タウンズは感染症臨床検査用の抗原検査キットメーカーとして、創業以来30年以上の長きにわたり、さまざまな分析技術を応用した体外診断用医薬品等を製造し、国内を中心として海外にも販売しております。高品質な製品と顧客サービスを提供する企業として、医薬品卸売販売業者を通じてエンドユーザーとして病院及び開業医のみならず、WHO等の国際機関、研究機関やバイオベンチャー企業等にも製品を提供し、事業活動を行っております。
タウンズは、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
タウンズ主力製品は、イムノクロマト法※を利用することで、特別な装置を必要とせず患者のそばで迅速な診断を可能な抗原検査キットであります。他の検査手法としては例えばPCR検査が挙げられますが、PCR検査は検出する対象が核酸であるため、イムノクロマト法を利用した抗原検査キットの検出対象であるウイルスタンパク質とは性質が異なり、また検査の特性・目的も異なります。判定時間・手技の簡易さ・検査コスト等の観点から、タウンズは感染症検査のマーケットのニーズには、イムノクロマト法を利用した製品がより適していると考えております。
※ イムノクロマト法:この方法を利用した代表的な検査薬としては、薬局等で広く販売されている妊娠診断薬が挙げられます。この検査法のおおまかな原理は、以下のとおりになります。①テストプレートの試料滴下部に検体を滴下すると、検体はテストストリップへ浸透します。検体中の標的抗原は、コロイド等に標識された標識抗体との反応が始まります。この標識抗体は、標的抗原に対して特異的に結合する抗体を使用しております。②標的抗原と標識抗体を含む溶液はメンブレン内を毛細管現象により展開しながら、さらに標的抗原と標識抗体との反応が進みます。③標識抗体と反応した標的抗原の複合体は、メンブレン上に固定化された抗体(判定ライン)と標的抗原が反応し標識抗体と標的抗原の複合体が捕捉されます。この結果、判定ライン上に標識物が集積しラインとして目視判定が可能となります。④標的抗原と反応しなかった標識抗体は、標識抗体認識抗体(コントロールライン)と反応し、標識物が集積しラインとして目視判定が可能となり、検査が正常に機能したことを示します。陽性であれば2本のライン、陰性であれば1本のラインが出現、出現したラインを目視で確認するだけの簡便な検査法であります。
<イムノクロマト法の原理>
※ 各部の名称:テストストリップは標識抗体を含むパット部から吸収パッドまですべての部材を含むものを指しております。①検体滴下部では、滴下した標的抗原と抗体が結合する反応が起こります。メンブレンは図中のとおり、検体と標識抗体が展開される部位を指します。また、図の下段で示しているとおり、図①~④の一連の反応が起こるテストストリップはプラスチック製のカバーで覆われますが、これらを総合してテストプレートと呼びます。
タウンズの製品の特長としては、以下の事項が挙げられます。
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検体抽出液の共通使用 |
検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVで共通使用が可能 |
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検体抽出液の共通化の大きなメリットは、1回の検体採取、1回の抽出操作で、複数項目を検査できる点にあります。新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症の診断においては鼻咽頭ぬぐい検体が使用されますが、検体採取において鼻咽頭部(鼻腔の最奥)までスワブを挿入する必要があり、軽微ながらも痛みを伴うことがあります。検体採取を一度で完了させることができることは、被検者と医療従事者双方において検体採取における負担が軽減され、また業務効率の観点からも有益であると考えております。 |
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ブラックライン |
独自開発のナノテクノロジー「白金-金コロイド」採用により判定ライン・コントロールラインを視認性の高いブラックラインで表示 |
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他社イムノクロマト法製品においては、標識物が金コロイド粒子又はカラーラテックスが主流となっておりますが、タウンズは独自の白金―金コロイド粒子を用いております。タウンズ技術の白金―金コロイド粒子を用いると判定ラインは黒色となりますが、金コロイド粒子では赤紫色、カラーラテックスでは主に赤色と青色となります。従来技術の色調と比較し、当該技術を用いた黒色のラインは背景となるメンブレンの白色とのコントラスト差が大きくなるため、判定ラインの視認性が高くなると考えております。 |
ユーザーからは、タウンズ製品の使用感として、①独自のブラックラインを用いた判定ラインの見易さ(視認性)、②診断の正確性(感度・特異度)、③キットに同梱されている綿棒(コパン社製)の使いやすさと患者に対する侵襲性の低さ、④高感度を保ったうえでの判定時間の短さ、が主に評価され、これらの理由からタウンズ製品を選択頂いているケースが多いものと認識しております。
タウンズの主な製品は、以下のとおりであります。
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製品名 |
一般的名称 |
製品の特長 |
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イムノエース®Flu |
インフルエンザウイルス抗原検査キット |
・判定時間※は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・アデノ・hMPV・RSV Neoと共通使用が可能 |
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イムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ |
新型コロナウイルス抗原検査キット |
・判定時間は10分(陽性は10分より前でも判定部[T]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®Flu・アデノ・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 |
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イムノエース®SARS-CoV-2 Saliva |
新型コロナウイルス抗原検査キット |
・唾液を検体とした抗原定性検査キット ・判定時間は20分(陽性は20分より前でも判定部[T]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・スワブによる侵襲がなく、くしゃみによる飛沫発生もない |
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イムノエース®SARS-CoV-2/Flu |
新型コロナウイルス抗原検査キット インフルエンザウイルス抗原検査キット |
・SARS-CoV-2とFluを同時に検査 ・判定時間は15分(陽性は15分より前でも判定部[T]又は[A]又は[B]及び[C]の両方にラインが認められた場合には判定可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース® アデノ・hMPV・RSV Neoと共通使用が可能 |
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イムノエース® アデノ |
アデノウイルス抗原検査キット |
・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・hMPV・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 |
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イムノエース®Strep A Neo |
A群β溶血連鎖球菌抗原検査キット |
・判定時間は5分 ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 |
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イムノエース®hMPV |
ヒトメタニューモウイルス抗原検査キット |
・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液は(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・RSV Neo・Flu/RSVと共通使用が可能 |
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イムノエース® マイコプラズマ |
マイコプラズマ抗原検査キット |
・判定時間は15分(陽性は5分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み咽頭・角結膜用スワブを採用 ・取り違い防止のため、アルミシールにMycoと印字し、紫に着色した検体抽出液容器(本体及びノズル)を採用 |
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イムノエース®RSV Neo |
RSウイルス抗原検査キット |
・判定時間は5分(陽性は3分から判定が可能) ・判定ラインはブラックライン ・ナイロン軸で植毛タイプの滅菌済み鼻腔用スワブを採用 ・検体抽出液(鼻咽頭ぬぐい液)はイムノエース®SARS-CoV-2 Ⅲ・SARS-CoV-2/Flu・Flu・アデノ・hMPVと共通使用が可能 |
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イムノエース® ノロ |
ノロウイルス抗原検査キット |
・判定時間は10~15分 ・判定ラインはブラックライン ・滅菌済みスポンジスワブを採用 ・検体抽出液容器の取り違い防止(検体抽出液容器・ノズルを淡橙に着色)を採用 ・スワブ輸送用チューブを付属 |
※ 判定時間:各キットで定められた陽性・陰性判定を実施する時間のこと。通常、抗原検査キットにおいては陰性であることを確認(判定)することで本検査を終了しております。キットによっては判定時間まで待つことなく陽性判定を行うことができ、このような場合は判定時間に関わらず陽性判定できます。
[事業系統図]
タウンズの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、タウンズが判断したものであります。
(1)経営方針
タウンズは、「私たちタウンズは、独自の体外診断用医薬品により、人々の生活に安心と潤いを届けます。そのために、技術・知識を集積し、新たな製品の開発、品質改善に取り組み続けます。」を経営理念としており、より良い製品を世界に向けて発信し続けることを方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
タウンズは、体外診断用医薬品の競争力を強化し、業績を向上させていくことが重要であると認識していることから、中期経営計画策定に当たり重視している経営指標は、売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率、EBITDA及びEBITDAマージンとしております。
(3)経営戦略等
タウンズは、「診断技術で、安心な毎日を。」をコーポレートスローガンとして、世界の安心な毎日を創るために、感染症POCT※1分野において、創業以来30年以上の長きにわたり、多くの製品を開発・販売し、世界に向けて高品質な製品の提供を目指しております。2020年10月に新型コロナウイルス抗原検査キットの製造販売承認を得て「イムノエース®SARS-CoV-2」の販売を開始する等、現状においても国内のPOCT市場を牽引していると自負しております。今後に向けては、新たな事業の柱を築き更なる高付加価値企業となるべく、以下の戦略を推進しております。
① 新たな検査技術の開発
タウンズは、既存のイムノクロマト法に加えて、高付加価値な次世代の検査技術の開発に取り組んでおります。
開発中のD-IA(デジタルイムノアッセイ)※2は、抗原検査キットと同等の簡易な操作性でありながら、ラボレベルの検査にも比肩し得る高い精度の検査を、小型かつ安価な装置で迅速に実施できることが最大の特長であります。
ディスク型の装置に検体をセットすれば同時に最大で8検体を検査でき、1名分の検体を最大8項目同時(例えば風邪症状の患者の検体を、新型コロナ、インフルエンザ、アデノウイルス、溶連菌、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス等複数の呼吸器検査項目を同時に検査することや、性感染症疑いの患者検体を、HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎等複数項目を同時に検査することを想定)に検査したり、あるいは1項目であれば最大8名分を同時(例えばクリニックの繁忙期や、大量の検査を日常的に実施する検査ラボにおいて、同時に8名分の検査を行うことで検査の効率化・迅速化に貢献)に検査する等、さまざまな使い方が想定できます。また定性検査のみならず、定量検査も可能であります。タウンズはD-IAにより、POCT検査を質的にも量的にも進化させ、クリニック環境においてラボレベルの検査を簡易に行えるようにすることを目指しております。D-IAの他にも、血中のバイオマーカーを定量的に測定することができる小型血液検査装置や尿中バイオマーカーを簡便に測定できる尿検査システムの開発、新たな抗体取得技術による高性能な抗体の創出、体内の免疫細胞状態を解析するアプローチを用いた診断技術の開発、全ゲノム検査への取り組み等、タウンズの技術基盤の強化に向けて様々な角度から取り組んでおります。
② 慢性疾患領域への進出
タウンズは、血中の亜鉛濃度を測定して亜鉛欠乏症の診断を行う「アキュリード 亜鉛」を皮切りに、慢性疾患分野への進出に取り組んでおります。具体的には、免疫プロファイリング※3を活用した血液検体によるがんのコンパニオン診断※4、POCTによるがんのリキッドバイオプシー※5検査、簡易尿検査システムによる腎疾患検査、イムノクロマト法による歯周病検査キット等、様々な製品の開発を進めております。
③ 予防・未病領域の開拓への取り組み
タウンズは、予防・未病領域への取り組みとして、低侵襲※6に取得できる検体を用いたホームテストの活用とそこから得られる健康情報の解析や、各医療機関と連携した検体データベースの構築に向けた準備を進めております。それらを活用することで、新たなバイオマーカーの発見や、予防・未病領域向けの新たなPOCTの開発に繋げていきます。
④ 海外展開
タウンズの海外展開は、短期的には既存製品を取扱う各地域の代理店網の強化を進めております。中期的には品質を維持しつつコストを抜本的に見直した海外向け仕様品の開発・展開、長期的には新開発の高付加価値製品の投入を行っていきます。
⑤ 新工場設立
タウンズは、新工場の設立を計画しております。今後の事業成長に向け、既存製品向けの製造ラインの増設に加えて、新製品に対応した製造ラインを設置し、またFactory Automationの推進により人員数の効率化を実現すると共に、品質の安定化を進めます。加えて、広大な敷地を活用して原材料在庫の十分な保管スペースを確保することで、倉庫費や物流費の削減が可能となることや、従来の1拠点のみの生産体制から2拠点体制に移行することで、緊急事態時にも生産ラインを止めることなく事業継続が可能となるBCP面の効果も想定しております。
⑥ 知財・戦略投資
タウンズは、慢性疾患領域への進出を始めとする事業ドメインの拡大・強化に向けて、10年後のビジョンと現状の技術基盤を比較し、不足している・強化すべき領域を中心に、知財への投資や技術提携先への資本投資を戦略的に行ってまいります。
⑦ 戦略人事
タウンズは、今後事業領域を拡大して国内外で高い成長を続けていくために必要なのは、それを実現する人財の登用と、最大限能力を発揮してもらうための仕組み、現社員と融和した組織作りだと考え、重要課題の解決に直結する戦略人事を実行してまいります。
※1 POCT:Point Of Care Testingの略になります。日本医療検査学会(旧:日本臨床検査自動化学会)POCTガイドラインによると、「臨床現場即時検査」として定義され、被検者の傍らで医療従事者が行う検査であり、検査時間の短縮及び被検者が検査を身近に感ずるという利点を活かし、迅速かつ適切な診療、看護・疾病の予防、健康増進に寄与し、ひいては医療の質、被検者のQOL(Quality of Lifeの略。生活の質の向上)及び満足度の向上に資する検査としております。
タウンズの製品群であれば、イムノクロマト法を原理とするインフルエンザやSARS-CoV-2等の抗原検査キットが該当しております。
※2 D-IA(デジタルイムノアッセイ):デジタルイムノアッセイ(digital immunoassay)の略称であり造語であります。新規検出原理として研究開発を進めている検出プラットフォームの1つであります。金コロイド標識抗体を使用し、抗体抗原反応の後、専用ディスク内の反応部位に金コロイド標識抗体と抗原の複合体を捕捉し、その後標識物である金コロイド粒子のみ科学的に遊離させます。遊離させた金コロイドのみ移動させ光学的に検出します。金コロイド標識抗体等の移動は専用ディスクを回転させることにより生じる遠心力を利用しております。従来の金コロイド粒子の検出方法は、イムノクロマト法に代表されるように金コロイド粒子の集積により生じる赤紫色の呈色を検出するものでありますが、D-IAにおいてはレーザーを照射し金コロイド1粒子からそれぞれ生じる散乱光を検出します。1粒子カウントを可能とすることから「デジタル」検出が可能となり、本検出原理名称の由来ともなっております。金コロイド粒子そのものを1粒子カウントすることで、抗原低濃度領域における高感度検出が可能となり、また粒子カウントによる定量検出も可能となります。
※3 免疫プロファイリング:患者血液中のT細胞やB細胞等、細胞性免疫機構に関わる細胞の状態(免疫細胞集団の状態)を指します。患者の病態の進行により、細胞集団の状態は変化します。がんの発生には免疫システムが密接にかかわっていることが示唆されており、免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞により抑制されていた免疫システムを抑制状態から解放し再活性化することにより、自己免疫細胞によりがんを治療する方法(免疫療法)として知られております。ただし、がん細胞を攻撃する細胞集団が免疫療法に適した状態でないと、十分な効果が期待できません。そのため、抗がん剤の一種である免疫チェックポイント阻害薬の投与前に免疫プロファイルを測定し、免疫療法に適した状態であるかを事前に知ることは治療効果を予測するうえで有用と考えられます。
※4 コンパニオン診断:コンパニオン診断とは、投与される医薬品の効果や副作用を事前に予測するために実施される検査であり、治療前に実施することによりある治療法がその患者に適しているかを事前に確認することができます。患者が有する遺伝的特性や治療時の免疫プロファイルの状態を基に、適切な治療法を選択することができ、より効果的な治療が可能となります。コンパニオン診断により、患者ごとに効果が高く副作用の少ない治療が選択できるため、治療効果を高め、ひいては患者のQOL向上に資することができます。また、特にがん領域においては、免疫チェックポイント阻害剤等の高額治療も存在しており、コンパニオン診断による効果的な治療法の選択は、医療費低減への貢献も期待されます。
※5 リキッドバイオプシー:血液や尿といった採取された体液等、さまざまな検査に用いることができる液状の検体を用いた検査(液体生検)の総称であります。がんの検査においては、一般的に体内から臓器等の組織片を採取する生検が実施されます。当該生検は内視鏡や太い針により組織片を採取する方法でありますが、患者への身体的負担が大きい点が課題であります。また、がんの種類や採取部位によっては生検であっても十分な量の組織片を確保できません。近年、がんの種類や進行度等に応じて、がん細胞に由来する核酸(DNAやRNA)が血液中に滲出していること、また血液中に遊離し循環しているがん細胞由来のDNAを回収して、がん細胞特有の遺伝子異常を包括的に検出することも実施されております。採血は組織生検に比べ侵襲性が低く、繰り返し実施できる医療行為であり、リキッドバイオプシー検査はがん検査を変える可能性を有しており、一般的な組織生検を補完しつつある技術であります。
※6 低侵襲:医療行為において、採血で静脈に針を刺す行為や胸部X線撮影において放射線で被曝させること、また手術で開腹するために切開すること、これはすべて侵襲性のある行為となります。これらの医療行為においては痛みや身体的負担を生じ、医療行為によりその程度は異なります。医療行為により侵襲性は異なり、身体へ与える影響が少ないものを低侵襲性又は非侵襲性と称しております。一般的に採血等の行為は最低限の侵襲性に留まっており、低侵襲性であるとされております。検体採取において無痛針を利用することで採血時の痛みを低減又は無痛にする等、より侵襲性の低い検体採取法の開発も進んでおります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上並びに財務上の課題
体外診断用医薬品業界においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえて、医療現場におけるPOCTの重要性が一層認知されている一方で、競合他社の参入により、競争は激しくなっております。
また、昨今の新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行の発生や薬剤耐性問題、性感染症の蔓延等を背景として、網羅的かつ迅速な検査による、高精度な疾患鑑別へのニーズが高まりを見せており、感染症検査において、同一の検体で複数項目を同時に検査するマルチプレックス検査化や更なる高精度化への流れが加速しております。
このような状況のなか、タウンズは「診断技術で、安心な毎日を。」というコーポレートスローガンのもと、企画開発から製造、販売までを自社一貫体制で行う強みを活かし、医療機関や患者を始めとする世の中の幅広いニーズに応える製品を提供するため、以下の課題に取り組み、事業の継続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
① 営業チャネルの強化・拡大
タウンズは2024年6月30日時点で35名の営業員を有しており、その6割以上が10年以上にわたる業界経験を持つ人財であります。今後はさらに人員を拡充することで、新規及び既存の医療機関との関係構築・強化に注力してまいります。一方で、現状でタウンズがアプローチし切れていない医療機関もあることから、タウンズ製品を扱う重要代理店との関係強化に加えて、製薬会社との共同販売推進による営業チャネルの拡大に取り組んでおります。
② 特定製品への売上依存
タウンズの各感染症検査キットの市場シェアは、概ね拡大傾向で推移しております。以前はインフルエンザ検査キットがタウンズ売上の大きな割合を占めていたものの、2020年10月に新型コロナウイルス抗原検査キット「イムノエース®SARS-CoV-2」を発売して以降は、新型コロナウイルス感染症関連製品への売上依存度が5割以上を占めており、新型コロナウイルス感染症の流行度合いにより業績に大きな影響を受ける状態にあります。タウンズは継続的に次世代型の検査技術や新製品の開発、新たな市場の開拓に取り組み、新型コロナウイルス感染症関連製品以外の売上拡充に努めております。また、新製品の迅速な市場展開に向け、薬事申請を含む規制対応の体制強化や、量産製造への移行プロセスの最適化等に取り組んでおります。新たな収益基盤を速やかに構築することで、特定製品への売上依存度を下げるように努めております。
③ 海外事業拡大に向けた基盤整備
タウンズは、各地域における特定の代理店を通じて海外市場での販売を行っております。今後海外事業をさらに拡大していくために、より海外市場に受け入れられやすい価格と高品質を両立させる海外仕様製品の開発を行っております。また海外市場向けの薬事申請体制の強化や海外のKoL(Key Opinion Leaderの略。特定の疾患領域において権威ある医師や大学教授の方々)との関係構築等と併せて、海外営業体制やマーケティング体制の強化に取り組んでおります。
④ 新たなコア技術の開発
現状の抗原検査キットの枠を超えて事業領域を拡大するために、新抗体開発技術、D-IAや簡易尿検査システム等の新たなコア技術の開発を行っております。これらの技術を活用し、既存の呼吸器感染症検査の領域のみならず、D-IAを用いた性感染症検査や慢性疾患の検査等の新疾患領域、免疫プロファイル検査の開発、予防・未病領域における超早期マーカーの発見や新たな検査技術の開発、簡易尿検査システムによる家庭での日常的な疾患リスクのモニタリング技術の開発等に取り組んでおります。
⑤ 情報通信技術活用による生産性向上
現在推進している新基幹システムの導入プロジェクトに伴い、業務体系を見直し、様々な業務データを標準化・マスタ整理をすることで、社内における非効率的なオペレーションを解消し、業務体系の効率化及び生産性の向上に取り組んでおります。
⑥ 人財採用及び育成の強化
タウンズの、今後の更なる成長に向けては、人員体制の一層の強化が必要であります。専門人財の積極的な採用活動や、社内人財への教育体制の強化に努めてまいります。
タウンズの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。タウンズは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、タウンズ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、本項記載のうち将来に関する事項は、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、本書提出日現在においてタウンズが判断したものであります。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときにタウンズの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。
(1)法的規制等に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
タウンズは、体外診断用医薬品の製造販売を行うために医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」という。)等の関連法令をはじめ、様々なガイドラインに従い、適正に運用しております。
タウンズは、体外診断用医薬品及び医療機器の製造販売をするために、「体外診断用医薬品製造販売業許可」、「体外診断用医薬品製造業登録」及び「医薬品販売業許可」、また、医療機器の製造販売を行うために「第三種医療機器製造販売業許可」、「医療機器製造業登録」及び「高度管理医療機器等販売業許可」を受ける必要があり、関係する業許可を取得し法令遵守に努めており、現状においては当該許認可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後、これらの関係法令が改廃又は変更された場合や新たな法規制が設けられた場合には、これらの法規制を遵守できなかったことにより許認可の取り消し等の処分を受けこれにより事業活動を制限されることはもとより、社会的信用の低下を招く可能性があると共に、これらの法規制を遵守するためにタウンズの事業活動が制限を受ける可能性があり、その結果、タウンズの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法規制を遵守するためのコストが発生又は増加し、利益率の低下につながる可能性があります。加えて、タウンズの業績は保険点数・条件等の影響を受ける可能性があるところ、これらの変更により、タウンズの収益を左右する可能性があります。さらに、海外販売にあたっては国内法令以外に、販売国の法令を遵守するために現地代理人と連携し薬事承認を目指しますが、タウンズの想定どおりに薬事承認を得ることができない又は薬事承認取得後に販売国の薬事法令が切り替わることにより事業活動の制限を受ける可能性があります。特に欧州においては新しい薬事規制・欧州体外診断用医療機器規制(IVDR)が2022年5月から適用開始となりましたが、欧州での販売の混乱を防ぐ目的で現在は旧指令(IVDD)と新規制が混在されて運用されております。タウンズ製品では結核検査のCapilia TB-NeoはIVDR承認を取得しておりますが、その他はIVDD登録であります。タウンズ製品が、2027年までにIVDRとしての申請ができない場合には、欧州でこれを販売することができなくなるため、タウンズは製品ごとに順次対応を進めております。さらに、将来的に進出を検討している米国市場においては、2024年2月にQSR(Quality System Regulation)改正法案が発出され、2026年2月よりQMSR(Quality Management System Regulation)が発効される予定であります。タウンズはこれら国内外の法規制等の改正動向につき、常時積極的な情報収集に努めるとともに、関係部署には情報共有を行いながら適時対応策の検討を行っております。
以下に、国内における薬事の業許可を示します。
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許認可等の名称 |
許可番号 |
有効期限 |
取消事由 |
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体外診断用医薬品製造販売業許可 |
静岡県知事 22E1X00002 |
2026年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
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体外診断用医薬品製造業登録 |
静岡県知事 22EZ2000006 |
2026年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
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医薬品販売業許可 |
静岡県東部保健所 東保A第22-94号 |
2027年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
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第三種医療機器製造販売業許可 |
静岡県知事 22B3X10021 |
2026年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
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医療機器製造業登録 |
静岡県知事 22BZ200150 |
2026年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
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高度管理医療機器等販売業許可 |
静岡県東部保健所 東保A第11-554号 |
2027年6月30日 |
薬機法第二十三条の十六 |
(2)製品品質に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズでは、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(以下、「QMS」という。)等に基づき、重大な品質問題が発生しないように製品毎にリスクマネジメントを実施し、リスクの低減を行っております。また、海外販売においてはISO13485:2016(医療機器における品質マネジメントシステム)の適用を欧州の第三者認証機関を通じて認証を受け、開発から製造、品管、販売までのリスク低減に向けた取り組みを実施しております。
また、タウンズでは、QMS及びISO13485:2016のルールに則り品質マニュアルを定め、製品毎のリスクマネジメント及び教育、社内外の監査、苦情処理、是正措置、購買先管理等の規定文書を定めており、さらに、監査による問題の洗い出しや、厚生労働省及び海外薬事規制当局、第三者認証機関における監査を受け、適時、改善を継続的に実施し、且つ市販後調査等により重大な品質問題が発生するリスクの軽減に努めております。
このように、タウンズは、薬機法及び関連法令、ガイドライン等に基づき、万全の品質管理体制を敷いて製品の品質確保に取り組んでおりますが、製品に重大な品質問題が発生した場合には、タウンズレピュテーションへのダメージは勿論のこと、売上高の減少やコストの増加、法令上の制裁に伴う事業活動の制限等により、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)訴訟・係争リスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:特定不能)
タウンズは、本書提出日現在係争中の訴訟事案はありませんが、事業活動を継続していく過程において、製造物責任(PL)関連、労務関連、知的財産関連、商取引関連、その他に関する訴訟が提起される可能性があります。このようなリスクを事前に予防するため又は仮に訴訟に発展した場合にも業績への影響が限定的となるよう社内の法令遵守体制を徹底するため、社内に複数の法律又は会計等の専門家を配置しておりますが、これらの訴訟の結果によっては、損害賠償を請求される、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ等、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)新製品開発力に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、2020年10月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キットを発売する等、新規の感染症向け製品、既存製品の性能向上等、継続的に新たな収益基盤として期待される新製品の開発に注力しております。
体外診断用医薬品は、国内では所轄官庁の承認、海外では承認や認証を得てはじめて上市可能となります。また、体外診断用医薬品業界は、技術開発及び性能の向上において常に競合他社と競争状態にあります。このため、研究開発の遅延や中断により研究開発投資の回収が困難になり、将来にわたり業績に影響を与える可能性があります。また、他社の革新的技術によりタウンズ製品の優位性が低下した場合、製品売上が減少する可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、タウンズは、研究開発部門が営業部門と連携することで課題の共有を密に図る他、規制当局及び関連学会等の動向を常時積極的、且つ継続的に情報収集し、大学等公的研究機関や医療機関と共同研究等による連携も行いながら、業界と市場の変化及び顧客ニーズをタイムリーに把握するよう努めております。また、開発された製品は薬事申請が必要となることから、生産部門、品質管理部門と連携しながら医療機関において臨床評価試験も行います。製品化においては、QMSに則り、開発計画から薬事承認まで、研究開発部門、生産部門、品質管理部門との連携により遂行しております。
また、外部からの技術導入や外部との連携を進め、並行して人的リソースの拡充も含め開発力の更なる強化に取り組むとともに、開発に係るマネジメント体制の強化にも努め、且つ市場環境の変化を考慮しながら開発案件の優先順位等を判断し、業界と市場の変化及び顧客ニーズを踏まえて注力すべきと考えられる新製品に開発力を集中できる体制を整備しております。
(5)感染症の動向による業績への影響(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
インフルエンザ検査キットは、2019年6月期及び2020年6月期において、売上高の大きな割合を占める製品となっております。その後、2021年6月期から2024年6月期においては、新型コロナウイルス関連の検査キットが売上高の大きな割合を占める状況が続いております。
タウンズは、新たな感染症に対応する製品の開発や既存の感染症領域における新製品の開発等により感染症領域における競争力の強化を図るとともに、感染症以外の領域での強化を図ることで、特定の製品への売上げの依存度を減少させることを目指しておりますが、上記の主要製品に係る感染症の流行が当初の想定より小規模であった場合、又は予期せぬ事由により当該製品の売上高が大幅に減少した場合、在庫の評価減、廃棄損も含め、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原料、商品等の調達に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
製品の製造に使用している原料の中には、海外からの輸入原料もあるため、輸入原料や特殊な原料、商品等につきましては、個別にリスク管理を行い適切な在庫となるよう管理するとともに、極力複数社からの調達体制を構築し、国際情勢等の変化に柔軟に対応できるよう努めております。また、入手困難な原料が生じた場合は、代替原料の調査及び評価を行い、製品供給が滞らないよう努めております。しかしながら、国際情勢の変化等により、原料並びに商品等の品質の変化、又は製造停止、終了や輸入経路の寸断等により調達に問題が生じる場合は、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)外注先に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
タウンズは、体外診断用医薬品等の製造の一部、これに付随する保管、在庫管理、荷造り及び納入の業務を外注しており、タウンズの業務が一部取引先に集中する場合があります。タウンズは、外注先との関係強化・維持を図る共に、複数の外注先を確保することとしております。また、日常的、定期的に検査、整備等を行い自社生産の更なる充実を図ると共に、恒常的に2~3か月程度の製品在庫を保管し、リスクの極小化に努めておりますが、外注先の方針転換等により外注先へ業務委託できない状況が発生した場合には、製品の製造及び供給が困難となる等、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、新規性あるいは進歩性のある技術を特許化し、その複数の特許は一定期間保護されております。しかし、タウンズの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があり、侵害を受けた場合は損害賠償請求を進める等の措置をとりますが、それでもタウンズが被った損害について十分な賠償を受けることができない可能性があります。また、タウンズの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があり、タウンズの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、タウンズは、特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の「産業財産権」を含む知的財産権を適正に管理し、第三者からの侵害あるいは第三者の知的財産権を侵害するおそれについても、常に監視を行うとともに、当該情報をタウンズ内の関連部門間で共有することによって管理体制の強化を図っております。
また、海外に向けても知的財産権を行使していることから、国内外の特許法の遵守に努めております。
(9)市場環境の変化に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
医療制度改革や診療報酬の改定が行われている中、国内の人口減少が続いており、タウンズの事業環境は、市場における他社との競合等も加わり、一段と厳しさを増しておりますが、新たな感染症対応製品の開発・販売開始等、市場環境は日々変化しております。足元では海外メーカーや国内後発メーカー等により、価格を重視した製品の市場投入が散見されております。
MarketsandMarketsが2024年3月4日に発行した「ポイントオブケア (POC) 診断・迅速診断の世界市場 - 2028年までの予測」によると、タウンズのターゲット市場である臨床現場即時検査検査(POTC)市場について、「世界臨床現場即時検査(POCT)市場は、2023年から2028年までにCAGR9.4%の成長が予測されております。(2023年USD497億、2028年USD778億)」とされており、国際的な視点では、体外診断用医薬品市場は拡大傾向にあるとされております。そのため、海外市場への積極的な展開をすることで市場環境のリスク分散も進めております。
タウンズでは、市場及び競合動向の情報収集及び分析評価を継続的に行い、既存ビジネスの競争力維持・強化等のための施策や、新規分野への展開等に活用しております。また、市場環境の変化に柔軟に対応するべく、新製品開発力の維持・強化等に努めております。
以上のような取り組みにもかかわらず、タウンズの市場環境の変化への対応が遅れた場合には、主要製品の需要減少、販売価格の低下、既存シェアの喪失等により、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。他方で新型コロナウイルスの抗原定性検査キットにおいては、2024年6月に診療報酬がそれまでの300点から150点へと引き下げられましたが、タウンズでは相当程度前から診療報酬引き下げの影響をすでに織り込んだ定価設定としていたため、今回の改定を受けた形での大幅な販売単価の下落懸念は小さいものと考えております。新型コロナウイルスを除いた既存の5類感染症については過去において2年に1度の頻度で小幅な薬価改定が行われてきたため、新型コロナウイルスの抗原定性検査においても今後は同等の薬価改定が行われる可能性があります。
(10)海外事業展開に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:中)
タウンズは、日本国内の他、欧州・アジア及びその他の地域における事業活動を展開しております。また、今後については、タウンズの海外売上比率を高めることを企図しております。
これらの海外事業展開に関しては、カントリーリスクを初め、為替リスク、法規制・薬事ガイドライン、商習慣の相違等に起因するリスク、更には地政学的リスク等、海外ならではの付加的なリスクにさらされております。
これに対しタウンズは、各国の状況に精通した現地代理店を通じて規制当局への薬事承認を取得し、販売を通じて法規制の遵守以外に当該国での医療事情の情報収集を行い、販売業績へのリスク低減に努め、またカントリーリスク及び個社の信用力等に基づく信用リスク管理も行うことにより、リスクのコントロールを図っておりますが、上記のリスクが顕在化した場合には、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)特定の販売先への依存によるリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期~中期、影響度:中)
タウンズは、2024年6月期において、主要顧客であるスズケングループへの売上が54.0%を占め、特定の販売先に対する依存度が高い状況にあり、販売先の集中による信用管理リスクも高くなっております。また、株式会社スズケンの経営方針等の変更により取引が打ち切りになった場合や取引金額が引き下げられた場合には、タウンズの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、タウンズは特定の販売先に対する集中を緩和するために、依存度が高い販売先以外の販売先との関係強化、新規販売先の開拓、及び海外売上の拡大に努めており取引先の分散化を図っております。信用管理の面では、販売先全社に対して信用力に基づく与信限度額を設定する等、信用リスク管理に努めておりますが、これらの取組みにもかかわらずタウンズがスズケングループに対する信用リスク管理を適切に行うことができない場合には、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人財の確保と育成に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
タウンズでは、海外事業展開を含めた中長期におけるタウンズの経営計画達成のために、新製品の企画、開発能力のある人財、海外国内を問わず活躍できるグローバル人財やプロフェッショナル人財、全ての局面で自律・自立して成果をあげる人財の確保と育成が必要であると考えております。タウンズでは、このような人財の確保のため国内に限らず、多様な人財確保を目指し、雇用した多様な人財が、多様な価値観を尊重しつつ健康に働ける環境を整える努力をしております。人財の確保は、通年で計画的に、経営や事業関連のスキルを持つ経験者や新卒者の採用を国籍に関係なく行い、人財の育成には企業倫理の育成から始まりキャリアプランに応じた成長教育の強化に取り組んでおります。しかしながら、タウンズの持続的な成長に必要な人財の確保が達成できなかった場合、また、達成のために人件費等増加が生じた場合には、タウンズの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(13)労務に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、法令に基づく適正な労務管理等により、全社的に労務関連リスクの低減に取り組んでおります。具体的には、タウンズは、日常的に労働災害が発生する可能性のある現場では災害を未然に防ぐための努力を行っております。災害が発生した場合には安全衛生委員会にて発生現場部署と連携し発生原因の特定から再発防止策の実施までを行い労働災害の再発防止に努めております。
長時間労働については、タウンズの事業拡大に沿った人員計画に基づき採用を行うことや業務効率化を図ることで長時間労働が発生しないように人員体制を強化しております。また、勤怠管理システム上で時間外勤務時間が多くなるとアラートを出す設定をして、過度な長時間労働を未然に予防するようにしております。また日頃より36協定を遵守するための啓蒙活動の一環として管理本部や人事部からの警告と注意喚起を毎月行い、長時間労働をなくす努力をしております。長時間労働が発生してしまった場合には、必要に応じて対象者の産業医面談を行うとともに所属本部から改善策を提出させて、再発防止に努めております。
ハラスメントに関してはハラスメント防止規程を設定し、社内掲示板にはハラスメント禁止を明示し、定期的にハラスメント防止のための研修受講を義務付けております。また、全従業員、役員が相談・通報できる社内・社外(弁護士直通)の「コンプライアンスに関する通報・相談窓口」を設置、個別に対応するようにしております。
メンタルヘルスについては、事前予防策としてエンゲージメントサーベイを定期的に実施しメンタルヘルスの異変を事前に察知できるようにすることや、株式会社Smart相談室の提供する法人向けオンライン相談サービスの「スマート相談室」を利用し、従業員のメンタルヘルス改善に資する幅広い相談に応じており、問題を小さな芽のうちに解決するようにしております。また、産業医とも連携し人事部を中心に面談の実施等の対応もしております。
以上のような取り組みにもかかわらず、労務関連のコンプライアンス違反(労働災害、長時間労働、ハラスメント等)が発生した場合、争訟の発生、社会的信用の低下及びレピュテーションへのダメージ等により、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報の取扱い及び情報セキュリティに関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、事業上の営業秘密及び開発関連情報、薬事申請関連書類、規定文書、手順書、製造関係書類、品質管理書類、倫理関連書類、事業活動の過程で入手した個人情報や取引先等の多岐にわたる機密情報を保有しております。タウンズでは当該情報の盗難・紛失等を通じて第三者に不正に情報が流出することを防ぐため、文書管理の徹底、社員及び委託先の情報リテラシー及びモラル向上、及びITガバナンスの強化に取り組んでおります。また、社内情報システムへの外部からの侵入防止対策も講じておりますが、当該情報の流出や漏洩が発生した場合には、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ、訴訟や損害賠償に伴う金銭的負担・対応のための負担の増大、情報セキュリティ体制の見直し、強化等におけるコストの増加等、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システム障害に関するリスク(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは各種情報システムを活用して業務を遂行しており、大規模な自然災害、社会インフラ(クラウドサービスやネットワーク回線、流通・供給網等)の遮断・混乱、想定を超えたサイバー攻撃等により、システムの長時間停止、又は事業活動における重要情報、顧客・従業員等の個人情報等の機密情報の漏洩、改ざん、消失等が発生する可能性があります。これらのリスクに対処するためタウンズでは、絶えずシステム強化やセキュリティ対策をハード面から行うとともに、従業員のセキュリティ管理教育等のソフト面も徹底することにより障害が発生しないようにするとともに、万が一そのようなリスクが顕在化してしまった場合の迅速な対応やバックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、これらの事象が発生した場合には、社会的信用の低下、レピュテーションへのダメージ、損害賠償請求に伴う金銭的負担、事業戦略の見直しの必要等が発生するおそれがあり、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)投資有価証券・関係会社株式・関係会社社債の減損に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
タウンズは、ビジネス上のパートナーシップを強化するため、投資有価証券を保有しております。取得前には投資委員会においてビジネス、財務経理、法務等々の観点から十分な検討を行い、投資額の重要性に基づき取締役会で決議ないしは報告がなされてから投資が実行されるようになっております。投資有価証券の継続的な保有の合理性についても、取引額、将来的なビジネスの可能性、保有に伴う便益やリスク、資本コストとの見合い等の観点から少なくとも年に一度投資委員会に諮問した内容を取締役会にて報告・協議しており、その結果、保有の合理性が低い株式については、市場環境等を考慮しつつ、売却を行うことを基本方針としております。
以上のように、取得後もリスクに見合ったリターンが得られているか、定量面・定性面での情報収集及び収集された情報の検証を含めリスク管理を徹底しておりますが、収益性の悪化等により投資先会社の純資産価値が毀損した場合や事業計画に大きな下振れが生じた場合等、当該投資有価証券・関係会社株式・関係会社社債の減損処理を実施することで、タウンズの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(17)固定資産の減損リスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
タウンズは、工場、機械設備等多くの有形固定資産や顧客関連資産、技術関連資産等の無形固定資産を有しておりますが、投資に対する回収が不可能になることを示す兆候を認識した場合には、将来キャッシュ・フローの算定等により減損の有無を判定しております。その結果、減損損失の計上が必要になることも考えられ、その場合は、タウンズの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)金利変動と財務制限条項に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
タウンズでは、金融機関からの借入によって製造設備、運転資金その他必要な資金を調達しておりますが、有利子負債の金額は売上高に比して多額なものであると認識しております。今後、市場において金利が上昇した場合にはタウンズの借入金利も上昇することが予想され、タウンズの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、タウンズの借入金には財務制限条項が付されている契約があり、具体的には純資産の減少及び経常損失の計上に関する財務制限条項が付されております。万一、タウンズの業績が悪化し、財務制限条項に抵触した場合には、当該契約による借入金の返済を求められる結果、タウンズの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(19)災害、事故、感染症等に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
大規模な地震、風水害等の自然災害や火災、事故、感染症の流行等により、販売等事業活動への影響及び生産設備等で発生する操業中断の影響を完全に防止することができない事態が想定されます。また、タウンズの生産拠点は神島工場の1ヵ所のみであるため、この地域において大規模災害の発生や事故等により、操業中断に追い込まれる事態になった場合には、製品の生産、供給能力が著しく低下し、タウンズの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、タウンズでは、BCPを策定し、大規模な災害が発生した場合も事業を継続できるよう災害発生時の対応能力の継続的向上に取り組んでまいりました。また、抜本的な対策として三島市に新工場を建設中であり、2025年12月の稼働開始を目指しております。その他、恒常的に2~3か月程度の製品在庫を本社所在地以外に位置する複数の外部倉庫で保管していることや、各拠点において、事業が中断に追い込まれるリスクを極小化するため、あるいは事業中断による影響を極小化するため、日常的、定期的に検査、整備等を行っております。
(20)CITIC(現Trustar) Groupとの関係(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~中期、影響度:小)
タウンズは、グローバルプライベート・エクイティファームである、CITIC(現Trustar) Groupに属するCITIC Capital Japan Partners Ⅲ, L.P.及びCCJP Ⅲ Co-Investment, L.P.からの出資を受けており、本書提出日現在において、合計でタウンズ発行済株式総数の41.60%を保有しております。また、伊藤政宏氏がタウンズ取締役としてCITIC(現Trustar) Groupから派遣されております。タウンズ株主の今後のタウンズ株式の保有方針及び処分方針によっては、タウンズ株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。また、CITIC(現Trustar) Groupが相当数のタウンズ株式を保有し続けたり、又はタウンズ株式を買い増したりする場合には、タウンズの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のタウンズの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(21)資金調達に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、既存事業の強化並びに新規事業領域への進出により成長を目指しており、今後の資金調達が必要になる可能性があります。そのため、短期資金、長期資金のバランスを勘案し資金調達することで、借り換えリスクの低減を図っており、また、必要運転資金の最適化を図り、資金需要を抑制することでリスクの軽減に努めておりますが、金融市場の混乱、あるいは金融機関の融資方針の変更は、タウンズの資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、タウンズの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(22)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:小)
タウンズは、役員及び従業員に対して、業績向上に対する貢献意欲及び士気を高めるため、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権の権利が行使された場合には、タウンズ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は7,037,371株であり、発行済株式総数100,866,819株の6.98%であります。
(23)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
タウンズは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして位置づけております。配当につきましては、経営環境の変化に対応すべく、企業体質の強化及び将来の事業環境を勘案したうえで、株主に対して配当性向30%程度の安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。更に通常の配当政策に加え、業績や財務状態を総合的に勘案のうえ、周年記念等にあたっては記念配当も実施していく方針であります。なお、内部留保資金につきましては、今後の研究開発や製造体制の強化等の成長投資として有効に使用してまいりたいと考えております。
上記方針のもと、30%の配当性向を目標に安定的な配当を継続していくことを目指しておりますが、事業環境の急激な変化等により、目標とする配当性向を達成できなくなる可能性があります。
(24)タウンズ株式の流動性について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
タウンズは、タウンズ株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末時点において28.19%にとどまっております。
今後は、タウンズの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、タウンズ代表取締役社長野中雅貴を含む主要株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分等を勘案の上、これらの組み合わせにより流動性の向上を図っていく方針ではありますが、当事業年度末日現在よりも何らかの事情により流動性が低下する場合には、タウンズ株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それによりタウンズ株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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