エイチームホールディングスグループ(エイチームホールディングス及びエイチームホールディングスの関係会社)は、エイチームホールディングス(株式会社エイチーム)及び連結子会社9社によって構成されております。
報告セグメントにつきましては、人生のイベントや日常生活に密着し、有益な情報を提供する比較サイト・情報サイトなど、様々なウェブサービスの企画・開発及び運営を行う「ライフスタイルサポート事業」、「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するスマートデバイス向けゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」、そして様々な商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発及び運営を行う「EC事業」の3つの事業軸でビジネスを展開しております。
3事業とも原則内製開発しており、企画から運営に至るノウハウを自社内に蓄積し、様々なサービスの展開に活かしております。
なお、2021年8月1日付で、持株会社体制に移行しております。エイチームホールディングスは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準につきましては連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
会社名 |
セグメント |
主な事業内容 |
エイチームホールディングスとの関係 |
株式会社エイチーム |
- |
グループ会社の経営管理 |
- |
株式会社エイチームエンターテインメント |
エンターテインメント事業 |
スマートデバイス向けゲーム・ツールアプリの企画・開発及び運営 |
連結子会社 |
株式会社エイチームライフデザイン |
ライフスタイルサポート事業 |
デジタルマーケティング支援ビジネス |
連結子会社 |
株式会社エイチームウェルネス(注1) |
EC事業 |
ECサイトの企画・開発及び運営 |
連結子会社 |
株式会社エイチームフィナジー |
ライフスタイルサポート事業 |
デジタルマーケティング支援ビジネス |
連結子会社 |
Qiita株式会社 |
ライフスタイルサポート事業 |
プラットフォームビジネス |
連結子会社 |
株式会社エイチームコマーステック |
EC事業 |
ECサイトの企画・開発及び運営 |
連結子会社 |
株式会社microCMS(注2) |
ライフスタイルサポート事業 |
ヘッドレスCMS「microCMS」の開発及び販売 |
連結子会社 |
他、連結子会社2社
エイチームホールディングスグループ事業のビジネスイメージ
(注1)2024年2月1日付で株式会社エイチームウェルネスが運営していた女性向け生理予測・体調管理アプリ「Lalune」を開発・運営するラルーン事業に関する資産、債務、契約その他の権利義務を簡易吸収分割により譲渡いたしました。その結果、株式会社エイチームウェルネスの事業内容はECサイトの企画・開発及び運営のみとなったため、所属するセグメントはEC事業のみとなっております。
(注2)2024年6月3日付で、株式会社microCMSの発行済株式の100%を取得し、連結子会社化いたしました。
エイチームホールディングスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてエイチームホールディングスグループが判断したものであります。
エイチームホールディングスグループは「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」という経営理念のもと、“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」の実現に向け、中長期的な成長戦略を掲げております。以下12点を主な経営課題として認識し、迅速に対処してまいります。
(1)中長期的な成長に向けた事業ポートフォリオの強化
エイチームホールディングスグループは、自社サービス開始以降、経営の安定性と高い成長性のバランスを実現するために、事業の転換・拡大を継続して行ってまいりました。現在はライフスタイルサポート事業、エンターテインメント事業、EC事業の3つの軸で事業を展開しております。今後も持続的な成長並びに中長期的な企業価値の向上を目指し、新たな事業の創出や他の企業との協業、M&A等多様な戦略を用いて、先行投資を進めながら事業ポートフォリオの強化を図ってまいります。
(2)ライフスタイルサポート事業における既存サービスの強化及び新規サービスの拡充
ライフスタイルサポート事業は、人生のイベントや日常生活に密着した便利なサービスを多数提供しております。それぞれのサービスにおいて利用者のニーズに即した周辺サービスを拡充しつつ、今後はこれらのサービス間で相互送客を強化することにより、集客効率並びに利益率の向上につながるものと考えております。新規サービスにおいても、同様にサービス間での相互送客を行いながら、継続顧客を確保するための施策に積極的に取り組み、事業を拡大してまいります。
(3)エンターテインメント事業におけるグローバル市場での成長
グローバルのデジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)規模は26兆円を超え、東アジア、北米、欧州の主要3地域では、欧州を中心に引き続き堅調な成長を遂げています(『ファミ通ゲーム白書2024』)。一方、国内外多くのゲームメーカーの本格参入により競争が激化しています。このような事業環境の中、持続的な成長を遂げるために、既存ゲームの健全な収益性の確保を維持するとともに、スマートフォンのみならずデジタル配信ゲーム市場全体をターゲットに、マルチデバイスでのグローバル展開に舵を切り、ゲームの開発を進めてまいります。また、今後は、これまでのゲームアプリ開発で培ったスキルやノウハウを活かし他社協業案件や受託開発案件も進めてまいります。
(4)EC事業における新商材の成功
2020年3月に立ち上げた化粧品ブランド「lujo(ルジョー)」では、ファンデーションをはじめとした複数商品を販売しております。再現性の高いヒット商品の開発とウェブ集客力を活かし、継続的に売上高成長をしております。2021年8月には、ドッグフードブランド「OBREMO(オブレモ)」をリリースし、エイチームホールディングスグループのさらなる売上高成長を牽引できるよう、引き続き今後の中長期的な成長を見据え、商品ラインナップの拡充による売上高成長を追求してまいります。
(5)優秀な人材の確保と育成
優秀な人材を確保することはエイチームホールディングスグループの持続的な成長に必要不可欠であります。そのため、多様な働き方を実現する職場環境の改善、福利厚生の充実、人事考課制度の整備・運用及び採用活動の多様化に努め、人材の確保に力を入れております。
採用においては優れた専門性のみならず、人間性・協調性を重視した人材の選考を心がけており、企業文化と経営理念の共有により、みんなで協力し合いながら長く楽しく働ける組織作りを大切にしております。
また、社内外での研修・教育の強化等を含む人材育成制度の整備を進めるとともに、ジョブポスティング制度・フリーエージェント制度等といった機動的な人材活用を制度的にも実施しながら、事業間で経験とノウハウを共有することで企業とともに成長していく人材の育成に努めております。
(6)コーポレートブランドの向上
エイチームホールディングスグループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、提供するサービス自体のユーザビリティ、品質等に加え、各サービスの認知度・知名度を向上し、利用者数を拡大していくことが不可欠であります。
また、グループ全体の事業を支える優秀な人材の獲得や他社との提携等をより有利に進めるためにも、エイチームホールディングスグループでは、今後も費用対効果を見極めながら、サービスの広告宣伝活動のみならず、企業認知度の向上や企業イメージの確立に取り組んでまいります。なお、ステークホルダーに対する適切かつ積極的な情報開示及び広報活動を実施することにより、コーポレートブランドの向上を目指してまいります。
(7)サステナビリティ経営の推進
エイチームホールディングスグループの経営理念である「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」のもと、“Ateam Purpose”である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」の実現を目指すためには、エイチームホールディングスグループにおける持続的な事業成長と併せて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要だと認識しております。気候変動問題をはじめとした環境問題への対応は、今後に向けて取り組むべき課題であると認識しており、経営基盤の強化が進んだ段階で、機関形成及び体制整備を検討してまいります。また、従業員の働く環境や安全衛生、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン等の人的資本に関しても積極的に取り組んでまいります。
今後、特定した重要課題への取組を推進し、顧客・取引先・株主・従業員、社会・環境を含むすべてのステークホルダーから必要とされ続ける存在を目指してまいります。
(8)グループ経営体制及びコーポレートガバナンスの強化
エイチームホールディングスグループは、国内連結子会社8社及び海外連結子会社1社により構成されたグループ企業体制であります。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、経営の公正性・透明性を確保するとともに、取締役会及び監査等委員会による内部統制の強化並びにコーポレートガバナンス・コードの基本原則に沿った各種施策の実施、取締役会の実効性評価・分析・改善に継続的に取り組んでまいります。
(9)コンプライアンス及びリスク管理体制の強化
エイチームホールディングスグループは、グループ企業としての持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて経営基盤を強化し、コンプライアンス及びリスク管理体制を強化し、企業倫理の一層の向上を図ってまいります。
(10)情報セキュリティ・サイバーセキュリティ
エイチームホールディングスグループは、お客様の個人情報や新規事業に関わる情報等、機密情報を多数保有しており、情報セキュリティリスクは経営上の最重要課題の一つと認識しております。
サイバー攻撃の高度化・巧妙化に対応するため、最新の脅威情報やセキュリティ技術のトレンドを常に把握し、ゼロトラストモデルのコンセプトに基づいた多層的なセキュリティ対策を継続的に強化してまいります。
(11)新技術の活用
エイチームホールディングスグループが属するスマートデバイス向けゲーム業界を含むインターネット業界は、技術革新が絶え間なく行われております。このような環境のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、AI及びブロックチェーンをはじめとする様々な新技術に適切に対応していくことが必要不可欠であると考えております。また、グループ横断プロジェクトとして技術研究活動を行い、新技術を活用できる人材育成に取り組んでまいります。
(12)商品・サービスの品質と安全性の確保
エイチームホールディングスグループは、スマートデバイス向けゲームやライフイベントにまつわる様々なオンラインサービスの提供に加え、EC事業においては化粧品やドッグフード等を取り扱っております。すべての商品・サービスにおいて利用者が安全かつ安心して利用でき、高い品質が担保されるよう努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示してまいります。エイチームホールディングスグループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在においてエイチームホールディングスグループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① IT市場の外部環境
エイチームホールディングスグループの事業領域であるモバイルゲーム市場、インターネット市場及びEC市場はスマートフォンの普及、インターネット利用者の増加により高度な成長を続けてまいりました。しかしながら、今後、市場規模の縮小や景況感の悪化、実際の景気変動の影響等を受けた場合には、エイチームホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、エイチームホールディングスグループのEC事業においては、急激な原油高や原材料の供給不足等が起因となり原材料価格が高騰した場合、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
エイチームホールディングスグループは、インターネットを使った様々なコンテンツやサービスを提供しております。競争力向上のため、特色あるコンテンツの提供や最適なユーザビリティを追求したインターネットサイトの構築に努め、サービスの多様化、カスタマーサポートの充実等に取り組んでおります。
しかしながら、類似サービスを提供する企業や新規参入者との競合が激化することにより、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 災害・感染症の拡大・事故等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、国際紛争、または新型コロナウイルス感染症を含む伝染病の拡大等が発生した場合、エイチームホールディングスグループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。エイチームホールディングスグループのサービス展開地域において大規模な自然災害等が発生した場合には、止むを得ずサービスの提供を一時的に停止する可能性があります。また設備の損壊や電力供給の制限等、事業継続に支障をきたす事象が発生した場合、各種災害や国際紛争等による物的・人的損害が甚大である場合には事業の継続自体が困難または不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、エイチームホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業に関するリスク
① 売掛金の回収について
エイチームホールディングスグループは事業・サービスの展開において様々な事業者と取引を行っております。それらの事業者はそれぞれがおかれる市場環境・競合の状況等により、事業戦略の見直し、撤退や他社との事業統合等の経営判断を行う可能性があります。そのため、エイチームホールディングスグループは安定的且つ健全な事業運営を継続できる事業者とパートナーシップを組むよう努めておりますが、今後、上記の理由等により事業者の事業継続に支障が生じた場合等には当該事業者にかかわる売上代金の回収遅延、回収不能が生じるおそれがあります。このような場合、エイチームホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替による影響について
エイチームホールディングスグループのエンターテインメント事業では、一部において海外向けのアプリケーションを配信専用のプラットフォームや海外現地のパブリッシャーを介して海外の利用者にコンテンツを提供しており、コンテンツ内で販売したアイテム等の売上は海外のプラットフォーム運営事業者を通じて現地の通貨にて回収されます。
③ 商品の品質管理について
エイチームホールディングスグループではEC事業を中心に複数の商品をオンラインで販売しております。エイチームホールディングスグループで取り扱う商品の生産に関しましては、高品質な商品の製造、原材料の調達が可能であるなど、信頼性のある取引先の選定を行っております。また、取引先との連携を深め、必要に応じて自ら製造工場に立会検査を行う等、品質管理の徹底を図り、社員教育、法令遵守に向けた啓発等を行っております。
しかしながら、販売している商品の使用に起因して、お客様の健康等に悪影響が発生する可能性があります。また、将来的に、エイチームホールディングスグループのEC事業等に関連する法令の新設、社会情勢の変化があった場合にも、エイチームホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 投資育成及びM&A(企業買収等)について
エイチームホールディングスグループは、高い成長力を持つ企業を早期から育成・支援することを目的にベンチャー投資及び投資事業有限責任組合(ファンド)への出資を行っております。当該出資等が対象とする未公開企業は、市場環境の変化並びに開発能力、経営管理能力の不足等、将来性に対する不確定要素を抱えており、これら不確定要素の現出により期待した成果を上げることができず業績が低迷、悪化した場合には、これらの投資が回収できず、エイチームホールディングスグループの業績に影響を与える可能性があります。
また、投資育成に加え、事業の成長及び拡大を目指すため、M&Aも実施する方針です。M&Aにあたっては、その対象企業について事前に財務内容等の審査に努め、リスクを検討したうえで進めてまいりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じる場合やM&A後の事業展開が計画通りに進まない場合には、エイチームホールディングスグループの業績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
① 特定経営者への依存について
エイチームホールディングス代表取締役社長、林高生氏はエイチームホールディングスグループの創業者であり、また、技術者としての豊富な経験を有していることから、エイチームホールディングスグループの設立以来成長を支え、経営戦略等多岐にわたり極めて重要な役割を果たしております。エイチームホールディングスグループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築に努めておりますが、何らかの理由により、同氏が経営に参画できなくなった場合、エイチームホールディングスグループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
エイチームホールディングスグループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るにはコーポレートガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。そのため、事業規模の拡大に合わせて経営基盤の強化を継続的に進めていくとともに、より効率的且つ適正な経営を行うため、内部管理体制の整備・充実を推進していく方針であります。
しかしながら、事業の急速な拡大に対して、十分な内部管理体制の構築が追い付かない場合、エイチームホールディングスグループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
③ 人材の確保、育成について
エイチームホールディングスグループにおいて、今後事業拡大や企業運営を円滑に遂行していくうえで、優秀な人材を確保することが極めて重要であります。しかしながら、必要な人材を適時適切に確保できない場合、または社内の有能な人材が流出した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、エイチームホールディングスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)コンプライアンスに関するリスク
① 法的規制について
エイチームホールディングスグループの運営事業領域に適用される主な法規則として、「不当景品類及び不当表示防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等があります。
このような法令の制定や改正、監督官庁による行政処分、新たな規制の策定または改定等により、エイチームホールディングスグループが提供するコンテンツやサービスが制約を受ける可能性があります。その場合、エイチームホールディングスグループの事業、業績及び企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
エイチームホールディングスグループは、運営する事業に関する知的財産権の保護に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。また、エイチームホールディングスグループが提供するサービスにおいて、エイチームホールディングスグループが所有する知的財産権を第三者に使用許諾する場合や、第三者の所有する知的財産権の使用許諾を受ける場合があり、その場合は使用許諾契約の締結等により適切な管理を行っております。
しかしながら、知的財産権の範囲や契約条件の解釈の齟齬等により、認識外で第三者の知的財産権を侵害した場合、エイチームホールディングスグループは第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける可能性があります。その結果、解決に多額の費用と時間がかかり、エイチームホールディングスグループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報の管理について
エイチームホールディングスグループは、提供するサービスやコンテンツの利用者の個人情報を取得する場合があります。個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報の取扱いに際し業務フローや権限体制を徹底し、「個人情報の保護に関する法律」に従い厳正な管理を行っております。
しかしながら、コンピューターウィルス、不正侵入や故意または過失の事態により、個人情報の漏洩や不正使用等のトラブルが発生した場合、エイチームホールディングスグループへの損害賠償請求やエイチームホールディングスグループに対する信頼損失及び企業イメージの悪化等により、エイチームホールディングスグループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ サービスの安全性及び健全性について
エイチームホールディングスグループが提供するサービスコンテンツは、不特定多数の個人利用者が、利用者間において独自にコミュニケーションを取ることができます。青少年保護、健全性維持・向上のため、利用規約において不適切な利用の禁止を明示し、モニタリングを常時行い、規約違反者に対しては、改善の要請や退会の措置を講じる等の対応を行うことで、サービスの安全性及び健全性の確保に努めております。しかしながら、コンテンツ利用者が急速に拡大し、利用者のコンテンツ内における行為を完全に把握することが困難となり、利用者の不適切な行為に起因するトラブルが生じた場合には、利用規約の内容にかかわらず、エイチームホールディングスグループが法的責任を問われる可能性があります。また、法的責任を問われない場合においても、コンテンツのブランドイメージの悪化等によりエイチームホールディングスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟等について
エイチームホールディングスグループは、法令遵守を基本としたコンプライアンスの推進により、法令違反等の防止に努めております。しかしながら、エイチームホールディングスグループの役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、利用者、取引先、その他第三者との不測のトラブル、訴訟等の発生及び上記知的財産権、個人情報、サービスの安全性及び健全性についても訴訟のリスクがあるものと考えております。
かかる訴訟の内容及び結果によっては、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や企業イメージの悪化により、エイチームホールディングスグループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報セキュリティに関するリスク
① コンピューターシステムや通信ネットワークについて
エイチームホールディングスグループの事業は、モバイル端末やPC等のコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークにより、利用者にサービスを提供しております。システムの安定的な稼働を図るためにサーバーの分散化・定期的バックアップ・稼働状況の監視等により、システムトラブルの未然防止または回避に努めております。しかしながら、不測の事故(社内外の人的要因によるものを含む)等により通信ネットワークの切断や支障が発生した場合には、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、エイチームホールディングスグループの運営する各サイト等へのアクセスの急激な増加によるサーバーの過負荷や電力供給の停止等不測の様々な要因によって、システムが作動不能に陥った場合、サービスが停止する可能性があります。この結果、エイチームホールディングスグループの業績及びサービスのブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。
② サイバーセキュリティ
サイバー攻撃は、エイチームホールディングスグループの事業継続に重大なリスクをもたらす可能性があります。システムの不具合や外部からの不正アクセスは、業務停止や顧客データの漏洩、金銭的な損失に繋がりかねません。特に、近年ではサイバー攻撃の手法が高度化・巧妙化しており、標的型攻撃やランサムウェアなど、企業にとって深刻な脅威となっています。
エイチームホールディングスグループは、IDaaS(Identity as a Service)を導入しており、多要素認証によるなりすましの抑制や、セキュリティポリシーに沿ったアイデンティティ管理の運用を徹底しております。また、ゼロトラストモデルのコンセプトに基づいてEDR(Endpoint Detection and Response)やSSE(Security Service Edge)などのセキュリティ製品を導入し多岐にわたる対策を講じております。しかしながら、これらの対策を講じても、サイバー攻撃のリスクを完全に排除することはできません。
万が一、重大なサイバー攻撃が発生した場合、復旧までに時間を要し、事業活動が停止する可能性があります。また、顧客情報や企業秘密の漏洩は、社会的信用を失墜させ、エイチームホールディングスグループの業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ体制
情報セキュリティインシデント発生時の対応が不十分な場合、エイチームホールディングスの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があり、エイチームホールディングスは情報セキュリティ体制の強化に継続的に取り組んでおります。具体的には、エイチームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置して、グループ全体へのサイバーセキュリティに関するガバナンス強化やサイバー攻撃に対応する包括的・多面的なシステム運用体制の構築を行っております。また、全社員を対象にしたセキュリティ教育の実施やセキュリティ担当者向けにセキュリティインシデント演習などの教育にも力を入れております。
しかしながら、情報セキュリティリスクは完全に排除できるものではなく、システムの脆弱性や人的ミスによる情報漏洩、不正アクセスなどのリスクは依然として存在します。
エイチームホールディングスは、これらのリスクを認識し、セキュリティ対策の更なる強化に取り組んでまいります。万が一、情報セキュリティ上の重大な事故が発生した場合には、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ IT投資
IT投資は、企業の競争力強化や業務効率化に不可欠な要素ですが、同時に様々なリスクを伴います。多額の投資が必要となるため、投資に見合った効果が得られない、あるいは期待した効果が得られるまでに時間を要する可能性があります。また、IT技術は急速に進歩するため、継続的なシステム更新や追加投資が必要となることも考えられます。
エイチームホールディングスグループは、IT投資のリスクを十分に認識し、投資効果を最大化するための取組を行っております。具体的には、IT投資計画の精査、システム導入前の綿密な評価など、様々な対策を講じております。しかしながら、導入時のトラブル、システム障害が発生した場合には、エイチームホールディングスグループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他のリスク
① のれんの減損に関するリスク
エイチームホールディングスグループは当連結会計年度末時点で、転職メディア「CAREER PICKS」を運営する株式会社リンクス(現 株式会社エイチームライフデザイン)ののれん108百万円、「microCMS」を運営する株式会社microCMSののれん1,488百万円を計上しております。被買収企業及びエイチームホールディングスグループが持つデジタルマーケティングの強みを掛け合わせたことにより、買収時と比較して大きく事業成長している状況であり、減損の兆候はないと判断しております。
今後、エイチームホールディングスグループが必要に応じてM&Aを実施する際には、対象企業の財務内容や将来の収益性等に関して事前精査を十分に行いますが、市場環境の急激な変化等により買収時の収益計画と著しい乖離が生じた場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、当該のれんの減損処理が生じた場合には、エイチームホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
② 新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク
エイチームホールディングスとAASC II P, L.P.との引受契約に基づく新株予約権及び無担保転換社債型新株予約権付社債については、2029年6月26日までの期間に複数回に渡る段階的な行使が予想されるため、希薄化が即時に生じる新株式の発行とは異なり、エイチームホールディングス株式の株式市場への供給が一時的に過剰となる事態が回避されやすいと考えられ、既存株主の利益への影響を一定程度抑えることができると考えております。なお、本新株予約権及び本新株予約権付社債の目的であるエイチームホールディングス普通株式数は、調整がなされる場合を除いて、7,776,000株で固定されており、株価動向にかかわらず、最大交付株式数が限定されているため、希薄化率が当初予定より増加することはありません。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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