デンカグループ(デンカおよびデンカの関係会社)は、デンカ(デンカ株式会社)、子会社60社および関連会社20社より構成されており、「電子・先端プロダクツ」、「ライフイノベーション」、「エラストマー・インフラソリューション」、「ポリマーソリューション」の製造・販売を主たる業務としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。
デンカグループの事業内容およびデンカと関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。
なお、次の4部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1) 電子・先端プロダクツ
主要な製品は、溶融シリカ、球状アルミナ、電子回路基板、ファインセラミックス、電子包装材料、アセチレンブラック、電設資材、接着剤、粘着テープ、半導体工程用材料等であります。
デンカが製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱がデンカ製品の販売をおこなっております。国内では子会社のデナールシラン㈱がモノシランガス等の製造・販売をおこなっております。海外では、シンガポールで子会社のデンカアドバンテックP.L.が溶融シリカおよび球状アルミナの製造・販売、デンカシンガポールP.L.がアセチレンブラックの製造・販売をおこなっております。また、中国では電化精細材料(蘇州)有限公司が電子部品包装材料の製造・販売、電化電子材料(大連)有限公司がアルシンクの製造・販売をおこない、ベトナムではデンカアドバンストマテリアルズベトナムC.L.が電子部品包装材料およびビニテープの製造・販売をおこなっております。
(2) ライフイノベーション
主要な製品は、ワクチン、抗原迅速診断キット、臨床試薬、 がん治療ウイルス製剤等であります。
国内では、デンカが当部門主要製品の製造・販売をおこなっております。
海外では、子会社のIcon Genetics GmbH(ドイツ)がバイオ医薬品の研究開発、研究受託、サービスの提供をおこなっております。またデンカライフイノベーションリサーチP.L.(シンガポール)にて熱帯感染症に対する遺伝子法による簡易診断システム等の研究開発をおこなっております。
(3) エラストマー・インフラソリューション
主要な製品は、クロロプレンゴム、肥料、カーバイド、耐火物、特殊混和材、ポリエチレン製コルゲート管等であります。
デンカが製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱がデンカ製品の販売をおこなっております。子会社の日之出化学工業㈱が熔成燐肥の製造を、デンカアヅミン㈱が腐植酸苦土肥料および腐植酸液肥の製造をおこなっております。海外では、米国において子会社のデンカパフォーマンスエラストマーLLCがクロロプレンゴムの製造を、中国において子会社の電化無機材料(天津)有限公司が特殊混和材の製造・販売を行っているほか、東南アジアでは、デンカインフラストラクチャーマレーシアSdn.Bhd.(マレーシア)が特殊混和材および建設化学品の製造・販売を行っております。
(4) ポリマーソリューション
主要な製品は、スチレンモノマー、ABS樹脂、SBC樹脂、N-フェニルマレイミド樹脂、透明樹脂、ポバール、ウィッグ・ヘアピース用合成繊維、食品包装用シート等であります。
デンカが製造・販売をおこなうほか、子会社のYKアクロス㈱がデンカ製品の販売をおこなっております。国内では子会社のデンカポリマー㈱が食品包装用容器等の製造・販売を、デンカアステック㈱が住設資材の製造・販売をおこなっております。関連会社の東洋スチレン㈱がポリスチレン樹脂を、デナック㈱がモノクロル酢酸等の製造・販売をおこなっております。海外ではシンガポールにおいて、子会社のデンカシンガポールP.L.がSBC樹脂、MS樹脂といったスチレン系樹脂と、N-フェニルマレイミド樹脂を、デンカアドバンテックP.L.がウィッグ・ヘアピース用合成繊維の製造・販売をおこなっております。
(5) その他
プラントエンジニアリング事業、卸売業等を含んでおります。
子会社のデンカエンジニアリング㈱がプラントエンジニアリング事業を、YKアクロス㈱がデンカ製品等の卸売を、関連会社の黒部川電力㈱が電力供給事業をおこなっております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)
デンカグループは、2023年度からスタートいたしました経営計画「Mission 2030」を推進してまいりました。この経営計画は、デンカが大切にするコアバリュー、羅針盤であるパーパス、そして2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションから構成される「ビジョン」のもと、「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つを成長戦略として、財務・非財務の双方に重点を置いた取り組みを実行し、企業価値の向上につなげていくものです。経営計画の中核をなす成長戦略「事業価値創造」について、初年度である2023年度の具体的な取り組みの一例をご紹介いたします。
注力分野である「ICT & Energy」では、xEVのリチウムイオンバッテリーや洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途で使用されるアセチレンブラックについて、SCG Chemicals Public CompanyLimited(本社:タイ・バンコク)との共同出資により合弁会社を設立いたしました。併せて、タイへのアセチレンブラック生産プラントの建設も決定しており、今後の需要の伸長を見据え、生産・販売体制の強化と供給体制の安定化に取り組んでまいります。
そして、「Healthcare」分野では、デンカは、VLP Therapeutics Japan株式会社、一般財団法人阪大微生物病研究会と次世代 mRNA技術を用いたインフルエンザワクチン開発に関する共同研究契約を締結しました。次世代 mRNA技術は、改変が容易で迅速に製造ができる従来のmRNA技術の利点を有するとともに、安全で、より少ない接種量で十分な効果を示し、免疫が長く持続するワクチンの創出に資することが期待されています。デンカは、インフルエンザの流行に備え、既にインフルエンザワクチンの生産能力を増強し多くの方にワクチンをお届けできる体制を構築しておりますが、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に貢献し続けるため、次世代のワクチン技術の開発にも着手しております。
さらに、「Sustainable Living」分野では、デンカと持分法適用会社である東洋スチレンは、使用済みポリスチレンの国内最大のケミカルリサイクルプラントを千葉工場に竣工させました。デンカグループのケミカルリサイクルは、ポリスチレンを化学的に分解し、化学原料に戻してリサイクルするもので、新品同等の品質と物性で用途制限なく使用可能なリサイクル手法であるとともに、サーマルリサイクルに比べてCO2排出量が少なく、脱炭素・循環型社会の構築に資するものです。「事業価値創造」では、スペシャリティやメガトレンドに加え、サステナビリティも追求してまいります。
経営計画「Mission 2030」の初年度は、半導体需要低迷の長期化、中国経済の減速や世界的なインフレ等の経済環境の変化に加え、クロロプレンゴムの需要減等の理由により、前経営計画「Denka Value-Up」で計画された先行投資等のコストの増加に見合った販売数量の増加を十分に受けることができず、政策保有株式の売却による特別利益はあったものの、能登半島地震の影響やノロウイルスワクチン開発中止に伴う減損損失も重なり厳しい業績を余儀なくされました。
今後、先行投資した設備が続々と稼働する予定であり、その需要を確実に取り込みながら、経営計画「Mission 2030」における3つの成長戦略を推し進める長期的な戦略に変更はありません。しかしながら、経営計画の前提条件が変動したことへの対応が喫緊の課題であり、財務面のコントロールも行いながら、業績を成長軌道に回帰させてまいります。
具体的な対応策として、まずは、売却・撤退も含めたポートフォリオ変革を加速いたします。クロロプレンゴム事業の収支改善を最優先事項として位置付け、需要動向と最適生産能力等の精査を行い、抜本的な対策を決定いたします。また、スペシャリティ、メガトレンド、サステナビリティの3要素を備えることが困難な事業については、最終施策の見極め期限を設けるなど、ポートフォリオ変革を加速させ経営資源を成長分野に集中することで、業績面や財務面の改善を図ります。
次に、投資計画の見直しを行います。投資案件の優先順位を明確にし、より厳選することに加えて、環境の変化に伴う不急な案件は先送りするなど、厳選化と実施時期等を見直します。
さらには、経営トップの全面的なコミットメントのもと、全社をあげたコストダウンプロジェクトを強力に推進いたします。今回のコストダウンプロジェクトは単にコスト削減のみを目的とするのではなく、今までデンカが行っていなかったベストプラクティスを導入することによって、コストダウンや業務効率化のほか従業員の成長にもつなげ、「事業価値創造」のみならず、「人財価値創造」と「経営価値創造」に貢献するよう、全社一丸体制で取り組み、利益水準を再び成長軌道に戻してまいります。
2023年度は、製造会社として存続の基盤ともいえる「製造現場での安全確保」と「製品の品質保証」を脅かす重大な事象が発生いたしました。2023年6月14日に青海工場(新潟県糸魚川市)内にて製造設備のメンテナンス工事作業中に配管が破裂する事故が発生しました。本事故により、工事に携わっていた協力会社の1名の方が亡くなられ、2名の方が負傷されました。デンカは事故発生以降、関係当局による事故原因の調査に全面的に協力するとともに、デンカにおいても専門的な調査により徹底した事故原因の究明および再発防止策の策定を行うため、2023年7月11日に社外の有識者および専門家を中心に構成される事故調査委員会を設置しました。そして、2024年1月11日に、同委員会から最終報告書※1を受領しました。同委員会からの提言を重く受け止め、再発防止対策の確実な実行と安全文化の醸成に、鋭意取り組んでおります。
また、デンカは、デンカおよび持分法適用関連会社である東洋スチレン株式会社が製造・販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories Limited Liability Company等の認証に関する不適切な行為が判明し、2023年5月29日に公表するとともに、デンカグループと利害関係を有しない社外有識者による外部調査委員会を設置し、本件不適切行為に関する徹底的な調査と原因究明、再発防止策の提言を委嘱いたしました。そして、2023年12月11日に同委員会から、調査報告書※2を受領しました。調査報告書では、不適切事案の申告に対する心理的安全性確保のための体制不足など、少なくない組織課題をご指摘いただきました。調査報告書の指摘を真摯に受け止め、コンプライアンス最優先の経営姿勢をデンカグループ全体に浸透させるべく、抜本的な対応策を全力で進めております。
両事案に起因する業績影響は特段ありませんでしたが、「製造現場での安全確保」と「製品の品質保証」は製造会社としての必須条件であり、デンカは、この2つの事案を非常に重く受け止め、関係役員の報酬の一部を返上いたしました。再発防止策として、ガバナンス、マネジメント、プロセス、人財育成まで幅広く対応することで、再びこのような事態を引き起こすことがないよう、確実に対処していく所存です。
2024年4月9日(現地時間)、米国環境保護庁(以下「EPA」という)は、デンカ米国子会社のデンカパフォーマンスエラストマーLLC(以下「DPE」という)を含むクロロプレンゴム製造施設に適用される新たな化学物質の大気排出規制を発表しました。新たに発表された化学物質の大気排出規制(以下「新規制」という)の内容は、米国におけるクロロプレンゴム製造施設に対して、各種の排出対策を取ることにより、クロロプレンモノマー※3排出量の大幅な削減を求めるものとなっております。新規制は、EPAが行ったRTR(Riskand Technology Review)の結果を受けたものであり、そのベースはEPAが2010年に統合リスク情報システム(IRIS / Integrated RiskInformation System)で行ったクロロプレンモノマーの発がん性評価が用いられています。これに対し、DPEは、IRISにおいてクロロプレンモノマーの発がん性が過剰に評価されているとして、かねてからEPAに対して最新の科学に基づき発がん性評価を正当に見直しするよう求めておりました。なお、DPEは、2015年11月に同事業を取得以降、一貫してルイジアナ州の排出基準を遵守して操業しており、また、自発的な環境投資を行い、2019年時点で2014年比85%のクロロプレンモノマーの排出量削減を達成しております。
今回の新規制等においては、最新の科学に基づいた正当な発がん性評価の見直しが行われたとは考えられず、また、DPEの操業継続に重大な影響を与える可能性のある内容となっていることから、DPEでは、排出量削減対策の実施に関する猶予期間の定めの停止や、新規制の内容自体の見直しを求め、米国連邦控訴裁判所への提訴を行いました。DPEでは、新規制等の見直しに向け、引き続きあらゆる措置を講じていくこととしております。
デンカグループ全体を挙げて、今一度、デンカが大切にする「挑戦」「誠実」「共感」というコアバリューを見つめ、「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる。」というパーパスの実現を目指して、「スペシャリティ」「メガトレンド」「サステナビリティ」を備えた3つ星事業へ集中するべく、新規事業の開発、既存事業の改革を行う「事業価値創造」、そして「人財価値創造」と「経営価値創造」にグループ一丸となって邁進してまいります。
※1 「青海工場クロロプレンモノマー製造設備事故調査最終報告書」
https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1193/20240111_denka_omi_finalreport.pdf
※2 「デンカおよび持分法適用関連会社の樹脂製品における第三者認証等の不適切行為に関する外部調査委員会による
調査報告書ならびにデンカグループの対応策の公表について」
https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1185/20231211_denka_report_measures.pdf
※3 クロロプレンモノマー:クロロプレンゴムの原料となる化学物質
2023年4月、デンカグループは新たな挑戦をはじめました。これまで指針としてきた「The Denka Value」(企業理念)、Denkaの使命、Denkaの行動指針は、従業員の声をふまえ、より未来のデンカを見据えた新たな「ビジョン」へと進化。同時に、2023~2030年度の8ヵ年を対象とする新経営計画「Mission 2030」が始動しました。
デンカの新たなビジョン
新たなビジョンは、デンカのDNAであるコアバリューを土台とし、デンカを導く北極星となるパーパス、2030年に成し遂げたい務めとしてのミッションを重ねた構成とすることで、文字の域を超え、全従業員が自分ごと化できる新しいデンカの未来像を表しました。
コアバリュー
「コアバリュー」とは、デンカのDNA。さまざまな判断をする上での拠り所にもなります。「挑戦」「誠実」「共感」は、デンカが脈々と受け継いできた姿勢を改めて言語化したものです。これからも一層大切にしていくべき信条です。
パーパス
「パーパス」とは、デンカを導く北極星。デンカが存在する根本的理由です。デンカは世界でどのような存在でありたいのか、デンカだからこそできることは何かを突き詰めて考え、「化学の力」「世界をよりよくする」「スペシャリスト」といった言葉一つひとつを選び出しました。
ミッション
「ミッション」は、デンカの務め。大胆で説得力のある野心的目標です。「コアバリュー」や「パーパス」が普遍性を持つものであるのに対して「ミッション」は明確なゴールと期限があり、例えるならば“登るべき山”です。2030年に、その頂上にたどり着くことを目指し、具体的な戦略を経営計画「Mission 2030」に落とし込んでいます。
コーポレートメッセージ
このデンカのビジョンを社内外に分かりやすく伝達する言葉としてコーポレートメッセージ「世界に誇れる、化学を。」を創りました。世界に誇れる唯一無二の存在(=スペシャリスト)として、化学の力で世界をよりよくすることを目指すという想いを込めました。
(ご参考)
経営計画「Mission 2030」
新たなビジョンの実現に向けて、2030年をゴールに取り組む経営計画が「Mission 2030」です。
事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造の3つを成長戦略として、企業価値向上に取り組みます。事業価値創造では、デンカの全ての事業を、スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指します。
2030年の主なKPI目標
3つの成長戦略
<事業価値創造>
事業価値創造では、想定される未来世界とメガトレンドから導き出された「3つの注力分野」である、ICT & Energy(アイシーティー・アンド・エナジー)、Healthcare(ヘルスケア)、Sustainable Living(サステナブル・リビング)に重点を置きます。そして、2030年までにスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」を100%にしていきます。また、「3つ星事業」への転換が困難な事業については、売却・撤退を含め、ポートフォリオ変革を進めていきます。そのために、8年間合計で戦略投資3,600億円、研究開発費1,800億円をかけて、2030年に営業利益1,000億円以上を目指します。
並行して、地球への貢献と、企業のさらなる社会的価値向上を目指し、8年間合計で850億円の環境投資を行い、サステナビリティを追求します。
3つの注力分野
サステナビリティの追求
<人財価値創造>
社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、人財投資と制度改革を実現します。
<経営価値創造>
ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化に取り組みます。
財務戦略
ROEとROICの改善
下記施策を通じて、ROE(株主資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を改善させ、企業価値向上を図ります。
キャッシュアロケーション~総還元性向50%水準を維持~
営業キャッシュフローと負債を有効に活用して、8年間合計で7,400億円のキャッシュを生み出し、それを投資に5,700億円(注)、株主還元に1,700億円(総還元性向50%水準)配分します。
(注)2024年5月10日に公表した「2024年3月期 決算説明会資料」に記載のとおり、投資案件の優先順位明確化や、投資計画の更なる厳選、不急案件のスケジュール見直しなどにより、1,000億円削減し、4,700億円とすることを目指します。
※文中の将来に関する事項は、計画発表時においてデンカグループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、ここに記載した事項は、デンカグループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてデンカグループが判断したものであります。
(1)外部事業環境等
デンカグループの経営成績は、自動車や電子部品などの需要動向により影響を受けるほか、原油や基礎石油化学製品などの原燃料市況ならびに為替相場の変動の影響を受ける可能性があります。デンカグループは、経営計画「Mission 2030」において、全ての事業をスペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」とすることを目指し、外部環境の変化に左右されにくい、企業体質の強化を進めてまいります。
(2)品質、製造物責任
デンカグループは、社会および顧客の信頼を第一に考え、安心して使用できる製品の提供のため、各事業セグメントに品質保証部門をそれぞれ設置し、デンカおよび主要子会社における全事業所の対象製品において継続的な品質改善に努め、ISO品質マネジメントシステム規格の認証を取得するなど、万全の対策を講じております。しかしながら、製品やサービスの提供は高度かつ複雑な技術の集積であり、また原材料の外部調達もあることなどから品質保証の管理は複雑化しております。デンカグループの製品やサービスに予期せぬ品質問題が発生した場合はデンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(第三者認証等における不適切行為について)
デンカおよび持分法適用関連会社である東洋スチレン株式会社が製造・販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories Limited Liability Company等の認証に関する不適切な行為が判明し、2023年5月29日に公表するとともに、デンカグループと利害関係を有しない社外有識者による外部調査委員会を設置し、本件不適切行為に関する徹底的な調査と原因究明、再発防止策の提言を委嘱いたしました。
そして、2023年12月11日に同委員会から、調査報告書を受領しました。調査報告書では、不適切事案の申告に対する心理的安全性確保のための体制不足など、少なくない組織課題をご指摘いただきました。調査報告書の指摘を真摯に受け止め、コンプライアンス最優先の経営姿勢をデンカグループ全体に浸透させるべく、抜本的な対応策を全力で進めております。
外部調査委員会の調査報告書およびデンカグループにおける対応策の詳細につきましては、デンカHP「デンカおよび持分法適用関連会社の樹脂製品における第三者認証等の不適切行為に関する外部調査委員会による調査報告書ならびにデンカグループの対応策の公表について」
(https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1185/20231211_denka_report_measures.pdf)にて公表しております。
(3)事故・自然災害
デンカグループは、安全最優先をすべての事業活動の基盤と位置付けております。2023年の配管破裂事故を教訓に、その再発防止対策であるリスクアセスメントの質的向上、工事安全管理、安全保安教育、安全監査など、すべての現場で災害を起こさないための総合的な対策を進めております。しかしながら、重大な産業事故や、地震、気候変動による急性の豪雨および大型台風などの自然災害が発生した場合、従業員や第三者への人的、物的な損害、生産設備の損壊や生産停止等が生じるリスクがあり、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(デンカ青海工場 配管破裂事故について)
2023年6月14日にデンカ青海工場(新潟県糸魚川市)内にて製造設備のメンテナンス工事作業中に配管が破裂する事故が発生しました。本事故により、工事に携わっていた協力会社の1名の方が亡くなられ、2名の方が負傷されました。
デンカは事故発生以降、関係当局による事故原因の調査に全面的に協力するとともに、デンカにおいても専門的な調査により徹底した事故原因の究明および再発防止策の策定を行うため、2023年7月11日に社外の有識者および専門家を中心に構成される事故調査委員会を設置しました。
そして、2024年1月11日に、同委員会から最終報告書を受領しました。同委員会からの提言を重く受け止め、再発防止対策の確実な実行と安全文化の醸成に、鋭意取り組んでおります。
事故調査委員会の最終報告書および再発防止策等の詳細につきましては、デンカHP「青海工場クロロプレンモノマー製造設備事故調査最終報告書」
(https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1193/20240111_denka_omi_finalreport.pdf)にて公表しております。
(4)環境
デンカグループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、パリ協定および日本政府が掲げる目標を念頭に、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、自家水力発電所建設などを通じたクリーンエネルギーの利用拡大、温室効果ガスを回収・固定化・有効利用する革新技術の開発、製品のライフサイクルを通じた地球温暖化ガスの排出削減、グループ各工場の環境負荷物質排出削減など、環境負荷の低減に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制の強化やカーボンプライシング(炭素税・排出権取引)が発動された場合、事業活動の制限や対応費用の負担等が発生し、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開
デンカグループは、アジア、米国、欧州等の国および地域に進出し、現地生産や販売をおこなうなど、海外展開を推進しております。海外での事業活動には予期できない法律や制度の変更、労使や人材確保の問題、テロや戦争などによる社会的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクが発生した場合、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)財務
デンカグループは、将来の安定的な成長を持続するため、良好な財務バランスを維持することが重要と考えており、資金需要に見合った資金調達をおこなうことを基本的な方針としております。資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と貸出コミットメント契約を締結することで流動性を確保しております。また、長期借入金の金利を固定化する等、金利変動リスクの低減を図っております。しかしながら、金融環境が急激に悪化した場合、資金調達リスクや金利の上昇等が発生し、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)固定資産の減損
デンカグループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。デンカグループが保有する固定資産について、事業環境の著しい悪化による収益性の低下等があった場合には、減損損失が発生し、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟等
デンカグループは、倫理規定をはじめ各種社内規定に基づき、国内外の法令遵守はもちろんのこと、デンカグループの社会における信頼を維持・確保することに努めておりますが、広範な事業活動を行う中で訴訟やその他の法律的手続きの対象となり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、デンカグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、訴訟等については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2) その他 ② 訴訟」をご参照下さい。
(9)新型コロナウイルス等の感染症
デンカグループは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、顧客、従業員、関係先等の安全・安心を第一に考え、国内外の事業所において各国の状況にあわせた感染防止対策をおこなっております。
今後、新型コロナウイルスやその他の感染症の流行が発生した場合には、ロックダウンなどによる活動の制限、サプライチェーンの停滞、世界経済の悪化などにより、デンカグループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)ロシア・ウクライナ情勢
デンカグループはESG基本方針に則り、人権の尊重やサステナビリティの観点から、ロシア・ウクライナ情勢に対する国際社会の動きや日本政府の方針を尊重するとともに、日本政府を含むステークホルダーと建設的な対話に努め、適切に対応してまいります。
今後、現下の情勢が長期化した場合には、一部原料の調達難に伴う操業への影響、およびナフサ・天然ガス・石炭など原燃料価格の継続的な高騰などにより、デンカグループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、国内外の経済・政治情勢、技術革新、株式相場の変動、繰延税金資産の取崩し等が、デンカグループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー