ピーバンドットコム(3559)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


ピーバンドットコム(3559)の株価チャート ピーバンドットコム(3559)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 ピーバンドットコムは、「アイデアと探究心で、”あたりまえ”を革新する。」というパーパスの下、プリント基板のEコマース「P板.com(ピーバンドットコム)」の運営を中心に事業を行っております。
 プリント基板は、自動車、テレビ、スマートフォン、医療機器など、あらゆる“電子機器”に使われる基幹部品です。既存のエレクトロニクス産業の需要に加え、近年では、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す「Society5.0」においても多様なデバイスの開発・利用の促進がされており、今後益々プリント基板の需要は拡大していくものと思われます。
 プリント基板の調達に必要な、基板設計・製造・部品実装の基幹サービスに加えて、電子機器などを収めるケース(筐体:きょうたい)の製造、基板と基板をつなぐハーネス部品の加工など、周辺サービスの充実を図っております。

 国内でいち早くサービスを開始したこれまでの実績に加え、ニーズに合わせたサービス領域の拡充とお客様に寄り添ったサポートによりサービスの信頼性が向上したことなどで、プリント基板の設計・製造・部品実装を一括で利用するワンストップ・ソリューション(※)の利用頻度が高まり、注文単価の増加に繋がっております。
 近年では、量産の対応や、電子機器製造を一括で受託製造するEMSまでサービス領域を広げ、開発・量産支援サービス「S-GOK(スゴック)」を開始し、IoT関連製品を中心に受注を伸ばしております。
 

 現段階では「P板.com」が収益の柱となっておりますが、「P板.com」で蓄積した顧客基盤による信頼性を活かしながら、ものづくりに必要なリソース「ヒト、モノ、カネ、時間、情報」を満たすためのピーバン・オムニチャネルの構築を目指し、持続的な事業成長に繋げてまいります。

ものづくりの”足りない”を満たす、ピーバン・オムニチャネルの構築

 

 なお、ピーバンドットコムはプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。ピーバンドットコムの展開する事業概要は以下のとおりになります。

 

※ワンストップ・ソリューション:必要になる作業を一度の手続きで全て完了することが出来るサービスを意味します。ピーバンドットコムのサービスは、プリント基板の設計、製造、部品実装までウェブ上で簡単に一括して注文手続きを行うことができます。

 

(1)事業の概要

① プリント基板のEコマース「P板.com」

 ピーバンドットコムは、プリント基板のEコマースである「P板.com」の運営を行っております。

 「P板.com」では、顧客がピーバンドットコムWebサイト上で選択した基板の仕様に合わせ、国内又は海外の提携仕入先の中から最適な価格・納期・品質で製造できる工場を自動選定し、4つの納期のコースに合わせた見積金額を提示します。顧客は提示された見積・納期の中から選択し、設計図をアップロードするだけでプリント基板を手軽に注文することができます。ピーバンドットコムでは、顧客から提示された基板の設計図をカスタマーサポート部にて確認した後、ただちに、提携仕入先へ自社システム上より発注を行う仕組みとなっております。工場では、通常2、3日以内に製造が完了し、顧客の手元に届けられます。

 

 事業のサービス別分類は、下記のとおりであります。

サービス分類

説明

設計

顧客から支給される「電気信号の流れを表した回路図」に基づき、基板を製造するためのデータを、CADソフトによって設計します。

製造

顧客から支給される基板製造用データ又はピーバンドットコムの設計サービスにより設計した基板製造用データに基づき、基板を製造します。事業の主力部分です。

実装

製造した基板に、電子部品を配置し、はんだで接続します。電子部品をピーバンドットコム側で調達を行うオプションの利用が増加しております。

その他

基板へ電子部品を実装する際に必要となる専用治具「メタルマスク」の製造、筐体の製造、部品実装済み基板や外部装置などを接続する電線(ハーネス)を加工するサービス等があります。

 

② 開発・量産支援サービス「S-GOK(スゴック)」

 ピーバンドットコムでは、広範なサプライチェーンネットワークとものづくりの知見を活かし、電子機器の受託製造サービス「S-GOK(スゴック)」を展開しています。S-GOKは単なる製造請負にとどまらず、ソフトウェア開発、部材調達、組立、検査までを含む包括的な支援体制を構築。開発初期から量産フェーズに至るまで、一貫したモノづくりを支援します。

 サービスの提供を進める中で、顧客企業が製品アイデアを具体的な要件定義へと落とし込む初期段階において、的確なサポートへのニーズが極めて高いことが明らかとなりました。こうした課題に対応するため、ピーバンドットコムでは新たに「S-GOKコンサルティングサービス」を開始。構想段階から量産体制の確立までを一貫して支援し、製品化へのスムーズな移行を可能にしています。

 特に、スピード感と柔軟性が求められるスタートアップ企業においては、迅速な意思決定と開発体制の立ち上げが成功の鍵となります。S-GOKでは、ハードウェアとソフトウェアを横断する総合的な技術支援により、こうしたニーズに応えることで他社との差別化を図っています。

 現在、S-GOKは数千台~数万台規模の小ロット製造を中心としたIoT分野を主軸に利用いただいており、着実に市場への浸透を進めています。

 

③ エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele」の運営

 プリント基板を扱う技術者のすそ野を広げるためのインフラ整備にも力を注いでおります。IoTの広がりに伴い、IT・エレクトロニクス業界のみならず、異業種からの電子機器の開発需要が増加する中、エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele(アットマーク・エレ)」をリリースし、主に若手エンジニアの育成の後押しを行っております。プリント基板に関する専門情報を配信することで、ピーバンドットコムへの技術的信頼度を向上させるとともに、ピーバンドットコムサービスの広報活動も並行して行い、ユーザーの獲得、ピーバンドットコムサービスの利用拡大へと繋げております。

 

④ エンジニアの登竜門「GUGENコンテスト」の運営

 電子機器産業の持続的な発展のためには、電気・電子エンジニアの人口拡大が不可欠と考えております。そのために、ピーバンドットコムは2009年よりエンジニアにスポットを当てる「電子工作コンテスト」を開催し、自身が作成した電子工作の作品を、一般客やメディアに披露できる場を提供してまいりました。以降、毎年開催しており、2013年に「GUGEN(ぐげん)」に名称を変更し、「社会における課題を解決するデバイス」と審査基準を改め、世の中に必要とされる作品の開発を業界のエンジニアに促した結果、今までの累計で1,700作品を超える作品が誕生しております。審査員やスポンサーは業界の著名人やスタートアップ(急成長を目指す新規の立ち上げ企業)への支援企業の方等を中心に招聘し、いまではエンジニアの登竜門の場として定着しました。ピーバンドットコムのこのような活動は、2024年の開催で16年目となり、「P板.com」の広報としての要素も兼ねた活動となっております。

 

 

(2)プリント基板のEコマース「P板.com」の特徴

① 試作開発に特化した新しい料金体系の提示

 新製品の開発には試作(プロトタイプの作成)が必要不可欠ですが、それに要するプリント基板の作製には高額なイニシャル費用(初期費用)が発生します。試作は1回だけでなく、2回3回と繰り返しながら製品に磨きを掛けるのが一般的であり、その都度イニシャル費用が発生することは、限られた開発コストを圧迫することになり、エンジニアの悩みの一つでした。

 そこでピーバンドットコムは、「異種面付工法」(※)により、イニシャル費用を大幅に効率化した上で、基板製造費用に全てを含めた料金体系を提示し、当時の一般的なプリント基板製造の相場から大幅に安く提供を行うことで、実績を拡大してまいりました。

※ 異種面付工法:定格サイズ(4~5m四方)の材料で一種類の基板のみを製造する従来の方法に対し、複数種類の基板を共に製造する工法。材料を余すこと無く使用でき、試作等で少量の基板が必要な場合に有用。

 

② 効率的な受発注管理の仕組み化

 ピーバンドットコムのプリント基板のEコマース事業では、受発注管理を効率化し、顧客から注文を受けて製造・仕入・出荷まで、すべて自社システム内で完結させることで迅速な対応を実現しております。電子機器の根幹を支える「プリント基板」は一点ごとに意匠の異なるオーダーメイド製品ですが、基板を構成する部品は規格化されたものであることから、ピーバンドットコムでは基板仕様を汎用標準化して顧客が希望するプリント基板をインターネット上で直販する仕組みを構築し、仕入・発送まで大幅にスピードアップして、商品を迅速にエンドユーザーにお届けしております。商品の仕入・販売に関しては、店舗・営業所を保有せず、顧客からの受注機能、仕入商品の発注機能、商品の入出荷管理機能及び電話による顧客サポート機能を本社に集約しており、受発注管理のほぼ全てを自社システム内で完結し、効率化しております。

 

③ 利便性の高い見積・注文システムの構築

 スピード感を重視し製品の開発・研究を営む企業において、購買に時間をかけることなく商品を仕入れることは重要視されます。オーダーメイド品であるプリント基板は、製造を依頼するプロセスに基板製造業者との対面でのやりとりが不可欠であったため、見積取得や価格交渉に時間を割く必要がありました。ピーバンドットコムは、その課題を解決するために、インターネット環境があれば、いつでもどこでも瞬時に見積が取得出来る「1-Click見積」システムをピーバンドットコムWEBサイト上に設置し、電気・電子エンジニアが製品開発時に感じる見積取得の煩わしさを解消いたしました。

 

④ 広範に渡る顧客層

 Eコマースを利用した販売形態を採用することにより、従来の対面販売型と比べ基板発注の敷居が下がり、顧客層を広げることができました。その結果、大学・高専/研究機関など公的機関、国内大手セットメーカやそれを支える電子部品の中堅・中小企業などの法人、さらに個人事業主に至るまで試作開発案件を取り込み、累計取引者数は2万8千社を超え、幅広い顧客層から支持を得ております。品質への要求に対しては、ISO9001:2015規格の認証を取得し、よりよい製品やサービスの提供にコミットしております。また「納期遵守の徹底」により10年連続納期遵守率99%超え達成したこと等によりピーバンドットコムへの信頼度が向上し、大手企業・中堅企業との取引が拡大しております。

 

⑤ ファブレスによる優良な仕入先との関係構築

 ピーバンドットコムは、自社工場を持たない、いわゆるファブレスでの運営を行っております。仕入先については、一社に依存することなく、国内外の複数の仕入先と提携することで、安定した製品の供給と、顧客の要求に沿った、より競争力のある商品を提供しております。

 

 仕入先とは、信頼と実績に基づき、低価格で高品質の商品を納期通りに提供して頂けるように長期にわたり安定した取引関係を築くことを基本としています。ピーバンドットコムでは、プリント基板の市場価格や需要の変動、求められる品質基準の向上、納期の短縮化を常に意識し、改善を心掛けており、ピーバンドットコムの培ったノウハウを仕入先にも共有し、より競争力ある商品を提供いただくこともピーバンドットコムの役割と心得ております。

 

⑥ 取扱う商材の拡大

 プリント基板の中でも、取扱いやすさから様々な製品に採用されているリジッド基板(※1)を主軸として、フレキシブル基板(※2)、アルミ基板(※3)、リジット・フレキシブル基板(※4)などの商材を取り扱っております。近年では、LED照明等に使われるアルミ基板、EV・ロボットなど大電流制御の用途で使われる厚銅基板(※5)の需要拡大に合わせ、充実を図っております。また、プリント基板の周辺商材として、メタルマスク、筐体、ハーネス等の取扱もしております。

※1 リジッド基板:柔軟性のない硬質な材料をベースとした基板、電化製品に主として使用されている。

※2 フレキシブル基板:薄く柔軟性のある材料をベースとした基板、ウエアラブル機器やスマートフォン等に使用されている。

※3 アルミ基板:リジッド基板にアルミ材を合わせ放熱特性を高めた基板、照明機器などによく使用されている。

※4 リジッド・フレキシブル基板:硬質な材料と薄く柔軟性のある材料とを複合した基板。

※5 厚銅基板:基板上の銅箔部分が厚く大電流を流せる基板。

 

(3)新たな成長ドメイン「GUGEN-Hub(グゲンハブ)」構想

 ピーバンドットコムのお客様の多くは、研究開発部門(R&D)に従事するハードウェア開発者であり、その業務を効果的に支援するためのツール開発に注力しております。GUGEN Hubはハードウェア開発エンジニアが、研究開発に専念できる環境を提供することを目的とするサービスです。電子部品のみならず、ワイヤーハーネスや筐体のメーカー様、専門商社や他社のECサービスまでも、GUGEN Hubを通して繋ぐことを目指しています。エンジニアは、GUGEN Hubを利用することで最適なサプライチェーンを見つけることができます。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 ピーバンドットコムの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてピーバンドットコムが判断したものです。

(1)経営方針

 ピーバンドットコムは、「アイデアと探究心で、”あたりまえ”を革新する。」というパーパスの下、プリント基板のEコマース「P板.com(ピーバンドットコム)」の運営を中心に事業を行っております。企業パーパスを実現するために、以下の行動規範、行動指針を掲げております。

 

・企業パーパス(Purpose)
「アイデアと探究心で、”あたりまえ”を革新する。」

・行動規範(Code of Conduct)
「ワクワクするチャレンジを選ぶ。」

・5つの行動指針(Credo)
「アイデア、どんどん発信しよう!」
 積極的に提案をして、よりよい会社にしていこう
「たゆまぬ探究心で、形にしよう!」
 諦めず、粘り強く物事の本質を見極めよう
「学び続け、成長し続け!」
 継続的な学習で、自己を豊かにしよう
「失敗はステップ、恐れず飛び込もう!」
 失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧にしよう
「ハートフルな話し方、心地よい聴き方!」
 気持ちのいいコミュニケーションで、よりよい関係を築こう

 

(2)経営戦略

 ピーバンドットコムが持続的な事業成長を続けていく為には、今後2-3年の短期視点だけではなく、より長期的な世の中の変化をトレンドとして捉えた経営が必要になると考え、2021年12月10日、「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を策定し、公表しました(2023年5月12日改訂)。今後予想される産業・技術トレンドの変化、地政学的リスク、サステナビリティ課題など幅広く検討しながら、「ピーバンドットコムが2030年のありたい姿」を明確にしました。2022年度から2030年度の9ヵ年に渡る計画期間を定め、2030年のありたい姿実現のため事業運営を進めてまいります。

 

 長期ビジョンに基づく中期経営計画の概要は以下となります。

 

・計画期間(中期経営計画全体:2023年3月期~2031年3月期の9年間)

第1次中期経営計画:2023年3月期~2025年3月期

テーマ「飛躍に向けての基盤構築」

第2次中期経営計画:2026年3月期~2028年3月期

テーマ「新たな成長の始動―GUGEN プラットフォーム構築 第2章」

第3次中期経営計画:2029年3月期~2031年3月期

テーマ「変革への挑戦-GUGENプラットフォームのその先へ」

 

・ピーバンドットコムが2030年にありたい姿

誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供

 

・第1次中期経営計画の内容

①基本方針

既存事業の拡大・強化を主体とする「地に足の着いた」事業戦略

 

②事業展開の戦略

プリント基板EコマースP板.comの拡大、開発・量産支援のテイクオフ、「第3の事業の柱」の探索と種まき

 

③戦略投資と事業提携の加速

人材育成などによる人的資本の強化、知的資本投資による仕組みの強化

思いを共にするパートナーとの事業提携検討

 

④KPIマネジメント

売上成長KPI(売上高、購入客数、単価、事業別シェア、LTV)

収益管理KPI(営業利益率、ROE(ROIC))

品質管理KPI(クレーム発生率、納期遵守率)

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ピーバンドットコムは、事業活動の成果を示す①売上高、少数精鋭で効率的な事業展開を図る指標として②営業利益率、③ROEを重要な経営指標としております。

 

(4)経営環境及び財務上の対処すべき課題等

 ピーバンドットコムを取り巻く環境では、電子部品の調達状況は正常化に向かい、生産活動は回復基調にあると予想しております。引き続きピーバンドットコムの掲げる「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を推し進めてまいります。

 ピーバンドットコムは、2030年に達成する「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」の実現のため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

①プリント基板Eコマース事業のシェア拡大

 現在の基幹サービスである「P板.com」で獲得を目指す電子回路基板、及び電子回路実装基板の国内生産額は約1兆6千億円で、市場規模を勘案すると、多くの獲得余地があります。

 シェア拡大のためには、20年間培ってきた自動化されたWEBシステム等の「仕組み」を強化すること、さらに、「人」による営業力を組み合わせたハイブリッドな顧客対応を行うことで、サービスの利用促進を図ることが重要であると考えます。

 

また、各種サービス改善を進め、ほぼすべての顧客が利用いただく基板製造サービスを軸に、プリント基板作製の前後工程にあたる基板設計サービス、部品実装サービスを併せてご利用いただき、クロスセルでの収益向上を図ります。

 

 お客様、提携基板メーカの双方にとってより良いプラットフォームが提供出来るよう引き続き努めてまいります。

 

②開発・量産支援サービスの拡販

 事業基盤の拡大のためには、お客様により幅広くピーバンドットコムサービスをご利用いただくことが重要です。電子機器の一括受託生産を行うEMSを含んだ開発・量産支援サービス「S-GOK(スゴック)」を昨年リリースし、受注拡大に向けた営業活動を展開しました。

 S-GOK(スゴック)では、電子機器生産の受託だけでなく、ソフトウェア開発や、製品量産化へ向けた部材調達・組立、検査工程など広範囲な層へアプローチを行います。活動の中で、顧客側での製品をアイデア段階から具体的な要件定義に落としていく準備作業にフォローが必要で、多くの需要があることが分かりました。当期は、コンサルティングとしてのサービスを立ち上げ、受託開発と並行して採算性の向上に努めてまいります。

 

③第3の事業の柱の探索と種蒔き

 ピーバンドットコムはプリント基板Eコマースをコア事業として、売上規模を拡大してまいりました。ピーバンドットコムが目指す「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」のためには、より広範な事業展開が必要で、既存事業分野の拡大に加え、新規事業分野の探索活動を両立させる「両利きの経営」での拡大が重要と考えております。

 既存サービスの収益で蓄積した内部留保の活用で、外部企業との提携などを通じて、自社の資源のみでは実現に時間を要する事業展開を目指します。

 新規事業分野の候補には、企業パーパスの「アイデアと探求心で、“あたりまえ”を革新する。」を念頭におき、長期的な経営環境の変化を見据えて、サステナビリティ課題への対応も考慮に入れながら選定し、企業成長と社会課題解決の同時追求、持続性あるビジネスモデルの構築を進めてまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ピーバンドットコムは、これらリスクの発生の可能性を認識して事業活動を行っておりますが、ピーバンドットコムの株式に関する投資判断は、本項及び本書中の他の記載事項も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在においてピーバンドットコムが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)ピーバンドットコムの事業について

① 価格競争激化の可能性について

 インターネットを通じた商品の販売は、流通構造の簡素化、販売コストや事務コスト削減などの効果を販売者にもたらします。従って取引コストの合理化に伴う商品価格の低下を招く可能性があると考えられます。また、購入者にとっても、価格比較サイトによって事業者間の価格比較が容易となったため、複数の事業者がインターネット上で価格情報を公表している場合、価格競争は激化しやすいと考えられます。ピーバンドットコムの取扱商品について、他社がインターネット上で販売する商品が増加した場合には、ピーバンドットコム取扱商品の一部が価格競争に陥ることにより収益力が低下し、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合について

 ピーバンドットコムのプリント基板の通信販売事業では、競合会社が存在しております。また販売商材は異なるものの、工場用間接資材の販売では、さらに多数の競合会社が存在します。これら両方を兼ね備えた競合会社は、現在のところ多くは存在しませんが、今後、既存の通信販売事業者が、ピーバンドットコムの取扱う商品に領域を広げたり、また工場用間接資材の通信販売事業者が基板のようなカスタム商品の販売も対象とするようになると、それら事業者との競争の激化が予想されます。

 ピーバンドットコムは先行メリットを活かしながら顧客ニーズに合致した商品の取扱い拡大や価格面等において、競合他社との差別化を図ってまいりますが、他に優れたビジネスモデルの競合会社が現れた場合、ピーバンドットコムの提供するサービスが陳腐化し、既存事業者や新規参入事業者を含めた競争の激化により、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 新規事業について

 ピーバンドットコムは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、基板関連サービスの拡充など積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えです。これによりシステム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わると共に、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、ピーバンドットコムの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)インターネット利用のリスクについて

① インターネットを利用した営業形態への依存について

 ピーバンドットコムは、ピーバンドットコムの運営するインターネットサイト「P板.com」にて注文を受付け、発注管理もインターネットを利用しております。また販売促進活動も、インターネットを通じた広告掲載、電子メールによるダイレクトメール送付などを顧客への主要なアプローチ手法としております。このように主にインターネットを使用した営業形態をとっているため、インターネットを通じた商取引の信頼性が失われた場合、もしくはインターネットを通じた商取引の利便性が顧客に十分に受け入れられない場合は、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② システム、インターネットの障害について

 ピーバンドットコムの運営するインターネットサイト「P板.com」は、自然災害、事故及び外部からの不正アクセス等のために、インターネットによるサービスが停止する恐れがあります。

 ピーバンドットコムでは、システムトラブルの可能性を低減するために、万一の事故に備え、システム強化やバックアップ体制、ネットワークセキュリティの強化を行うなど、細心の注意を払っており、システムトラブルが発生した場合でも早期に復旧できる体制を整えております。

 しかし、大規模な自然災害や社内外の人的要因によるものを含む事故等の発生や、想定を上回るアクセスの集中等による基幹システム及びネットワークの障害等を完全に回避することは困難であり、万が一障害等が発生し、開発業務やシステムに重大な被害が生じた場合には、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 検索エンジン最適化(SEO)への対応について

 GoogleやYahoo!等の検索エンジンにおいて、プリント基板に関連するキーワードをインターネット検索した際に、検索結果でピーバンドットコムのウェブサイトがどの程度上位に表示されるかは、マーケティングの観点から非常に重要であります。ピーバンドットコムの運営するインターネットサイト「P板.com」の顧客の多くは、特定の検索エンジンの検索結果から誘導されてきており、当該検索エンジンからの集客数を確保するため、今後におきましてもSEO対策を実施していく予定であります。しかし、ピーバンドットコムが適時適切にSEO対策を実施しなかった場合、または検索エンジンにおける検索アルゴリズム変更等により、これまでのSEO対策が有効に機能しなかった場合、ピーバンドットコムへの顧客流入数が想定数を下回り、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

④ インターネットによる風評被害

 ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、ピーバンドットコムの経営にとってマイナスの影響が生じ、ピーバンドットコムの事業展開、財政状態や経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3)仕入・物流関係のリスク

① 仕入先への業務の委託

 ピーバンドットコムは、主に基板に関わるサービスである設計、製造、実装やそれらに付随する業務の全部又は一部について、他社に委託しています。ピーバンドットコムの仕入先・業務委託先は業歴も長く、ピーバンドットコムとの取引歴の長い先が中心で、安定した取引関係を維持してきましたが、何らかの事由により委託先がピーバンドットコムの期待通りに業務を行うことができない場合、ピーバンドットコムの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 物流拠点の集中・依存について

 ピーバンドットコムの国外仕入先からの、商品の納入から取引先への出荷までの一連の業務を関東地区の物流倉庫に委託しており、業務機能の集中によるリスクが存在します。リスク発生時における国外から国内への仕入先の切り替え、物流拠点の地方分散の検討など対応体制の整備は常に行っておりますが、万が一対応能力を超えるような大災害や委託先の財務状態が著しく悪化した場合は、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 委託配送料の値上げや配送遅延のリスク

 ピーバンドットコムは、商品の出荷配送を外部業者に委託しております。現在、業務委託先の協力の下最適な物流体制を構築しておりますが、物流コストの上昇や配送ドライバーの人手不足問題等により、委託配送料の値上げや、お客様からのご注文量の増加に対応した配送委託が間に合わない場合、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 原材料調達及び価格高騰のリスク

 ピーバンドットコムの取り扱う製品に係る原材料には、銅をはじめとした金属が使用されております。これらの原材料は、海外からの輸入に依存しており、世界情勢・経済状況の変化、法律の改正、または世界的な需給逼迫等により調達状況に変化が起こる可能性があります。

 ピーバンドットコムは国内外の業務委託先で製品の製造をしており、ピーバンドットコムが直接原材料の調達を行うものではありませんが、原材料の調達状況が急激に変化した場合には、委託先より仕入れ価格の値上げ要請を受ける可能性があります。

 これらの原材料調達及び価格高騰のリスクに対し、ピーバンドットコムは業務委託先の分散、また、ピーバンドットコムのプラットフォームの利便性を上げ、より効率的な受発注体制を作ることにより、安価に安定的に調達できるよう努めております。

 

(4)外部要因について

① 為替レートの変動について

 ピーバンドットコムの輸入商品の仕入れに占める割合は約50%であり、今後も為替レートの変動を見て増減を図っていく方針であります。当該輸入の決済代金は、為替相場変動リスク回避のため、円建が中心ですが、為替相場の変動により仕入れ値が変動する可能性があります。為替レートが大幅に円安に推移した場合には、商品調達コストを押し上げる等、為替レートの変動がピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 生産国のカントリーリスクについて

 ピーバンドットコムの国外仕入先からの商品は、韓国・台湾・中国などアジア各国からの輸入によるものです。このためアジア各国等の政治情勢、経済環境、自然災害等により製造が滞った場合、又は輸送が困難となった場合には、ピーバンドットコムの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 国内の景気動向の影響について

 ピーバンドットコムの登録会員は拡大傾向にあり、特定の顧客・業界への依存度が低いことから、ピーバンドットコムの業績は相対的に景気変動の影響は受け難い傾向にあると思われます。しかし、足元では世界的な半導体不足が生じており、国内の顧客の開発状況に影響を及ぼす可能性があります。ピーバンドットコムの主要な顧客の業績が急速に悪化する時期にピーバンドットコムが迅速かつ十分に対応できない場合、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

① 法的規制について

 ピーバンドットコムの事業は、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商品取引法」、「製造物責任法」及び「不正競争防止法」等による法的規制を受けております。そのため、従業員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。しかし、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において安全上の問題や表示表現等の問題が発生する可能性があります。これらの問題が発生した場合、多額のコストやピーバンドットコムのイメージ低下による売上の減少等が想定され、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人情報や機密情報の保護管理について

 ピーバンドットコムの運営するインターネットサイト「P板.com」では、利用者本人を識別できる顧客情報を保有しております。ピーバンドットコムは、顧客情報の保護について、信頼性の高い外部サーバで当該個人情報や機密情報を保護するとともに、社内規程の策定、従業員教育等を通じ、情報の流出防止に万全を期しております。しかし、ピーバンドットコムや委託先の関係者の故意・過失、サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、不正アクセス又は不測の事態により、個人情報の漏洩その他不適切な処理が行われた場合、ピーバンドットコムの社会的信用度が低下し、損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、ピーバンドットコムの運営する「P板.com」の信頼性等が毀損し、セキュリティシステム改修の為の多額の費用が発生する可能性があります。その結果、競争力が低下し、ピーバンドットコムの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産権について

 ピーバンドットコムは、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っておりますが、ピーバンドットコムの事業分野でピーバンドットコムの認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たにピーバンドットコムの事業分野で第三者による知的財産権等が成立する可能性があります。かかる場合は、第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等又はピーバンドットコムに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、ピーバンドットコムの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 訴訟について

 ピーバンドットコム事業に関しては、常に顧問弁護士と相談しながら推進しております。しかしピーバンドットコムの事業分野のすべてにおける法的現況を把握することは困難であり、ピーバンドットコムが把握できないところで法律を侵害している可能性は、完全には否定できません。損害賠償又は商品の販売差止等の請求を受ける場合は、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 法令面の社員教育

 ピーバンドットコムでは、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備、販売管理体制の構築、また、適宜、顧問弁護士のアドバイスを受ける等、法的規制を遵守する管理体制の整備に努めております。しかし、クレーム・トラブル等が生じた場合や、法令に違反する行為がなされた場合、及び法令改正や新たな法令制定が行われた場合には、ピーバンドットコムの事業活動、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)組織体制について

① 有能な人材の確保や育成について

 ピーバンドットコムでは、事業規模の拡大及び業務内容の多様化に対応するため、各部門にて優秀な人材の確保と育成は課題であり、必要に応じて外部人材を採用しながら、内部人材の育成強化と登用に努めております。しかし、ピーバンドットコムの事業規模の拡大に応じた人材育成や採用等が計画通り進まないまま競争が激化する場合、また競合他社との人材獲得競争により人材が流出する場合は、適正な人材配置が困難となり、競争力低下や業容拡大の制約要因となって、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 自然災害、感染症流行、事故、有事等の災害復旧対策等について

 ピーバンドットコムは、従業員の生命・安全の確保と共に被災に耐える環境の整備に努めており、地方での在宅ワーク人員の確保を行うなど、リスク分散を図っております。本社機能と事業活動、人的資源は首都圏に集中しており、地震等の自然災害や、新型コロナウイルス感染拡大など、他の事業活動継続に支障をきたす事件やテロ・紛争等が発生した場合、想定外の被災や有事の影響による業務中断や業務不能の事態、被災からの復旧遅れ等により、ピーバンドットコムの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 上場維持基準の適合状況

 ピーバンドットコムは、2024年3月31日時点において、東証スタンダード市場における上場維持基準のうち、流通株式時価総額については基準に適合をしておりません。当該基準については経過措置基準・期間が設けられており、2026年3月31日時点で当該状況が改善されていない場合、監理銘柄に指定されるリスクがあります。

 そこでピーバンドットコムは、今回不適合となった「流通株式時価総額」を充たすために、2026年3月31日までを改善期間とした、上場維持基準への適合に向けた各種取組を進めてまいります。

 詳細は、2024年6月26日に開示いたしました「上場維持基準の適合に向けた計画」をご参照ください。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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