ニッポン高度紙工業グループは、ニッポン高度紙工業および連結子会社2社で構成されており、アルミ電解コンデンサのセパレータとして使用されるアルミ電解コンデンサ用セパレータおよび電池のセパレータ等として使用される機能材の製造・販売を主事業としております。
事業の系統図は次のとおりです。
ニッポン高度紙工業グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてニッポン高度紙工業グループが判断したものであります。
(1)経営方針
ニッポン高度紙工業グループは、以下の「企業理念」および「長期目標」に則し、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるアルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材を安定供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを目指して事業活動を展開しております。
今後も、ニッポン高度紙工業グループ社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。
(2)前中期事業計画の振り返り
顧客の在庫調整等にともなう販売数量の減少に加え、稼働率の低下や原材料価格の高止まりによる原価率の上昇などの影響があり前中期事業計画で設定した経営数値目標は未達成となりました。
|
経営指標 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
|
実績 |
実績 |
実績 |
目標 |
実績 |
|
|
連結売上高 (うち機能材売上高) |
159億円 (39億円) |
180億円 (38億円) |
175億円 (41億円) |
190億円 (46億円) |
148億円 (33億円) |
|
連結営業利益 |
27億円 |
40億円 |
33億円 |
35億円以上 |
17億円 |
|
自己資本利益率(ROE) |
12.8% |
16.2% |
12.0% |
10%以上 |
6.7% |
(3)目標とする経営指標
ニッポン高度紙工業グループは、第100期(2030年3月期)に向けた長期目標の達成に向け、3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)において、次の経営数値目標を設定しております。
|
経営指標 |
2027年3月期 目標 |
|
連結売上高 (うち機能材売上高) |
200億円 (50億円) |
|
連結営業利益 |
36億円 |
|
自己資本利益率(ROE) |
10%以上 |
(4)中長期的な経営戦略
ニッポン高度紙工業グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めることで、企業価値向上をはかっております。
3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)では次の5つの基本戦略をもとに、中期事業計画の目標達成に向け各取り組みを進めております。
|
基本戦略 |
主な取り組み内容 |
|
①新規事業創出による事業ポートフォリオの転換 |
セパレータ製造で培ったコア技術を基に、電子材料、プラスチック代替材料としての活用など、用途展開の可能性を追求し、市場への普及を目指します。 |
|
②成長分野における重点的取り組みと新製品開発の強化 |
米子工場における建屋と抄紙ラインの増設、裁断加工ラインの新設などにより、生産能力増強と安定供給体制確立を進めています。 また、顧客の注力する成長市場(車載、通信、環境)において、競争力強化に向けた取り組みを推進します。 |
|
③ESG経営基盤の強化 |
ニッポン高度紙工業にとっての重要性と、ステークホルダーにとっての重要性を勘案し、マテリアリティを特定しました。 それぞれの取り組み、KGI、KPIを設定し、進捗を管理することで、長期ビジョンの実現を目指します。 |
|
④DXの推進 |
属人化したプロセスの改善や、従業員の働きやすさの追求のため、製造工程、サプライチェーンの自動化・省人化を推進します。 本中期事業計画期間においては、自動倉庫の拡充、原巻輸送の自動化実現に向けた取り組みなどを予定しています。 |
|
⑤人的資本への投資 |
ニッポン高度紙工業の最大の資本は人財であり、安全衛生の確保、健康の維持増進、働きがいの向上に係る取り組みの効果を定量化することで、「2030年のあるべき姿を目指し従業員の幸せを追求」の実現を促進します。 2025年3月期よりプレゼンティーズム・エンゲージメントサーベイを導入し、取り組みの推進・改善を行います。 |
(5)経営環境
わが国経済は、インバウンド需要や個人消費の回復、企業の生産活動の進展など経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方で、大幅な為替変動や資源価格の高騰によるインフレの長期化に加え、中国経済の停滞、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクへの警戒感が高まり、先行き不透明な状況が続いております。
ニッポン高度紙工業グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、コロナ禍での在庫確保の反動による在庫調整の長期化や中国経済停滞などにより半導体・電子部品全般の需要は鈍化し、民生機器や産業機器関連の需要低迷が長引いております。一方、自動車の生産回復による関連部品の需要継続、生成AI関連の需要拡大、自動化・省力化や環境対策を目的とした設備投資等により、グローバルでの半導体・電子部品市場の需要回復が見込まれております。
このような状況において、主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、生成AI関連投資等による通信設備関連分野や車載分野での需要拡大、当期長期化した在庫調整も終息の兆しが見られることで全般的な需要の回復を見込んでおります。
機能材では、当期需要の調整局面が継続したリチウムイオン電池用セパレータ等についても、世界的な規模で加速するカーボンニュートラルの動きに対応する製品の研究開発を進め、需要拡大に取り組んでまいります。
また、ニッポン高度紙工業グループは3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しました。「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンのもと、中期事業計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。
(6)優先的に対処すべき事業上の課題
ニッポン高度紙工業グループは、優先的に対処すべき事業上の課題について次の取り組みをおこなってまいります。
(原材料・エネルギー価格上昇への対応)
アルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材ともに、原材料・エネルギー価格上昇による負担増を軽減するために製品の値上げを実施しており、生産効率向上によるコスト低減にも継続して取り組んでまいります。
(安定供給体制の強化)
安定供給体制のさらなる強化のため高知県内生産拠点との同時被災リスクの低い米子工場で進めている高付加価値セパレータの生産能力増強、製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)を完結できる体制構築については、2024年10月稼働開始に向けて取り組んでおります。
なお、本事業については、経済産業省の「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業」に採択されました。ニッポン高度紙工業製品の優位性および研究開発に対する取り組みが評価されたものと考えており、本事業の完了後には設備投資および研究開発投資の総額の約1/3の補助金を受給する見込みであります。ニッポン高度紙工業グループは今後もより付加価値の高いセパレータの研究開発、拡販を進めてまいります。
(外部環境変化への対応)
2023年4月には会社分割により、ニッポン高度紙工業南国工場で実施していたアルミ電解コンデンサ用セパレータ等の裁断加工・出荷業務等を承継するNKKソリューションズ株式会社を設立しました。今後の物流環境の悪化や人材不足等の外部環境変化に柔軟な適応ができる組織体制を構築することで、迅速な意思決定および機動的な事業運営を推し進めてまいります。
(健康経営の推進)
ニッポン高度紙工業グループは、「安全・健康はすべてに優先する」の基本方針のもと、健康経営を推進しております。2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門ホワイト500)」に2019年より6年連続で選定されました。これは、従業員の「こころと身体の健康の保持増進」、「安心して働ける職場環境づくり」等のニッポン高度紙工業の取り組みが評価されたものと認識しております。
引き続き、安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。
(資本効率の向上と株価を意識した経営の強化)
株主利益重視の観点から、資本効率を高めるために、収益性の向上を目標として事業を推進しており、自己資本利益率(ROE)10%以上を達成することを目標としております。付加価値の高い製品の拡販を進めるとともに、設備投資、研究開発投資、人材投資等を効果的におこなうことで資本効率を向上させてまいります。
また、株価を意識した経営を強化するために、ニッポン高度紙工業の強みおよび事業の成長性を投資家にIR活動を通して訴求するとともに、資本効率を向上させることで株価純資産倍率(PBR)1.0倍以上を継続的に維持できるように努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、2「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の「ESGマテリアリティ」に関するリスクは、以下の各リスクに含まれております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてニッポン高度紙工業グループが判断したものであります。
(1)特定品目への依存について
高い市場シェアを有する主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータの売上高が、当連結会計年度の売上高全体に占める割合は約8割であり、世界の需要動向がニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。需要拡大が見込まれる機能材等を拡販することで、業績の安定に努めてまいります。
(2)設備投資による影響について
アルミ電解コンデンサ用セパレータにおいて高い市場シェアを有しているニッポン高度紙工業グループでは、ユーザーへの安定供給体制を確保していくため、需要予測にもとづく生産能力増強のための設備投資を計画的に実施いたします。製造設備の新設・増設には多額の設備投資を必要とする業態であり、多額の投資を実施後の年度においては、売上高に対する減価償却費の比率が比較的高くなる傾向があります。
また、減価償却費負担および借入金増加による支払利息の増加等により、一時的にグループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)自然災害および火災による影響について
ニッポン高度紙工業グループは、南海トラフ地震等の地震、台風や大雨等の風水害による自然災害および火災発生によるリスクを軽減するため、同時被災防止の観点で、高知県内の3工場に加え、米子工場、マレーシアに生産拠点を分散させ、安定供給体制の構築をはかっております。また、米子工場への抄紙ラインの増設および裁断加工ラインの新設については、2024年10月稼働開始に向けて取り組んでおります。
生産拠点の分散をはじめ、様々な災害を想定した対策を実施しておりますが、災害が発生した場合には、従業員の安全の確保や原材料の確保、生産の継続等に支障をきたし、グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
ニッポン高度紙工業グループでは、全社組織である「BCM推進会議」の運営を通じて、「従業員の安全確保」および「お客様への安定供給」のより全社的な推進・浸透をはかっております。今後も、災害を想定した訓練や早期復旧につながる保険付保等の対策に加え、グループ全体での生産体制の構築、サプライチェーンの強化に向けてBCMの実効性・実用性について評価・改善に取り組んでまいります。
(4)感染症によるリスクについて
ニッポン高度紙工業グループでは、マレーシアの子会社を含めた各事業所において感染症が発生した場合、事業所の閉鎖や操業停止等により製品供給に支障をきたす可能性があります。また、感染症の流行により、原材料や製品等の輸送に必要な物流網の混乱が長期化した場合、業績に影響を与える可能性があります。
ニッポン高度紙工業グループは、従来から顧客への製品の安定供給責任を果たすためにBCM活動に取り組んでおり、原材料および製品在庫の確保に加え、不測の事態に備えた手元資金の積み増し等の対策をおこなっております。
(5)価格競争について
ニッポン高度紙工業グループは、これまで顧客と築いてきた信頼関係をもとに、高品質・高信頼性製品を安定供給できることが大きな強みであり、成長市場での拡販に努めております。
アルミ電解コンデンサにつきましては、コンデンサメーカーにおけるグローバルでの競争が激しくなっており、将来的にニッポン高度紙工業のアルミ電解コンデンサ用セパレータ販売価格への下落圧力が強まる可能性があります。機能材におきましては、リチウムイオン電池市場が成長しているものの、激しい価格競争の影響を受け、使用する部材の低価格化が進んでおります。
価格競争リスクがニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性がありますが、今後も他社と差別化できる高品質・高信頼性製品の開発・拡販を進めてまいります。
(6)原材料調達リスクについて
ニッポン高度紙工業グループは、製品の主要原材料であるパルプの多くを海外から輸入しております。気候変動や政情不安による供給不足が発生した場合に備えて原則2社購買とするとともに、供給不安が少ない原材料への切り替えなど安定調達および原材料在庫の確保に努めておりますが、品質や需給悪化等の問題から調達コストの上昇や調達が困難となった場合、ニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)為替レートの変動による影響について
ニッポン高度紙工業グループの製品販売および原材料仕入は、一部外貨建ての取引となっているため、為替相場の変動は、外貨建て取引により発生する資産・負債に影響を与える可能性があります。為替相場の変動リスクを軽減するために、為替変動リスク管理規定を設け、為替予約や外貨建て借入等を実行できる体制となっておりますが、完全に排除できるものではなく、為替変動リスクがニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)エネルギー価格変動による影響について
ニッポン高度紙工業グループは、セパレータの製造において電力およびLNGを使用しております。省エネ効果が得られる設備投資や省エネ活動の推進によりエネルギー使用量の削減に努めておりますが、電力およびLNGの価格変動がニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)人材確保におけるリスクについて
ニッポン高度紙工業グループの競争力を維持、向上させるためには、製品開発および製造等に必要な人材を安定して採用、確保し続ける必要があります。計画的な新卒採用や中途採用に加え、「安全・健康はすべてに優先する」という基本方針のもと、働きやすい職場づくりに努め、人材の定着をはかっております。また、2023年4月には会社分割により、NKKソリューションズ株式会社を設立し、今後の人材不足等の外部環境変化に柔軟な適応ができる組織体制を構築しておりますが、少子高齢化にともなう労働人口の減少等により優秀な人材の確保が困難となった場合、ニッポン高度紙工業グループの事業展開等に影響を与える可能性があります。
(10)海外展開におけるリスクについて
ニッポン高度紙工業は、海外に子会社を保有しています。グループ間で常に情報を共有し対応できる体制を整備しておりますが、進出国において、法規制の改正や変更、政治情勢および経済状況の変化、戦争やテロによる社会的混乱、労働争議等が発生した場合は、ニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)企業の社会的責任に関するリスクについて
ニッポン高度紙工業グループは、持続可能な社会の実現のため、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重等に代表される企業の社会的責任を重要な経営課題と認識しており、「購買方針」および「グリーン調達基準」を策定しニッポン高度紙工業ホームページに開示する等の取り組みをおこなっております。
事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に関する問題、または、サプライチェーンにおける児童労働、強制労働等の人権に関する問題が生じた場合、ニッポン高度紙工業グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または、事業からの一部撤退等により、業績に影響を与える可能性があります。
(12)気候変動に関するリスク
ニッポン高度紙工業グループでは、気候変動に対する国内外の政策および法規制を踏まえ、重油と比較して温室効果ガス排出量が少ないLNGへのボイラー燃料転換や本社工場および安芸工場屋上への太陽光発電設備導入、およびNKKソリューションズ株式会社において再生可能エネルギー由来の電力を使用する等の取り組みをおこなっておりますが、世界的な脱炭素社会の実現の流れを受けた日本政府の規制強化や温室効果ガスの排出に関する新たな税負担等が生じた場合には、ニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
(13)情報セキュリティに関するリスクについて
ニッポン高度紙工業グループは、技術情報等の機密情報や顧客等に関する情報を保有しております。外部への情報流出を防止するためのセキュリティシステム強化、定期的な社内教育の実施等の対策をおこなっておりますが、コンピュータウイルス感染やサイバー攻撃等により情報が流出した場合、ニッポン高度紙工業グループの社会的信用の失墜による企業価値の低下、情報流出により被害を受けた顧客等への補償により、ニッポン高度紙工業グループの業績に影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー