エムスリー(2413)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】エムスリーグループの事業目的は、「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」です。社名のエムスリーは医療(Medicine)、メディア(Media)、変容(Metamorphosis)の3つのMを表しています。テクノロジーとメディアの力を活かして、医療の世界を変えていくことが、エムスリーの設立の志です。上記の目的の実現に向けて、エムスリーグループでは、以下のような事業を展開しています。 エムスリーグループの事業は、国内における医師会員35万人以上(2026年5月1日現在)が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」、米国の「MDLinx」や英国の「Doctors.net.uk」等のエムスリーグループが世界中で運営する医療従事者のプラットフォームを中心に様々なサービスの展開をしています。主なサービスの内容は下記の通りです。なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一です。 (1) メディカルプラットフォーム主要サービス主要サービスの内容製薬企業向けマーケティング支援「m3.com」のプラットフォームを基盤として、医師への情報提供のサポート、医療従事者を対象とした受注型または定型の各種調査、医療情報以外のサービスの案内など、企業向けに展開するマーケティング支援事業。医療現場DX医療機関向け電子カルテ等の開発・販売をはじめとする、医療現場のDX化支援事業。患者・従業員向け健康支援患者、従業員向けの健康維持に係るサービスの提供。医療機器医療機関向け医療機器の開発・販売・サポート事業。その他論文校正、治験募集、各種サポート事業、承継投資事業、障がい福祉など、上記主要サービス以外の支援事業。 (2) エビデンスソリューション主要サービス主要サービスの内容CRO事業臨床開発業務の支援及び大規模臨床研究の支援。SMO事業治験実施医療機関における治験業務全般の管理・運営の支援。その他臨床開発・臨床研究等の実施に必要な被験者の募集(PRO事業)並びに周辺業務の支援など、上記主要サービス以外の支援事業。 (3) キャリアソリューション主要サービス主要サービスの内容医療従事者等向け人材サービス医師、薬剤師向けの総合キャリアサービスの提供。人材紹介、「m3.com CAREER」等への求人広告掲載等。 (4) サイトソリューション主要サービス主要サービスの内容医療機関医療機関への経営支援、海外における医療機関の運営等。ホスピスホスピス型住宅の運営、訪問看護、訪問介護等。居宅訪問看護訪問看護、通所介護(デイサービス)、居宅介護支援等。メディカルケアレジデンス住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅及びリハビリ強化型デイサービスの運営。定期巡回・随時対応型訪問介護看護等。 (5) ペイシェントソリューション主要サービス主要サービスの内容患者サポート事業入院患者、介護施設利用者等へのCS(ケア・サポート)セット(以下「CSセット」という)の提供。 (6) 海外主要サービス主要サービスの内容マーケティング支援海外におけるテクノロジーを利用した製薬会社等の営業、マーケティング支援事業等の提供及び海外における医療従事者を対象とした調査サービス。医療機関・医療従事者向けサービス海外におけるデータベース、電子カルテ等の医療機関向けデジタルソリューションの提供。医療従事者向け人材サービス海外における医師向け転職支援サービス及び病院向け医師プロファイルデータベースライセンスの提供等。製薬企業向け治験支援事業海外における治験実施施設の運営、治験業務の管理・運営支援。 エムスリーグループの事業の系統図は、以下の通りです。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】ここに記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、入手可能な情報に基づいてエムスリーグループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」―――それがエムスリーの願いであり、事業の目的です。社名のエムスリーは、医療(Medicine)、メディア(Media)、変容(Metamorphosis)の3つのMを表しています。テクノロジーとメディアの力を活かして、医療の世界を変えていくことが、エムスリーの設立の志です。上記の目的を実現する上で、エムスリーグループでは主に4つのステークホルダーを意識して、経営を行っています。・株主に対しては、企業価値の最大化で応えると同時に、エムスリーグループへの投資が医療の改善に役立ち、社会的に意義があると感じてもらえるような経営を行います。・顧客である医療従事者に対しては、テクノロジーとメディアの力を活かして、良質な医療情報をいち早く研究や臨床の現場に届け、医療の改善、変革に寄与することを目指します。また、同じく顧客である医療関連会社等に対しては、対価以上の価値に加えて、驚き、感動、喜びを感じてもらえるサービスを提供し続けることを目指します。・従業員に対しては、個々人が成長、活躍できる場を整備し、会社の価値向上に貢献したスタッフには、厚く報いることができる経営を行います。・社会に対しては、上記理念の通り「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」の実現を目指します。 (2) 目標とする経営指標エムスリーグループでは、企業価値を計る指標として、営業キャッシュ・フロー並びに1株当たり当期利益を重視しています。また、資本効率については、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重視しています。 (3) 中長期的な会社の経営戦略現在、エムスリーグループの国内における事業は、医療従事者専門サイト「m3.com」の運営と、このサイトを通じて繋がる35万人以上(2026年5月1日現在)の医師会員を含む、医療従事者会員へのアクセスを中核に展開しています。「m3.com」は、「More Contributions to More Doctors」をスローガンに掲げ、「医師をはじめとする医療従事者が抱える課題を『あらゆる方法で解決する』プラットフォーム」を目指し、専門医療情報に特化したニュース、サーチエンジン、ディレクトリ、文献検索、会員専用コミュニティサイト、独自コンテンツ等を会員に対して無料で提供することにとどまらず、医療現場の課題を会員の皆様から直接募集し、その課題をエムスリーの持つ多種多様な経験・専門性の高いスキルを有する人材、ビッグデータ、プロダクトといったアセットを提供し、活用いただくことで解決する施策等を実施しています。メディカルプラットフォームでは、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、また、エムスリーグループが保有する多様なデータアセットと、AIを含むテクノロジーの力を掛け合わせることで、本質的な薬剤課題を解決する製薬企業向けのマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。また、医療機関向けには、AI機能を搭載した電子カルテや診療支援システム、及び画像診断支援領域を中心とする多様な医療AIを利用できる仕組みに加え、「m3.com」の会員基盤を活用した開業医向けの第三者継承支援事業等を提供している他、疾病の発症前の段階から健康状態を維持することを目的とした取り組み「ホワイト・ジャック・プロジェクト」の一環として2025年4月に子会社化した株式会社イーウェルが提供する企業向けの福利厚生サービス事業も含め、グループ各社を通じて様々なサービスを展開しています。エビデンスソリューションでは、臨床開発業務の支援及び大規模臨床研究の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO、臨床開発・臨床研究等の実施に必要な被験者の募集並びに周辺業務の支援を行うPRO等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービス等の展開を進めています。サイトソリューションでは、医療機関の運営をサポートする各種サービスを展開しています。ペイシェントソリューションでは、CSセットの提供等を通じて、入院患者や介護施設の利用者等を対象とした患者サポート事業を行っています。 さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(https://www.AskDoctors.jp/)や、医療福祉系国家試験の対策等の事業を行うエムスリーエデュケーション株式会社等においてもサービス展開を進めています。また、エムスリーグループは日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルを通じて合計700万人以上の医師登録数を有しており、海外セグメントでは、これを活用してグローバルな調査サービスを提供している他、米国や欧州を中心に、会員基盤を活かした製薬企業向けサービスや医師を中心としたキャリア関連サービス等も展開しています。この他に、北米地域では治験支援サービスを、欧州地域では、VIDAL Groupを通じて、フランス、ドイツ、スペインでの医薬品情報データベースの提供や、主にフランスでのSaaS型電子カルテWedaをはじめとするクリニック向けソフトウェアの提供を行うとともに、アジアを中心とするその他地域においてもインドや韓国を筆頭に事業を拡大しています。 (4) 優先的に対処すべき課題エムスリーグループでは、次の5項目での成長、展開に重点を置いた経営を進めていきます。① 「m3.com」サイトの一層の価値向上サイトの内容、機能の充実を進め、より多くの医療従事者会員からの、より多くのトラフィックを獲得することで、この「場」を活かして提供する他の様々なサービスの価値を底上げしていきます。② メディカルプラットフォーム事業をはじめとした既存事業の更なる成長AIを始めとしたテクノロジーの更なる活用を推進し、「MR君」ファミリーをはじめ、製薬会社や医療機関等の顧客への各サービス展開に加え、疾病、医療課題を解決し、医療の全体最適の実現に向けて、経営資源を投入していきます。③ 新規事業の立ち上げ「双方向コミュニケーションで繋がった、医師をはじめとする医療従事者会員」のプラットフォームから生み出される事業機会は多岐にわたり、順次事業化を進めていきます。また、グループ各社の事業拡大とグループ内シナジー効果の最大化を図ります。④ 海外展開日本と同様に、海外においても医療従事者向けプラットフォームを活かした製薬会社向けマーケティング支援、調査、医師向け転職支援、治験事業等のサービスを展開しています。日本で開発したサービスの海外展開を進めることにとどまらず、その国のニーズにあった独自サービスの開発も進めていきます。⑤ エコシステムシナジーの実現エムスリーグループはすでに多岐にわたる事業を展開しており、その事業同士がシナジーを生み出すポテンシャルも多く有していると考えます。また、他の取り組みにおいて参入する事業領域が拡大すると、それに従いポテンシャルも拡張していくため、グループとしてのエコシステムがさらに強化されます。これにより、グループ全体でのシナジーが一層発揮され、競争力が高まる構造的良循環を強化していきます。 なお、エムスリーグループでは成長を具現化、促進する手段として、必要に応じて提携、買収、資本参加を進めていきます。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】エムスリーグループの事業運営上リスク要因となる主な事項、及びリスク要因には該当しなくとも、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項は下記の通りです。なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、エムスリーグループが認識、判断したものであり、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、入手可能な情報に基づいてエムスリーグループが判断したものです。 (1) 事業環境について① インターネットについてエムスリーグループは、インターネットを利用した医療関連事業を展開しています。インターネットの利用に関する新たな規制やインターネットビジネス関連事業者を対象とする法的規制等の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネットの利便性が損なわれた場合、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 ② 医療及びヘルスケア市場について現在、エムスリーグループの売上高の多くが、医療及びヘルスケア市場からのものとなっています。エムスリーグループのサービスの多くは新たな需要を喚起するもので、医療費全体の動向に大きく左右されるものではありませんが、市場の停滞、縮小や新たな市場動向にエムスリーグループが対応できない場合には、エムスリーグループの業績が影響を受ける可能性があります。エムスリーグループの主要な顧客である製薬会社においては、グローバルなレベルでの企業間競争が展開され、再編の動きが続いています。企業間競争はエムスリーグループが提供する各種サービスの採用を加速する可能性がある一方、再編された既存顧客による契約見直しの可能性もあり、その場合にはエムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。また、関税ならびに医療及びヘルスケア業界の関連法規制等に対する米国の政策変更影響が世界経済に及ぼす影響については現時点では予測が難しく、先行き不透明な状況が継続していることから、今後の経過によっては、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 (2) 事業運営について① 個人情報、顧客の事業に関する情報の保護について「m3.com」登録会員、福利厚生サービス利用者等の個人情報を保護するため、エムスリーグループではエムスリーグループ 情報セキュリティ基本方針を制定し、別途グループ会社が定める個人情報保護方針に従い、本人の権利利益を尊重し取得した個人情報を取扱います。エムスリーグループの従業員が個人情報を取扱う際には、作業プロセスをマニュアル化し、複数の従業員がチェックを行う等、個人情報の取扱いには慎重を期した事業運営を行っています。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルがエムスリーグループ、エムスリーグループの業務提携先もしくはエムスリーグループの顧客企業で発生した場合には、個人情報保護法への抵触、損害賠償の請求や信用の低下等により、エムスリーグループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。エムスリーグループは、互いに競合する複数の医療関連会社に対してサービスを提供しています。提供に際して、顧客より事業に関する機密情報を受け取る場合があり、その取扱いには社内ルールを設け、エムスリーグループの従業員が機密情報を取扱う際には、作業プロセスをマニュアル化し、複数の従業員がチェックを行う等、細心の注意を払っています。しかしながら、機密情報の流出等の重大なトラブルがエムスリーグループで発生した場合、損害賠償の請求や信用の低下等により、エムスリーグループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。これらのリスクを低減するため、情報セキュリティおよび個人情報保護を統括する組織体を設置し、社内規定の整備や定期的な内部監査を行っています。 ② 知的財産権についてエムスリーグループが提供する各種サービスは登録会員数の多さやソフトウェアの優位性により差別化されており、特許の有無による影響は大きくないと思われますが、エムスリーグループでは提供する各種サービスに関する特許を複数取得しています。エムスリーグループではエムスリーグループの持つ知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っていますが、他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、エムスリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。エムスリーグループが各種サービスを展開するにあたっては、他社の持つ特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っていますが、万が一、他社の知的財産権を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。エムスリーグループのサービス分野において、他社開発の技術あるいはビジネスモデルが標準化された場合、これらの特許権者に対してライセンス料負担が生じる可能性、ライセンス供与自体を受けられない可能性等があり、エムスリーグループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。 ③ 技術、システム面のリスクについてエムスリーグループは、各種サービスを行うためにインターネットを利用したコンピュータシステムを構築しているため、ハードウェア又はソフトウェアの不備、アクセスの急激な増加、人的ミス、インターネット回線のトラブル、コンピュータウィルス、停電、自然災害、その他予測困難な様々な要因によってエムスリーグループのシステムに被害又は途絶が生じた場合、エムスリーグループの業績に重要な影響を与える可能性があります。また、エムスリーグループの想定しない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、エムスリーグループの技術等が陳腐化し、エムスリーグループの事業展開に影響を与える可能性があります。これらのリスクを低減し、サービス水準の維持向上を図るため、適宜新しいシステム技術やセキュリティ関連技術等を取り入れながら、継続的な設備投資並びに保守管理を行っています。 ④ ポイントシステムについてエムスリーグループは、一部サービスにおいて、医学書等と交換可能なm3ポイントを会員に対して付与しています。エムスリーグループは、このポイントにつき不正な操作及び不正な利用等がなされていないか随時監視し、適宜調査をすることでリスクを低減しておりますが、そのような不正な操作等により、エムスリーグループが正式に発行した以上に集められ、交換を求められた場合、エムスリーグループの収益を圧迫する可能性があります。また、ポイントと交換された商品の欠陥、トラブル等により、エムスリーグループの責任が問われる可能性があります。 ⑤ 各種規制についてa.メディカルプラットフォーム事業に対する規制についてエムスリーグループにおいてマーケティング支援サービス等を展開する上で、エムスリーグループの顧客が制約を受ける医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における広告の制限等の規制、又は公正取引委員会による「医療用医薬品製造業における景品等の提供の制限に関する公正競争規約」等の医薬品業界特有の各種規制については、エムスリーグループでは特段の注意を払っています。しかしながら、業界の様々な動きに対して、法令や業界団体による規制等の改廃、新設が行われた場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。 b.エビデンスソリューション事業に対する規制についてエムスリーグループが提供するエビデンスソリューション事業に関しては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、臨床研究法その他の法令等による規制を受けています。これらの規制等の改廃、新設が行われた場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。 c.人材サービス事業に対する規制についてエムスリーグループは、一部の子会社において、必要な許認可を取得した上で、労働者派遣事業又は有料職業紹介事業を展開しています。これらの子会社は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律、職業安定法その他の関係法令による規制を受けていますが、関係法令に違反した場合等には、当該事業の停止又は廃止又は許可の取消等の処分を監督官庁より受けることがあります。現時点において、エムスリーグループにおいて、法令違反等の事実はないものと認識していますが、今後何らかの理由により監督官庁による処分を受けた場合には、エムスリーグループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。また、これらの規制等の改廃、新設が行われた場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。 d.訪問看護及び訪問介護等に必要な指定に対する規制についてエムスリーグループは、訪問看護及び訪問介護を行うために「健康保険法」並びに「介護保険法」に基づく、各サービス事業者の指定を各都道府県知事から受けています。それぞれの指定には、資格要件、人員要件、設備要件及び運営要件が規定されており、これらの規定に従って事業を運営しています。エムスリーグループでは、看護師・介護士等の有資格者の入退社や新規施設の開設に伴い、自治体等の基準の確認及び変更に必要な届け出を怠らないよう細心の注意を払って運営しており、現時点において、事業運営の継続に支障を来すような状況は生じていません。しかしながら、これらの基準を遵守できなかった場合や診療報酬及び介護報酬等の不正請求が認められた場合には、指定の取消又は停止等の処分を受けるおそれがあります。その場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。 e.ペイシェントソリューション事業に対する規制についてエムスリーグループは、病院の入院患者や介護老人保健施設等の入所者に対して医療保険や介護保険制度の対象とならない独自のサービスとして、衣類、タオル類の洗濯 サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせたサービス「CSセット」を提供しています。当該事業を行うにあたって必要となる許認可、免許、登録、行政指導等はありませんが、サービス提供の場である病院や介護老人保健施設等は、医療法、健康保険法、介護保険等の法律や厚生労働省等の行政・所管官庁による指導・規制のもと運営されていることから、エムスリーグループにおいても各種規制について特段の注意を払っています。しかしながら、医療法、健康保険法、介護保険法等の法令の改正や、行政指導の運用の見直し等が行われ、エムスリーグループかが何らかの対応を余儀なくされた場合や、これらに対応できない場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。 f.海外における法的規制について海外市場においては、医師へ伝える情報の内容の規制、又は、ギフトや謝礼、医薬品サンプル等の供与に関する規制等、様々な規制があります。想定外の規制等にエムスリーグループが何らかの対応を強いられた場合、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。その為、エムスリーグループは、海外において医療関連サービス事業を展開するに当たり、現地弁護士への事前相談を行う等、特有の法的規制等に細心の注意を払っています。 (3) 事業内容について① メディカルプラットフォーム事業及び海外事業についてa.競合、代替についてエムスリーグループは、薬剤の処方を行う医療従事者に対して製薬会社が行うマーケティング活動の支援サービスを展開しています。医薬品の処方を医療従事者ではなく患者が直接行うようになる、また遺伝子操作等の医薬品に依存しない治療の比率が拡大する等、医療システムが抜本的に変わった場合、エムスリーグループの提供するサービスが陳腐化する可能性があります。エムスリーグループの提供するマーケティング支援サービスは、直接、又は間接的に他社と競合する場合があります。エムスリーグループの最大の強みは、国内医師会員35万人以上を含む医療従事者会員とインターネットを通じて双方向コミュニケーションで繋がっていることで、これに提供する各種サービスに関する特許や製薬業界における実績等を加えると、後発他社に対する新規参入障壁は比較的高いと認識しています。しかしながら今後、市場規模の拡大に伴い、「MR君」の代替となる他のマーケティングツール等が普及する可能性、他企業等が新規参入してくる可能性、並びにエムスリーグループの顧客が業務を自ら手がける可能性等があり、その場合、エムスリーグループの収益を圧迫する可能性があります。 b.マーケティング支援サービスについてエムスリーグループのマーケティング支援サービスには、顧客と会員の間でのメッセージのやりとりを伴うものが多くあります。メッセージの内容に関する責任は基本的に発信者自身が負いますが、エムスリーグループのサービスを使った顧客、会員等による発信情報が当事者もしくは第三者に損害を与えた場合、それに関連してエムスリーグループの責任が問われる可能性があります。また、一部サービスにおいて、医療に関する情報コンテンツを提供しています。これらのコンテンツに間違いもしくは誤解を招く表現等があった場合、その責任を問われる可能性があり、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。エムスリーグループのマーケティング支援サービスに不具合があった場合、原則その責任の範囲は契約金額が上限であり、機会損失は補填しないと契約に記載しています。また、サービスの内容、対象、責任範囲等には細心の注意を払っており、契約、規約等でその責任範囲を限定しています。 ② エビデンスソリューション事業及び海外事業についてa.大学、研究者との関係についてエムスリーグループは、大学や医療関係者との共同研究等による技術指導を得ています。知的財産等の権利化、研究の委託や研究成果の対価の享受等における国立大学との関係は、国立大学法人法等の改廃又は関係当局による運用の変化等の影響を受ける可能性があります。エムスリーグループでは共同研究等を行う医療従事者に対し、技術指導の対価として謝金を支払うことがあります。技術指導を行う医療研究者等は各々所属する大学当局等より兼業の承認を得ることが前提となっており、エムスリーグループでは原則として兼業の承認を確認する等の社内手続きを経た上で謝金の支払を行っています。しかしながら、このような謝金につきましては、明確なガイドラインが示されていない部分もあり、業務の範囲の解釈等の違いにより、承認を逸脱する様な謝金の支払であると解釈された場合においては、社会的批判等によりエムスリーグループの事業に影響を与える可能性があります。 b.損害賠償についてエムスリーが支援を受託する臨床試験等(治験、大規模臨床研究等)の実施に起因して被験者に健康被害が生じる可能性があります。このような場合は、基本的には臨床試験等の依頼者が責任を負うことになります。しかしながら、エムスリーグループが支援を受託した臨床試験等において、このような健康被害が明らかにエムスリーグループに起因して生じた場合には、損害賠償等の責任を負う可能性もあり、その結果、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。また、エムスリーグループが支援を受託した臨床試験等において、エムスリーグループが遵守すべき各種規制に反した場合には、当該臨床試験等により回収した症例の信頼性が失われ、顧客である製薬会社等に甚大な損害を与える可能性があります。この場合には信用の低下や損害賠償等の責任を負うことにより、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。また、エムスリーグループが製薬会社等又は医療機関等に対し派遣する従業員の過失等により、健康被害が生じた場合や各種規制に違反した場合にも、上記と同様に、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 c.サービス内容についてエビデンスソリューション事業においては、学会、研究会等、一旦確定した予算の増額が困難な主体が顧客となっている場合があります。予測困難な様々な要因によって、予算確定後に追加費用が発生した場合、エムスリーグループが追加費用等を負担せざるを得なくなる可能性があり、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。エムスリーグループが受託する臨床試験等には、契約期間が長期にわたるものがあります。予定通りに研究が進捗しない場合や、受託期間中に何らかのトラブルが発生した場合、また顧客の信用状態が悪化した場合等には、契約の中途解約や、売上債権の回収に支障をきたす等により、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 ③ キャリアソリューション事業についてエムスリーグループは医療従事者向け人材紹介サービスを展開しています。人材紹介事業特有の商慣行を踏まえ、エムスリーグループでは、紹介した求職者が求人企業に入社した日付を基準に売上を計上しますが、当該求職者が入社から一定期間内に自己都合により退職した場合には、その退職までの期間に応じて紹介手数料を返金することとしています。エムスリーグループは、求人企業と求職者の双方のニーズを十分に検討の上で紹介を進め、また、過去の返金実績率等を勘案して売上高を計上しています。エムスリーグループの想定した返金率を上回る返金が生じた場合には、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 ④ サイトソリューション事業についてa.訪問看護及び訪問介護の医療及び介護報酬についてエムスリーグループは「医療保険制度」「介護保険制度」「障害者総合支援法」のそれぞれに基づく訪問看護及び訪問介護を行っています。このうち「医療保険制度」に基づく診療報酬は2年に1度、「介護保険制度」に基づく介護報酬は3年に1度の頻度で制度の改定が行われます。今後、診療報酬及び介護報酬の見直しにより、大幅な改定が行われた場合には、エムスリーグループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。 b.利用者の逝去、退去についてエムスリーグループは行政や医療機関等との連携によって、安定的な利用者の確保に努めており、高齢者の増加とともに市場が拡大し需要が増加している状況にあると認識しています。一方で特に在宅ホスピス事業はターミナルケアに特化した事業であることから、エムスリーが想定する以上の利用者のご逝去、退去等が続いた場合には、エムスリーグループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。 ⑤ペイシェントソリューション事業についてa.他社との競合についてエムスリーグループが行う患者サポート事業については、サービスとしての認知度が増したことにより、入院セットに対するニーズの高まりとともに、入院セットを主たる事業とする他業者のほか、その他病院・介護関連の事業者などもエムスリーグループ同様のサービスを提供することにより、市場が活性化しつつあるものと認識しています。エムスリーグループは引き続きCSセットの利用者に対する質の向上と、リネンサプライ事業及び日常生活用品等販売業者等との良好な関係を維持・向上することに努めてまいりますが、エムスリーグループに比べ、資本力、知名度、顧客基盤に優れる会社が新規参入する等他社との競合状況が激化した場合には、既存顧客の喪失や収益力の低下等により、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 b.商品の安全性についてエムスリーグループでは、CSセットの利用者に対し、寝巻き、タオル等のレンタルや紙おむつや身の回り品の販売を行っています。リネンサプライ業者については、医療関連サービスマーク(注)取得の有無や洗濯工程における衛生面の確認など安全性には十分な配慮をしていますが、何らかの理由により提供したこれら物品に重大な問題が発生した場合は、エムスリーグループへの損害賠償請求やエムスリーグループに対する信用の失墜等により、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。(注)「一般財団法人医療関連サービス振興会」が、良質な医療関連サービスに対して認定を行っているものです。 ⑥ 医療機器関連事業についてエムスリーグループでは医療機器の製造、販売を行っています。医療機器の製造販売及び販売に関しては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律その他法令等による規制を受けています。これらの規制等の改廃、新設が行われた場合には、エムスリーグループの業績及び今後の事業展開に影響を受ける可能性があります。また、エムスリーグループが製造販売業者として取り扱う製品について不具合等が発生した場合は、損害賠償等の責任を負う可能性もあり、その結果、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 ⑦ 電子カルテを中心とした医療及び介護現場のDX、画像診断AIサービス等の販売事業についてエムスリーグループが開発・販売する電子カルテシステムや、エムスリーグループが提供する医療及び介護現場のDX、画像診断AIサービスにおいて、医療関連情報は、医療機関において利用されるものであり、患者の生命身体に直接関わる情報であることから、エムスリーグループは細心の注意をもって開発、導入、保守、情報管理等を行っています。しかしながら、予測し難い欠陥や不具合等が発生した場合には、信用の低下や損害賠償等の責任を負うことにより、エムスリーグループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。 (4) 組織体制について① 人材の確保と育成についてエムスリーグループの事業を拡大するには、目的達成のために主体的に行動できる企業家的な人材の確保とその育成が欠かせません。しかしながら、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、エムスリーグループの事業活動に支障が生じ、業績に悪影響を与える可能性があります。 ② 特定の事業所への集中について現在、エムスリーグループの従業員の多くは近接した事業所に勤務しているため、自然災害や火災等の大きなアクシデントが起きた場合、損害が集中しやすく、事業の継続に影響が出る可能性があります。これらのリスクを低減するため、災害発生時に事業活動の早期復旧を可能にするための事業継続計画を策定しています。 (5) 関連当事者との取引等について① ソニーグループ株式会社(以下「ソニー」という)について2026年3月31日現在、エムスリーの筆頭株主であるソニーは、エムスリー議決権の34.5%を所有する、エムスリーの主要株主となっています。エムスリーグループは現在、自主独立した経営を行っていますが、エムスリーグループの業績は、主要株主たるソニーの今後の経営戦略の影響を受ける可能性があります。またソニー及びその関連会社(以下「ソニーグループ」という)の評判が何らかの理由で著しく損なわれた場合、それがエムスリーグループに起因するものでなくても、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。 ② ソニーグループ内での競合についてソニーグループ内にはエムスリーグループと同一のサービスを行っている会社はなく、競合関係にないと認識していますが、ソニーグループの動向次第では、今後エムスリーグループと競合するサービスが提供される可能性があります。 (6) 今後の事業展開について① 新規事業展開に伴うリスクについてエムスリーグループでは、様々な新規事業の開発を進めています。新規事業の展開にあたってはその性質上、計画通りに事業が展開できず投資を回収できなくなる可能性や、エムスリーグループの業績に影響を与える可能性があります。エムスリーグループでは、事業基盤の拡大と収益の安定化を図り、成長を加速させるために、今後も相乗効果の見込める他事業の買収又は資本提携を行う可能性があります。他事業の買収又は資本提携を行った場合、エムスリーグループの財務状態等、経営全般にわたるリスクが拡大する可能性があり、また場合によっては想定外の損失を被る可能性があります。 ② 海外展開についてa.海外でのビジネス展開についてエムスリーグループは、米国、英国、フランス、インド、韓国等の子会社において、海外でのビジネス展開をしています。今後、他の海外市場への進出も随時検討していますが、海外での事業を展開していく上で、投融資等の追加資金の投入が必要になる可能性があります。また事業展開が想定通りにいかなかった場合には、想定外の損失を被る可能性があります。b.為替変動についてエムスリーグループの海外事業の現地通貨建ての項目及びグループ各社における外国通貨建ての項目は、換算時の為替レートによる為替変動リスクを受ける可能性があります。 (7) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化についてエムスリーは、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、新株予約権を付与しています。また、今後も新株予約権を発行、付与する可能性があります。現在付与している新株予約権及び今後付与される新株予約権が行使された場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。2026年3月31日現在、発行済株式総数679,120,300株に対して、新株予約権の行使により今後増加する可能性のある株式数は15,755,700株です。この新株予約権の権利行使については、エムスリーと新株予約権付与対象者との間で締結した「新株予約権割当契約書」に基づき、権利行使可能な期間及び行使可能株数等の条件を定めています。 (8) 非流動資産に係る減損リスクについてエムスリーグループが保有する、のれん等の非流動資産については減損リスクにさらされています。今後、これらの対象資産の価値が下落した場合、必要な減損処理を行う結果として、エムスリーグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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