キリンホールディングス(2503)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】キリンホールディングスグループは、純粋持株会社制を導入しており、キリンホールディングス及び連結子会社164社、持分法適用会社26社によって構成されております。キリンホールディングスは、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への専門サービスの提供を行っております。キリンホールディングスグループの主な事業の内容と主な会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。また、キリンホールディングスは特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 <酒類事業>麒麟麦酒㈱(連結子会社)、LION PTY LTD(連結子会社)を中心に、国内外における酒類事業を行っております。国内においては、麒麟麦酒㈱を中心に、ビール類、低アルコール飲料等の製造・販売を行っております。海外においては、主にLION PTY LTDを統括会社とした、オセアニア地域におけるビール、低アルコール飲料等の製造・販売、並びに北米におけるクラフトビール等の製造・販売を行っております。 <飲料事業>キリンビバレッジ㈱(連結子会社)、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.(連結子会社)を中心に、国内外における清涼飲料事業を行っております。キリンビバレッジ㈱は日本における清涼飲料の製造・販売を行っております。Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.は、米国におけるコカ・コーラ製品の製造・販売を行っております。 <医薬事業>協和キリン㈱(連結子会社、東京証券取引所プライム市場上場)を中心に国内外における医薬品の製造・販売を行っております。 <ヘルスサイエンス事業>㈱ファンケル(連結子会社)、Blackmores Limited(連結子会社)を中心に国内外における健康食品事業等を行っております。㈱ファンケルは、国内を中心に化粧品・健康食品の研究開発、製造・販売を行っております。Blackmores Limitedは、豪州、東南アジア、中国を中心にサプリメント等の栄養補助食品の製造・販売を行っております。 事業の系統図及び主要な会社名は次のとおりであります。
有価証券報告書(2025年12月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当年度末現在においてキリンホールディングスグループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営の基本方針キリングループは、2019年に策定した長期ビジョン「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」のもと、サステナビリティや健康意識の高まり、酒類への規制リスクや若年層のアルコール離れ、デジタルの進化等、変化する経営環境に対応しながら、ヘルスサイエンス事業の立ち上げと育成をはじめとした事業構造の変革に取り組んできました。KV2027の最終年度が近づく中、10年後の2035年を見据えた新たな長期ビジョンを策定し、酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬から成る事業ポートフォリオにより、さらなる企業価値向上を目指します。近年はAIの進化や人財不足、消費意識の多様化等、環境変化が加速しています。こうした変化に柔軟に対応しながら、グループ全体で、世界の生活者の行動変容を促し、新たな生活習慣を生み出すことで、心と身体の健康の未来を創造していきます。こうしたイノベーションを次々と生み出す組織能力を更に高め、挑戦する人財と組織文化を持つグローバル企業グループとしてCSV(Creating Shared Value)を実践し、「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の3領域で価値を創出し、「こころ豊かな社会」の実現に貢献します。 キリングループでは、グループ共通の行動指針「KIRIN WAY」をグローバルに浸透させていきます。キリンホールディングスグループが大切にしてきた共通の価値観を継承するとともに、全従業員が行動指針に基づいて日々の業務に取り組み、変革を推進する組織文化の更なる進化を図ります。また、挑戦を後押しする評価制度を国内に導入し人財育成を強化するとともに、将来の成長に向けて部署や国を超えた配置を進め、共創と挑戦を促す風土を育んでいきます。 持続的成長のための経営諸課題「グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM」キリングループは、社会とともに、持続的に存続・発展していく上での重要テーマを事業へのインパクトとステークホルダーへのインパクトの2つの観点から評価し、「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」に整理しています。GMMは時間の経過とともに変化していくものであり、グループ計画策定プロセスの起点となることから、毎年更新の必要性を判断しています。本年度も、社内外環境変化を踏まえ、10年先を見据えてキリングループが社会とともに持続的に存続・発展していくうえでの重要課題を再整理しました。2026年以降に向けて、ステークホルダーへのアンケートや、キリングループの役員による意見交換などを通じてグループの事業へのインパクトを再評価し、GMMを更新しました。これにより、社会的要請への適合度をより高めています。 ※各象限内の重要性に差異はありません。 「キリングループCSVパーパス」GMMに基づき、キリンホールディングスは「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を果たすことを前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の4つの領域の課題解決を目指しており、これを「CSVパーパス」と定めるとともに企業経営の土台として「企業としての普遍的な責務」を明記しています。加えて、4つの領域の課題解決に向けた具体的なアクションプランをCSVコミットメントとして、成果指標を会社別により具体化して目標値を設定し、グループ各社の取り組みに繋げています。また、長期経営構想を踏まえ、全ての事業領域で「健康」価値創出を特に志向することから「健康」をCSVパーパスの中心に据えるとともに、こころ豊かな社会の実現のためには、体の健康だけでなく、心の健康も重要になるため、「健康」のステートメントを「生活者のこころとからだの健康に貢献する。」に変更いたしました。 価値創造モデル/CSV経営の概念CSV経営のベースの考え方である「社会課題の解決を通じて、社会的価値と経済的価値を創出すること」を持続的に推進していく仕組みとして、キリンホールディングスは価値創造モデルを策定しています。イノベーションを次々と生み出すための組織能力(INPUT)を基盤として、社会課題の解決に事業活動(BUSINESS)を通じて取り組むことで、価値(OUTPUT/OUTCOME)を創出しCSVパーパスを実現しています。特に人的資本や自然資本などの非財務資本の強化は、社会と共に自然の恵みを利用しながら事業を行うキリンホールディングスにとって、継続的な価値の創造につながります。事業を通じて、キリンホールディングスは社会的価値と経済的価値を同時に生み出し、それらを組織能力などの経営基盤に再投資することで、持続的に資本と価値を成長させることを目指しています。 このCSV経営を推進していくことがどのように企業価値の向上に繋がっているかを図示すると以下のようになります。 社会課題の解決を通じた事業活動(Business)は経済的価値を生み、フリー・キャッシュフローを増加させると共に、事業リスクを低減することにつながるため、資本コストを下げ、企業価値の向上に寄与します。他方、これらの活動から社会的価値を創出し、その価値がお客様のニーズを充足することで、弊社の製品・サービスに対するWillingness to Payが高まり、長期的にはフリー・キャッシュフローの増加にも影響すると考えられます。さらに、社会的価値が創出され高い水準になることで、従業員エンゲージメントの上昇や採用での優位性などにも影響することが考えられ、価値創造モデルにおけるINPUTの基盤である人的資本の強化に繋がります。その結果、企業の成長率にもポジティブな影響を及ぼすとキリンホールディングスは認識しています。 (参考)・持続的な成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス)URL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/materiality/・キリングループ CSVパーパスURL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/csv_purpose/・キリングループ CSVコミットメントURL https://www.kirinholdings.com/jp/impact/csv_management/commitment/・価値創造モデルURL https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/model/ (2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標 2028年に向けた計画キリングループは、長期の持続的成長を目指して将来の環境変化や地政学リスクなどを踏まえた事業ポートフォリオ変革に取り組んできました。これからも成長し、キャッシュサイクルを回すことで企業価値を上げていきます。具体的には、既存事業の効率性を高めて安定したキャッシュを創出し、それを成長事業への投資に回すことで、グループ全体で成長を続ける好循環を回していきます。酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬の各事業でキャッシュ創出力を高め、1桁台後半%のEPS成長を継続します。同時に、業界平均として相対的にマルチプルの高いヘルスサイエンス事業のキリングループ内での構成比を高めることでPER向上を目指します。このEPSとPERの掛け算によって企業価値を持続的に成長させていきます。2028年に向けた各セグメントのEPS成長を牽引するのはヘルスサイエンス・飲料事業です。ヘルスサイエンス・飲料事業の利益成長により、2028年のEPS構成比を全体の約25%まで高めるとともに、酒類事業・医薬事業についても着実なEPS成長を図ります。展開エリア別のEPS構成比についても、ヘルスサイエンス事業のEPSを成長させることで、アジア・パシフィックの構成比を2028年には約30%まで高めていきます。 (基本方針)不確実性や地政学リスクも考慮しながら事業ポートフォリオを展開し、2035年に目指す姿の実現に向けて、酒類、ヘルスサイエンス・飲料、医薬の各事業で成長を実現していきます。 (優先課題)① 各事業の注力分野での価値創造② 人財、R&D、デジタル及びマーケティングへの投資強化 (重要成果指標)2028年に向けた財務指標については、EPSの成長による株主価値向上を目指すとともに、引き続きROICを採用し、継続的に資本コストを超える水準を目指していきます。また、重要成果指標(財務目標・非財務目標)及び単年度連結事業利益目標の達成度を役員報酬に連動させることにより、株主・投資家との中長期的な価値共有を促進しています。(なお、役員報酬に関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。) [財務目標※1] 2026年計画2028年目標長期目標・ROIC※27.7%8.0%以上10%以上・EPS193円3年CAGR +一桁後半%(6%以上)CAGR +一桁後半% ※1 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除く。※2 ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均) [非財務目標](財務方針)キャッシュ・フロー最大化に向けてオーガニック成長による利益創出を目指します。2028年に向けて創出する営業キャッシュ・フローの総額は約8,400億円を想定しています。配当金については、DOE(連結株主資本配当率)5%を目安とし、原則として1株あたり配当単価は累進配当を実施いたします。配当金額はグループ総額で約2,400億円を予定しています。設備投資に関しては、総額で約4,400億円を予定しており、長期視点で優先順位を決定し、安全・品質や環境のために必要な設備投資を適切に実施した上で総額のコントロールをします。また、価値創造の源泉となる人財、R&D、ICT及びマーケティングへの投資も強化して企業価値向上につなげます。 安定配当を維持しながら、財務健全性を確保するために、有利子負債の返済を実施していきます。今後、M&A投資を実行する際の資金は事業売却などによって賄いますが、不足する場合には2~3年以内に財務健全性を戻せることが見込める限りにおいては、一時的にグロスDEレシオが1倍を超えることを許容します。最適な事業ポートフォリオのための事業の見直しについては継続して議論をしていきます。 株主還元については、基本的には配当で行うものの、投資機会や事業売却等で創出されるキャッシュバランスを考慮しながら、自己株式取得の実施を機動的に判断します。なお、保有アセットからの営業キャッシュ・フローの積み上がりによって自己資本が過大になる場合や事業売却によるキャッシュ・インがある場合で、次の成長投資のタイミングと時間のずれがある場合には、自己株式取得を検討します。この方針のもと、2026年2月5日付で発表したFour Roses Distillery, LLCの売却に伴うキャッシュ・インを活用して、追加の株主還元として800億円を上限とした自己株式取得を実施します。 (非財務方針)長期の持続的成長を目指して、非財務への取り組みも引き続き強化します。「イノベーションを次々と生み出す組織能力」の強化を目指し、グループ全体でAIとの共創を推進していくことに加え、キリングループの強みであるマーケティング力・技術力をさらに強固なものとします。基盤となる人財強化も継続し、KIRIN WAYを体現する人財によって戦略の実行度を高めていきます。また、ステークホルダーからの期待を踏まえ、経済的価値につながる非財務目標を設定し、価値創造モデルのInput~Business~Outputを強化することでより大きなOutcomeの創出を目指しています。非財務の戦略的な取り組みを通じて、キリンホールディングスはCSV経営を推進し、社会のサステナビリティ課題の解決にも貢献していきます。 (3) 会社の対処すべき課題キリングループを取り巻く経営環境は、健康志向の高まり、酒類規制やアルコール離れ、AI等デジタル技術の進化、労働力不足等、急速に変化しています。更に、気候変動や地政学リスクの高まりにより経済の先行きは不透明です。キリンホールディングスグループは、迅速かつ柔軟に変化に対応する経営体制を継続しながら、CSV先進企業として、事業を通じた社会課題の解決により企業価値向上を目指します。新たに策定した2035年の長期ビジョン「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」姿を実現するため、2026年は「変革の起点」として、イノベーションを次々と生み出す組織づくりを加速します。人財への投資を強化するとともに、グループ共通の価値観・行動指針である「KIRIN WAY」をグローバルに浸透させることで、組織の一体感と変革力を高めていきます。組織能力の強化により、酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医薬の各事業が自律的に成長し、かつ事業の掛け合わせによるシナジーを最大化することを目指します。特に、ヘルスサイエンス事業のアジア・パシフィックを中心とした成長を加速し、グループの第3の柱として収益性を高めます。事業の稼ぐ力を高めるとともに、株主利益の更なる向上のため引き続き当期利益を重視した経営を進め、「EPS」及び「ROIC」の財務目標達成を目指します。非財務目標については、新たに「R&D(研究開発)」「デジタル」を加え、各項目の達成を通じて持続的成長を実現します。 ① 酒類事業お酒に対するお客様の価値観が多様化する中、キリンビール㈱は、CSVパーパスの「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を基盤に、お酒の未来を創造し、人と社会につながるよろこびを創出することに注力していきます。2026年は、ビール類酒税一本化が予定されており、ビールやRTDを中心とした成長カテゴリーへの集中的な投資を推進することにより、市場を上回る成長を目指します。ビールでは、主力となる「一番搾り」「キリンビール 晴れ風」ブランドの強化に加え、好調の「キリングッドエール」を育成し、エコノミー領域では「本麒麟」を中心に投資し、基盤強化と高収益化を実現します。RTD分野では「キリン 氷結Ⓡ」のブランド力向上に加え、新たな価値創造にも取り組みます。健康志向や多様なライフスタイルに応える商品群では、ノンアルコールカテゴリーの商品ラインアップ拡充や、既存の機能系ブランドの強化を中心に、技術力を活かした価値創造により新たな事業の柱の確立を目指します。クラフトビールでは、「スプリングバレーブルワリー」ブランドから少量限定商品「ブリュワーズライン」を2025年11月に発売し、今後も新たな限定商品の展開を計画しています。また、地域ブルワリーや行政と連携し、クラフトビールを軸としたまちづくりや文化醸成を横浜市を皮切りに展開していく予定です。デジタルやリアルでのファン化施策も拡大することで、クラフト市場全体の成長にも貢献していきます。LION PTY LTDは、2025年10月より豪州とニュージーランドの事業を統合し、オセアニアに注力した新たな経営体制のもと、市場を上回る成長と収益性向上を一体的に推進します。両国市場を横断したナレッジの共有やコスト効率化を図りつつ、価格マネジメントと好調な「Hahn(ハーン)」や「Stone & Wood(ストーン&ウッド)」ブランド強化により、競争優位性を高めます。また、オーストラリアとニュージーランドで展開する「Hyoketsu(ヒョウケツ)」等の販売拡大にも取り組みます。北米のNew Belgium Brewing Company, Inc.は、「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」の拡大に加え、現地製造販売を開始した「一番搾り」の北米での販売も拡大します。 ② 飲料事業国内飲料市場の厳しい競争環境が続く中、キリンビバレッジ㈱では、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」をパーパスに掲げ、ヘルスサイエンス飲料拡大に注力します。子供向けプラズマ乳酸菌入り飲料「キリンつよいぞ!ムテキッズ」の全国発売をはじめ、プラズマ乳酸菌を中心とした「免疫ケア」飲料のラインアップ拡充により幅広い世代への健康価値提案を推進します。また、需要が高まる無糖茶に対応して「午後の紅茶」の無糖シリーズを一層強化していきます。4月には特定保健用食品「キリンヘルシアうまみ緑茶」の全面リニューアルも予定し、市場拡大を目指します。北米のCoca-Cola Beverages Northeast, Inc.では、好調な炭酸飲料を主軸に、引き続き、市場環境にあわせた価格戦略と売り場づくりによる売上増加を目指します。輸入関税影響による原材料費増加も想定されますが、オペレーション効率化と費用管理を一層推進し高い収益性を維持します。 ③ 医薬事業協和キリン㈱は日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす“Life-changing(ライフチェンジング)”な価値創出に向けた取り組みを加速していきます。引き続き、注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)※1」や「Poteligeo(ポテリジオ)※2」の成長による利益拡大を目指します。「ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)※3」の開発推進及び販売開始に向けた取り組みを着実に進めるとともに、パイプラインを更に強化していきます。 ※1 主に遺伝的な原因で骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患の治療薬です。※2 特定の血液がんの治療薬です。※3 急性白血病の治療を目的とする開発品です。 ④ ヘルスサイエンス事業キリングループは、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指し、グループ各社の強みを結集して持続的な成長と社会課題の解決に取り組んでいきます。㈱ファンケル、Blackmores Limited等グループ各社が、それぞれの強みを活かしながら成長を加速させ、シナジーを創出します。また、各国・地域の市場環境や健康課題を的確に捉え、自社の経営資源を最適に活用し、現地に根差した柔軟な戦略を展開していきます。㈱ファンケルは国内のスキンケアをはじめとした化粧品事業、サプリメント事業において、中長期的視点に基づいたブランド力強化を進めます。全チャネルで統合したお客様データとデジタル技術の強みを活用し、一人ひとりに合わせたご提案やサービスを通じて、顧客体験価値の向上を目指します。海外では、2026年中に、東南アジア・中国においてサプリメント・スキンケアをキリンホールディングスグループで全ての販売・マーケティングができる体制を整備し、Blackmores Limitedとの協業によるブランド育成と事業拡大に取り組みます。Blackmores Limitedは、豪州・ニュージーランドでの「Blackmores(ブラックモアズ)」及び薬剤師等により販売される「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の成長加速に取り組みます。市場成長率とブランド認知率の高い東南アジアでのマーケティング投資を継続するほか、中国では、ECを含む販売チャネルの強化と更なるブランド浸透を通じて収益拡大を目指します。プラズマ乳酸菌事業では、高付加価値商品の拡充に加え、国内外での展開エリアやチャネルの拡大、新商品の上市を加速しています。Blackmores Limitedの販路を活用し、2025年の台湾に続き、豪州や東南アジア各国へのプラズマ乳酸菌サプリメントの展開を目指します。また、㈱ファンケルとの販売基盤の一体化により、事業の効率化と収益性向上を目指します。 キリングループは、今後もユニークな事業ポートフォリオ経営と確かな戦略実行力で、持続的な成長と企業価値向上に取り組みます。従業員一人ひとりがイノベーションに挑戦し続けることで、世界のCSV先進企業として更なる飛躍を目指します。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】(1) リスクマネジメントの考え方キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える機会・脅威それぞれの不確実性を「リスク」、ある時点を境に脅威のリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、お客様、従業員、株主および社会から長期的な信頼を獲得できるよう、以下の考え方のもとリスクマネジメントシステムを構築・運用することで、事業活動上で発生するさまざまなリスクを特定し、適切にコントロールしていくことを基本方針としています。なお、リスク情報は、キリンホールディングスホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (基本方針)① 経営理念および価値観のもと、経営目標の達成や企業の継続性を確保し、企業の社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上を目的として、リスクマネジメントを実行する。② 戦略とリスクを一体で検討を行い、適切なリスクテイクを実現する。③ リスクマネジメントの推進のため、組織や仕組みを整え、環境変化に柔軟に対応できる組織能力の向上を図る。④ 平時からリスクの洗い出しを行い、企業活動に伴うさまざまなリスクを把握の上、リスクの特定・分析・評価・対策+モニタリングを行い、リスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行っていく。⑤ リスクマネジメントは全社員が参画して取り組む活動であるとの認識を持ち、教育や訓練等の啓発活動を通じて、リスクへの感度の醸成を図る。⑥ クライシスに対しては、未然防止を徹底するとともに、早期発見、迅速な報告・情報共有・対応を通じ、影響を最小化する。クライシスの対応後には、その発生要因・対処法などを分析し、再発防止に努める。⑦ 会社におけるリスクの内容や対策等のリスク情報について、適時、ステークホルダーに対し適切な情報開示を行う。 また上記方針に加え、リスクに対する基本姿勢を作成し「リスクコントロールしつつ取りに行くリスク」と「取らないリスク」を明確にすると共に、リスクの許容度を設定することで、リスクマネジメントを通じた事業の継続的な成長を後押ししています。(図1) (図1) (2) リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリングキリングループでは、キリンホールディングスの常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やグループリスクマネジメント方針・重点課題の立案、リスク低減だけでなくリスクテイクも含めた戦略とリスク一体検討の推進、クライシス発生時の情報共有や対策の検討など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図2)グループ重要リスクは、グループ全体の目標や戦略・事業遂行に関するリスクだけでなく、それぞれの事業固有のリスクの両面からリスクを集約して作成しています。各リスクについては、定量・定性の両面からグループに与える影響度を評価すると共に、発生確率を考慮し、影響度と発生確率の両軸でリスクの重要度を設定します。さらに重要リスクはリスクマップ上で一元化して管理を行っています。グループリスク・コンプライアンス委員会では、作成したグループ重要リスクについて議論し、それぞれのリスクへの対応、許容度などについて議論を行います。またこれらのグループ重要リスクは取締役会で審議され、状況変化の確認や対策の見直しを行っています。(図3)キリンホールディングスおよびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。(図4) (図2) (図3) (図4) (3) キリングループの主要なリスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要な事項について、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類して記載しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末においてキリンホールディングスが判断した内容に基づきます。 ① 各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない・原材料価格・燃料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす・新規事業が市場に浸透せず、売上・利益が下振れし、事業計画が遅滞する主な対策、その他リスクの状況認識等食領域はキリングループの主力事業分野であり、脅威のリスクが発現した場合には甚大な影響が想定されます。既存事業では事業環境の変化に対してこれまでに培った知見を基にリスクへの対応策を実施するとともに、新規事業についても従来とは異なる機会・脅威含めた新たなリスクを想定し、対策することでリスクの低減だけでなく機会の最大化に努めています。地政学リスクに起因する原材料や燃料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、高付加価値商品の展開拡大の成否による中長期的な事業計画への影響はそれぞれグループ重要リスクの一つとして位置づけており、引き続き情勢を注視し適切なリスクコントロール策を講じてまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・研究開発に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない・製品の安全性や品質に懸念が生じる、急激な需要増/需給逼迫により安定供給に支障が発生する・パイプラインの拡充が進まず、将来の成長性と収益性が低下する・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む主な対策、その他リスクの状況認識等医領域においては、グローバル戦略品の価値最大化に向けて、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めており、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を実施するとともに、委託先の拡充、自社工場への設備投資、需給計画の可視化や製造作業効率化のためのデジタル化推進等に取り組んでいます。また、国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品等を確実にお届けするために、その製品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠し、ステークホルダーからの理解も得ながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保につながるよう、事業への影響を評価しています。(詳細につきましては、協和キリン㈱の有価証券報告書に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・既存展開国の法規制変更、及び新規展開国の法規制対応が遅れるリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・事業を担う人財や組織能力が不足するリスク・欠品、品質トラブル、エビデンス不足、不適切な情報発信等により、ブランド、レピュテーションを毀損する・グループ内のシナジー創出が進まず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない主な対策、その他リスクの状況認識等ヘルスサイエンス領域では中長期的な社会環境の変化に伴って発生する健康課題に対して土台の健康づくりを推進し、人間が元来持つ力を高めることで、お客様の健康課題をより効果的・効率的に解決することに貢献します。新たに取得したBlackmores Limited、㈱ファンケルの成長とグループ内のシナジー創出を最優先課題とし、持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。主力事業の食とは異なる領域での事業推進にあたり、迅速果断な意思決定を実行するため、また、適時適切なリスクコントロールができるよう、リスクマネジメントの観点でも組織能力の拡充とガバナンスの強化を図ってまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) ② 各事業領域共通のリスク項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人財獲得・育成・グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保できないリスク・人財マネジメントの仕組みが計画通りに進まないリスク・競争優位性のある組織能力が実現せず、経営戦略が推進できない・想定した体制への移行が進まず、組織能力が低下し、経営戦略の実現に支障が出る主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループは、人財を価値創造、競争優位の源泉と捉えています。経営戦略の実行に求められる人財の獲得・育成に向けて、機能を軸とした専門性をより重視する人財マネジメントの仕組みを導入・運用しています。キャリア採用も着実に増えており、多様な経験・価値観・専門性を持った人財が集い、グループ全体でイノベーションを生み出す組織文化の醸成を目指した取組みや環境整備を進めています。中長期視点で経営戦略と人財戦略の連動性を高め、持続的な事業成長と企業価値向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響デジタル活用の加速・AIを含むデジタル技術の活用が進まず、競合劣後となるリスク・DX専門人財の獲得・育成が計画通りに進まないリスク・事業課題の解決が進まず、競争力の低下やコスト増を招き、売上・利益が減少する・DXの推進に必要な要員が不足し、組織能力を高められず、効率化や価値創造の成果創出が遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、デジタル技術やデータを活用した業務プロセスの変革を進め、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程においてもAIを含むテクノロジー活用を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各グループ会社・各部門での自律的なDX推進の実現に向けて、独自のプログラムによる社内人財育成を進めるとともに、DXの推進に必要な専門人財を外部から確保することで、体制の充実と組織能力の強化を図っています。今後もグループ全体のあらゆる領域でデジタル技術の活用・推進に取り組み、イノベーション創出に繋げてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響品質・商品・サービスの品質問題が発生するリスク・品質関連法令への対応不備により、関係官庁から改善命令や指導を受けるリスク・商品・サービスの販売・提供中止や回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる・お客様からの信頼を失い、企業ブランド価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、グループ共通の価値観である「先駆」「お客様本位/患者さん本位」「品質本位」に基づきお客様/患者さんへの安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを「キリングループ品質方針」に定め、実現するための行動や考え方を「行動宣言」で示しています。「品質方針」「行動宣言」を具現化した「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則」を定め、グループ各社が保有する品質マネジメントシステムに反映し、品質保証の仕組みと運用を継続的に改善することで確かな品質の商品・サービスへとつなげています。法令遵守への対応として各領域の品質に関する法令改正動向の把握と対応、食品製造工場における国際認証の取得、国内主要事業会社における原材料情報の一元管理・トレーサビリティシステムの導入などの品質保証の仕組みを構築しています。グループ全体で品質を大切にする風土の醸成に取り組み、お客様/患者さんに安全・安心な商品・サービスを提供してまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権・従業員及びビジネスパートナーをはじめ、キリングループに関わる全ての人々に対して、直接または間接的に人権に負の影響を及ぼすリスク・企業価値の低下を招く、あるいは事業縮小や撤退を余儀なくされる・法令に違反する場合は、罰金や訴訟リスクまたは経済的な制裁措置を受ける主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識のもと、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定、2023年には国際的な人権に関する規範に沿って同方針を改定しました。従来通り、人種、肌の色、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、宗教、思想・信条、性的指向・性自認及び職種・雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、事業活動上の全てのバリューチェーンにおいて、人身取引、奴隷労働や強制労働及び児童労働を容認しません。改定版は、ステークホルダー毎に想定される重要な人権課題を明確にするなど、より具体的な内容としています。国内外グループ会社の全ての従業員だけでなく、バリューチェーンに関わる様々なビジネスパートナーに対しても同方針への理解と遵守を求めることで、人権を尊重し、社会に対してポジティブインパクトを生み出すことに取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境・気候変動による物理的リスク・脱炭素社会への移行リスク・技術開発等が遅れ、環境問題の解決が困難になる・遅延するリスク・温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止・炭素税などによる燃料費・農産物コストの上昇・企業に対する社会の期待に十分に応えられず、企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、様々な環境問題の統合的な解決に向けた「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスクについては、事業継続や収益性に影響を及ぼす重要なリスクとして認識しています。これらのリスクに対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、リスクの低減及び機会の獲得につながる施策を選択的に実行しています。環境負荷低減と中長期的な企業価値向上の両立が見込まれる分野については、将来の競争優位性確立に向けて積極的に取り組むべきリスクとして位置づけ、取り組みを進めます。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量におけるリサイクル樹脂使用率50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して着実に進捗しています。相互に関連する環境問題である生物資源、水資源、容器包装、気候変動を統合的に解決し、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。企業価値の棄損やグループ方針である環境ビジョン2050と一致しないリスクについては、事業機会が見込まれる場合であっても取らないリスクとして明確に区分しています。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響(脅威)・世界的な規模で酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク・世界的に酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク(機会)・ノンアルコール・低アルコール商品の市場や売上の拡大(脅威)・酒類の消費が減少する・企業価値が低下する(機会)・ノンアルコール・低アルコール商品の市場や売上が拡大する主な対策、その他リスクの状況認識等アルコールの有害摂取による負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売・マーケティングに関する規制強化に向けた議論をしています。また日本国内でも飲酒と健康に関する関心が高まっています。キリングループは酒類事業を営む企業グループの責任としてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを推進しています。酒類事業の展開にあたっては法令を遵守し、責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDをはじめ国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、適正な飲酒に関する正しい知識の普及や意識の啓発を行っています。また、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みの一環としてノンアルコール・低アルコール飲料の拡充に取り組んでいます。社会情勢の変化に対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・台風などの大規模自然災害や感染症、地政学リスクの影響、サイバー攻撃、委託先の被災等によりサプライチェーンが分断するリスク・災害により事業所等を閉鎖する、あるいは事業活動を縮小・停止する・異常気象に伴う販売量の急増やドライバー不足等の外部環境要因により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内では労働力不足の進行や物流を取り巻く制度・環境変化による輸送能力への影響、海外ではテロや政治的な不安が顕在化することによるサプライチェーンの分断が懸念され、各事業では、需給予測精度の向上や物流能力の強化、代替戦略の検討等によるリスクの低減を進めています。キリングループでは災害・事故等への対応として、経営資源を起点に対策を考えるオールハザード型BCP(事業継続計画)を策定し、複数のグループ会社を対象として、物流面の機能発揮状況を確認する訓練を実施していますが、引き続き、危機事象への対応力強化、レジリエンスの向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響調達・市況・為替変動リスク・地政学や災害発生、サプライヤーの事業撤退・業界再編リスク・取適法(改正下請法)など法令違反リスク・サプライチェーン上の人権・環境リスク・調達コストが計画を上回り、事業利益を圧迫する・原材料について必要量を確保できない、または納品に遅れが生じ、製造計画に影響を及ぼすことで需給調整が発生、長期化する・企業イメージの低下や不買運動の発生など、レピュテーションリスクが顕在化する主な対策、その他リスクの状況認識等市況・為替変動リスクに対しては、長期契約や為替ヘッジによるコスト低減・安定化の取り組みを行い、地政学・災害発生リスクに対しては調達先の分散、原材料在庫率の引き上げ、また取適法(改正下請法)などの調達業務に関連する法令違反リスクについても、施行・改正動向を確認し、関連部門と協力して適切な対応を行っています。更にサプライチェーン上の人権や環境に関するリスクへの対応を重要な経営課題の1つと認識しており、人権デューデリジェンスの実施など、高まる企業への要請に十分に応えられる体制の整備と組織能力の強化に取り組んでいます。サプライヤーに対しては、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の説明を行うとともに、遵守に向けて承諾書の提出を求め、定期的にその遵守状況を確認しています。さらに、サプライヤーが通報できる窓口(ホットライン)や苦情処理メカニズムも整備しており、サプライヤーとの連携を密にすることで持続可能な調達の推進に取り組んでいます。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・外部等からのサイバー攻撃による事業活動の停止およびキリンホールディングスグループ保有の顧客情報・企業秘密など重要データの漏えい・改ざん・消失に係るリスク・従業員や業務委託先等の内部不正・過失、事故等によるキリンホールディングスグループ保有の顧客情報・企業秘密など重要データの漏えい・改ざん・消失および業務プロセスの中断・遅延に係るリスク・顧客等のステークホルダーへの賠償責任が発生する・社会的信用が低下、ブランドイメージが毀損、風評が悪化する・顧客からの取引が縮小・停止、営業機会が喪失する・事後対応に伴う業務への支障により、従業員の業務効率、モラルが低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリンホールディングスグループでは情報セキュリティについての基本的な考え方を示した「グループ情報セキュリティ規程」を制定し、グループ各社に向けて情報セキュリティの重要性に関して浸透させるとともに、役員や従業員へ教育研修等を通じて周知徹底を図っています。また、各種サイバー攻撃等への対策として、「統治」「特定」「防御」「検知」「対応」「復旧」のためのセキュリティ基盤の強化およびプロセスの整備をグループ全体で図るとともに、「KIRIN‑CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」により、セキュリティインシデント等に対応できる体制を構築しています。さらに国内外のグループ各社のセキュリティリスクの評価・モニタリングにより管理状況を可視化、改善することで、継続的なセキュリティ強化・高度化に努めています。これらの取り組みにより、一定レベル以下にリスクは低減できているものと認識しておりますが、未知のサイバー脅威への備えとして、脅威インテリジェンスの活用、外部専門機関との連携強化、クラウド・AI環境への対応など、多面的な情報収集と改善を継続し、今後も更なる有事の発生防止と早期復旧、グループ全体のセキュリティ水準の維持・向上に努めてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、コンプライアンスについて、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たすこと」と定義しています。人権やハラスメント、腐敗行為(贈賄を含む)防止や適正飲酒などに関する研修を定期的に実施し、ルールの理解浸透や意識啓発に取り組んでいます。また、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクの洗い出しにつなげるとともに、回答によっては事実確認や調査を行い、対策を講じることでリスク低減に取り組んでいます。リスク事案の早期発見につなげるべく内部通報の体制も整備しており、グループ各社で通報窓口が設置されているほか、コンプライアンス担当役員や監査役直通の通報窓口、海外のグループ会社従業員が利用できるグローバルホットラインも設置しています。法令を遵守することはもとより、社会の要請を踏まえた高い倫理観を醸成できるよう、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・為替レートにより円換算後の価値が変動するリスク・金融市場の変化や格付の変更等により必要資金が調達できないリスク / 資金調達コストが変動するリスク・各国税制の変化や税務申告における税務当局との見解の相違により、予想以上の税負担が生じるリスク・現地通貨建て財務諸表の円換算値や、外国通貨建て取引による原材料の調達コストが変動する・資金調達が制約され運転資金不足が生じる / 高金利での資金調達により金融収支が悪化する・追加税負担により業績が悪化する、社会的信用が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等市場環境や為替レート変動による影響は完全に排除できませんが、キリングループではデリバティブを使ったヘッジ等により、業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理を通した効率化により、資金関連リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。税務コンプライアンスを遵守した適正な納税の徹底により、税務リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。 上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクを認識した上で、発生の未然防止・速やかな対応に努めてまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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