当「エア・ウォーター」グループは、エア・ウォーター、連結子会社136社(注1)、持分法適用会社11社の合計147社で構成され、デジタル&インダストリー、エネルギーソリューション、ヘルス&セーフティー、アグリ&フーズ、並びにその他の事業に関する製品・商品の製造・販売を行っております。
当グループが営んでいる主な事業内容とエア・ウォーター及び関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。
以下の事業区分はセグメント情報における事業区分と同一であります。
(注) 1 連結子会社の数には、エア・ウォーターが直接連結経理処理を実施している会社のみ含めており、連結子会社が連結経
理処理している関係会社(42社)はその数から除外しております。なお、上記連結子会社には、ジョイン
ト・オペレーション(共同支配事業)を含んでおります。
2 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱は、2025年4月1日付で、エア・ウォーター・ライフサポート㈱の
事業の一部を吸収分割により承継し、同日付をもって商号をエア・ウォーター産業・医療ガス㈱に変更し
ております。
3 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱は、2025年4月1日付で、同社を存続会社としてエア・ウォ
ーター・ライフサポート㈱を吸収合併しております。
事業の系統図は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、エア・ウォーターグループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
エア・ウォーターグループの経営理念は、次のとおりであります。
「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」
エア・ウォーターグループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことがエア・ウォーターグループの使命であります。エア・ウォーターグループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。
(2) 中長期的な経営戦略
2030年に向けた目指すべき経営の方向性として、「地球の恵みを、社会の望みに。」をパーパスと定義した上で、「地球環境」と「ウェルネス」の2軸を設定し、2022年7月に、2030年度に目指す姿「terrAWell 30」及び2022年度から2024年度の3ヵ年を対象とした中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」を公表しました。将来の成長に向けて、新規事業や海外展開を進めるための投資を積極的に行いながら、国内の既存事業を中心とした収益構造の強化を図ることで、成長と投資の好循環を生み出していきます。また、多様な事業、人材、技術と地域密着の事業基盤を活かした掛け算のシナジーを創出し、部分最適から全体最適によるグループ経営資源の最適化を進めることで、経済価値と社会価値の両面から企業価値を高め、持続可能な成長を目指していきます。
(3) 経営環境、対処すべき課題
世界経済は、緩やかながら成長基調で推移すると見込まれるものの、ウクライナや中東情勢、欧米での金融政策の動向、中国景気の低迷などが懸念材料として挙げられます。我が国経済は、賃上げによる所得環境の改善や企業の設備投資意欲も相まって緩やかな回復が期待されますが、エネルギー価格や為替相場の変動が及ぼす影響を注視しております。
このような先行き不透明な事業環境のもと、エア・ウォーターグループは、2030年度に目指す姿「terrAWell 30」及び中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」で掲げた基本方針と事業戦略を着実に実行することで、成長領域の拡大とともに、収益力強化と新事業育成を図っております。
エア・ウォーターグループの中長期的な企業価値向上に向け、今後も、継続的な成長投資が不可欠であると認識しており、さらなる市場拡大が期待できる「インド・北米における産業ガス事業」に加え、我が国の産業基盤強化に向けて積極的な環境整備が図られている「半導体・デジタル産業」、「脱炭素・GX(グリーントランスフォーメーション)」、「食の安定供給を見据えた農産分野」を中心に、事業成長の源泉となる設備投資やМ&A投資を行っていく予定であります。
なお、エア・ウォーターグループは、2022年度において、長年目標としてきた「売上収益1兆円」を達成して以降、これまで以上に資本効率性を重視しており、2030年度に向けたROE目標を10%から12%へ上方修正しております。引き続き、グループの中核会社が一体となって、ヒト・モノ・カネや技術といった経営資源の全体最適化を図る「グループ一体経営」を推し進め、資本効率性の改善・向上に対処してまいります。
成長領域と位置付ける海外事業については、規模・成長性の両面で需要拡大が見込まれるインドと北米を重点戦略エリアとして、国内市場でこれまでに培った機器・エンジニアリング技術を活用し、ガス需要を着実に捉えたサプライチェーンを構築することにより、事業拡大を加速します。同時に、海外での事業成長を下支えするグローバル人材の育成を進めていきます。
国内事業については、グループ会社の統合再編をはじめとした構造改革を継続するとともに、高付加価値製品やサービスの充実を図ります。また、エネルギー価格や人件費等のコスト変動に対しては、価格マネジメント、物流・調達の効率化、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の施策により、適切に対処することで一層の収益力強化に取り組みます。
社会課題解決を通じた新たな事業創出に向けては、バイオメタンをはじめとしたクリーンエネルギーの供給やCO2の回収・再利用の取り組みを進め、脱炭素社会の実現に向けた技術開発や地域の社会課題解決に貢献するビジネスモデルの構築を推進しております。また、長期的な食料不足が世界的な社会課題となる中、生産者の高齢化や担い手不足という問題に対応し、収穫などの農作業を機械化して代行するアグリサポート事業の強化や、産業ガスの低温技術を生かしたフードロス削減に向けた鮮度保持技術の向上等に努めます。業界大手企業4社による資本業務提携で構築した「米・青果流通加工プラットフォーム」を通じて、調達網のさらなる拡充と産地の分散化を進め、食料の安定供給体制を強化します。さらに、実証中である陸上養殖の事業化を推進し、食料自給率の向上に貢献してまいります。
サステナビリティの取り組みに関しては、社会環境が大きく変化する中、事業活動を通じて提供する社会価値をより重視したサステナブル経営が不可欠であると考えております。地球環境の負荷低減に向けては、「脱炭素社会」「資源循環型社会」「人と自然の共存社会」の実現に向けた取り組みを進めており、特に、カーボンニュートラルの実現に向けては、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を減らす「責務」だけにとどまらず、事業活動を通じた社会の温室効果ガス(GHG)排出量削減への「貢献」との両面で取り組みを推進してまいります。加えて、グループの人的資源活用の最大化に向けては、自立的なキャリア形成を促す人事制度改革を実行するなど、価値創造の中核を担う人的資本の強化に努めてまいります。
なお、対処すべき課題を踏まえた各セグメントの取り組みは、次のとおりであります。
(デジタル&インダストリー)
エレクトロニクス分野は、国内への半導体工場の誘致や既存工場の生産増強が進められる中、こうした顧客に向けたガス供給プラントの投資を加速するとともに、半導体市況の回復に伴い増加する半導体関連部品や機能材料の需要を取り込みます。また、ガス精製装置や化学品の供給システムをはじめとして、半導体製造に欠かすことのできない製品・サービスを提供できることを強みに、デジタル産業の最先端ニーズから周辺分野まで幅広い需要に対応します。
産業ガス分野は、販売数量の飛躍的な拡大が望めない中、各種ガスの安定供給体制を構築するとともに、国内製造業の幅広い分野に向けて、ガスの特性を有効利用したガスアプリケーションやきめ細やかなソリューションサービスの深化に取り組みます。同時に、低採算案件の見直しを含めた価格マネジメントを徹底するとともに、生産性の向上をはじめとした収益強化策に取り組みます。
(エネルギーソリューション)
日本政府による「カーボンニュートラル宣言」をきっかけに社会の低・脱炭素需要が高まる中、工業用向けのエネルギー供給分野は、顧客に向けて重油からLNG等への燃料転換を進めるとともに、輸送機器や供給設備の拡販に取り組みます。また、垂直ソーラー発電システム「VERPA」、小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」、家畜ふん尿由来の「バイオメタン」など、脱炭素ソリューションの社会実装化にも注力していきます。
一方で、北海道を中心とした家庭向けのエネルギー供給分野は、人口減少を背景に需要は低減傾向にあり、かつ人手不足の問題も地方部を中心に顕在化しつつありますが、IoT技術を活用した配送の効率化や販売店の商権買収などの直売比率を高める施策により、収益力の強化に努めます。
(ヘルス&セーフティー)
医療分野は、SPD(病院物品物流管理)や病院向け滅菌受託といった医療現場との接点を活かし、医師の働き方改革、遠隔医療の推進などの医療機関のニーズを的確に捉えた製品やバックエンドサービスの拡充を図ることで、医療ガスや病院設備といった主力商材との複合提案による事業拡大を図ります。将来の成長に向けては、健康寿命の延伸や在宅医療体制の構築といった社会的ニーズを踏まえ、人々の健康増進、リハビリによる予後の改善、在宅患者様のQOL(生活の質)向上につながる医療機器や介護用製品の開発体制を強化していきます。
衛生材料、注射針、化粧品・エアゾールなどのコンシューマーヘルス分野は、人々のくらしやヘルスケアに欠かせない高品質で付加価値の高い製品・サービスの拡充を図るとともに、OEM・ODMの受託拡大や生産の内製化により収益性の向上に取り組みます。防災分野は、大規模データセンターの建設を背景に旺盛な需要が続くガス消火設備工事の受注獲得に注力していきます。
(アグリ&フーズ)
フーズ分野は、コスト上昇に対応した製品の価格改定や量目変更などの継続的な実施により、その影響を低減するとともに、物流の内製化や生産体制の効率化を図り、収益性の確保に努めます。また、成長市場である惣菜分野に対応するために、より加工度の高い商品開発を進め、事業拡大と収益性の向上の両立を目指します。
また、アグリ分野は、2023年2月に、㈱ベジテックと、デリカフーズHD㈱との資本業務提携を開始、さらに2024年3月には、㈱神明ホールディングスとの資本業務提携を行い、業界大手4社で農作物調達機能の強化や物流の効率化などに取り組んでおります。エア・ウォーターの主要の事業エリアである北海道における農産事業の基盤強化に注力するとともに、米・青果物の調達・加工・販売までのバリューチェーンをより強固なものとし、全国をカバーする物流ネットワークを掛け合わせることで、安全・安心な農作物をお客様のニーズに対応した形とタイミングで供給する米・青果流通加工プラットフォームの構築を目指していきます。
さらに、飲料製造を行うナチユラルフーズ分野は、脱プラスチック化に向けた紙容器高速ラインへの更新をはじめとした生産性の向上やEC事業の強化に取り組んでいきます。
(その他の事業)
グローバル&エンジニアリング事業は、市場の拡大に伴う成長と高い収益性が見込めること、また既存事業とのシナジーによって新たな需要創出ができると判断した以下3つの事業分野に注力し、新たな成長エンジンとしていくことを目指しております。
インドの産業ガス分野については、政府による積極的なインフラ投資政策を背景に、鉄鋼をはじめとしたガス需要の拡大が見込まれます。川上領域となる鉄鋼向けオンサイト供給案件の新規獲得とともに、川下領域となるローリー・シリンダー事業にかかわる製造・供給拠点の拡充を両輪で進めていきます。北米での産業ガス及び低温機器分野は、現地産業ガスディストリビューターの連携・M&Aを通じて、産業ガス供給事業の展開に向けた事業基盤の構築を図ります。さらに、カリフォルニア州を中心にカーボンニュートラルに関連する取り組みが急速に進展していることから、エア・ウォーターの保有する水素の製造・貯蔵・輸送などのハンドリング技術や炭酸ガスの回収・液化技術等をベースに、水素サプライチェーンの構築や関連機器市場の開拓に取り組みます。高出力無停電電源装置(高出力UPS)分野は、ロータリー式無停電電源装置を中心に、データセンターや半導体工場のBCPに不可欠な「バックアップ電源ソリューション」を提供しており、需要拡大を背景とした新規顧客の獲得による成長を目指します。
電力事業は、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により売電価格が保証されている一方、円安影響が継続する等により発電燃料となるPKS(パームヤシ殻)や木質ペレット、その海上輸送費をはじめとした調達コスト全般が高止まりすると、厳しい事業環境が想定されます。2024年度は為替予約、発電用燃料調達の多様化や荷揚港湾施設の運用改善などによりコストの低減を図っていきます。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度では、産業ガスを中心とした価格改定が着実に進展するも、年度後半から緩やかな回復基調を想定していた半導体市況の停滞やコロナ5類移行に伴う外部環境の影響により、売上収益・営業利益共に計画を下回る結果となりました。中期経営計画の最終年度となる2024年度についても、引き続き、為替影響を含む原材料価格の上昇の影響や人手不足を背景とした物流費や人件費などが上昇するなど、全体としては不透明な事業環境が継続すると見込んでおります。足元の事業環境を踏まえ、2024年度の業績目標は売上収益1兆1,000億円、営業利益780億円を計画しております。
経営数値目標の達成に向けて、引き続き成長分野と位置付ける海外及びエレクトロニクス(半導体関連)を中心に事業拡大に向けた取組を進展させるとともに、資本効率の向上に向けて取り組んでまいります。
(注) 1 親会社所有者帰属持分当期利益率
(親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))
2 投下資本利益率=(営業利益×(1-税率))÷(資本合計+有利子負債)(期首期末平均)
3 2022年11月9日公表の通期業績予想
4 2024年5月9日公表の通期業績予想
エア・ウォーターグループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、エア・ウォーターグループが判断したものであります。
(1) エア・ウォーターのリスクマネジメント体制
エア・ウォーターグループの事業活動において特に重要なリスクであると認識しているコンプライアンス、保安防災及び環境保全に係るリスクについては、代表取締役の直轄組織である「コンプライアンス室」がその統括部門として、エア・ウォーター及び子会社を横断的に管理する体制としております。
情報セキュリティ、知的財産、海外事業展開および契約などに関わる個別リスクについては、それぞれの担当部門において、社内規程の制定、マニュアルの作成ならびに教育研修の実施などを行うとともに、事前審査や決裁制度を通じて当該リスクを管理する体制としております。また、コンプライアンス室を事務局とするリスクマネジメント検討会を定期的に開催し、当グループにおける主要なリスクの把握とその対策状況についての検討などを行い、グループ全体におけるリスク管理体制の強化を推進しております。海外子会社については、当該会社を管理する事業ユニットと連携し、リスクマネジメント体制を構築しております。各海外子会社を対象に、年一回、リスクの特定、影響度合いと発生確率に応じたリスクの分析・評価、リスク対応策の検討という一連のプロセスでリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえてBCP(事業継続計画)を策定しております。コンプライアンス室では、これらのリスクアセスメントおよびBCPに対して指導・助言を行うことにより、全社的なグローバルリスクを管理しております。
また、事業活動への影響が大きいと想定されるリスクが発生した場合には、「危機管理規程」に基づき、直ちに危機管理委員会を社内に設置し、発生したリスクに対し迅速かつ適切に対処する体制を整えております。
(2) 事業等のリスク
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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