帝人グループは帝人、子会社129社及び関連会社等24社で構成されています。その事業は高機能材料、複合成形材料の製造・販売等を行うマテリアル事業領域と、繊維製品等の製造・販売を行う繊維・製品事業と、医薬品と医療機器の製造・販売及び在宅医療サービス等を行うヘルスケア事業領域を中心とし、その他に電池部材及びメンブレンの製造・販売、再生医療等製品及び埋込医療機器等の開発・製造・販売等を展開しています。
帝人グループでは、「マテリアル」「繊維・製品」「ヘルスケア」の3つを報告セグメントとしています。
当連結会計年度より、システムの運用・開発・メンテナンス及び電子コミック配信サービス等を行う「IT」を非継続事業に分類しており、「IT」を除く継続事業を表示しています。
各セグメントにおける、主要な事業内容ならびに主な会社は次のとおりであり、注記「6.事業セグメント」に記載のセグメントと一致しています。
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セグメント |
事業内容 |
構成会社 |
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マテリアル |
高機能材料事業 アラミド繊維、樹脂、炭素繊維等の製造・販売 |
帝人 Teijin Aramid B.V. Teijin Polycarbonate China Ltd. Teijin Corporation (Thailand) Limited 等 子会社28社、関連会社等4社 |
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複合成形材料事業 複合成形材料の製造・販売
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帝人 Teijin Automotive Technologies NA Holdings Corp. Teijin Automotive Technologies Portugal, S.A. 等 子会社24社 |
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繊維・製品 |
繊維製品等の製造・販売、ポリエステル繊維及び織物の製造・販売等 |
帝人フロンティア(株) 南通帝人有限公司 Teijin Polyester (Thailand) Limited J.H. Ziegler GmbH 等 子会社41社、関連会社等6社 |
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ヘルスケア |
医薬品及び医療機器の製造・販売、 在宅医療サービス、その他ヘルスケア関連製品の製造・販売 |
帝人 帝人ファーマ(株) 帝人ヘルスケア(株) 等 子会社12社、関連会社等4社 |
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その他 |
電池部材及びメンブレンの製造・販売 |
帝人 Teijin Lielsort Korea. Co., Ltd. 子会社1社 |
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再生医療等製品及び埋込医療機器等の開発・製造・販売 |
帝人 (株)ジャパン・ティッシュエンジニアリング 帝人ナカシマメディカル(株) 等 子会社5社 |
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その他 |
帝人エージェンシー(株) 等 子会社18社、関連会社等10社 |
(注) 関連会社等には、共同支配企業を含んでいます。
以上に述べた「事業の内容」を概要図で示すと次のとおりです。
(注)連結対象会社は、連結子会社94社と持分法適用会社が57社です。
(1) 帝人グループが目指す姿
帝人グループは、創業からの約100年、社会のニーズを先取りし、新たなビジネスへの変革と挑戦により事業基盤を構築してきました。一方、近年は厳しい経営状況に対する構造改革と将来に向けた成長投資を行ってきましたが、市場期待を上回る成長を示すことができず、中長期の成長期待も低下している状態が継続しています。
このような中、帝人グループが「One Teijin」となって成長軌道への回帰に向けた実行力を向上させるためには共通の価値観を持つ組織づくりが必要との認識のもと、帝人グループのパーパス「Pioneering solutions together for a healthy planet」を策定しました。このパーパス・存在意義を明確化・言語化するプロジェクト「Journey to One Teijin」では、社員参画・見える化のプロセスを重視して海外拠点を含む社員の共感の醸成を図った結果、策定されたパーパスには、帝人の原点に立ち戻り、美しい地球に人々がいつまでも暮らし続けるためのソリューションの提供に挑戦する会社でありたいという社員の思いが強く反映されています。
このパーパスを軸とし、併せて策定した3つのバリュー、「①すべての挑戦をリスペクトします、②多様な仲間と専門性を活かして成長します、③地球とあらゆる生命に寄り添い、守ります」を実践し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していきます。具体的には、モビリティ、インフラ&インダストリアル領域において「地球の健康を優先し、環境を守り、循環型社会を支える会社」となること、ヘルスケア領域において、希少疾患・難病などの疾病領域を中心として「より支えを必要とする患者、家族、地域社会の課題を解決する会社」となることを目指して社会に価値を提供していきます。
(2) 対処すべき課題
帝人は、2024年5月に「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を公表しました。
帝人の対処すべき課題は、①収益性改善の完遂による基礎収益力の回復、②事業ポートフォリオ変革、③グローバル経営基盤の強化と捉えています。今中期経営計画を、これらの課題に取り組み、成長軌道に回帰するための第一歩として位置付け、強い決意を持って推進します。
① 収益性改善の完遂による基礎収益力の回復
2023年度は収益性改善に向けた改革の1年として、以下の施策に重点的に取り組みました。
1) 複合成形材料事業、アラミド事業、ヘルスケア事業の課題3事業の収益性改善
2) 経営判断・実行の迅速化を促す経営体制への見直し
これらの成果として、2023年度は目標として掲げた300億円以上の改善目標を概ね達成しました。
一方で、下図のように生産安定化に課題が残ったため、2025年度までコーポレート支援によるグローバルでの生産安定化実現に向けた取り組みに注力し、収益性改善のための諸施策とともに基礎収益力を回復し、事業利益500億円、税後事業利益ROIC4%以上、ROE6%以上(IFRSベース)を目指します。
<収益性改善の総括と改革の完遂に向けた対応>
② 事業ポートフォリオ変革
2026年度以降の次期中期経営計画期間において、変革後の事業ポートフォリオによる成長を実現していくために、今中期経営計画においては、不採算事業・非注力事業の戦略的オプションを実行し、運営する事業を絞るとともに、成長産業セクターにおいて素材単体から機能材料事業、加工・ソリューション型事業、在宅医療事業で培ったサービス基盤を活かした提供価値主体の事業展開へ変革するべく、帝人に競争優位性があると考えるモビリティ、インフラ&インダストリアル、ヘルスケアの領域での成長投資を精査の上実行します。
<変革の過程>
*1 2023年度のIFRS実績値は概算値
*2 「税引後事業利益÷期首・期末平均投下資本」にて算出(投下資本=資本+有利子負債)
*3 事業利益は、営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な要因により発生した損益を除いて算出
*4 「親会社の所有者に帰属する当期利益÷期首・期末平均親会社の所有者に帰属する持分」にて算出
*5 劣後債資本性調整後のD/Eレシオ(グロス表示)(2021年7月21日 劣後債 600億円発行済)
また、2024年度および2025年度の2年間のキャピタルアロケーション並びに株主還元の方針は、収益性改善により既存事業のキャッシュ創出力を強化して得られたキャッシュを基盤投資や配当に優先的に充当し、政策保有株式・遊休資産の売却、不採算・非注力事業の戦略的オプション実行により創出したキャッシュを、成長投資および追加的な株主還元(自己株式取得を含む)に優先的に配分することとします。
<キャピタルアロケーション及び株主還元方針(2024-2025年度)>
③ グローバル経営基盤の強化
事業ポートフォリオ変革に併せて、グローバル経営基盤を強化し、パーパスを軸として実行力の向上を目指します。今中期経営計画においては特に、ガバナンス面で「グローバル企業・多角化企業に最適化されたガバナンス体制の確立」、生産・製造技術面で「国内外の知見・技術の融合による設備・運転・保全レベルの進化」、人的資本の面で「戦略を実装する『適所』の確立と『適材』の確保」の課題に取り組みます。
<グローバル経営基盤強化のロードマップ>
以上のように中期経営計画の経営戦略・事業戦略を着実に実行することにより、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えられる持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、早期にROE10%以上、PBR1倍以上の達成を目指していきます。
(1) リスクマネジメントの基本原則
帝人は、その株主価値を高め、さらに株主を始めとするステークホルダーが満足できる事業活動を継続する使命があり、その実現を脅かすあらゆるリスク(不確実性)に対処する必要があるとの認識のもと、グループ全体が晒されるかかるリスクを統合的かつ効率的に把握・評価・管理し、グループ経営に活かすための組織的・体系的アプローチを行うこととしています。
帝人取締役会は、帝人グループ全体のリスクマネジメントを行い、経営戦略・経営計画策定、戦略的なアクション、個別投資プロジェクトの決定、会社に悪影響をもたらす様々な有害事象等のリスクアセスメントを、意思決定を行うに際しての重要な判断材料として位置付けています。
また、帝人は、グループ会社とその役員に対し、上記の原則を充分理解し、会社活動を脅かすあらゆるリスクに対処するよう求めています。
上記の基本原則に則り、下記のとおりの施策を通じてリスクを統合的に管理するトータル・リスクマネジメント(TRM)の運営を行っています。
・ TRM 推進のため、業務運営リスクを担当するサステナビリティ管掌を置き、経営戦略リスクについてはCEOが直接
担当する。
・ 取締役会の下に、リスクを統合的に管理する「TRMコミティー」を設置する。
・ TRMコミティーの委員長はCEOとし、その他の委員は、サステナビリティ管掌及びCEOが指名した者とする。
・ 取締役会は、TRMコミティーから提案されるTRM基本方針、TRM年次計画等の審議・決定を行うとともに帝人グループとしての重要なリスクについて管理し、事業継続のための態勢を整備する。
なお、以下の文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。また、本有価証券報告書は、リスクと不確実性を伴う将来見通しに基づく情報も含んでいます。帝人グループは、下記リスクのほか、本有価証券報告書中の他の箇所に記載されているリスクに直面しておりますが、これらのリスクの影響により、実際の業績が、将来見通しに基づく記述が想定しているものとは異なってくる可能性があります。
(2) 2024年度TRM基本計画
2024年度においては、取締役会の審議を経て、下記のとおり対応方針を設定しています。
■ 新中期経営計画実行の重要な年度において、リスク低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることで
確実な計画達成を目指す。
■ 経営戦略、経営管理(財務、人的資本等)、業務運営それぞれのリスク管理を強化させるとともに、中長期的
リスクについても認識・把握と発現時の対応施策を検討し、リスクと機会の適切な管理に取り組む。
2024年度は、上記方針に基づき、リスク領域を10領域(経営戦略、経営管理(財務)、経営管理(人的資本)、安全、情報、品質、法務・コンプライアンス、地政学、環境、社会)に整理し、それぞれの領域におけるリスクマネジメントオーナー(担当役員)を任命して、その責任と範囲を明確化したうえで、リスクの管理に取り組んでいます。各領域のリスクについて、①影響度、②発生確率、③発生時期から評価を行い、下表の主要なリスクから重大リスクを特定したうえ、リスクマネジメントの実効性を高めるため、重大リスクの中でも特に重点管理するリスクを絞り込んでいます。
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リスク 領域 |
主要リスク |
リスク内容 |
対応方針 |
影響度 |
発生確率 |
発生時期 |
評価※ |
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経営戦略 |
短中期経営計画未達 |
外部環境変化や不測の事象の発生等により、収益性改善遅延、生産安定化遅延、ポートフォリオ変革遅延、経営基盤強化遅延などから、業績不振が継続するリスクが高まる |
・短中期経営計画主要施策の進捗モニタリングとリスク発現予兆の分析・評価実施、リスク発現時に遅延なく対応策実施 |
大 |
中 |
短~中期 |
A |
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経営管理 (財務) |
財務健全性毀損 |
キャッシュ・フロー悪化等により財務健全性を毀損し、資金調達困難、破綻などのリスクが高まる |
・運転資本圧縮によるキャッシュ・フローの改善と緊縮的なキャッシュマネジメント政策の立案・実行 |
大 |
中 |
中期 |
B |
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経営管理 (人的資本) |
人財流出・採用 |
人事戦略の浸透不足、DE&I等の社会的要請への対応不十分等が要因となり人財流出や採用困難が持続し、経営基盤が弱体化 |
・人財が活躍するための施策(DE&I、エンゲージメント)の推進 ・事業ごとの戦略/懸案に適切に対応 |
大 |
中 |
中~長期 |
B |
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安全 |
火災・爆発 |
事業所での火災・爆発の発生により、製造や供給停止が長期化し、顧客喪失や訴訟が発生 |
・会社存続に影響するリスクを重点的に管理 ・BCP検討 |
大 |
中 |
短期 |
A |
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大規模災害 |
大地震等大規模自然災害への対策不備により、サプライチェーンへの被害、製造や供給停止の長期化、顧客喪失、訴訟が発生 |
・本社危機管理対応体制の点検と整備 |
大 |
高 |
短~長期 |
B |
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情報 |
情報セキュリティ |
サイバー攻撃や産業スパイへの対策不備により情報や知財流出が発生、レピュテーション低下、訴訟、顧客喪失や資金調達困難により事業継続困難となる |
・コーポレート指導によりグループ各社の緊急対策実施 ・システム脆弱性評価、防御・検知システム構築 |
大 |
中 |
短期 |
A |
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DX/AI |
デジタル化やデジタルサービス導入が世界的に進む中対応が遅れ、競争力が低下 |
・DX人財育成策継続 ・事業DX推進支援 |
中 |
中 |
中期 |
C |
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品質 |
重大品質不正・偽装 |
帝人製品の重大な品質不正・偽装が原因で人的被害が発生し、事業停止処分、巨額の補償が発生、他事業へも影響波及 |
・自己点検強化、ハイリスク事業の製造現場査察等により未然防止 |
大 |
中 |
中期 |
B |
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法務・コンプライアンス |
重大不祥事 |
社会的注目を集めるコンプライアンス問題が発生し、マスコミ報道加熱、レピュテーション低下により、顧客喪失、事業継続困難となる |
・海外子会社、個別管理会社など、目の届きにくいグループ会社のコンプライアンス強化 |
大 |
中 |
中期 |
B |
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地政学 |
経済安全保障 |
国際的な経済安全保障対応の強化、国家・地域間の対立激化や制裁措置導入等への適切な対応が遅れ、製品供給停止、事業喪失 |
・中国リスクに対し、サプライチェーン維持策とポートフォリオの変更(中国事業対応)を継続検討 |
大 |
中 |
中期 |
B |
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環境 |
気候変動 (移行リスク) |
環境規制や情報開示義務への対応、顧客からのCO2削減要請への対応遅れにより、顧客喪失、投資家離れが発生 |
・グローバルの規制動向を継続的にモニターし、遅延なく対応をとる |
小 |
高 |
中~長期 |
C |
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社会 |
サプライチェーン人権 |
規制強化への対応不備や人権侵害発覚により、レピュテーション低下、顧客喪失、訴訟、人財流出が発生 |
・外部リスクアセスメント(サーベイ)に基づくハイリスク事業の課題対応モニタリング |
中 |
低 |
中期 |
C |
※評価: A=重大リスク(重点管理) B=重大リスク C=その他リスク
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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