KHネオケム(4189)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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KHネオケム(4189)の株価チャート KHネオケム(4189)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 KHネオケムグループ(KHネオケム及びKHネオケムの関係会社)は、KHネオケム(KHネオケム株式会社)、子会社4社及び関連会社1社(2024年12月31日現在)により構成されており、各種石油化学製品の製造・販売を主たる業務としています。「オキソ技術」をコア技術として、さまざまな産業分野に特色ある化学製品を提供しています。オキソ技術とはオレフィン(注1)とオキソガス(注2)を原料にアルデヒド(注3)を製造する技術です。KHネオケムグループは1970年にオキソ技術によるアルデヒドの大量生産を開始して以来、アルデヒドを原料にアルコールや脂肪酸(注4)などの生産品目を拡充し、溶剤(注5)や可塑剤(注6)原料、機能性材料等の多様な製品群を国内外の顧客へ供給しています。

 KHネオケムグループの事業分野は、「機能性材料」「電子材料」「基礎化学品」の3分野であり、各事業分野の事業内容は以下のとおりです。

 

(1) 機能性材料

 エアコン・冷蔵庫等に使用される冷凍機油(注7)の原料、化粧品原料等に用いられる特殊ジオール(注8)等を製造し、販売しています。

 

<主な製品名と概要>

キョーワノイック-N(イソノナン酸)、オクチル酸、1, 3-ブチレングリコール

・キョーワノイック-N(イソノナン酸)とオクチル酸は、エアコン等に使用される冷凍機油の原料に用いられています。オゾン層破壊・地球温暖化といった環境問題に対処するため、エアコン等に使用される冷媒は、オゾン層を破壊せず、かつ、地球温暖化係数(注9)の低い環境にやさしい冷媒への切り替えが進んでおり、当該製品はこの冷媒に適合する冷凍機油の原料です。

・オクチル酸は、冷凍機油の原料の他、自動車や住宅等の合わせガラス用中間膜の原料等に用いられています。

・1, 3-ブチレングリコールは、高い保湿性を持ち、化粧品やスキンケア製品の原料として用いられています。

<主な用途>

潤滑油、粘接着剤、化粧品、医農薬、界面活性剤

 

(2) 電子材料

 液晶ディスプレイや半導体、フォトレジスト(注10)の製造に使用される高純度溶剤を製造し、販売しています。

 

<主な製品名と概要>

PM-P(プロピレングリコールモノメチルエーテル-P)、

PMA-P(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート-P)

・液晶ディスプレイやCPU・メモリー等の半導体の製造プロセスには、非常に高純度の溶剤が必要とされています。この分野には、KHネオケムが長年培ってきた高い品質管理ノウハウを駆使して、金属含有量の極めて少ない高純度溶剤を提供しています。

<主な用途>

ディスプレイ材料、半導体

 

(3) 基礎化学品

 自動車や住宅など様々な産業で使用される溶剤、可塑剤原料、樹脂原料等を製造し、販売しています。

 

<主な製品名と概要>

ブタノール、オクタノール、オキソコール900(イソノニルアルコール)、酢酸ブチル

・オクタノールは、壁紙や床材、自動車部材等の幅広い用途に用いられる可塑剤であるDOP(ジオクチルフタレート)の原料や塗料、接着剤、粘着剤、合成樹脂に用いられるアクリル酸2-エチルヘキシルの原料として使用されています。

・オキソコール900(イソノニルアルコール)は、壁材や床材の他、自動車部品や電線被覆材等に用いられる可塑剤であるDINP(ジイソノニルフタレート)の原料として使用されています。

・ブタノール、酢酸ブチルは主に塗料用の溶剤で、自動車のボディや建物の外壁、缶類の塗装等に使用されています。

<主な用途>

 塗料、インキ、可塑剤、洗浄剤

(注)1.オレフィンとは

分子内にひとつの二重結合を持つ炭化水素の総称です。石油化学基礎製品であるエチレン、プロピレン等がこれに含まれます。

 

2.オキソガスとは

水素と一酸化炭素の混合ガスです。

 

3.アルデヒドとは

アルデヒド基をもつ有機化合物の総称です。アルデヒドに水素添加するとアルコールになります。また、アルデヒドは酸化されるとカルボン酸になります。

 

4.脂肪酸とは

酸の性質を持つ有機化合物の総称です。KHネオケムのイソノナン酸やオクチル酸も脂肪酸の一種です。

 

5.溶剤とは

塗料用や電子材料用の樹脂や医農薬の原料等を溶かすものです。

 

6.可塑剤(かそざい)とは

材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくしたりするために添加する物質のことです。

 

7.冷凍機油とは

エアコンや冷凍庫などにおいて、冷媒を循環するコンプレッサーに使用される特殊な潤滑油です。

 

8.ジオールとは

分子中に2つの水酸基をもつ有機化合物の総称です。グリコールともいいます。

 

9.地球温暖化係数とは

二酸化炭素を1として温室効果を示した数値です。

 

10.フォトレジストとは

半導体や液晶ディスプレイに回路を形成する工程で用いられる感光性材料です。

 

 

 

 

 また、グループ各社の役割は以下のとおりです。

 

国内法人

KHネオケム

グループの中核会社として、各種石油化学製品の研究、製造、販売を行っています。

黒金化成㈱

電子情報分野、医療分野向け高機能有機材料等の受託製造、販売を行っています。

㈱黒金ファインズ

黒金化成㈱の子会社として健康食品原料、医薬原料、工業薬品等の販売を行っています。

㈱ジェイ・プラス

三菱ケミカル㈱との合弁により設立し、各種可塑剤の製造及び販売を行っています。

 

海外法人

KH Neochem Americas, Inc.

KHネオケムが製造・販売する化学品等の米国等における輸出入、販売、開発及び市場調査を行っています。

晟化(上海)貿易有限公司

KHネオケムが製造する化学品等の中国等における輸出入、販売及び市場調査を行っています。

 

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

(注)無印 連結子会社

※1 非連結子会社で持分法非適用会社

※2 関連会社で持分法適用会社

 


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

KHネオケムグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてKHネオケムグループが判断したものであります。

 

<経営方針>

(1) 企業理念

 KHネオケムグループは、以下の企業理念に基づき、様々な産業分野に特色のある高品質な化学製品を提供することを主方針として経営諸活動を遂行しております。

・ 企業使命 「化学の力」で、よりよい明日を実現する。

・ 経営姿勢 確かな技術と豊かな発想で、夢を「かたち」にする。

・ 行動指針 「新たな一歩」を踏み出して、さらなる高みに挑戦する。

・ 安全指針 自分を守る、仲間を守る。

 

(2) VISION 2030

 KHネオケムグループは中長期的な視点から目指す姿を描くとともに、実現に向けた道筋を示すものとして「VISION 2030 ~世界で輝くスペシャリティケミカル企業~」を策定しております。

 VISION 2030において、KHネオケムグループが目指す具体的な姿は以下の3点です。

 

目指す姿① 地球温暖化抑制・豊かな暮らしに貢献するスペシャリティケミカル素材を提供

 事業活動を通じて地球温暖化抑制に資する製品や、よりよい暮らしに貢献できる素材を世界に向けて提供してまいります。

 

目指す姿② 戦略ドメインで世界シェアNo.1製品と新事業を拡大

 KHネオケムが強みをもつ、冷凍機油原料、化粧品原料、高純度溶剤分野の製品を核とし、設備投資や研究開発など集中的に資源を配分する領域として、戦略ドメインを「環境」「ヘルスケア」「エレクトロニクス」に設定しました。この戦略ドメインにおいて、世界シェアNo.1の製品を拡大するとともに、新たな事業や製品を創出します。

 

目指す姿③ 国内で化学業界トップクラスの利益率

 戦略ドメインにおいて、高付加価値で独自性の高い製品に対して生産能力の増強や新製品の開発を進め、AIやIoT等の最新技術を取り込み、生産効率を向上させることで、国内の化学業界の中でもトップクラスの営業利益率を目指します。

 

 なお、2030年長期経営目標として、売上高 1,800億円、営業利益 250億円超、ROE 12%超、自己資本比率 50%を掲げております。

 

(3) 第4次中期経営計画

 KHネオケムグループは、VISION 2030の達成に向けて、2022年度から2024年度の3ヵ年を対象とした第4次中期経営計画を策定し、その基本方針を「サステナブル経営の推進」と位置づけ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値向上を図ってまいります。なお、基本戦略として以下の3つを掲げ、各種施策を推進しております。

 

戦略Ⅰ 戦略ドメインにおける更なる成長

戦略Ⅱ 社会課題解決に向けた中長期的な取り組み

戦略Ⅲ ビジネス基盤の強化

 

 なお、経営数値目標としては、2022年度~2024年度までの期間累計連結営業利益 486億円、

期間累計連結EBITDA 635億円、ROE 15%以上としており、目標達成に向けて邁進してまいります。

(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

 以上のような、長期ビジョン及び中期経営計画のもと、2024年において、次のように、経営環境を認識し、様々な課題に全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

<経営環境>

 中期経営計画の策定以降、外部環境は、当初の想定から大きく変化しており、ウクライナや中東情勢といった地政学リスクの高まりや、インフレに伴う各国の金融引き締めなど、世界経済の不透明感が高まっております。

 とりわけ、KHネオケムグループを取り巻く経営環境は、中国経済の減速や半導体市場の低迷などによる需要減少に加え、物価高騰に伴い原燃料、物流、建設・メンテナンス等の主要コストが著しく増大するなど厳しさを増しております。

 

<対処すべき課題>

 上記、経営環境の下、KHネオケムグループは、喫緊の課題である高経年化に伴う生産トラブルを低減させるため、予防保全を推進し、プラント設備の維持管理をより高いレベルに引き上げてまいります。さらに、機器異常を初期段階で検知することによりトラブルを未然に防ぐ、予兆診断システムを導入するほか、従業員への安全教育を実施するなど各施策を講じ、安全・安定操業へと繋げてまいります。一方、物価高騰等に伴うコストの増加に対しては、生産効率の最適化などによりコスト削減を図るとともに、適切なタイミングで製品価格に転嫁することで、収益を改善させてまいります。さらに、各業務執行ラインを統括するCxO(最高執行責任者)を新たに設置し、業務執行における権限と責任をより明確化することで、迅速かつ適切な業務遂行を実現いたします。

 一方、中長期的な成長に向けた取組みでは、KHネオケムの主力製品である冷凍機油原料において、千葉工場での設備能力の増強を計画通り本年夏に完成させ、スムーズな立ち上げを行うことで、拡大する需要を積極的に取り込んでまいります。加えて、グループ会社の黒金化成株式会社で進行中の次世代半導体向け材料設備の増強工事を秋口に完工させ、成長が期待される最先端分野を中心に拡販を図ります。

 また、新規事業の創出に向けたスタートアップ企業などとの協業や、既存事業における新製品開発を推進いたします。さらに、事業ポートフォリオの見直しを進め、成長分野への経営資源の投入を加速させてまいります。

 カーボンニュートラル実現に向けた取組みとしましては、2023年に決定したCO回収装置の設備投資について、2025年上期の完工に向け、準備を進めてまいります。本装置を用いることで、自社の製造工程において発生するCOを回収し、KHネオケムのコア技術であるオキソ反応の原料として再利用することが可能となります。

 

 これらの施策を実現するため、引き続き、ビジネス基盤を強化してまいります。具体的には、次世代リーダーの育成や社員の自律的なキャリア形成に向けた施策を拡充するなど、人的資本へ経営資源をより一層投じてまいります。また、プラント高度制御システムや予兆診断システムへのビッグデータの活用、業務改善システム導入による生産性向上、知的財産管理システムの導入など、DXを推進してまいります。

 コーポレートガバナンスにつきましては、取締役会の監督機能を一層強化することを目的に、監査等委員会設置会社へ移行いたします。また、株価や資本コストを意識した経営の徹底、リスク管理レベルやコンプライアンス意識の向上などにより、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

 以上の取組みを推し進めるとともに、2025年度から始まる第5次中期経営計画へと繋げてまいります。

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、以下の事項はKHネオケムグループのリスクのうち主要なものを記載しており、KHネオケムグループのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測しがたいリスクが存在する可能性があるものと考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてKHネオケムグループが判断したものであります。

 

(1)リスク管理への取組み状況

① リスク管理活動

 KHネオケムグループは、リスクを経営活動・事業活動に影響を及ぼす不確実性と定義しております。部門横断による全社視点からの内部リスク及び政治・経済・社会情勢等を考慮した外部リスクの両面から可能な限りリスクを洗い出したうえで、一覧化した全社リスク台帳を作成し、リスク毎に影響度と発生可能性を評価したリスクマップを作成しております。リスクを把握することによって、リスクの顕在化を可能な限り未然防止するとともに、リスクが顕在化した際にその影響を最小限にとどめるためのリスク管理活動をしています。

 

② リスク管理体制

 1)サステナビリティ委員会

 サステナビリティに関する経営リスク全般の抽出と対策の検討・策定を行っています。専門委員会であるリスク管理委員会で検討・審議された内容や意思決定に必要な分析等につき、取締役会へ報告します。

 

2)リスク管理委員会

 KHネオケムグループのリスク管理を推進するため、CFO(最高財務責任者)を委員長、全部門長をメンバーとするリスク管理委員会を設置し、KHネオケムグループの経営上重要なリスクの抽出・評価・対策計画の立案に関する検討及び審議を行い、対策の進捗状況のモニタリングを行っております。本委員会は、原則として年2回開催することとし、議論された内容は、サステナビリティ委員会や取締役会に報告します。

 

(2)リスク認識

① 外部環境リスク

 KHネオケムグループの事業は、経済・市場環境、原燃料の価格変動、為替変動等の外部環境の影響を受けるおそれがあります。

 

1)経済及び市場環境の変動に係るリスク

 KHネオケムグループの製品の需要は、自動車、住宅、電子電機機器及び消費財等の最終製品の需要に左右され、国内外の工業生産量の全体的な変動及び個別最終製品を消費する国または地域の経済状況や地政学的リスクがKHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、競合他社による大型生産設備の建設等により供給過剰となった場合等により市場環境が大幅に変動した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、製品需要に応じた生産及び在庫調整を行うとともに、販売施策を講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。

 

2)原燃料の価格変動に係るリスク

 KHネオケムグループは、ナフサを分解して製造されるプロピレンやエチレンを主要原材料とし、またLNG等を原燃料とする等、グローバルな経済活動と連動した事業特性を有しております。そのため、原油価格、需給バランス、為替等の影響により、これらの価格が急激に変動した場合、もしくは価格の高騰が続く場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、製品販売価格への転嫁等をタイムリーかつ適切に講じることにより、これらの影響を低減するように努めております。

 

3)為替変動に係るリスク

 KHネオケムグループは、海外から原材料の一部を輸入するとともに、国内で製造した製品の一部を海外に輸出しております。そのため、為替レートが大幅に変動した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。

 

4)感染症に係るリスク

 KHネオケムグループが事業活動を行う国・地域で重篤な感染症が発生・拡大し、事業活動に制限が生じた場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、感染症蔓延に備え、従業員の行動ガイドラインを策定し、これを徹底させること等により、事業への影響の最小化に努めてまいります。

② 重要リスク

 KHネオケムグループの経営上、極めて影響度・重要度が高いリスクを重要リスクと位置づけ、重要リスク毎に取締役をリスクオーナーとして任命し、リスク対策の立案及び対策の実行を推進する統括部門及び関連部門が連携を図りながら、実効的なリスク対策を推進しています。

リスク分類

リスク項目

1)コンプライアンス

法令違反、法的規制

2)生産活動

設備・機械の損傷・故障、事故

3)人財

人員不足、中核人財の育成停滞

4)事業継続

大地震・自然災害、原材料等の調達不能

5)情報セキュリティ

サイバー攻撃

6)気候変動

異常気象、炭素税の賦課

 

1)コンプライアンスに係るリスク

 KHネオケムグループは、事業の特性上、高圧ガス保安法に基づく高圧ガス製造に係る許認可をはじめとする各種許認可を受け事業を展開しております。さらに、取り扱う化学物質に関する国内外の様々な法規制の適用を受けており、法令遵守とともに、これら法令に基づく手続きを漏れなく適切に行うことが求められます。これらの規制は強化される傾向にあり、法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合、あるいは予期せず対応が遅れた場合、事業上の制約や法令遵守のための費用の増加、もしくは行政処分、罰則等の賦課により、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、KHネオケムグループにおいて、役職員等による個人的なコンプライアンス上の違反が判明した場合、KHネオケムグループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、損害賠償請求等を受けた場合には、対応措置のための費用の発生等により、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、KHネオケムグループの持続的な成長を可能とするために実施すべき行動原則としてコンプライアンス・コードを定め、商取引、保安・安全衛生、環境・化学物質、労働などに関する国内外の様々な関連法規制に則り、コンプライアンスの徹底を図りながら事業活動を行っております。さらに、コンプライアンス研修や教育を行うなど、コンプライアンス意識向上に積極的に努めております。

 

2)生産活動に係るリスク

 KHネオケムグループは、生産活動において各種化学物質を使用しており、その取扱いには万全の対策を講じております。しかしながら、火災や爆発等の産業事故災害、労働災害等が発生した場合には、生産への影響、行政処分、社会的信頼の失墜等により、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、製造設備に対する保守点検・計画的な検査修繕、安全確保のための設備投資等を実施するなど、工場の保安事故の発生防止に努めております。また、保安・安全及び環境保全に係る環境保安ポリシーを定め、KHネオケムのRC(レスポンシブル・ケア)活動を確実に推進するとともに、全社重点施策等を立案する機関として、環境保安委員会を設置し、原則として年1回開催しております。

 

3)人財に係るリスク

 KHネオケムグループは、労働市場の人財獲得競争の激化や人財流動化等により、必要な人財が確保できず、また中核人財等の育成が計画通りに進まない場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、採用活動・体制を強化し、人財要件を明確化した上で採用計画を策定するなど、必要な人財の確保に取り組んでおります。また、中核人財の育成計画の策定及び研修制度の整備などに積極的に取り組んでおります。

 

4)事業継続に係るリスク

(大地震・自然災害等に係るリスク)

 KHネオケムグループは、大規模な地震、大型台風等の自然災害の発生等により、KHネオケムグループの役職員等の人的な被害、製造設備の被害による生産活動の停止及び修繕のための費用の発生、または、サプライチェーン上の障害に伴う機会損失が発生した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、地震をはじめとした災害に対しては、本社及び工場を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的に訓練を実施することで、災害が発生した際に損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図る体制を整備しております。

 

(原材料等の調達に係るリスク)

 KHネオケムグループは、原材料等について製造拠点の立地条件及び運搬・貯蔵方法等に伴う制約から特定の仕入先に依存する場合があり、特定の仕入先における被災や事故、事業ポートフォリオの見直しによる事業撤退や統廃合等により長期間に亘る原材料等の供給不能又は供給不足・停止が発生した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、原材料等を複数の仕入先から購入することにより安定調達を図るとともに、適正在庫を保有することで、生産に必要な原材料等が十分に確保されるよう努めております。

 

5)情報セキュリティに係るリスク

 KHネオケムグループは、事業活動を行ううえで多くの機密情報や個人情報を保有しております。年々高度化するサイバー攻撃や不正アクセス、ネットワーク障害等が発生した場合には、業務活動に支障が出るとともに、競争力の低下により、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、不測の事態により、個人情報等の情報漏洩やデータ改ざんが発生した場合には、社会的信用の低下を招く可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、情報セキュリティポリシー及び個人情報保護ポリシーを定め、厳正な管理体制のもとで情報漏洩の防止に努めるとともに、様々な情報セキュリティに関する防衛策を講じております。

 

6)気候変動に係るリスク

 KHネオケムグループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因と認識しております。KHネオケムグループでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、TCFD提言の枠組みに基づき、事業活動への影響分析を行い、統合報告書等において、その対応結果や進捗の開示に努めております。

 気候変動によって、高潮・豪雨・洪水・台風等の異常気象が増加した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、脱炭素社会の実現に向け、炭素税等のカーボンプライシングの導入が進むことで、財務的な負担が増加するおそれがあります。具体的には、IEA(国際エネルギー機関)のNZE2050に基づく、1.5℃シナリオでは、2030年時点における炭素価格が130USD/1トンとなり、仮に炭素税等が導入された場合、2022年度のGHG排出量約37.9万トンに対し、約69.0億円/年(為替1USD=140円)の負担が増加する可能性があります。将来の炭素税等の導入リスクを鑑み、2024年からインターナルカーボンプライシングを導入いたしました。社内炭素価格をCO排出量1トンあたり1万円とし、今後の投資判断の参考といたします。

 また、最新技術を活用したプラント高度制御システムの導入を拡大することや自家発電設備の更新等、これまで培ってきた技術力を活用することにより、生産活動におけるエネルギー効率向上を通じたGHG排出量の削減などに積極的に取り組んでおります。KHネオケムの主力製品である冷凍機油原料は、低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用したエアコンに使用されており、事業を通じ、地球温暖化抑制に貢献しております。加えて、KHネオケムは、製品の生産において、COを原料として使用するオキソ技術を用いており、自社で発生したCOの一部を回収し、再利用することで排出量の削減に貢献しております。さらに、新たなCO回収装置の設備投資を2023年に決定いたしました。2025年上期の完成を目指し、建設工事を進めており、CO排出量のさらなる低減に取り組んでまいります。

 引き続き、気候変動による事業活動への影響分析や、その対応策等に関しては、サステナビリティ委員会において、審議・モニタリングを行い、定期的に施策を見直すことで、リスクの低減に努めてまいります。

 

③ その他事業上のリスク

1)海外事業に係るリスク

 KHネオケムグループは、アジア及び米州を中心とした海外事業を展開しておりますが、海外においては、政治、経済情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。これらのリスクが顕在化した場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、駐在員の派遣等の対応により現地事情などの情報収集に努めております。

 

2)製品品質保証・製造物責任に係るリスク

 KHネオケムグループにおいて、大規模な製造物責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、多額の賠償額が発生することにより、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従い、製品品質の向上に努めた生産活動を行うとともに、万一の事故に備え、製造物責任賠償保険に加入することでリスクヘッジしております。また、品質保証に係る品質保証ポリシーを定め、KHネオケムの品質管理活動を確実に推進するとともに、全社重点施策等を立案する機関として、品質保証推進会議を設置し、原則として年1回開催しております。

 

3)知的財産に係るリスク

 KHネオケムグループにおいて、第三者がKHネオケムグループの特許権等を侵害している場合には、警告や訴訟提起などの対策を行いますが、第三者の侵害行為や同様の技術開発を全て発見できない可能性があります。また、第三者から特許権等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償請求訴訟等を提起され、KHネオケムグループにとって不利な判断が下される可能性があります。このような場合には、KHネオケムグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 KHネオケムグループでは、その対策として、知的財産ポリシーを制定し、自社の知的財産の保全、管理、活用と第三者の知的財産の尊重とを進めることを通じて、企業価値の維持・向上、知的財産リスク低減に努めております。研究開発の成果について特許権等の権利化を進めることにより知的財産権の保護や他社へのライセンス等による活用を図るとともに、他社の知的財産を侵害しないために、新製品や新技術の開発前に先行技術等の調査を行うほか、既存製品についても定期的に調査を実施しております。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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