンパニーは、事業者等の資金需要に合わせて債権の買取月数を柔軟に設定するところに特徴があります。

D&Mカンパニーは、事業者等の資金需要状況に応じた形で債権の買取月数を検討しますので、顧客の経営改善に向けた資金需要の潜在ニーズにも柔軟に対応できることから、付加価値のある資金提供が可能となる点で顧客への訴求力があります。なお、2025年5月末時点での買取債権残高(7,441,156千円)に占める将来債権の割合は60.6%であります。

 


 


 

② 各種動産のリース

D&Mカンパニーグループは、事業者等の医療用機器等の導入に対して、リースサービスを提供しております。事業者等のリース利用に際しては、コンサルティングをベースとした経営のトータルサポートの一環として、導入当初の資金負担の軽減、費用の平準化、固定資産保有による事務負担の軽減等の効率化支援を目的として事業者等に適切な条件(導入物件・契約期間・決算内容など)を提案いたします。

 

    (2)C&Brサービス

         当サービスは経営診断、コスト削減コンサルティング等で構成されております。

 D&Mカンパニーグループは、主にD&Mカンパニーが診療・介護報酬債権等買取を行っている事業者等に対し、債権買取のみを行うのではなく、経営改善を目的としてコンサルティングを実施しております。規模や立地において、経営改善が相当困難な事業者においては、事業再生における「ハンズオン」に相当する経営サポートを行い、事業者等と同じ目線に立ち、コスト削減提案や種々の交渉等への積極的関与など業績改善を図るものです。

 具体的には、理事会等へのオブザーバーとしての参加、業績状況のチェックと改善策の進捗状況の確認、経費支払の権限整備や取引業者との価格交渉等に積極的に関与することなどです。

 なお、コンサルティングの内容は改善施策を実行するうえでの難易度に応じ、柔軟に対応しております。債権買取のみを行う事業者やコンサルティングのみを行う事業者は多くあり、個別にサービスを受けることも可能ですが、D&Mカンパニーグループでは、経営改善を行うために真に必要な改善策とそれを推進するための資金・人材・情報提供をワンストップで行うことで、顧客と二人三脚で早期の経営改善を目指せることが特徴であります。

 


 

    (3)HR&OSサービス

 当サービスは、①医療・介護事業者の、主に経営層や管理者人材の紹介、②医療・介護事業者の、主に事務系やヘルパー系人材派遣及び③医療・介護事業者からのアウトソーシングの受託で構成されております。

 

① 人材紹介

株式会社D&Mキャリアは、「職業安定法」に基づき有料職業紹介事業を行っております。

医療・介護業界への経営層や管理者・事務系業務の転職希望者に対して、自社が運営する登録サイト、インターネット広告、SNS発信等を通じて広く募集を行っており、これら転職希望者と求人事業者等とのマッチングを図るサービスを提供しております。ご紹介に際しては、コンサルタントが転職希望者のキャリアプランや希望条件等を伺うとともに、求人事業者等に対し求人像や採用条件等につきよくヒアリングを行い、両者にとって最良のマッチングをめざしています。そして採用が決定した際、求人事業者等より紹介手数料を受領いたします。

 また外国人人材を紹介した際は、受入れ先では外国人の生活支援も必要になります。この場合、外部への委託を行うケースが大半で、生活支援を受託する業者は登録支援機関であることが必要です。株式会社D&Mキャリアは、登録支援機関としての登録を受けていることから、外国人人材紹介に伴い多くのケースで生活支援の業務も受託しております。

D&Mカンパニーグループでは、特に診療・介護報酬債権等買取取引先においては、コンサルティングや経営層とのヒアリングにより経営改善に必要な潜在的人材ニーズを把握できることから、付加価値の高い人材提供が可能である点が特徴であります。

 

② 人材派遣

株式会社D&Mキャリアは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、人材派遣事業を行っております。

 自社が運営する登録サイト、インターネット広告、SNS発信等を通じて求職者を広く募集し、派遣就業希望者を登録しております。これらの登録者の中から、依頼事業者等の依頼内容に適した人材を選び、依頼事業者等との間で労働者派遣契約を締結するとともに、登録者との間でも期間を定めた雇用契約を締結したうえで、依頼事業者等へ人材を派遣しております。

 

③ アウトソーシング

株式会社D&Mキャリアは、人材事業との親和性も高いことから、医療機関や介護事業者等の業務効率化をサポートするため、経理や労務管理業務領域でのアウトソーシングサービスを提供しており、登録スタッフを活用することで積極的にこれらの受託サービスを展開しております。また、D&Mカンパニーにおいても、調剤薬局の業務オペレーション等のアウトソーシングサービスを提供しております。


有価証券報告書(2024年5月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、D&Mカンパニーグループが判断したものであります。

 

 (1) 経営の基本方針

D&Mカンパニーグループは、事業を通して、安心できる医療、穏やかな老後を暮らせる福祉、子供から老人まで全ての世代が夢を持って生きられる仕組みを創り、より素晴らしい社会・世界の実現に貢献すべく、「人の願いを叶える会社たる」を経営理念に据え、診療報酬債権等譲渡契約等に基づく資金支援と経営サポート、人材支援等の事業展開を行っております。これらの事業を通じて「お客様、投資家、私たち、そして社会」にとって、何が「四方良し」かを考え抜き行動することを事業運営の方針として、既存及び潜在的取引先の持続的成長に貢献しつつ、D&Mカンパニーグループのさらなる事業拡大を推進していきたいと考えております。

 

 (2) 目標とする経営指標

 D&Mカンパニーグループは、医療機関等に対する経営サポート事業の単一セグメントであり、セグメントを構成する主要なサービスは「F&I(ファイナンス&インベストメント)」、「C&Br(コンサルティング&ビジネスリノベーション)」、「HR&OS(人材サービス&アウトソーシング)」で構成され、「F&Iサービス」は、主に診療・介護報酬債権等買取やリース、「C&Brサービス」は、主に経営コンサルティングやコスト削減提案、「HR&OSサービス」は、主に人材の派遣や紹介、外国人就労支援、アウトソーシングサービスを行っております。特に経営コンサルティングと診療報酬債権等譲渡に基づく資金支援(以下、「債権買取」という。)による売上拡大は、収益への寄与度が大きく、債権買取を維持するためにも、経済環境の変事抵抗力を高めることは重要であると考えております。

一方、個々の医療機関等に対しては、経営改善の進展に伴い「F&Iサービス」から「C&Brサービス」「HR&OSサービス」に移行させていくことも重要であると考えており、継続的に事業発展するためには債権買取の拡大に併せ3つのサービスをバランスよく推進することを重視しております。

以上から、事業拡大を図るため「売上高の対前年増加率」、「経常利益の対前年増加率」、「取引社数(全取引社数・債権買取社数)の対前年増加率」及び「投資資産残高の対前年増加率」の4項目を成長性指標とし、投資効率の向上と変事抵抗力のバランスを図るため「営業利益率」を収益性指標として、「自己資本比率」を安全性指標として、それぞれ重要な経営指標と捉えております。

 

  (3) 中・長期的な経営戦略

 D&Mカンパニーグループの主要取引対象先である医療・介護事業者の経営環境は厳しく、国家予算に占める社会保障費の伸びを抑える目的で継続される診療・介護報酬の見直しに伴い、抜本的な構造改革や制度変更に対応する不断の努力が必要となっていることから、中・長期的にはM&Aによる事業再編のニーズも、ますます高まるものとD&Mカンパニーは判断しております。

    D&Mカンパニーグループは、診療・介護報酬債権等買取を基礎として拡大する医療・介護事業者との取引ネットワークを、D&Mカンパニー事業におけるプラットフォームとし、それに対しコンサルティング等を通じ市場が求めている課題やニーズをさらに深掘りし、それらに対応したサービスを拡充してまいります。特に、M&Aニーズに対し、単なるM&A仲介者という立場に留まらず、債権買取を中心とした資金支援とともにM&A支援を行うことで、事業者等と同じ目線に立ち、まさに「同じ船」に乗って事業再編支援を行ってまいります。

    これらにより、同一取引先に複数サービスを提供する機会を増やし、顧客単価を上げることで、D&Mカンパニーグループの収益力の強化に努め、中長期的な安定成長の実現を目指してまいります。また、D&Mカンパニーグループのビジネスは外部環境の影響を相応に受ける構造であることから、外部環境や外部組織への依存度を低下させるべく独自で完結できるビジネスモデルへと移行したいと考えております。具体的には次のとおりです。

 

 「F&Iサービス」・「C&Brサービス」

株式上場により、資本・負債両面での資金調達力を高め、現サービスの増強に併せ、経営再生のための債権買取を中心とした投資額とコンサルティングクオリティを一段とレベルアップし、さらに金融商品取引業者登録、不動産特定共同事業者許可を取得し、金融機関に依存しない、D&Mカンパニー独自での資金調達手段の開拓を進めます。

 これにより、事業プラットフォームをより強固なものとし、それを活用し顧客の求める様々なサービスを提供することで、投資家と医療・介護事業者を金融でつなぎ、日本の医療体制のさらなる強化を支援していきたいと考えております。

 加えて、株式上場を機に向上が見込まれる知名度・社会的信用力を活用し、コンサルティング人材の増強を図り、採用と教育への投資を行っていきたいと考えております。

それにより、医療・介護業界におけるM&Aや事業承継の推進を考えております。

 

 「HR&OSサービス」

現サービスの増強に併せ、外国人人材就労支援の飛躍的な増強を図りたいと考えております。

昨今、特に介護業界において人手不足問題は喫緊の課題となっております。現在のサービスに加え、海外の現地へ人材を送出し関係機関や学校と提携し、業務内容と海外での生活や文化においての事前学習を施し、円滑にかつニーズに合った人材を介護施設に紹介し、併せて生活支援事業も行っていきたいと考えております。

 

  (4) 短期的な経営戦略

 D&Mカンパニーグループは、当連結会計年度において152社(うち債権買取社数65社)と取引しておりますが、さらに多くの医療・介護事業者のニーズに応えるため、経営診断、コンサルティングを通じ経営者とともに再建計画を策定・実施する中で、必要に応じ診療・介護報酬債権等買取による資金供給を中心に、新規顧客を獲得し、その顧客群を事業プラットフォームと位置づけ、より強固なものにすることにフォーカスし、取り組んで参ります。

 

    「F&Iサービス」・「C&Brサービス」

既存顧客へのコンサルティングを通じて把握した再建に必要な資金の供給と、顧客ネットワークや提携金融機関、取引先等からの紹介、医療関連団体への会員参画、WEB戦略等による新規顧客の拡大を図ります。

特に債権買取での顧客は、C&BrサービスやHR&OSサービスの取引に発展するケースも多く、中長期的な戦略とする複合取引の拡大への種まきを確実に推進してまいります。

 顧客に対する財務戦略のサポートに際して、不動産流動化やファンドとの連携等、D&Mカンパニーのネットワークを活用することで、ノンアセットでの事業拡大をサポートしビジネスにつなげていくことに加えて、M&Aやコスト削減等においても多様な取引先と連携することで質の高い提案を行ってまいります。

 

   「HR&OSサービス」

構造的に人手不足の業界であることから、D&Mカンパニーグループのネットワークを活用し医療分野に強い人材会社として、顧客ニーズに応えます。加えて登録支援機関として外国人就労支援事業も行っており、慢性的な人手不足の介護・福祉業界に対し人材支援を推進してまいります。また、経理や労務管理でのアウトソーシングサービスにおいても、D&Mカンパニーの登録スタッフを活用することで、積極的に受託していく方針です。

 

  (5) 経営環境及び対処すべき課題

「(3)中・長期的な経営戦略」に記載のとおり、D&Mカンパニーグループの主要取引対象先である医療・介護事業者の抜本的な構造改革や制度変更への対応が喫緊の課題となっております。そのため、D&Mカンパニーグループと取引先において、守り・攻めの両面で一層踏み込んだ関係強化の必要性が高まり、新規取引先の開拓や付帯サービスを拡大する好機であると考えております。

 そこで、D&Mカンパニーグループといたしましては、既存及び潜在的取引先の持続的成長に貢献しつつ、D&Mカンパニーグループのさらなる事業拡大を推進すべく、特に次の点を重要課題として取り組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてD&Mカンパニーグループが判断したものであります。

 

「会社全体」

   ・取引先を含む地域医療・介護・福祉のSDGsを意識した取り組みと寄付等を通じた社会への還元

取引先支援を通じて取引先が属する地域の医療・介護・福祉のSDGsを意識し、地域関係施設・機関との連携強化を図り、社会インフラとしての地域医療・介護の安定的発展に積極的に貢献し、また寄付等の活動を通じ、広く医療・介護の安定的発展に寄与してまいります。

 

     ・人材の確保と育成

D&Mカンパニーグループは、各分野で経験を積んだ役職員が役割分担と補完体制を充実させ、安定的な事業運営を行っております。併せて、今後の事業拡大及び提供するサービスの多様化に対応するため、経験豊富な人材の確保と多役化を一層進めてまいります。

 

   「F&Iサービス」

     ・資金調達手段の多様化

D&Mカンパニーグループが行う経営指導は、現在の金融システムでは対応しづらい取引先への資金提供と併せて実行するため、機動的でコストにも配慮した資金調達を多様な手法で行う必要があります。そのため、事業展開のうえで金融市場環境の影響を受ける場合があります。これに対応するため、取引金融機関の拡大に加え、調達手法の多様化を図り、ソーシャルレンディングを含むファンドの組成やD&Mカンパニー株式の上場による市場からの直接金融による資金調達を積極的に進めてまいります。

 

   「C&Brサービス」

     ・提供サービスの多様化

医療関連業界は、DX対応や業務のIT化が極めて遅れている状況であり、社会保障費の削減や医療サービスのリモート化、医療の地域連携体制化は喫緊の課題です。そのため、D&Mカンパニーグループではハンズオン形態を含む経営指導に加え、コスト削減やリース、仕入れ先の見直し、事業のDX対応等、D&Mカンパニーグループの取引先と幅広く連携し、ニーズに合わせた「きめ細やか」かつ「多様」なサービスを提供してまいります。また、経営環境の悪化により、特に中小規模の医療機関を中心に単独での再建が困難となりM&Aによる存続を目指すケースが増加することが見込まれ、M&A支援サービスを推進してまいります。

 

   「HR&OSサービス」

     ・アライアンスによる新たな事業の仕組みづくり

環境問題の深刻化や構造的な人材不足、後継者問題、高齢化の急速な進展等、現在の日本経済が抱えている問題は、医療・介護事業者にも多大な影響が及んでおります。この状況下、D&Mカンパニーグループは事業規模の拡大に併せ、医療・介護・福祉の観点から社会の問題解決に対処するため、外国人就労支援事業やアウトソーシングサービスの受託推進を図るべく、業種を超えたアライアンスに積極的に取り組み、新たな人材サービスの仕組みづくりを推進し、事業の持続的な発展を図ります。


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

D&Mカンパニーグループの事業において、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてD&Mカンパニーグループが判断したものであります。

 

1.事業環境、事業内容等に関するリスク

① 厚生行政の変化に伴う既存取引先の業績悪化(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

国家予算に占める社会保障費比率上昇抑制を目的として、報酬制度を中心に定期的な厚生行政の見直しが行われておりますが、その内容によっては、D&Mカンパニーグループの取引先の多くの経営成績において、大きな影響を与える可能性があります。そのため、取引先において十分に対処できなければ、多くの取引先の業績が悪化するなどの事態も否定できません。

D&Mカンパニーグループは、そのような事態を回避すべく、取引先へのモニタリングと経営指導を通じ事態深刻化の前に業績改善、事業再編等を図っております。

しかしながら、既存取引先に対する影響が甚大かつ急激である場合、取引条件見直しを余儀なくされる結果、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 金融マーケットの逼迫と金利水準の上昇(顕在化可能性:中 発生時期:数年以内 影響度:大)

  D&Mカンパニーグループの連結貸借対照表は、金融機関との類似性が高く、有利子負債比率が高水準にあります。このことから、金融マーケットの逼迫やマーケット金利水準が上昇すると調達そのものが難しくなることに加え、調達コストの上昇につながります。

 金融マーケットの逼迫に備え、直接金融の導入、コミットメントラインの設定等、資金調達の多様化を図っております。金利水準の上昇については、買取手数料が、市中金利水準上昇と連動して上昇しないものの、買取手数料引き上げ等の変更交渉により一定の転嫁は可能です。また、経営指導、各種コンサルティング等、資金調達を伴わないサービスの拡充にも注力しております。

  しかしながら、戦争、政情不安等の国内外の環境変化により、金融マーケットが急激に縮小し、金利水準が急激的かつ大幅に上昇し、顧客との手数料水準を主とした条件見直し対応ができない場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金融行政の変化等に伴う金融機関の貸出姿勢の変化(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

   D&Mカンパニーグループは、医療機関等に対する経営サポートを主要な事業としており、資金的なサポートを含みます。

そのため、D&Mカンパニーグループは金融機関等からの資金を調達する必要があり、金融機関等の方針の転換により、金融機関がD&Mカンパニーグループへの与信を縮小する場合には、D&Mカンパニーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。金融機関等との緊密なコミュニケーションを通じて、D&Mカンパニーグループの事業に対する理解を促進し対応しているほか、今後は間接金融以外の調達手法も検討してまいります。

しかしながら、金融行政の大幅な変化や金融機関の取組方針の大幅な転換により、D&Mカンパニーグループに対する急激かつ大幅な与信縮小が金融機関に発生する場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 貸倒引当金について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

      D&Mカンパニーは、過去の貸倒実績率及び回収可能性を勘案し貸倒引当金を合理的に見積り計上しております。

 D&Mカンパニーは、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)F&Iサービス   ① 診療・介護報酬債権等譲渡に基づく資金支援サービス」に記載のとおり、事業者等が社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会等(社保・国保等)に対し、既に所有する債権(確定債権)及び事業を継続することで将来発生する見込みの債権(将来債権)を、あらかじめ定めた月あたりの買取債権金額に買取月数を乗じて買取りしております。

そのためD&Mカンパニーが買取る債権は、社保・国保等に対するものであり、債務者の信用力は一般的に高いと考えられますが、そのうち将来債権については、事業者等が医療・介護サービスの提供を完了した時点で発生するため、取引先である事業者等に不測の事態が生じ、事業の縮小や、事業継続が困難な状況となった場合には、D&Mカンパニーは、社保・国保等からの回収を行うことができません。

そのような事態に至った場合、事業者等との債権譲渡契約に基づき、事業者等がD&Mカンパニーに対し未回収額を補てんすることとしておりますものの、貸倒損失が発生する可能性があります。

D&Mカンパニーは、あらかじめ取引先代表者からの保証等により買取債権の保全に努めるとともに、取引先へのモニタリングと経営指導を通じ、不測の事態が生じないよう、また、事態が深刻化する前に対応できるように努めております。

しかしながら、今後の日本経済情勢、市場環境、法制度の変化・変更等により、支払遅延又は回収不能が急増する場合には、貸倒引当金を積み増しせざるを得ないこともあり、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 不正・不祥事について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

D&Mカンパニーグループの医療機関等に対する経営サポートは、医療機関等との面談・メール・通話等を通じて実施されます。このような業務の特性上、従業員等による不正行為や不祥事等が発生する可能性を完全に否定することはできないことから、D&Mカンパニーグループでは、取引先への複数の従業員・役員による関与、従業員等に対するコンプライアンス研修等を実施することでリスクの低減に努めております。

このような取組みにも関わらず、万一、従業員等による不正行為や不祥事等が発生した場合には、取引先との取引関係に影響を及ぼす可能性や、D&Mカンパニーグループに対する評判の悪化からD&Mカンパニーグループの営業活動が困難になる可能性があり、このような場合には、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.組織体制に関するリスク

① 情報システムについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

  D&Mカンパニーグループは、取引先情報、経理情報等をコンピュータシステム及びネットワークに依存しております。これらに使用するハードウエア、ソフトウエアは汎用性の高い市販の物を使用し、データに関しても適切なバックアップ管理により、人的及び物的両面でのセキュリティ確保に努めております。

 しかしながら、これらの情報システム環境に対し、複合的かつ長期的な障害が発生する場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 取引先情報及び個人情報の取扱いについて(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

  D&Mカンパニーグループにおいて、F&IサービスやC&Brサービス推進において、取引先の機密情報を入手するケースが少なくありません。これらの情報漏洩の発生を防ぐために情報管理の規程等を整備し、従事者に対する教育を徹底するとともに情報の機密度合いによって管理フォルダを分別しアクセス権限の制限等を行い漏洩の回避を図っております。

子会社の株式会社D&Mキャリアにおいても、人材事業であることから多くの個人情報を保有しております。個人情報漏洩の発生を防ぐために、個人情報保護の規程等を整備し、従事者に対する教育を徹底しておりますとともに、個人情報を管理するデータ領域へのアクセス権の制限等で漏洩の回避を図っております。

  しかしながら、悪意のある第三者によるシステム侵入や事故等により外部流出が発生する場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ D&Mカンパニーグループに適用される法制度の変更リスク(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

D&Mカンパニーグループの主要業務である債権買取には法規制が存在しませんが、貸付金に対しては貸金業規制があります。当該業務を推進する過程においては、貸金業務遂行上のマニュアル遵守に加え、監督官庁及び業界団体との緊密な情報連携と指導を仰ぎ、コンプライアンス上問題ない内容での業務遂行に努めております。

 また定期的に実施している内部監査においても法令遵守状況のチェックを行っております。

 しかしながら、法制度の変更により、D&Mカンパニーの主要業務である債権買取に関し、何らかの法的又は行政規制が実施されれば、その対応に伴う業務プロセスの見直し及び整備コストの発生等、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人材の確保と育成について(顕在化可能性:中 発生時期:数年以内 影響度:中)

  D&Mカンパニーグループは、各分野で経験を積んだ役職員が役割分担と補完体制を充実させ、安定的な事業運営を行っております。併せて、今後の事業拡大及び提供するサービス多様化に対応するため、経験豊富な人材確保と多役化を一層進めてまいります。

 しかしながら、人材マーケットの状況次第で、事業拡大に見合う人員確保と育成ができない場合等、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 風評リスクについて(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

D&Mカンパニーグループは、医療・介護事業者の再生支援、地域インフラとしての医療・介護事業者のSDGs支援という「事業再生」に力点を置いた活動を展開しております。このような活動は、関係者が「希望しない変化」を伴うことも多く、悪評の発生には十分注意を払っております。具体的な対策としては、D&Mカンパニーグループに関する定期的なネット情報の検索や取引先への定期的な往訪等での関係性の確認等です。

  しかしながら、悪意のある中傷は、その原因、動機、手法をあらかじめ特定することは不可能に近いことから、インターネットやSNS等を利用した、大量、多様かつ長期的な情報操作による悪評拡散が発生する場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 許認可事業での許認可要件遵守状況(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

 D&Mカンパニーグループは、必要な許認可を取得したうえで、各事業を展開しております。これらは各々の関係法令に違反した場合等には、当該事業の停止、廃止又は許可の取消等の処分を監督官庁より受けることがあります。

 現時点において、D&Mカンパニーグループの事業推進においては、許認可が必要な事業もあり、貸金業、有料職業紹介事業、労働者派遣事業、高度管理医療機器等販売業・貸与業、古物商、宅建業、登録支援機関等の許認可を取得しております。これまでは、マニュアル遵守や内部監査の徹底等の対策により法令違反等の事実はございませんが、今後何らかの理由により監督官庁による処分を受けた場合には、D&Mカンパニーグループの事業活動の他、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、これらの規制等の改廃、新設が行われた場合には、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 訴訟等の可能性について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

取引開始時には、事前に充分条件説明を行い、かつ契約書においても弁護士監修の下、トラブルに至らないよう取引後に想定される様々なケースに対応できる内容にしており、訴訟等の回避の体制は構築しております。しかしながらビジネスの性質上、訴訟を受ける可能性はあります。その場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他に関するリスク

① 大規模災害等の影響(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:大)

 地球環境の変化に伴い、甚大なる自然災害の発生頻度が高まっており、地域インフラの一翼を担う医療・介護事業者の事業継続に深刻な影響を与える事例も発生しております。幸いにも、D&Mカンパニーグループ取引先に甚大な影響が発生した事例は、現在までございません。

しかしながら、大規模地震を含め、地域社会に大きな影響を与える大規模自然災害等が発生した場合、顧客である医療・介護事業者への事業継続のみならず、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

② 大規模な感染症流行による影響について(顕在化可能性:中 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

 2019年12月に報告された新型コロナウイルス感染症のパンデミックはD&Mカンパニーグループの事業活動に影響を与えました。D&Mカンパニーグループの主要取引対象先である医療・介護事業者が、独立行政法人福祉医療機構による同感染症に係る無担保・無利子の対応支援資金融資等を利用する事例があり、短期的には事業者等あるいは取引先候補者の経営環境好転による需要の一時的減少が生じました。

 同様の大規模な感染症が流行した場合には、医療・介護事業者の資金需要の変化のみならず、取引先の大幅な業績悪化等、D&Mカンパニーグループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

大規模感染症流行時の国や地方自治体による医療・介護事業者への支援に関する指針を注視し、医療・介護事業者の経営への影響を予測し事前に対処するほか、社内的影響としては、大規模な感染症により業務遂行に必要な人員やスタッフが確保できない可能性があります。その対策としては、リモート業務のインフラと規程を整備し、在宅業務可能な体制を構築するとともに社員には徹底した安全管理・衛生管理を呼びかけ、時差出勤・在宅勤務・情報収集等を実施し、同感染症の感染拡大を抑え、企業活動の継続を維持できる体制を整備しております。

 

③ 特定の取引先への依存について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

D&Mカンパニーグループにおいて、医療法人財団コンフォートに対する売上高の、D&Mカンパニー連結売上高に占める比率が2024年5月期において、22.8%となっております。当財団グループとは長期に亘って良好かつ安定的な取引関係を維持できており、現時点において、取引関係に支障をきたす事象は生じておらず、今後も継続的な取引が維持できるものと考えておりますが、今後は依存度を下げるべく、他の既存取引先との取引拡大や新規取引先の開拓によりリスク低減に努める方針であります。

しかしながら、何らかの理由により、当財団グループとの取引関係が継続困難となった場合や取引が大幅に減少する場合、D&Mカンパニーグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 大株主との関係について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:中)

D&Mカンパニーの大株主である松井信博氏及びその親族は、親族の資産管理会社である株式会社YSY及び親族の所有株式数を合わせると2024年7月末時点で発行済株式総数の44.52%を所有しております。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針としております。D&Mカンパニーといたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の所有株式数が急激に増減した場合には、D&Mカンパニー株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在、D&MカンパニーグループとD&Mカンパニー大株主松井信博氏、その親族、及びその親族の資産管理会社である株式会社YSYとの人的関係、取引はございません。

 

⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:低 発生時期:特定時期なし 影響度:小)

  D&Mカンパニーグループは、役員及び従業員に対してインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。2024年7月末時点で新株予約権による潜在株式数は76,000株であり、D&Mカンパニー発行済株式総数2,246,000株の3.38%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、D&Mカンパニーの株式価値が希薄化する可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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