ティアンドエスグループグループ(ティアンドエスグループ及びティアンドエスグループの関係会社)は、ティアンドエスグループ(ティアンドエスグループ株式会社)、連結子会社1社及び非連結子会社1社により構成されており、システム開発及びその関連サービスを主たる業務としております。
なお、ティアンドエスグループは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
ティアンドエスグループグループは、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、事業の構成を3カテゴリーに分け
事業展開しております。「DXソリューションカテゴリー」では、重電、社会インフラ、業務系アプリケーション等の領域において、大手企業顧客を中心に情報システムの開発を行うとともに、運用・保守等のITサービス事業を展開しております。「半導体ソリューションカテゴリー」では、半導体製造企業向けに工場内の生産管理システム等の開発を行うとともに、運用・保守等のITサービス事業を展開しております。「AIソリューションカテゴリー」では、AI関連製品を開発中のお客様向けに、AI(機械学習/ディープラーニング)・画像認識・ソフトウエア最適化等の高度技術を駆使して、ソフトウエアの高機能化及び品質向上を実現するサービスや、最新AIプロセッサの性能を最大限に活かしたAIソリューションサービス事業を展開しております。
なお、前事業年度以前においては、ソリューション、半導体、先進技術ソリューションの3カテゴリー構造としておりましたが、当期首より、上記のDXソリューション、半導体ソリューション、AIソリューションの3カテゴリー構造に変更しております。
DXソリューション |
大手企業顧客向けに、重電、社会インフラ、業務系アプリケーション等のシステム開発、及び運用・保守サービスを提供 |
半導体ソリューション |
半導体製造企業向けに、工場内の生産管理システム等の開発、及び運用・保守サービスを提供 |
AIソリューション |
AI関連製品を開発中のお客様向けに、AI(機械学習/ディープラーニング)・画像認識・ソフトウエア最適化等の高度技術を駆使して、ソフトウエアの高機能化及び品質向上を実現するサービスや、最新AIプロセッサの性能を最大限に活かしたAIソリューションサービスを提供 |
各カテゴリーの内容は次のとおりです。
(1)DXソリューションカテゴリー
DXソリューションカテゴリーでは、重電、社会インフラ、業務系アプリケーション等の領域において、大手企業顧客を中心に情報システムの開発を行うとともに、運用・保守等のITサービス事業を展開しております。現在は、東芝グループ、日立グループ、その他大手企業グループを中心にサービスを展開しており、その経験と実績をもとに安定的に顧客層を拡大しております。
本カテゴリーでは、産業領域に特化することなく製造業、社会インフラ企業、サービス業など様々な業種のユーザ企業をターゲットとしてサービスを展開しておりますが、特に大規模な環境における大型システムの受託開発と、その後の運用・保守をティアンドエスグループグループの主要な事業モデルと位置付けております。
本カテゴリーの特徴は、大手企業を取引先の軸とし、大規模なシステム開発を中心に、単なる成果物の納品にとどまらない長期間にわたるアフターサービスを通じ、次のシステム開発につなげていく点です。システム開発にあたっては、コンサルティングから、要件定義、テスト、検証まで全てのバリューチェーンに対応し、システム開発後の運用・保守といったITサービスの提供に従事できる社内体制を整備するよう努めておりますので、お客様から見て、ワンストップでの対応が優位性となっているものと認識しております。システム開発だけではスポット取引(単発発注)になり易いため、検証・運用・保守まで広く対応することで、継続的な受注に繋がるものと考えております。加えて、大手企業を取引先の軸にしているため、そのグループ各社との取引にも繋がり、これらの実績と経験が、結果的に大手企業グループ以外のお客様にとって安心感となり、受注の継続と他の企業からの新規受注にも繋がっていると認識しております。
このように、DXソリューションカテゴリーは、大手企業とそのグループ各社を中心とした顧客戦略に基づき、コンサルティング、要件定義、設計、開発、テスト、検証までの全てのバリューチェーンを網羅し、お客様の要求に適ったサービス提供モデルに柔軟に対応するものとしており、ティアンドエスグループの基盤となるサービスカテゴリーとして位置付けております。
(2)半導体ソリューションカテゴリー
半導体ソリューションカテゴリーでは、半導体製造企業向けに工場内の生産管理システム等の開発を行うとともに、運用・保守等のITサービス事業を展開しております。現在は、キオクシアグループ、東芝グループ、ソニーグループ等を中心に、サービス提供を行っております。
半導体製造企業が有する半導体工場においては様々な情報システムが利用されます。ティアンドエスグループグループが特に重点を置いて提供しているのは生産管理システムをはじめとする工場内の基幹システムの開発です。半導体工場の基幹システムは半導体生産において必須のものですが、一般的な製造業向けシステムとは異なり、その特殊性、独自性、機密性等の事情から、ノウハウを有するシステム開発企業が少なく、ティアンドエスグループグループのように長年の開発、運用・保守を通じて蓄積された経験を有することが大きな優位性となっております。
本カテゴリーにおいてティアンドエスグループグループが提供するサービスは、半導体工場内のシステム開発及びその運用・保守並びにITインフラ構築等の支援であります。ティアンドエスグループの前身である旧株式会社テックジャパン創業当時から、30年近くにわたり、半導体工場を有する顧客との関係強化に努めてきており、安定的に顧客のニーズに応えられる体制を整えております。
本カテゴリーの特徴は、工場内システムの開発業務と、開発後のシステムの運用や保守業務の双方を行っている点です。半導体工場の基幹システムは大規模かつ領域が広範にわたるため、開発期間も長期にわたります。顧客のニーズにより詳細なカスタマイズも求められるため、顧客との長期にわたるリレーションを通じたコミュニケーションが不可欠です。顧客の投資計画に依存する部分はありますが、近年は特に国内での半導体投資が極めて旺盛な状況にあります。
これに対し、開発後のシステムの運用や保守業務は、工場が存続する限り安定的に事業が継続できるという特徴を持っております。工場内システム運用サービスは、お客様の日々の工場運用業務をシステム上のトラブルなくスムーズに稼働させるために、正常にシステム稼働を維持させる業務です。中でもシステム監視業務は工場内セキュリティ対策において重要性が高く、システム稼働状況の監視、データのバックアップ管理、不正アクセス管理・ウィルスチェック、工場内従業員のためのヘルプデスク業務などが含まれます。お客様が滞りなく安心して工場システムを利用するためには、日々継続的にシステムをチェックするティアンドエスグループの役目は極めて重要であると認識しております。また、工場内システム保守サービスは、ティアンドエスグループグループの技術者がお客様の工場内で稼働する生産システムや社内インフラシステム等の改良・改修や調整・修理を行う業務であります。工場内で実稼働しているシステムに対して、お客様からの仕様や要望に基づき、ティアンドエスグループ技術者が実際にプログラム上の変更や追加を加えることで、お客様の要望にお応えいたします。
システムの運用・保守といったITサービスは、工場が稼働するためには極めて重要な業務であるため、工場が稼働し存続する限り安定的に継続することが期待できます。近年は、半導体工場の新設や増設が相次いでいる状況にあります。
(3)AIソリューションカテゴリー
AIソリューションカテゴリーでは、AI関連製品を開発中のお客様向けに、AI(機械学習/ディープラーニング)・画像認識・ソフトウエア最適化等の高度技術を駆使して、ソフトウエアの高機能化及び品質向上を実現するサービスや、最新AIプロセッサの性能を最大限に活かしたAIソリューションサービス事業を展開しております。
本カテゴリーが提供するサービスは、AIソフトウエアや画像認識ソフトウエアの受託開発、AIアルゴリズムや AI モデルの研究開発支援、生成AIを活用したソフトウエア開発の効率化支援、最新エッジ AIプロセッサを用いたソフトウエアソリューション、AI技術の研究開発からAIソフトウエアの製品開発であります。
本カテゴリーの特徴は、機械学習や画像認識、統計処理等、ソフトウエア専門家による高度ソフトウエア技術が必要であること、お客様にとって容易に開発できる分野ではないため、ティアンドエスグループグループの技術力がお客様の課題を解決する付加価値になる点であります。このため、ティアンドエスグループグループでは博士号又はそれに準ずる知識を有するソフトウエア技術者を積極的に採用するほか、大学その他の研究機関と共同で研究開発を行うなど、ノウハウの蓄積に努めております。
他の2つのカテゴリーに比較するとまだ小規模ですが、本カテゴリーは、高度なソフトウエア開発力を武器に、急成長が見込まれる産業領域(AI、画像認識・機械学習、ロボット、自動運転等)にターゲットを置くもので、ティアンドエスグループグループ事業の急成長を狙うサービスカテゴリーと位置付けております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
ティアンドエスグループグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてティアンドエスグループグループが判断したものであります。
(1) 経営方針
ティアンドエスグループグループは、「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値を通じて、お客様に安心と満足そして豊かさを提供すると共に、社員を大切にし、株主様に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念を基本とし、高度なソフトウエア技術力によりお客様の課題を解決し、お客様の製品や商品・インフラ開発を支援しております。また、社員全員がティアンドエスグループグループを愛し、自ら成長し続ける会社環境を提供し、社員一人ひとりが希望とやりがいが持てる会社を実現します。そして、地域社会と共に発展できる地域のコア企業としての役割を担います。
(2) 経営戦略等
ティアンドエスグループグループを取り巻く事業環境は、「2025年の壁」をはじめとするDX化の流れに伴う旺盛なIT開発ニーズの一方で、慢性的なIT人材の不足という大きな潮流の中で、難しいかじ取りを迫られております。このような中で、ティアンドエスグループグループは、DXソリューションカテゴリー、半導体ソリューションカテゴリー、AIソリューションカテゴリーという3つのカテゴリーの構成による事業拡大に取り組むとともに、以下の戦略を推進することで、事業の発展、拡大及び企業価値向上を図ってまいりました。
①顧客ニーズに即したソフトウエア開発推進
慢性広域的な人手不足の中で、お客様のDX推進に応えるための、最新要素技術を活用したソリューションの提供が求められております。ティアンドエスグループグループでは、社会インフラ、エネルギー、製造業など日本の骨格となる産業への貢献を果たすため、ユーザーエリアの拡大と開発バリューチェーンの多様化を推進してまいりました。
②半導体業界への深耕と新技術の研究開発
世界的な半導体不況の次を見据え、国家プロジェクトによる国内半導体産業拡大への積極的な関与を実現するため、特定の半導体メーカーに偏らない次の顧客基盤を確立してまいりました。また、大学等との共同研究等を通じた新技術の研究開発を軸とした新しい収益の柱の構築を図ってまいりました。
③持株会社化とM&Aの実現
持株会社化による大胆な組織改革を通じ、生産性の向上と経営の効率化を図るため、2024年6月1日より、ティアンドエスグループ株式会社を持株会社とする新たな体制に移行いたしました。人材の積極採用とスキル創出のための人材積極投資に加え、M&Aを通じた規模拡大を目指しております。
(3) 経営環境
①DXソリューションカテゴリーを取り巻く環境
近年ソフトウエアは、組込み機器やコンピュータに代表されるハードウエアの進歩と共にその需要は増大してきました。さらに今後は、ITを中心にサービスや価値が再設計される時代に入ると認識しております。このため、AIや自動運転、ロボット等に搭載されるソフトウエアが、ハードウエアを決定する「ソフトウエア中心」の時代になるといわれ、益々ソフトウエアの需要が拡大すると予想しております。
国内ソフトウエア市場は、右肩上がりの成長を持続する反面(*1)、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されます(*2)。つまり、日本のソフトウエア市場は益々拡大を重ね、ティアンドエスグループグループのようなソフトウエアを専門として事業展開している企業の需要が益々高まっていき、一方で、IT人材をいかに獲得するかがこれらの企業の大きな課題になると考えております。
②半導体ソリューションカテゴリーを取り巻く環境
半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、全体としてはプラスの成長を維持しております。ティアンドエスグループグループ調べによると、製品別半導体全市場のうち、約1/3をメモリデバイス(注1)が占め(*3)、DRAM(注2)とNAND Flash メモリ(注3)がその市場の中心となっております。特にNAND Flashメモリは、主にスマートフォン等の記憶デバイスとして採用されておりますが、近年のIoTによるデータ量の急激な増大に伴い今後も市場が拡大するとティアンドエスグループグループ独自に予想しております。
2024年は世界的に旺盛なAI関連投資を背景にメモリや一部ロジック製品の需要が急拡大しており、2025年はAI関連の需要に加え、環境対応や自動化等の成長領域を念頭に、半導体市場の継続的な成長が期待されています(*4)。このような背景のもと、ティアンドエスグループグループの得意先であるキオクシア株式会社も新たな製造棟の稼働に備えております。
③AIソリューションカテゴリーを取り巻く環境
ティアンドエスグループグループが今後注力する市場である、AI(人工知能:Artificial Intelligence)技術を利用したロボット、自動運転、IoT等は、今後の企業活動で最も重要な開発領域と見ており、事業の成長を担う市場としては妥当であると考えております。
AI技術は、ロボット等の産業用機械、自動運転に代表される輸送機関連のほか、様々な民生用機器、医療、社会インフラなど、その用途は多岐にわたります。とりわけ、画像認識をはじめとするセンシング技術の応用は拡大を続けています。
AI技術の応用は、適切なAIアルゴリズムの実装が鍵を握ります。全世界の企業や研究機関がこぞってAIアルゴリズムを開発しておりますが、同時に製品開発に相応しいアルゴリズムを選択し、実装、評価する需要は益々高まっております。適切なアルゴリズムをベースにしたアプリケーション開発を行うことは、今や機械、電機メーカーに限らず、あらゆる産業分野で必要なものと認識されつつあります。
(4) 目標とする経営指標
ティアンドエスグループグループは、短期的には事業規模を表す売上高と本業の収益力を表す営業利益の伸びを重視しております。また、中長期的には自己資本利益率(ROE)を重視しながら安定した事業運営を行うと共に事業拡大と超過利潤の獲得を目指し、企業価値の継続的向上に努めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ティアンドエスグループグループは、その経営方針にある「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値」の創造実現のため、人材面、技術面の拡充と経営基盤の強化を図る必要があると認識しております。顧客のニーズにきめ細かく対応する顧客ファースト実現のためには優秀なIT人材の確保と育成が、AI関連技術の獲得のためには高度なソフトウエア技術力の確保がそれぞれ必要であります。また、これらを実現するための経営基盤として、品質管理体制や経営管理体制の強化を行っていくことが課題であります。具体的な課題と対応方針は以下のとおりであります。
<顧客ニーズに即したソフトウエア開発推進のための課題>
①IT人材の確保と育成
優秀な技術者の確保は、お客様のすべてのニーズをキャッチアップし、会社を発展させる上で不可欠です。即戦力となる中途採用だけでなく、継続的な新卒採用をより強化し、優秀な技術者の確保に努める必要があるとともに、パートナー企業(BP)との協力体制を継続的に維持し、安定的に技術者を受け入れることも重要です。
また、IT人材を安定的に確保することと、継続的にそのスキルを向上させることは、ティアンドエスグループグループにとっての成長の両輪です。ティアンドエスグループグループでは、専門経験のない人材も含め広く採用の門戸を開いております。人材の育成に関しては、新卒入社時に数か月に及ぶ専門知識に関する社内教育を実施し、その後も長期にわたるOJTや教育研修支援、資格手当制度等を実施することで、優秀な技術者の戦力化を目指しております。
②事業領域及び顧客層の拡大
全産業にわたる広域的な人手不足の中で、お客様のDX推進に応えるための最新要素技術を活用したソリューションの提供は、ティアンドエスグループグループが行える最大の社会貢献であり、かつ最大のビジネスチャンスでもあります。社会インフラ、エネルギー、製造業など日本の骨格となる産業への貢献を通じ、ユーザーエリアの拡大と開発バリューチェーンの多様化を推進してまいります。
③品質向上と生産性向上
品質向上において最も重要なポイントは、ユーザ要求仕様の明確化であり、開発工程の初期段階にユーザ要求仕様を確定することを徹底すると共に、基本設計書・詳細設計書・テスト仕様書作成の徹底化を図ります。プログラム製造工程においては、機能の分割と機能を共有化するための定義を明確化し、機能ごとの作業分担により生産性の向上と品質不良の極小化を目指しております。
また、生産性及び品質の向上を図るばかりではなく、ソフトウエア処理の高速化やプログラム不良件数のゼロ化等、信頼性の向上も同時に目指すため、優秀な技術者の最適配置を推進しております。
<半導体業界への深耕と新技術の研究開発のための課題>
④国内半導体産業拡大への積極的な関与
近年の国家プロジェクトによる国内半導体産業拡大に対し、積極的な関与を行ってまいります。既存の顧客層への深耕に加え、特定の半導体メーカーに偏らない次の顧客基盤の確立も進めてまいります。そのため、半導体関連産業のサプライチェーンが集積する地方における現地採用を強化し、ティアンドエスグループグループが得意とする半導体分野での社会貢献を進めてまいる所存です。
⑤高度ソフトウエア技術力の確保
AIや画像処理の分野において、他社との差異化を行うためには類まれな能力の技術力が不可欠です。ティアンドエスグループグループは、博士号を取得している複数名の技術者を中心に、その人的チャネルを駆使して人材確保に当たります。
また、新しい技術の獲得に関しては、大学等との共同研究開発を継続的に推進し、新しい収益の柱を構築することを目指してまいります。
<持株会社化とM&Aの実現のための課題>
⑥持株会社化とM&Aの実現
1985年の前身企業における創業から数えて間もなく40年、事業規模の拡大とともに、ティアンドエスグループグループ内におけるビジネスモデルの多様化が進んでまいりました。このような中で、今後の次の成長のためには、ビジネスモデルに応じた損益マネジメント、人材マネジメントを通じ、機動的できめの細かい経営の実現が課題であると考えております。今後の新規事業創出やM&Aによる事業拡大を柔軟に実現するためにも、事業会社の独立性を高めつつ、かつグループとして効果的な資源配分と効果的なコーポレート・ガバナンスを行うためには、持株会社体制への移行が最適と判断しております。
用語解説
本項「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」等において使用しております用語の定義について以下に記します。
注 |
用語 |
用語の定義 |
注1 |
メモリデバイス |
コンピュータにおいて、プログラムやデータを記憶する装置のことをいう。DRAM、SRAM、NAND Flashメモリ等がある。 |
注2 |
DRAM |
Dynamic Random Access Memoryの略で、半導体メモリ(半導体記憶素子)の一つ。 読み出し/書き込みが自由に行えるRAMと呼ばれる半導体メモリの方式の一種であり、コンデンサーに電荷を蓄えて情報を記憶するタイプの半導体メモリのことをいう。 |
注3 |
NAND Flashメモリ |
NAND Flashメモリとは、Flashメモリ(電界効果トランジスタでホットエレクトロンを浮遊ゲートに注入してデータ記録を行う不揮発性メモリ)の構造・動作原理の一種で、最初に発明されたNOR型Flashメモリに次いで考案された方式である。NOR型Flashメモリと比べて回路規模が小さく、安価に大容量化できることが特徴である。従来のフロッピーディスクやハードディスク(HDD)に代わるPC用のUSBメモリやソリッドステートドライブ(SSD)、デジタルカメラ用のメモリカード、携帯音楽プレーヤー、携帯電話などの記憶装置として使用される。近年では、サーバ用HDDに比べ速度が速いことから、クラウドサーバの記憶装置として用いられている。 |
*1 受注ソフトウエアを含む国内情報サービス全体の市場は、みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2023年12月7日)」※1 によれば、2024年以降も拡大が見込まれることが記述されています。
※1 みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2023年12月7日)」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1073_all.pdf
*2 経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019年3月)」※2によれば、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されております。この報告書の試算結果は、今後のIT需要の伸びをそれぞれ低位(需要伸び率1%)、中位(需要伸び率2-5%)、高位(需要伸び率3-9%)の3段階でIT人材の不足を予想しています。これによると、2019年時点において、約26万人が不足していると言われ、2030年までに16万人から79万人のIT人材不足が予想されています。
※2 経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年3月
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
*3 製品別世界のIC市場予測※3から、2025年の市場全体の出荷額は5,884億ドルであり、そのうちメモリは約2,042億ドルと市場のほぼ1/3をメモリが占めていることになります。
※3 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測について)
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20240604WSTS.pdf
*4 半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測)※4によれば、2024年は前年比+16.0%、2025年は前年比+12.5%となることが予測されております。2024年は世界的に旺盛なAI関連投資を背景にメモリや一部ロジック製品の需要が急拡大しており、2025年はAI関連の需要に加え、環境対応や自動化等の成長領域を念頭に、半導体市場の継続的な成長が期待されています。
また、日本の半導体市場は、2024年に6.8兆円、2024年には7.5兆円になると述べられています。
※4 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2024年春季半導体市場予測について)
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20240604WSTS.pdf
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてティアンドエスグループグループが判断したものであります。
(1)経済動向及び市場環境による影響
経済動向や情報サービス市場環境の変動により、企業の情報システムへの投資抑制、予想を超える価格競争の激化、技術革新への対応が遅れる等の事態が発生した場合、また、法律、税制、会計制度等の各種規制・制度や電力、通信等の社会基盤の変動により事業環境が悪化した場合、ティアンドエスグループグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定顧客への依存度について
ティアンドエスグループグループは、キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループを重要顧客として長年にわたり取引を継続しております。従って、当該顧客の事業方針、経営状況等がティアンドエスグループグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
相手先 |
前事業年度 (自 2022年12月1日 至 2023年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年9月30日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
キオクシアグループ |
1,028,103 |
29.9 |
733,885 |
24.6 |
日立グループ |
783,543 |
22.8 |
689,452 |
23.1 |
東芝グループ |
672,900 |
19.5 |
569,566 |
19.1 |
(3)見積り違い及び納期遅延等の発生
案件の作業工程等に基づき必要工数やコストを予測し、見積りを行っておりますが、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大により実績が見積りを超えた場合、低採算又は採算割れとなる可能性があります。また、予め定めた期日までに顧客に対して作業を完了・納品できなかった場合には損害遅延金、最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償が発生し、ティアンドエスグループグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)人材の確保について
ティアンドエスグループグループの事業は、技術専門性及び人間性に富んだ技術者により支えられており、優秀な人材の確保と育成及び、定着率が最も重要な命題となります。人材の確保に関しては、IT開発事業の伸びからIT人材不足が懸念され中長期的に困難になることが予想されます。採用において計画どおり優秀な人材を確保できない場合や離職により技術者が大幅に減少した場合には、ティアンドエスグループグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)先進AI半導体に関する研究開発について
ティアンドエスグループグループは、大学等との共同研究等を通じ、先進AI半導体に関する研究開発を行っております。
ティアンドエスグループグループのAIソリューションカテゴリーに属する事業は、当該共同研究等の成果に依存する部分があります。そのため、本研究の成果が想定どおりに進まない場合には、本カテゴリーに属する事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制について
a. 下請代金支払遅延等防止法(下請法)
ティアンドエスグループグループが委託先に対し業務の一部を外注するにあたり、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用を受け、3条書面の交付、5条書類の作成等、下請代金支払遅延の防止が求められる場合があります。下請法に違反した場合、公正取引委員会による勧告・指導に加え、罰金刑が科されるおそれがあります。ティアンドエスグループグループでは、コンプライアンス規程を制定し、ティアンドエスグループグループの役職員が遵守すべき法的規制の周知徹底を図り、内部通報制度の導入等によって速やかに法令違反行為等の情報を収集する体制を構築しております。しかしながら、法令に抵触する事態が発生した場合、ティアンドエスグループグループの社会的信用が著しく失墜し、ティアンドエスグループグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b. 労働者派遣法及び関係諸法令
ティアンドエスグループグループの事業の一部である技術者派遣事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という)」に基づいて事業を営んでおり、労働者派遣法及び関係諸法令による法的規制を受けております。ティアンドエスグループグループでは、コンプライアンスを徹底し、リスク・コンプライアンス委員会、内部監査により関係諸法令の遵守状況の把握・監視等に努めており、事業の遂行に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、労働者派遣法に定める派遣事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反する事由が発生した場合、ティアンドエスグループグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来これらの法令ならびに関連諸法令が社会情勢の変化などに伴って、改正や解釈の変更等があり、それらがティアンドエスグループグループの事業運営に不利な影響を及ぼすものであった場合、ティアンドエスグループグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
会社名 |
許認可等の名称 |
有効期限 |
登録の交付者 |
取消事由等 |
ティアンドエス株式会社 |
労働者派遣事業許可 |
2027年5月 |
厚生労働大臣 |
労働者派遣法第6条に定める欠格事由(注)に抵触した場合 |
TSシステムソリューションズ株式会社 |
労働者派遣事業許可 |
2027年10月 |
厚生労働大臣 |
労働者派遣法第6条に定める欠格事由(注)に抵触した場合 |
(注) 労働者派遣法第6条に定められている主な欠格事由としては、ティアンドエスグループグループ役員又はティアンドエスグループグループ派遣元責任者が禁固以上の刑や関係諸法令に違反し罰金刑に処せられ5年を経過していない場合、成年被後見人、被保佐人又は破産者となり復権を得ていない場合、労働者派遣事業の許可取り消し後5年を経過していない場合等であります。
(7)業務請負契約に基づく瑕疵担保責任について
ティアンドエスグループグループが業務請負契約で行う開発サービスについては、設計・開発を請負って完成すべき業務の遂行や成果物に対して対価を受領しております。したがって業務請負契約で完成すべき業務や成果物に係る瑕疵担保責任や製造物責任などの追及を受ける可能性があるため、ティアンドエスグループグループでは、これら瑕疵担保責任や製造物責任に係るリスクを軽減するために、個別契約(注文書)において、完成すべき業務や成果物の仕様、検収方法を明確に定義しております。しかし、当該追及を受けた場合には、ティアンドエスグループグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報管理について
ティアンドエスグループグループの事業においては、顧客企業の製品開発やシステム開発業務に従事しており、多くの個人情報・機密情報を扱っております。ティアンドエスグループグループはISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の取得等により、規程の整備と共に全従業員に対して入社時及び定期的に個人情報・機密情報の取扱いに関する啓発・教育・周知徹底を行い、また内部監査を実施することにより情報管理の強化を行っております。しかしながら、取引先内(顧客企業内)にて勤務する技術社員が知り得た顧客情報や個人情報が故意又は過失により外部へ流出し、ティアンドエスグループグループの管理責任問題、法律的リスク(訴訟等)、風評被害等が生じた場合、ティアンドエスグループグループの社会的信用等の失墜や多額の賠償金支払い等、ティアンドエスグループグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
登録の名称 |
登録の内容 |
有効期限 |
ISMS認証基準 ISO/IEC 27001:2013 |
情報セキュリティマネジメントシステム 登録番号:IR0227 |
2025年10月31日 |
(9)法規制等に関するリスク
ティアンドエスグループグループは、各種法令・規制等の遵守は極めて重要な企業の責務と認識の上、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、こうした対策を行ったとしてもティアンドエスグループグループの事業活動に関連して、第三者から訴訟や法的手続が行われるリスクを完全に回避することはできず、これらの結果によっては、信用失墜若しくは予期せぬ多額の損害賠償責任を負うなどティアンドエスグループグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
ティアンドエスグループグループでは、役員、従業員及び社外協力者に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末時点において、これらの新株予約権による潜在株数が43,200株であり、発行済株式総数の0.6%に相当しております。
これらの新株予約権が行使された場合には、ティアンドエスグループ株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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