伊藤園(2593)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】伊藤園の企業集団は、伊藤園、子会社37社、関連会社7社により構成されており、茶葉(リーフ)、飲料(ドリンク)の製造販売を主たる事業とし、飲食関連事業ならびにその他の関連事業も行っております。伊藤園グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、以下のとおりであります。なお、以下の事業区分は、「セグメント情報」における事業区分と同一であります。 <リーフ・ドリンク関連事業>伊藤園は茶葉(リーフ)製品を仕入製造し、緑茶、麦茶、ウーロン茶等を中心に全国に販売を行っております。ただし、沖縄地区・北海道地区におきましては、それぞれ㈱沖縄伊藤園・㈱北海道伊藤園が伊藤園製品を仕入れて販売を行っております。また、伊藤園ティーファクトリー㈱は緑茶、麦茶等を製造加工し、その大部分を伊藤園が仕入れております。伊藤園は飲料(ドリンク)製品を企画・開発しており、生産につきましては伊藤園グループ外のメーカーに製造委託した後、完成品として仕入れ、全国に販売を行っております。ネオス㈱は、伊藤園製品を仕入れて自動販売機を通じた飲料の販売を行っております。また、伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ㈱は、製品を仕入れて伊藤園へ販売を行っております。チチヤス㈱は、乳類の処理加工販売、発酵乳等の製造販売を行っております。なお、国内のリーフ・ドリンク関連事業における伊藤園の物流業務は、主に㈱伊藤園ロジテムに委託しております。海外におきましては、ITO EN(Hawaii)LLCが製品を製造し、米国ハワイ州を中心に販売を行っております。ITO EN(North America)INC.は伊藤園製品を仕入れ、米国を中心に販売を行っております。Distant Lands Trading Co.は米国を中心にコーヒー豆の栽培から販売までを行っております。伊藤園はDistant Lands Trading Co.より原料等の一部を仕入れております。福建新烏龍飲料有限公司は、製品を製造し、中国・香港を中心に販売しており、伊藤園飲料(上海)有限公司は、福建新烏龍飲料有限公司より製品を仕入れ、中国国内で販売を行っております。ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITEDは、現地で茶葉を栽培し、製造したティーバッグ製品等に加え、伊藤園から仕入れた製品をオーストラリア中心に販売を行っております。ITO EN Asia Pacific Holdings Pte. Ltd.は、伊藤園製品を仕入れ、東南アジアを中心に販売を行っております。 <飲食関連事業>タリーズコーヒージャパン㈱は、国内でスペシャルティコーヒーの飲食店を経営・フランチャイズ展開しております。なお、Distant Lands Trading Co.より原料等の一部を仕入れております。 <その他>Mason Distributors,Inc.は、米国でサプリメントの製造及び販売を行っております。事業の系統図は次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年4月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 伊藤園グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年7月21日)現在において伊藤園グループが判断したものです。 (1)伊藤園グループの経営の基本方針 伊藤園グループは創業以来、「お客様第一主義」の経営理念に基づき、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」の製品開発コンセプトに基づき、お客様にお喜びいただける製品の開発と、お客様に密着したサービスに努めてまいりました。 伊藤園グループの考える「お客様」とは、「消費者の皆様・株主の皆様・販売先の皆様・仕入先の皆様・金融機関の皆様・地域社会の皆様」であり、単に消費者の皆様にとどまらず、伊藤園グループと関わりを持たれるすべての方々を「お客様」と定義しております。 全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」の精神を持ち、「お客様」にお喜びいただける最良のサービスをご提供することが、最良の経営につながるものと確信しております。 今後も、伊藤園グループは「お客様第一主義」の経営理念に基づき、継続的に企業価値を高め、より一層株主価値を向上させる経営に努めてまいります。 (2)伊藤園グループの中期的な経営戦略 伊藤園グループは、2029年4月期までを対象とする「伊藤園グループ 中期経営計画」(以下、中期経営計画)を2024年6月に策定しております。 中期経営計画では、お客様の健康で豊かな生活と持続可能な社会を実現するため、2041年4月期の将来像の実現に向けて、より迅速な事業展開を推進してまいります。特に、「5つの重点戦略」のうち、「お~いお茶のグローバル化」「国内既存事業の盤石化」「新たな事業の創出」については、成長分野へ経営資源を集中し、環境変化に適応した事業体制への変革を図り、持続的な成長と収益性の向上を目指しております。また、「経営基盤の強化」及び「サステナビリティ経営の推進」については、事業戦略の実現に必要な経営基盤の強化と、サステナビリティと経営を統合することで、持続的な成長と持続可能な社会の実現の両立を図ってまいります。 中期経営計画 5つの重点戦略 (3)伊藤園グループの対処すべき課題 伊藤園グループは今後、法令及び社会的規範の遵守、製品の安全性並びに品質管理体制等、企業の社会的責任に消費者の厳しい目が向けられる中、経営理念であります「お客様第一主義」を徹底し、企業価値を高め、一層の株主価値を向上させるために、以下の項目を中心に取り組んでまいります。 ①ブランドの確立1.製品開発 伊藤園は、「自然・健康・安全・良いデザイン・おいしい」を製品開発コンセプトに、全社員が「STILL NOW(今でもなお、お客様は何を不満に思っているか)」を考え、伊藤園独自の提案制度であるVoice制度(お客様のご不満やご要望を製品開発に取入れる提案制度)を活用し、積極的に新製品の開発及び既存製品の改良を行っております。今後もVoice制度を積極的に活用し、お客様のニーズに即した製品開発・改良に努めてまいります。 2.研究開発 伊藤園の研究開発は、特に「健康・安全・おいしい」、及び持続可能な社会への貢献として環境に重点を置き、基礎・応用研究を進めております。伊藤園が提供する製品が、人々の健康維持に有用であることを、様々な試験を通じて検証し、常に最新情報を発信し続けます。さらに健康価値を表示できる特定保健用食品や機能性表示食品の開発にも力を注いでまいります。また、飲料のおいしさに関与する成分研究や物性に関する研究を進め、より優れた製品開発に向けた技術提案を行ってまいります。環境については、「お~いお茶(Oi Ocha)」などの飲料製造工程で発生する茶殻を、肥料や飼料への再利用のほか、新たなアップサイクル製品へと生まれ変わる「茶殻リサイクルシステム」を推進しております。 3.ブランド強化政策 「伊藤園(ITO EN)」という「総称ブランド」を軸に、「お~いお茶(Oi Ocha)」「健康ミネラルむぎ茶」「TULLY'S COFFEE」「1日分の野菜」などの個別ブランドの強化を図ってまいります。 特に主力製品であります「お~いお茶(Oi Ocha)」につきましては、1985年の発売から続いている原料と製法にこだわり、自然のままのおいしさを引き出し、お客様へご提供してまいります。また、緑茶飲料が様々な飲用シーンでお楽しみいただけるよう、容量、容器バリエーションの充実を図るとともに、緑茶飲料を初めて発売した伊藤園ならではの技術力で、季節に合わせた製品や「濃い茶・ほうじ茶・玄米茶・抹茶」など、茶葉の特徴を取入れ、飲用価値を訴求した製品を発売し、より一層のブランド強化に努めてまいります。 ②営業基盤の強化1.ルートセールス ルートセールスとは、「製品、サービスをお客様へ直接ご提供する販売システム」のことであります。伊藤園はこのシステムを採用することにより、伊藤園とお客様をダイレクトに結びつけ、地域に密着した営業活動を展開しております。 また、機能性・携帯性に優れたルートセールス担当営業員用のポータブル端末を活用することで、お客様に効率的かつ的確なサービスをご提供できるよう努めております。 2.お客様へのサービスの強化 これまでもルートセールスにより、お客様へのサービスに努めてまいりましたが、確固たる営業基盤を築くため、新しいお客様の開拓に努めるとともに、既存のお客様への訪問の強化を行っております。また、お客様のご不満を聞き、お客様にご満足していただける製品開発や魅力的な売り場づくりなど、総合的なご提案をルートセールスにより行っております。 ③総コストの削減1.委託生産方式 飲料製品におきましては、「ファブレス(fabless 自社工場を持たない)」方式により、設備投資リスクの軽減を図り、市場環境の変化に迅速に対応できる体制にしております。 また、全国を5つの地域に分けて生産管理を行う5ブロック生産体制を敷くことにより、迅速な製品供給を行うとともに、物流の効率化も可能となっております。2.原材料調達力の強化 伊藤園は緑茶のトップメーカーとして、国内荒茶生産量の約4分の1を取扱い、生産者との長期的な信頼関係の構築を通じて、高品質原料の安定確保を実現する優れた調達力を有しております。さらに、独自に蓄積した技術的ノウハウと高水準の製造技術により、高品質の飲料用原料を自社製造で調達可能な体制を整えております。しかしながら国内における緑茶の調達環境は、就農者の高齢化と後継者不足により、就農人口及び茶園面積の減少が進んでおります。さらに近年の世界的な抹茶の需要拡大により、煎茶からてん茶への生産シフトや天候不順による収量減少、堅調なドリンク需要が重なり需給バランスが乱れたことで茶価が急激に高騰しております。こうした外部環境の変化に対応し、今後も需要増加が見込まれる緑茶飲料用原料や抹茶の原料であるてん茶などを、需要に即して安定調達することを目指しております。 これらの課題に対する取り組みの一環として、伊藤園は1976年より茶産地育成事業を行っております。各地の茶農家から茶葉を全量買い取りする“契約栽培”と、荒廃農地などを大規模な茶園に造成して茶葉を生産する“新産地事業”で茶産地をサポートしております。 新産地事業では、九州5県(大分県、宮崎県、鹿児島県、佐賀県、長崎県)に加え静岡県及び埼玉県において、苗木の選定から茶園づくり、茶園の機械化やIT化による低コスト栽培管理、さらに荒茶加工ノウハウまでを伊藤園から農家に提供しております。これにより、生産性と環境保全を両立した茶園経営を推進し、より高品質な原料茶の安定調達を目指すとともに、荒廃農地の活用や生産農家の後継者育成、雇用創出など、茶業界及び地域の活性化にも寄与しております。 コーヒー豆の調達については、国内外の伊藤園グループ会社間で連携し、世界各地の産地やサプライヤーと協力することで安定的な原料調達を推進しております。また、「1日分の野菜」等の主要原料である人参については、50品種の中から厳選した栄養価・風味・生産効率に優れた伊藤園専用の品種を使用しております。在来品種についても、計画的に品種の見直しを行い継続的に評価しております。 原料の調達においては、供給エリア、生産時期、地政学リスク、輸送ルートなどを総合的に考慮し、供給先の分散化を推進しており、主要原料については、複数の供給元から購買することを徹底することで、安定供給体制を構築しております。 ④海外事業の強化 連結子会社であるITO EN (North America) INC. が米国における緑茶市場の創造と開拓を進めるため、全米のナチュラルフードマーケットや、ナショナルチェーン店等に対し営業活動を行い、日本茶を米国に普及させると同時に、「伊藤園(ITO EN)」及び「お~いお茶(Oi Ocha)」ブランドの確立を図っております。「ITOEN MATCHA GREEN TEA」につきましては、これまで米国市場には無かった高品質のティーバッグ製品や抹茶製品として、また「お~いお茶(Oi Ocha)」につきましては、日本と同様にティーバッグからインスタント、抹茶、飲料製品に至るフルラインアップによって、米国での日本茶市場の拡大に大きく貢献しており、今後も強化してまいります。中国、東南アジア、豪州、欧州などにつきましても、引き続き販売強化を進めてまいります。また、近年、世界的に需要が急拡大している抹茶に関しましては、国内外の調達・生産・加工体制を強化するとともに、全世界への供給網を整備しており、抹茶事業を新たな事業として捉え、取り組んでおります。 ⑤サステナビリティ経営の推進 詳細は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】伊藤園グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年4月30日)現在において伊藤園グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。 ①政治・経済・社会動向に起因するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループは国内外において事業を展開しております。そのため、景気や為替相場の変動、米国の動向をはじめとする特定国の政策の変更、国際秩序の変化や紛争の発生(中東情勢など)による政治・経済・社会動向の変動、及びこれらに影響を受ける個人消費の変動やサプライチェーンの不安定化は、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、地政学リスクに起因した国際情勢の不安定化に伴い、世界経済の混乱や原材料・燃料・輸送等のコスト上昇が想定以上に長期化・深刻化した場合、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループを取り巻く外部環境変化に起因するリスクに関しては、長期経営計画委員会を中心として、各本部・部署及び各委員会が連携して管理し、影響を最小限に抑えるための体制整備に取り組んでおります。 サプライチェーンについては、製造委託先や物流業者の分散、現地生産の検討、及び代替対応策の策定を進めております。 ②食品・飲料市場動向に起因するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 当連結会計年度の販売数量のうち、伊藤園の飲料製品全体に占める「日本茶飲料」の割合は63%と、高い水準にあります。 伊藤園グループでは、今後も緑茶飲料市場の拡大とともに「お~いお茶」ブランドを中心に成長するものと予測し、海外市場の拡大を重要な成長機会と位置づけ、経営資源を集中させてまいります。 ただし、物価高騰を背景に食品業界の価格改定が続く中、お客様はより商品の付加価値やブランド価値を求める傾向にあります。また、デジタルマーケティングやD2C市場など購買チャネルの拡大に伴い、ニーズの多様化(パーソナル化)も進んでおります。 このような環境下、伊藤園グループは多様なニーズに沿った製品の提供やルートセールスを通じたサービスの充実に努めております。 今後も市場動向を的確に予測し、競争優位性を確保する施策を展開してまいりますが、これらが市場環境の変化に十分対応できなかった場合、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループを取り巻く環境変化に起因するリスクに関しては、長期経営計画委員会を中心として、各本部・部署及び各委員会が連携して管理し、影響を最小限に抑える体制を整備しております。また、市場調査・分析体制の強化に加え、健康に関する研究や成果の発信、嗜好軸の変化に応じた製品の開発、オープンイノベーション推進に向けた社内外のコラボレーション強化、D2C事業及びECチームの強化など、新しい価値の提供を目指す対応策の策定を進めております。今後も、お客様との接点を強化し、多様な販売チャネルでブランド価値向上に取り組んでまいります。 ③原材料調達に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループの主要事業は、茶系飲料を中心とする飲料製品の販売でありますが、就農人口の減少や茶園面積の減少による茶生産量の減少に加え、飲料用茶葉の需要増大により必要量が確保できない場合、需給関係が悪化する可能性があります。また、緑茶原料や輸入原料(穀物・野菜等)の高騰、PET容器原料の石油価格高騰、為替影響による調達コスト上昇は、製造原価を押し上げる要因となります。 さらに、プラスチック製品に対する国際的な規制強化に伴いプラスチック税の支払いによるコスト上昇や、プラスチック使用製品の取扱停止や取引停止等が発生するリスクもあります。 伊藤園グループがこれらの市場環境の変化に対応できなかった場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 「伊藤園グループ調達方針」を定め、顧客に安全・安心な製品を持続的に提供するため、サプライチェーンの取引先とともに、社会・環境課題にも配慮した良識ある公正な調達活動を推進しております。茶葉原料調達に関しては、人手に依存しない生産方法の確立や、茶産地育成事業の取り組みを通じ、伊藤園の主要事業推進に欠かせない茶葉の安定供給に努めております。併せて、商品設計や使用資材の見直し、資材費高騰・プラスチック使用製品への規制強化に対する対応策の策定を進めております。 ④生産・物流体制に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループでは、グループ内工場で茶葉製品の大部分と、飲料製品の原料製造を行っております。また、飲料製品の大部分と茶葉製品の一部は、グループ外の委託工場で製造しております。また伊藤園グループでは、全国を5ブロックに分けた効率的な生産・物流体制を構築しております。 安心・安全な製品を持続的に提供するため、生産・物流体制の整備に努めておりますが、天災や2024年問題の深刻化等による生産・物流への影響を完全に排除できる保証はなく、不測の事態が発生した場合には、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 グループ内工場におきましては、生産設備が突発的に停止することがないよう、定期的に設備点検等を実施しております。また、委託工場につきましては、不測の事態が発生した場合に備えて、全国各地に複数の委託工場を確保しております。加えて、製品を安定的に提供するため、全国を5ブロックに分けた生産・物流体制の構築や、他業種との協業検討による物流総量の確保等により、効率的な生産・物流体制の整備に努めております。 今後も、社会・環境に配慮した持続可能な生産・物流体制の実現に向けた取り組みを推進してまいります。 ⑤広告宣伝・営業販売に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループでは、国内・海外に向けたデジタルメディア経由を含む広告宣伝活動、ルートセールスや通信販売等の営業活動及び販売促進活動等を通じて、「健康創造企業」としてのマーケティングコミュニケーションを行っております。こうした活動及び製品表示においては、世界標準に即し、科学的根拠に基づいた誰もがわかりやすい表現で伝えることに努めております。 ただし、消費者動向の変化、関連法案の改定等により、広告宣伝・営業販売に対するニーズや期待、要請に合致した広告宣伝・営業販売活動を展開できない場合、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ICC(国際商業会議所)制定の基準を踏まえ「伊藤園グループ責任あるマーケティングに関する方針」を定め、責任あるマーケティングコミュニケーションの展開や、適正でわかりやすく、誤解を招かない製品表示の徹底を推進しております。また、広告宣伝・販売促進活動の展開前・展開後において、その適正性の確認やモニタリングを徹底しております。 ⑥食品の安全性・衛生管理、品質管理に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループは、食品の安全性・衛生管理、品質管理を経営上の最重要課題と認識しており、原料の調達から製品の提供まで、徹底した品質管理とトレーサビリティを確保しております。 しかしながら、こうした厳重な品質管理に向けた取り組みにもかかわらず、異物混入及びアレルゲン表示が不適切な製品の流通、原材料由来による禁止添加物の使用及び残留農薬問題(連鎖的風評被害を受ける場合を含む)、食中毒等の衛生問題が発生した場合、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業界、社会全体に及ぶ品質問題等、伊藤園グループの取り組みを超える事態が発生した場合も、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 「伊藤園グループ品質方針」を設定、これを遵守し食品の安全性・衛生管理、品質管理を確実にするため、伊藤園に品質管理部及び品質保証部を設置しております。両部では自主基準を設け、製品の安全性について品質検査を行うとともに原材料に由来する異物混入及び禁止添加物等の使用を防止するための確認、トレーサビリティシステム(原材料、加工、流通など製品履歴の遡及、追跡)の維持管理、外部委託工場への品質管理指導と監査を実施しております。また、定期的に開催する品質会議において、伊藤園グループ製造担当者、外部委託工場担当者に監査結果とさまざまな品質情報をフィードバックしております。これらの活動によりサプライチェーン全体の食品の安全性・衛生管理、品質管理に対する意識向上と一層の体制強化、リスクの極小化を図っております。 伊藤園グループが国内で展開する直営店事業につきましては、食品衛生法の規制対象となっているものがあります。これらの事業につきましては、法令の遵守に加え、出店先の衛生基準及び伊藤園マニュアルに基づいた衛生管理を徹底しております。 また、「製品リスク対策委員会」を常設し、お客様相談室を中心に、万が一品質事故・問題が発生した場合の対応フロー策定・対応シミュレーションの実施を推進しております。 ⑦気候変動・自然災害・事故等に起因するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 地球温暖化に伴う気候変動は、集中豪雨などの異常気象による洪水・土砂災害、酷暑や熱波による干ばつ、水資源の変化、感染症等、世界各地で様々な被害をもたらしております。伊藤園グループの主力製品の原料は、茶、大麦、コーヒー、野菜、果実等の農産物であるため、国内外における生産地での気候変動の影響による不作が生じた場合、原料調達価格の上昇及び必要量の不足に伴う販売機会損失などが想定されます。 気候変動による悪影響、感染症の拡大、及び地震などの自然災害が想定範囲を超えた場合、本社機能や生産、物流体制に支障をきたすことが想定され、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 併せて、伊藤園の事業活動が環境に十分に配慮していないと判断された場合、消費者の信頼やブランド価値の低下等の影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループでは、リスクマネジメント委員会(委員長:代表取締役社長)において、気候変動リスクを重要リスクの1つとして認識し、全社的なリスクマネジメント体制に統合して管理をしております。気候変動を含む環境上のリスクに関しては、TCFD提言に基づく気候変動シナリオ分析における定期的なリスクの把握と共に、環境マネジメントシステムの管理手法により環境リスクへの対応を全社的な環境問題として取り組んでおります。 具体的には、気候変動による原料の不作リスクに関して原料となる農作物の産地分散、気候変動に強い農作物の開発、気候変動に強くなる肥料や栽培方法の活用等に取り組んでおり、今後も継続的に気候変動が事業に及ぼす影響を把握し、適切に対応できる体制を整備してまいります。また、環境負荷低減のため、温室効果ガス排出量の削減だけでなく持続可能な水資源の利用、廃棄物削減、資源循環、生物多様性などについても、「伊藤園グループ環境方針」のもと、伊藤園グループ中長期環境目標を定め、様々な課題に取り組んでおります。また、災害対策委員会において、災害や感染症拡大等の危機的事項の発生に備え、対応の周知徹底やBCP(事業継続計画)の見直しを図り、生産工場・配送方法の分散化に取り組んでおります。また、危機的事項の発生時には、代表取締役社長を本部長とする対策本部を設置して、迅速な対応を行い被害の拡大を防止し、最小限に止める体制を整えております。 具体的な気候変動への対応については合わせて「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動への対応」をご参照ください。 ⑧海外事業に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループでは、国内のみならず、北米、中国、東南アジア、豪州、欧州を中心に海外の事業を展開しております。また、2026年にインドに本格進出し、「お~いお茶」飲料製品の生産販売を拡充しております。 一方で、企業活動のグローバル化に伴い、海外事業の重要性がますます増大しておりますが、予測し得ない国家間対立の悪化、戦争・紛争の勃発、テロ破壊活動、政治不安、保護主義的政策、各国における競争環境の激化、各国の法規制の変更等の政治的、経済的、法的な要因による重要な変化が発生する場合があります。 これらの重要な変化があった場合、不買運動や関税の引き上げ、当該国における生産・供給活動の停止等により、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、欧州をはじめとする海外諸国では、環境・人権デューデリジェンスの法制化が進められております。そのため、伊藤園グループが海外事業を展開するにあたって、サプライチェーンも含めた適切なアセスメントやリスクマネジメント体制を整備できず、環境・人権関連等の問題が生じた場合、当該国における法的措置や罰金やブランド価値の低下を招き、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 海外事業活動において発生しうるリスクに関しては、長期ビジョンである「世界のティーカンパニー」の実現及びその通過地点である「お~いお茶」のグローバルブランド化に向け、対応をより一層強化するべく、国際本部を中心として管理体制整備に取り組んでおります。海外事業におけるリスクは多岐にわたりますが、販売国・地域の拡大、生産拠点の増加や事業撤退基準の設定、各国の法規制の変更等に向けた現地での法令確認体制の整備など、リスクが顕在化した際の影響を低減するための適切な対策の検討を進めております。 ⑨法規制・コンプライアンスに関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループでは、事業の遂行に当たって、食品衛生法、製造物責任法(PL法)、表示関連法規制、労働関連法規制、競争関連法規制、個人情報保護規制、環境関連法規制等、様々な法的規制の適用を受けております。 伊藤園グループがこれらの法令に違反した場合や、その他社会的要請に反した行動をとった場合には、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁などを受けたり、お客様からの信用が失われる可能性があります。 今後、新法の制定、法改正、法令の解釈変更にて法的規制を遵守することが著しく困難になった場合や、気候変動対策等の規制強化によりコスト負担が増えた場合には、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、伊藤園グループでは、グループ全体のリスクを統合的かつ戦略的に管理し、グループガバナンスの実効性を高めております。しかし、新規グループ会社設立及び統合等に伴い、対応すべき法規制等が増加し、管理すべきリスクの範囲や粒度が変化する可能性があります。こうしたグループガバナンスに関連するリスク対応拡充により、伊藤園グループにおける他の取り組みの進捗が遅延した場合にも、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループ行動規範により、コンプライアンスの徹底を図るため、法務部を中心として全社的なコンプライアンス教育を実施し推進しております。また、伊藤園グループでは、業務の適正性や効率性を確保するため、内部統制推進委員会を中心に、内部統制の推進に取り組んでおり、内部監査の強化を進めております。また、グループ経営推進部を中心に、各グループ会社のリスクマネジメント活動の推進支援を行い、グループ会社における遵守・徹底すべき法規制やコンプライアンスの動向の分析及びそれらに関連するリスク概況の管理等、グループガバナンスの実効性向上を図る取り組みを進めてまいります。 人権の尊重については、伊藤園グループ経営理念「お客様第一主義」の根幹をなすものであり、全ての事業活動の根幹となるものとして捉えております。人権に関する専門知識・実務経験を有する外部有識者の助言を踏まえて「伊藤園グループ人権方針」を策定し、人権リスクの特定、予防、是正、救済に取り組む仕組みである人権デューデリジェンスを構築し、実施をしております。具体的な取り組みについては伊藤園ホームページ「人権尊重の取組み」をご参照ください。 ⑩情報セキュリティに関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループは、生産・販売活動をはじめとする各種事業活動を効率的に行うために情報システムを利用しております。しかしながら、伊藤園及びグループ会社を対象とするサイバー攻撃が高度化・多様化しており、ランサムウェア攻撃や標的型攻撃、サプライチェーンを起点とした攻撃等により、情報システムに障害が発生した場合には、各種業務の中断・停止や金銭的被害の発生、社会的信用の低下等が発生する可能性があります。 また、伊藤園グループは、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、相当数のお客様情報を保有しているほか、「新俳句大賞」等の活動を通じて潜在的なお客様情報も保有しております。これらの個人情報については、伊藤園グループにて管理するとともに、一部はグループ外の委託先にて管理をしておりますが、停電・災害、ソフトウェアや機器の欠陥、ウイルスの感染、不正アクセス、クラウドサービス利用に伴う設定不備等の予期せぬ事態により、情報の消失、漏洩、改ざん等が起きた場合には、伊藤園グループの信用低下を招き、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループでは、昨今のサイバー攻撃の高度化・多様化を受けて、各種業務を安全に効率的かつ正確に行うための適切な情報セキュリティ対策を実施しております。伊藤園及びグループ会社を標的としたサイバー攻撃対策として、不正アクセスやマルウェアの自動感知・削除、駆除できない場合においてはアラートを発報し、検知した脅威に対しては迅速に対応するインシデント対応体制を構築しております。また、DXセキュリティ推進部を中心に外部専門機関と連携し、継続的な監視及び対応を実施してまいります。 また、個人情報を含めた重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。情報保護に関しては、伊藤園グループにおける個人情報保護方針を定めており、個人情報の安全管理の徹底と漏洩を未然に防止するとともに、情報管理に関する規程の遵守意識の維持及び向上を目的として、適切な情報保護対策の推進に取り組んでおります。また、業務上の情報管理に関しては、社内での個人情報保有状況や社内ルールの把握を実施することで、情報保護対策の強化に努めております。 ⑪人的資本に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループでは、経営環境の変化を踏まえたうえで持続的な成長のため、人的資本は伊藤園の経営基盤の要となっております。しかしながら、昨今の人材獲得競争の激化、DXの加速や企業活動のグローバル化による人材需要の増加や必要スキルの変化・高度化等により、必要な経営幹部及び一般社員の確保、維持、育成が困難な事態に陥った場合、事業活動の停滞や経営戦略の実行に影響を与え、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 伊藤園グループでは、「伊藤園グループ人材方針」を定め、最も大切な財産は「人」であると捉えております。 経営戦略の実行に必要な人材の確保、育成に関しては、多様な人材が柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、社員全員がいきいきと働くことができるようにすることで、会社全体の活性化と社員の生産性の向上を目指しております。また、伊藤園独自の自己啓発やキャリア支援制度を設け、戦略的な人材育成計画を行い、経営戦略と人財戦略を連動させた人材マネジメント施策を実行しております。 具体的な人的資本への対応については合わせて「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本」をご参照ください。 ⑫財務・税務に関するリスクリスク概況リスク管理体制・対応策 伊藤園グループは、事業用の不動産やのれんをはじめとする様々な固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待しているキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により減損会計の適用を受ける可能性があります。また、企業活動のグローバル化に伴い、海外事業を展開している各国の税制の適用を受けており、今後、予期し得ない税制改正や当局からの更正処分を受ける可能性があります。 これらの重要な事象が発生し、減損損失が発生した場合、伊藤園グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 財産保全上のリスクに関しては、債権管理基準に基づく与信管理及び債権回収管理の徹底並びに棚卸資産の適切な管理により、貸倒損失や不良在庫の発生防止に努めております。また、のれん、事業用不動産、その他の固定資産及び保有有価証券等については、定期的なモニタリング及び収益性の検証を実施し、減損の兆候を早期に把握することで、資産価値の毀損リスクの低減を図っております。 税務上のリスクに関しましては、「伊藤園グループ税務方針」に基づき、適正な申告・納税体制を整備するとともに、国内外の税制改正動向の把握及び外部専門家との連携を通じて、税務リスクの低減に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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