TKPグループは、TKP、連結子会社29社及び持分法適用関連会社4社により構成されており、TKPが創業より運営している、遊休不動産を活用して付加価値を加え、総合的な空間サービスを提供することでその価値を再生する「空間再生流通事業」、TKPの連結子会社であるリリカラ株式会社が運営するインテリア事業、スペースソリューション事業及び不動産投資開発事業を領域とした「リリカラ事業」、同じくTKPの連結子会社である株式会社ノバレーゼ及び株式会社エスクリが展開するブライダル事業、レストラン特化型事業及び建築不動産関連事業を領域とした「ノバレーゼ・エスクリ事業」の3つを報告セグメントとしております。なお、当連結会計年度より株式会社エスクリを連結子会社化したことにより、「ノバレーゼ事業」から「ノバレーゼ・エスクリ事業」へ名称の変更をしております。
1.空間再生流通事業
TKPグループの主要事業である空間再生流通事業の特徴としては、以下のとおりです。
①業界トップの全国ネットワークとサービス力
圧倒的な拠点ネットワークと認知度による集客力、フレキシブルオフィスの豊富な管理運営実績を活かし、単にスペースを転貸するだけでなく、スペースの利用に付随する料飲、備品レンタル、宿泊施設、移動手配、イベントの制作・運営サポート等の様々なサービスを利用顧客に応じてワンストップで提供し、収益機会の拡大に取り組んでいる点
②不動産開発の知見
遊休資産(不採算資産、不稼働時間が多い不動産)を保有する不動産オーナーを、フレキシブルオフィスの主な仕入ターゲットとすることで、不動産の調達単価を引き下げ、比較的安価で顧客へのサービス提供を実現している点
また、空間再生流通事業は、フレキシブルオフィス、ホテル・宿泊研修、料飲・バンケット、イベントプロデュース、BPOと5つの領域から構成されており、各事業の詳細は以下のとおりです。
(1)フレキシブルオフィス
TKPグループは、貸会議室・シェアオフィス・宴会場の管理・運営を行っております。
TKPグループの管理運営する施設は、東京・札幌・仙台・千葉・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡等の大都市圏を中心に、全国に圧倒的な拠点ネットワークを展開しており、具体的な用途としては、会議、セミナー、講演会、研修、人材採用、試験会場、懇親会、展示会、レンタルオフィス等多岐にわたっております。
また、フレキシブルオフィスの利用顧客は業種や規模を問わず多種多様であり、利用の多くをリピーターが占めている点もTKPグループの強みであります。
TKPグループは、不動産の仕入を行うにあたり、物件オーナーとの契約形態として、通常の固定賃料による賃貸借契約・定期賃貸借契約の他、運営受託契約として変動賃料による契約など、賃料水準等の状況に応じてリスクの低減を図りつつも、オーナー側にもメリットが生まれるような賃借条件を提案しております。
契約形態別の収益性については、運営受託契約による施設は、施設における売上高の一定割合をオーナーに支払うこととなるため、稼働率に関わらず利益率はほぼ一定となり、売上高が低迷した場合でも損失を抑制することが可能です。一方で、通常の固定賃料を支払う契約による施設は、施設の稼働率に関わらず、定額の賃借料が継続的に発生するリスクがある反面、売上高が損益分岐点を大きく超えた場合には収益性が高くなるという特徴があります。
このような中、TKPグループは以下のとおりマルチブランド展開をすることで、様々な利用顧客のニーズに応えております。
(2)ホテル・宿泊研修
貸会議室・宴会場を利用する顧客からのニーズに応える派生サービスとして、ビジネスホテルやリゾートホテル、企業の宿泊研修に特化した施設等、多様な形態の宿泊施設を提供しております。具体的には、アパホテルのフランチャイズとして展開する、会議室設備を併設した新スタイルのビジネスホテル「TKPアパホテル」、企業の保養所をリノベーションし宿泊研修に特化させた「レクトーレ」、既存の施設をリノベーション・アップグレードし、全室温泉完備で会議室も併設する「石のや」等の運営を行っております。各物件については宿泊施設の規模、経済合理性を勘案し、賃借、TKP所有、TKP連結子会社である特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)による所有を行っております。
(3)料飲・バンケット
TKPグループの料飲施設を活用し、会議室用の弁当・ケータリングサービス、当該サービスをもとにした懇親会・パーティー等のプランニングを行っております。また、レストラン・カフェの運営や配ぜんスタッフの派遣・紹介等のサービスを行っております。
(4)イベントプロデュース
会議室の利用に加え、企業の大型イベント、セミナーや展示会等において、マーケティングプロデュースサービスとともに、クラウド型イベント管理システムを提供し、企業のイベント運営の総合的支援を行っております。
また、医療業界に特化した学会運営に関するコンサルティングや運営サポート、イベント機材のレンタルサービスなども行っております。
(5)BPO
コールセンター運営を行うテレマーケティングサービスのほか、採用代行サービスやイベントの事務局代行サービス等の提供を行っております。
(空間再生流通事業のビジネスモデル概念図)
2.リリカラ事業
TKPの連結子会社であるリリカラ株式会社の事業領域である「リリカラ事業」の事業内容は以下のとおりです。
(1)インテリア事業
壁装材、カーテン、床材を中心とする内装材商品の仕入及び販売を行っており、主としてリリカラ株式会社独自で開発した商品「リリカラ」をメーカーに製造委託し、代理店あるいは一部内装工事業者等に販売しております。
(2)スペースソリューション事業
オフィス空間及び施設のインテリア設計・施工、プロジェクト管理、家具、間仕切、事務用品等の提案・販売、不動産売買・賃貸の仲介業務を行っております。
(3)不動産投資開発事業
不動産投資開発事業は、買取再販を通して不動産価値の最大化を図る「バリューアッド事業」、多様なアセットタイプの開発を行う「開発事業」、都心の集合住宅・オフィスなど、市場ニーズに対応した物件の保有・賃貸を行う「不動産賃貸事業」の3つの事業を行っております。
3.ノバレーゼ・エスクリ事業
TKPの連結子会社である株式会社ノバレーゼ、株式会社エスクリ及び両社の関係会社の事業領域である「ノバレーゼ・エスクリ事業」の事業内容は以下のとおりです。
(1)ブライダル事業
婚礼プロデュース部門:挙式・披露宴を予定しているお客様に、会場のご案内から当日の企画、引出物や料理の選定など、結婚式に関わるすべてのプロデュースを行っております。
婚礼衣裳部門 :全国にドレスショップを展開し、婚礼衣裳をレンタル・販売しております。
レストラン部門 :婚礼飲食や宴会飲食を提供する他、一部の婚礼施設においては、平日にランチ・ディナー営業をしております。
(2)レストラン特化型事業
宴会・一般飲食(ランチ・ディナー)を提供しております。
(3)建築不動産関連事業
飲食店や小売店を中心とした施設の内外装工事の請負および設計監理業務、戸建住宅やマンションの建築、コンテナ事業、コンサルティングサービスの提供等を行っております。
これらの事業を組み合わせることにより、TKPグループは以下のシナジー効果を狙っております。
・それぞれの事業における不動産情報を駆使した出店戦略の実行
・TKPグループがもつ資源(人材、情報、不動産、設備等)の有効活用、事業運営の合理化
・フレキシブルオフィス利用における周辺サービスのニーズを商品化することで、事業領域を拡大させながら顧客単価を向上させる
[事業系統図]
TKPグループの事業の系統図は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてTKPグループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
TKPグループは、遊休不動産を再生し、社会ニーズに応じた付加価値を加え、空間サービスを創出する「空間再生流通企業」として、社会に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
TKPグループは、売上高の拡大に注力する一方、コストの最適化を図り、利益体質と資本効率の向上を図ってまいります。その経営成果の指標として、営業利益とROE(自己資本利益率)の向上を中期的な目標として活動しております。
なお、TKPは2024年2月期を初年度とし、2026年2月期までの期間を対象とした新中期経営計画を策定してります。計画は以下の通りです。
新中期経営計画の進捗は以下の通りです。
(3)中長期的な会社の経営戦略
TKPグループの主な事業分野である貸会議室の需要は、企業の働き方の多様化が促進され、固定オフィスの柔軟化が進んだことで、大幅に拡大しております。TKPグループは創業以来、遊休不動産を活用した空間再生により全国の施設ネットワークを拡大してまいりましたが、その市場規模は大きく、全国の不稼働オフィスのTAM(Total Addressable Market、獲得可能な最大市場規模)は約7,000億円(注)と想定しております。
現在TKPグループは、国内貸会議室市場において圧倒的なネットワーク力と多様なブランド展開を競争優位としており、必要な場所や目的に合わせた最適なスペースのサービス提供が可能となっております。
今後も貸会議室を中心としたフレキシブルスペース事業を中核に、料飲・バンケット、ウェビナー等の幅広い会議室オプションサービスやホテル・宿泊研修サービス等、周辺サービスを拡充しながら、付加価値の高い総合サービスの実現と効率的な資源配分を目指してまいります。
(注)「令和3年度 固定資産の価格等の概要調書」、「東京の土地 2021」、オフィス利用に関する各種調査をもとに国内オフィスの不稼働共有部面積およびその利用状況を推定し、年間貸会議室利用金額に換算した金額を、TKPが推計する貸会議室市場値に加算して推計。
(4)会社の対処すべき課題
TKPグループの中核事業はフレキシブルスペース事業であり、それに付随するサービスを付加価値として提供することで、事業拡大を目指してまいります。
事業拡大のため、TKPグループは以下の課題に取り組んでまいります。
① 効率的な出退店戦略の実施
TKPグループの事業の強みは、遊休不動産を保有せずに賃貸契約により確保する不動産開発であります。TKPグループは、継続的に不動産開発機能の強化を行い、不動産市況に応じて敏捷に新規出店や撤退の判断を行うことで、賃借する不動産ポートフォリオの入れ替えを行い、事業モデルの向上を図ってまいります。
② 付加価値サービスの見直し・拡充による利益率の向上
TKPグループは、これまでフレキシブルスペースに付随する様々なサービスを開発し、顧客にワンストップで提供することで付加価値を生み出してまいりました。社会が変化する中で求められるサービスを敏感に捉えて商品化し、利用顧客へ提案していくことで、顧客満足度と利益率の向上を図ります。
③ システムを駆使した営業・予約の最適化
フレキシブルスペースの需要拡大のためには、顧客データベースに基づく付加価値の高い提案営業と、より容易な予約システムの整備による予約管理の効率化が重要と考えております。TKPはシステム構築に適切な投資を行うことで、適時適切なコンサルティング提案を行い、企業のフレキシブルスペース需要を獲得してまいります。また、予約システムの簡略化により、フレキシブルスペース事業の運営効率の向上を図ります。
④ 人材の確保と育成
社会の環境が大きく変化する中、多様な能力や経験が必要とされるようになり、営業・オペレーション・不動産開発・管理等各部門において、TKPグループに最適な人材を獲得していく必要があります。TKPグループは中長期的視点に基づき、新卒・通年採用を強化して採用活動を行っていくとともに、有能な人材の確保及び従業員育成を継続的に強化してまいります。
⑤ 管理体制の強化
上場企業としての市場の信頼を獲得し続けるため、事業規模や事業展開にあわせた組織体制及び内部管理体制の改善・強化を図ることが重要かつ基礎的な課題であると認識しております。TKPは管理体制の更なる改善を目指し、実効性のあるシステムの整備、経営の効率化や経営資源の最適化を図ってまいります。
以下において、TKPグループの状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてTKPグループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)特に重要な事業等のリスク
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リスク項目 |
リスクの内容 |
主要な取り組み |
影響度 |
蓋然性 |
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感染症の流行、自然災害、不景気等に伴う需要の減少 |
以下のような事象が発生した際の、フレキシブルスペース等の利用キャンセル及び新規予約の減少が発生する可能性 ・新型コロナウイルス感染症を例とするような治療方法が確立されていない感染症が流行 ・大地震等の自然災害が発生 ・景気後退により、企業が支出を抑える動きが広がった場合 |
<家賃を柔軟に減額することが可能な体制> ・定期借家契約では、契約期間中の解約が基本的に不可能な中、TKPでは全契約の約4割を短期間(半年等)で解約可能な契約としている <市況に応じた柔軟なサービス提供> ・左記のような状況となった場合、TKPの既存の枠組み・不動産を活用した新サービスを組成し、新たな需要への対応を実施 |
大 |
高 |
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固定資産の減損 |
・当初想定していた収益が見込めず減損となる可能性 |
・各施設における稼働率向上施策や固定費削減の実施 |
大 |
中 |
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フレキシブルスペース事業の競争激化 |
・競争激化に伴う販売単価の低下により利幅が縮小する可能性 ・競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストが増加する可能性 |
・マルチブランド戦略により競合他社よりも幅広い顧客層を取り込む ・付随する多様なサービスを展開 ・申し込みから予約確定までをオンライン化し、短時間で完結できる仕組みを構築 |
大 |
中 |
(2)その他の重要な事業等のリスク
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リスク項目 |
リスクの内容 |
主要な取り組み |
影響度 |
蓋然性 |
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フレキシブルスペース事業の物件・スペース確保の難化 |
・不動産市況その他の要因により新規物件が計画どおりに確保できない可能性 ・既存物件の賃貸借契約が計画どおりに延長できない可能性 |
・新規物件の確保については、不動産オーナーのニーズを的確に把握 ・既存物件の賃貸借契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を実施 |
大 |
低 |
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個人情報等の取扱い |
個人情報を含む顧客及び取引先の機密情報が、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不備、災害の発生等により外部へ漏洩、消滅、改ざんや不正利用が発生した場合に社会的信頼を失い、顧客の利用が減少する可能性 |
・情報の取扱いに関わる社内規定の整備 ・定期的な従業員教育の実施 ・システムのセキュリティ強化 ・インシデントが発覚した際の対応フローの整備 |
中 |
中 |
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採用の難化 |
サービス業界における採用環境が悪化し、採用計画が達成できず、グループ全体の事業計画に支障がでる可能性 |
・採用活動と企業ブランディングの強化 ・人事制度の見直し/改定や研修の充実化 |
中 |
中 |
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M&A 及びのれんの減損 |
以下のように、M&AにおいてTKPグループが当初期待していた成果が得られず、買収時に発生したのれん及び無形資産や取得した有価証券等を減損する必要が生じる可能性 ・買収した事業において継続的な需要を維持することが困難な場合 ・TKPグループのサービスと買収した事業との間でシナジー効果が得られない場合 ・買収時に想定しなかった重大な問題点が買収後に発見された場合 |
・TKPグループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを実施することでシナジー効果を発生させる ・事前に財務・税務・法務等詳細なデューデリジェンスを実施 ・経営会議等において買収価格の適切性に関する審議を実施 ・不要な固定費を削減する等、効率的な運営を実施 ・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップや定期的なモニタリング |
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※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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