当連結会計年度末において日本調剤グループは、日本調剤及び日本調剤の子会社10社により構成されており、調剤薬局事業、医薬品製造販売事業、医療従事者派遣・紹介事業を主たる事業としております。
<調剤薬局事業>
日本調剤株式会社及び連結子会社6社は、調剤薬局事業を展開しております。大型総合病院の門前に位置する「門前薬局」、及び面対応薬局とメディカルセンター(医療モール)型の薬局を展開する「ハイブリッド型薬局」を全都道府県に出店しております。また、同事業のなかで医療業界全般に関する研究調査、製薬企業・医療機関等に対する情報提供・コンサルティング事業を連結子会社である株式会社日本医薬総合研究所にて運営しております。
<医薬品製造販売事業>
連結子会社である日本ジェネリック株式会社と長生堂製薬株式会社によりジェネリック医薬品の開発・製造・販売を行っています。2018年3月には最新の製造設備を備えた「つくば第二工場」が完成、また2021年11月には長生堂製薬株式会社を日本ジェネリック株式会社の完全子会社とし、新たな体制のもと品質管理の徹底と生産能力の拡大を推し進めております。
<医療従事者派遣・紹介事業>
連結子会社である株式会社メディカルリソースにより、薬剤師を中心に医師・看護師などを含めた医療従事者を対象とした派遣・紹介事業を全国展開しております。2017年度からは医師の紹介事業への取組みを本格化、2020年11月には産業医業務提供事業を開始しており、企業経営において重要性を増す健康経営の要請に応えるヘルスケア領域での事業拡大を推進していきます。
当連結会計年度末における、日本調剤グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において日本調剤グループが判断したものであります。
日本調剤グループは、日本調剤グループ理念である「私たちの使命」として、「すべての人の『生きる』に向き合う」を掲げております。また、「グループの目指す姿2030」として、「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループへ」を公表しています。このグループ理念のもと、日本調剤グループは、生活の一番近くで医療を担う者として、一人ひとりの「生きる」に真摯に向き合い、全国で質の高い医療サービスを国民の皆さまに提供してまいります。
2018年4月27日付にて、以下のとおり「日本調剤グループ 2030年に向けた長期ビジョン」を策定しております。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を境界線として医療・医薬品業界は大きな変化を迎えることとなります。“医療費の増加抑制”と“良質な医療サービスの提供”を同時に実現するために、さまざまな制度改革が進められ、業界経営者も柔軟かつ大胆な発想の転換が求められます。
調剤薬局業界では、2015年10月に厚生労働省より「患者のための薬局ビジョン」が公表され、薬剤師・薬局の将来像=必要とされる薬剤師像・薬局像が具体的かつ明確に示されました。同時に2025年までにすべての調剤薬局をかかりつけ薬剤師・薬局に再編するとの構想が打ち出され、それ以降の5回の調剤報酬改定では、同ビジョン・同構想の実現に向けた調剤報酬基準の改定(物から人への転換)が進められています。2019年11月には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(改正薬機法)が可決・成立し(2019年12月4日公布)、機能別薬局の認定制度が開始されました。加えて、毎年薬価改定などの薬価制度の抜本的な改革、オンライン服薬指導及びリフィル処方箋の開始、電子処方箋の導入など制度改革が矢継ぎ早に実施されています。
日本調剤グループは、こうした大きな環境変化を乗り越え、さらなる飛躍に向けた強固な企業基盤を構築すべく、コア事業である調剤薬局事業と医薬品製造販売事業並びに医療従事者派遣・紹介事業とのシナジーを最大限発揮することに従来にも増して注力し業容拡大に努めてまいります。
なお、日本調剤グループでは近年大きく変化する経営環境への対応やコーポレートガバナンスの強化、サステナビリティ経営の推進といったステークホルダーからの期待に応えるため、経営戦略の見直しと新たな長期ビジョンの策定を進めております。2022年4月に公開した新しいグループ理念を中心に、日本調剤グループの事業環境に即した成長戦略やプライム上場企業に相応しいコーポレートガバナンス、時代に応じた人的資本経営や財務戦略等幅広い経営課題を踏まえた新しい長期ビジョンの公開を目指してまいります。
私たちの使命
「すべての人の『生きる』に向き合う」
グループの目指す姿2030
「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループへ」
日本調剤グループでは、調剤薬局事業及び医薬品製造販売事業における積極的な成長投資により、収益性を維持しながら事業の継続的な拡大を図るため、収益性を表す指標である連結EBITDAを重要な指標と位置付けております。さらに継続的な事業拡大と安定的な配当実施に向けてキャッシュ・フローを重視し、資本生産性の向上を追求することにより、企業価値の最大化を図ってまいります。
我が国では2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるなど、加速度的に進行する超高齢社会に対して“医療費の増加抑制”と“良質な医療サービスの提供”を同時に実現するために、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」をはじめとして、さまざまな制度改革などが進められています。このような状況を背景として、医療・医薬品業界を取り巻く環境は大きな変化を迎え、業界再編が加速することが想定されます。
調剤薬局業界では、2021年8月より、患者さまが自身に適した薬局を選択できるよう、特定の機能を有する薬局の都道府県知事による認定制度が開始されました。この制度により、在宅医療や、入退院時を含め他の医療機関との服薬情報の連携に対応できる「地域連携薬局」及び、がん等のより高度な薬学管理への対応や高い専門性が求められる「専門医療機関連携薬局」の認定が始まり、今後ますます患者さまのニーズに応えられる薬局づくりが求められております。また、かかりつけ機能の強化と活用、質の高い在宅医療、医療DX推進体制等への評価に重点を置いた診療報酬改定がなされるなど、地域の医療機関として薬局・薬剤師に求められる役割が拡大するとともに、大きな変化への対応力が求められています。
日本調剤グループでは、これまで電子お薬手帳「お薬手帳プラス」を活用した服薬情報の一元管理や、患者さまに応じた服薬指導の実施、医療機関連携、調剤後の相談・フォローの充実といった対人業務へ積極的に取り組むとともに、自社開発の日本調剤オンライン薬局サービス「NiCOMS」によるオンライン医療の普及拡大や電子処方箋制度への対応等にもいち早く取り組みを行っております。さらに、患者さまにさらなる良質な医療サービスを提供すべく、業界に先駆けて数多くの専門医療機関連携薬局・地域連携薬局としての認定を取得しており、地域の医療機関連携や高度医療のハブとなる薬局店舗作りと高い専門性を有する薬剤師の育成に注力しております。
医薬品製造販売事業においては、ジェネリック医薬品の数量ベース使用割合について「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2029年度末までに全ての都道府県で80%以上」とする目標が継続されるとともに、「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」とする等の副次目標が新たに定められ、引き続きジェネリック医薬品の拡大が求められております。さらに、2021年度以降は、2年に1度の通常の薬価改定に加え中間年における薬価改定が実施され、毎年薬価が改定されるなど、ジェネリック医薬品業界は大きな変化の時期を迎えております。また、ジェネリック医薬品の普及に応じて、従来以上に安定供給体制、品質に対する信頼性の確保及び情報収集・提供体制の整備・強化等が求められており、「誰もが一番に相談したくなるヘルスケアグループ」を掲げる日本調剤としては、これらの要請に応えていくことが果たすべき社会的責任であると認識しております。
医療従事者派遣・紹介事業においては、かかりつけ薬剤師制度の開始により薬剤師事業のマーケット需要が、派遣から紹介へと大きく変化しております。日本調剤グループでは、いち早く需要の変化をとらえて派遣事業から紹介事業へのシフトを進めるとともに、メディカルリソースブランドの認知向上による薬剤師事業のシェア拡大を進めております。加えて、医師事業においても、2017年以降取組みを強化し全国展開を図ってまいりました。2020年11月からは、産業医業務の提供を開始し、企業経営において重要性を増す健康経営の要請に応える等、引き続き人材市場の需要に応えるべく更なる事業拡大に取り組んでまいります。
日本調剤グループは、大きな事業環境の変化を乗り越え、業界再編を勝ち残る企業グループを指向し、グループ各社がそれぞれ経営の効率化を進め、生産性を向上してまいります。加えて、新グループ理念である私たちの使命「すべての人の『生きる』に向き合う」のもと、サステナビリティ経営を強化し、社会課題の解決を通じて持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。日本調剤グループはこれらのリスクに対処するため、リスク管理体制を整備し、リスクの集約・選定及びリスクへの対応を行っておりますが、すべてのリスクを完全に回避するものではありません。また、以下に記載するリスクについては、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、重要性の観点から取上げたもので、すべてのリスクを網羅した訳ではありません。なお、文中における将来に関する事項は、当年度末時点において日本調剤グループが判断したものであります。
1. 日本調剤グループにおけるリスクマネジメント体制
日本調剤グループでは、グループにおけるリスクマネジメント及びコンプライアンスに関する取組みを統括する「リスク管理委員会・コンプライアンス推進委員会」を設置し、リスク管理担当取締役が委員長を務めております。同委員会は、リスクマネジメントやコンプライアンスの重要項目の立案、重要性の高いリスクの設定、リスクへの適切な対応、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施といった役割を担っています。
日本調剤グループにおける重要性の高いリスクの選定にあたっては、外部環境・内部環境・業務オペレーションといった複数の観点でリスクを抽出し、評価を行っています。リスクの選定は、各グループ会社、各部門にて行うと共に、グループ全体としての視点でも抽出・集約し、優先度の高いリスクを選定しています。リスク管理委員会では、選定されたリスクの状況及び対応状況をモニタリングすることで、グループ全体でのリスク管理を推進しています。また、サステナビリティ課題に関連したリスクをグループ全体のリスクマネジメントの対象として位置づけ、対応を推進するために、リスク管理委員会とサステナビリティ委員会の連携を図っています。
2. 当グループにおける重要性の高いリスク
(1) 医療制度の変更に関するリスク
日本調剤グループの主力事業である調剤薬局事業、医薬品製造販売事業は大きな変革期にあるものと認識しています。日本調剤グループでは、経営目標の達成に向け、医療制度の方向性や社会環境の変化をふまえた事業戦略を策定、推進しております。今後の薬価基準や調剤報酬の改定内容等によっては、日本調剤グループの業績等が影響を受ける可能性があります。また、医療制度の大きな変更を受け、新たな競争の発生等により競争力を維持できない場合等には、日本調剤グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。
尚、調剤売上は消費税法により非課税となる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。調剤薬局事業において日本調剤グループは消費税等の最終負担者となっており、日本調剤グループが仕入先に支払った消費税等は、販売費及び一般管理費の区分に費用計上されております。今後、消費税率が改定され、薬価基準が消費税率の変動に連動しなかった場合には、日本調剤グループの業績等が影響を受ける可能性があります。
調剤薬局事業業界では、中小・中堅薬局における薬剤師不足、後継者不足、情報化への対応力不足などを背景としてM&Aが活発化しております。日本調剤グループにおいてもM&Aの活用を調剤薬局事業の業容拡大の有効な手段の一つとして位置付け、案件毎に採算性等の十分な精査・検討を前提としたうえで、取り組んでおります。
M&Aにより取得したのれん・固定資産、及び出店により取得した固定資産は、対象となる店舗の業績悪化等により、回収可能性が低下し減損損失の計上対象となった場合には、親会社株主に帰属する当期純利益など日本調剤グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、調剤薬局事業におけるのれん・固定資産の減損に関する重要な会計上の見積りの前提条件については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、医療制度や社会環境の変化に対応すべくデジタルトランスフォーメーション領域への投資を拡大・推進しておりますが、医療制度改革や社会ニーズの変化の方向性と日本調剤の戦略との間に差異が生じることで、追加での投資が必要となる場合、または、投資の回収可能性が低下することにより減損計上の対象となった場合には、日本調剤グループの業績に影響を与える可能性があります。
調剤薬局事業では、調剤過誤の防止を図るため、さまざまな対策を講じております。医薬品安全使用のための業務手順書の遵守、医療安全研修の実施、高度な薬学知識に対応すべく専門性の高い薬剤師の育成、医薬品自動チェックシステムの導入や危険性の高い薬剤の重点的な鑑査の実施等に取り組んでおります。また、調剤業務での医療安全・品質管理向上に関する統括機能を設け、会社全体での過誤防止の取組みを推進しております。しかしながら、調剤過誤が発生し、多額の賠償金の支払いや、それに伴う既存顧客の信用及び社会的信用の低下等があった場合には、日本調剤の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
医薬品製造販売事業では、GMPに基づいた生産・品質管理体制の強化・拡充を進めております。製造販売を行うジェネリック医薬品は、先発医薬品でその有効性と安全性が長年にわたって確認されおり、再審査の後発売されるため、予期せぬ重篤な副作用が発生するリスクは小さいと考えられます。ただし、未知・重篤な副作用の発生や製品の品質上の重大な瑕疵により製品回収・販売中止等が発生した場合には、日本調剤グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
日本調剤グループの事業の推進に関連する法令は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」といいます)、薬剤師法、労働者派遣法をはじめ、国内だけでなく、海外の法令・規制も含めて多岐にわたります。日本調剤グループでは、法令及び関連する規制の遵守を極めて重要な企業の責務と認識し、経営の最優先事項の一つに位置付けて事業を推進しておりますが、法令改正や諸規制の変更に伴い、対応費用の発生、サービスの提供、製品の開発、製造、販売活動等に影響を与える可能性があります。
例えば、調剤薬局事業や医薬品製造販売事業においては、薬機法関連法規等の規制を受け、各都道府県知事等による許可・指定・登録・免許及び届出を必要としております。万一、違反等があった場合、監督官庁からの業務停止、許認可の取消等が行われ、日本調剤グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、当事業において開発・申請した製造販売品目ごとの承認は厚生労働大臣から取得しておりますが、これらの承認が計画どおりに得られない場合、日本調剤グループの業績等が影響を受ける可能性があります。
日本調剤グループは、重要な事業戦略としてDX戦略を策定・推進しており、事業運営における情報システムの重要性が増しています。また、調剤薬局事業及び医療従事者派遣・紹介事業において、患者さまの病歴及び薬歴、並びに派遣労働者の経歴などの個人情報を扱うととともに、全事業において営業上・技術上の機密情報を保有しています。これらの情報については厳重な管理を行っており、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、情報セキュリティに関する規定等を整備、各種セキュリティ管理施策の実施と従業員への教育等によるサイバー攻撃や情報漏えい等の情報セキュリティインシデントの未然防止と共に、インシデント検知ならびに発生時の対応力強化に努めております。
しかしながら、サイバー攻撃等による機密情報や個人情報の漏洩、通信回線や機器のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては、日本調剤グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。万一個人情報の漏洩があった場合には、多額の賠償金の支払いや行政処分、それらに伴う既存顧客の信用及び社会的信用の低下等により日本調剤グループの業績等が影響を受ける可能性があります。
日本調剤グループの事業戦略の遂行や事業の拡大において、人材は最も重要な課題の一つであると認識しており、専門人材の確保や従業員の育成プログラムの整備を実施しています。例えば、薬剤師としてのスキル向上や幅広い業務経験のためのプログラム、専門資格習得に向けた支援制度、DX人材の拡大を目的とした教育プログラムを展開しています。また、経営目標や事業戦略の実現には、従業員の多様性を尊重することが不可欠であるとの認識のもと、各種の人事施策の実施・拡充に向けて取り組んでおります。しかしながら、人材獲得競争の激化や人材の社外流出に伴う人材確保・人材不足の状況によっては、事業戦略の達成が困難となり、将来の日本調剤グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、調剤薬局事業においては、薬機法及び厚生労働省令によって、薬局における薬剤師の配置のみならず、その配置人数においても規制されており、1日当たり40枚の受取処方箋に対して1人の薬剤師を配置する必要があります。このため、薬剤師の必要人員数が確保されない場合には、日本調剤の出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
日本調剤グループは、医療を通じて社会に貢献する会社として人々の健康な生活を支える役割を担っており、人権の尊重は、日本調剤グループの事業継続のための前提となる重要な基盤であると認識しています。また、事業を取り巻く環境の変化をふまえ、人権リスクが経営に及ぼす影響を適切に認識し、確実に対応していく必要があります。
日本調剤グループでは、国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」に規定された基本的な人権を尊重し、ビジネスと人権に関する指導原則などの国際行動規範を支持し、これらの原則に基づく取組みを実施してまいります。「国連ビジネスと人権に関する指導原則」等をふまえ設定した「日本調剤グループ人権方針」に基づき、人権尊重への取組みを推進すると共に、日本調剤グループの事業活動が直接的、間接的に及ぼす人権上の影響を評価し、具体的な対応を進めています。また、認識されたサプライチェーン上の課題については、日本調剤グループ調達基本方針に基づき、お取引先を始めとする関係先と協力して取組みを行っていきます。
医薬品製造販売事業においては、重要な原薬ソースの二重化や適正在庫の確保といった安定供給に向けた取組みを実施していますが、世界情勢の動向、感染症や自然災害、調達先での事故の発生、ジェネリック医薬品業界の要因等により、原材料及び商品の仕入の遅延・縮小、製品の製造及び供給が停止・縮小する可能性があります。
また、一部の医薬品製造販売において、外部委託する形式、あるいは製造販売元の医薬品を自社販売する形式にて市場への製品供給を行っておりますが、製造委託先の諸事情による該当製品の契約終了、契約内容変更等により製品供給が行われなくなる可能性があります。これらの場合、日本調剤グループの業績等へ影響を及ぼす可能性があります。
日本調剤グループでは、主として借入金により資金を調達することで調剤薬局事業における新規出店やM&A及び医薬品製造販売事業における設備投資などを行っております。今後の経済状況に伴い、新規借入金利が大きく上昇し、支払利息が増加する場合には、日本調剤グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、世界情勢や気候変動等により、原材料市況が大きく変化し、エネルギー関連費用、原材料及び資材価格の上昇が生じた場合には、ジェネリック医薬品の製造原価が増加する等、日本調剤グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。
(10) 気候変動に関するリスク
日本調剤グループでは、気候変動の関連課題を事業経営上の重要課題であると認識しており、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置し、気候変動問題に対する取組みを協議しています。気候変動が事業経営に及ぼす影響を認識するにあたり、IPCCやIEAが発表している長期的な仮説やシナリオを参照し、物理的及び副次的なリスクと機会の特定、その影響度合いと対応策の評価・考察を行っています。将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税・排出権取引制度等の導入による事業運営コストの増加、プラスチックを使用するブリスター包装材などの原材料における規制や需給バランスの変化に伴う価格高騰、石油燃料の需給バランス変化に伴う輸送コストの高騰、再エネシフトをはじめとしたエネルギーミックス電力需給バランスの変化と、それによる電力価格の高騰を認識しています。また、将来的な気候変動が業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、気温上昇や大雨・洪水による動物媒介性感染症の増加などに起因した感染症の増加、それらに伴う受診控えに起因する損失の発生、異常気象災害の激甚化による拠点の被災や物流網の寸断による対応コストや営業停止による損失の発生が想定されます。こうした状況をふまえ、環境方針を定め、事業のサプライチェーンの各段階において対策を検討し、取組みを開始しています。
(11) 大規模災害、感染症の拡大に関するリスク
日本調剤グループでは、大規模な自然災害の発生、重篤な感染症の広域での流行などにより事業運営が影響を受ける可能性があります。そのため、事業拠点の分散、事業継続計画の策定などの対策を講じております。例えば、医薬品製造販売事業においては生産拠点を茨城県つくば市と徳島県徳島市に分散し、物流拠点も全国3拠点に分散するなど、災害等が発生した場合に備えた対応を行っております。ただし、日本調剤グループの事業活動は広範な地域で行っており、事業のサプライチェーンも含めると、自然災害及び感染症の発生時には、その被害を完全に回避できるものではなく、将来の日本調剤グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
例えば、新たな感染症の大規模な流行が発生した場合、患者さまによる医療機関受診回避や、医療機関による外来診療の抑制・処方日数の長期化・薬剤師の派遣紹介需要の減少等により、日本調剤グループの事業活動へ影響が発生することが想定されます。そのため、オンライン服薬指導や電子お薬手帳の活用など医療版DXへの積極的な取組みを通じて、利便性と医療の品質を追求し、患者さまに安心してご利用いただける体制整備を行っております。
(12) 技術革新によるビジネスモデルの変革に関するリスク
近年の新たな技術を用いたサービスや商品の新規展開、例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたテレワークの急速な普及や新たなオンラインサービスの利用拡大といった継続的な変化により、社会全体での行動様式が変容しています。こうした環境変化を機会としてとらえ、新たな技術を活用して事業の拡大に向けた取組みを図っておりますが、日本調剤グループの変化への対応が劣後する場合には、業界での競争力の低下につながり、日本調剤グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 訴訟等に関するリスク、並びに特許及び知的財産に関するリスク
医薬品製造販売事業では、知的財産権及び不正競争防止法に十分に留意した製品開発を行っておりますが、ジェネリック医薬品の商品としての特性上、先発医薬品メーカーから特許訴訟を提起される場合があります。この他にも、日本調剤グループの事業に関連して、訴訟等の当事者となる可能性があります。これらの訴訟等において、日本調剤グループに不利な判断がなされた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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