ダイドーグループホールディングス(2590)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


ダイドーグループホールディングス(2590)の株価チャート ダイドーグループホールディングス(2590)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

ダイドーグループホールディングスグループは、ダイドーグループホールディングス及び子会社20社、持分法適用関連会社6社、非連結持分法非適用子会社1社、持分法非適用関連会社1社により構成されております。

ダイドーグループホールディングスグループの主な事業の内容は次のとおりであります。なお、次の5部門は、第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)連結財務諸表[注記事項](セグメント情報等)に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1) 国内飲料事業

ダイドードリンコ㈱及び販売会社11社が、主に、ダイドードリンコ㈱が企画開発しグループ外の飲料製造業者に容器等の資材を支給して製造委託した各種清涼飲料を、自販機とコンビニエンスストア等の店頭を通して消費者に販売しております。海洋深層水を原料に使用した清涼飲料を製造するダイドー・タケナカビバレッジ㈱にも製造委託を行っております。また、大同薬品工業㈱が製薬会社と業務提携して製造するドリンク剤(医薬部外品)を自販機で販売しております。

 

(2) 海外飲料事業

(日本)

ダイドードリンコインターナショナル㈱が、ダイドードリンコ㈱より商品を仕入れ、海外市場への輸出事業を行っております。

(中国)

上海大徳多林克商貿有限公司が、ダイドードリンコインターナショナル㈱等より商品を仕入れ、コンビニエンスストア等の店頭を通して消費者に販売しております。

(トルコ)

Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.にて清涼飲料の製造販売を行っております。また、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.の販売子会社のDyDo DRINCO TURKEY İçecek Satış ve Pazarlama A.Ş.が、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.で製造された清涼飲料等を店頭を通じてトルコ国内や海外市場の消費者へ販売しております。

(イギリス)

Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.の販売子会社であるDyDo DRINCO UK Ltdが、Della Gıda Sanayi ve Ticaret A.Ş.より商品を仕入れ、イギリス国内にて清涼飲料等を販売しております。

(ポーランド)

Wosana S.A.にて清涼飲料の製造販売を行っており、店頭を通じてポーランド国内や海外市場の消費者へ販売しております。

 

(3) 医薬品関連事業

大同薬品工業㈱が、主にグループ外の製薬会社等から受託したドリンク剤やパウチ製品等(医薬品・医薬部外品・清涼飲料水表示)の製造を行うほか、一部、ダイドーグループホールディングスグループで販売する清涼飲料を製造しております。

 

(4) 食品事業

㈱たらみが、主にフルーツゼリーの製造及び販売を行っております。

(5) 希少疾病用医薬品事業

ダイドーファーマ㈱が、ランバート・イートン筋無力症候群治療剤「ファダプス®錠10mg」の製造販売承認を取得し、日本国内で販売しております。

なお、ダイドーグループホールディングスは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

(注)上記の他、子会社が1社ありますが、重要性が乏しいため記載しておりません。

 


有価証券報告書(2024年1月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてダイドーグループホールディングスグループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

ダイドーグループホールディングスグループは、国内飲料事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、グループ一丸となって将来の持続的成長をめざすべく、2014年に「グループ理念・グループビジョン」「ブランドメッセージ」を制定しています。

「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」というグループ理念は、創業以来培ってきた「共存共栄」の精神を謳っています。お客様、従業員、取引先、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの皆様との共存共栄を図りながら、企業の成長とともに従業員が成長していくために、チャレンジする企業風土の醸成に取り組み、ダイドーグループホールディングスグループの文化である「共存共栄」の精神を未来へとつないでいきます。

 

 

また、ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業は、清涼飲料という消費者の皆様の日常生活に密着した製品を取り扱っており、セグメント売上高の約90%は地域社会に根差した自販機を通じた販売によるものです。また、自社工場を持たず、生産・物流を全国の協力業者に委託するファブレス経営により、ダイドーグループホールディングスは製品の企画・開発と自販機オペレーションに経営資源を集中し、業界有数の自販機網はダイドーグループホールディングスグループの従業員と共栄会(ダイドーグループホールディングス商品を取り扱う自販機運営業者)により管理しています。

このようなダイドーグループホールディングス独自のビジネスモデルは、ステークホルダーの皆様との信頼関係によって成り立っていることから、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」ことが会社としての責務であり、経営上の最重要課題であると認識しています。そして、その実現のために、「ダイナミックにチャレンジを続けていく」ための基盤として、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスを継続的に改善していくことが、株主共同の利益に資するものと考えています。

 

(2)経営戦略等

ダイドーグループホールディングスグループは、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。その実現のためにDyDoグループは、ダイナミックにチャレンジを続ける。」のグループ理念のもと、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」“世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするDyDoグループへ”を定めています。SDGs のめざす未来の実現に、事業を通じて貢献することが私たちのミッションであり、持続可能な社会の実現によって、私たちも持続的に成長することができるとの思いが、その背景にあります。「共存共栄」の精神は、SDGs の原則である「誰一人取り残さない」にも通じるものです。2030年に向け、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献し、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。

 

「グループミッション2030」では、グループ理念・グループビジョンのもと、2030年までに成し遂げるべきミッションを4つのテーマごとに示し、その達成に向けたロードマップを描いています。具体的には、2030年までの期間を「基盤強化・投資ステージ」「成長ステージ」「飛躍ステージ」の3つに区分し、それぞれのステージに応じた事業戦略を推進することにより、競争優位性の高いビジネスモデルを構築していきます。現在は、将来の飛躍に向けた「成長ステージ」として、2023年1月期を初年度とする5ヵ年の「中期経営計画2026」に取り組み、国内飲料事業の再成長に注力しつつ、長期視点での事業育成に取り組んでいます。

 

 

 

また、ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」実現への取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進していきます。近年、地球規模での人口の増加や、それに伴う資源・エネルギー・食料の逼迫、環境問題、高齢社会の到来や格差の拡大等、企業が直面している課題は多岐にわたっています。このような環境や社会の変化による潜在的なリスクに備えると共に、事業を通じて社会的課題の解決を図り、豊かで持続可能な社会の実現へ貢献していくことが、企業としての責務です。ダイドーグループホールディングスグループは、「中期経営計画2026」のスタートにあたり、サステナビリティの観点から、中長期的な経営課題について議論し、「グループミッション2030」の実現に向けた8つのマテリアリティを特定しました。ダイドーグループホールディングスグループのマテリアリティへの取り組みを通じて、世界中の人々が楽しく健やかに暮らせる持続可能な社会の実現に貢献し、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値向上をめざしていきます。

 

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」の経営指針として、社会価値・環境価値・経済価値の創出に向けた定性的・定量的な指標を以下の通り定めています。

 

 

 

 

 

① 経済価値創出に向けた財務KPI

ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」における事業ポートフォリオの基本方針として、「国内飲料事業のイノベーション」「海外での事業展開の拡大」「非飲料事業での第2の柱の構築」の3つを掲げています。

 

 

 

2030年のありたい姿の実現に向けて、事業の「稼ぐ力」の強化を図るべく、経済価値創出に向けた財務KPIは、資本生産性指標である「ROIC」を採用しています。「成長ステージ」と「飛躍ステージ」における目標数値をそれぞれ設定すると共に、従業員一人ひとりが資本効率を意識した取り組みを推進することができるよう、ROICツリーの活用による理解浸透を図っています。

 

② 環境価値創出に向けた非財務KPI

近年、気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっています。また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクの高まり等、グローバル社会が直面する重要課題である気候変動問題への対応は、ダイドーグループホールディングスグループの持続的成長の実現に向けた大きな経営課題であると認識しています。

サステナビリティに関する詳しい取り組みについては、「第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」」に記載の通りです。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ダイドーグループホールディングスグループは、2030年のありたい姿を示す「グループミッション2030」の実現に向けた「成長ステージ」として、2023年1月期を初年度とする5ヵ年の「中期経営計画2026」を策定しています。

「国内飲料事業の再成長」「海外事業戦略の再構築」「非飲料領域の強化・育成」の3つの基本方針のもと、「グループミッション2030」の実現に向けたマテリアリティに対応した成長戦略を推進するとともに、サステナビリティ経営の推進による組織基盤の強化を図り、社会価値・環境価値・経済価値の創出による持続的成長と中長期的な企業価値の向上をめざしていきます。

 

 

① 国内飲料事業の再成長

ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業は、創業来、「お客様の求めるものをお客様に身近なところでお届けする」独自のビジネスモデルによって発展してきました。業界有数の自販機網と、直販と共栄会によって一体的に運営する品質の高いオペレーション体制は、ダイドーグループホールディングスグループの大きな資産であり、キャッシュ・フローの源泉ともなっています。

コロナ禍を経て、消費者の行動様式は大きく変容し、自販機市場においては本格的な販売回復に至らない中、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなりました。このような状況の中、ダイドーグループホールディングスグループは、コロナ禍を契機とした社会変革をビジネスチャンスと捉え、「自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造」をマテリアリティに掲げ、持続可能な自販機ビジネスモデルの構築にチャレンジしています。足元では、アサヒ飲料株式会社との共同出資により自販機の直販チャネルを一体的に運営する新会社「ダイナミックベンディングネットワーク株式会社」を設立するなど、規模を活かした自販機オペレーションの生産性向上に努めるほか、AIをはじめとした最新のテクノロジーを活用し、スマート・オペレーション体制をより高度なものに進化させるよう取り組んでいます。

今後につきましては、国内飲料事業の2030年のありたい姿を「自販機市場において絶え間ない挑戦と共創で新しい価値を提供し、トップランナーとして業界をリードし続けます。」と定め、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むと共に、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立していきます。

※デジタル技術を活用し効率化を実現した自販機オペレーションを示すダイドーグループホールディングスの造語。

 

② 海外事業戦略の再構築

ダイドーグループホールディングスグループの海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、豊富な若年層人口を背景に高い成長ポテンシャルを有しています。足元では、引き続きトルコ国内のインフレの急加速等、同事業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いていますが、機動的な価格改定をはじめとした現地の営業施策の奏功や、トルコ国民にとって馴染みの深いローカルブランドを複数保有していることなど、中長期的な成長が期待できる事業と位置付けています。また、中国飲料事業につきましては、現地の無糖茶ニーズに応え2021年より現地製造を開始し、中国国内の無糖茶市場の拡大に貢献するなど、収益基盤の拡充を実現することができています。

 

今後につきましては、海外飲料事業の2030年のありたい姿を「世界中の人々の健康を支えるグローバルブランドを生み出します。」と定め、既存のトルコ・中国飲料事業の基盤を活かすほか、2024年2月にはポーランド共和国で清涼飲料を製造・販売しているWosana S.A.を買収しており、ポーランド市場への進出も行っていきます。これからも、海外事業戦略の再構築を進め、健康ニーズの高まりに対応したグローバルブランドの育成にチャレンジしていきます。

 

③ 非飲料領域の強化・育成

ダイドーグループホールディングスグループは、「こころとからだにおいしい商品の提供」をマテリアリティに掲げ、国内飲料事業の再成長、海外事業戦略の再構築と共に、非飲料領域の強化・育成に注力しています。

既存事業におきましては、国内飲料事業を担うダイドードリンコ株式会社が運営するサプリメント等の通信販売事業が、主力商品である「ロコモプロ」を中心に着実な成長を続けているほか、食品事業を担う株式会社たらみは、様々な食感を自在に実現する「おいしいゼリー」を作る技術力とブランド力を大きな強みとして、フルーツゼリー市場においてトップシェアを有し、ドライゼリー市場が縮小する中においても成長を続けています。また、医薬品関連事業を担う大同薬品工業株式会社では、2030年のありたい姿を「健康・美容分野での製造受託企業No.1になります。」と定め、2拠点4工場体制での効率的な生産体制の整備に注力しています。

ダイドーグループホールディングスグループの新規事業領域拡大への取り組みとして、希少疾病用医薬品事業に参入すべく設立したダイドーファーマ株式会社は、プロフェッショナル人材の採用を含め、組織体制を整備し、2021年にはライセンス契約を締結、また、2023年には厚生労働省への治療薬の承認申請を行う等、マテリアリティに掲げる「社会的意義の高い医療用医薬品の提供」に向けて、着実な歩みを進めています。

超高齢化社会・健康長寿社会が進展する中、人々の健康・予防・衛生に対する意識の高まりも相まって、今後、ヘルスケア関連市場は着実に成長していくことが想定されます。今後につきましては、お客様の健康と生活の質の向上に貢献すべく、大きな成長が期待されるヘルスケア領域の事業の強化・育成を図り、非飲料事業での第2の柱の構築にチャレンジしていきます。

 

④ 財務規律と投資戦略

ダイドーグループホールディングスグループは、自販機市場での確固たる優位性の確立に向けた取り組みが重要であるとの認識のもと、既存事業から創出される5年間のキャッシュ・フローを元手として600億円以上を、自販機関連資産への再投資に振り向けていきます。なお、この600億円には、安定配当方針のもの継続実施される株主還元も含まれています。

また、新たな事業領域への投資については、別途、内部留保などを財源に営業キャッシュ・フローの2年分を戦略投資枠として設定しており、投資判断にあたっては、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績及び財政状態等への影響に十分注意を払いながら、定性的・定量的な基準をもとに、適切な投資判断を実行していきます。

 

 

(5)経営環境についての経営者の認識

 

 

2024年1月期は、円安の進行による物価上昇や日本各地での記録的猛暑、生成AIの普及など、ダイドーグループホールディングスのビジネスを取り巻く環境が大きく変わりました。また、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して人流が回復したことも、世の中の大きな変わり目となりました。

このような中、外部環境の変化をチャンスと捉えて、各事業で適切な価格改定を実行したほか、スマート・オペレーションやDXの取り組みを推進できたことは、象徴的な成果だと考えています。また、期初には、ダイナミックベンディングネットワーク株式会社を設立し、アサヒ飲料株式会社の直販事業を担っていた3社をダイドーグループに加えたことも、ダイドーグループホールディングスにとって大きな変化でした。統合初年度は統一的なシステムの導入を完了させるなど、新組織として着実なスタートを切ることができ、自販機ビジネスの優位性確立に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。

2025年1月期にあたっては、「グループミッション2030」の実現に向けて、引き続き8つのマテリアリティに取り組んでいきますが、その中でも特に「こころとからだにおいしい商品の提供」に注力していきます。私たちが人と社会に提供する価値に磨きをかけてこそ、「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトするダイドーグループへ」が実現できるものだと考えています。また、マテリアリティの1つである「従業員のワークライフシナジーの実現/ダイバーシティの推進」について、経営戦略を達成するための人的資本経営として改めて考え方を整理し、この度、開示しました。

引き続き不安定な環境下ではありますが、グループミッション2030の実現に向けて、一歩一歩邁進し、チャレンジを続けていきます。

 

ダイドーグループホールディングス株式会社

代表取締役社長 髙松 富也

 

 

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

ダイドーグループホールディングスグループの経営成績及び財政状態などに重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下に記載している将来に関する事項は、当連結会計年度においてダイドーグループホールディングスグループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

ダイドーグループホールディングスグループでは、企業理念に基づく経営戦略達成において発生する様々な阻害要因をリスクと位置付け、「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、ダイドーグループホールディングスグループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、リスク管理の効率的かつ確実な運用を図っています。常設委員会として、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしています。「グループリスク管理委員会」は、リスク管理の方針や重要リスクの評価及び対策の承認、統制状況の効果検証・是正指導等の役割を担っています。

グループリスク管理委員会においては、リスク項目を「グループ横断のリスク」と「事業特有のリスク」に分類して整理し、評価を行っています。さらに、当連結会計年度より採用した新たなリスクマネジメントの手法として、TCFDの枠組みを活用した、人口動態の変化に伴う中長期的なリスクに対する評価を実施しました。

 

(1)グループリスク管理委員会で特に議論された重要リスク

当連結会計年度のグループリスク管理委員会においては、影響度・発生可能性の高い重要リスクを抽出し、足元の業績に影響を与えるリスクが高まっている「原材料・資材の調達」及び「生産・物流体制」について議論を行いました。また、独自で実施した人口動態の変化に伴う中長期リスク分析の結果により、グループとして「人財の確保・育成」に関するリスクについて、中長期的に対策を検討していくべきとの認識が示されました。

 

(2)経営成績等に与える影響の内容及び当該リスクへの対応策等

当連結会計年度のグループリスク管理委員会が評価した重要リスクと対応策等は、次の通りです。

 

①事業横断的なリスク

ⅰ.原材料・資材の調達

ダイドーグループホールディングスグループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されていますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様であり、直近のエネルギーコスト上昇も相俟って、原材料・資材の調達コストの高騰は、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業及び食品事業において、2022年10月より段階的に商品の価格改定を実施したほか、海外飲料事業(トルコ事業)においては、強いインフレ下にあるトルコにおいて戦略的な価格改定を継続的に実施する等、適正な限界利益率の確保による収益構造の改善に取り組んでいます。

 

ⅱ.生産・物流体制

近年、生産・物流を取り巻く経営環境は大きく変化しており、人手不足やコンプライアンスの厳格化を背景とした物流コストの大幅な上昇や、物流キャパシティーの逼迫による供給リスクが高まっています。

社会情勢の変化を背景とした物流コストの上昇リスクは、当面続くことが想定されることから、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、澁澤倉庫株式会社との合弁によるダイドー・シブサワ・グループロジスティクス株式会社を2018年6月に設立し、物流業界との連携強化による安定的な物流網の確保、「物流の2024年問題」を見据えた配送拠点の見直し等の取り組みを推進しています。

 

ⅲ.海外情勢

ロシア・ウクライナ情勢やパレスチナ・イスラエル情勢に起因した資材価格・原油価格の高騰、為替相場の急激な変動等、近年、地政学リスクをはじめとする海外情勢の変化が、日本国内での事業活動にも影響を及ぼす可能性が高まっています。また、海外における事業展開には、各国の法令・制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制とし、既存のトルコ・中国事業の基盤を活かしながら、海外事業戦略の再構築を進めていきます。

 

ⅳ.企業買収及び事業・資本提携

ダイドーグループホールディングスグループは、「グループミッション2030」に掲げた2030年のありたい姿の実現に向けて、企業買収及び事業・資本提携等の戦略的投資も事業拡大を加速するための有効な手段として、その可能性を常に検討しています。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した戦略的投資効果を得られない場合には、成長戦略の推進に遅れが生じる等、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、企業買収等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、取締役会の実効性評価を毎年1回実施、またグループとしての投資領域とその優先度について議論をする枠組みを立ち上げるなどコーポレート・ガバナンスの継続的改善に向けた取り組みを進めています。

 

ⅴ.環境問題への対応(気候変動問題)

気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっています。

また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、TCFDのフレームワークに基づいた実態の把握と対応策の検討を継続的に実施しています。気候変動リスクは中長期的に顕在化する可能性を有することから「グループリスク管理委員会」と「グループサステナビリティ委員会」の両委員会を連動させながらマネジメントを行っています。

 

②事業特有のリスク

ⅰ.トルコ国内のハイパーインフレに関連するリスク

海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、主力ブランドであるミネラルウォーター「Saka(サカ)」は、消費者の健康志向を背景に着実に成長を続けており、中長期的にも成長が期待されています。一方、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを示したため、ダイドーグループホールディングスグループは、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断しました。このため、ダイドーグループホールディングスグループは、トルコの子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件およびトルコ現地会計基準に従い、会計上の調整を加えています。今後、トルコにおけるインフレがさらに深刻化した場合、会計上の調整が多額にのぼり、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、商標権を含む固定資産の修正再表示額は、通常の固定資産と同様に減損の要否を検討し、その修正再表示額が回収可能価額を超過する場合は回収可能価額まで減損する必要がある等、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクに対応するため、持株会社の財務部による、収益管理、キャッシュ・コンバージョンサイクルに関する管理体制を強化・拡充するとともに、トルコ現地子会社においては、継続的な価格改定の実施による適正な限界利益率の確保や、トルコからの輸出取引の拡大等によるリスクの低減に努めています。

 

ⅱ.既存の自販機ビジネスへの集中・依存

ダイドーグループホールディングスグループのコアビジネスである国内飲料事業の自販機チャネルは、従来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能でしたが、近年、自販機オペレーションを担う人手不足の問題等による自販機市場全体の総台数の減少傾向や原材料・資材の高騰による収益性の低下が課題となっています。ダイドーグループホールディングスグループの既存の自販機ビジネスが、これらの環境変化に対応できなかった場合、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に重要な影響を及ぼす能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、「自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造」をマテリアリティに掲げ、市場の変化に柔軟に対応できる持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざしています。

ダイドーグループホールディングスグループは、今後の労働力不足の時代に対応すべく、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むとともに、カーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開を進めています。今後とも、自販機の設置先との協働も含め、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立していきます。

 

ⅲ.希少疾病用医薬品事業への参入

ダイドーグループホールディングスグループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月に、ダイドーファーマ株式会社を設立しました。2023年12月には、ダイドーファーマ株式会社として初めての治療薬の承認申請を行うなど、着実に歩みを進めていますが、希少疾病用医薬品の開発には不確実性を伴うことから、開発の延長や中止を行う可能性、想定通りの内容で薬事承認が下りない、または薬事承認に想定以上の時間を要する可能性、想定した薬価を下回る可能性等があります。また、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、キャッシュ・フローはマイナスが続くことから、ダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマ株式会社の事業計画に対するモニタリングを強化し、また医薬品業界の経験を長く積んだ、事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整え、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら、事業運営を推進していきます。

 

上記以外にも事業活動を進めていく上において、経済情勢の変化、法規制、情報セキュリティの様々なリスクがダイドーグループホールディングスグループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

ダイドーグループホールディングスグループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることにより、リスクマネジメントを推進しています。

 

(3)人口動態の変化による中長期的リスク

 人口減少・少子高齢化が続く国内市場を中心に、人口動態の変化がビジネスに与える影響は、今後ますます高まっていくとダイドーグループホールディングスグループでは考えています。当連結会計年度より、シナリオ分析のフレームワークを応用し、サプライチェーン全体の中で注視すべき中長期的なリスクに対する評価を実施しました。

 

リスク項目

事業インパクト

↑:非常に大きな影響

 ↗:やや大きな影響

→:軽微な影響

現時点で実施している対応策

分類

サプライ

チェーン

考察

中期(2026年)

長期

(2030年)

生産年齢

人口の減少

営業・
販売

■国内飲料事業
オペレーション人財の不足により自販機稼働台数が減少するリスク

・スマート・オペレーションの推進

製造・
調達

■医薬品関連事業

適切なスキル・知識を持った専門人財の確保ができないリスク

・キャリア採用の強化

■食品事業

製造部門における人財確保が進まないことによる需要に応じた製造ができないリスク

・省人化に向けた設備の導入・更新

・多様な人財の確保

採用

■医薬品関連事業、食品事業

未来の事業を支える新卒採用者の確保ができないリスク

・新卒採用者向けの新たな施策の実施

・グループ連携での人財育成の計画

 

人口減少の影響は、一部の分野で売上・利益への影響を及ぼすものの、事業の縮小に繋がる可能性は限定的で事業戦略による対応が充分可能だと考えています。しかしながら人財の確保においては、中長期的に重要な影響を及ぼす可能性があることを認識しています。

ダイドーグループホールディングスグループでは、これらのリスクに対応するために、人財育成や生産性の向上に向けた人財投資を強化しています。今後も継続的なリスクのモニタリングを実施するとともに、リスク低減に向けた対応策の検討を中長期的な視点で実施していきます。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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