山王(3441)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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山王(3441)の株価チャート 山王(3441)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

山王グループは、山王(株式会社山王)及び子会社3社(Sanno Philippines Manufacturing Corporation(以下SPMC)、Sanno Land Corporation(以下SLC)、株式会社明王化成(以下明王化成))により構成されており、コネクタ・スイッチ等の電子部品の精密プレス加工及び金型製作、貴金属表面処理加工、インサート成形加工を主たる業務としております。
 なお、精密プレス加工と貴金属表面処理加工とインサート成形加工を一貫して行う能力を有することで、得意先の求める品質・価格・納期の対応を行っております。
 各工程の内容は次のとおりであります。
 
(1) 精密プレス加工工程

 日本セグメントにおいて、顧客である主にコネクタメーカー(注1)より依頼を受けて、コネクタのプレス金型の設計・製作を行い、製作した金型を使ってプレス材料(主に銅合金を伸銅した条材)をプレス加工し、フープ成型品(連続したキャリア部分(注2)をもつプレス成型品)を生産しております。

 携帯機器等の製品の小型化の要請に応え、現在プレス加工は、1,000分の1ミリメートルのレベルでの寸法管理を行っており、成型品の材料の厚さは0.05ミリメートル、ピッチ(ピン間隔)は0.25ミリメートルの製品まで金型の設計・製作及びプレス加工を行っております。一方小型化を優先しない部品として車載向け製品など、製品ピッチの大きい品物の加工も行っております。

 

(2) 表面処理加工工程

 日本・フィリピンセグメントにおいて、コネクタ、スイッチ、ICソケット等の接点部品であるプレス成型品への高速金めっき加工、パラジウムニッケル合金めっき加工、錫めっき加工等を行っております。特に、精密部分金めっき加工(ニッケルバリア(注3)、スポットめっき(注4))や、環境対応の仕様として鉛を含まない半田(錫銅合金・純錫等)めっき加工を、リールtoリール(注5)により行っております。

 なお、山王グループが精密プレス加工及び表面処理加工を行っている電子部品は、以下の用途に使用されております。

 

(3) インサート成形加工工程

日本セグメントにおいて、インサート成形加工を中心とした精密プラスチック部品の製造を行っております。自社で金型設計・製作から成形生産までを一貫して対応しているため、工程間の連携が密にとれ、量産性や品質改善に向けたフィードバックを迅速に反映することができます。これにより、精密かつ複雑な形状のインサート成形品をはじめとする高付加価値製品の供給実績を有しております。

区 分

内 容

パソコン関係

デスクトップパソコン、ノートパソコン、プリンター等の周辺機器及び接続、配線機器

携帯電話

スマートフォン・タブレット端末・携帯電話の搭載品、バッテリー関係の周辺機器

車載

自動車の制御部分・計器類及びエアバッグ等、カーナビ装置等の機器類

デジタル家電

デジタルカメラ、デジタルテレビ、DVD等

産業用機器

工作機械、計測器、監視カメラ、産業用・工業用機器、半導体製造装置、サーバー等

ゲーム機器

パチンコ等アミューズメント機器、家庭用ゲーム機等

カード

カード用のソケット・メモリーカード等の記憶装置、ICカード等の機器

その他

基地局等の通信機、モバイル及び上記に分類されない機器・装置等

(注) 1.電子部品の設計製造、販売を行っているメーカーです。

2.帯状に連続したガイド部をキャリアと呼んでおります。これに一定間隔でプレス成型された端子が付いており、リールに巻き取って取り扱います。このガイド部を引き出すことにより、端子も繰り出され、連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取ります。

3.電子機器の小型化により、コネクタ部品も小さくなり、半田付けで組み込む際に必要部分以上に半田が吸い上がってしまうのを防止する加工仕様の名称です。

4.必要な部分にのみ、ピンポイントで金めっきを行う加工方法の名称です。

5.金属コネクタにおいて、精密プレス加工を行いリールに巻き取った長い素材を繰り出して連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取り工程が終了する一連の加工方法をリールtoリールと呼んでおります。

 

 以上述べた事項を系統図に示すと次のとおりであります。

 

 

 


有価証券報告書(2024年7月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 山王グループが属する電子工業界におきましては、自動車向け分野の電子部品需要は引き続き堅調であり、民生用機器向け分野の回復や通信向け分野での次世代高速通信開発など、中長期的な成長が期待されております。

 このような状況のもと山王グループは、受注拡大、収益改善、生産設備拡充、カーボンニュートラルに向けた取り組み、工場増強、働く環境整備、人事・教育強化を主要戦略として掲げ、山王グループ一丸で推進してまいります。また今後の成長領域と考える自動車向け分野、通信向け分野、産業機器向け分野への設備投資を継続し、安定した収益基盤の確保に加え、新規の事業領域を開拓することで、経営体質強化に向けた取り組みを行ってまいります。

 山王グループは、グローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、再生可能エネルギーの導入を推進しています。2023年3月に東北事業部に太陽光パネル、蓄電池システムを設置し、エネルギーマネジメントシステムを導入いたしました。また、主要な拠点である東北事業部において再生エネルギー100%導入をいたしました。国際的な基準であるGHGプロトコルにてScope1、2の算定を完了し、今後はScope3の算出にも取り組んでまいります。2030年には、排出量50%削減を目指して、カーボンニュートラル達成への取り組みを続けてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 山王グループは、受注拡大、収益改善、生産設備拡充、カーボンニュートラルに向けた取り組み、工場増強と働く環境の整備、人事と教育の強化を進めるなど経営体質改善に向けた取り組みを行い、売上高8,900百万円、営業利益250百万円、経常利益250百万円を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 足元の市場環境は、米国では個人消費を中心に景況感は底固く推移した一方で、長引く欧米での地政学リスクによる資源価格高騰や、中国での不動産不況による景気下押し懸念もあり、内需の弱さから在庫水準の高止まりによる生産調整が続きました。

 山王グループが属する電子工業界においては、産業機器向け分野並びに民生機器向け分野では在庫調整が続きましたが、半導体供給不足が解消した自動車市場は堅調に推移しました。

 中長期的には新たなAI等の活用により、電子機器需要の回復が見込まれるなど市場全体として成長余力は大きいことから、徹底したマーケティング活動による顧客ニーズの収集と、加工難易度の高い新製品の受注獲得に向けた加工設備の対応をはじめ、製造工程の効率化による生産性向上と、品質面でのより一層の高度化の追求など、技術的差別化を進めることにより、受注の拡大を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 山王グループを取り巻く経済環境は、中国経済の停滞や中東地域をめぐる情勢に影響が懸念される状況にあり、アメリカ経済においてもインフレ懸念、金融不安が継続し資源価格高騰等により物価が上昇するなど、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。

 山王グループが属する電子工業界におきましては、自動車向け分野の電子部品需要は引き続き堅調であり、民生用機器向け分野の回復や通信向け分野での次世代高速通信開発など中長期的な成長が期待されております。

 このような状況のもと山王グループは、受注拡大、収益改善、生産設備拡充、カーボンニュートラルに向けた取り組み、工場増強、働く環境整備、人事・教育強化を進めるなど経営体質改善に向けた取り組みを行っております。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において山王グループが判断したものであります。

 

(1)IT産業等の業界動向が山王の業績に与える影響について

山王グループの主要製品はIT産業等の動向に影響を受けやすい電子部品等の材料となるプレス加工品及び表面処理品であり、主にコネクタメーカーからの受注加工となっております。

近年多くのコネクタメーカーにおいて、コスト低減、開発のスピードアップ、社内稼働率の維持向上や収益の外部流出防止等を目的に、プレス加工及び表面処理加工を国内及び海外グループ会社の内製部門へ取り込む動きが強まっております。

この内製化の進展が、IT産業の業界動向以上に進んだ場合、山王グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響について

山王グループは、今後もマーケットの拡大が期待されるアジア地域(フィリピン)に海外子会社を有しております。海外子会社は主としてドル建てで決済しておりますが、海外での取引規模が拡大し、山王グループ内に占める子会社の売上、利益の割合が増加した場合、今後も為替相場の変動が山王グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

また、山王グループは日本国内においてはその取引のほとんどが日本国内のコネクタメーカーとの円建て取引となっており、直接的な為替の影響は受けないものの、国内取引先の生産拠点の海外移管等がさらに進んだ場合には国内での円建て取引が減少する事により、山王グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)技術開発、生産設備の開発・新設について

山王グループが属する電子工業界は、世界市場の中で日進月歩絶えず進化を遂げており、製品動向や環境対応基準等を含めた情報の変化にスピーディーに対応することは、経営上重要な要素であります。

現在、営業情報等をもとに市場のニーズに応えるべく技術開発をいち早く行い、現有設備への展開や設備の新設を行っておりますが、山王グループが保有する生産設備は自社での設計・製作を基本としているため、製品動向に急激な変化(形状や材質、使用原材料等)が生じた場合、研究開発、設備の設計・製作に時間を要することから生産に支障を来す可能性があり、その結果山王グループの業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制等について

山王グループは、表面処理の工程内で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しており、また工程より排出される廃液等には「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「土壌汚染防止法」等の対象となる重金属イオン等が極微量含まれており、それぞれ同法の規制を受けております。

山王グループでは、各種届出及び有資格者の下での管理を徹底するとともに、法的規制値より更に厳しい社内基準値を設けて廃液等を管理し、可能な限りのリサイクルを行い法令遵守に努めております。しかしながら、法改正等により規制が強化され、山王グループの工程内で対象となる薬品の使用が禁止又は使用制限された場合、廃液等の廃棄物の排出基準が変わり処理設備の大幅な改造の必要が生じた場合や、自然災害等による設備の崩壊により敷地内汚染が発生した場合には、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があり、山王グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)環境問題対応について

山王グループが属する電子工業界では、「鉛フリー」や「脱塩素溶剤」等の問題を抱えておりますが、環境問題に対し様々な対策が講じられております。山王グループにおきましては、表面処理加工法の改良をもって対処しておりますが、今後代替物や新技法等が開発された場合、設備移行に多大な費用と時間を要する可能性があります。

また、国内では「ノンシアン」による表面処理要請が強くなってきており、今後水質・大気等排出基準の強化が

法的に進められた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。

 

 

(6)土壌汚染について

土壌汚染対策法や、各自治体における生活環境の保全等に関する条例等(以下、総称して「土壌汚染関連法令」という。)によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、六価クロム、鉛、塩素、トリクロロエチレンその他特定有害物質による土地の土壌汚染の状況について調査し、都道府県知事に報告を行わなければならない場合があります。

また、特定有害物質による土壌の汚染により、人の健康にかかる被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な手段をとる必要がある場合があります。

上記の制度を前提にした場合、山王の保有する本社地区の敷地内の一部において、山王が業務上使用していない特定有害物質に関して、これまでに基準値を上回る測定結果が断続的に確認されております。発生源で対策を講じており、現時点において、山王において何らかの対策を行う必要はないものの、将来山王が同工場用地を売却したり、同工場施設の使用を廃止する場合等に、土壌汚染関連法令に基づく調査を実施しなければならない可能性があります。

なお、当該調査において土壌汚染関連法令に定める基準値を超える汚染土壌が確認された場合は、かかる有害物質を除去するために土壌汚染関連法令に基づく汚染土壌の入れ替えや洗浄などの処理が必要となり、その対応に費用と時間を要する可能性があります。

 

(7)知的財産権等について

山王グループでは、加工プロセスに係わる技術開発が多くありますが、出願公告を行うことによりノウハウの社外流出に結びつく恐れが多分にあると考えているため、特許権・実用新案権の取得を積極的には行わない方針です。このため、他社が山王の開発した技術にかかる特許を取得した場合は、山王の経営成績に影響を与える可能性があります。

また、山王グループにおいては、他社の知的財産権等の侵害を防止するため、必要と考えられる社員への教育や関連文献の調査、弁理士等専門家への相談を行う処置を講じておりますが、かかる処置にもかかわらず、他社の知的財産権を侵害してしまった場合には、山王グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

(8)政情不安が与える影響について

山王グループは貴金属表面処理事業において海外需要の高まりから、フィリピンに生産拠点を有しております。今後、日本メーカーの海外移管の促進等により山王グループ内での海外生産高シェアも増加していくものと考えております。しかし、アジア諸国の一部では政情不安等がもたらす影響も懸念され、また、法令や政策、規制、税制等の変更が行われた場合、山王グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(9)主要原材料の価格変動について

山王グループの主要事業である表面処理加工並びにプレス加工において、主要原材料としてそれぞれ「シアン化金カリウム」と「銅平板材」が使用されております。シアン化金カリウムは金を68.3%含有しており、プレス原材料は銅など、それぞれ国際的な取引市場での市況により価格が左右されます。山王グループでは顧客からの受注の中で原材料価格の上昇を販売価格に転嫁するよう努力しているものの、金並びに銅の市場価格の変動が山王グループの予想を超えた場合など単価に十分に反映できないような場合には、山王グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材の確保について

山王グループは、経営環境の急激な変化に対応してコスト構造の抜本的な見直しを行い、経費削減に努めてまいりました。しかし、顧客の内製化の推進や海外グループ会社への生産移管などが進んでおり、経営環境の変化に対応した更なる収益体質への変革を進めております。

表面処理加工及びプレス加工の作業は自動化及びマニュアル化による標準作業ができる状況にありますが、微細加工技術を追求した加工方法の、ニッケルバリア、スポットめっき等については、その加工設定などにおいて人に依存する割合が高い部分もあり、標準化体制を整えるべく推進しております。しかしその体制構築に時間を要しており、品質を支える技能者の確保、技能の伝承は不可欠な状況です。今後技能者の退職というような事態が生じた場合には、生産に支障を来し山王グループの業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)事故災害等による影響について

山王グループは国内において関東及び南東北に生産拠点を有し、また海外においてはフィリピンに拠点を設け、市場動向に合致した最適地生産活動と、生産拠点分散による各種事故や災害発生から被る影響を最小限に抑える対策を講じております。
 山王は、東北工場(現東北事業部:福島県郡山市・西部第二工業団地内)において、火災および汚染水河川流出事故を発生させた経緯があります。この経験を生かし社内防火教育訓練や予防対策をはじめリスク管理体制には万全を期して対処しておりますが、今後同様の事故が発生した場合や地震等自然災害による製造設備や処理プラントの被害状況によっては、対処や復旧作業に多大な時間と費用を要する場合があり、山王グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、新型コロナウイルスの世界的な拡散のような経済活動に大きな打撃を与える事象が発生した場合においても同様に山王グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス等の感染拡大は、従業員の活動が制約され、生産・販売等の企業活動に幅広く影響を及ぼす可能性があります。当該リスクについては、社内に危機管理マニュアルを制定し、従業員自らが感染防止行動をとるとともに、従業員の感染リスクを避けつつ得意先との商談や新製品・技術に関する情報収集が可能となる働き方の検討・導入等で対応いたします。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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