昭和産業グループは、昭和産業、連結子会社27社及び持分法適用会社7社他により構成されており、小麦粉、植物油、糖化製品等の食品と飼料の製造販売を主要な内容とし、他に倉庫業、不動産の賃貸等の事業を行っております。
昭和産業グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
昭和産業は小麦粉及びプレミックス等の製造販売を行っており、昭産商事㈱は昭和産業製品を購入して販売しております。奥本製粉㈱、木田製粉㈱、㈱内外製粉、セントラル製粉㈱は小麦粉等の製造販売を行い、昭和産業はそれらの製品の一部を購入して販売しております。㈱スウィングベーカリー、グランソールベーカリー㈱、ガーデンベーカリー㈱、タワーベーカリー㈱はコンビニエンスストア向けのパン類の製造販売を行っております。
昭和産業は植物油等の製造販売を行っており、昭産商事㈱は昭和産業製品を購入して販売しております。ボーソー油脂㈱及び辻製油㈱は植物油等の製造販売を行い、昭和産業はそれらの製品の一部を購入して販売しております。昭和冷凍食品㈱は冷凍食品の製造販売を行っております。
昭和産業は糖化製品及びコーンスターチ等の製造販売を行っており、昭産商事㈱は昭和産業製品を購入して販売しております。敷島スターチ㈱及びサンエイ糖化㈱は糖化製品及びコーンスターチ等の製造販売を、新日本化学工業㈱は食品用酵素等の製造販売を行っており、昭和産業はその製品の一部を購入しております。
(注) 製粉カテゴリ、製油カテゴリ、糖質カテゴリに属さない食品等の販売を行う「その他食品カテゴリ」は重要性が乏しいため、事業の内容の記載及び事業の系統図への記載を省略しております。
昭和産業は配合飼料の生産を委託して販売しており、昭産商事㈱は昭和産業製品を購入して販売しております。九州昭和産業㈱は配合飼料の製造販売、畜産物等の販売を行っており、昭和鶏卵㈱及び中一食品股份有限公司は洗卵・選別による鶏卵の販売等を行っております。
昭和産業、鹿島サイロ㈱及び志布志サイロ㈱は昭和産業他穀物の荷役・保管、㈱ショウレイは昭和産業グループ他の冷凍食品等の保管、昭和産業及び昭産開発㈱は建物等の賃貸事業を行っております。
事業の系統図は次の通りであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において昭和産業グループが判断したものであります。
(1) 経営戦略(長期ビジョン・中期経営計画)
昭和産業グループは「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」ことをグループ経営理念とし、1936年の設立以来、小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を、小麦粉、プレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工し、「食」を通じた社会への貢献を志してまいりました。一層の発展のため、創立90周年にあたる2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」を策定し、その実現に向けて3年間の中期経営計画を三次にわたり展開しております。
1st Stageである「中期経営計画17-19」では「ありたい姿の実現に向けた足場固め」を基本方針として、収益基盤の強化に取り組んでまいりました。2nd Stageとなる「中期経営計画20-22」は「確立」のステージとして位置付け、昭和産業グループならではの新しい価値をステークホルダーの皆様にお届けすべく、基本コンセプト「SHOWA New Value Creation」を掲げ、基盤事業の盤石化と成長事業の育成に取り組むと共に、事業活動を通してESG経営を推進するCSV戦略を展開してまいりました。
2023年4月よりスタートした3rd Stage「中期経営計画23-25」は、継続が見込まれる厳しい事業環境やニューノーマルへの変化に適切に対応し、引き続き安全・安心な「食」を安定的に供給するという社会的使命をしっかりと果たしながら、昭和産業グループの「ありたい姿」の実現に向けて成長し続けるため、1st Stage及び2nd Stageの成果を「収穫」すると共に各施策を着実に遂行し、創立100周年を見据えた持続的成長のための基盤作りに取り組んでおります。
■「SHOWA Next Stage for 2025」の内容
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ありたい姿 |
全てのステークホルダーに満足を提供する “穀物ソリューション・カンパニー Next Stage” ~幹を太くし、枝葉を広げ、世の中のためになる果実を育てる~ |
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方 針 |
昭和産業グループならではの複合系シナジーソリューションを進化させると共に、ESG視点での取り組みも強化し、企業価値の向上に努めてまいります。 |
■「中期経営計画23-25」について
長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」の最終ステージである「中期経営計画23-25」は、創立90周年を迎える2025年度に昭和産業グループのありたい姿を実現すべく、基本コンセプト「SHOWAの“SHIN-KA”宣言~90年、そしてその先へ~」を掲げ、穀物のプロ集団として穀物ソリューションを「進化」させ、素材の「真価」を追求することで人々の健康に貢献し、環境負荷の低減に向けた取り組みなどを通じてサステナビリティ経営の「深化」に取り組んでおります。
〔5つの基本戦略〕
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基本戦略 |
主な取り組み |
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①基盤事業の強化 |
・ワンストップ型営業組織への変革による販売力強化 ・グループ連携による事業拡大と収益力強化 ・商品構成の最適化や差別化戦略による収益力強化 ・原料、資材の安定調達の強化 |
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②事業領域の拡大 |
・海外事業、冷凍食品事業の拡大 ・新規事業への挑戦 |
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③環境負荷の低減 |
・グループ環境目標達成に向けた継続的取り組み ・容器包装プラスチックの削減 ・カーボンニュートラル実現に向けたロードマップの検討 |
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④プラットフォームの再構築 |
・ROIC導入による事業ポートフォリオマネジメントの高度化 ・人的資本経営の推進 ・デジタル戦略の推進 ・RD&E戦略の推進 |
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⑤ステークホルダー エンゲージメントの強化 |
・従業員エンゲージメントの向上 ・株主戦略に基づくIRの推進 ・SNS活用による発信力強化と企業認知度の向上 |
〔財務目標〕
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2022年度 実績 (2nd Stage) |
2025年度 計画 (3rd Stage) |
2022年度実績に対する 2025年度計画の差異 |
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連結経常利益(億円) |
65 |
130 |
200% |
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ROE(%)(※1) |
7.1 |
7.0以上 |
- |
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ROIC(%)(※2) |
1.8 |
4.0以上 |
2.2ポイント増加 |
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CCC(日)(※3) |
91 |
75 |
16日短縮 |
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NET D/Eレシオ |
0.5 |
0.6以下 |
- |
(※1):2022年度は、ショーサン上尾ビルの売却により約52億円の固定資産売却益(特別利益)が発生
(※2):ROICの定義
ROIC = 税引後営業利益 ÷ 投下資本(有利子負債(Net)+自己資本)
税引後営業利益は、法人税等を営業利益の30%として計算
(※3):キャッシュ・コンバージョン・サイクル
〔非財務目標〕
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項目 |
2025年度目標 |
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グループ環境目標 |
CO2排出量の削減(※1) |
30%以上削減 (2013年度比) |
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食品ロスの削減(※2) |
30%以上削減 (2018年度比) |
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水使用量の削減 (原単位)(※3) |
9%以上削減 (2019年度比) |
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プラスチック使用量の削減 (原単位)(※4) |
7%以上削減 (2013年度比) |
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人的資本経営 |
女性管理職比率 |
10%以上 |
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リスキル投資額 |
2倍以上 (2021年度比) |
(※1)対 象:昭和産業及び連結子会社
(※2)対 象:昭和産業及び食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社
(※3)対 象:昭和産業及び子会社9社(水質汚濁防止法、下水道法による特定施設を有する事業者)
(※4)化石燃料由来容器包装材に使用するワンウェイプラスチック
(2) 対処すべき課題
昭和産業グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、行動制限が緩和され、インバウンド需要も回復基調となり、日本国内の経済活動及び社会活動の正常化が進む一方で、緊迫した世界情勢に加え、為替相場の円安基調などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
今後も、国内人口の減少に伴う労働人口の減少、地球温暖化に伴う異常気象、地政学リスクの顕在化、脱炭素化の動きによるバイオ燃料の需要増などから、原料穀物価格の変動や製造コストの上昇が見込まれております。
このような状況の中、昭和産業グループも環境変化に対応した商品の開発や、事業領域の拡大に努め、環境変化に左右されにくい収益構造への変革に取り組むため、新たに「中期経営計画23-25」を策定し、5つの基本戦略に沿って「ありたい姿」の実現に向けて取り組んでおります。
■「中期経営計画23-25」の進捗状況
〔基本戦略① 基盤事業の強化〕
・2023年4月に創業以来初となる抜本的な営業組織改編を実施いたしました。これにより、従来の「プロダクトアウト型」の組織から業態別・顧客別の「ワンストップ型」の組織に変革し、顧客のニーズを的確かつ迅速に把握するとともに、昭和産業グループが取り扱うすべての商品をワンストップで提供できる体制に改編いたしました。初年度となる今年度は、業態別・顧客別営業体制を生かした販路の拡大や、すべてのカテゴリの販売チャネルに対する提案の強化として課題解決型営業に取り組んでまいりました。
今後も、業態別・顧客別営業体制を生かした販路の拡大や高付加価値商品の提案強化により、複数のカテゴリに跨る商品を有する昭和産業グループの強みを最大化してまいります。
・2023年5月に辻製油株式会社と資本業務提携を行いました。本業務提携により、昭和産業グループで製造しコーン油の原料となるコーンジャーム(とうもろこし胚芽:糖質製造の副産物)の有効活用や、両社の製造設備を相互に活用することにより、事業規模の拡大、製造の効率化、コスト削減、糖質・コーン油製品の安定供給を図ります。さらに、原料・資材の共同調達や物流拠点等の共同活用、研究・開発・技術における相互協力を実施してまいります。
・物流業界における労働力不足やドライバーの労働時間に上限規制が適用されることなどによる「物流の2024年問題」や、輸送拠点の集約などによるCO2排出量の削減を目指す「グリーン物流」へ対応するため、神戸工場内の製粉立体自動倉庫を更新し、新設いたします。これにより、現在は人手を要している作業を自動化・省人化し、積込み時間・待機時間を短縮し、物流機能の改善、効率化を図ります。設備投資金額は約35億円、2026年2月の完成、稼働開始を予定しております。
・糖質カテゴリのグループ3社(昭和産業/敷島スターチ株式会社/サンエイ糖化株式会社)が一体となり、生産拠点の最適化や、商品カテゴリの選択と集中を含む事業構造改革を推進することにより収益改善を図りました。今後もグループシナジーの発揮に向けた取り組みを継続してまいります。
〔基本戦略② 事業領域の拡大〕
・2023年4月に実施いたしました組織改編により、従来の組織では複数の部署で担当していた輸出業務を海外営業部に集約いたしました。これにより、輸出事業の基盤を強化するとともに全社的な輸出戦略に基づいて販売国ならびに販売数量の拡大を推進しております。
・プラントベースフード事業の推進の一環として、株式会社フードテックワンに参画いたしました。同社は、サステナブルな食品を開発し、国内外の消費者に競争力のある品質と価格で提供することを目的に設立され、植物由来の代替肉などの共同開発を行い早期の商品化を目指すとともに、フードテックに関する多様な取り組みを実施しています。株式会社フードテックワンに参画することにより、昭和産業グループのプラントベースフード事業の拡大に向けた取り組みを加速いたします。
・昭和産業、ボーソー油脂株式会社、サンエイ糖化株式会社の3社合同で、昭和産業グループが持つ米や高オレイン酸ひまわり油由来の油脂製品、でん粉由来の機能性粉末水あめ及びマルトビオン酸含有水あめを化粧品原料として化粧品産業技術展に出展いたしました。植物由来の機能性素材の開発を強化し、化粧品分野などのファインケミカル事業の拡大を図ってまいります。
〔基本戦略③ 環境負荷の低減〕
昭和産業グループは、環境目標としてCO2排出量を2025年度までに2013年度比で30%以上、2030年度までに46%以上削減する目標を掲げております。目標の達成に向け、省エネの推進、燃料転換など環境負荷の低減のための施策を推進しております。
・昭和産業の主力工場である鹿島工場に、木質チップなどの再生可能エネルギーを活用したバイオマス発電ボイラを新たに導入いたします。バイオマス発電ボイラ導入に伴い、既存の都市ガスを燃料としたコージェネレーション設備の一部役割を置換いたします。これにより、年間約3.7万tのCO2排出量を削減し、グループ全体で累計37%以上(対2013年度比)の削減となる見込みです。設備投資金額は約35億円、2025年度中の完成、2026年度の運転開始を予定しております。
・2024年4月より、昭和産業グループのプレミックス製品の主要な製造拠点である鹿島工場潮来ミックス分工場及び家庭用製品の主要な製造拠点である船橋工場(併設するRD&Eセンターを含む)で使用する電力を実質100%再生可能エネルギーといたしました。両工場では、従前から施設内にPPAモデル(Power Purchase Agreement:電力販売契約)による太陽光発電設備を設置しておりましたが、本太陽光発電で賄っている以外の使用電力について、全てCO2フリー電力(発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギーの証書を活用した電力)に切り換えました。これにより、両工場合計で年間約7,600tのCO2排出量の削減となる見込みです。
・2024年4月より、インターナルカーボンプライシング制度を導入いたしました。対象となる設備投資案件のCO2排出量に対し、1t当たり5,000円の社内炭素価格を適用して金額換算したものを投資判断の参考といたします。本制度の導入により、CO2排出量削減に資する投資や施策を推進いたします。
〔基本戦略④ プラットフォームの再構築〕
・経営資源を有効活用し資金効率の改善を図るため、2024年4月に本八幡ビルの譲渡を実施いたしました。また、政策保有株式の保有基準を見直し、保有意義が希薄と認められる株式の売却を進めております。今後も政策保有株式の保有の適否を的確に評価し、保有に妥当性が認められない銘柄については適切に縮減を図り資金効率の改善に努めてまいります。
〔基本戦略⑤ ステークホルダーエンゲージメントの強化〕
・企業経営において、株主にとどまらず、お客様、取引先、投資家、地域社会、従業員をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ、従業員への還元や取引先への配慮など、様々なステークホルダーとの関係構築の方針として、2024年1月に「マルチステークホルダー方針」を策定し公表いたしました。マルチステークホルダーとの適切な協働により、「穀物ソリューション・カンパニー」として人々の健康で豊かな食生活に貢献し続けてまいります。
・「物流の2024年問題」への対応を加速する必要性を鑑み、物流の適正化・生産性向上に向けた「自主行動計画」を2024年3月に策定し公表いたしました。社内プロジェクトを立ち上げ、自主行動計画に基づき継続的に課題の発掘、改善を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
昭和産業グループでは、「リスクマネジメント基本方針」に基づきリスクマネジメント委員会を設置し、企業経営に対する重大なリスクへの適切かつ迅速な対応の強化に取り組んでおります。年1回、経営目標の達成を阻害する可能性のあるリスクを洗い出し、「経営への影響度」と「発生可能性」の両面で評価を行いリスクの重要度を決定します。重要度の高いリスクについては、部門統轄の管理の下で主管部署が対策を講じることによりリスクの最小化に取り組んでおります。こうした取り組みは、リスクマネジメント委員会での審議を経て、取締役会に報告され、経営層からの継続的な監督を受けております。また万が一、危機が発生した場合は、対策本部を設置し、迅速かつ的確に対応することで、影響の極小化に努めてまいります。
認識しているリスクのうち、昭和産業グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性が特に高いと判断しているリスクには以下のようなものがあります。
また、各リスク項目の文末における[ ]については、リスクが顕在化した際、昭和産業グループが掲げております、長期ビジョンの3rd Stageである※中期経営計画23-25の基本戦略のうち、主に影響を受ける戦略を示しております。(※基本戦略については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 「中期経営計画23-25」の5つの基本戦略」をご参照下さい。)
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において昭和産業グループが判断したものであります。
(1)原料穀物調達(穀物相場・為替の変動等)
昭和産業グループにおける主要製品の原料となる小麦、大豆、菜種、トウモロコシ等の穀物は、主に海外から調達しております。そのため、原料コストは、穀物相場、為替相場及び海上輸送運賃の変動による影響を受けます。また、小麦については主に国の政策に基づく売渡制度により調達していることから、国際貿易交渉の進展等により、その管理手法に大幅な変更があった場合には影響を受ける可能性があります。
穀物相場や為替相場、エネルギーコストの急激な高騰は、製品原価を押し上げ、昭和産業グループの経営成績を大きく左右する可能性があります。影響を最小限に抑えるべく原料価格に見合った適正な製品価格への転嫁、コスト削減施策の実施等に努めております。加えて、為替相場の変動リスクを軽減するために、予め決められたルールに基づき先物為替予約取引を含むデリバティブ取引を一部利用しております。
原料穀物を継続的に確保するために、生産地での異常気象や輸出国の物流障害等に備えて調達地域の分散を図っております。また、小麦については我が国の主要食糧の安定供給を図る観点から国が一元的に輸入しておりますが、不測の事態に備えて2.3ヶ月分の備蓄在庫を保有しております。飼料用穀物は、災害発生等の緊急時の復旧期間を3週間と想定して昭和産業関連会社の穀物サイロ会社において備蓄在庫を保有しております。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①]
(2)製品安全
食品の安全性に対する消費者の意識は年々高まっており、法律や国からの指導、安全基準は一段と厳しくなっております。
昭和産業グループでは、食品の安全・安心を確実に実行していくためのシステムとして、昭和産業独自の「食品安全・品質マネジメントシステム(FSQMS)」を運用し、予防的な対策と継続的な改善を行っております。FSQMSは、HACCPを柱としてISO22000、GFSI認証スキームであるFSSC22000、ISO9001、AIBフードセーフティシステムの仕組みを取入れ、効率的な運用ができるように再構築したものであります。また、万が一、製品の安全・安心に懸念が生じた場合に備えて、製品回収の仕組み・手順を構築しております。
健康被害や法令違反が疑われる場合は、緊急製品安全委員会で対応を検討の上で製品の回収を決定し、社告やホームページ等で開示する体制をとっております。ただし、これらの想定範囲を超えた事象が発生した場合、例えば、食品安全上の不具合により原材料が調達不能となったことによる操業停止、製品回収によるコストアップ、一時的な出荷不能に伴う売上高の減少、信用低下に伴う顧客離れによる中長期的な売上高の減少等が発生した場合には、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、配合飼料についても安全・安心を確実にしていくためにISO22000の仕組みを構築しており、不具合が発生した場合は、食品と同等の体制で対応いたします。
ただし、想定を超える規模の家畜伝染病(BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザ、豚熱等)が発生した場合、配合飼料販売への影響及び昭和産業グループを含む飼料畜産業界全体に影響を与える可能性があります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/⑤]
(3)災害・事故・感染症
将来発生が想定される大型地震(南海トラフ巨大地震、首都直下地震等)や近年多発している風水害(台風・大雨等)等の自然災害、火災・爆発等の事故や国家的警戒レベルの感染症の流行は、昭和産業グループとしても重大なリスクと認識しております。
昭和産業グループは、生産拠点として全国各地に工場を有しております。これら工場設置地域においては、安全管理体制の確立や設備補強等の対策を講じておりますが、想定以上の大規模災害、事故、感染症が発生した場合は従業員の出勤不能、サプライチェーンの断絶、工場の操業停止による製品供給体制の停滞等を招き、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
災害対策として、各拠点では定期的な災害訓練の実施により有事対応力を強化すると共に、災害対策委員会を定期的に開催し、災害発生時の情報ルートや連絡手段等の見直し、災害備蓄物資等の整備を行っております。万が一、災害が発生した場合、先ず従業員とその家族の安否を確認の上、災害対策規程に基づき、災害にかかる応急措置を迅速・的確に実施し、被害の軽減を図ってまいります。また、事業継続の観点から各工場のBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めております。さらに、必要となる業務システムについては、データセンターの複数拠点化やシステムダウン時に直ちに予備機に切り替えるなど業務を継続できる体制を整えております。
火災・爆発等の事故対策として、管理体制の強化や事故発生を防止する設備の充実、定期的な訓練や安全巡視の実施、教育・啓蒙活動を行うとともに緊急事態発生時に対応するためのマニュアルの整備等を行っております。
感染症対策として、感染者が出た場合あるいはその蓋然性が高まった場合には、感染症対策本部を設置し、感染症のまん延防止及び事業継続に向けて、国・自治体等の指針に沿って適宜適切に対応する体制を整えております。
昭和産業グループとしましては、今後も引き続き、お取引先様、お客様及び昭和産業グループ従業員・家族の安全と健康を最優先に、食品メーカーとして安全・安心・安定供給の責任を果たすべく、事業の継続に努めてまいります。[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/④/⑤]
(4)情報セキュリティ
ICTの発展に伴いサイバー攻撃の手口も年々高度化・巧妙化するなど、昭和産業グループを取り巻く経営環境において、サイバーリスクは高まっております。
昭和産業グループでは、リスクマネジメント委員会傘下の部会として情報セキュリティ委員会を開催し、セキュリティ対策の検討・見直しを継続的に実施しております。また、パソコンの不審なプログラムの動作を検知し、実行を防止する「ゼロトラスト」の考えに基づいたセキュリティシステムを導入すると共に、基幹システムのデータバックアップ方法を見直し、復旧可能な仕組みの構築を進めております。さらに、近年では年々増加する標的型メール攻撃に対するeラーニング、各部署に配置した「IT推進者」への教育の徹底や人的対応力強化に注力しております。ただし、昭和産業グループの想定を上回る新手のサイバー攻撃を受けた場合、システム停止による製品供給の遅れ、情報漏洩による損害賠償、信用低下による顧客離れ等による売上高の減少など、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/④]
(5)気候変動
昭和産業グループは大地の恵みである多種多量な穀物を扱っており、穀物の生育は気候変動に大きな影響を受けることから、重大なリスクであると認識しております。
気候変動に起因する自然災害の発生や気温上昇が穀物の生育過程に悪影響を及ぼし、穀物の品質悪化や収量の減少が想定されます。これは、原料の高騰ばかりか昭和産業グループが安定的に製品を供給することが困難となり、ステークホルダーからの信頼と事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動リスクは、環境管理委員会傘下のTCFD委員会で分析を進めております。また、2021年12月にはTCFD提言への賛同を表明しました。昭和産業グループの事業には大地の恵みである穀物は必要不可欠であることから「地球環境への配慮」をマテリアリティの一つに位置付け、気候変動への対応に取り組んでおります。TCFD委員会では、移行リスクと物理的リスクに分けてシナリオ分析し、気候変動が事業活動に与える影響を定量面と定性面で整理しております。
この分析したリスク対応の一部を「昭和産業グループ 環境目標」と連動させ、食品メーカーとして特に重要と考えるCO2、食品ロス、水、プラスチックに関する目標として設定しました。環境管理委員会の傘下に設置したCO2排出量削減部会、食品ロス削減部会、水使用量削減部会、プラスチック使用量削減部会が中心となり、この目標達成に向けた取り組みを進めております。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略③/⑤]
(6)人権
多種多様な事業ポートフォリオを有する昭和産業グループにとって、不当な職場待遇、強制労働、ハラスメント等の人権諸課題への対応及び従業員の人権保護と関連法規制の遵守は非常に重要な課題と認識しております。あらゆる差別や偏見を排除し、従業員一人ひとりの多様なる個性・人格・能力を尊重し合う多様性に配慮した職場づくりが実現できない場合には、昭和産業グループ及びブランドのイメージが失墜するとともに、従業員の生産性の低下、優秀な人財の獲得が困難になるなど、昭和産業グループの競争力が低下する可能性があります。
昭和産業グループでは「人権に関する取り組み基本方針」を制定し、この人権尊重の方針を土台として、互いを尊重し従業員一人ひとりが自らの強みを最大限発揮できる職場づくりに取り組んでおります。また、2020年に「昭和産業グループ調達方針」を制定し、人権尊重の考えをサプライヤーの皆様に共有しております。2023年度は人権リスクアセスメントを全グループ会社に行い、人権侵害のリスクを深刻度と発生可能性の観点から評価した結果、「長時間労働」「労働災害」「ハラスメント」の3つが優先的に対処すべき人権リスクとして見出されました。アセスメント結果を基に、将来的には重点領域の特定を行い、是正・予防措置、追跡調査による効果の検証、情報開示及び従業員のリテラシー向上といった人権デューデリジェンスの更なる取組強化へ繋げていく予定であります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略④/⑤]
(7)企業買収及び合弁事業
昭和産業グループは、長期ビジョンの基本戦略となる「基盤事業の強化」及び「事業領域の拡大」を実現するための手段として、国内外の企業買収や海外現地パートナーとの合弁等の可能性を常に検討しております。
企業買収や合弁事業の実施にあたっては、昭和産業グループ独自に策定したガイドラインに基づいた検証・審査プロセスを実施するとともに、外部専門家を活用することでリスクの低減を図っております。しかし、対象となる事業の環境変化等により、当初の想定通りにシナジー効果等が創出できない場合、昭和産業グループの期待する成果が得られない可能性があります。また、企業買収等に伴い計上したのれん及び顧客関連資産については、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、対象となる事業において当初想定していた収益力が低下する等の理由により減損損失が発生し、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②]
(8)人財確保
国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少により、必要とする人財の確保や育成ができない場合には、昭和産業グループの経営状況や事業継続に影響がでる可能性があります。
昭和産業グループでは「従業員のウェルビーイング向上」を目指し、多様な従業員が心理的安全性の高い職場で意欲高く、スキルや知識を身につけ成長していくことのできる環境整備に努めております。具体的には、研修の充実化や、毎年実施するエンゲージメントサーベイの結果を基に各セクションにてスコア改善へ向けた行動計画を策定・実行しております。また、「昭和産業健康宣言」に基づき、産業医・健康保険組合と連携を取りながら全社一体で従業員の健康増進に取り組んでおり、3年連続で「健康経営優良法人」に認定されました。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②/⑤]
(9)少子高齢化・人口減少
日本国内においては人口減少及び少子高齢化が進んでおり、中長期的には国内需要の低下が懸念され、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
こうした市場環境の変化に対応するために、昭和産業グループでは大規模な組織改編を行い、提案型営業による顧客ニーズに沿った製品提供、差別化戦略による付加価値商品の拡販やグループ連携による収益力強化、オレオケミカルなど非食品分野も視野に入れた新規事業創出などの事業領域の拡大にも取り組み、販路および収益の拡大に努めてまいります。また、人口が増加傾向にある海外にも注力し、需要が旺盛なASEAN地域を中心に事業展開や輸出の強化を図ってまいります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②]
(10)コンプライアンス
昭和産業グループが事業活動を行う上で、食品衛生法、独占禁止法、下請法、景品表示法、個人情報保護法等、国内外の様々な法的規制や社会的規範を遵守することが求められております。
重大なコンプライアンス違反を起こした場合、民事上の責任(損害賠償等)、刑事上の責任(刑事罰)、行政上の責任(行政処分)といった法的責任の追及だけでなく、社会的信用やブランドイメージが大きく低下し、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
昭和産業グループは、経営理念である「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」の具現化に向け、「コンプライアンス基本方針」の下、従業員一人ひとりが企業市民としての自覚を持ち、コンプライアンスの実践者となり透明性の高い組織としていくため、コンプライアンス委員会を中心に、抑止及び検知に向けた活動を推進しております。具体的には、必要な規程類の整備や、社会情勢によって変化する課題抽出とその対策として研修等の教育・啓蒙活動の展開、内部通報制度を通じた不正行為の早期発見や再発防止策の検討等を実施しております。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②/⑤]
(11)知的財産
昭和産業グループが知的財産権の取得、維持、防衛、保護を計画通りに実行できなかった場合、昭和産業グループ独自の技術による競争優位性を維持できなくなる可能性があります。適切な知的財産権を取得し、その維持と防衛に努めることと、秘匿技術の保護に取り組んでおります。
また、昭和産業グループの知的財産権が第三者に侵害される可能性や、昭和産業グループが意図せず第三者の知的財産権を侵害し、販売差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。第三者による侵害製品や冒認出願について調査し、それに対応することで知的財産権とブランドイメージを保護するとともに、継続して教育活動を実施することで第三者の知的財産権を尊重する風土の醸成に取り組んでおります。
このような取り組みを通じて、昭和産業グループの経営成績が悪影響を受けるリスクや、昭和産業グループ及びブランドのイメージが毀損するリスクの低減を図っております。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/②]
(12)物流に関するリスク
運送・物流業界においては、ドライバーや構内作業員の減少、ドライバーの労働時間の上限規制の適用開始などにより運送能力が不足することが懸念されており、「物流の2024年問題」として社会的な課題となっております。
これらは原材料の調達と製品の供給の両面に影響することから、結果としてお客さまへの商品の供給が滞る可能性があること、また物流コストが上昇することが想定されることから、昭和産業グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性が大きいと考えております。
これに対し、昭和産業は従来から「ホワイト物流」推進運動へ賛同し、拠点物流倉庫の整備、モーダルシフトによりトラックによる長距離輸送の削減、デザイン・フォー・ロジスティクス(物流を配慮した製品・包装設計)によるパレット積載効率の向上などに取り組んでおります。また、経済産業省、農林水産省、国土交通省から示された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に従い、昭和産業としての自主行動計画を策定し、公開しております。
今後も持続可能な物流の実現のため、昭和産業グループでは物流事業者や得意先様のご理解・ご協力をいただきつつ、トラック待機時間の削減、配送頻度の適正化、パレット輸送の促進、配送業務外の付帯作業の改善、適切な物流料金の設定などの対策を進めてまいります。また、神戸工場の製粉立体自動倉庫の更新(2026年完成予定)を始め、物流分野への投資を実施します。更に行政の動向を注視し、様々な法規制の変更や追加へも適切に対応してまいります。
[長期ビジョンへの影響:基本戦略①/③]
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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