日本酸素ホールディングス(4091)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】日本酸素ホールディングスグループは、主として酸素・窒素・アルゴン等各種工業ガス、LPガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売及び溶断機器・溶接材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売、設備メンテナンス並びにステンレス製魔法瓶等の製造・販売を営んでおります。なお、日本酸素ホールディングスは、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当するため、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結財務諸表の数値に基づいて判断することとなります。主な事業内容と主要な関係会社の位置づけは、次のとおりで、事業内容の区分はセグメント情報における区分と同一であります。主要な関係会社主な事業内容日本 大陽日酸㈱酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、ガス関連機器、特殊ガス、電子関連機器・工事、化合物半導体製造装置、機械装置、LPガス、医療用ガス、医療機器、安定同位体の製造・販売日酸TANAKA㈱ガス溶断機器、レーザー加工機の製造・販売、各種圧縮・液化ガス、溶断機材の販売大陽日酸ガス&ウェルディング㈱溶断機材の販売並びに各種圧縮ガスの製造・販売日本液炭㈱液化炭酸ガス、ドライアイスの製造・販売並びに各種圧縮・液化ガスの販売大陽日酸東関東㈱酸素、窒素の製造・販売並びに各種圧縮ガス、特殊ガスの販売大陽日酸系統科技股份有限公司ガス供給機器、精製装置の製造・販売、配管工事日本メガケア㈱各種圧縮・液化ガスの販売、医療ガスの製造・販売、医療機器の販売・レンタルアイ・エム・アイ㈱医療機器の輸入・開発・販売・レンタル・メンテナンス㈱ティーエムエアー酸素、窒素、アルゴンの製造 米国 Matheson Tri-Gas, Inc.酸素、窒素、アルゴン、特殊ガス、水素、ドライアイス、機器の製造・販売、溶断機材の販売 欧州 Nippon Gases Euro-Holding S.L.U.ヨーロッパにおける関係会社の株式保有等Nippon Sanso Homecare España, S.L.U.在宅医療サービスの提供及び医療機器の販売Nippon Sanso Deutschland Holding GmbH中央ヨーロッパにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Belgium NV酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Gases Italia S.r.l.イタリアにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Industrial S.r.l.酸素、窒素、アルゴンの製造・販売 主要な関係会社主な事業内容アジア・オセアニア Nippon Sanso Holdings Singapore Pte. Ltd.東南アジアにおける関係会社の株式保有等Leeden National Oxygen Ltd.溶接関連器具、安全具、各種圧縮ガス、特殊ガスの販売並びに酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso Vietnam Joint Stock Company酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso (Thailand) Co., Ltd. 〃NSC (Australia) Pty Ltdオセアニアにおける関係会社の株式保有等Coregas Pty Ltdオーストラリアにおける産業ガスの製造・販売日酸投資有限公司中国における関係会社の株式保有等日酸(揚州)電子材料有限公司特殊ガスの製造・販売日酸(上海)電子材料有限公司特殊ガスの販売日酸美気神(西安)電子材料有限公司 〃台湾日酸股份有限公司窒素の製造・販売、特殊ガス並びに機器の販売Matheson Gas Products Korea Co., Ltd.特殊ガスの製造・販売 サーモス サーモス㈱家庭用品等の製造・販売膳魔師(中国)家庭制品有限公司 〃 (注)1.次の各社は、当連結会計年度において下記のとおり商号変更しております。・Esteve Teijin Healthcare, S.L.は、Nippon Sanso Homecare España, S.L.U.へ商号変更しております。・Nippon Gases Deutschland Holding GmbHは、Nippon Sanso Deutschland Holding GmbHへ商号変更しております。・大陽日酸(中国)投資有限公司は、日酸投資有限公司へ商号変更しております。・揚州大陽日酸半導体気体有限公司は、日酸(揚州)電子材料有限公司へ商号変更しております。・大陽日酸特殊気体(上海)有限公司は、日酸(上海)電子材料有限公司へ商号変更しております。・美气神甩子材料(西安)有限公司は、日酸美気神(西安)電子材料有限公司へ商号変更しております。2.次の各社は、2026年4月1日付けで下記のとおり商号変更しております。・大陽日酸㈱は、日本酸素㈱へ商号変更しております。・大陽日酸ガス&ウェルディング㈱は、日本酸素G&W㈱へ商号変更しております。・大陽日酸東関東㈱は、日本酸素東関東㈱へ商号変更しております。・大陽日酸系統科技股份有限公司は、台湾日酸系統科技股份有限公司へ商号変更しております。・Matheson Tri-Gas, Inc.は、Nippon Sanso Matheson, Inc.へ商号変更しております。・Nippon Gases Euro-Holding S.L.U.は、Nippon Sanso Euro-Holding S.L.U.へ商号変更しております。・Nippon Gases Belgium NVは、Nippon Sanso Belgium NVへ商号変更しております。・Nippon Gases Italia S.r.l.は、Nippon Sanso Italia S.r.l.へ商号変更しております。・Nippon Gases Industrial S.r.l.は、Nippon Sanso Industrial S.r.l.へ商号変更しております。・Leeden National Oxygen Ltd.は、Nippon Sanso Singapore Ltd.へ商号変更しております。・Matheson Gas Products Korea Co., Ltd.は、Nippon Sanso Matheson Korea Co., Ltd.へ商号変更しております。3.以上の概略図は次頁のとおりです。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において日本酸素ホールディングスグループ(日本酸素ホールディングス及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針日本酸素ホールディングスグループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題日本酸素ホールディングスグループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスク長期化に加え、関税措置の強化に起因する全世界的な景気後退懸念、さらには戦略物資の供給懸念など、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加は日本酸素ホールディングスグループにおける重要な対処すべき課題です。この課題に対して、日本酸素ホールディングスはグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。足元では、イランにおける紛争など地政学リスクはますます高まるとともにサプライチェーンリスクが増大しております。顧客産業への影響やエネルギー価格の変動など、日本酸素ホールディングスグループの事業への影響について引き続き注視し、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などデジタル技術の進展によって、日本酸素ホールディングスグループの事業領域である半導体・エレクトロニクス市場に中長期的な成長機会が生まれており、こうした変化にも迅速に対応していく必要があります。以上のような環境認識のもと、日本酸素ホールディングスは本年3月に新中期経営計画「Next Innovation 2030 - Evolving for the Future」(対象期間:2027年3月期~2030年3月期。以下、「Next Innovation 2030」という。)を策定いたしました。前中期経営計画「NS Vision 2026 - Enabling the Future」(対象期間:2023年3月期~2026年3月期。以下、「NS Vision 2026」という。)は、純粋持株会社制移行後初の経営計画として、未来の成長を支える基盤づくりに重点を置き、当初計画を概ね上回る成果を挙げてまいりました。こうして築いた基盤を踏まえ、Next Innovation 2030では以下の3点を重点戦略として設定し、未来へ向かって進化し続ける段階へとステージを引き上げます。各々の戦略実行にあたっては、グループ事業会社が有する強みを共有し、シナジーを高めることを目的として、グループ横断のCenter of Excellence(以下、「CoE」という。)体制を構築します。CoE体制においては、「エレクトロニクス事業の拡大」やNS Vision 2026のオペレーショナル・エクセレンス活動を承継する「Commercial, Operations, Resilience and Execution(CORE)」などを重点テーマとして設定し、今後4年間にわたり、グループ重点戦略の着実な実行を通じて、事業収益の拡大及び新たな成長ドライバーの創出に取り組んでまいります。 ① 産業ガス事業の収益力の強化・オペレーショナル・エクセレンスの拡大によるベストプラクティス共有の加速・レジリエント事業の拡大 ② エレクトロニクス事業の拡大・トータル・ガス・サプライ・ソリューションのグローバル展開の加速・先端材料分野への重点投資・新たな地域への参入 ③ 将来の成長ドライバーの創出・イノベーションマインドのさらなる醸成・グローバルな事業開発・研究開発体制の拡充によるイノベーションの加速 上記のグループ重点戦略を軸にしながら、以下のセグメント別戦略を遂行いたします。 日本・産業ガスに加え、ガスを起点とした革新的な事業の拡充をめざしたポートフォリオの実現・エレクトロニクス事業の拡大と研究開発力の強化・革新事業(安定同位体、アディティブ・マニュファクチャリング)の拡大 米国・プラント稼働効率の向上・事業密度の向上・エレクトロニクス材料ガス・機器事業の拡大 欧州・産業ガス事業のフットプリント拡大・エレクトロニクス事業(機器、トータル・ガス&ケミカル・マネジメント含む)の強化・カーボンニュートラル等の革新的な事業の拡大・ヘルスケア事業の拡大・DX、ロボティクスの活用 アジア・オセアニア・ガス事業の強化(アプリケーション含む)・エレクトロニクス事業の強化・HYCO事業(※)の機会追求・急成長をサポートするガバナンス体制の拡充(※)天然ガス等から水蒸気改質装置(SMR)で分離される水素(H2)と一酸化炭素(CO)を石油精製・石油化学産業にパイプラインを通じて大規模供給する事業 サーモス・日本酸素ホールディングスグループ唯一のBtoCビジネスとして、魔法びん事業から生活全体に寄り添う「ライフスタイルブランド」への進化・サステナビリティを企業文化として確立し、それを支える事業変革の実現・グローバル市場でのさらなるブランド力強化とパートナーシップ構築を通じて海外展開を推進 上記に加えて、グループとして「人的資本価値の創造」「ブランディング」「サステナビリティ」「DX」「エンジニアリング」「技術・事業開発戦略」の6つのテーマで経営基盤の進化に努め、社会・市場環境の変化に迅速に対応してまいります。 財務KPI 実績(2026年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)売上収益 [億円]13,59615,000~15,750コア営業利益 [億円]2,0302,500~2,750EBITDA(注1) [億円]3,2994,000~4,400EBITDAマージングループ:24.3%各セグメント:16.5~32.8%グループ:≧26.5%各セグメント:≧19.0%EBITDA純有利子負債倍率(注2)2.37倍≦1.5倍ROCE after Tax(注3)7.1%≧8.0%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.EBITDA純有利子負債倍率純有利子負債÷EBITDAで算出する財務健全性を示す指標です。3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:税引後使用資本利益率)[NOPAT:税引後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。サステナビリティKPI 実績(2025年3月期)Next Innovation 2030最終年度目標(2030年3月期)ご参考:長期目標(2036年3月期)GHG排出量削減率(注4)16.5%9%(2031年3月期)21%環境貢献性商品・サービスの提供によるGHG削減貢献量の増加率(注5)-30%-サステナブルビジネス売上の増加率(注5)(注6)-30%-生産単位当たりの取水量削減率(注5)-10%-生産単位当たりの廃棄物削減率(注5)-10%-休業災害度数率(注7)1.85≦1.3-女性管理職比率16.7%≧22%(2031年3月期)-女性従業員比率20.8%≧25%(2031年3月期)-サステナブルエンゲージメントスコア(注8)81≧83-コンプライアンスサーベイスコア-≧80-(注)4.特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化に伴い、前中期経営計画「NS Vision 2026」から、基準年度のGHG排出量及び実績の見直しを行っております。5.基準年度:2025年3月期6.サステナブルビジネス売上には、食品及び飲料、医療・ヘルスケア及びライフスタイルなどの製商品・サービスが含まれます。7.休業災害度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。8.サステナブルエンゲージメントスコアは、「 ①会社への愛着(Engaged)、②生産性と業績を支える職場環境(Enabled)、③職場における身体的・人間関係的・感情的な健康(Energized)」を総合的にとらえる指標です。 日本酸素ホールディングスグループは、グループ理念にも通じるDNAである「進取の気概(イノベーティブマインド)」と技術力を一層高めることで、産業・社会を取り巻く環境変化に的確に対応し、未来の課題に応えうる企業への進化をめざし、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】(1)日本酸素ホールディングスグループのリスクマネジメント体制日本酸素ホールディングスグループは、「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期的な視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っております。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しております。「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めております。また、関連する会議体・組織等ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しております。日本酸素ホールディングスグループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)日本酸素ホールディングスグループのリスクマネジメント体制図(注)本図は提出日現在(2026年6月15日)のリスクマネジメント体制を示しています。図表内の日本酸素株式会社、Nippon Sanso Matheson, Inc.、及びNippon Sanso Euro-Holding S.L.U.は2026年4月1日付けでそれぞれ大陽日酸株式会社、Matheson Tri-Gas, Inc.、及びNippon Gases Euro-Holding S.L.U.から商号変更しております。 (2)リスクマネジメントのプロセス日本酸素ホールディングスグループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたり、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての日本酸素ホールディングスのリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有するとともに、優先して全社的な対応が必要となる「重要リスク」を決定し、グループ全体で重要リスクへの対応を推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「日本酸素ホールディングス及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、日本酸素ホールディングスグループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。日本酸素ホールディングスグループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っております。 (3)グローバルリスクマネジメント会議日本酸素ホールディングスグループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、日本酸素ホールディングス代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、各部門長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、日本酸素ホールディングスグループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。日本酸素ホールディングスグループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)日本酸素ホールディングスグループの重要リスク選定の考え方 2025年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を日本酸素ホールディングスグループの重要リスクテーマとして選定いたしました。 1.世界経済及び社会の変化地政学・サプライチェーン、経済情勢の変化、AIの進展とサイバー攻撃の高度化、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化設備老朽化、技術開発の連携強化、グループガバナンス/コンプライアンス3.人財人財確保、後継者計画、人権/DEI 2025年度は、各事業会社、NSHD各部門から地政学リスクに加え、経済情勢の不確実性の高まりやサイバー攻撃の高度化など、社会環境の大きな変化について共有されました。また、情報セキュリティリスク及びグループコンプライアンスリスクへの対応状況の報告と議論が行われました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、日本酸素ホールディングスグループにおけるリスクマネジメント活動のさらなる向上を図ります。 今後も日本酸素ホールディングスと各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた日本酸素ホールディングスグループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において日本酸素ホールディングスグループ(日本酸素ホールディングス及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について日本酸素ホールディングスグループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、日本酸素ホールディングスグループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。日本酸素ホールディングスは各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について日本酸素ホールディングスグループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、日本酸素ホールディングスグループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、また建設中のプロジェクトにおいて、顧客の事業環境、経営状況の変化によりプロジェクトの継続が困難となり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損、減損損失等の発生により、日本酸素ホールディングスグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力製品である酸素、窒素、アルゴンの製造コストは、電力コストが大きな割合を占めており、近年の原油価格やLNG価格の大幅な変動の影響を受けております。また、人件費や輸送費等も上昇しており、製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて日本酸素ホールディングスグループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりにより、輸出入の規制対象品となることや、国際情勢の緊張を背景とした海上輸送状況の変動により、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあります。また、お客様の事業活動に支障が生じた場合、日本酸素ホールディングスグループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて近年、AI技術の急速な発展により業務効率化や新たな価値創出の機会が広がる一方で、これを悪用したサイバー攻撃の高度化・巧妙化が進んでおり、情報セキュリティリスクは引き続き高い状況にあります。特に日本酸素ホールディングスグループの事業基盤である製造設備や制御システムなどのOT(オペレーショナルテクノロジー)領域においても攻撃対象となるリスクが高まっており、万一被害が発生した場合には、操業停止や供給への影響など、事業活動に支障を及ぼす可能性があります。日本酸素ホールディングスはこうしたリスクに対処するため、グループ全体でのリスク評価の実施やセキュリティ対策の強化を進めております。また、情報セキュリティポリシーの展開及び基準の整備を通じた統制の強化に加え、従業員への教育・訓練の充実を図ることで、グループ全体のセキュリティ意識の向上とリスク低減に向けた取組みを継続しております。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まる中、日本酸素ホールディングスグループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいた情報開示を進めております。これにより、ステークホルダーとの対話を強化し、グループ全体で企業価値の向上を目指しております。温暖化シナリオ分析を通じて特定した主要なリスクは、日本酸素ホールディングスグループの事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。日本酸素ホールディングスグループでは特定したリスクを〔影響を受ける可能性〕と〔影響の大きさ〕に基づき評価し、主要なリスクについては、財務的な影響を定量的に試算しております。気候変動に関する日本酸素ホールディングスの取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について日本酸素ホールディングスグループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、日本酸素ホールディングスグループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、日本酸素ホールディングスグループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、日本酸素ホールディングスグループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、日本酸素ホールディングスグループが製品を輸出している国において、当該製品に対する関税の引き上げが行われた場合には、当該製品の競争力が失われることによりその国への輸出が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。日本酸素ホールディングスグループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、腐敗防止法、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の日本酸素ホールディングスグループに不利益な決定がなされた場合、日本酸素ホールディングスグループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財について日本酸素ホールディングスグループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格やIT等の高度専門知識と技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、人財の多様化、グローバル人財の育成、及び採用の競争力向上に努めております。 ⑨ 技術開発について日本酸素ホールディングスグループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により日本酸素ホールディングスグループ製品の競争力が低下する可能性があります。日本酸素ホールディングスグループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っております。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、日本酸素ホールディングスグループの技術の競争力向上に努めております。 (2) 技術・保安に関するもの日本酸素ホールディングスグループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しております。また、日本酸素ホールディングスと各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めております。 ① 保安について日本酸素ホールディングスグループは、産業ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより日本酸素ホールディングスグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っております。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指しております。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しております。 ② 環境について日本酸素ホールディングスグループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。日本酸素ホールディングスグループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や日本酸素ホールディングスグループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。日本酸素ホールディングスグループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めております。 ③ 品質・製品安全について日本酸素ホールディングスグループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより日本酸素ホールディングスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。 ④ 知的財産について日本酸素ホールディングスグループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が日本酸素ホールディングスグループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、日本酸素ホールディングスグループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めております。一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで日本酸素ホールディングスグループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、日本酸素ホールディングスグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について日本酸素ホールディングスグループは、特殊ガス、ヘリウム、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、日本酸素ホールディングスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について日本酸素ホールディングスグループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。日本酸素ホールディングスグループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、日本酸素ホールディングスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ株式会社との資本関係について三菱ケミカルグループ株式会社は日本酸素ホールディングス発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、日本酸素ホールディングスに対する持株比率の維持について合意しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、日本酸素ホールディングスグループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について日本酸素ホールディングスグループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。日本酸素ホールディングスグループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。日本酸素ホールディングスグループは、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、日本酸素ホールディングスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、日本酸素ホールディングスグループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、日本酸素ホールディングスグループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、日本酸素ホールディングスグループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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