堺化学工業の企業集団は、堺化学工業、連結子会社15社及び非連結子会社2社で構成され、化学工業製品の製造販売を主な事業とし、その他の関連事業を行っております。
主な事業の内容と各事業における堺化学工業及び関係会社の位置付け等は次のとおりであります。
なお、次の11事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。
また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
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・電子材料………………… |
高純度誘電体粉末、高輝度無機発光材料等の製造販売をしております。 堺化学工業が製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。
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・化粧品材料……………… |
超微粒子酸化亜鉛、板状硫酸バリウム等の製造販売をしております。 堺化学工業が製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。
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・有機化学品……………… |
有機イオウ化合物、医薬品原薬・中間体等の製造販売をしております。 堺化学工業および㈱片山製薬所が製造販売するほか、堺商事㈱、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。
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・衛生材料………………… |
高吸収性ポリマー、通気性フィルム等の製造販売をしております。 PT. S&S HYGIENE SOLUTIONで製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。
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・受託加工………………… |
カラー舗装・塗工剤等の受託加工をしております。 レジノカラー工業㈱および日本カラー工業㈱で製造販売するほか、堺商事㈱で販売を行っております。
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・酸化チタン・亜鉛製品… |
ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛等の製造販売をしております。 堺化学工業および常磐化成㈱で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司で販売を行っております。
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・樹脂添加剤……………… |
金属石鹸、錫系安定剤等の製造販売をしております。 堺化学工業および共同薬品㈱、SAKAI CHEMICAL (VIETNAM) CO.,LTD.、SIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD.で製造販売するほか、堺商事㈱、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。
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・触媒……………………… |
脱硝触媒、還元ニッケル触媒等の製造販売をしております。 堺化学工業で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。
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・無機材料………………… |
硫酸バリウム、炭酸ストロンチウム等の製造販売をしております。 堺化学工業で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司で販売を行っております。
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・医療事業………………… |
医療用医薬品、一般用医薬品、医療機器等の製造販売をしております。 カイゲンファーマ㈱で製造販売するほか、堺商事㈱で販売を行っております。 |
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・その他…………………… |
リン酸化合物等の販売、酢酸ニッケル、路面標示剤等の製造販売をしております。 大崎工業㈱で製造販売するほか、堺商事㈱、SAKAI TRADING NEW YORK INC.、SAKAI AUSTRALIA PTY LTD.、堺商事貿易(上海)有限公司、台湾堺股份有限公司、SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD.で販売を行っております。
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事業の系統図は次のとおりです。
子会社及び関連会社は、次のとおりです。
連結子会社
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堺商事㈱ |
電子材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
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カイゲンファーマ㈱ |
医療事業品の製造・販売 |
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大崎工業㈱ |
その他事業品の製造・販売 |
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レジノカラー工業㈱ |
受託加工事業品の製造・販売 |
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共同薬品㈱ |
樹脂添加剤事業品の製造・販売 |
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日本カラー工業㈱ |
受託加工事業品の製造・販売 |
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SAKAI CHEMICAL (VIETNAM) CO.,LTD. |
樹脂添加剤事業品の製造・販売 |
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㈱片山製薬所 |
有機化学品の製造・販売 |
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SIAM STABILIZERS AND CHEMICALS CO., LTD. |
樹脂添加剤事業品の製造・販売 |
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PT. S&S HYGIENE SOLUTION |
衛生材料事業品の製造・販売 |
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SAKAI TRADING NEW YORK INC. |
電子材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
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SAKAI AUSTRALIA PTY LTD. |
その他事業をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
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堺商事貿易(上海)有限公司 |
触媒をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
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台湾堺股份有限公司 |
樹脂添加剤をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
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SAKAI TRADING (THAILAND) CO.,LTD. |
衛生材料をはじめとした化学工業製品の販売・輸出入 |
非連結子会社
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常磐化成㈱ |
酸化チタン・亜鉛製品の製造・販売 |
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韓国堺商事㈱ |
グループ会社製品をはじめとした化学工業製品の販売・仲介事業 |
堺化学工業グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において堺化学工業グループが判断したものであります。
(1)経営方針
堺化学工業グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
堺化学工業の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。
培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
堺化学工業グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。
化学事業は、原燃料価格の高止まり、中国の景気減退等の影響を受けました。成長事業である電子材料は、PC、スマートフォンといった民生品の需要回復が低調に推移し、在庫調整はある程度進んだものの、誘電体、誘電体材料の販売は緩やかな回復にとどまりました。また、他のセグメントにおいても、景気低迷の影響で販売数量が伸びず、製造コストの上昇をもたらしました。
一方の、UVケアおよびメイク関連向けの化粧品材料は、国内向けは回復基調にあるものの、欧米での在庫調整や中国の景気減退の影響を受けました。
また、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、景気後退の影響を受けにくく、引き続き堅調に推移しました。
医療事業については、昨年度に続き、新型コロナ感染拡大による行動制限の影響が長引いたことに加え薬価改定の影響も受け、昨年同様の厳しい業績となりました。
堺化学工業グループ全体では、下半期からの景気回復による販売数量の増加を見込んでおりましたが、事業環境が低調に推移したことにより、前期比、当初見込み比ともに利益を大きく引き下げました。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
堺化学工業グループは上記経営環境を認識し、2019年にスタートさせた中期経営計『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでまいりましたが、最終年度の数値目標は達成することができませんでした。堺化学工業グループは2024年にスタートさせたグループ中期経営計画『変革・BEYOND2030』において変革を通じて弊社のミッションである「化学でやさしい未来づくり」 をこれまで以上に体現すべく、強い決意を以て取り組んでまいります。
『変革・BEYOND2030』で重点的に取り組む項目は以下のとおりとし、中長期的には「Smart Material®で社会に貢献できるエクセレントカンパニー」を目指します。
①高付加価値品シフトを企図した事業ポートフォリオ入替え
顔料級酸化チタンの事業終了を皮切りに、他製品の安定・成長事業化も進め、「変革・BEYOND2030」において効率化を検討する事業はなくします。
1.顔料級酸化チタン事業終了と構造改革
・顔料級酸化チタンは設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷も高い事業のため、2026年3月期に事業を終了します
・顔料級酸化チタンの事業終了に向けて、構造改革(固定費削減、価格是正など)を進めます
2.成長事業へのリソース集中、M&Aによる事業拡大
・電子材料、化粧品材料に加えて、有機化学品を新たな成長ドライバーと位置づけ、既存事業の成長投資とM&A活用で、更なる利益成長を目指します
電子材料は、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェア取り込みで市場成長を超えた成長を実現していきます。
化粧品材料は、サンスクリーン剤の増産投資は一巡したことから、超微粒子酸化亜鉛で海外(特に欧州化粧品メーカー)の需要を取り込み、利益成長を目指します。さらに将来における収益貢献に向けたメイク用途材料の先行投資を実施します。
有機化学品は、市場内でも特に高い成長率が見込まれる高屈折タイプのメガネレンズ材料に対し、トップシェアポジションの強化に向けたリソース投入を行います。また、医薬品原薬・中間体は、増設による既存受託品の更なる拡販で、利益成長を目指します。
3.ベストオーナーの見極め、将来への種蒔き
グループ会社を含め、各事業のベストオーナーが堺化学工業であるかを見極めます。また、将来に向けた種蒔きのため、R&D活動を積極的に進めます。
医療事業は、品質問題を受け、GQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指します。また、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進を進めます。
4.研究開発活動
堺化学工業グループではSmart Material®認定製品・サービスを2030年度までに5件上市することを目標としています。「自然を守る」、「高度情報化社会の発展を支える」、「人々の健康を支える」ために、環境・エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、Smart Material®認定製品・サービスで社会に貢献することを目指します。そのために、継続的な研究開発への投資を行っていきます。
②資本コストを上回るROEの達成・PBR改善
2027年3月期のROE目標8%の達成に向けて、事業ポートフォリオ変革による高付加価値品へのシフト、資産の圧縮、資本効率の向上を進め、PBRの改善へつなげます。
1.事業ポートフォリオ変革により高付加価値品へのシフト
成長事業への展開を加速し、顔料級酸化チタンの事業を2026年3月期に終了します。
2.資産の圧縮(キャッシュ・フロー改善)
キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善をすることで、中期経営計画期間(3年間)で運転資金70億円の圧縮を実現します。また、有効活用されていない固定資産の売却を実施します。
3.資本効率の向上
成長事業へのM&Aを含む積極投資を行います。また、DOE3%を目安として、安定的、継続的な配当を行うとともに、機動的な自己株買いを実施します。
③マテリアリティ推進・非財務面の取り組み加速
1.品質・安全問題の再発防止策の徹底
子会社のカイゲンファーマにおける薬機法違反、湯本工場の爆発火災事故、小名浜事業所の火災等、重大な品質・安全問題が発生した事を重く受け止め、現在グループ全体で再発防止に向けた取り組みを進めております。
2. 人的資本経営の取り組みの推進
2024年4月にサスティナビリティ委員会の傘下に人的資本部会を設置しました。堺化学工業は、社員が個人・組織課題の解決に向けて主体的に動くことで、社員一人ひとりが自分・仲間を信頼し、持続的に成長できる強い企業になることを目指します。
④キャピタル・アロケーション
⑤主要なKPI一覧
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
堺化学工業グループは2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画「変革・BEYOND2030」をスタートさせました。当計画は、2030年から更にその先の将来に向けた「変革」のステージの3年間と位置づけております。今後は、収益性、投資効率が高い事業へ設備投資や人的資源を集中的に投下し、事業ポートフォリオを組み換え、高収益な企業へ変革するための構造改革を実施します。
また、成長事業として位置づけております化粧品材料事業につきましては、海外、特に欧州を中心に化粧品トップメーカーに対し販売を強化するとともに、UVケア商材だけではなくメイクアップ商材への先行投資を行ってまいります。また電子材料事業につきましては誘電体のハイエンド品やミドルエンド品のシェアアップによって、電子材料市場の市場成長を超える成長を目指します。
なお、2024年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当連結会計年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。
有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、中国における景気減退、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱とそれに伴う景気の停滞が継続しております。現状は、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がこれらの影響を大きく受けております。加えて、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原料鉱石を輸入している堺化学工業にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善、製造設備の集約等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。
(化学事業)
電子材料(成長事業)
中国経済の景気低迷の長期化、それに伴うサプライチェーンの各所での積層セラミックコンデンサ(MLCC)の在庫調整の影響により、誘電体材料(高純度炭酸バリウム)と誘電体(チタン酸バリウム)の販売が当初計画より大幅に減少しました。2023年度下期以降、市場は徐々に回復していますが、完全回復には時間を要するものと見込まれます。市況を正しく判断し、機会を逃すことなく事業拡大してまいります。
また、誘電体材料は価格改定を進め採算是正に取り組み、誘電体は新製品によるハイエンド・ミドルエンド市場のシェア拡大を図ってまいります。
化粧品材料(成長事業)
中国のトラベルリテールの減速及び景気軟化の影響を受け、化粧品市場は低迷し、堺化学工業の主力であるUVケア化粧品材料で使用される超微粒子酸化亜鉛・酸化チタンもその影響を受けました。UVケア化粧品材料については、堺化学工業の表面処理技術ならびに処方提案力を訴求し、海外化粧品メーカーへの拡販に努めてまいります。また、UVケア化粧品材料のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品材料全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、引き続き材料、処方開発に取り組むとともに、戦略的な設備投資も行ってまいります。
酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)
酸化チタンは、原燃料の高騰に一服感が出たものの、国内への海外安価品の流入があり、販売量が減少しました。それに伴い生産量を減少させたため製造原価の固定費が上昇し、採算性が悪化しました。設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷の高い顔料級酸化チタン製品は、2026年3月期に事業を終了する予定です。これに伴い発生する余剰人員については事業所内で再配置を行い、成長事業に設備投資や人的資源を一層集中いたします。
樹脂添加剤(効率化検討事業)
塩ビ安定剤は、環境に優しい非鉛系安定剤の積極的な展開を図ると同時に、国内の鉛系安定剤からの撤退、併せて原材料高騰に合わせた適正価格への値上げを推進し、収益性の改善を継続的に行ってまいります。
また、塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、堺化学工業の非鉛系安定剤の配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力して、グローバルに新規採用、シェア拡大に努め、事業の海外シフト化を進めることで安定事業への移行を図ります。
衛生材料(安定事業)
紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の材料について、世界中の信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開しております。
また、子会社であり、通気性フィルムを生産するPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)は、品質、コスト競争力の更なる向上に取り組んでおり、生産活動も行う商社として、お客様の信頼を高めてまいります。
有機化学品(安定事業)
有機イオウ製品およびリン製品は、高品質と安定供給に努めるとともに、伸長が予想されるメガネレンズ市場の中でも高屈折タイプ製品への積極的な展開を図ってまいります。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めました。また、将来の新規案件獲得に向け、CDMO化に向けた研究設備の拡充、製造ラインの増強ならびに製品倉庫の拡充を進めており、2025年3月期中に稼働する予定です。
これら技術・品質を強みとしたニッチトップ戦略の推進により、無機化学と共に両翼を担う事業への成長を目指します。
触 媒(効率化検討事業)
衛生材料向け部材等の分野で水添石油樹脂の需要拡大が期待されています。ニッケル触媒はその製造工程で使用されており、顧客の品質要求に応えるべく、性能の改良や生産効率の向上により、他社との差別化を図ってまいります。
脱硝触媒は、環境対策としてごみ焼却炉施設の普及が進む東南アジア地域や中国等への営業活動を進めてまいります。
その他、低炭素化社会実現のためのカーボンニュートラルに関連した企業との協業で、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。併せて、生産拠点整理・価格是正により安定事業への移行を図ります。
受託加工(安定事業)
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築しています。また、昨今の原燃料や物流費の高騰等による採算悪化に対しては、製販一体となり在庫圧縮、原材料見直し、生産効率化等の取り組みを継続し改善に努めてまいります。
(医療事業)
堺化学工業子会社のカイゲンファーマ株式会社における品質不正に対する再発防止に向けた取り組みについて、全社組織の改編と仕組みの整備、リソース管理とジョブローテーションの推進、役職員に対する教育の強化、法令遵守管理体制の整備を進めております。堺化学工業からは医薬品のGMP管理の知見がある取締役を派遣し、改善の実施状況をモニタリングしております。
上記に取り組むとともに、医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、機能性食品ならびに美容医療向け製品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内市場においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内外の販売合計で事業規模の維持を図っております。新型コロナウイルスの影響を受け集団検診の延期または受診控えにより販売量が減少しました。検診自体は、がんの早期発見の観点からもその必要性は変わりありませんが、コロナ禍前の状態には完全に戻らず、1割程度の減少が見られるほか、品質問題の影響で他社品への移行が見られました。業務改善により信頼回復に努めてシェアの回復を図ると共に、薬価加算を受けての価格転嫁により収益性の改善を目指します。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、耳鼻咽喉科領域でのエビデンスを取得し、新たな領域として展開を進めております。消耗品の原材料高騰による影響は製品価格に転嫁することができ、収益性が改善しました。
2019年6月に上市した内視鏡用の粘膜下注入材「リフタルK」は、大学病院、官公立病院からクリニックまで営業強化を図った結果、目標とした30%のシェアに近づいてきており、更に拡販に注力してまいります。
また、胸部X線診断支援AIシステムと胸部CT診断支援AIシステム、下部消化管内視鏡診断支援AIシステムに加え、新たに開業医市場に適した胸部X線診断支援AIシステムの取扱いも予定しております。
緑内障検査装置「アイモscan」は健診施設向けに販売を行っております。学会等でも高評価で、緑内障等による視野異常の早期発見に貢献します。
一般用医薬品・その他
一般用医薬品の収益力強化と事業改革のため、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。またかぜ薬「改源」が2024年に発売100周年を迎えることを記念して、生薬を配合した揉み出しタイプの入浴剤「改源の湯」(医薬部外品)を発売し、好評を博しています。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナウイルスの影響下にあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。
また、エルゴチオネイン配合の認知症予防サプリメント「メモエル」は、自社ECサイトでの販売に加えて開始したB to Bビジネスの展開を進め、拡販に注力してまいります。
堺化学工業グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載いたします。ただし、これらは堺化学工業グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
(1)資材等の調達
重油や非鉄金属などの原燃料、カントリーリスクの比較的高い地域からの輸入に頼っている酸化チタンまたはバリウム製品の原料、国内においても調達先が限られる特殊な原料・資材等の価格高騰、供給の逼迫・遅延等が生じた場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、特に輸入原料については極力複数の国、調達先を確保するように努めております。また、在庫量についても、仕入れの難易度、必要期間を考慮し、余裕を持った運用を実施しております。
(2)資金の調達
金融危機により金融機関からの調達が困難になる、または、金利高騰で支払い金利が増大することにより堺化学工業グループの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクに対し、取引金融機関のシンジケーションによるコミットメントラインで金融サポート体制を強固なものにする、長期借り入れについては極力固定金利を採用し将来の支払金利負担を固定化する、キャッシュ・マネジメント・システムによりグループ内の資金効率を高めるなどの対応を実施しております。
(3)公的規制・コンプライアンス
堺化学工業グループは事業の遂行にあたって、様々な法令、規制の適用を受けております。加えて、事業活動を行っている国および地域が多岐にわたることから、それぞれ投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用が異なる場合があります。
これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受ける、顧客からの信頼を失うことで、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し、堺化学工業ではコンプライアンスを「堺化学工業が行うあらゆる活動の局面において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文書化されたルールを遵守するとともに法令の目的である社会的要請、社会通念および社会倫理等を尊重して行動すること」と定義し、コンプライアンス研修やコンプライアンスハンドブックの配付を通じ従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、公認会計士、弁護士、弁理士等の専門家とのコミュニケーションを適切に実施することで、これらリスクへの早期かつ的確な対応を心掛けております。
(4)環境規制
堺化学工業グループでは化学セグメントが事業の主体となっていることから、資源やエネルギーの大量消費による環境負荷が大きな問題の1つであります。よって環境負荷低減のための設備や管理体制の整備を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上など、環境負荷の低減に取り組んでおります。堺化学工業グループのすべての製造拠点における排水規制(水質汚濁防止法等)に対して各拠点において専用設備を設置して窒素酸化物、リン等の排出物濃度モニタリングを実施し適切な管理を実施していますが、今後、環境税の導入や、環境関連規制の強化により大規模な設備投資等の必要が生じた場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替レートの変動
堺化学工業グループの海外における事業展開に伴い、外貨建取引から発生する資産等の日本円換算額が影響を受ける可能性があり、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。堺化学工業では化学セグメントにおける酸化チタン、バリウム製品の原料となる鉱石購入等の大口ドル建て取引に対し、予算レートに準じた為替予約を一定比率で実施するなど、為替変動リスクの低減に努めております。
(6)株式相場の変動
政策保有株式の多くは、市場価格のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、堺化学工業コーポレートガバナンス基本方針において銘柄毎にその保有の目的や保有リスク・時価、配当利回り等を精査の上保有継続の合理性の確認および株式数の見直しを行っております。見直しの結果、継続して保有する必要が無いと判断した株式は売却を進めるなど、政策保有株式の縮減に努めております。
(7)海外における事業
堺化学工業グループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や習慣の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、堺化学工業グループの事業活動が制限される、一時的な業務停止などの悪影響が発生する可能性があります。
これに対し、比較的カントリーリスクの低い国への進出を選択していること、インドネシア、タイでは現地事情に詳しいパートナーとの合弁事業とすることによりリスクの低減を図っております。
(8)製造物責任
堺化学工業グループの製品は、自動車関連部品、電子機器、建材、化粧品、医薬品等の暮らしに身近なものから、社会インフラまで多くの分野で使われています。そのため何らかの原因で製品品質に問題が生じた場合、特に医薬品等においてはGQP、GMPにおいて不正逸脱等の問題が発生した場合には、販売中止・製品の回収や社会的信頼の喪失などにより、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
これらに対し、原料調達から生産、お客様に製品をお届けするまでサプライチェーン全体を管理することで品質を保証し、より一層の顧客満足向上に努めるとともに、万が一に備え製造物責任保険に加入しています。また堺化学工業グループでは品質担当部門による「グループ品質連絡会」を実施、品質に関する情報を共有し、製品品質の問題発生の予防に努めています。
(9)訴訟
国内および海外事業に関連して、訴訟の対象となるリスクがあり、多額の損害賠償請求訴訟等が提起された場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。堺化学工業では契約書を締結する前に必ず法務担当部門が契約審査を行い取引先との協議により堺化学工業リスクの低減を図り、社内手続きを経たうえで契約締結を進めております。
(10)自然災害・事故災害の影響
地震・台風・津波・風水害・火災・有害物質の流出等の災害により事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。
これに対し、堺化学工業では事業継続管理システム規程を制定し事業活動の復旧・継続に関する基本方針、基本的事項を定めております。また、安否確認システムにより従業員およびその家族の安否を迅速に確認出来る体制を構築しております。さらに、過去に起こした湯本工場爆発火災事故を教訓に、5月11日を「安全への誓い」として毎年講演会や安全教育を実施し啓発活動に取り組んでいます。
生産活動の中断によって生じる悪影響を最小限に抑えるため、全設備において定期的な防災点検および設備保守を行っておりますが、想定外の大規模災害(大地震・津波、停電またはその他の混乱を含む)が発生した場合、その影響を完全に予防または軽減することはできません。また、製品によっては、代替生産できないものもあり、一時的または長期にわたる生産の中断があった場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)システム障害の影響
社内および堺化学工業グループ間のネットワークシステムについては、情報セキュリティ規程に則りシステムの更新、EDR(Endpoint Detection and Response)等ウイルスやハッカーの侵入・攻撃に対する防御システムの導入のほか、定期的な保守点検を実施しております。しかし、未知のコンピュータウィルスの侵入や情報への不正アクセス、突発的な事故等により、ハードまたはソフトウエア障害もしくはネットワーク障害等が発生し、長期間にわたり正常に機能しなくなった場合、堺化学工業グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報漏洩
営業、技術、研究など事業に関連する機密情報については、情報管理規程に基づき適切な運用に努めるとともに、堺化学工業グループ全従業員に対し情報管理についての研修を実施しております。しかし、予期せぬ事態により情報が流失した場合、被害を受けた企業および個人に対して損害賠償責任を負うとともに、社会的信用の失墜を招き、堺化学工業グループの事業やイメージに影響を及ぼす可能性があります。
(13)新型コロナウイルス等のパンデミック
新型コロナウイルス等のパンデミックにより、堺化学工業グループにおいて工場、事務所閉鎖が生じ、事業継続に影響が出る可能性があります。これに対し検温、マスクの着用、アルコール消毒液の設置、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限およびWeb会議システム等の活用、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続が可能となる施策を制定し、的確な対応を実施してまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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