大日精化工業グループ(大日精化工業及び大日精化工業の関係会社)は、大日精化工業(大日精化工業株式会社)及び関係会社26社により構成されております。大日精化工業は子会社23社を連結し、関連会社3社のうち2社について持分法を適用しております。
大日精化工業グループが営んでいる主な事業内容及び当該事業に係る位置づけは、次のとおりであります。
(カラー&ファンクショナル プロダクト)
当セグメントでは、顔料及び顔料の2次加工品を中心に、顔料・繊維用着色剤、プラスチック用着色剤、樹脂コンパウンド、顔料分散体、機能性材料の製造・販売を行っており、主として大日精化工業及び連結子会社であるDAICOLOR ITALY S.R.L. 、ハイテックケミ㈱、DAINICHI COLOR (THAILAND),LTD.が製造・販売に携わっております。なお、大日精化工業と関係会社との間に製品、原材料等の取引が行われております。
(ポリマー&コーティング マテリアル)
当セグメントでは、合成樹脂及び特殊コーティング剤を中心に、ウレタン樹脂、天然物由来高分子、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っており、主として大日精化工業及び連結子会社である浮間合成㈱及び大日精化(上海)化工有限公司が製造・販売に携わっております。なお、大日精化工業と関係会社との間に製品・原材料等の取引が行われております。
(グラフィック&プリンティング マテリアル)
当セグメントでは、パッケージ用及び広告出版用インキを中心に、各種用途に対応した幅広い種類のグラビア・フレキソインキ、オフセットインキの製造・販売を行っており、主として大日精化工業及び連結子会社であるP.T.HI-TECH INK INDONESIAが製造・販売に携わっております。なお、大日精化工業と関係会社との間に製品・原材料等の取引が行われております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
2025年3月31日現在
大日精化工業グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において大日精化工業グループが判断したものであります。
(1)企業理念、行動指針、必達
大日精化工業グループでは、創業者である高橋 義博が1968年に制定した社是<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、社是<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。
社是<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境が変化していく中で、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における大日精化工業との連環という視点で、不十分さを感じるような状況になってきました。
そのため、2015年12月開催の大日精化工業取締役会において、社是<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。
これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。
これらを踏まえ、大日精化工業グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行うに当たって人財の付加価値を一層高めることに努め、全てのステークホルダーを尊重し連携を図りながら、地球環境保全などサステナブル社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。
<企業理念>
・人に興味を持とう
・新しいことに興味を持とう
・未来に興味を持とう
<行動指針>
人間は面白い。
その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。
全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。
人に興味を持とう。
新しいことはワクワクする。
技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。
新しいことに興味を持とう。
未来を考えることは楽しい。
未来は子供たちのものだ。
未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。
顧客の発展が無ければ、大日精化工業は富んでも長続きしない。
更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。
未来に興味を持とう。
一方、大日精化工業には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を、誇りを持って遵守しています。
<必達>
私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう
1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう
1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう
1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう
1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう
1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう
(2)経営理念
創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との遺志を引き継ぎ、世界中の「もっと便利に、もっと安全に、もっと自由に彩りたい」という願いをかなえることを使命として、大日精化工業グループは企業理念や社是<必達>のもとに、企業としての持続的成長と価値向上を目指した「CSR・ESG基本方針」を、そしてこれを補完するために近年の社会的課題である地球環境、ガバナンス、人権尊重、情報管理、品質管理、安全衛生、人財育成、健康経営などに関する各種方針を制定し、役職員がこれらを徹底することで、全てのステークホルダーの課題に寄り添い、彩りと特性を持った素材をさまざまな分野に提供し、実現しております。
また、2023年10月には社内公募により、新ブランドメッセージ「彩りの、その先へ(今日の未知は未来への道)」を決定し、コア技術である①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術を更に深化させ、「色彩のその先の可能性」を追求して「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニー」を目指しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
大日精化工業グループは、2021年8月に公表の2022年3月期を初年度とする3か年中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5%、ROE(自己資本利益率)9%とすることを経営目標として掲げましたが、最終年度である3年目の2024年3月期では、ROA2.6%、ROE3.2%の結果となりました。
これは、初年度はコロナ禍の落ち込みからの回復と同時に過剰な流通在庫が生じ、2年目以降コロナ禍の巣ごもり需要の反動減と長期にわたる在庫調整に加え、戦争影響、世界的なインフレ・原材料価格高騰の影響等を受けた結果と考えております。
2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き長期目標としてROA5%、ROE9%を掲げております。この目標に向けて、新中期経営計画の各施策を進めてまいります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
大日精化工業グループの置かれている経営環境については、以下のとおりと認識しております。
①お客様の国内外の事業展開に寄り添い、収益性、効率性をご提案するために、大日精化工業では国内外の拠点の強みを活かし、国内、海外の一方に偏することなくバランスのよい業務展開をするべきであることが重要な課題であると認識しております。
②大日精化工業グループの持続的な成長のためには、ESGへの取組みがあらゆる事業活動の基本理念であり、環境配慮(E)、社会貢献(S)の実現のための研究・開発が果たす役割が、特に重要であると認識しております。このため社会全体の持続性、安全性、収益性、効率性、採算性などの側面から十分に検証の上で、前述の「(2)経営理念」に記載の「3つのコア技術」を更に深化させること、新たな技術を取り入れることに、人財と設備、資金を投入していく必要があるものと認識しております。
③ステークホルダーの皆様から信頼され常に選ばれる企業であり続けるためには、上記②で述べたように、長期的・持続的な成長とともに、製品や事業活動を通して地球規模の環境や社会問題へ取り組む企業姿勢と、意思決定の透明性、公正性を確保できるガバナンス体制の下で、従業員一人一人の思いが企業風土として醸成されることが企業価値の向上においても大きな影響を与えるものと再認識した上で、全社を挙げてE(環境配慮)、S(社会貢献)、G(企業統治)の側面から能動的に活動を促進することが必要と理解しております。
④今後更に、デジタル技術及びデータ分析の活用が、大日精化工業グループの競争力の源泉のひとつとして重要性を増し、経営目標を達成するための重要な手段であると認識しております。大日精化工業は基幹システムを2018年10月に刷新し、さらなる活用のための周辺システムの整備も着々と進めてきておりますが、より高度化していく外部環境からの要請事項に対し、これまで以上に、適時かつ適切に対応していく仕組みが必要であると認識しております。また、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進することが不可欠であり、そのためにも有効なデータ、優秀な人財と、柔軟で素早い意思決定が重要であると認識しております。
⑤大日精化工業グループの掲げる長期目標の達成には、人的資本及び知的財産への投資と活用によるイノベーションの創出が不可欠であると認識し、企業にとって財産である「人財」の育成と活気溢れる企業風土の醸成は重要な経営課題のひとつと考え、従業員のモチベーションとエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めます。また別途定める「人財育成方針」「社内環境整備方針」に沿って、企業と人財が互いに高め合っていくビジョンを共有し、持続可能な成長に向けて地道にかつ着実に、相互に磨き上げていくことにより、大日精化工業グループの成長と人財の成長との間に好循環を生み出すことができるものと確信しております。本件については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本投資・人財育成及び人財の多様性の活用」にて詳細を記載しております。
これらを踏まえ、大日精化工業グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、2024年3月末までの3か年の前中期経営計画の施策の達成状況等を踏まえ、2025年3月期を初年度とする新3か年中期経営計画「明日への変革2027」において、次の戦略とともに資本効率を重視した経営を重点的に進めております。
ア、技術主導による競争優位性の確保
大日精化工業グループでは、保有する技術を、技術マネジメント手法を用いて再評価し、社会的なニーズ(ESG)への貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、3つのコア技術(1 有機無機合成・顔料処理技術、2 分散加工技術、3 樹脂合成技術)を深化させた技術開発に取り組んでおります。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、これらコア技術は重要な基盤として、市場規模・収益性・成長性を評価し、新規発展分野として①IT・エレクトロニクス 機能性材料、②ライフサイエンス・パーソナルケアの二つを、継続発展分野において環境配慮型製品へのより一層のシフトをテーマとする③モビリティ、④環境配慮型パッケージングを開発の中心に据え、人財と設備と資金とを積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を進めております。製品の差別化、品質向上により社会貢献度を高め、同時に収益性の確保を図ることとしております。
2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。
①IT・エレクトロニクス 機能性材料
二次電池用部材、導電性部材、熱伝導性材料、機能性ポリマー、高付加価値顔料・分散体などにおいて、オープンイノベーション・産学連携を強化し、新技術導入を着実に進め、基礎技術力アップを図ると同時に、応用開発においてもお客様にご採用いただいたアイテムも多数獲得できました。パイロット生産設備等の導入も着実に進めており、今後、ビジネスフィールドの拡大を目指すと同時に、売上高への早期寄与を図ります。
②ライフサイエンス・パーソナルケア
化粧品材料においては、生分解性微粒子は量産化の検討に目途を付け、高性能化やコストダウン製法の構築を進めております。今後は、ご採用いただいたアイテムもあることから、更なる技術優位性の確保と量産プロセスの最適化を進め、拡販を進めます。
キトサンは動物由来以外の原料による開発に着手し一定の進捗を得て、天然物由来の生分解性樹脂とともに、サンプルワークを開始し市場での性能評価を開始しております。
③モビリティ
ウレタン・アクリル・シリコーンポリマー、軽量・高強度樹脂コンパウンドなどにおいて、水性化、バイオマス化などの環境配慮強化、リサイクル素材を利用した高強度コンパウンドの生産プロセスに目途をつけることができました。特に、ウレタン・アクリル・シリコーンポリマーにおいては、環境配慮を強化した製品設計が完了したアイテムの量産体制を構築し、事業拡大に貢献することとなりました。今後も積極的に設備投資を行い、収益の向上に努めます。
④環境配慮型パッケージング
ガスバリア性を付与したインキ、パッケージ及びラベルのリサイクルが可能なインキ、バイオマス由来のインキなどを上市し、サンプルワークを開始いたしました。その後、バイオマスインキ、水性インキといった環境配慮型製品の採用が進み、グラビアインキのサステナビリティ製品の占める割合は60%となりました。今後も環境配慮型製品の提供は継続し、新たに機能性コーティング剤をラインナップに加え、より一層社会貢献度を高めることといたします。
イ、事業基盤の強化のための海外事業の拡大
大日精化工業グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、GDP高伸長国での事業展開もバランスよく事業育成をしていく必要があるとの認識の基に事業を展開してまいりましたが、中国を中心に景気停滞の影響を受け生産数量の低調が続きました。新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、「地産地消」の推進と海外拠点の拡充及び新規ビジネスの創出を軸に、積極的な業務の展開に注力いたします。
2024年3月末時点における状況は、以下のとおりと認識しております。
(ア) カラー&ファンクショナル プロダクト
情報電子分野、高機能着色剤、機能性製品の開発テーマに注力いたしましたが、情報電子分野のIJ分散液・顔料は欧州向けの輸出が減少、また、高機能着色剤のフッ素樹脂用着色剤は、中国等の景気低迷等により低調に推移いたしました。今後は、情報電子分野で欧州を中心に新規顧客の開拓を行うと同時に、高機能カラーにおいてはインド、アジアにおけるフッ素樹脂用着色剤市場を拡大させることを目指します。また、樹脂コンパウンドの拡販を企図いたしましたが、EV化/電装部品は堅調な推移を辿ったものの、食品包装材用途は需要低迷により大幅に減少いたしました。今後は、生産能力の増強を含めた新規案件の検討を開始いたします。
(イ) ポリマー&コーティング マテリアル
北米、中国を中心に水性化を中心としたサステナビリティ貢献製品の展開を図った結果、コロナ禍の影響もあり一時的に停滞は見られたものの、水性表面処理剤の販売を拡大させることができました。今後、北米企業向け、又は国内車両メーカーの海外拠点向けとして、国内生産していた水性表面処理剤を米国拠点で生産することを計画しています。
(ウ) グラフィック&プリンティング マテリアル
インドネシアにおいては、グラビアインキの拡販と適切な価格修正により、販売計画を達成しております。今後は、旺盛な現地の需要に対応するために、増能力投資を計画しています。
ウ、サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進
前中期経営計画では、ESG経営を重視し、大日精化工業を取り巻くサプライチェーン全体の重要な課題として原材料調達段階から大日精化工業製品を使用した製品が廃棄されるまでを含めたライフサイクル全体において、「(ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販」、「(イ) 気候変動への取り組み」、「(ウ) 資源循環促進」、「(エ)生物多様性への取り組み」、「(オ) 社会貢献の一層の促進」、「(カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み」を進めてきました。
これらの課題に対して当初計画していた様々な取り組みはほぼ予定通り実行できたと考えております。
同時に、情勢の変化、社会の要求の変化に合わせ、前中期経営計画の途中で課題の追加、見直しも行ってきました。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、ESG経営の重視を継続し、前中期経営計画の中で認識した課題に向け 、大日精化工業内の改革に注力する必要があると考えています。特に前中期経営計画の2年目に追加した「(キ) 人的資本投資・人財育成」の重要性が日々高まっていると認識しており、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、人的資本投資・人財育成の重要課題として、モノづくりメーカーとしての従業員のエンゲージメント向上を目指した「HR戦略」を重点施策のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。
(ア) サステナビリティ貢献製品開発・拡販
大日精化工業グループでは、環境負荷低減に貢献できる環境配慮型製品に加え、人々の暮らしを豊かにする製品を含めたサステナビリティ貢献製品の拡販により、サステナブル社会の実現を推進しております。
前中期経営計画では、サステナビリティ貢献製品の売上高を20%向上させることを目標に掲げて取り組んでまいりました。一部の市場においてコロナ禍と半導体不足からの事業回復が想定外に鈍化したことで数量では目標を僅かに達成できませんでしたが、為替変動などの影響により売上高は23%増となりました。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、前項「ア、技術主導による競争優位性の確保」で述べたように、製品開発を担う技術部門に経営資源を効率的に投入するとともに、人財の潜在能力を最大限に発揮させるHR戦略を、技術部門を始め大日精化グループ全社に積極的に活用してまいります。
(イ) 気候変動への取り組み
前中期経営計画においては、省エネ対策として、太陽光発電設備の設置、ボイラーの運用改善、生産機械の高効率化、照明器具のLED化を実施すると同時に、買電を再生可能エネルギー由来の電力に切り換えることを進めました。合わせて、インターナルカーボンプライシングに関する社内整備を進めました。その結果、国内のCO2排出量(Scope1&2)は、2024年3月期に2021年3月期比で78%削減となり、前中期経営計画における目標を達成できました。(Scope2はGHGプロトコル・マーケット基準にて算定)
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、気候変動に関する政府間パネル(以下、「IPCC」といいます)第5次と第6次評価報告書及び環境省によるIPCC評価報告書の解説を基に行ったリスク分析に沿って、地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるための1.5℃シナリオ及び2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画の策定に取り組んでまいります。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、1.5℃シナリオ実現に向けた国際的な目標をふまえて、大日精化工業グループのCO2排出量(Scope1&2)を、2027年3月期に2020年3月期比31%削減に設定します。
この目標の達成に向けて、国内で培ってきた省エネ対策を海外拠点にも展開することと現地のエネルギー事情に合わせた再生可能エネルギーの導入など、グローバルな脱炭素化を促進させてまいります。
また大日精化工業製品を通じて世の中のCO2排出量(Scope3)も削減できるようにTCFDの枠組みに沿って大日精化工業グループの気候変動に関するリスクと収益機会を管理し、企業価値向上に貢献してまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への取り組み TCFD提言に沿った情報開示」を参照ください。
(ウ) 資源循環促進(サーキュラーエコノミー)
化石由来資源の枯渇防止と廃棄の際の環境負荷低減といった環境リスクの低減と収益機会の創出を目指し、大日精化工業グループでは、原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を進めてまいりました。
前中期経営計画では、掲げていた目標を達成する事ができましたが、更なる改善の余地が確認できたことから、新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」においても、引き続き原材料のバイオマス化及び廃プラスチックの排出量抑制・リサイクル促進を目指し、生産工程から生じるロスを削減するための工程管理の強化と廃プラスチックの分別強化をグローバルに展開してまいります。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」における目標は、前中期経営計画に引き続き大日精化工業グループの廃プラスチックのリサイクルにおき、廃プラスチックのリサイクル率を2027年3月期に前中期経営計画の平均値比3ポイント向上に設定します。
(エ) 生物多様性への取り組み
化学物質を扱う大日精化工業グループは、事業活動のみならず製品のライフサイクル全般において生態系に与える様々な影響をリスクと機会の両面から把握し、生態系への負荷を最小限に抑える義務があると認識しています。前中期経営計画の3年目にはこの考え方に加え、大日精化工業技術を活かして「生物多様性の保全と持続可能な利用」に貢献する価値の創出に努める事が重要であると認識し、それまでの「環境負荷低減」というマテリアリティを「生物多様性の保全」に改訂いたしました。
この課題解決に向けて、有機溶剤など化学物質の使用時に生じる大気汚染や水質汚染等の環境負荷軽減に向けた自らの管理活動と大日精化工業グループの製品使用段階で生じる環境負荷軽減に貢献する製品開発の両輪でTNFDの枠組みに沿って推進してまいります。
また、大日精化工業グループが現在加盟しているCLOMAをはじめとするイニシアティブへの参加や事業所の近隣地域コミュニティーとの協働作業にも積極的に参加し、生物多様性の保全に努めていまいります。詳細は「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)生物多様性の保全に関する取り組み」を参照ください。
(オ) 社会貢献の一層の促進
お客様とのかかわりにおいては、お客様の信頼と期待に応えられるように適切な化学物質管理(新管理システムの導入、リスクアセスメントなど)、品質管理(ISO9001による全社的なQMS活動実施、内部監査実施)、責任ある原材料調達(CSR調達基準によるサプライヤー調査)、サステナブルな物流業務の展開(輸送ロットアップ、在庫拠点集約など)に取り組んでまいりました。
またお客様から積極的に選ばれるサプライヤーになるために、お客様からいただくサプライヤー調査には誠実に回答すると同時に自らの取り組みを反省する機会と捉え、大日精化工業グループの改善につなげています。
従業員とのかかわりにおいては、ワークライフバランスの充実、女性、外国人、中途採用者の一層の活躍などの点から、人事制度の充実を図っております。
またサステナブルな成長を実現させるためには従業員の心身の健康維持・増進と多様な人財が働きやすい職場環境・企業風土づくりが重要であるという考えから、2023年に健康経営宣言を行いました。健康経営を積極的に推進し、従業員がポテンシャルを最大限発揮することで事業活動を通じて社会に貢献してまいります。
地域社会とのかかわりにおいては、生産拠点の近隣に対する安全・安心を最優先に防災活動に加え、生物多様性の保全の一環として近隣の生態系に一層の配慮を行い、環境負荷の低減と自然環境の保全に努めてまいります。これらの諸施策は着実に、継続的に実施することにより効果を得られるものであるため、今後も注力して対応してまいります。
(カ) コーポレート・ガバナンスへの一層の取り組み
単に法令遵守、ルール遵守に留まるだけでは実質的なガバナンスの向上につながらないとの認識から、コンプライアンスの徹底のために経営層からのメッセージの発信・従業員からのフィードバックを継続的に実施しております。経営層からのトップダウンと実行部門からのボトムアップを活性化させた双方向コミュニケーションを充実させ、経営戦略を社員一人一人が「自分ゴト」として捉えて行動できるように社内環境を整備しています。また業務の有効性と効率を更に向上させるために、内部統制とコーポレート・ガバナンスの連携強化を図っております。
(キ) 人的資本投資・人財育成
大日精化工業グループでは、新たな価値の創出には、新たな発想が必要であり、それには“人の力”が不可欠と考えています。“人の力”を引き出し、“人を育成する”ことで、人は価値を生み出す企業の財産であるとの認識から、大日精化工業グループでは「人材」ではなく「人財」と表現しております。
前中期経営計画の3年目には、「人財育成方針」とその人財育成を実現するための「社内環境整備方針」を策定し、具体的な施策の検討を進めてまいりました。
新3か年中期経営計画「明日への変革 2027」では、最優先に取り組む施策として、モノづくりメーカーの従業員としての“働き甲斐”、“誇り”、“仲間への貢献意欲”といったエンゲージメント向上を目指した「人事制度改革」を重点戦略のひとつに掲げ、さらなる価値創出に努めてまいります。
エ、HR戦略・DX推進
ア~ウの戦略を下支えするものとして、HR戦略とDX推進に注力してまいります。
(ア) HR戦略
中長期的な企業価値の向上のためには、イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土を醸成させていくことが不可欠であると認識しております。「会社の目標達成=個々の従業員の理想の実現」となる状態を目指すことで、モノ作り企業の従業員としてのエンゲージメント向上を目指したHR戦略を推し進めていくことといたします。
具体的には、経営方針や戦略を各従業員が理解・共感したうえで日々遂行する業務の目標に落とし込む事が必要と認識しており、その対応として経営層と従業員との対話を深めお互いの期待感を共有し、具体化させていく機会を増やしてまいります。
また、従業員がお互いに仲間と組織のために自主的に貢献しようという意欲を醸成し、その意欲に基づき従業員が自ら高い目標を設定し、目標の達成に向けて挑戦し続けることができるよう指導し、かつ併走する管理職を養成するプログラムも含めた社内・社外の研修を充実させてまいります。業績評価の仕組みにおいては、従業員の階層ごとに評価項目や基準を明確化することで、納得感の得られる評価、成長につながる評価、心理的安全性の高い評価などの考え方を取り入れ、魅力ある会社になることで、エンゲージメントの向上と人財の育成を図ることができ、イノベーションの創出が達成できるものと期待しております。
(イ) DX推進
業務のデジタル化による効率化、データ蓄積・共有の基盤構築を進め、生成AIによる業務効率化や大日精化工業グループ独自データ活用による戦略策定など、データ駆動型ビジネスへの移行を進め、効率的で確実性の高い戦略、独創性のある製品開発を強力に推進します。具体的には、①オフィスワークにおいては、ITツールの活用により情報探索・情報共有の効率を上げ、意思決定スピードを引き上げる、②マーケティングにおいては、担当する部門に関わりなく市場ニーズをデータベースとして蓄積し、市場ニーズと大日精化工業技術を結び付け新規案件を開拓する、③技術開発においては、使用する原材料や開発情報を横断的にデータベースとして蓄積し、これらを組み合わせ、MIにより開発期間を短縮する、④生産部門においては、生産現場の負荷を軽減しながらデータの蓄積・見える化を進め、早期異常発見率を高めることにより生産効率を上げる、などを実施していきます。このために、デジタルリテラシー向上のための研修や、具体的なプロジェクトなどを活用したOJTなども効率的に行うことなどにより、一層のデジタル人財の基盤強化を図ることといたします。
(1)リスク管理体制
大日精化工業グループのリスク管理は、大日精化工業を取り巻くさまざまなリスクを包括的・戦略的に把握・評価し、優先度をつけて効率的に対処し、経営目標の達成と企業価値の向上に寄与することを目指して、代表取締役社長の指示のもとCSR・ESG推進本部が内部統制に関する社内体制整備として推進しています。リスク管理の体制は、各機構の取締役及び役付執行役員がリスクの自己点検を行い、これにより確認されたリスクから重大なリスクを抽出、評価・選別の上、その対処すべきリスク対策を各機構の取締役及び役付執行役員から業務執行部門に指示し、その進捗状況を管理しております。このリスク対策の進捗状況は、定期的に各機構の取締役からCSR・ESG推進本部に報告され、代表取締役社長と監査役に情報共有・監督されております。
また、化学物質を扱う製造業にとって重大かつ恒久的に生じる安全衛生・保安防災、環境保護、化学物質管理などのリスク管理については、全社横断的に対応する為の委員会を設置し、リスク低減の為の活動方針の策定、業務執行の監督を行っております。緊急に重大リスクとなり得る問題が発生した場合は、適宜、対策本部等を設置し、対応を図ってまいります。
(2)事業リスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において大日精化工業グループが判断したものであります。
Ⅰ.戦略リスク
グローバル化への対応と事業の長期発展に対応するための戦略に起因するリスクのうち、現状、以下の3つを主要なリスクと認識しております。
*短期:1~2年以内、中期:3~5年以内、長期:5年超、不明:想定困難
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1)需要構造変化への対応 |
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顕在化する可能性:高 |
顕在化し得る時期*:短期~中期 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク:需要変動 |
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大日精化工業グループは、車両業界、情報・電子業界、建材業界、繊維業界、パッケージ業界など様々なお客様向けに製品を提供し、グローバルに事業展開をしております。 好調・不調を相互に補完できる幅広い業界とお取引がありますが、個々の業界や特定の地域で大きな需要変動があった場合にはその事業範囲で影響を受けることとなり、経営成績に影響を与える可能性があります。 |
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対応:①車両業界、情報・電子業界 |
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特に車両業界において車の生産台数が減少したことと、液晶ディスプレイの需要減による在庫調整が続いたことから、これら業界向けに販売している事業領域で影響を受けました。お客様の情報を元に大日精化工業生産計画を適時修正することにより適切な在庫管理を行うとともに、サプライチェーン上の在庫調整が終了した際の出荷増・販売増にも対応できる体制を継続しました。 |
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対応:②パッケージ業界 |
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パッケージ業界向けの、食品包装用やペットボトルラベル用のグラビアインキは、比較的景気に左右されにくい事業と認識しております。2019年6月にグラビアインキ等を生産する埼玉県川口市から茨城県坂東市への新工場移転計画を発表以降、フードロス問題に起因する販売数量の減少、コロナ禍での人流減と原材料価格高騰、物価高による買い控えの影響を受け、当初想定していた移転計画の根拠となる事業計画と乖離が生じ、且つサプライチェーン上の在庫過多の解消に想定以上の期間を要したことから、2期連続の減損損失を計上することとなりました。2024年3月で移転が完了し、国内3拠点(川口、滋賀、坂東)稼働が2拠点(滋賀、坂東)稼働となったことから、固定費負担等の削減と、新設備での合理化推進、大日精化工業の強みを生かせる市場への注力、また、塗加工技術を生かした成長が見込める情報電子・産業資材への拡大を進めてまいります。 |
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対応:③印刷市場 |
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オンデマンド印刷やデジタルサイネージの普及に加え、リモートワークなど働き方改革が広まった事により、商業印刷市場に依存したオフセットインキ事業においては市場縮小の影響を受けております。このトレンドは一層強まることとなると予想しており、オフセットインキ事業の経営効率化に取り組んでおります。一方、オンデマンド印刷向けの事業として、インクジェットインキ用色材、液晶ディスプレイパネル向けの事業として、カラーフィルター用顔料、パネル用コーティング剤などの開発と拡販に注力しております。 |
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リスク:サステナビリティへの対応 |
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サプライチェーン全体で脱炭素化、資源の循環、人権の保護などサステナビリティ社会の実現に向けた意識が高まっています。大日精化工業グループではステークホルダーの期待と信頼に応え、社会から生かされる会社、選ばれる会社となるために、積極的にサステナビリティ経営を推進する必要があると認識しております。 今後も社会・環境と大日精化工業の発展に向けて、お客様とサステナビリティに貢献できる価値を共創してまいります。 詳細は、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 |
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対応: |
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社会的課題とお客様の要望を大日精化工業の製品で実現できるように、技術開発力、お客様対応力、生産現場力のそれぞれの強みを発揮、連携させていきます。 そのためには人のチカラが重要と認識しており、人財の潜在能力を発揮させるために、社員のエンゲージメント向上に向けたHR戦略と業務改善に向けたDXを推進してまいります。 詳細は、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 |
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リスク:サーキュラーエコノミーへの対応 |
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世界的なプラスチックを取り巻く事業環境が変化し、プラスチックは資源であり、リサイクル利用すること、また枯渇する可能性が高い石油由来原材料でプラスチックを製造し、焼却処分する形態の事業は望まれない社会となっていると認識しております。特に欧州のプラスチック製品については再生材使用の動きが高まり、大日精化工業グループの主要製品である自動車向けプラスチックコンパウンド市場においては、再生材使用率の向上や情報開示に向けた動きを捉えています。今後もこのプラスチックの循環利用とバイオマス原材料によるプラスチック製品の需要が高まると想定しております。 |
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対応: |
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大日精化工業グループのポリウレタン樹脂の事業においては、これまで培ってきたウレタン樹脂合成技術を活かし、ケミカルリサイクル技術の開発、ポリウレタン樹脂の原材料のバイオマス化といったイノベーションを創出していく事に取り組んでおります。これらのイノベーションを創出させるには、サプライチェーンパートナーとの連携に加え、設備投資や人的資本・知的財産への投資にも取り組んでいきます。 また大日精化工業グループの事業活動から排出されるプラスチック廃棄物を再資源化するために、各現場での廃棄物の分別回収を強化しております。 |
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リスク:生物多様性への対応 |
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世界的な動きである生物多様性の保全に向けた取り組みの強化を受け、生態系への負荷の少ない製品が求められております。大日精化工業グループの各種インキ、塗料、表面処理剤、ウレタン樹脂などは、顧客側で使用される段階で揮発性有機溶剤(VOCs)から有害なガスを発生させるものがあり、それらが大気汚染の原因になると認識しております。 |
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対応: |
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これらの製品を通じて生物多様性の保全に寄与すると共に、これら事業の持続可能な成長を目指して、製品の水性化、溶剤使用量の低減に取り組んでおります。サプライチェーンパートナーと連携し、従来の溶剤系製品を順次環境負荷の少ない製品に切替えを進めております。 |
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2)海外事業活動に関するリスク |
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顕在化する可能性:低 |
顕在化し得る時期*:不明 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク:政治・地政学変動に関するリスク |
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大日精化工業グループの海外生産拠点は、当該国の政治体制、各種法令・規制の変更、経済的基盤及び自然災害発生のリスクがあり、これらが、グループ危機管理の想定以上に深刻化した場合には、各生産拠点の生産活動に重大な支障が生じ、大日精化工業グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、長期化するロシアのウクライナ侵攻や、中東情勢、台湾有事が発生した場合の影響として、資源価格の高騰やサプライチェーン及び物流の混乱等のリスクがあると想定しております。 |
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対応: |
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このリスクを回避するためには、特定国への投資に過大にシフトすることなく、リスク要因も考慮の上で適正な水準・割合に投資配分することで全体的なリスク緩和を図ることとしてまいります。 |
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3)金融リスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:短期 |
顕在化した場合の影響度:小 |
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リスク:①為替リスク |
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2025年3月期を初年度とする中期経営計画の施策として、「事業基盤の強化のための海外事業の拡大」を掲げております。現状の海外売上高比率は約30%にとどまっているものの、為替変動の影響を受けやすい水準であることは事実であり、今後同比率が高まっていくことにより、大日精化工業グループの経営成績に影響を与える可能性があります。 国内から輸出している事業、海外から調達している原材料については、個々の取引において為替影響を受けるため、これらの事業拡大によりリスクが拡大することが想定されます。 |
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対応: |
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大日精化工業グループでは、国内における外貨建て輸出・輸入と海外連結子会社の外貨建て損益の円換算時に為替影響が生じます。現在、損益の均衡が比較的取れている状況であるため、為替の変動による収益への影響、リスクは小さいと認識しております。また、本リスクを極力回避するため、収入、支出を極力同一通貨で支払うこと、海外拠点における現地通貨の借入れを検討すること、必要に応じて為替先物契約を締結することなどにより、リスクヘッジを図ってまいります。 |
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リスク:②金利変動リスク |
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大日精化工業グループは、事業資金の一部を主として金融機関から借入金として調達しております。総資産の効率的な運用を行い、財務体質の改善・強化を図るべく有利子負債の返済に努めておりますが、2024年3月末時点において長短期借入金合計で約249億円あり、今後の金利水準が上昇した場合には、支払利息の金額水準が上昇することにより、大日精化工業グループの経営成績に影響を与える可能性があります。 |
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対応: |
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足元の金融環境を勘案すると、長期金利は上昇基調にありますが、以下に述べる方策により、本リスクが大日精化工業グループに与える影響は比較的小さいと思われます。新たに資金需要が生じた場合においても、キャッシュマネジメントシステム(CMS)により、金融費用の削減、大日精化工業グループ内に存する資金を効率的に活用することで対応するほか、取引金融機関との間で調整の上で、長期固定金利借入や金利スワップ契約等を導入することで、長期にわたって低金利を享受できる契約構成を維持できるよう進めてまいります。 |
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Ⅱ.オペレーショナルリスク
事業系オペレーショナルリスク(仕入・生産・販売活動)及び管理系オペレーショナルリスク(事業継続するための管理体制とCSR対応)に起因するリスクのうち、現状、以下の4つを主要なリスクと認識しております。
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1)購買に関わるリスク |
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顕在化する可能性:高 |
顕在化し得る時期*:短期 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク:原材料調達リスク、原材料及びエネルギー価格の変動リスク |
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主力原材料である石油化学誘導品及びエネルギー(電気、ガス等)は、原油価格の動向に伴う価格変動のほか、為替変動、天災、事故、政策なども含めた生産国での状況の変化などにより、価格変動のみならず、調達不安に陥る可能性もあります。大日精化工業グループ製品が使用されている最終消費財の市況や供給責任なども勘案しますと、原材料及びエネルギー価格の上昇をすぐさま製品価格に反映させるには時間を要すことから、結果として原材料及びエネルギー価格の上昇が大日精化工業グループの収益を圧迫することにつながります。 |
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対応: |
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本リスクは、化学メーカーである大日精化工業グループにとって回避しづらいものであることは事実ですが、生産計画策定にあたっては、価格予測、需要予測をできうる限り丁寧に行い、また、一定の原材料在庫を保有した上で市場状況を見ながら原材料購入のタイミングを図る、あるいは、特定の企業・国に偏することなく、原材料の代替購入先を常日頃から調査の上で確保することなどにより、大日精化工業グループの業績に与える影響を緩和することに努めております。 また販売活動においては、お客様へ原材料及びエネルギーの市場動向や予測されるリスクなどを説明し、販売価格の見直しにご理解をいただけるように努めております。 |
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2)コンプライアンスに係わるリスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:中期 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク:①化学物質管理リスク、品質管理リスク |
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大日精化工業グループでは、多種の化学物質を取り扱っており、その保管、使用、移動、排出、廃棄において法令遵守を徹底しております。しかしながら、化学物質管理や環境管理関連において、国内・海外を問わず法的要件が強化されることがあり、遵守できていない場合には罰則を受けるだけでなく、輸出入の禁止や生産活動の停止による、収益機会の喪失、あるいは対処するための支出を招く蓋然性があり、大日精化工業グループの業績に与える影響は甚大となる可能性があります。 |
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対応: |
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特定のセグメント(事業機構)から独立した化学物質管理体制及び環境、安全衛生体制(組織)を充実させることと同時に、特に化学物質管理においては要件変更への対処に遺漏が生じることのないように、システムによる管理(新化学物質管理システム)の構築を進めているところであり、これによりリスクコントロールを行うこととしております。 |
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リスク:②製造物責任、補償のリスク |
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環境、安全衛生上の問題や、製品の品質管理上の問題などに起因して、大規模な損害賠償につながるリスクが現実化し、賠償金支払いが生じる可能性があります。 |
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対応: |
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現在、大日精化工業グループが付保しております賠償責任保険等、保険契約の内容を勘案すると、これらの発生する蓋然性は比較的小さいものと判断しておりますが、引き続き、保険内容を十分に検討した上での付保手続きを進めてまいります。 |
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3)情報セキュリティリスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:中期 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク: |
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大日精化工業グループは事業活動の中で取引先の情報、技術、契約、人事等の機密情報を取り扱いますが、多くは情報システムで管理しております。サイバー攻撃、不正アクセス等によるデータの改ざん、逸失、情報の漏洩、また災害や障害によるシステムの停止が引き起こす事業活動の停止などが発生した場合、大日精化工業グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応: |
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これらのリスクを低減するため、ネットワーク監視、ウイルス対策、アカウント管理などの基本的な情報セキュリティ対策、バックアップなどの適切なデータ保全、従業員に対する情報セキュリティ教育、セキュリティ事故等に対応する体制の整備などに取り組んでおります。 |
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4)人員・人財不足のリスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:中期 |
顕在化した場合の影響度:大 |
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リスク: |
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大日精化工業グループのサステナブルな成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。出生率低下で新卒者減少に伴う優秀な人財の採用逸失、有能な人財の流出が頻発する場合は、大日精化工業の長期的な成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応: |
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新卒・中途を問わず積極的に採用を行いつつ、イノベーションが湧き上がる活力に満ちた企業風土を醸成するべくHR戦略を推進しております。例えば新卒採用については、就職活動早期化に対応する為のインターンシップ開催時期の前倒し、確実な入社に繋げるべく内定者との懇談の頻度を上げる等の工夫を行い、重要な経営資源である人財の維持・拡充を図っております。また、経営戦略を効率よく達成するために、異なる経験・経歴、技能、属性を持つ者を幅広く採用し、「人財の化学反応」を早期に起こすことを優先するという観点から、性別、国籍、採用時期などの区別なく積極的に中途採用の機会を設けております。 HR戦略を着実に推進することにより、人財のエンゲージメント向上を図ることで、人財流出を回避することとしております。詳細は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 エ、HR戦略・DX推進 (ア) HR戦略」を参照ください。 |
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Ⅲ.ハザードリスク
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1)自然災害のリスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:不明 |
顕在化した場合の影響度:中 |
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リスク: |
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近年、大規模地震や大雨等の自然災害のリスクは高まっており、被害の規模によっては生産設備や情報処理システムの毀損、従業員の出勤不能、物流機能の停滞、原材料の調達難などにより大日精化工業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。大日精化工業グループの営業拠点や生産拠点の在る自治体のハザードマップによると操業に大きな影響を及ぼす可能性のある拠点があります。大規模な集中豪雨などにより、一時的に事業の継続が困難になる可能性があります。 |
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対応: |
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大規模災害などの経営危機に迅速に対応できるように、本社にて危機管理体制を整備し、各事業所にも災害対応の初動体制を設けております。通常運営時の収益性とビジネス・コンティニュイティ・プラン(BCP)のバランスを考慮し、主要な事業や製品供給の代替体制を逐次推進しております。しかしながら、特定リスクの発生確率を事前評価することは非常に困難であり、大規模災害時には予想通りの状況にならないという教訓から、様々な状況に機動的に対応できる訓練を重視した事業継続対策を進めております。 |
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2)疫病等のリスク |
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顕在化する可能性:中 |
顕在化し得る時期*:不明 |
顕在化した場合の影響度:中 |
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リスク: |
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感染症の大流行(パンデミック)が発生すると、従業員の出勤不能、物流機能の停滞、原材料の調達難などにより大日精化工業グループの事業活動と業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応: |
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突然のパンデミックに迅速に対応できるように、本社にて危機管理体制を整備し、各事業所にもパンデミック対応の初動体制を設けております。通常運営時の収益性とビジネス・コンティニュイティ・プラン(BCP)のバランスを考慮し、主要な事業や製品供給の代替体制を逐次推進しております。 |
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