日揮ホールディングスグループ(日揮ホールディングス、日揮ホールディングスの子会社58社及び関連会社48社)は、総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業を主たる事業としており、これに加え、機器調達及びコンサルティング等の附帯事業を営んでおります。各事業における日揮ホールディングス及び主要な関係会社の位置付け等は次のとおりであります。なお、次の区分はセグメント情報に記載された区分と同一であります。
総合エンジニアリング事業
当セグメントは、石油、石油精製、石油化学、ガス、LNG、一般化学、原子力、金属製錬、バイオ、食品、医薬品、医療、物流、IT、環境保全、公害防止等に関する装置、設備及び施設の計画、設計、調達、建設及び試運転役務等のEPCビジネスを中心に構成されております。なお、当セグメントを構成する主要な会社は以下のとおりであります。
機能材製造事業
当セグメントは、以下のような分野別製品群からなる事業で各関係会社にて製造・販売しております。
その他の事業
その他の事業は総合エンジニアリング事業及び機能材製造事業以外の事業であり、以下のような分野及び会社で構成されております。
また、日揮ホールディングスグループに対してコーポレート業務を提供する日揮コーポレートソリューションズ㈱があります。
以上に述べた事項の概略は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日揮ホールディングスグループが判断したものであります。
日揮ホールディングスグループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。
「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、日揮ホールディングスグループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。
日揮ホールディングスグループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。
日揮ホールディングスグループは、2021年度から2025年度の5ヶ年を長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ、挑戦の5年間と位置づけ、中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP2025)」において、「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進めております。財務目標として、2025年度に売上高8,000億円、営業利益600億円、親会社株主に帰属する当期純利益450億円、自己資本利益率(ROE)10%を掲げております。
ご参考:BSP2025「3つの重点戦略」
BSP2025の計画3年目となる2023年度において、「EPC事業のさらなる深化」では、海外プラント市場の中長期的な拡大を見据えたプロジェクト遂行キャパシティ拡大の一環として、インドに設立したオペレーションセンターの人員拡大を進めたほか、国内EPC事業の拡大に向けて、国内EPC事業会社である日揮株式会社は、株式会社高田工業所と国内EPC事業を対象とした協業基本合意書を締結しました。今後増加が見込まれる国内の低・脱炭素分野や資源循環分野の案件を共同で遂行し、より多くの案件に対応していく方針です。
加えて、「将来の成長エンジンの確立」における産業・都市インフラ領域の拡大にも関連する取組みとして、海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社が、半導体や蓄電池などの先端技術産業分野のリーディングコントラクターであるExyte社傘下のExyte Singapore Pte. Ltd.と、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの4カ国における同分野のEPCプロジェクトの受注・遂行に関する協業契約を締結しました。同分野での営業活動からEPCプロジェクト見積・受注・遂行を共同で実施し事業拡大を目指していく方針です。また、遂行中の複数の海外EPCプロジェクトにおいて、データ統合管理システムを適用し、EPC役務をシームレスに遂行するデジタル技術を活用したプロジェクト遂行(EPC DX)を本格化させました。
また、当連結会計年度において日揮ホールディングスグループは、日揮グローバル株式会社がタイで遂行中の化学プラント及びサウジアラビアで遂行中の原油・ガス関連プラント建設プロジェクトなどにおいて採算悪化を招くこととなりました。これらプロジェクトにおける採算悪化を重く受け止め、新規プロジェクトの受注に際して、採算性に加えて設計業務に関して適正配員を重視した対応や事業管理体制の見直しや強化などに全力で取り組んでいく所存です。
「高機能材製造事業の拡大」では、触媒・ファインケミカル分野において、同分野の事業会社である日揮触媒化成株式会社は、合成燃料用やケミカルリサイクル用の触媒、及び高速通信材料や半導体用機能性研磨粒子など新規ファインケミカル製品の今後の需要拡大に向けて、現在所有する事業所の隣接地に新たな事業用地を取得しました。
また、ファインセラミックス分野においては、同分野の事業会社である日本ファインセラミックス株式会社は、顧客ニーズに応えるために、電気自動車向けパワー半導体の高熱伝導窒化ケイ素基板の増産に向けて、宮城県富谷市で新工場の建設を開始しました。加えて同社は、東北大学とともに骨再生材料のリン酸八カルシウム(OCP)の量産に世界で初めて成功し、幅広い医薬品・医療機器製造会社との協業を目指してサンプル出荷を開始しました。
「将来の成長エンジンの確立」では、エネルギートランジション領域の水素・燃料アンモニア分野において、日揮グローバル株式会社が、住友商事株式会社の豪州現地法人向け水素製造プラント建設プロジェクトを受注したほか、ENEOS株式会社などがマレーシアで計画するMCH製造プラントの基本設計役務や、日揮ホールディングス及び旭化成株式会社などが共同で推進する、マレーシアにおけるアルカリ水電解システムの建設を含む水素製造プラントの基本設計役務などを受注しました。また日揮ホールディングスは、株式会社クボタなどとともに、大規模な水素製造事業への参入を視野に、輸入したアンモニアを熱分解して水素を得る「大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」を開始しました。
さらに、日揮ホールディングスが石油資源開発株式会社などとともに進める日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討に、JFEスチール株式会社のほか、中国電力株式会社及び日本ガスライン株式会社が参画し、JFEスチール株式会社及び中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所や発電所で排出されるCO2の分離・回収、及びマレーシアまでの液化CO2の海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受入れ、貯留までのCCSバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどを含めた検討を開始しました。
廃食用油を原料とした国産SAF製造・供給事業において、日揮ホールディングスは、外食チェーン大手、金融機関や給食事業などに携わる様々な企業と廃食用油の供給及び利用に関する基本合意書を締結し原料の確保に取り組みました。コスモ石油堺製油所における大規模生産実証設備についても、2024年度下期から2025年度初頭の生産開始を目指して建設工事を進めております。
さらに、将来の市場拡大が見込まれるバイオものづくりに対し、日揮ホールディングスは株式会社バッカス・バイオイノベーションと共同で、微生物の開発・改良から培養槽のスケールアップ、生産プロセスの開発までをワンストップで手掛ける「統合型バイオファウンドリ」事業の構築に取り組むなど、ビジネスモデルの多角化にも取り組みました。
総合エンジニアリング事業
プラントマーケット全般として、天然ガス(LNGを含む)に加えて、低・脱炭素分野等においても、顧客の設備投資計画は引き続き豊富にあるものの、金利上昇や建設費用等の増加により顧客の初期投資費用が増加傾向にあるため、一部の顧客において投資決定時期を先送りする動きが出ております。また中東情勢などの地政学的リスクの高まりや、2024年の政治イベントとして米国大統領選挙などが予定されており、その結果次第では世界経済、ひいては日揮ホールディングスグループのビジネスにも大きな影響を及ぼす可能性があることから、その状況を注視しております。
エネルギーソリューションズ分野では、トランジションエネルギーとしての天然ガス(LNGを含む)の需要は、引き続きアジアやアフリカを中心に拡大していく見通しです。これを背景に中・長期的なエネルギーの安定確保と低・脱炭素社会の実現を見据えたLNGなどの設備投資計画が、引き続き進展していく見通しです。
サステナブルソリューションズ分野では、世界的な低・脱炭素化の潮流を受け、水素・燃料アンモニアやSAF、CCS、合成メタン(e-methane)などの低・脱炭素分野のプラント建設計画が本格的に動きだしており、政府による導入目標などのイニシアチブや補助金によるサポートも受けながら顧客の設備投資計画が実現していくことを期待しております。
ファシリティソリューションズ分野においては、世界的なデジタル産業の拡大や生産拠点の多様化などに伴って、需要が高まる半導体や蓄電池の周辺産業、及びデータセンターなどの設備投資計画が北米やアジアなどで引き続き進展していく見通しでおります。
国内分野においては、水素・燃料アンモニア、SAF、廃プラスチックガス化などを中心とする低・脱炭素分野や資源循環分野において、顧客の設備投資計画が実現していくことを期待しております。一方で、政府による補助金交付の遅れや建設費用等の増加によって、顧客の初期投資費用が増加傾向にあることから、一部の顧客において投資決定時期を先送りする動きが出ており、その動向を注視しております。また、ライフサイエンス分野でも顧客の設備投資が引き続き継続していく見通しであるほか、既存製油所・化学プラントの保全工事においては、2024年度はメジャー年に当たり、定期修繕工事の需要が増加する見通しです。
機能材製造事業
触媒分野においては、FCC触媒の国内シェア拡大及び海外展開に加え、水素化処理触媒の協業先企業との体制維持と収益性向上、ケミカル触媒の新規案件獲得、拡大するカーボンリサイクルやケミカルリサイクル分野に対応する新規ケミカル触媒の製品化、再生可能エネルギー発電向け環境保全触媒の材料開発などを目指します。ファインケミカル分野においては、主力であるエレクトロニクスや半導体市場の事業環境悪化の影響が懸念されるものの、シリカゾルの新規研磨材の立上げ、機能性塗料材の拡販及び多用途展開、化粧品材のプラスチックビーズ代替拡大とオプト材の拡販、多用途展開に注力してまいります。
ファインセラミックス分野においても、半導体製造装置市場の事業環境が引き続き停滞する影響が懸念されるものの、新規顧客獲得や新分野参入のほか、高熱伝導窒化ケイ素基板のさらなる受注拡大に取り組んでまいります。
日揮ホールディングスグループの事業その他に関する主要なリスクとして、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下に記載したリスクは日揮ホールディングスグループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
日揮ホールディングスグループは、これらのリスクに対処するため、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおり、グループリスク管理委員会を含む必要なリスク管理体制を整え、リスクの管理及び対応を行っておりますが、それらの対応が有効に機能しない等により、これらのリスクの顕在化及び当該リスクによる日揮ホールディングスグループへの影響を完全には回避できない可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日揮ホールディングスグループが判断したものであります。
① プロジェクトの受注及び遂行に関するリスク
総合エンジニアリング事業においては、オイルメジャーや国営石油会社が顧客となる国際的な大規模プロジェクトを遂行しております。このようなプロジェクトにおいて設計、調達及び建設する各種プラントは、数多くの異なる要素や機能で構成される複雑なシステム総合体であり、また、契約締結からプラント引渡しまで長期間にわたるプロジェクトも多いため、その間の政治・社会情勢の変化、政策の変更その他顧客を含む取引先の状況等の変化による受注後のプロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等のリスクを含む総合エンジニアリング事業におけるリスクの見積りには複雑性を伴い高度な技術力及び豊富な経験を要します。上記のリスクが顕在化した場合、代金回収及びプロジェクトの採算に大きな影響を与えることがあります。また、パートナー企業と責任を分担するジョイントベンチャー又はコンソーシアムを組成し、受注することがあります。この場合、パートナー企業のプロジェクト遂行能力の不足、分担業務の不履行やパートナー企業の財政状態の悪化等が生じた場合、日揮ホールディングスがパートナー企業の債務を負担することとなり、大幅な追加費用の負担が発生し、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況<プロジェクトリスク管理>」に記載のとおり、リスク管理体制を整備し、各プロジェクトの案件選別段階、見積・応札段階及び遂行段階においてリスク低減に努めております。
② カントリーリスク
仕向地や現地工事を行う国や地域で不安定な政情、戦争、革命、内乱、テロ、経済政策・情勢の急変、経済制裁等のいわゆるカントリーリスクが顕在化した場合、総合エンジニアリング事業においては、プロジェクトの中止、中断又は延期、工事従事者の動員及びプラント建設に要する資機材調達の遅れ等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業においては販売取引の減少及び売上債権を回収できないこと等により、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおり、リスク管理体制を整備し、カントリーリスクの低減に努めております。
また、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、カントリーリスクに応じて、貿易保険の利用並びに顧客及びベンダーとの契約交渉に際しての適切な不可抗力条件の設定等の対策を実施しております。加えて、テロ、紛争等の地政学リスク・治安リスクに対する海外駐在員の安全対策については、日揮ホールディングス危機管理統括部が中心となり、平時の情報収集・分析の強化、各種予防策の拡充等に取り組むとともに、有事においては日揮ホールディングスグループ危機管理基本規程に基づく緊急対策本部による対応等、危機管理機能の更なる強化に努めております。
③ 自然災害・疫病等に関するリスク
日揮ホールディングスグループが事業活動を展開する国や地域において、地震、豪雨、暴風雨等の想定を超える自然災害や感染症の世界的流行(パンデミック)に見舞われた場合、総合エンジニアリング事業において建設工事の中断又はやり直し等によりプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業において事業所・工場の操業停止や生産能力低下等が発生し、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループでは、特にグループ各社の本社、建設現場、事務所・工場等の拠点ごとに自然災害発生時の対応手順を規定化し、安否確認システムの導入及び防災訓練等を実施するほか、リスクに関する情報の収集及び不可抗力条件等の顧客との契約条件の設定等の対策を実施する等、リスク低減に努めております。
④ 為替変動リスク
日揮ホールディングスグループは、海外売上高のほとんどが外貨建て契約となっているため、為替レートが急激に変動した場合、日揮ホールディングスグループの受注、売上及び損益に影響を与える可能性があります。
このリスクに対して、複数通貨建てによるプロジェクトの受注契約をはじめ、各事業会社において、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、海外調達、外貨建ての発注及び為替予約等の対策を状況に応じて実施し、リスクの低減に努めております。
⑤ 工事従事者の不足、賃金高騰リスク
総合エンジニアリング事業においては、プラント建設地において工事従事者が不足した場合、工事従事者の賃金が高騰した場合には、建設工事の遅延及び建設工事費用の増加によりプロジェクトの採算が悪化し、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、主要プラントマーケットにおける建設労働力動向をモニタリング・予測するとともに、モジュール工法を採用した現地工事の最小化や、現地建設工事に豊富な実績を有する企業との協業のほか、人件費高騰に対する契約面での対策等により、リスクの低減に努めております。
⑥ 資機材・原燃材料費等の高騰リスク
日揮ホールディングスグループでは、プラント建設に要する資機材費等の見積後、発注までにタイムラグがあるため、この間に経済制裁措置や紛争によるエネルギーなどの需要圧迫や国際輸送の混乱、世界経済のインフレーションを含む社会情勢の急激な変化による部材供給不足等に起因して、日揮ホールディングスグループの予想を超えて資機材・原燃材料費及び輸送コストが高騰する可能性があります。
この場合、総合エンジニアリング事業におけるプロジェクトの採算が悪化するほか、機能材製造事業において利益率が低下する可能性があるうえ、資機材・原燃材料の調達及び供給スケジュールが遅延する恐れがあり、このような日揮ホールディングスグループの予測を超えた資機材・原燃材料費及び輸送コストの高騰による影響が続いた場合、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループは、経営環境の変化や価格動向のモニタリング・予測、予測精度向上に向けた取組み、早期発注、調達先の多様化、製品価格への転嫁、先物取引の活用、並びに契約面での対応等の対策を実施し、リスクの低減に努めております。
⑦ 投資に伴うリスク
日揮ホールディングスグループは、既往のインフラ事業、ヘルスケア事業への投資に加え、中期経営計画「BSP2025」に基づく施策としてデジタルやM&A、生産設備、事業開発、商業実証、研究開発などの形態で成長戦略投資の取組みを行っております。これらの投資を実行する中で、投資先やパートナーの業績や財政状態を含む事業・投資環境に想定を超える事態が生じた場合、期待通りの収益が上げられないリスク、投資の一部又は全部が損失となる、又は追加資金拠出が必要となるリスクがあります。また、パートナーとの経営方針の相違、投資の流動性の低さ等により、日揮ホールディングスグループが希望する時期や方法で撤退できないリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、新規投資の実行に当たっては、審査要領を設け投資の意義・目的を明確にしたうえで、取締役会やグループ投融資委員会による審議を経るとともに、既存投資のモニタリングを強化する等、リスクの低減に努めております。
⑧ 法令及び規制に関するリスク
日揮ホールディングスグループは、事業活動において税法、建設業法等の事業関連法規、国内外の環境に関する各種法令、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、汚職等の腐敗行為防止のための諸法令、人権保護に関する法令及び原則、事業及び投資に対する許認可等の制約を受けております。日揮ホールディングスグループによる各種法令等違反が生じた場合や、関係する各種法令等の大幅な変更又は予期しない解釈の適用が行われた場合には、日揮ホールディングスグループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、日揮ホールディングスグループに対する過料・課徴金・罰金等の制裁、日揮ホールディングスグループの社会的評価の毀損等により、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループは、国内外の法令及び規制等を遵守するため、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑤ コンプライアンス」に記載のとおり、グループ会社間の垣根なくコンプライアンスの情報共有を行う場としてグループ横断型のコンプライアンス・コミッティーを設けたうえ、主要なグループ会社にコンプライアンス責任者を配置し、指揮下のコンプライアンス部門担当者とともに、各社の実情に合った施策を立案・実施するグループ・コンプライアンス体制を構築しております。
日揮ホールディングスグループでは、日揮ホールディングスガバナンス統括オフィスコンプライアンスユニットが、日揮ホールディングスグループ全体を対象としたコンプライアンス推進のための総合的な施策策定や調整等の機能を担っており、コンプライアンス向上に向けた取組みとして、階層別及び目的別(腐敗防止も含む)の各種コンプライアンス研修の実施や、コンプライアンスに関する社内及び取引先などの相談・通報窓口として、専門の第三者機関が受付を担当する相談・通報窓口の整備・運用など、コンプライアンス上のリスクの未然防止や早期発見に資する取組みも実施しております。特に、贈賄防止においては、日揮ホールディングスグループ贈賄防止関連諸規定の整備及びこれらに基づく贈賄防止プログラムを展開し、日揮ホールディングスグループと取引を行うステークホルダーに対するコンプライアンス上の事前審査や契約書への贈賄防止文言の反映等の取組みを行っております。また、輸出入貿易規制に関しては、各種法令等違反による重大な悪影響が発生し得ることを踏まえ、日揮ホールディングスの輸出関連法規遵守委員会が、日揮ホールディングスグループにて調達活動を行う国や地域の輸出管理に関する法令遵守の徹底に係る指導監督を行っております。
⑨ 情報セキュリティに関するリスク
日揮ホールディングスグループは、事業活動において重要な営業情報や技術情報、顧客から入手した個人情報等の機密情報を保有しております。これらの情報は、停電、災害、サーバー・ネットワーク機器の障害、情報端末の紛失・盗難、サイバー攻撃、マルウェアの感染等により、漏えい及び消失するリスクがあります。これらの事象が発生した場合、多額の費用負担が発生するほか、顧客の信頼を失うことで日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループは「日揮グループ情報セキュリティ方針」及び「日揮グループ情報セキュリティ指針」を策定して情報セキュリティマネジメントシステムを構築し、継続的な見直し、改善、向上を図ることで重要な情報システム、ネットワーク設備及びIT資産の保護に努めております。主要グループ会社それぞれにおいても、各社のトップマネジメントを中心に、情報セキュリティの推進・維持を行う情報セキュリティシステム推進体制を構築しており、法令・規則等に準拠した情報セキュリティ関連規定の策定、各社に配置した情報セキュリティ統括責任者及び情報セキュリティモニタリング責任者を通じた情報セキュリティマネジメントシステムの確立、導入、計画、運用、モニタリング、継続的改善に取り組むPDCAサイクルを実施しております。
具体的な取組みとしては、ゼロトラストを前提とした不正アクセスの防止策、マルウェア対策及び暗号化技術の採用等の物理的なセキュリティ対策を講じるとともに、定期的なセキュリティ監査と脆弱性評価、緊急時対応計画の策定と実施、役員・従業員への教育研修及び訓練を通じた情報セキュリティの重要性の周知徹底等の適切な措置を通じたグループすべての従業員の情報セキュリティへの意識向上に取り組むことにより、情報セキュリティの強化を図り、リスクを低減しております。また、日揮ホールディングスグループでは代表取締役社長が委員長を務めるグループリスク管理委員会において情報セキュリティに関わるリスク管理について審議しているほか、代表取締役社長を委員長とするグループ情報セキュリティ委員会を原則年2回開催し、日揮ホールディングスグループ全体での情報セキュリティ対応状況を把握して組織横断的な調整を図りつつ、対応強化の立案と審議を行っております。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、予期せぬサイバー攻撃やマルウェアの侵入等による機密情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避することはできません。これらのリスクが顕在化した場合、日揮ホールディングスグループの事業及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 品質に関するリスク
日揮ホールディングスグループは、調達品等の品質不良、不具合の発生防止を含め、納入品の品質確保に努めておりますが、納入品の性能、品質に起因して顧客、取引先又は製品使用者から国内外で請求を受け、また、訴訟等を提起された場合、大規模な納入品回収や損害賠償責任の発生等に加え、日揮ホールディングスグループの社会的評価に影響を及ぼすことが考えられ、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループは、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを構築し、長年に亘って蓄積してきた知識や技術、教訓を結集し、システムと人財をグローバルに活用して、品質確保に係る活動を推進しております。各主要グループ会社においては、社長の下に品質保証委員会などの会議体が設置されており、品質マネジメント活動が社長のレビューにて総括される品質マネジメント体制が構築されております。また、これら各社では、上記品質マネジメントシステムに基づき、品質方針を策定しております。組織の各階層が方針に基づく品質目標を設定して組織の課題を明確化し、品質目標とアクションプランのPDCAサイクルを回すことにより、継続的なパフォーマンス改善を図っております。その上で、上記の品質保証委員会などの会議体が定期的に開催され、高品質のプロダクトやサービスを提供するため、品質上の問題の根本原因を究明、有効な再発防止策を含めた改善活動を推進し、その成果を評価して継続的な改善を実践しております。こうした品質マネジメントの活動は、各社において年に一度、社長によるマネジメントレビューを実施して総括し、品質保証に関わる枠組みの整備と改善を継続的に実施しております。また、日揮ホールディングスグループでは、これらのリスク対策に加えて、製造物責任賠償保険(以下、「PL保険」という。)に加入する等の対策も講じておりますが、上記のリスクの発生を完全に回避できる保証はなく、また、PL保険には損害補償額等の制約に服するため損害の全てを回避できない可能性があります。
⑪ マクロ経済環境、社会・国際情勢の変化に関するリスク
日揮ホールディングスグループは、グローバルに事業を展開しており、日揮ホールディングスの業績も海外諸国の経済動向、社会・国際情勢の変化、地政学的情勢、経済制裁、保護貿易の状況等の影響を受けます。特に原油や天然ガス等のエネルギー価格は世界の景気動向に加えて、資源輸出国の生産動向、各国のエネルギー政策、さらにはロシア・ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢及び関連する経済・金融制裁の動向によって今後も上下する状況が続くとみられます。エネルギー資源の価格の変動が世界的な景気後退につながる場合には、日揮ホールディングスグループの顧客企業の設備投資の低下を招き、開発案件数の減少による競合企業との競争の激化等により、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
総合エンジニアリング事業においては、世界的な景気後退により、顧客企業、パートナー企業、資機材発注先、現地建設工事会社等の取引先の財政状態の悪化等が生じ、プロジェクトの計画変更、中止、中断又は延期等及び現地建設工事又は資機材調達の遅れによるプロジェクト遂行への悪影響、並びに取引先からの代金回収に影響を及ぼす可能性があります。また、機能材製造事業においては、米国による対中輸出規制強化による先端半導体産業の事業環境の悪化等及び機能材出荷先の所在国における規制強化に伴う製品排除により、売上や利益率に悪影響が生じる可能性があります。
これらのリスクに対して、日揮ホールディングスグループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ⑦ リスク管理体制の整備の状況」に記載のとおりリスク管理体制を整備しており、グループリスク管理委員会及び経済安全保障・地政学リスク検討タスクフォース等によるグループ横断でのマクロ経済環境、社会・国際情勢の変化に関するリスクに係る情報収集、分析及び共有を行っております。加えて、各事業会社において、日揮コーポレートソリューションズ株式会社におけるコーポレート部門によるサポートのもと、各EPCプロジェクト及び機能材製造事業に影響するこれらのリスクの把握、分析及び低減を一次的に行うことで、早期にこれらのリスクを把握し、調達及び機能材に係る取引先の分散、並びにEPC及び製品価格への転嫁等を通じて、効果的に対処できるよう努めております。
⑫ 気候変動に関するリスク
気候変動に関するリスクとしては、建設現場及び製造現場などで自然災害リスクが高まる可能性があります。また、パリ協定の長期目標を踏まえた脱炭素化社会の実現に向けた動きが国際的に進む中、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入等が実施されるほか、企業を中心とした民間部門の自主的な取組みにより、想定を上回るスピードで化石燃料及び化石燃料由来の製品需要が減少した場合、顧客企業の化石燃料関連への投資抑制、顧客企業の事業内容自体の変更実施等、日揮ホールディングスグループの顧客企業の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。これにより、化石燃料に関連した開発案件数の減少及び限られた案件の受注を巡る競合企業との競争の激化等による価格低下が起こる可能性があります。日揮ホールディングスグループがこうした事業環境の変化に対応できない場合には、日揮ホールディングスグループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクに加えて、社会や産業全般の変化等日揮ホールディングスグループを取り巻く事業環境が変化するリスクに対し、足元の事業環境の変化に対応しつつ、日揮ホールディングスグループが持続的に成長していくための取組みを推進してまいります。なお、日揮ホールディングスグループは、2021年5月に公表した長期経営ビジョン「2040年ビジョン」に基づき、地球環境と人類の健康に関わる課題解決への貢献を目的とし、ビジネス領域をエネルギートランジションやヘルスケア・ライフサイエンス等の幅広い領域へトランスフォーメーション(変革)させていくほか、ビジネスモデルのトランスフォーメーション、さらにそれらを支える基盤としてグループ内の組織のトランスフォーメーションに取り組んでおります。また、国内外で実績を上げ始めている非化石燃料、資源循環、再生可能エネルギーなどの分野のプロジェクトの受注、遂行に加え、これらトランスフォーメーションを通して日揮ホールディングスグループは、脱炭素社会の実現に向けた取組みをこれまで以上に推進し、持続的な成長を図ってまいります。
⑬ 知的財産に関するリスク
日揮ホールディングスグループでは、国内外を問わず広く事業を展開しており、複数国に設計、製造又は建設現場等の拠点があります。各国における知的財産制度の理解に努め、情報収集を行っております。一方で、国によっては十分な情報が得られず、第三者の権利状況を把握することが困難な場合があり、第三者の知的財産権を意図せずに侵害してしまう可能性があります。
これらのリスクに対応するため、日揮ホールディングス内にガバナンス統括オフィス知的資産ユニット、及び日揮ホールディングスグループのコーポレート機能業務を集約した日揮コーポレートソリューションズ株式会社内に知的財産部を配置し、日揮ホールディングスグループの知的財産に関するガバナンスを強化する体制を整備しました。第三者の知的財産権を尊重して適切な対応を図り、特許紛争などを未然に防止することに引き続き注力します。また、リスクのさらなる低減に向けて、日揮ホールディングスグループ及び第三者の知的財産の重要性を認識するため、知的財産に関する社内教育の実施及び情報発信等の啓発活動を行うとともに、関連部門間による第三者の知的財産権のモニタリング及び知財リスクの特定・分析・対策に努めてまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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