ダイドーグループホールディングス(2590)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】ダイドーグループホールディングスグループは、ダイドーグループホールディングス及び子会社20社、持分法適用関連会社6社、非連結持分法非適用子会社1社、持分法非適用関連会社1社により構成されております。ダイドーグループホールディングスグループの主な事業の内容は次のとおりであります。なお、次の5部門は、第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)連結財務諸表[注記事項](セグメント情報等)に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (1) 国内飲料事業ダイドードリンコ㈱及び販売会社11社が、主に、ダイドードリンコ㈱が企画開発しグループ外の飲料製造業者に容器等の資材を支給して製造委託した各種清涼飲料を、自販機とコンビニエンスストア等の店頭を通して消費者に販売しております。海洋深層水を原料に使用した清涼飲料を製造するダイドー・タケナカビバレッジ㈱にも製造委託を行っております。また、大同薬品工業㈱が製薬会社と業務提携して製造するドリンク剤(医薬部外品)を自販機で販売しております。 (2) 海外飲料事業(日本)ダイドードリンコインターナショナル㈱が、ダイドードリンコ㈱より商品を仕入れ、海外市場への輸出事業を行っております。(中国)上海大徳多林克商貿有限公司が、ダイドードリンコインターナショナル㈱等より商品を仕入れ、コンビニエンスストア等の店頭を通して消費者に販売しております。(トルコ)Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.にて清涼飲料の製造販売を行っております。また、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.の販売子会社のDyDo DRINCO TURKEY İçecek Satış ve Pazarlama A.Ş.が、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.で製造された清涼飲料等を店頭を通じてトルコ国内や海外市場の消費者へ販売しております。(イギリス)Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.の販売子会社であるDyDo DRINCO UK Ltdが、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.より商品を仕入れ、イギリス国内にて清涼飲料等を販売しております。(ポーランド)Wosana S.A.にて清涼飲料の製造販売を行っており、店頭を通じてポーランド国内や海外市場の消費者へ販売しております。 (3) 医薬品関連事業大同薬品工業㈱が、主にグループ外の製薬会社等から受託したドリンク剤やパウチ製品等(医薬品・医薬部外品・清涼飲料水表示)の製造を行うほか、一部、ダイドーグループホールディングスグループで販売する清涼飲料を製造しております。 (4) 食品事業㈱たらみが、主にフルーツゼリーの製造及び販売を行っております。(5) 希少疾病用医薬品事業ダイドーファーマ㈱が、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、日本国内で販売しております。なお、ダイドーグループホールディングスは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。(注)上記の他、子会社が1社ありますが、重要性が乏しいため記載しておりません。
有価証券報告書(2026年1月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてダイドーグループホールディングスグループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針ダイドーグループホールディングスグループは、国内飲料事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、グループ一丸となって将来の持続的成長をめざすべく、2014年に「グループ理念・グループビジョン」「ブランドメッセージ」を制定しています。「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」というグループ理念は、創業以来培ってきた「共存共栄」の精神を謳っています。お客様、従業員、取引先、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの皆様との共存共栄を図りながら、企業の成長とともに従業員が成長していくために、チャレンジする企業風土の醸成に取り組み、ダイドーグループホールディングスグループの文化である「共存共栄」の精神を未来へとつないでいきます。そして、ブランドメッセージ「こころとからだに、おいしいものを。」は、グループ理念・グループビジョンを、ダイドーグループホールディングスグループに関わるすべての皆様にわかりやすく表現した言葉です。DyDoグループは思いを一つに、チャレンジとアイデアをもって、価値ある製品の提供や企業活動を通じて、人に社会に奉仕していきます。 また、ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業は、清涼飲料という消費者の皆様の日常生活に密着した製品を取り扱っており、セグメント売上高の約90%は地域社会に根差した自販機を通じた販売によるものです。また、自社工場を持たず、生産・物流を全国の協力業者に委託するファブレス経営により、ダイドーグループホールディングスは製品の企画・開発と自販機オペレーションに経営資源を集中し、業界有数の自販機網はダイドーグループホールディングスグループの従業員と共栄会(ダイドーグループホールディングス機のオペレーションを行うパートナー企業の総称)により管理しています。このようなダイドーグループホールディングス独自のビジネスモデルは、ステークホルダーの皆様との信頼関係によって成り立っていることから、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」ことが会社としての責務であり、経営上の最重要課題であると認識しています。そして、その実現のために、「ダイナミックにチャレンジを続けていく」ための基盤として、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスを継続的に改善していくことが、株主共同の利益に資するものと考えています。 (2)経営戦略等ダイドーグループホールディングスグループは、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」のグループ理念のもと、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」“世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ”を定めています。2030年に向け、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。 また、ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」実現への取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進しています。近年、地球規模での人口の増加や、それに伴う資源・エネルギー・食料の逼迫、環境問題、高齢社会の到来や格差の拡大等、企業が直面している課題は多岐にわたっています。このような環境や社会の変化による潜在的なリスクに備えるとともに、事業を通じて社会的課題の解決を図り、豊かで持続可能な社会の実現へ貢献していくことが、企業としての責務です。ダイドーグループホールディングスグループは、「中期経営計画2026」のスタートにあたり、サステナビリティの観点から、中長期的な経営課題について議論し、「グループミッション2030」の実現に向けた8つのマテリアリティを特定しました。ダイドーグループホールディングスグループのマテリアリティへの取り組みを通じて、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献していきます。 「グループミッション2030」では、その達成に向けたロードマップを描いています。具体的には、2030年1月期までの期間を「基盤強化・投資ステージ」「成長ステージ」「飛躍ステージ」の3つに区分し、それぞれのステージに応じた事業戦略を推進することにより、競争優位性の高いビジネスモデルを構築していきます。現在は、将来の飛躍に向けた「成長ステージ」として、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」に取り組み、国内飲料事業の再成長および海外飲料事業戦略の再構築に注力しつつ、長期視点での事業育成に取り組んでいます。 (3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」の経営指針として、社会価値・環境価値・経済価値の創出に向けた定性的・定量的な指標を以下の通り定めています。 ① 経済価値創出に向けた財務KPIダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」における基本方針として、「国内飲料事業のイノベーション」「海外での事業展開の拡大」「非飲料事業での第2の柱の構築」の3つを掲げています。この基本方針のもと、事業の「稼ぐ力」の強化を図るべく、経済価値創出に向けた財務KPIは資本生産性指標である「ROIC」を採用し、「成長ステージ」と「飛躍ステージ」の最終年度における目標数値をそれぞれ設定しています。ROICを活用した事業ポートフォリオ戦略を推進するとともに、事業別ROICツリーを活用した各事業の資本効率の改善に取り組んでいます。 ●ROIC目標値※1 国内飲料事業※2海外飲料事業非飲料事業※3連結成長ステージ(2023年1月期~2027年1月期)4%13%0%4%飛躍ステージ(2028年1月期~2030年1月期)17%5%17%8%以上 ※1 超インフレ会計適用前、投下資本はセグメントへの投下分※2 サプリメント通販事業を除く※3 国内飲料事業のうちサプリメント通販事業、医薬品関連事業、食品事業、希少疾病用医薬品事業 ② 環境価値創出に向けた非財務KPI近年、気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっています。また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクの高まり等、グローバル社会が直面する重要課題である気候変動問題への対応は、ダイドーグループホールディングスグループの持続的成長の実現に向けた大きな経営課題であると認識しています。このような状況を踏まえ、脱炭素社会へ貢献するべく、環境価値創出に向けた非財務KPIとして、グループとしてのCO2排出削減目標を設定しています。なお、ダイドーグループホールディングスグループは、2022年1月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しており、TCFDのフレームワークに基づく気候関連情報は、ダイドーグループホールディングスウェブサイトに掲載しています。 https://holdings.dydo.co.jp/sustainability/eco/tcfd/ (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題ダイドーグループホールディングスグループは、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」として、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ」を掲げています。そして、その実現に向けた「成長ステージ」として、5カ年(2023年1月期~2027年1月期)の「中期経営計画2026」を策定し、「国内飲料事業の再成長」「海外飲料事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」の3つの基本方針のもと、取り組みを推進してきました。その結果、2023年1月にアサヒ飲料株式会社(以下、アサヒ飲料)との共同出資により自販機の直販チャネルを一体的に運営する新会社としてダイナミックベンディングネットワーク株式会社を設立したほか、2024年2月にはポーランドで清涼飲料の製造・販売を行うWosana S.A.(以下、ヴォサナ社)を子会社化するなど、中長期的な企業価値向上に向けた事業基盤を強化しました。また、2022年以降、国際情勢の変化などを背景に、グループ各社において原材料価格をはじめとするコストが上昇した一方、トルコ飲料事業においては急激なインフレが進行するなど、ダイドーグループホールディングスグループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。このような内部・外部環境の変化を踏まえ、「中期経営計画2026」の残期間(2026年1月期~2027年1月期)における計画の見直しを2025年3月に実施しました。基本方針は維持しつつ、経営指標の目標値、事業戦略、投資資金/資金配分を見直しています。本中期経営計画において将来の成長に向けた投資を実行するとともに、収益体質への転換を図ることで、次の「飛躍ステージ」に向けた再成長軌道への道筋を確かなものへとしていきます。 ●経営指標の目標※1(単位:百万円) 最終年度(2027年1月期)目標当初目標値修正後目標値売上高成長率(年平均成長率)※2+3%※3+9% (参考)連結売上高175,000255,300営業利益率4%3% (参考)連結営業利益6,8007,800連結ROIC※46%4% ※1 超インフレ会計適用前※2 2021年度比※3 為替中立ベース※4 投下資本はセグメントへの投下分 ① 国内飲料事業の再成長ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業は、創業来、「お客様の求めるものをお客様に身近なところでお届けする」独自のビジネスモデルによって発展してきました。そして、業界有数の自販機網と、直販と共栄会によって一体的に運営する品質の高いオペレーション体制を強みとしています。コロナ禍を経て、消費者の行動様式は大きく変容し、自販機市場においては本格的な販売回復に至らない中、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっています。また、各種原材料高騰によるコスト増や、価格改定に端を発した消費者の節約志向の高まりなど、自販機市場を取り巻く環境は厳しい局面を迎えています。このような状況の中、短期的には自販機ビジネスにおける着実な利益創出に注力するとともに、中長期的には市場における確固たる優位性の確立を最優先課題として取り組み、お客様の楽しく健やかな暮らしに貢献する「こころとからだに、おいしい商品」の開発・提供をめざしていきます。足元では、アサヒ飲料との共同出資で設立したダイナミックベンディングネットワーク株式会社の子会社である「ダイドービバレッジサービス株式会社」を存続会社として「アサヒ飲料販売株式会社」を合併し、「ダイドーアサヒベンディング株式会社」に商号変更して運営を開始し、アサヒ飲料傘下にあった直販チャネルへのスマート・オペレーション※1の導入を完了※2させるとともに、混載オペレーション※3をはじめとした両社の直販チャネルの一体的運営を通じたシナジー効果の創出に努めています。また、AIをはじめとした最新のテクノロジーを活用し、スマート・オペレーションの高度化にも取り組んでいます。今後については、国内飲料事業の2030年のありたい姿「自販機市場において、絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます」のもと、スマート・オペレーションのさらなる進化と展開先の拡大に取り組むとともに、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立していきます。※1 デジタル技術を活用し効率化を実現した自販機オペレーションを示すダイドーグループホールディングスの造語※2 株式会社ミチノク、九州アサヒ飲料販売株式会社を除く※3 1台のルート車両でDyDo機とAsahi機の両方をオペレーションすること ② 海外事業戦略の再構築ダイドーグループホールディングスグループは、2010年代から海外展開を積極化し、現在は現地企業のM&Aを通じて進出したトルコとポーランドを中心に、中国、英国に拠点を設け、飲料事業を展開しています。海外飲料事業を将来の収益ドライバーとして育成すべく、既存事業の拡大・安定化を進めるとともに、海外飲料事業戦略の再構築に取り組んでいます。足元では、トルコ飲料事業において高インフレやリラ安が継続していますが、戦略的な価格改定とサプライチェーンマネジメントによる収益性改善が進んでいます。ポーランド飲料事業では、2024年2月に買収したヴォサナ社において「自社製品の製造・販売」「他社製品の製造」「流通チェーンのプライベートブランドの製造」の3つのビジネスモデルを有し、変動の激しい市場環境の中でも安定した経営基盤を維持しています。また、中国飲料事業においては、2021年より無糖茶の現地製造を開始し、中国国内での拡販に注力しています。今後については、海外飲料事業の2030年のありたい姿「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します」のもと、海外飲料事業戦略の再構築に取り組むとともに、健康ニーズの高まりに対応したグローバルブランドの育成にチャレンジしていきます。 ③ 非飲料領域の強化・育成ダイドーグループホールディングスグループは、中長期的な成長性・収益性向上に向けて、非飲料領域の強化・育成を基本方針の一つに掲げ、既存事業の強化と新規事業の長期視点での育成に取り組んでいます。既存事業について、国内飲料事業を担うダイドードリンコ株式会社が運営するサプリメント等の通信販売事業では、主力商品である「ロコモプロ」を中心に定期顧客の獲得に向けた取り組みを進めています。医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、医薬品・医薬部外品のドリンク剤の受託製造企業としてトップシェアを誇りながら、新たな剤形の受託製造に取り組み、2020年に新たに製造を開始したパウチ製品の受注が好調に推移しております。こうした事業環境の変化を踏まえ、現在パウチラインの増設をはじめとした工場の再編を進めており、2026年度から2027年度にかけて順次稼働開始をめざしています。また、食品事業を担う株式会社たらみは、フルーツゼリー市場においてトップシェアを有し、多様化する消費者ニーズに応じた付加価値の高い商品開発とともに、安定供給と生産性向上に向けたサプライチェーン改革に取り組んでいます。ダイドーグループホールディングスグループの新規事業領域拡大への取り組みとして、希少疾病用医薬品事業に参入すべく2019年に設立したダイドーファーマ株式会社は、2024年9月に、初の新薬となるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に日本国内で販売を開始するなど、マテリアリティに掲げる「社会的意義の高い医療用医薬品の提供」に向けて、着実な歩みを進めています。超高齢化社会・健康長寿社会が進展する中、人々の健康・予防・衛生に対する意識の高まりも相まって、今後、ヘルスケア関連市場は着実に成長していくことが想定されます。今後については、お客様の健康と生活の質の向上に貢献すべく、大きな成長が期待されるヘルスケア領域の事業の強化・育成を図り、非飲料事業での第2の柱の構築にチャレンジしていきます。 ④ 財務規律と投資戦略ダイドーグループホールディングスグループは、持続的成長の実現に向け、財務健全性を維持できる適正水準の自己資本比率を維持しながら、将来の成長が期待できる分野へ投資するとともに、株主の皆様への安定的な還元を基本的な考え方としています。そして、再投資した資本をもとに資本コストを上回るリターンへとつなげていくことで、さらなる成長投資と株主還元の実現をめざしています。2025年3月に見直しを行った「中期経営計画2026」における資金配分の方針は、2026年1月期~2027年1月期の2年間で生み出されるキャッシュ・フロー260億円以上を元手に、自販機関連資産への投資を中心に既存事業の維持・強化に向けた投資と、安定配当方針のもと実施する株主還元へと振り向けていく考えです。また、上記とは別に、ネットキャッシュ内の範囲を戦略投資枠として設定し、「飛躍ステージ」での飛躍的成長に向けた投資を検討していきます。投資判断にあたっては、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績及び財政状態等への影響に十分注意を払いながら、定性的・定量的な基準をもとに、適切な投資判断を実行していきます。 (5)経営環境についての経営者の認識 「中期経営計画2026」の期間中(2023年1月期~2027年1月期)において、計画立案当初には想定していなかった外部環境の変化が相次ぎ、期中での計画見直しを余儀なくされました。外部環境の変化が企業の経営戦略や業績に与える影響は従来より大きく、変化のスピードは一段と速くなっています。ダイドーグループホールディングスグループにおいては、2022年以降のコーヒー豆をはじめとした原材料価格の高騰がコア事業である国内飲料事業の収益性を圧迫する一方、中東情勢の悪化を背景としたトルコ飲料事業の特需が発生するなど、事業への影響は多面的に及んでいます。私たちは持続的成長の実現に向けて、中長期的な視点をもって重点課題として掲げている8つのマテリアリティへの取り組みを着実に推進していくとともに、外部環境の変化に対して柔軟かつ機動的な対応を講じていく必要があると考えています。 主力の国内飲料事業においては、原材料価格の上昇に加え、度重なる価格改定に伴う消費者の節約志向の高まりを受け、収益体質への転換を強く打ち出しました。コーヒー豆の高騰や消費者志向の変化に対応するため、コーヒーからソフトドリンクへのシフトを進めるとともに、収益性を重視した自販機ネットワークの構築に向け、不採算先の撤去を強力に推進しました。しかしながら、自販機ビジネス全体の立て直しは道半ばであり、収益構造の変革に向けた取り組みを継続していきます。一方、海外飲料事業が2024年度に続きグループ業績を牽引しました。特にトルコ飲料事業は、ハイパーインフレやリラ安といった経営環境下にありながら、競合動向を踏まえた戦略的な事業展開により着実に業績を伸ばし、かつての低収益な状況から脱却し、確かな収益基盤を持つ事業へと成長しています。 中長期的な視点では、ダイドーグループの「こころとからだにおいしい商品の提供」をより高度に実現するため、2025年4月にグループ横断の研究開発機能として「ダイドーグループ未来共創研究所」を設置しました。インフレ環境下で付加価値創出の重要性が高まる中、飲料・食品を軸とした健康価値創出力を強化していきます。また、希少疾病用医薬品事業では、ダイドーファーマ初の新薬であるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®」の本格販売を開始しました。まだ小規模な事業ですが、患者様のお役に立てる事業として育てていきます。 「中期経営計画2026」の最終年度である2026年度は、将来の成長に向けた投資を実行するとともに、国内飲料事業を中心に収益体質への転換を図り、次の「飛躍ステージ」に向けた再成長軌道を確かなものにしていきます。 ダイドーグループホールディングス株式会社代表取締役社長 髙松 富也
事業等のリスク
3【事業等のリスク】ダイドーグループホールディングスグループの経営成績及び財政状態などに重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度においてダイドーグループホールディングスグループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 ダイドーグループホールディングスグループでは、企業理念に基づく経営戦略達成において発生する様々な阻害要因をリスクと位置付け、「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、ダイドーグループホールディングスグループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、リスク管理の効率的かつ確実な運用を図っています。常設委員会として、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしています。「グループリスク管理委員会」は、リスク管理の方針や重要リスクの評価及び対策の承認、統制状況の効果検証・是正指導等の役割を担っています。グループリスク管理委員会においては、リスク項目を「グループ横断のリスク」と「事業特有のリスク」に分類して整理し、評価を行っています。さらに、2023年度より採用した新たなリスクマネジメントの手法として、TCFDのシナリオ分析の枠組みを活用した、人口動態の変化に伴う中長期的なリスクに対する評価並びに対応策の進捗確認を実施しました。 (1)グループリスク管理委員会で特に議論された重要リスク当連結会計年度のグループリスク管理委員会においては、影響度・発生可能性の高い重要リスクを抽出し、足元の業績に影響を与えるリスクが高まっている「原材料・資材の調達」及び「海外情勢」について議論を行いました。また、独自で実施した人口動態の変化に伴う中長期リスク分析の結果により、グループとして「人財の確保・育成」に関するリスクについて、中長期的に対策を検討していくべきとの認識が示されました。 (2)経営成績等に与える影響の内容及び当該リスクへの対応策等当連結会計年度のグループリスク管理委員会が評価した重要リスクと対応策等は、次の通りです。 ①グループ横断のリスクⅰ.人財の育成・確保ダイドーグループホールディングスグループは、国内の少子高齢化に伴う人口減少や労働市場の流動化などにより、新たな人財の確保等が進まず、ダイドーグループホールディングスグループの安定的な事業継続等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しています。その上で、ダイドーグループホールディングスグループの2030年のありたい姿である「グループミッション2030」を実現するためには、多様な価値観や能力を有する人財からなる組織の構築と、人財一人ひとりの主体的な成長と活躍が不可欠と考えています。ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業において、少ない人数でもオペレーションができる「スマート・オペレーション」の確立に加え、人工知能(AI)の活用により自販機オペレーションの効率化並びに生産性の向上に取り組んでいます。また、事業戦略と連動した人的資本経営を体系的に特定し、人財一人ひとりの主体的なキャリア形成を支援する仕組み「DyDoキャリア・クリエイト」を導入しました。個人のキャリア形成に主眼を置いた人事制度・育成プログラム・評価制度等を導入し、これらの運用を通じて、ダイドーグループホールディングスグループが求める資質を備えた人財一人ひとりの成長とエンゲージメントの向上を図り、能力の多様性に富む強い組織の構築に取り組んでいます。 ⅱ.原材料・資材の調達ダイドーグループホールディングスグループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されていますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様であり、直近のエネルギーコスト上昇も相俟って、原材料・資材の調達コストの高騰は、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業及び食品事業において、2022年10月より段階的に商品の価格改定を実施したほか、海外飲料事業(トルコ飲料事業)においては、強いインフレ下にあるトルコにおいて戦略的な価格改定を継続的に実施する等、適正な限界利益率の確保による収益構造の改善に取り組んでいます。また、各事業において定期的に原料、資材及び調達先の見直し並びに複数調達先の検討等を進め、安定的な原料・資材の調達に向けて取り組んでいます。 ⅲ.海外情勢ロシア・ウクライナ情勢やパレスチナ・イスラエル情勢に起因した資材価格・原油価格の高騰、為替相場の急激な変動等、近年、地政学リスクをはじめとする海外情勢の変化が日本国内での事業活動にも影響を及ぼす可能性が高まっています。また、海外における事業展開には、各国の法令・制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制としております。加えて、グループ各社が有する海外情勢に関する情報については、海外事業に限らず国内事業への影響も含めて経営会議等でタイムリーに共有・議論し、経営としての監督および意思決定に活用する体制を強化しています。こうした取り組みを通じて、トルコ・ポーランド・中国飲料事業の基盤を活かしながら、安定した収益基盤をもつグループ体制の構築に向け、海外飲料事業戦略の再構築を進めています。 ②事業特有のリスクⅰ.トルコ国内のハイパーインフレに関連するリスク海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、2022年度以降の急激なインフレの進行を背景に、戦略的な価格改定と機動的な販売促進活動などを実施したことで、販売単価の改善を図りながら販売ボリュームを伸ばし、着実に業績を改善させており、中長期的にも成長が期待されています。一方、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを示したため、ダイドーグループホールディングスグループは、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断しました。このため、ダイドーグループホールディングスグループは、トルコの子会社の財務諸表について、2022年度第2四半期連結会計期間よりIAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件およびトルコ現地会計基準に従い、会計上の調整を加えています。今後、トルコにおけるインフレがさらに深刻化した場合、会計上の調整が多額にのぼり、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、商標権を含む固定資産の修正再表示額は、通常の固定資産と同様に減損の要否を検討し、その修正再表示額が回収可能価額を超過する場合は回収可能価額まで減損する必要がある等、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクに対応するため、持株会社の財務部による、収益管理、キャッシュ・コンバージョンサイクルに関する管理体制を強化・拡充するとともに、トルコ現地子会社においては、継続的な価格改定の実施による適正な限界利益率の確保や、トルコからの輸出取引の拡大等によるリスクの低減に努めています。 ⅱ.既存の自販機ビジネスへの集中・依存ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業の自販機チャネルは、従来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能でした。しかしながら、昨今のコーヒー豆をはじめとした各種原材料価格の高騰や消費者の節約志向の高まりにより、自販機チャネルにおける収益性の改善が課題となっています。来期以降もこの厳しい環境の継続が見込まれることなどから、2025年度第4四半期において、自販機等の事業関連資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとなりました。中長期的に持続可能な収益構造への転換が不可欠と考え、その実現に向けて収益体質への転換に向けたプロジェクトを遂行しています。具体的には、パーマシン(PM)向上や原価率の抑制に向けた商品ポートフォリオの最適化や不採算先自販機の政策的な引き上げなどを進めていき、利益を生み出す筋肉質な自販機網を再構築していきます。また、ダイドーグループホールディングスグループは、今後の労働力不足の時代に対応すべく、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むとともに、カーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開を進め、持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざしていきます。 ⅲ.希少疾病用医薬品事業への参入ダイドーグループホールディングスグループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月にダイドーファーマ株式会社を設立しました。2024年9月には、ダイドーファーマ株式会社の新薬第1号となるランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、2025年1月に販売を開始するなど着実に歩みを進めていますが、希少疾病用医薬品の開発には不確実性を伴うことから開発の延長や中止を行う可能性、想定通りの内容で薬事承認が下りない、または薬事承認に想定以上の時間を要する可能性、想定した薬価を下回る可能性等があります。また、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上しキャッシュ・フローはマイナスが続くことから、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマ株式会社の事業計画に対するモニタリングを強化し、また医薬品業界の経験を長く積んだ事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整え、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら事業運営を推進していきます。 上記以外にも事業活動を進めていく上において、大規模災害、法的規制、情報セキュリティの様々なリスクがダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。ダイドーグループホールディングスグループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることによりリスクマネジメントを推進しています。 (3)人口動態の変化による中長期的リスク人口減少・少子高齢化が続く国内市場を中心に、人口動態の変化がビジネスに与える影響は、今後ますます高まっていくとダイドーグループホールディングスグループでは考えています。2023年度よりシナリオ分析のフレームワークを応用し、サプライチェーン全体の中で注視すべき中長期的なリスクに対する評価並びに対応策の進捗確認を実施しました。 リスク項目事業インパクト↑:非常に大きな影響 ↗:やや大きな影響→:軽微な影響現時点で実施している対応策分類サプライチェーン考察中期(2029年度)長期(2030~2040年)生産年齢人口の減少営業・販売■国内飲料事業オペレーション人財の不足により自販機稼働台数が減少するリスク↗↑・スマート・オペレーションの推進製造・調達■医薬品関連事業適切なスキル・知識を持った専門人財の確保ができないリスク↗↑・キャリア採用の強化■食品事業製造部門における人財確保が進まないことによる需要に応じた製造ができないリスク↗↑・省人化に向けた設備の導入・更新・EDI活用による業務効率化の推進・多様な人財の確保物流■医薬品関連事業スケジュール通りに商品を配送できないリスク↑↗・新たな輸送・保管方法の検討採用■食品事業未来の事業を支える新卒採用者の確保ができないリスク↗↑・新卒採用者向けの新たな施策の実施・グループ連携での人財育成の計画 人口減少の影響は、一部の分野で売上・利益への影響を及ぼすものの、事業の縮小に繋がる可能性は限定的で事業戦略による対応が充分可能だと考えています。しかしながら人財の確保においては、中長期的に重要な影響を及ぼす可能性があることを認識しています。ダイドーグループホールディングスグループでは、これらのリスクに対応するために、人財育成や生産性の向上に向けた人財投資を強化しています。今後も継続的なリスクのモニタリングを実施するとともに、リスク低減に向けた対応策の検討を中長期的な視点で実施していきます。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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