新日本科学(2395)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


新日本科学(2395)の株価チャート 新日本科学(2395)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

(1) 事業の内容について

新日本科学グループの企業集団は、新日本科学、連結子会社27社及び関連会社5社の合計33社で構成されております。主な事業の内容は、1.製薬企業等から非臨床試験(注1) 、臨床試験(治験)(注2)及び新薬承認申請業務を受託し、医薬品開発支援を行うCRO事業、2.新日本科学が独自に開発した経鼻投与基盤技術(注3)並びに大学やバイオベンチャーの基礎的な知見や技術を育成してビジネス化あるいは投資していくトランスレーショナルリサーチ(TR)事業、3.新日本科学が鹿児島県指宿市の高台に所有する広大な敷地(メディポリス指宿)の自然資本を活用して地熱発電や宿泊施設運営などを行うメディポリス事業(社会的利益創出事業)等を行っております。

具体的には、CRO事業では、安全性研究所、株式会社新日本科学イナリサーチセンターにおいて非臨床試験の実施及び臨床試験の試料分析を、薬物代謝分析センターにおいて非臨床試験及び臨床試験の試料分析を、株式会社新日本科学PPDにおいて臨床開発(注4)をそれぞれ受託しております。

新日本科学に直属するTR事業本部では、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART: Simple MucoAdhesive Release Technology、以下、SMART)の研究開発を実施しており、鼻粘膜からの全身吸収、鼻粘膜上での免疫、鼻から脳への薬物送達の3つの応用領域において創薬に注力しております。これまでに、TR事業として、独自のSMART技術を応用した、経鼻片頭痛治療薬を開発中の米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.及びパーキンソン病の治療薬を開発中の株式会社SNLDなどをスピンアウトさせた実績があり、TR事業本部としてこれらの開発会社の支援も行っています。Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)は新日本科学技術に基づき開発され、2025年4月30日(米国時間)に米国FDAから販売承認を取得しました。さらに、経鼻ワクチンに関する事業については、2023年4月に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げ、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しており、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント(注5)を含めた製剤化やデバイスの最適化にも取り組んでおります。その他、現重要投資先で核酸医薬品の開発を行う米国Wave Life Sciences Ltd.も、TR事業を起源とした企業です。

メディポリス事業では、環境に配慮したバイナリ―式地熱発電(注6)事業を実施するとともに、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとした2つのホテル宿泊施設(ヒーリングリゾートホテル「別邸天降る丘」及びメディポリス指宿に隣接する一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携した患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」)を新日本科学及びその子会社で運営するホスピタリティ事業を展開しています。

香港の新日本科学(亜州)有限公司はアジアにおける事業を統括し、新日本科学の持分法適用関連会社である中国本土の安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(旧 肇慶創薬生物科技有限公司)及び新日本科学子会社であるカンボジア王国のSHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES(CAMBODIA)LIMITEDでは、実験用NHPの繁殖育成と検疫輸出を行っています。

 

(注1)非臨床試験:臨床試験に着手する前に、実験動物や細胞・細菌を用いて開発中の医薬品等の有効性と安全性を確認する試験です。

(注2)治験:臨床試験のうち、厚生労働省から新薬の製造・販売承認を得るために実施する試験です。

(注3)経鼻投与基盤技術:既に市販されている薬剤の剤型に工夫を施し、鼻から投与し、鼻粘膜から吸収させ、治療するシステムのことです。

(注4)臨床開発:ヒトに対する薬の有効性と安全性を確認するための試験を実施するにあたり必要となる開発業務です。

(注5)アジュバント:ワクチンの効き目を増強させる成分のことであり、ワクチンに添加することで、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりすることができます。

(注6)バイナリー式地熱発電:バイナリー発電方式とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式です。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電と呼ばれています。

 

(2) 医薬品開発のプロセスにおける新日本科学グループの事業領域について

製薬企業は、医薬品を開発し、最終的に販売するまでには薬機法に基づく様々な試験を実施し、有効性と安全性を確認します。厚生労働省に新薬承認申請を行う際には、それらの試験の成績を添付し、同省諮問機関の専門家による厳密な審査を経て承認が得られるシステムになっております。

医薬品開発のプロセスにおける新日本科学グループの事業領域については、次のとおりです。

 

(3) セグメントについて

 報告セグメントは、新日本科学と連結子会社27社、持分法適用関連会社5社により、次のとおりCRO事業(非臨床事業・臨床事業)・トランスレーショナルリサーチ事業・メディポリス事業・米国不動産事業及びその他事業に区分されております。

セグメント

主な事業の内容

主な構成会社

CRO事業

(非臨床事業)

製薬企業等の委託者が開発中の医薬品等について、実験動物や細胞・細菌を用いてその有効性と安全性を確認する事業

(臨床事業)

ヒトにおける有効性と安全性を

確認するための試験実施に関する開発事業

新日本科学

株式会社新日本科学イナリサーチセンター

株式会社CLINICAL STUDY SUPPORT

SNBL U.S.A., Ltd.

University Medicines International, LLC.

新日本科学(亜州)有限公司

SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES

(CAMBODIA) LIMITED

メディポリスNHP株式会社

ANGKOR PRIMATES CENTER INC.

株式会社新日本科学PPD(注1

安凱毅博(肇慶)生物技術有限公司(注1

トランスレーショナルリサーチ事業

経鼻投与基盤技術等の開発及び大学、バイオベンチャー、研究機関などにおける基礎研究から派生してくる有望なシーズ技術や新規物質を発掘して、医薬品などの評価・承認に必要な非臨床試験や臨床試験を行いながら、付加価値を高めて事業化する事業等

新日本科学

SNBL U.S.A., Ltd.

株式会社Gemsekiインベストメント

株式会社SNLD

NDP Pharmaceuticals,Inc.

SGG Management Services,LLC.

Ruika Therapeutics, Inc.

Satsuma Pharmaceuticals, Inc.

メディポリス事業

宿泊施設運営及び地熱発電事業等

新日本科学

AMAFURU&Co.株式会社

株式会社メディポリスエナジー

Green Hydrogen株式会社

米国不動産事業(注3

米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業

SNBL U.S.A., Ltd.

その他事業

事務業務受託等

新日本科学

株式会社新日本科学グループ

株式会社メディポリス

SNBLアセットマネジメント株式会社

ふれあい・ささえあい株式会社

トランクソリューション株式会社

株式会社新日本総合建設

FREESIA HD,INC.

株式会社新日本科学Tasso(注1,2

株式会社JRMPC(注1

株式会社NANA(注1

(注1)持分法適用関連会社

(注2)当連結会計年度中に連結子会社として設立されましたが、当連結会計年度末日に持分法適用の関連会社

となったため、年度中の取引については連結子会社としての処理を行っております。

(注3)米国不動産事業は、事業の重要性が高まったため、前連結会計年度から遡及し、報告セグメントとして

    新たに区分表示しております。

 

 新日本科学及び連結子会社のセグメント系統図並びに会社別事業内容は、次のとおりであります。

<セグメント系統図>

<会社別事業内容>

 

セグメント

新日本科学(事業部)

及び主な連結子会社

所在地

事業内容

新日本科学

CRO事業

安全性研究所

鹿児島

非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。

薬物代謝分析センター

和歌山

非臨床試験及び臨床試験の試料分析を行っております。

トランスレーショナルリサーチ事業

TR事業本部

東京・鹿児島

経鼻投与基盤技術等の開発を行っております。また、大学等と共同研究の推進、バイオベンチャー等の支援を行っております。

メディポリス

事業

別邸天降る丘

鹿児島

ホテル宿泊施設を運営しております。

発電事業部

鹿児島

地熱発電事業等を行っております。

主な

連結

子会社

CRO事業

株式会社新日本科学イナリサーチセンター

長野

非臨床試験を行っております。また、臨床試験の試料分析を行っております。

SHIN NIPPON BIOMEDICAL LABORATORIES (CAMBODIA) LIMITED

カンボジア王国プノンペン都

実験動物の繁殖・育成・検疫等を行っております。

トランスレーショナルリサーチ事業

株式会社Gemsekiインベストメント

東京

投資事業・ファンド運営を行っております。

株式会社SNLD

東京

TR事業本部のリソースを用い、経鼻製剤の開発を行っております。

Satsuma Pharmaceuticals, Inc.

米国 ノースカロライナ州

経鼻製剤の開発を行っております。

メディポリス

事業

株式会社メディポリスエナジー

鹿児島

地熱発電事業を行っております。

 

米国不動産事業

SNBL U.S.A.,Ltd.

米国 ワシントン州

保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っております。

 

(4) 非臨床事業について

非臨床試験とは、製薬企業等が開発中の医薬品等(被験物質)の有効性と安全性について、実験動物や細胞・細菌などを用いて調べる試験です。非臨床試験は、その後に続く、ヒトによる臨床試験や製造販売後、診療の場における患者さんへの危害を未然に防止するために不可欠であり、その実施は薬機法等で定められております。新日本科学グループで実施する非臨床試験には、安全性試験(単回・反復投与毒性試験、生殖発生毒性試験等)、薬理試験(安全性薬理試験等)、薬物動態試験があります。各試験の種類や試験内容は次のとおりです。

非臨床試験の種類

説明

安全性試験

単回投与毒性試験

被験物質を単回投与し、その毒性を質的量的に明らかにする試験です。

反復投与毒性試験

被験物質を繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を示す用量とその変化の内容及び毒性変化の認められない用量を求める試験です。

生殖発生毒性試験

被験物質の生体への投与が、生殖・発生の過程において何らかの悪影響を及ぼすかどうかの情報を得ることを目的とした試験です。

抗原性試験

被験物質がヒトに対して免疫反応に関与する副作用を起こす可能性があるかどうかを調べる試験です。

皮膚(光)感作性試験

皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚での接触感作性、皮膚光感作性のリスクを予測するための試験です。

遺伝毒性試験

細胞や細菌を用いて、被験物質の遺伝子突然変異誘発性や染色体異常誘発性を推定する試験です。

がん原性試験

被験物質が、がん原性を示すかを調べる試験です。

局所刺激性試験

被験物質を局所に適用し、その刺激性を調べる試験です。

吸入毒性試験

吸入装置を用いて、被験物質を全身に暴露した場合、あるいは口や鼻から吸入した場合の毒性を調べる試験です。

TK試験

被験物質を投与した際の血漿あるいは血清中の薬物の濃度を測定し、全身的暴露量を経時的に調べる試験です。

特性試験

被験物質の特性として、純度、含量や性状等を調べる試験です。

安定性試験

被験物質の安定性を調べる試験です。

依存性試験

被験物質の薬物依存性を調べる試験です。

薬理試験

安全性薬理試験

被験物質の薬理作用又は副作用の観察を目的として、ヒトでの安全性を予測するために行われる試験です。

薬効試験

被験物質の有効性を評価することを目的として行われる試験です。

薬物動態試験

被験物質投与後の生体内での被験物質及びその代謝物の時間経過に伴う吸収、分布、代謝、排泄等について調べる試験です。

 

非臨床試験は、厚生労働省が管轄する薬機法の下、GLP(注1)に従い実施しております。具体的には、運営管理者(注2)が指名した試験責任者(注3)の指揮監督の下で、試験計画書(注4)及び標準操作手順書(SOP)(注5)に従って適切に実験を実施し、その成績を最終報告書(注6)としてまとめ、委託者へ報告しております。なお、試験がGLPに従い適切に実施されていることについて、信頼性保証部門(注7)が試験全般にわたって客観的に調査することがGLPに定められております。

委託者による試験依頼から最終報告書に至る試験の流れは、次のとおりであります。

非臨床試験を実施するにあたっては、以下の要件が必要不可欠となります。

・GLPの厳格な適用

・専門知識と高い技術力を備えた人材の確保

・清浄度の高い飼育施設の維持管理

・試験成績の収集・測定・分析・解析等を行う専用機器の具備

・資料保管施設等が充分に整った環境

・高品質の実験動物の確保

多様な試験を迅速に開始できる体制を整えるべく、経験豊富で高い技術力を備えた研究者の確保、容易に各種実験動物を準備できるだけの検疫施設及び飼育・繁殖体制の整備、研究施設の諸設備の充実等を図っております。

新日本科学では、ヒトとの遺伝子的類似性が高いことから医薬品の安全性と有効性を調べるのに有用性が高いとされている実験用NHPを用いた試験の実施が可能です。実験用NHPを用いた試験は、他の実験動物に比べて取扱いが困難であります。新日本科学では自社開発した保定器具(国際特許取得)を用いることにより、安全に試験を実施できることに加え、動物にストレスを与えない状態で試験データ取得が可能で、信頼性の高い試験を実施できます。実験用NHPの取扱いは、輸入、検疫、飼育及び繁殖に関する基礎技術・ノウハウを保持している必要があります。加えて、新日本科学敷地内には、農林水産大臣の指定を受けた検疫施設(保税倉庫)があり、実験動物としての品質や安定的数量を確保しております。

(注1)GLP:Good Laboratory Practiceの略語で、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」のことです。医薬品等の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、動物による安全性試験データの信頼性を確保するために、試験実施施設が遵守しなくてはならない事項を定めたものです。1979年6月に世界で最初に米国においてGLPが実施され、これを契機として各国において各種のGLPが制定されました。我が国においては、1983年4月に実施された医薬品GLPが始まりで、現在では1996年の旧薬事法等の一部改正に伴い厚生省令として定められ、1997年4月より施行されました。なお、国内では医薬品GLPの他7種類のGLPが施行されています。

(注2)運営管理者:試験施設の運営及び管理について責任を有する者です。

(注3)試験責任者(SD:Study Director):運営管理者によって試験毎に指名され、当該試験の計画、実施、記録、報告等について責任を有する者です。

(注4)試験計画書(Protocol):試験の目的を達成するのに必要な試験方法、操作方法が確実に行われるようにするため、試験責任者が試験毎に作成した文書です。

(注5)標準操作手順書(SOP:Standard Operating Procedures):試験が恒常的に適正に実施されるように試験の操作、動物の飼育管理、機器の維持管理等について、実施方法及び手順を記載した文書です。

(注6)最終報告書(Final Report):試験責任者が、試験毎に試験成績を最終的に報告書として作成した文書です。

(注7)信頼性保証部門(QAU:Quality Assurance Unit):信頼性保証部門は、試験の信頼性を保証するための個人又は組織です。信頼性保証部門責任者は運営管理者によって、試験の担当者以外の者から指名されます。さらに、信頼性保証部門責任者は信頼性保証部門担当者を指名し、この信頼性保証部門責任者及び担当者は、客観的な目で試験全般にわたって調査しています。必要に応じて、試験の過程で見られた試験計画書等に従わなかったこと等について指摘、改善を勧告する役割を負っています。その活動の記録、報告は全て文書によって保存されています。

(5) 臨床事業について

非臨床試験の次の段階である臨床試験(治験)は、ヒトにおける治験薬の有効性と安全性を確認する試験となります。これは、製薬企業等が実施するものと位置付けられておりますが、ヒトでの試験であることから、製薬企業等は医療機関(医師を含む)に治験への参画を依頼することとなります。即ち、製薬企業等が医療機関に治験の実施を依頼し、医療機関がそれを受託することにより実施されます。

実施にあたって、製薬企業等(治験依頼者)は、治験の実施準備として、今までの非臨床試験を含めた成績をまとめて評価し、治験実施計画書(注1)案を作成し、その治験実施計画書案に従った治験ができる医師を選び、医師が所属する医療機関に治験の依頼手続きを行います。依頼を受けた医療機関は、治験実施計画書案が倫理的、科学的、医学的妥当性及び当該医療機関における実施可能性の観点から評価するために、治験実施の可否について治験審査委員会(IRB)(注2) に諮り、実施の承認を得て治験の契約を行います。その後、被験者の同意(インフォームド・コンセント)(注3) を得た上で、GCP(注4) 、治験実施計画書、標準業務手順書(SOP)(注5) 及び薬機法に従って治験を実施します。治験の結果は、症例報告書(注6)として作成され、治験終了通知書(注7)と共に治験依頼者に提出されて治験が終了します。これらの医療機関での治験の実施に関して、治験依頼者は治験がGCP及び治験実施計画書等に従って実施されていることを確認します。以上のように、治験は、製薬企業等と医療機関との間における様々な専門的な管理・運営の下で行われています。

新日本科学では、関連会社である株式会社新日本科学PPDが、主に製薬企業等から臨床試験の管理を受託し、製薬企業の代わりに医療機関に訪問して治験の進捗を管理する事業(CRO事業)を行っております。

 

医薬品開発がグローバル化する中で国際競争を展開する製薬企業は、開発のスピードアップを重点課題としており、開発業務をアウトソーシングする動きが活発化し、医療機関では治験体制の整備に関するニーズが高まっております。近年、CRO業界においては、新規参入が相次ぎ競争が激化してきております。新日本科学グループのCROは非臨床事業と共に築き上げた製薬企業等との強い信頼関係を活かして積極的な展開を行っております。新日本科学は、1999年に臨床開発事業本部(後に臨床事業部と改称)を開設してから、これまでの国内に限定した臨床試験の実施から多国間で同時に行う国際共同試験(以下「グローバル試験」) や日本を含むアジア周辺の複数国で同時に行うアジア試験にトレンドが移りつつある中で、グローバル試験の受注には、世界で同時に臨床試験を運営・管理・実施できる多国間のグローバルネットワークの構築が必須であると判断し、グローバルCRO(注8)であるPharmaceutical Product Development, LLC. ( 以下「PPD」) と2015年4月1日に国内での合弁会社を設立致しました。両社の日本における臨床事業を統合することで、新日本科学は、グローバル試験の国内実施体制の基盤が強固となり、PPDのグローバルネットワークを活用して、日本国内の臨床試験の受託のみならず、グローバル臨床試験を含む幅広い試験の受託が可能となります。なお、株式会社新日本科学PPDは、新日本科学の持分法適用会社であります。

新日本科学CRO事業における治験支援業務の種類及び業務内容は、次のとおりです。

 

業務の種類

業務の内容

治験薬概要書の作成支援

非臨床試験成績及び先行して実施された臨床試験成績に基づいてまとめた的確

な治験薬概要書の作成を支援しております。

治験実施計画書の作成支援

治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書

の作成を支援しております。

同意説明文書の作成支援

被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる文書の作成を支援して

おります。

治験責任医師の選定

治験実施医療機関の選定

治験を適切に実施できる治験責任医師及び実施医療機関を選定する業務です。

治験薬割付

治験薬の評価にバイアスを避けるために治験薬が特定できないようにする業務

です。通常、記号と算用数字を組み合わせて、あるいは算用数字で表示しま

す。

治験の依頼・契約

医療機関への治験の依頼及び契約をする業務です。

モニタリング

治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、GCP及び治験実施計画書、標準業務手順書に従って、実施、記録及び報告されていることを保証する業務です。

品質管理

治験の品質管理を目的として行う点検業務です。

データマネジメント(DM:Data

Management)

治験データの確認業務のことで、DM業務担当者は、モニターが治験責任医師から入手した症例報告書の内容を確認して、治験実施計画書に定める事項からの逸脱、記入漏れ、不整合等を発見し、モニターを通じて治験責任医師にフィードバックします。データを固定後、統計解析業務担当者に提供する業務です。

統計解析業務

データマネジメント業務を通じて作成されたデータベースを用いて治験実施計

画書に定めた統計手法に基づき有効性、安全性の統計解析を行う業務です。

総括報告書の作成支援

治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書の

作成を支援しております。

電子申請支援

各種申請を支援しております。

官公庁への申請書類提出支援

官公庁への各種申請書類の作成や手続きを支援しております。

薬事コンサルティング

新薬の開発から申請、承認、製造販売後までにわたる様々な薬事コンサルティ

ング業務です。

 

(注1)治験実施計画書(Protocol):治験依頼者(製薬企業等)が治験責任医師と協議の上作成するもので、治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書です。

(注2)治験審査委員会(IRB:Institutional Review Board):治験を実施する医療機関に設置される委員会で、医学、薬学、看護学、法律学、倫理学等の専門家により構成されています。その医療機関が依頼を受けた治験を実施すべきかどうか等について、独立した立場で審査します。

(注3)インフォームド・コンセント(Informed Consent):被験者が、治験の目的や方法等、あらゆる角度から十分な説明がなされた上で、自由な意志によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することです。インフォームド・コンセントは、被験者の記名捺印( 又は署名) と日付が記入された同意書をもって証明されます。

(注4)GCP:Good Clinical Practiceの略語で、「医薬品の臨床試験の実施の基準」のことです。即ち、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料収集のために行われる臨床試験(治験)を、十分な倫理的配慮のもとに科学的かつ適正に実施するための手順を定めたものです。1989年10月に厚生省薬務局長通知として公表され、翌1990年10月から実施に移されました。その後、より適正な臨床試験の実施と国際調和のために内容を見直された新GCPが、1997年3月に厚生省令として制定、1998年4月から本格施行され、以降適宜改正されております。

(注5)標準業務手順書(SOP: Standard Operating Procedures):治験に係る各々の業務が品質を確保する目的で、恒常的かつ適正に実施されるよう手順を標準化したものです。

(注6)症例報告書(CRF:Case Report Form):治験の成績等を治験依頼者に報告するために、治験実施計画書において規定されている各被験者の全ての情報を記録したものです。

(注7)治験終了通知書:治験終了後に医療機関が作成し、治験依頼者に提出するものです。

(注8)グローバルCRO:世界を網羅的にとらえて臨床試験を運営・管理・実施する多国間ネットワークを構築している国際的規模のCROのことを言います。

 

(6) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業について

トランスレーショナルリサーチ(TR: Translational Research)とは、一般的には、基礎研究の領域と臨床応用の領域を繋ぐ橋をかけて、基礎研究の成果を臨床の現場で実証し、さらに臨床での成果を基礎研究の場にフィードバックさせる研究のことを言いますが、新日本科学では基礎研究の成果を臨床における成果へと進展させ、更にそれを事業化することとして位置付けております。新日本科学は、CRO事業において、非臨床試験から臨床試験に至る医薬品開発全般の支援業務を長年実施してきた実績を通じて、医薬品開発に関するノウハウが蓄積されたことに加えて、新規技術や候補物質の評価やそれを事業化するためのノウハウも蓄積されており、さらには人材面・資金面・経営面で支援を行うことも可能になりました。新日本科学TR事業本部は、新日本科学CRO事業によって培われた医薬品開発に関わる様々なリソースをフル活用して、自ら医薬品開発に取り組んでおります。TR事業本部は、独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術(SMART)の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図した鼻からの薬物吸収に関する応用、中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用、及び感染防御を企図した鼻粘膜上の免疫に関する応用の、3応用領域において創薬を指向しております。その全体像を下図に示しました。これまでにTR事業本部から、経鼻片頭痛治療薬を米国Satsuma Pharmaceuticals, Inc.に、パーキンソン病の経鼻治療薬を国内株式会社SNLDにライセンスアウトしており、TR事業としてこれらの開発支援も行っています。2025年4月(米国時間)には、Satsuma社の経鼻片頭痛治療薬「AtzumiTM」(開発名:STS101)が新日本科学技術に基づき開発されFDA承認を受けた第1号となりました。また、ワクチン事業に関しては、免疫学のオピニオンリーダー常駐のもとに、経鼻粘膜ワクチン研究開発センターにて遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究開発を推進しております。効果を高めるため至適抗原の選定/経鼻免疫に適したデバイス開発/アジュバントを加えた製剤化、などの各要素をシステムとして統合し、安全かつ有効なワクチンに仕上げる研究開発が進んでおります。TR事業本部とSNLDでは、臨床試験遂行のため、GCPに準拠した組織を構築しております。

 

 

(7) メディポリス事業について

メディポリス事業では、発電事業並びにホスピタリティ事業を運営しています。前者では、純国産エネルギーの創出推進という国のエネルギー政策をうけて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の施行により、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリ―式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っております。加えて、既存のホテル泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所が2025年4月10日に稼働を開始しております。ホスピタリティ事業では、Wellbeingをテーマとし、お客様の利用目的に応じてメディポリス指宿の自然を堪能できる2つのホテル、「別邸 天降る丘」とよび「HOTEL フリージア」を運営しております。「HOTEL フリージア」は、一般社団法人メディポリス医学研究所メディポリス国際陽子線治療センターと連携し、医療とリゾートを融合させた新しい形のリゾートを提供しています。

(8) 米国不動産事業について

米国不動産事業は、米国子会社SNBL USA, Ltd.が保有する敷地内に建設した多目的産業用ビルを賃貸する事業を行っています。

(9) その他事業について

連結子会社となる特例子会社「ふれあい・ささえあい株式会社」は、身体が不自由な方や精神発達に遅れが出ている方が「働きたい」という思いを実現するために設立した会社です。新日本科学グループ内の業務支援として、清掃、事務、社内コンビニでの業務、福利厚生(鍼灸師によるマッサージ)などを行っています。


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(2024年3月31日)において新日本科学グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

新日本科学グループは、次の使命を掲げております。

「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放する事を絶対的な使命とします。」

新日本科学グループは、この使命の実現に向け、医薬品開発分野におきまして、網羅的に非臨床試験と臨床試験を受託できる研究機関として事業基盤の確立を図ってまいりました。半世紀を超えて長年培った研究実績や豊富な経験を活かして、最新の設備と確かな技術であらゆる疾患分野における医薬品開発のサポートを実施しております。

一方、科学技術の進展により、医薬品の開発環境は大きく変化します。このような新しい環境の変化にも迅速に対応し、世界に通用するビジネスモデルを構築して、新日本科学の理念を共有でき優れた発想や卓越した才能を持つバイオベンチャーなどと共存共栄を図っていくTR事業にも積極的に取り組んでまいります。

社会貢献と企業価値の極大化を経営の基本方針として、株主、顧客、取引先、従業員等すべてのステークホルダーの期待に応えるべく努力を重ねてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

新日本科学グループは、企業価値を向上させるため、各事業の創出する利益を極大化することを重視し、営業利益、経常利益の増大および利益率の改善を経営目標にしています。また資本収益性の指標についてはROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を重視し、取締役会での報告事項としております。さらに、資本コストを意識した経営を実践すべく資本コストを上回る高ROEの維持・向上を図るとともに財務健全性の維持と株主還元のバランスの最適化に努めています

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

新日本科学は2022年10月に「統合報告書」を発行し、その中で新日本科学の展望として「2028Vision」を掲げ、2028年度の財務KPIとして「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%、配当性向30~40%」としました。さらに2023年11月発行の「統合報告書2023」において、2028年度の財務KPIとして、「ROE10%以上」「ROIC10%以上」を設定しました。これは現在の基幹事業であるCRO事業が引き続き業績をけん引するという考えを基に作成しております。具体的には、第1の成長エンジンである実験用NHPを用いた非臨床事業、第2の成長エンジンである新日本科学PPDで実施している国際共同治験の受託による臨床事業の2つのエンジンが引き続き収益をけん引することを前提としていますが、中長期的には新日本科学TR事業のオリジナルである経鼻投与プラットフォーム技術を活用した経鼻投与製剤が将来の成長エンジンになるように注力してまいります。簡単に真似のできないビジネスモデルによる成長エンジンを拡大および増加させることで持続的成長を推進する経営戦略を進めてまいります。

 

(4)経営環境

医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング(外部委託)の動きが引き続き活発化しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。このようなトレンドを受け、CRO事業を主力事業とする新日本科学は、“ダントツのCRO”としてクライアントから第一に指名される存在になることを目指しており、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上ならびに継続的な品質の向上に注力しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

こうした中で、新日本科学グループが対処すべき課題は次のとおりです。

① CRO事業の更なる強化

医薬品業界では、国内、海外問わず、ワクチン開発、治療薬開発が急速に進んでおります。また、昨今の医薬品開発において、低分子医薬から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化に伴う医薬品開発難度の上昇に起因する医薬品の研究開発費増加が進み、迅速かつ質の高いCROへのアウトソーシングのニーズが高まっております。こうした中、次のような観点からCRO事業の強化を図ってまいります。

サービス拡充という観点からは、ワクチン並びに感染症治療薬開発にCROとして参画するとともに、従来型の安全性試験に加え、候補化合物選定のための創薬スクリーニングから臨床試験に至るまで一貫して開発に必要な試験を受託することで、開発者側の視点に立ったより付加価値の高いサービスを提供することを目指します。2024年3月期に新規の実験用NHP繁殖・育成施設が完成し稼働を開始しました。国内での実験用NHP繁殖体制を強化し、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。

また、上述した創薬モダリティの多様化が進む中、再生医療分野で京都大学iPS細胞研究所との共同研究経験を活かしたiPS細胞を用いた安全性試験に関する受託業務を行ってきたように、今後とも常に業界の動きに逸早く対応した幅広いサービスを提供してまいります。

オペレーションの観点からは、作業工程におけるロボット化や自動化等のDX推進による内部業務プロセスの見直しと改善を進め、新たな時間的価値創出を目指すGENJIプロジェクトと名付けた社内活動などによる業務革新、コストの削減、試験の早期開始などに努めるとともに、年々需要が高まっている新規創薬モダリティ医薬品開発に不可欠な実験動物(NHP)のサプライチェーンマネジメントについても、日本・中国・カンボジアのグループ関連施設における検疫・繁殖・育成能力をそれぞれ増強することにより、リスク分散を図りつつ今後の事業成長に必要な品質の高い実験動物を安定的に確保できる体制を構築していきます。また、非臨床事業の大型受注に対応できる体制構築を主目的として2022年12月に建設着手した、鹿児島本社敷地内での新社屋・研究棟の建設は、計画通り5月末に竣工予定です。新築した建物は、RC(鉄筋コンクリート)造地上8階建・2棟・延床面積13,022㎡で、バイオアナリシス研究部門、分析研究部門、IT部門、研究スタッフエリア、会議室、役員室などを配置しており、2024年6月から順次稼働してまいります。

人財育成という観点からは、若手研究員を中心にサイエンスレベル向上に注力してまいります。顧客に対してより効果的で効率的な試験を提示できる提案型CROを目指しており、国内外の複数の学会において研究成果の発表及び論文発表を行っております。

 

② 第3の収益エンジンとしてのTR事業の推進

TR事業では、新日本科学グループの医薬品開発における機能、経験とネットワークに、独自の知的財産に基づく基盤技術を加えることで、創薬型の医薬品開発事業へとパラダイムシフトするという戦略に基づき、次の複数のプロジェクトに取り組んでまいります。

新日本科学のTR事業が有する経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための拡張技術研究に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化をこれまで進めてまいりました。併せて、高い噴射性能と利便性を併せ持つ、独自の経鼻投与デバイスも開発し、さらなる改良を重ねております。未充足医薬品市場を確実に捉え、経鼻投与基盤技術のフィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻吸収による全身作用を企図した候補化合物について絞り込みを行った結果、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を臨床開発段階へと進展させました。現在、その開発は、本剤の開発権をライセンスアウトした連結子会社のSNLD社が引き継いでおり、2024年1月に臨床第2相前期試験における患者様への投薬を完了しました。また、更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良開発品(TRN501)についても2024年1月に臨床第1相試験の治験届を提出し、すでに遂行段階にあります。SNLD社では、今後臨床開発体制をさらに強化して、経鼻による神経変性疾患のオンデマンド薬開発を米国を中心としてグローバルに行っていく予定です。

また、2023年6月8日に完全子会社としたSatsuma社では、新日本科学からライセンスを受けた経鼻偏頭痛治療薬を米国で開発しており、同社の完全子会社化によりグローバルな水準における開発から市販製造体制構築までのノウハウや製造設備を取得すると共に、経験豊富な人材をグループ内に取り込み、当該基盤技術を用いた新たな製品開発にも展開させてまいります。現在Satsuma社は、新日本科学TR事業の経鼻投与基盤技術を応用した製品の第一号を目指して、医薬品開発の最終段階に鋭意取り組んでおります。

また、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、その研究成果を科学雑誌に投稿申請しました。現在、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めており、臨床研究段階へと進展させるべく、基礎データの収集に集中してまいります。

さらに、経鼻ワクチンに関する研究については、呼吸器感染症の流行を抑制し得る新規経鼻ワクチンを世界に先駆けて開発することを目的として、2023年1月に近畿大学生物理工学部と共同研究契約を締結し、さら同年4月には近畿大学名誉教授・医学部客員教授の宮澤正顯(まさあき)氏をトップに擁し新日本科学TRカンパニー経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを立ち上げました。経鼻ワクチンの研究においては、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究にも取り組んでおり、今後、その研究開発を推進するために、ワクチン開発会社や研究機関との更なる連携体制構築を目指してまいります。まず製剤研究とデバイスの改良をベースに非臨床POCの取得にのぞみ、事業化を目的とした早期の臨床試験入りを目指してまいります。一方、連結子会社の株式会社Gemsekiでは、これまで推進してきたグローバルな創薬シーズ・技術のライセンス仲介事業を推進すると共に、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しております。新日本科学との事業シナジー創出に向けた検討を進めるとともに、国内外の顧客に対し、新日本科学グループが保有する豊富な創薬経験とグローバルネットワークを活用した開発支援サービスを幅広く提供してまいります

 

③ SDGs/ESGへの取組みを通した非財務価値の向上

企業価値を向上させていくためには、従来の財務面のパフォーマンスに加えて、ESG(環境、社会、ガバナンス)をはじめとした非財務面のパフォーマンスを向上させることが求められています。新日本科学は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、世の中がSDGs/ESGに注力し始める以前から財務価値の向上と共にサステナビリティへの取組みを通じた非財務価値の向上にも継続して取り組んでまいりました。

「2028Vision」に合わせ、環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取り入れたマテリアリティ(重要課題)を再検討し、「事業を通じた社会課題の解決」として3つ、「社会要請に応える経営基盤の強化」として4つ、計7つのマテリアリティを今回特定しました。これらのマテリアリティに取り組むことは、SDGs達成と持続可能な社会の実現にも寄与するものです。

(https://www.snbl.co.jp/cms/wp-content/uploads/2024/02/1f6382774bd6d082d3a29123558e8530.pdf)

 

環境については、気候変動を地球環境保全のための重大な課題の一つと認識し、脱炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでいます。2015年からは再生可能エネルギーであり、ベースロード電源としても注目が高まっている地熱発電事業を鹿児島県指宿市で実施しており、年間で約4,000tのCO2排出量の削減に貢献しています。新日本科学全体の温室効果ガス排出量についても、2030年に温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロの状態にするカーボンニュートラルの達成をめざす長期目標を設定しました。

 

 

さらに、気候変動が企業に与える影響についてリスクと機会を分析し情報開示を求める国際的なフレームワークTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)に賛同を表明し、同フレームワークに基づき、気候変動が新日本科学へもたらすリスクと機会を織り込んだシナリオ分析を含む新日本科学の気候変動対応を開示しています。(https://www.snbl.co.jp/esg/tcfd/)

生物多用性の保全に向けても、新日本科学は鹿児島県指宿市に約103万坪の自然豊かな広大な敷地を有しており、同敷地の9割を占める森林を地域の森林組合の協力のもと適切に管理することで、地域の生物多様性の保全に貢献しています。

社会に関する非財務パフォーマンスについては、人権尊重に関するポリシーの制定、女性が働きやすく活躍できる環境の整備、男性の育児休暇取得の推奨などダイバーシティの推進に取り組んでいます。

また、人財こそ他社差別化を図り企業戦略を実現するための源泉と捉え、新日本科学独自の人材育成制度であるSNBLアカデミーにおいて、各世代、役割や目的に応じた社内教育プログラムを展開することで、さらなる非財務価値の向上に取り組んでいます。加えて、健康経営を実践するために、代表取締役社長自身が最高健康責任者(CHO)を務め、「生活習慣病対策」、「メンタルヘルス対策」、「喫煙対策」の3つの分野でKPIを設定し、従業員の健康状態の向上を図っています。(https://www.snbl.co.jp/esg/esgdata/)

ガバナンスに関して、新日本科学は、常に最良のコーポレート・ガバナンスを追求し、その充実に取り組んでいます。新日本科学のコーポレート・ガバナンスに関する取組みについては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しているほか、「コーポレート・ガバナンス報告書」や「サステナビリティレポート」をはじめとして、新日本科学のホームページに掲載しています。

 

④ 優秀な人材の確保と育成

新日本科学グループの事業継続及び拡大にあたっては、各分野における専門的な知識・技能を有する技術系研究員等の人材を多数確保する必要があります。また、クラウド化、AIなどのデジタル技術の発展やオンライン化によるビッグデータの獲得・活用など、IT技術が急速に浸透している中、変化する経営環境に適応するためのマネジメント能力を備えた人材を必要としています。新日本科学グループの競争力を強化する上で最も強く求められるのは、顧客から高く評価される質の高いサービスの提供であり、これを実現するためには優秀な人材の確保とレベルアップが必要であります。

こうした人材の確保や教育研修のために、新日本科学では新卒採用を強化し、社内教育機関の「SNBLアカデミー」を中心として、職種、職位に応じた研修を最重要課題として取り組んでおります。また、女性が社員の過半数を占める新日本科学では、女性活躍に注力しており、産休・育休からの復帰も100%の状況となる中、引き続き女性の管理職登用数の増加に努めてまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 新日本科学の戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下の通りであります。以下に記載したリスクは、新日本科学の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類しています。

 なお、本文中における将来に関する事項は、特段の記載がない当連結会計年度末現在において新日本科学グループが判断したものであります。

 

(1)各事業領域におけるリスク

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

CRO事業

◆非臨床事業

①実験動物を安定的に調達できないリスク

②非臨床試験において、実験動物(特にNHP)を用いた試験の優位性が低下するリスク

③試験施設における感染症等の発生のリスク

④動物福祉に関する法令、指針、基準に反した行動が行われるリスク

◆非臨床事業

①実験動物の不足による、試験計画の見直し、試験数の減少

②競合他社との差別化が十分に図れないことによる、新日本科学の市場優位性の低下

③感染症の発生による、試験計画の見直し、試験の一時的中断

④法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜

◆臨床事業

①被験者に健康被害が生じるリスク

◆臨床事業

①治験の中断・中止

主な対策

◆非臨床事業

①新日本科学はCROとして唯一、自社グループ内における実験用NHPの繁殖供給体制を確立しており、安定的な調達体制を整えています。

②現状、NHPはヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、非臨床試験における優位性は高いとされており、特に抗体医薬品、核酸医薬品や遺伝子治療薬等のバイオ医薬品の非臨床試験における当該需要は拡大する傾向にあるものと考えております。一方で、Microphysiological systems(MPS)をはじめとした動物や人由来の細胞や組織を用いたin vitro試験についても、動物実験の一部を代替する目的で研究が進んでおり、新日本科学においても導入へ向け検討を進めています。

③GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。また、新日本科学グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。

④新日本科学はGLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に努め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しております。

◆臨床試験

①医薬品の開発元であるクライアントとしっかりと連携しながら、GCP基準に準拠した業務遂行を行っております。医薬品の安全性情報について、国内チームだけでなく、グローバル(PPD)の部門とも協働しながら、世界中の医薬品に関する情報を集積し、分析・評価し、適切な安全対策をとることによって、健康被害が生じるリスクの軽減に努めております。

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

TR事業

①開発パイプラインの期待された有効性有用性の確認ができず、研究開発が中止となるリスク

②被験者に健康被害が生じるリスク

①費やした多額の費用の回収不能

②治験の中断、中止

主な対策

①現在の開発パイプラインは、既に医薬品として承認された有効成分を用いた新製剤です。そのため、有効成分自身の有効性は担保されています。一方で、新製剤としての有効性については、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、新日本科学の非臨床事業と連携して、適切な評価動物の選択や評価方法の選択を含めた非臨床試験の実施による事前評価も行っております。

②現在の開発パイプラインは、既に医薬品として承認された有効成分を用い新製剤です。そのため、その有効成分を含む既存承認薬の使用実績から、有効成分自身に関する健康被害リスクを予測することができるため、それに基づいた対策を講じております。一方で、新製剤としての健康被害リスクに対しては、GCP及び治験薬GMP基準に準拠した業務遂行を行うと共に、適切な非臨床試験による評価や想定する製品ライフサイクルを踏まえたリスク管理にも努めております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

メディポリス事業

◆ホスピタリティ事業

①景気動向や海外情勢の影響を受けるリスク

②食品の衛生事故が発生するリスク

◆ホスピタリティ事業

①個人消費の低迷や観光需要(訪日外国客の減少など)による稼働率の低下

②一時的な営業停止、営業許可の取消、お客様からの信頼の失墜

◆発電事業

①生産井の蒸気量が減衰するリスク

②還元井の熱水還元能力が低下するリスク

③発電設備・蒸気熱水処理設備の故障リスク

◆発電事業

①、②、③発電量の減少、発電停止

主な対策

◆ホスピタリティ事業

①国内外それぞれに対してマーケティングを強化し、それぞれに適したアプローチを行うことで、継続的な顧客集客ができる体制を構築している。また、パンデミックのような有事の際は、グループ企業である強みを活かし、人の移動によって人件費のコントロールを行うことでコストの最小化を図ることができる。

②衛生管理マニュアルを作成、衛生管理責任者を設置し、常にチェックをしている。また、毎月の糞便検査により、感染拡大を未然に防ぐ手段を講じている。感染が発覚した際は、感染者は再検査で陰性になるまで自宅待機としており、該当者が触れた部位に関してはハイクロソフト水で除菌を行っている。

◆発電事業

①現在のところ、生産井から噴気する蒸気量の減衰は確認されておりません。今後も随時蒸気量をモニタリングし、減衰が確認された場合には、補充井掘削等の必要蒸気量を供給するための対策を検討および実施してまいります。

②熱水還元能力が低下する主要因としては、熱水に含まれるスケールが析出し、還元井内部を閉塞させていることが考えられます。新日本科学では、定期的に還元井内部のスケール除去工事を実施することで長期的に熱水還元が継続出来るよう努めております。

③日常点検や発電設備を停止して行う年次点検を基にした予防保全を実施しております。

 

(2)各事業領域共通のリスク

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

人権

①新日本科学の事業活動により、サプライチェーンの取引先を含めて、直接または間接的に人権に影響を及ぼすリスク

①企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下

主な対策

①新日本科学は、「人権尊重に関するポリシー」を制定しています。「ビジネスと人権に関する指導原則」の理念に賛同し、「国際人権章典」および「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」等の人権に関する国際規範ならびに国内の関連法令などに加え、新日本科学企業理念である「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」に則った独自の倫理綱領を軸として、役職員、取引先、地域コミュニティ等の全ステークホルダーに対して人権を尊重した事業活動を推進しています。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

環境

①気候変動による物理的リスク

②脱炭素社会への移行リスク

③環境対応の不足、遅れによるレピュテーションリスク

①温暖化による自然災害の激甚化等による一時操業停止

②対応費用や炭素税などによるコストの上昇

③企業に対する社会からの要請に十分に応えられないことによる企業価値の低下

主な対策

新日本科学は2020年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候変動に関連する新日本科学のリスクおよび機会を継続的にモニタリングし、TCFD提言に沿った情報開示の拡充に取り組んでいます。

https://www.snbl.co.jp/esg/tcfd/

(※TCFD提言に沿った情報開示は毎年夏頃に見直し・更新しています)

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

サプライチェーン

①自然災害や感染症、地政学リスクの影響等によりサプライチェーンが分断するリスク

①原材料の調達が困難となることによる事業活動の一時制限や中断

主な対策

①新日本科学は、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライヤー行動規範の制定、損害保険の加入、事業継続計画(BCP)の策定、備蓄機能の強化、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、安定的なサービス提供のための体制を整備しております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

法的規制・

コンプライアンス

①法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク

①法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、お客様からの信頼の失墜

主な対策

①新日本科学は企業理念である「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」に基づいた倫理綱領を制定し、ステークホルダーに対して新日本科学グループの一員として希求される行動規範を「コンプライアンス行動指針」としてまとめ、全役職員に理念手帳を配布し指針の周知徹底を図っています。また、コンプライアンスに関する最新情報や事例について、毎月e-learningによる社内研修を実施しています。

 

 

 

 

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

財務・税務

①外国為替相場の変動による円換算後の価値が変動するリスク

②市場金利の変動による支払利息が変動するリスク

①特に米ドルに対する円高進行が経営成績に悪影響を及ぼす可能性

②市場金利の上昇に伴う支払利息の増加により金融収支が悪化する可能性

主な対策

①必要に応じて為替予約を利用するなどして為替変動リスクを低減しています。

②長期借入金の大半を固定金利による調達とすることで、金利変動リスクの低減を図っています。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報セキュリティ

①サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク

①個人情報や重要な営業機密の情報漏洩によるお客様の信頼の失墜や損害賠償の発生、サイバー攻撃による業務の一時停止

主な対策

①新日本科学グループでは秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結し、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しております。

また、セキュリティインシデントを想定した訓練を定期的に実施するとともに、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、パソコン毎にセキュリティソフトウェア製品を導入しております。加えて、ランサムウェア等による情報漏洩対策として、パソコン毎にEDR(Endpoint Detection and Response)製品を導入しております。また、クラウドサービスの利用拡大に対処すべく、新日本科学のセキュリティモデルを従来の境界型セキュリティモデルからゼロトラストセキュリティモデルへ転換し、認証と認可(アクセス権限のポリシー)がより厳密にコントロール可能な状態下でクラウドサービスを利用しております。

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

知的財産権

①第三者に新日本科学の知的財産権を侵害され、事業活動に不利益が生じるリスク

②新日本科学の事業活動が第三者の知的財産権に抵触するとして指摘を受けるリスク

①新日本科学技術の保護及び不利益回復のための、警告状の送付、侵害行為の差止請求、損害賠償請求等の訴訟提起等の対応を要する可能性

②係争によるレピュテーション低下や事業戦略・事業計画の見直し、事業活動の一時制限や中断の可能性

主な対策

新日本科学は、「知的財産に関するポリシー」を策定し、その権利を確実に保全することで企業価値の向上に努めています。

有価証券報告書提出日現在、新日本科学グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありませんが、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては顧問弁理士・弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しています。

 

 

 

事業分野

想定するリスク

リスクが顕在化した場合の主な影響

情報技術

①DXの取組みが進まず、競合劣後となるリスク

②DX人財の確保・育成が進まないリスク

①業務生産性の向上や付加価値の創出が進まないことによる市場競争力の低下

②DX推進の取組の遅延

主な対策

①新日本科学は、持続的な企業価値の向上にはDXによるビジネスモデルの深化が不可欠であると認識し、既存ビジネスモデルの深化と新規ビジネスモデルの創出の両面に取り組んでいます。 主力事業である非臨床事業では、顧客体験価値の向上(Front-End革新)と時間価値の創出(Back-End革新)を同時に実現するDXに取り組んでいます。財務会計や管理会計といった領域におけるDXにも積極的に取り組んでおり、DXを通して、データ連携によるプロセスの自動化・簡素化、専門性を更に高めるナレッジの共有や各事業へのサポート体制の構築を目指しています。AIに専門性を持つチームを立上げ、併せてプロジェクトマネジメントスキルをもつ人材を主要プロジェクトに投入することで、DXプロジェクトの着実な遂行を行っています。

②DX人財の育成に向けては、社内従業員を対象として、DX人材育成研修を実施しており、社内公募で募ったメンバーに対してe-learning形式のDX研修を実施しています。(※本研修の対象者は全社員)また、社内でDX推進プロジェクトを推進する際は、適宜、参画メンバーを幅広く社内公募で募って推進しています。加えて、AIに専門性を持つチームの立上げとDXプロジェクトの遂行を通じ、社内のDXに対する意識とナレッジを高めています。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー