住友林業グループ(住友林業及び住友林業の関係会社)は、住友林業、連結子会社509社及び持分法適用関連会社248社で構成され、山林事業を礎として、木材・建材の仕入・製造・加工・販売、戸建住宅等の建築工事の請負・リフォーム、分譲住宅の販売、集合住宅・商業複合施設等の開発、不動産の管理・仲介、及びそれらに関連する事業活動を、国内外において行っております。
事業内容と住友林業グループの当該事業における位置付けは次のとおりであります。
なお、次の5部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において住友林業グループ(住友林業、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
住友林業グループは、「公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献」することを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としております。
この実現のため、住友林業グループは、お客様の感動を生む高品質の商品・サービスを提供する、新たな視点で次代の幸福に繋がる仕事を創造する、多様性を尊重し自由闊達な企業風土をつくる、日々研鑽を積み自ら高い目標に挑戦する、正々堂々と行動し社会に信頼される仕事をする、の5つを行動指針として、経営の効率化及び収益性の向上を重視した事業展開を行っております。
また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。
(2) 目標とする経営指標
住友林業グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」、財務の安定性を測る指標として「自己資本比率」を重視しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や欧州を中心とした深刻なエネルギー危機等により景気が減速しており、主要先進国におけるインフレ抑制を目的とした金融引き締め策の動向や中国経済の減速の影響等、景気の先行き不透明感が高まっています。引き続き、地政学的リスクも注視しながら、金利・物価の上昇等による景気の下振れリスクに注意する必要があります。
住友林業グループは、中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」の2年目となる2023年12月期において、引き続き、目標達成に向けて以下の通り各事業を推進してまいります。
木材建材事業におきましては、流通事業において、バイオマス発電用木質燃料の供給拡大や国産材の活用に引き続き注力してまいります。製造事業においては、木材コンビナートを柱とした循環型の資材供給システムの確立に向けた取り組みを進めてまいります。また、「One Click LCA」の普及拡大に努め、建物を建てる際のCO2排出量削減を目指す脱炭素設計を推進してまいります。
住宅事業におきましては、戸建注文住宅事業において、引き続きWEBマーケティングによる受注の推進に努めるとともに、生産の合理化や施工体制の充実を図ることにより収益力の改善に注力してまいります。賃貸住宅事業においては、「タウンスクエア」による受注活動の推進に引き続き注力してまいります。分譲住宅事業においては、環境認証の取得による「フォレストガーデン」ブランドの浸透を目指す等、住友林業らしいまちづくりを訴求してまいります。リフォーム事業においては、WEBを中心とした営業活動の強化を図るほか、断熱・耐震提案を含めた環境配慮型リフォームの受注活動に注力してまいります。
海外住宅・建築・不動産事業におきましては、2023年1月1日付で組織改正を行い、国内外において中大規模木造建築事業と不動産開発事業を一体的に推進する体制としました。今後、日本を含めグローバルに不動産開発事業を推進してまいります。米国の戸建住宅事業では、昨年半ばから金利の上昇に伴い、受注が急速に減少し調整局面を迎えておりますが、需要の回復に備えて、住宅の壁パネル等の設計、製造、配送、施工を一貫して推進する等、生産体制の合理化を通じた事業基盤の強化に努めてまいります。米国における不動産開発事業においては、市場を慎重に見極めながら安定的な収益確保のために、中大規模木造オフィスの開発等新規投資案件の拡充を図るほか、戸建賃貸事業の拡大等、新たな収益源の確立に注力してまいります。豪州での戸建住宅事業においては、生産合理化による工期短縮及びコスト削減等に努めてまいります。なお、海外の不動産投資リスクに関しては、販売用不動産の在庫状況の定期的な確認や保有不動産の価値の計測等、社内規程に基づくモニタリングを継続的に実施し、市況に応じた機動的な対応を可能とする体制整備に一層努めてまいります。
資源環境事業におきましては、再生可能エネルギー事業において、安定的な燃料調達によって各発電事業所の安定稼働に努めるとともに、今後稼働予定の新規発電事業所を計画通りに運転開始することに注力してまいります。また、森林資源事業においては、森林資源のCO2吸収・固定量の精度の高い計測技術を確立するとともに、森林ファンドの組成等を通じて、森林資源のCO2吸収源としての価値を提供する事業を推進してまいります。
住友林業グループは、長期ビジョン「Mission TREEING 2030 ~地球を、快適な住まいとして受け継いでいくために~」において、事業活動を通じて基盤となる「地球環境への価値」、そこから成り立つ「人と社会への価値」、「市場経済への価値」を社会に提供するため、9つの重要課題を特定し、それぞれSDGsに紐づいた個別指標を設定しました。中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」の基本方針の一つに「事業とESGの更なる一体化」を掲げ、RE100及びSBT(Science Based Targets)の達成等に向けた取り組みを着実に進めてまいります。なお、住友林業グループは、SBT SCOPE1*・2**について、2030年までに温室効果ガス排出量を2017年比で54.6%削減することを目標としております。
* SCOPE1とは、自社での燃料使用等による温室効果ガスの直接排出量を意味します。(例:社有車のガソリン使用に伴うCO2排出量)
** SCOPE2とは、購入した電力・熱による温室効果ガスの間接排出量を意味します。(例:オフィスの電力使用に伴うCO2排出量)
住友林業グループは、以上の取り組みとともに、社会の変化を見据え、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの声に耳を傾けながら、コーポレート・ガバナンスを充実させ、環境共生、お客様満足の向上、人権・多様性尊重、リスク管理・法令遵守に関する取り組みを引き続き強化し、企業価値の更なる向上に取り組んでまいります。
(1)リスクマネジメントの体制について
住友林業では、グループ全体のリスクマネジメント体制を強化するため、「リスク管理規程」を制定し、住友林業の執行役員社長を住友林業グループのリスク管理最高責任者、本社管理部門及び各本部の担当執行役員をリスク管理責任者、主管者をリスク管理推進者に選任しております。同規程にて、リスクを「経営戦略リスク」(経営戦略を実行するための経営判断上のリスク)、「事業リスク」(経営の意思決定後、事業遂行において発生するリスク)、「事業継続リスク」(自然災害等の不測の事態により事業の継続に支障が生じるリスク)に分類しております。「経営戦略リスク」については、重要事項につき経営会議で事前協議を実施し、取締役会にて意思決定・監督を行い、「事業リスク」についてはリスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントを行っております。
リスク管理委員会は、執行役員社長を委員長とし、委員は、経営企画部・人事部・法務部・ITソリューション部・サステナビリティ推進部の担当執行役員及び各主管者、並びに各本部の本部長及び管理担当部長とし、四半期に1回開催しております。当委員会では、各部門から抽出されたリスク内容の分析、評価を行った上で重点管理リスクを選定し、特に重要度の高い重点管理リスクの対応進捗について優先的にモニタリングを行っております。この委員会の配下には、コンプライアンス小委員会及び事業継続マネジメント(BCM)小委員会を設置し、グループ横断的なリスクと位置づけるコンプライアンスリスク及び事業継続リスクについて、対応の実効性を高めるための活動を展開しております。これらの活動内容は取締役会に報告・答申しております。また、内部監査室は、各部門及びグループ会社への内部監査を通じてリスク管理状況を確認し、その監査結果を取締役会へ報告しております。
(2)主要な事業等のリスクについて
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に住友林業グループの経営成績等の状況に与える影響については具体的な内容を見積もることは困難であるため、記載しておりません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において住友林業グループが判断したものであります。
①国内外の住宅・不動産市場の動向に関するリスク
住友林業グループの業績は、国内外における住宅・不動産市場の動向に大きく依存しております。
国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化、インフレ圧力の増大、及び個人消費の落ち込みは、お客様の住宅・不動産購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動、木材等の資材価格の変動による建築コストの変動等も、お客様の住宅・不動産購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅・不動産市況やコスト構造を悪化させ、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、住友林業の独自性を強調し、住宅・不動産市場における優位性の確保を図っております。
(イ)戸建注文住宅事業では、住友林業独自の商品や技術力・設計力を活かした提案を強化し、お客様の様々な要望にお応えすることで、受注拡大に努めております。具体的には、環境配慮型商品の受注に注力するとともに、天井高、床材・建具の種類やデザインに豊富な選択肢を用意し、お客様の要望に沿って様々な室内空間を実現する提案等を行っております。
(ロ)その他の住宅・建築事業に関して、賃貸住宅事業では、多様化する入居者のライフスタイルに対応して、賃貸住宅に求められる性能を的確に把握し、より快適な住環境を提供することに努めております。リフォーム事業では、高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームに注力し、中大規模木造建築事業では、建築物の木造化・木質化を推進しております。
また、上記リスクに対して、海外住宅・不動産事業では、次のような対策により、参入する市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っております。
(イ)米国では、人口成長の著しい都市圏において、住友林業グループ傘下の各事業会社がエリアに根付いた事業を推進すると同時に、住友林業グループ全体としてスケールメリットを発揮することで、Local BuilderとNational Builderの双方の利点を活かすことができるポジションで事業を展開しております。また、供給体制の安定効率化、コストダウン、施工安全管理の標準化、工期短縮、建築現場からの廃棄物の抑制等を図る、構造用パネル製造からフレーミング工事までの一貫したサービスを提供する「Fully Integrated Turnkey Provider(FITP)」事業を推進しております。さらに、不動産開発事業や宅地開発等、戸建住宅以外の新規事業の取り組みを加速し、事業の多角化を進めることで、事業環境変化への体制を強化しております。
(ロ)豪州では、米国に次ぐ海外木造住宅市場であり、引き続き住宅需要が見込まれる環境下において、資産保有リスクを抑えた事業展開を行っております。注文住宅のみならず分譲住宅において、一次取得者向けから高級住宅まで、幅広いニーズに対応しております。
(ハ)アジアは、中長期で成長が期待されるエリアであり、短期の市場変動による業績への影響を避け、中長期の成長を取り込む収益構造を構築しております。日本国内で培った高い設計力、施工管理、環境性能向上等のノウハウの活用により、中低層マンション、戸建、マスタープラン等を中心に事業を展開しております。
(ニ)上記の各エリアにおける海外住宅・不動産事業の投資実行においては、不動産投資リスクに関する社内ルールの運用を徹底し、事業規模拡大に伴う不動産投資残高の増加に対して、各国の住宅マーケットの的確な把握とモニタリング、適正な在庫管理の徹底を図るなど、投資リスクの低減に努めております。
②原材料、木材・建材等の調達・販売に関するリスク
感染症の流行や地政学リスク等の顕在化により、原材料や木材・建材等の商品の調達が困難になった場合に、取引先への商品の納入や住宅・不動産の施工が遅延する可能性があります。また、調達価格が高騰し、価格上昇分を販売価格に転嫁できない場合は、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、住友林業では以下の対策をとっております。
(イ)木材・建材等の流通事業では、住友林業グループの国内外での調達力を活かし、主要な原材料や木材・建材等の商品について、複数の産地からの仕入れ、仕入拠点の拡充、新たな樹種の用途開発等に取り組むことで、安定供給の維持及び調達価格の適正化に努め、サプライチェーンの強靭化を図っております。
(ロ)住宅・建築事業では、資材調達の遅延リスクの対策として、各サプライヤーとの生産情報の共有、国産材の取り扱い拡大、複数社からの購買、資材調達先に対して定期的にサプライヤー評価を実施するなど、資材の安定調達の体制強化を図っております。また、調達価格高騰に対しては、仕様の変更や施工の合理化によるコストダウン等により、コスト上昇の抑制に取り組んでおります。
③国内の建設技能労働者の減少に関するリスク
国内の建設業においては、建設技能労働者の高齢化及び若者離れが進み、建設業就業者数は長期間にわたり減少傾向にあります。建設業は労働集約型の産業であり、必要な建設技能労働者を確保できず、施工体制の維持が困難になった場合、住宅事業の受注物件の着工の遅れや工期の長期化及び労務費の高騰等により、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを回避するために、住友林業では以下の対策をとっております。
(イ)建設技能労働者の確保について、住友林業グループの施工会社において若手社員を積極的に採用し、企業内訓練校である住友林業建築技術専門校にて建設技能職の教育・育成を行っております。住友林業の協力施工店に対しては社員大工の採用支援を行うことにより、将来に向けた施工力の維持に努めております。また、建設技能労働者の処遇の改善として、定期的に建築工事の発注価格について協議を行い、労務費の適正化を図っております。
(ロ)現場施工の生産性の向上について、屋根材やサイデイング等のプレカットやプレキャスト基礎の導入等により、工事現場の工数削減による生産合理化を推進しております。また、中長期的な市場の変化を見据え、抜本的な構造改革を行うための専門部署を設置し、DX等の推進を行っております。
④法的規制等に関するリスク
住友林業グループは、国内外において、木材建材事業や住宅・不動産事業をはじめ人々の生活に関する様々な事業を行っております。各事業を取り巻く法規制は多岐にわたり、建築基準法、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、住宅品質確保促進法、森林法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、金融商品取引法、介護保険法等に加え、会社法、労働基準法、労働安全衛生法、個人情報保護法、公益通報者保護法など、多くの法規制に従う必要があります。また、海外においてはそれぞれの国・地域の法律や規制の適用を受けます。住友林業グループでは次のような対策によりこれら法規制の遵守に努めておりますが、これらの法規制に適合しない事態が発生した場合、罰金や、行政処分による事業の制約によって社会的信用が低下し、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(イ)親会社総務部のリスク管理・コンプライアンスグループでは、国内関係会社に対して、各種法令の遵守状況について一斉点検を実施しております。実施後には、点検で見つかった指摘事項について、各関係会社にフィードバックを実施し、各社が体制の強化や是正に取り組むよう指導しております。
(ロ)各事業本部管理部門による、支店や建築現場に対する監査や実査を実施しております。
(ハ)海外事業については、各事業本部主管部門及び各エリアに設置した統括会社による海外関係会社に対するガバナンス体制を構築し、コンプライアンスの強化やリスクマネジメントを推進しております。
(ニ)上記の点検や監査は、事業に応じて取得しているISO規格に基づいて実施するなど、実効性のあるマネジメント体制を構築しております。
⑤為替に関するリスク
住友林業グループは、海外関係会社を通じて海外での事業活動を展開しているほか、木材・建材の外貨建ての輸出入取引や三国間取引を行っております。海外での事業活動及び外貨建ての取引では、為替変動により外貨建ての収益及び費用の円換算額が増減したり、為替換算調整勘定を通じて純資産が増減したりするリスクが存在します。これらのリスクに対応するため、住友林業グループでは為替予約を行うなどの対策を取っておりますが、急激な為替変動は、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑥品質保証に関するリスク
住友林業グループは、国内外で取扱商品・サービス及び住宅等の品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等が発生することを、完全に回避することはできません。具体的には、品質保証責任を問われる住宅等の重大な欠陥、有料老人ホーム運営事業等における高齢者向け事業特有の事故等が発生する場合があります。また、特に海外においては、品質不良を原因とするクラスアクション等の訴訟により、高額の賠償責任や対応費用が生じるリスクがあります。さらには、合法性や持続可能性に疑義のある木材の調達により、政府によるペナルティや環境保護団体等からの批判を受けるリスクがあります。これらのリスクに備え、住友林業グループでは「住友林業グループ品質方針」を定め、住友林業グループから生み出されるすべての商品やサービスは品質そのものであるという認識のもと、全員参加による「ZERO DEFECTS(ゼロディフェクト)」を追求し、次のような対策を通した品質の向上に取り組んでおりますが、多額の損害賠償や社会的信用の失墜が発生した場合には、こうしたリスクの顕在化が、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(イ)法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しております。
(ロ)戸建住宅事業において、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供しております。
(ハ)有料老人ホーム事業においては、オペレーションミスによる事故を回避するため、サービス提供手順のマニュアルを作成し、周知を徹底しております。また、施設内でインフルエンザ等の感染症が蔓延するのを防止するため、感染症対策のマニュアルの整備や定期的な研修等の対策を講じております。
(ニ)木材の調達に関しては、調達部門及びサステナビリティ推進部門による「木材調達委員会」を定期開催し、合法性と持続可能性の確認及び勉強会などを含む情報共有を実施しております。
⑦取引先への信用供与に関するリスク
住友林業グループは取引先に対する売上債権等の信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。また、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。このため、取引先の支払い不能等の信用リスクの顕在化は、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑧海外での事業活動に関するリスク
住友林業グループは、海外で事業活動を展開しているほか、海外商品の取扱い等、海外の取引先と多くの商取引を行っております。各国の政治・経済・社会情勢の変化を注視し、現地の法規制等の遵守、慣習による贈収賄の横行や従業員による着服の防止、重大労災の発生防止等に努めておりますが、特に、住友林業グループの木材の調達先及び製造拠点の一部であり、大規模植林事業も展開しているパプアニューギニアやインドネシアなどの新興国においては、これらのリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。社内管理の不備により、法規制への違反や不法行為などのコンプライアンス違反が発生し、高額の金銭の流出事件が発生したり、現地政府からペナルティを受けたり、死亡労災等を防げずに被災者遺族から多額の損害賠償請求を受けたりした場合、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、住友林業では次のような対策をとっております。
(イ)「住友林業グループ労働安全衛生方針」に定める「SAFETY FIRST(セーフティファースト)」という基本的な考えのもと、海外の各製造拠点においても、労働安全衛生体制の整備に努め、使用する重機の安全装置や作業者の安全装備を充実させるとともに、積極的な従業員教育に取り組んでおります。
(ロ)社内監査、会計監査、税務調査などで発覚した指摘事項を関係会社各社で共有し、より効果的な管理体制の構築に努めております。
(ハ)海外関係会社各社に、贈収賄防止規程を整備しております。
(ニ)海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育や危機管理研修を実施しております。
⑨保有・管理する山林や植林事業地に関するリスク
住友林業グループは、国内社有林で計画的な森林経営を展開するほか、海外でも広大な植林地を管理し、生物多様性の保全や地域社会の発展に貢献するための活動を実施しております。国内外で所有・管理する山林・植林地では、以下のような取り組みやリスク対策を実施しておりますが、大規模な山林火災や病害虫による植林木の損失、誤った伐採量の試算による過剰伐採、地域住民からの反発、環境保護団体からの批判活動が長期間続いた場合には、これらのリスクの顕在化が、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(イ)国内外の社有林及び植林事業地で、植林・育林・収穫を計画的かつ継続的に実施する保続林業の考え方を基本に、持続可能な木材生産に努めております。過剰に木材を伐採することがないよう、施業計画の立案とこれに沿った森林経営を実施しております。
(ロ)山林火災防止のため、火災リスクの高い時期における関係者以外の管理地への立ち入り規制や、数値化した火災リスクに応じた現場オペレーションの制定・遵守等を実施しております。また、火の見櫓から煙の発生を監視したり、パトロールを実施したりするなど、早期の火災発見体制も整備しております。
(ハ)植林木の育成が阻害されないよう、計画的な間伐や下草等の刈払いなどの植林事業地全体の日常的な管理を徹底しております。また、適時生育状況をモニターすることにより病虫害を防止するとともに、獣害防止にも努めております。
(ニ)国内外の社有林及び植林事業地を取り巻く地域社会への貢献に努め、地域社会の発展に寄与する事業を展開しております。特に大規模植林事業を展開するインドネシアやパプアニューギニアでは、地域の雇用創出、ライフライン設備の建設、環境教育等の活動を地道に展開し、地域に根差した活動を目指しております。
(ホ)国内外における森林資源の管理・活用拡大にあたっては、気候変動対策や生物多様性保全に配慮した取り組みを実施しております。具体的には、植林計画立案時の、地形や地質、生息する希少動物の把握に至るまでの詳細な調査実施などに努めております。
⑩情報セキュリティに関するリスク
住友林業グループは、国内外の住宅・不動産事業等においてお客様に関する膨大な個人情報を保有しており、筑波研究所等の研究機関においては長年の研究成果等の大量の機密情報を保有しております。重要な情報の管理には万全を期しておりますが、個人情報等を含む書類・社給端末の盗難、従業員及び委託先等の人為的ミスなどの内部要因による情報漏洩、及び悪意ある第三者からの攻撃などの外部要因による情報漏洩を完全に回避することは困難です。個人情報が外部に流出した場合には、お客様及びマーケット等からの社会的信用の失墜や被害にあわれたお客様からの損害賠償請求を招く可能性や、会社の機密情報が流出した場合には、市場における競争力の低下や共同研究先からの損害賠償請求等を招く可能性があり、これらの情報セキュリティリスクの顕在化は、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、このようなリスクを低減するために、住友林業では次のような対策をとっております。
(イ)全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施しております。
(ロ)個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しております。
(ハ)ハードディスクを暗号化したモバイルパソコン、仮想ネットワーク等を導入し、業務内容や働きかたに合わせたIT環境を整備することで、端末紛失時の情報流出リスクに対応しております。
(ニ)研究・開発に関する機密情報等、企業秘密を取り扱う案件では、必ず関係先と秘密保持契約を締結しております。
(ホ)内部からの情報漏洩と外部からの侵入の両方に対するセキュリティ強化のため、多層防御システムを構築しております。また、システム担当者による情報漏洩を防ぐため、社内システム部門の承認手順を多重化するなどの対策を実施しております。
(ヘ)サイバー攻撃全体への対応として、セキュリティ専門組織であるCSIRT(Computer Security Incident Response Team)・SOC(Security Operation Center)を設置して、有事の際に適切な対応を実現する体制を構築しております。また、有事対応の実効性を高めるため、CSIRT・SOC及び広報などの関連部署を対象にサイバーセキュリティ演習を実施しております。
⑪退職給付会計に関するリスク
住友林業グループは、退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理する方法を採用しております。期初時点での想定よりも年金資産の運用環境が悪化した場合や、退職給付債務の計算に用いる割引率が低下した場合、数理計算上の差異の償却費用が発生し、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入しているほか、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っております。
⑫気候変動・自然や生物多様性の損失などをはじめとする環境に関するリスク
気候変動によって生じる異常気象や、自然や生物多様性の損失などは、住友林業グループの企業努力だけでは回避することが困難であり、地球環境や世界経済に重大な影響を与えるおそれがあると同時に、住友林業グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを経営理念とする住友林業グループでは、持続可能性の観点から気候変動に関するリスクを主要なリスクと捉え、様々な取り組みを実施しております。その内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。
⑬自然災害等による緊急事態の発生に関するリスク
大規模な地震や風水害等の自然災害、戦争、火災、テロ、新型インフルエンザ等を含む重篤な感染症、暴動などの危機事象が発生し、従業員の生命に危機が生じるような緊急事態に陥った場合、事業継続が困難となる可能性があります。住友林業グループでは、そうした事態に備え、全社的な事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。具体的には、緊急事態の発生に伴う事業中断による業績への影響の最小化を目的に、平時における活動と緊急事態発生時の対応方針等の基本事項を定める「BCM規程」を制定し、事象別の事業継続計画(BCP)を策定しております。個別のBCPを実現させるため、データ保存の二重化、安否確認システムの導入、帰宅困難対策、防災訓練、必要物資の備蓄等を実施しているほか、本社機能喪失を想定した代替拠点の整備や、平常時からのテレワーク環境の整備等によるリスクの分散に取り組んでおります。しかし、危機事象の多くは発生を予測することが困難であり、このような対策をもってしてもすべての被害や影響を回避できるとは限りません。
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