エア・ウォーター(4088)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


エア・ウォーター(4088)の株価チャート エア・ウォーター(4088)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

当「エア・ウォーター」グループは、エア・ウォーター、連結子会社136社(注1)、持分法適用会社11社の合計147社で構成され、デジタル&インダストリー、エネルギーソリューション、ヘルス&セーフティー、アグリ&フーズ、並びにその他の事業に関する製品・商品の製造・販売を行っております。

 

当グループが営んでいる主な事業内容とエア・ウォーター及び関係会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。

以下の事業区分はセグメント情報における事業区分と同一であります。

 

 

セグメント名称

主な事業内容

主要な会社

デジタル&

インダストリー

酸素・窒素・アルゴン・炭酸ガス・水素等の産業ガスの製造・販売、電子材料、機能材料等の製造・販売等

エア・ウォーター、エア・ウォーター東日本㈱、

エア・ウォーター西日本㈱、

エア・ウォーター・グリーンデザイン㈱、

タテホ化学工業㈱、エア・ウォーター・メカトロニクス㈱

エア・ウォーター・マッハ㈱、

エア・ウォーター・マテリアル㈱、

エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル㈱、

エア・ウォーター・ガスプロダクツ㈱、

日本電熱㈱、エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱

エネルギー

ソリューション

LPガス・灯油の販売及び、LNG関連機器の製造・販売等

エア・ウォーター、エア・ウォーター東日本㈱、

エア・ウォーター西日本㈱、

エア・ウォーター・ライフソリューション㈱

ヘルス&

セーフティー

酸素等の医療用ガス、歯科材料、衛生材料、注射針、エアゾール製品等の製造・販売並びに、病院設備工事、病院サービス、在宅医療等

エア・ウォーター、エア・ウォーター東日本㈱、

エア・ウォーター西日本㈱、エア・ウォーター防災㈱、

川本産業㈱、エア・ウォーター・リアライズ㈱、

エア・ウォーター・ライフサポート㈱、㈱歯愛メディカル

アグリ&フーズ

青果物の加工・流通及び冷凍食品・食肉加工等の製造・販売並びに清涼飲料水の製造受託等

エア・ウォーター、ゴールドパック㈱、㈱九州屋、

エア・ウォーターアグリ&フーズ㈱、㈱プラス

その他の事業

一般貨物・食品・医療・環境等の物流サービスを展開する物流事業、

業務用塩等を製造・販売事業、

北米・インドをはじめとした海外における産業ガス事業及び高出力UPS(無停電電源装置)事業、

木質バイオマスによる電力事業等

エア・ウォーター、㈱日本海水、

エア・ウォーター・エンジニアリング㈱、

エア・ウォーター物流㈱、

AIR WATER INDIA PVT. LTD.、AIR WATER AMERICA INC.、

K&Oエナジーグループ㈱

 

(注) 1 連結子会社の数には、エア・ウォーターが直接連結経理処理を実施している会社のみ含めており、連結子会社が連結経

     理処理している関係会社(42社)はその数から除外しております。なお、上記連結子会社には、ジョイン

     ト・オペレーション(共同支配事業)を含んでおります。

     2 エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱は、2025年4月1日付で、エア・ウォーター・ライフサポート㈱の

     事業の一部を吸収分割により承継し、同日付をもって商号をエア・ウォーター産業・医療ガス㈱に変更し

     ております。

     3 エア・ウォーター・ライフソリューション㈱は、2025年4月1日付で、同社を存続会社としてエア・ウォ

     ーター・ライフサポート㈱を吸収合併しております。

 

 

 

 

 

事業の系統図は次のとおりであります。

 



有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、エア・ウォーターグループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

エア・ウォーターグループの経営理念は、次のとおりであります。

「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」

エア・ウォーターグループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことがエア・ウォーターグループの使命であります。エア・ウォーターグループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。

 

(2) 中長期的な経営戦略

2030年に向けた目指すべき経営の方向性として、「地球の恵みを、社会の望みに。」をパーパスと定義した上で、「地球環境」と「ウェルネス」の2軸を設定し、2022年7月に、2030年度に目指す姿「terrAWell 30」及び2022年度から2024年度の3ヵ年を対象とした中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」を公表しました。将来の成長に向けて、新規事業や海外展開を進めるための投資を積極的に行いながら、国内の既存事業を中心とした収益構造の強化を図ることで、成長と投資の好循環を生み出していきます。また、多様な事業、人材、技術と地域密着の事業基盤を活かした掛け算のシナジーを創出し、部分最適から全体最適によるグループ経営資源の最適化を進めることで、経済価値と社会価値の両面から企業価値を高め、持続可能な成長を目指していきます。

 

(3) 経営環境、対処すべき課題

世界経済は、緩やかながら成長基調で推移すると見込まれるものの、ウクライナや中東情勢、欧米での金融政策の動向、中国景気の低迷などが懸念材料として挙げられます。我が国経済は、賃上げによる所得環境の改善や企業の設備投資意欲も相まって緩やかな回復が期待されますが、エネルギー価格や為替相場の変動が及ぼす影響を注視しております。

このような先行き不透明な事業環境のもと、エア・ウォーターグループは、2030年度に目指す姿「terrAWell 30」及び中期経営計画「terrAWell 30 1st stage」で掲げた基本方針と事業戦略を着実に実行することで、成長領域の拡大とともに、収益力強化と新事業育成を図っております。

エア・ウォーターグループの中長期的な企業価値向上に向け、今後も、継続的な成長投資が不可欠であると認識しており、さらなる市場拡大が期待できる「インド・北米における産業ガス事業」に加え、我が国の産業基盤強化に向けて積極的な環境整備が図られている「半導体・デジタル産業」、「脱炭素・GX(グリーントランスフォーメーション)」、「食の安定供給を見据えた農産分野」を中心に、事業成長の源泉となる設備投資やМ&A投資を行っていく予定であります。

なお、エア・ウォーターグループは、2022年度において、長年目標としてきた「売上収益1兆円」を達成して以降、これまで以上に資本効率性を重視しており、2030年度に向けたROE目標を10%から12%へ上方修正しております。引き続き、グループの中核会社が一体となって、ヒト・モノ・カネや技術といった経営資源の全体最適化を図る「グループ一体経営」を推し進め、資本効率性の改善・向上に対処してまいります。

成長領域と位置付ける海外事業については、規模・成長性の両面で需要拡大が見込まれるインドと北米を重点戦略エリアとして、国内市場でこれまでに培った機器・エンジニアリング技術を活用し、ガス需要を着実に捉えたサプライチェーンを構築することにより、事業拡大を加速します。同時に、海外での事業成長を下支えするグローバル人材の育成を進めていきます。

 

国内事業については、グループ会社の統合再編をはじめとした構造改革を継続するとともに、高付加価値製品やサービスの充実を図ります。また、エネルギー価格や人件費等のコスト変動に対しては、価格マネジメント、物流・調達の効率化、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の施策により、適切に対処することで一層の収益力強化に取り組みます。

社会課題解決を通じた新たな事業創出に向けては、バイオメタンをはじめとしたクリーンエネルギーの供給やCO2の回収・再利用の取り組みを進め、脱炭素社会の実現に向けた技術開発や地域の社会課題解決に貢献するビジネスモデルの構築を推進しております。また、長期的な食料不足が世界的な社会課題となる中、生産者の高齢化や担い手不足という問題に対応し、収穫などの農作業を機械化して代行するアグリサポート事業の強化や、産業ガスの低温技術を生かしたフードロス削減に向けた鮮度保持技術の向上等に努めます。業界大手企業4社による資本業務提携で構築した「米・青果流通加工プラットフォーム」を通じて、調達網のさらなる拡充と産地の分散化を進め、食料の安定供給体制を強化します。さらに、実証中である陸上養殖の事業化を推進し、食料自給率の向上に貢献してまいります。

サステナビリティの取り組みに関しては、社会環境が大きく変化する中、事業活動を通じて提供する社会価値をより重視したサステナブル経営が不可欠であると考えております。地球環境の負荷低減に向けては、「脱炭素社会」「資源循環型社会」「人と自然の共存社会」の実現に向けた取り組みを進めており、特に、カーボンニュートラルの実現に向けては、自社の温室効果ガス(GHG)排出量を減らす「責務」だけにとどまらず、事業活動を通じた社会の温室効果ガス(GHG)排出量削減への「貢献」との両面で取り組みを推進してまいります。加えて、グループの人的資源活用の最大化に向けては、自立的なキャリア形成を促す人事制度改革を実行するなど、価値創造の中核を担う人的資本の強化に努めてまいります。

 

なお、対処すべき課題を踏まえた各セグメントの取り組みは、次のとおりであります。

 

(デジタル&インダストリー)

エレクトロニクス分野は、国内への半導体工場の誘致や既存工場の生産増強が進められる中、こうした顧客に向けたガス供給プラントの投資を加速するとともに、半導体市況の回復に伴い増加する半導体関連部品や機能材料の需要を取り込みます。また、ガス精製装置や化学品の供給システムをはじめとして、半導体製造に欠かすことのできない製品・サービスを提供できることを強みに、デジタル産業の最先端ニーズから周辺分野まで幅広い需要に対応します。

産業ガス分野は、販売数量の飛躍的な拡大が望めない中、各種ガスの安定供給体制を構築するとともに、国内製造業の幅広い分野に向けて、ガスの特性を有効利用したガスアプリケーションやきめ細やかなソリューションサービスの深化に取り組みます。同時に、低採算案件の見直しを含めた価格マネジメントを徹底するとともに、生産性の向上をはじめとした収益強化策に取り組みます。

 

(エネルギーソリューション)

日本政府による「カーボンニュートラル宣言」をきっかけに社会の低・脱炭素需要が高まる中、工業用向けのエネルギー供給分野は、顧客に向けて重油からLNG等への燃料転換を進めるとともに、輸送機器や供給設備の拡販に取り組みます。また、垂直ソーラー発電システム「VERPA」、小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」、家畜ふん尿由来の「バイオメタン」など、脱炭素ソリューションの社会実装化にも注力していきます。

一方で、北海道を中心とした家庭向けのエネルギー供給分野は、人口減少を背景に需要は低減傾向にあり、かつ人手不足の問題も地方部を中心に顕在化しつつありますが、IoT技術を活用した配送の効率化や販売店の商権買収などの直売比率を高める施策により、収益力の強化に努めます。

 

 

(ヘルス&セーフティー)

医療分野は、SPD(病院物品物流管理)や病院向け滅菌受託といった医療現場との接点を活かし、医師の働き方改革、遠隔医療の推進などの医療機関のニーズを的確に捉えた製品やバックエンドサービスの拡充を図ることで、医療ガスや病院設備といった主力商材との複合提案による事業拡大を図ります。将来の成長に向けては、健康寿命の延伸や在宅医療体制の構築といった社会的ニーズを踏まえ、人々の健康増進、リハビリによる予後の改善、在宅患者様のQOL(生活の質)向上につながる医療機器や介護用製品の開発体制を強化していきます。

衛生材料、注射針、化粧品・エアゾールなどのコンシューマーヘルス分野は、人々のくらしやヘルスケアに欠かせない高品質で付加価値の高い製品・サービスの拡充を図るとともに、OEM・ODMの受託拡大や生産の内製化により収益性の向上に取り組みます。防災分野は、大規模データセンターの建設を背景に旺盛な需要が続くガス消火設備工事の受注獲得に注力していきます。

 

(アグリ&フーズ)

フーズ分野は、コスト上昇に対応した製品の価格改定や量目変更などの継続的な実施により、その影響を低減するとともに、物流の内製化や生産体制の効率化を図り、収益性の確保に努めます。また、成長市場である惣菜分野に対応するために、より加工度の高い商品開発を進め、事業拡大と収益性の向上の両立を目指します。

また、アグリ分野は、2023年2月に、㈱ベジテックと、デリカフーズHD㈱との資本業務提携を開始、さらに2024年3月には、㈱神明ホールディングスとの資本業務提携を行い、業界大手4社で農作物調達機能の強化や物流の効率化などに取り組んでおります。エア・ウォーターの主要の事業エリアである北海道における農産事業の基盤強化に注力するとともに、米・青果物の調達・加工・販売までのバリューチェーンをより強固なものとし、全国をカバーする物流ネットワークを掛け合わせることで、安全・安心な農作物をお客様のニーズに対応した形とタイミングで供給する米・青果流通加工プラットフォームの構築を目指していきます。

さらに、飲料製造を行うナチユラルフーズ分野は、脱プラスチック化に向けた紙容器高速ラインへの更新をはじめとした生産性の向上やEC事業の強化に取り組んでいきます。

 

(その他の事業)

グローバル&エンジニアリング事業は、市場の拡大に伴う成長と高い収益性が見込めること、また既存事業とのシナジーによって新たな需要創出ができると判断した以下3つの事業分野に注力し、新たな成長エンジンとしていくことを目指しております。

インドの産業ガス分野については、政府による積極的なインフラ投資政策を背景に、鉄鋼をはじめとしたガス需要の拡大が見込まれます。川上領域となる鉄鋼向けオンサイト供給案件の新規獲得とともに、川下領域となるローリー・シリンダー事業にかかわる製造・供給拠点の拡充を両輪で進めていきます。北米での産業ガス及び低温機器分野は、現地産業ガスディストリビューターの連携・M&Aを通じて、産業ガス供給事業の展開に向けた事業基盤の構築を図ります。さらに、カリフォルニア州を中心にカーボンニュートラルに関連する取り組みが急速に進展していることから、エア・ウォーターの保有する水素の製造・貯蔵・輸送などのハンドリング技術や炭酸ガスの回収・液化技術等をベースに、水素サプライチェーンの構築や関連機器市場の開拓に取り組みます。高出力無停電電源装置(高出力UPS)分野は、ロータリー式無停電電源装置を中心に、データセンターや半導体工場のBCPに不可欠な「バックアップ電源ソリューション」を提供しており、需要拡大を背景とした新規顧客の獲得による成長を目指します。

電力事業は、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)により売電価格が保証されている一方、円安影響が継続する等により発電燃料となるPKS(パームヤシ殻)や木質ペレット、その海上輸送費をはじめとした調達コスト全般が高止まりすると、厳しい事業環境が想定されます。2024年度は為替予約、発電用燃料調達の多様化や荷揚港湾施設の運用改善などによりコストの低減を図っていきます。

 

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度では、産業ガスを中心とした価格改定が着実に進展するも、年度後半から緩やかな回復基調を想定していた半導体市況の停滞やコロナ5類移行に伴う外部環境の影響により、売上収益・営業利益共に計画を下回る結果となりました。中期経営計画の最終年度となる2024年度についても、引き続き、為替影響を含む原材料価格の上昇の影響や人手不足を背景とした物流費や人件費などが上昇するなど、全体としては不透明な事業環境が継続すると見込んでおります。足元の事業環境を踏まえ、2024年度の業績目標は売上収益1兆1,000億円、営業利益780億円を計画しております。

経営数値目標の達成に向けて、引き続き成長分野と位置付ける海外及びエレクトロニクス(半導体関連)を中心に事業拡大に向けた取組を進展させるとともに、資本効率の向上に向けて取り組んでまいります。

 

 

中期経営計画「terrAWell 30 1st stage

2022年度

2022年度

2023年度

2023年度

2024年度

2024年度

中計

実績

計画 (注)3

実績

中計

予想 (注)4

売上収益(億円)

10,000

10,049

10,800

10,245

12,000

11,000

営業利益(億円)

700

621

720

683

1,000

780

営業利益率(%)

7.0

6.2

6.7

6.7

8.3

7.1

親会社の所有者に
帰属する当期利益(億円)

440

401

440

444

630

500

海外売上収益比率(%)

9.3

10.9

11.0

ROE(%) (注)1

10.7

9.7

9.9

9.7

10.0

10.0

ROⅠC(%) (注)2

5.6

5.4

7.0

親会社所有者
帰属持分比率(%)

38.2

39.4

38.0

40.0

36~40

39.8

ネットD/Eレシオ

0.84

0.75

0.86

0.77

0.8~1.0

0.81

 

(注) 1 親会社所有者帰属持分当期利益率
        (親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分(期首期末平均))

     2 投下資本利益率=(営業利益×(1-税率))÷(資本合計+有利子負債)(期首期末平均)

     3 2022年11月9日公表の通期業績予想

     4 2024年5月9日公表の通期業績予想

 

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

エア・ウォーターグループの事業展開上、事業の状況、経理の状況等に変動を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、エア・ウォーターグループが判断したものであります。

 

(1) エア・ウォーターのリスクマネジメント体制

エア・ウォーターグループの事業活動において特に重要なリスクであると認識しているコンプライアンス、保安防災及び環境保全に係るリスクについては、代表取締役の直轄組織である「コンプライアンス室」がその統括部門として、エア・ウォーター及び子会社を横断的に管理する体制としております。

情報セキュリティ、知的財産、海外事業展開および契約などに関わる個別リスクについては、それぞれの担当部門において、社内規程の制定、マニュアルの作成ならびに教育研修の実施などを行うとともに、事前審査や決裁制度を通じて当該リスクを管理する体制としております。また、コンプライアンス室を事務局とするリスクマネジメント検討会を定期的に開催し、当グループにおける主要なリスクの把握とその対策状況についての検討などを行い、グループ全体におけるリスク管理体制の強化を推進しております。海外子会社については、当該会社を管理する事業ユニットと連携し、リスクマネジメント体制を構築しております。各海外子会社を対象に、年一回、リスクの特定、影響度合いと発生確率に応じたリスクの分析・評価、リスク対応策の検討という一連のプロセスでリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえてBCP(事業継続計画)を策定しております。コンプライアンス室では、これらのリスクアセスメントおよびBCPに対して指導・助言を行うことにより、全社的なグローバルリスクを管理しております。

また、事業活動への影響が大きいと想定されるリスクが発生した場合には、「危機管理規程」に基づき、直ちに危機管理委員会を社内に設置し、発生したリスクに対し迅速かつ適切に対処する体制を整えております。

 

 


 

 

(2) 事業等のリスク

項目

リスク内容

エア・ウォーターグループの対策

海外事業リスク

エア・ウォーターグループは、成長戦略の一環としてM&Aによる海外事業展開を行い、米国やアジア圏を中心に海外進出を強化しております。

しかしながら、事業を進めるうえで言語、法制、税制等の日本との相違や政治的、社会的および経済安全保障上のリスクにより事業が停滞することで、エア・ウォーターグループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

進出国ならびに域内の政治・経済・社会的状況、及び顧客・取引先その他のステークホルダーに関する情報を調査収集し、グループ内で共有を図っております。また、グローバルリスクマネジメント活動として、「安全保障輸出管理規程」や「安全保障取引管理基準」を定め、グループ内で輸出管理等の指導・助言を行っております。

また、KYC(コンプライアンスツール)導入により取引先・エンドユーザーのチェック体制を強化するなど、海外M&Aで得たノウハウや知見を活かしながら、グループ横断的な、リスク管理体制を構築しております。

制度変更リスク

急速に少子高齢化が進む日本では、政府が健康寿命の延伸を目的とした「全世代型社会保障の構築」の方針を掲げ、高騰する医療費の抑制・適正化を図るための医療制度改革が継続して進められております。そのため、メディカルプロダクツ事業においては、将来、大規模な診療報酬や薬価の改定が行われた場合、エア・ウォーターグループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

メディカルプロダクツ事業においては、今後も医療費の適正化政策が継続することが予測される環境下で、医療機関や医療従事者における業務効率化・働き方改革への支援を目的とした製品・サービスの開発・拡充を推進し、変化する市場ニーズへの対応を図っております。

 

 

 

項目

リスク内容

エア・ウォーターグループの対策

自然災害リスク

発生の予測が困難であり頻発化している自然災害(地震、津波、台風、豪雨、豪雪、強風、噴火など)の発生及び、それに伴う停電・断水などのライフラインの途絶や配送ルートの寸断が発生した場合には、生産能力の低下や停止、供給・配送の遅れや停止に伴う売上減少、対処費用や復旧費用、将来への予防対策費用など、エア・ウォーターグループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

アグリ&フーズ事業では、自然災害により主要原料である野菜の収量が大きく変動し、加工工場の操業に支障が発生する可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、自然災害への対応として、インダストリアルガス事業では、高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」と貯蔵・物流拠点の分散配置によって国内による産業・医療用ガスの安定供給インフラネットワークの整備しております。大規模自然災害を想定した防災訓練の定期的な実施や災害備蓄品の充実化を図り、リスクの最小化を図っております。
エネルギー事業の主要事業エリアである北海道では、LPガス受入基地、LPガス充填工場、灯油基地において、LPガス仕様の移動電源車を配備し、停電時にも非常用電源が確保できる体制を整えております。
アグリ&フーズ事業では、栽培・調達する野菜の産地分散化に取り組んでおります。

品質リスク

エア・ウォーターグループは、法的規制あるいは顧客との取り決めにより品質を保証した製品・商品・サービスを多岐にわたる業種において提供しております。このうち特に人命に関わる事業を行うメディカルプロダクツ事業では、医療用ガスや医療機器を薬機法に則り製造・輸入販売しておりますが、リコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、対策費用、賠償金などが発生し、エア・ウォーターグループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

アグリ&フーズ事業では冷凍食品やハム・デリカ、飲料、スイーツなど、海水事業では塩・海苔・ふりかけなどの食品を食品安全基本法・食品衛生法・食品表示法などに則り製造・販売しております。重大な品質事故などの問題が発生した場合には消費者の信用を失うとともに、対策費用、賠償金などが発生する可能性があります。

機能材料事業のひとつとして電磁鋼板用途やヒータ用途などに使用される酸化マグネシウムは、サプライチェーンの川上に位置し、また販売地域は約40ヵ国に渡ることから、製品に重大な欠陥があった場合の影響は広範に及ぶ可能性があります。

その他の事業におけるグローバル・エンジニアリング分野では、ロータリー式のUPS(無停電電源装置)を主要製品とする高出力UPS事業を行っております。当該事業はエンドユーザーであるデータセンターや半導体メーカー等のBCP(事業継続計画)において重要な役割を担っており、製品の欠陥・不具合等により顧客に大きな損害を与えた場合、対策費用、賠償金などが発生する可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、中期経営計画において、重要な経営課題の一つとして品質コンプライアンスの強化を掲げており、グループ共通の指標として品質コンプライアンスガイドラインを制定し、定期的に品質リスク調査と品質コンプライアンス監査を実施することでリスクの最小化を図っております。

エア・ウォーター及び国内の連結子会社を適用範囲とする包括賠償責任保険を付保し、製商品の品質問題に起因する賠償責任リスクに備えております。

 

 

 

項目

リスク内容

エア・ウォーターグループの対策

調達リスク

インダストリアルガス事業の主力製品である酸素・窒素・アルゴンの製造には、大量の電力を使用しております。電力コストが大幅に上昇し、販売価格に転嫁できない場合は、エア・ウォーターグループの業績に影響を与える可能性があります。また、希少な天然資源であるヘリウムガスなどは地政学的要因により、水素ガス、炭酸ガス及びドライアイスは石油精製会社等で副生・供給される原料ガスの稼働状況影響での減量により、エア・ウォーターグループの業績に影響を与える可能性があります。

エネルギー事業の主力商品であるLPガス、灯油の仕入価格は、概ね原油価格に連動しております。原油価格が想定より大幅に下落した場合、在庫リスクがエア・ウォーターグループの業績に影響を与える可能性があります。

アグリ&フーズ事業では、野菜や豚肉を主原料とした加工食品を製造・販売しており、これら原材料の価格は天候不順や市場における需給の変化により影響を受ける可能性があります。

その他の事業では、日本のFIT制度において、海外バイオマス発電燃料のサプライヤーに対する安定供給や事業の持続可能性の確認が厳格化される動きがあり、基準を満たす燃料の需給が逼迫し、燃料価格が高騰するリスクがあります。また、バイオマス発電の燃料の大半は海外に依存しており、為替の影響や地政学的リスクにより、価格が上昇するリスクがあります。

エア・ウォーターグループでは、顧客の理解を得ながら、適時適切に販売価格の改定を図り、収益確保に努めております。

また、安定した原料調達及び製品供給のため、国内での貯蔵量増加、代替ソースの確保、代替燃料の投入準備、新規調達ルート開拓などの検討を進めております。

事故リスク

物流事業では、トラックやローリーといった大型車両を用い、一般貨物及び高圧ガスを始めとする危険物の輸送業務を行っております。そのため重大な事故が発生した場合には、損害賠償や車両の使用停止や事業所の営業停止などの行政処分を受け、エア・ウォーターグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

エア・ウォーターグループの物流事業では、運輸事業者として安全最優先の方針のもと、適切な安全管理体制の構築を図るために、安全管理規程、および交通安全管理規程を厳格に定め、運行管理の徹底、安全教育の実施など、日々安全対策活動に取り組んでおります。

為替リスク

エア・ウォーターグループは、海外事業を成長の柱として位置づけており、M&Aや会社設立を通して日本国外に多くの子会社を有しております。また、ヘリウムガスや半導体向け特殊ガスは、海外からの調達品であります。特に、外貨建てでの輸出入を行う国内子会社及びグローバル・エンジニアリング事業における高出力UPS事業を行う在外子会社では、原材料の仕入れや製品販売、ヘリウムなど海外調達品において、急激な為替レートの変動が起きた場合、エア・ウォーターグループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、為替予約、仕入ルートの多様化複数化、在外子会社での取引通貨の一本化などにより為替リスクの最小化を図っております。

 

 

項目

リスク内容

エア・ウォーターグループの対策

環境リスク

エア・ウォーターグループは国内外の事業活動において、環境関連法規の規制を受けておりますが、環境関連法規の制定や改正によって規制強化が図られた場合、それに伴う事業活動の制限や対応にかかるコスト増加等がエア・ウォーターグループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、製造工程で大量に電力を使用しているインダストリアルガス事業では、炭素税の賦課や排出権取引制度などの温室効果ガス排出規制が強化された場合、業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、中期経営計画や環境基本方針において、気候変動への対応を重要な経営課題として位置付け、重要評価指標(KPI)として温室効果ガス総排出量の削減目標を定めております。

エア・ウォーターグループではその目標達成に向けて、高効率プラントの導入・更新や徹底した省エネ活動などを行い、温室効果ガス総排出量の削減に取り組んでおります。

感染症リスク

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、現在において収束傾向が見られますが、この先の状況は依然として不透明であることから、新たな感染拡大が生じた場合には、エア・ウォーターグループの業績や財政状態、キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、事業全般にわたるコスト削減に取り組むとともに、引き続き、グループ全従業員の健康・安全衛生に最大限配慮しつつ、産業・医療用ガスをはじめとした諸製品の安定供給責任を果たすため、時差出勤や新常態としての在宅勤務などのテレワークの実施や徹底した感染拡大防止策や安全配慮策を講じております。また、経済活動の停滞が長期化した局面に備えて十分な財務の安定性を維持するため、M&A投資及び設備投資については、事業環境の変化を慎重に見極めながら厳選していきます。

情報セキュリティ

リスク

エア・ウォーターグループは事業活動を行う中で、顧客の個人情報や他社等の機密情報を入手することがあります。また、エア・ウォーターグループ内で開発した技術情報を含む営業秘密を保持しております。これらの情報はサイバー攻撃などにより外部流出する可能性があります。また、生産設備、管理システムなどへ不正アクセスを受けた場合、情報の破壊や改竄、漏洩につながる可能性があります。これらの事象が発生した場合、顧客からの信用失墜や被害を受けた方への損害賠償、事業停止等が発生し、エア・ウォーターグループの業績に影響がでる可能性があります。

エア・ウォーターグループでは「仕組みによる対策」と「体制・教育による対策」の両面から対策を講じております。

「仕組みによる対策」では、情報端末、サーバー、ネットワーク等に対し、情報セキュリティシステムの強化を行い、外部からのアクセス制限・攻撃検知、マルウェアの侵入検知などの対策を行っております。

「体制・教育による対策」では、世間動向を踏まえつつ、グループ規程の整備、eラーニングや標的型メール訓練などの教育研修による一人ひとりのセキュリティリテラシーの底上げ、グループ各社へのセキュリティ担当の設置による迅速なセキュリティ課題への対応などの対策を行っております。

非金融資産の

減損リスク

エア・ウォーターグループは、有形固定資産、のれん及び無形資産など、多くの非金融資産を保有しております。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産又は資金生成単位(以下、「当該資産」という。)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しております。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無に関わらず、毎期減損テストを実施しております。減損損失が発生した場合には、エア・ウォーターグループの事業展開、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

エア・ウォーターグループでは、定期的に実施するのれんや無形資産の減損テストを通じて評価額を把握し、適切に処理しております。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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