ダイセルグループは、株式会社ダイセル(ダイセル)および子会社59社、関連会社13社より構成されております。
ダイセルグループが営んでいる主な事業内容は、メディカル・ヘルスケア、スマート、セイフティ、マテリアル、エンジニアリングプラスチックの各領域における製品その他の製造・販売であり、当該事業に係るダイセルおよび子会社、関連会社の位置付けは次のとおりであります。
ダイセルが、健康食品、光学異性体分離カラムなどを製造・販売しております。
連結子会社Chiral Technologies, Inc.、Chiral Technologies Europe S.A.S.、Daicel Chiral Technologies (China) Co., Ltd.、Daicel Chiral Technologies (India) Pvt. Ltd.が、光学異性体分離カラムを販売するとともに、同事業に関する技術サービスを行っております。
上記の他6社が当事業部門に携わっております。
ダイセルが、カプロラクトン誘導体、エポキシ化合物、電子材料向け機能品、高機能フィルムなどを製造・販売しております。
連結子会社大日ケミカル㈱が、各種化学薬品を製造・販売しております。また、同社はダイセルよりカプロラクトン
モノマーなどの供給を受けるとともに、ダイセルにポリカプロラクトンなどを供給しております。
連結子会社Daicel Taiwan Co., Ltd.が、光学製品を開発・販売しております。
連結子会社ダイセルビヨンド㈱が、高機能フィルムを製造・加工しております。
連結子会社Daicel ChemTech, Inc.、Daicel (Asia) Pte. Ltd.、Daicel (Europa) GmbHがダイセルの供給製品を海外において販売しております。
上記の他2社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ダイセル・セイフティ・システムズ㈱が、自動車エアバッグ用インフレータを製造し、ダイセルが販売しております。
連結子会社Daicel Safety Systems Americas, Inc.、Daicel Safety Systems(Thailand)Co., Ltd.が、自動車エアバッグ用インフレータ、インフレータ用イニシエータを製造・販売しております。
連結子会社Daicel Safety Systems Europe Sp. z o. o.、Daicel Safety Systems(Jiangsu) Co., Ltd.、Daicel Safety Systems India Pvt. Ltd.が、自動車エアバッグ用インフレータを製造・販売しております。
上記の他4社が当事業部門に携わっております。
ダイセルが、アセテート・トウ、酢酸セルロース、酢酸誘導体、化粧品原料などを製造・販売しております。
連結子会社協同酢酸㈱が、ダイセルから原料の一酸化炭素およびメタノールの供給を受けて酢酸を製造・販売しております。また、同社はダイセルに酢酸を供給し、ダイセルが販売しております。
連結子会社Daicel ChemTech, Inc.、Daicel (Asia) Pte. Ltd.、Daicel (Europa) GmbHがダイセルの供給製品を海外において販売しております。
上記の他7社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ポリプラスチックス㈱、Polyplastics Taiwan Co., Ltd.、Polyplastics Asia Pacific Sdn. Bhd.およびDP Engineering Plastics (Nantong) Co., Ltd.が、ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチックを製造・販売しております。また、ダイセルが液晶ポリマー原料の無水酢酸をポリプラスチックス㈱へ供給しております。
連結子会社ダイセルミライズ㈱が、水溶性高分子、包装用フィルム、AS樹脂などを販売しております。
連結子会社ダイセルパックシステムズ㈱が、各種成型トレーなどを製造・販売しております。
上記の他31社が当事業部門に携わっております。
連結子会社ダイセン・メンブレン・システムズ㈱が、水処理用分離膜モジュールなどを製造・販売しております。
連結子会社ダイセル物流㈱が、グループ各社の製品、原材料の保管、運送を行っております。
上記の他5社が当事業部門に携わっております。
(注) 上記の他に2社あり、連結子会社Daicel (China) Investment Co., Ltd.が、中国におけるグループ会社の統括などを、連結子会社Daicel America Holdings, Inc.が、米国におけるグループ会社の統括などを行っております。
また、事業部門別の会社数は、複数の事業部門に携わっている会社については当該事業部門各々に含めて算出しております。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在においてダイセルが合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、確実性を保証するものではありません。
世の中が変化しても変えてはいけないダイセルグループが大切にする考え方を示すため、基本理念の表現を「価値共創によって人々を幸せにする会社 ~ Sustainable Value Together ~ 」と改めるとともに、新たにサステナブル経営方針を2020年度に定めました。
・Sustainable Product:人々の豊かな生活を実現する新しい価値を創造し提供します
・Sustainable Process:全てのステークホルダーとともに地球環境と共生する循環型プロセスを構築します
・Sustainable People:多様な社員が全員、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を進めます
私たちダイセルの経営方針の最上位にあるのが基本理念です。SDGs実現のために「サステナブル経営方針」を基本理念の直下に位置付けました。またこのサステナブル経営方針をProduct、Process、Peopleの3つの要素で実現します。この経営方針を具現化していくために、ダイセルグループで働くすべての役員、従業員の基本的な行動原則を再確認し、私たち一人ひとりが、あらゆる行動において常に意識し実践していく行動指針として「ダイセルグループ行動指針」、多様化するグローバル社会で存続するための必要条件であり、すべての企業活動領域で普遍的に適用する規範として「ダイセルグループ倫理規範」を定めました。そして、それを実現するための戦略が長期ビジョンと中期戦略になります。
ダイセルグループが変わらず大切にする思いとともに、今後大胆に変えなければならないことを、2020年度を開始年度とする長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』および中期戦略『Accelerate 2025』で明確にいたしました。2023年度には、さまざまな社会的変化の影響や交易条件など経営環境が大きく変化したことに伴い、必要なアップデートを行っております。
注力するドメイン
サステナブル経営方針の具現化に向け、以下の4つのトリガーと注力する市場で価値を提供し、人々の幸せの実現と、ダイセルグループの持続的な成長を目指します。
長期ビジョン実現への道のり
Operation-I(原ダイセル)では自社の現状の事業に加え、注力するドメインを含めた領域で、事業構造の転換とアセットライト化(徹底したコストダウン)を進めます。
Operation-Ⅱ(新ダイセル)では、既存事業の周辺領域でのM&Aや提携による領域拡大、既存事業の再編や合弁会社の抜本的見直しに取り組むとともに、グループ全体でのアセット・スーパーライト化を目指します。
Operation-Ⅲ(新企業集団)では、グループの枠を超えて、まず垂直統合方向のバリューチェーン(サプライチェーン)を強化し、その共通顧客に対する価値創造(共創)に取り組むとともに、同業他社や大学など、水平方向にも共創を拡大することで、より大きな価値の提供を目指します。
基本理念実現に向けて、以下の基本的な戦略に沿った取り組みを推進することで、既存事業の強化・成長による価値の提供と、「循環型社会構築への貢献」を目指します。
クロスバリューチェーン実現に向けた取り組みとしてバリューチェーンの垂直/水平方向との連携を推進し、新企業集団を見据えた、組織変更に対して柔軟に組み替え可能なバーチャルカンパニーの実現を図り、その基盤となるデジタルアーキテクチャの構築を進めます。
また、事業ポートフォリオとして「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」における価値提供型事業へシフトし、ビジネスユニット(BU)の特性に応じたKPIの設定とその進捗に応じた資源配分により、売上高、営業利益ともに「次世代育成」事業と「成長牽引」事業のシェアを高めてまいります。
[メディカル・ヘルスケア事業]
・新規腸内代謝物ベースの機能性食品素材(ウロリチン他)の展開
・CPI事業の中国、インドでの拡大
・DDS(ドラッグデリバリーシステム)や医療関連材料などメディカル領域の事業育成
[スマート事業]
・半導体市場への材料供給及び関連事業の拡大
・ダイセルビヨンド㈱の活用による高機能フィルムの拡大
・ドライコーティング技術による新事業創出
[セイフティ事業]
・生産地統廃合によるメリット拡大
・インド、ASEAN市場で連携し、リスクヘッジとシェアアップを両立
・中国企業との関係強化
・EV車向けの電流遮断器量産と中国・欧米での拡販
[マテリアル事業]
・アセテート・トウの加熱式たばこ向け販売増、増設なき増産
・カプロラクトン誘導体・エポキシ化合物の高付加価値用途への拡大
・酢酸セルロースの環境素材市場開拓
[エンジニアリングプラスチック事業]
・欧米市場で拡販(ポリアセタール樹脂(POM)・液晶ポリマー(LCP)の 欧米でのシェア10%)
・中国市場でのビジネス強化(中国企業への販売)
・環境ビジネス創出(リサイクル・バイオ原料使用製品の展開)
※発表時点の事業セグメントで記載しております。
また、ポリプラスチックスの完全子会社化に伴うシナジー効果を最大化するために、パフォーマンス・マテリアルズ事業本部を設置しており、さらなるグループ全体の樹脂事業の強化に取り組みます。具体的には、ポリプラスチックスのグローバル展開の加速(将来需要取り込みのための増産投資、欧米市場への拡販)、コストダウンシナジーの実現(ダイセル式生産革新の展開加速、間接部門の効率的運営)、グループシナジーの最大化(ポリプラスチックスのマーケティング力の活用、R&Dリソースの相互活用、触媒効率改善など既存事業の改善および改良)などに取り組み、2025年度までにEBITDAで300億円のシナジー効果を見込んでおります。
事業創出力の向上のため、R(Research:ユーザー目線によるシーズの掘り起こし)とD(Development:事業化力の強化)の自立を図り、Proactive IP(開発、事業化のアンテナ機能)、R、Dの相互作用による事業創出を目指してまいります。
生産(プロダクション)については、安全・品質のあくなき追求、究極のアセットライト、現場活躍の基盤強化を実践し、現場の力を結集してバーチャルカンパニーでパートナーに価値を提供することを目指します。
デジタルトランスフォーメーションについては、権限委譲を進める組織改革やそれに伴う働き方改革をサポートすることを主眼に、あらゆる業務領域へのAI、IoTの活用を進めてまいります。
人事については、多様な社員が存在感と達成感を味わいながら成長できる、変える!変わる!人事を目指してまいります。
中期戦略最終年度となる2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。
全社業績:
売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、
EBITDA 1,360億円
経営指標:
営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%、CCC 125日
株主還元 中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上
※2024年度より、配当をDOE(株主資本配当率)4%以上、総還元性向 40%以上に変更。
また、アセットライト方針に基づき、業容拡大期間においても総資産残高をキープしつつ、自己資本比率45%超、ネットD/Eレシオ 0.5以下を実現し財務安定性強化を図ることにより2026年3月末のバランスシートとして以下をイメージしております。
2026年3月末(ターゲット) (億円)
収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
世界経済は、景気の緩やかな持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、世界的な金融引き締めに伴う影響、中国経済の減速、ウクライナ・中東情勢の影響など、先行き不透明な状況のうちに推移しております。
このような環境の中、ダイセルの事業環境も不透明な状況が続いていますが、変化する事業環境、リスクに対応し、業績の向上、中期戦略実現に向けた取り組みを進めています。そして、安全・品質およびコンプライアンスの強化、現場の作業負荷の大幅低減を何よりも優先して推進しています。会社の持続的な成長の原動力である従業員一人一人の声に応えるとともに、投資や要員などの必要な経営資源を投入し、現場の安全確保や作業環境改善、製品の品質向上を図ります。
ダイセルでは、サプライチェーンの緊密な連携や、需要に応じた生産体制の構築などにより、販売機会を着実に捉えるとともに、プロセス革新による原燃料コストの抑制や、販売価格の適切な是正にも取り組んでいます。さらに、聖域を設けることなく全社のあらゆる領域において徹底したコストダウンを実践しています。
また、2020年に完全子会社化したポリプラスチックス株式会社とのシナジーによるダイセルグループ力の更なる強化、事業の選択と集中、投下資本の効率化やメリット実現を追求したROIC重視の経営推進など、収益拡大に向けた取り組みを進めています。
ダイセルは長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」において、「循環型社会構築への貢献」を目指す姿としています。「健康、安全安心、便利快適、環境」の4つの注力事業領域で、成長に寄与する研究テーマを探索、選定し、事業化を加速します。
そして、大学や他社との連携によるバイオマスプロダクトツリーやバイオマスバリューチェーンの構築を進めるとともに、生産革新、プロセス革新、エネルギー革新の組み合わせによるサプライチェーン全体でのエネルギー使用量の削減やエネルギー供給の最適化、CO2還元技術などの技術革新により、エコノミーとエコロジーを両立したカーボンニュートラル/ネガティブの実現を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、ダイセルグループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において判断したものであります。
経済の変調による需要の急激な減少や、他社の大型プラント建設による供給過剰などでの市場環境は様々な要因で影響を受け得る可能性があります。ダイセルグループの対面市場である自動車関連やIC半導体・電子デバイスの分野はマーケット環境の変化が激しくダイセル製品の販売価格のみならず販売量にも大きな影響を及ぼします。
その対応策としてダイセルグループでは新規用途・市場の開拓とともに、コストダウンの徹底など、販売数量・収益の確保の取組みを強化しております。
② 為替変動に係るリスク
為替相場の変動は、ダイセルグループの輸出入取引に係る交易条件、および海外グループ会社の業績の邦貨換算結果等に対して影響を与えます。
通常、円安はダイセルグループの業績に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼすと考えております。また、海外グループ会社においては、その所在国通貨と異なる外国通貨との為替相場変動により、業績等に影響を及ぼす可能性もあります。
これら為替変動に係るリスクに対して、先物為替予約取引などを用いてヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できるものではなく、経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
ダイセルグループの海外売上高比率は、2024年3月期において65.4%であります。また、ダイセルの試算では米ドル・円レートが1円変動すると、連結売上高で年間約23億円、連結営業利益で年間約9億円の変動をもたらすと算定しております。
ダイセルグループの主力製品の多くのものが直接あるいは間接的にメタノールを原料としており、そのため大量に購入をしております。その購入価格の上昇は業績に多大なる影響を与えるリスクがあります。また、メタノールは化学製品の原料という位置付けのみならず、近年はクリーンエネルギーとしての側面も持っており、世の中の環境問題への関心の高まりなどで、今後、化学業界の動向と関係ないところで価格に大きな影響を受けるリスクがあります。対応策として、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。
ダイセルグループは、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っております。しかしながら、経済全体のインフレ傾向や地政学的リスクの影響もあり原燃料価格の変動は続いており、今後もこの傾向は当面は変わらないと思われます。原燃料の高騰が続く場合には、上記の各種コストダウン施策に加えて、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図っております。
ダイセルグループは、引き続き積極的に海外事業を拡大しており、それに伴う、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人財の採用・確保の困難、テロ、戦争等による地政学的なリスクは増大していると考えられます。特に同じ事業を中国・アジア地域・欧米などで広域に展開している例も多く、そのために経済安全保障上の問題により事業展開に支障が生じる、あるいはダイセルグループ自体が違反に問われるリスクも存在していると考えております。その対策のため、ダイセルグループではサプライチェーンの体制の見直しを実施し、経済安全保障域内で供給体制が完結するようにするなどの取組みを進めております。
② 人財確保に係るリスク
ダイセルグループが事業の継続的な発展を実現するためには、経営戦略やグローバルな組織運営を担えるマネジメント能力に優れた人財の確保や育成、専門技術に精通した多様な人財の確保が重要な課題であると認識しております。
しかし、日本国内での少子高齢化や労働人口の減少、海外拠点での雇用環境の変化によって、必要な人財の確保・育成が計画どおりできなかった場合、長期的観点からダイセルグループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。
その対策としてダイセルグループでは、積極的な新卒採用や経験者の通年採用を展開し、公平な人事評価・処遇制度などの仕組みを構築することで、自律的に活躍する人財の育成、定着を図っております。また、次世代経営人財の教育プログラムでは後継者候補の育成にも取り組んでおります。
③ 物流に係るリスク
日本国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、働き方改革関連法における「時間外労働の上限規制」等の影響もあり運送ドライバーや荷役作業員の人手不足の拡大が予想され、物流費の高騰、ダイセルグループの製品の競争力の低下につながるリスクがあると認識しております。
その対策として、従前よりダイセルグループでは系列の物流専門の企業を持ち、グループ全体のガバナンスの中で効率的且つ合理的な輸送体制の実現に注力してまいりました。また2022年よりグループ横断の「物流改革プロジェクト」を設置し、他社連携やグローバル物流強化に向けた戦略の策定に取り組んでおります。2023年からは経産省及び国交省指導による、化学品ワーキンググループにも参画し、共同物流の具現化に向けて取り組んでおります。
ダイセルグループの主力プロダクトである化学製品は、高付加価値の高機能製品に注力しており、その原材料も品質規格が大変厳しく特殊なものが多いため、サプライヤーの数も限られます。一部の原材料については事業継続のため確保が必須でありながら、1社だけのサプライヤーに依存している例もあり、そのため新規調達先の確保や要因変更の対応に迫られるなどの原材料等の調達に係るリスクがあります。
対応策として、原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。
ダイセルグループでは、更なる事業成長を目指して、グループのシナジー効果が期待できる企業買収・資本提携等には積極的に取り組んでおります。
これらの投資について予期したとおりの成果が獲得できない場合、また事業環境等の急激な変化により事業計画に大幅な修正が生じた場合には、のれんの減損や投資損失が発生し、ダイセルグループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの重大な感染症については、感染拡大予防のために経済活動が制限された、あるいはダイセルグループや取引先で罹患者が大量に出た場合は、プラントの稼働低下や生産停止、サプライチェーンの分断などが発生し、ダイセルグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害に係るリスク
自然災害により重大な損害を被った場合には、ダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。特にダイセルグループの主要な生産拠点のひとつであるポリプラスチックス㈱富士工場は「東海地震に係る地震防災対策強化地域」内に立地しておりますが、東海地域のみならずどこでも巨大地震が発生し得ること、また想定したレベルをはるかにしのぐ広域災害が発生しうるリスクがあります。
対応策として、耐震強度補強など必要な対応は順次計画どおり実施しており、災害発生に備えた防災訓練や必要な物品の備蓄を適宜進めており、またサプライヤーの被災の影響による原材料供給不可・遅延が発生する可能性も考慮し、常日頃からサプライヤーとの情報交換を密にしております。
環境保全に対する社会要請の高まりにより、環境規制の強化が進んでおります。ダイセルグループの生産活動においてはその規制に関する法令を遵守するための設備投資を行ってまいりました。また、近年は化学製品自体の環境に与える影響も重視されてきており、ダイセルグループでは合成樹脂に関わる事業も多くあることから、環境規制により販売に影響を与え、ダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。
対応策として、環境にやさしい海洋での生分解性を飛躍的に向上させた天然素材「酢酸セルロース」の製品の普及に注力しております。世界規模の問題となっている海洋プラスチックごみ問題に対する有効な解決策となりうるものとして、この環境規制が厳しくなる状況「リスク」だけではなくむしろ「機会」としてとらえ取組みを強化しております。
気候変動に伴う異常気象等がダイセルグループの工場の操業やサプライチェーンに影響を与える物理的リスク、あるいは低炭素社会への移行に対応できずに原燃料価格や電力価格が上昇するリスクは、ダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。国内においては、2026年度から排出量取引制度(GX-ETS)の本格導入が公表されるなど、GHG排出に関する費用発生のリスクが高まってきていると考えております。
対応策として、生産プロセスの抜本的な見直しや新技術の導入、グループ全体のエネルギー使用最適化など、省エネルギーに努め、GHG(温室効果ガス)排出量の削減に取り組んでおります。また、バイオマスバリューチェーンの構築などを通じてカーボンニュートラルの実現を目指しております。
ダイセルグループが製造した製品に起因する損害が発生した場合には、ダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。特にB to Bのビジネスが主流であり、一般消費者に届くまでには何段階もの付加価値が付与される場合もあり、もし最終製品の回収が行われることになれば、大きな賠償責任を負う可能性もあります。
対応策として、製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保および不具合品の流出防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。
ダイセルグループは、化学品を扱う企業であり、火災・爆発等の産業事故災害が発生した場合には、被害は甚大になり、ダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。
対応策として、火災・爆発等の発災を想定したクライシスアセスメントの強化や、遠隔消化設備の導入など人的被害を最小限に抑制し発災時の対応を行うインフラ面の強化、保安防災活動への継続的な取り組みを実施しております。
ダイセルグループでは、既存事業の強化および新規事業創出のため積極的に研究開発活動を行っております。しかし、近年ますます技術革新のスピードは速くなっているので、計画どおりに新製品の開発ができなかった場合、事業化につながらなかった場合は、投下した研究開発費を回収できないといったリスクがあります。また、これらの研究開発体制の維持・強化のためには、高度な技術を持った人財の確保が不可欠でありますが、研究開発に限らずあらゆる分野で、人財が確保できないというリスクは顕著であり、ダイセルグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、研究テーマの選定や資源配分について経営次元での徹底した議論を行い判断を行うとともに、産学官共同研究、他社との協業などを通じて研究開発の効率を上げ、事業化に結びつけて行くよう取り組んでおります。また、多様な人財の確保やIT技術の活用も含めてグループ全体でリスク低減を図っております。
ダイセルグループは、「ダイセルグループの知的財産を保全するとともに、他者の権利侵害は行いません」とのダイセルグループ倫理規範のもと、知的財産関連情報の調査、知的財産権の取得・管理、適切な契約の締結・管理など戦略的な活動に取り組んでおります。しかしながら、ダイセルグループが第三者の知的財産権を侵害している等の予期せぬ警告や訴えを受ける、あるいは第三者に知的財産権を無断で使用されるおそれがあります。このような事態が発生した場合にはダイセルグループの業績に悪影響を与える可能性があります。
知的財産権に関しては、従前のように単純に模倣した、しないの話ではなく複雑なものになっていると考えており、第三者の知的財産権の事前調査(および尊重)を徹底しても予期せぬ警告や訴訟を受けるリスクは依然存在すると言わざるを得ない状況にあります。
対応策として、知的財産権の取得・管理・適切な契約の締結・管理などの戦略的な活動に積極的に取り組むことでそのリスクの低減を図っており、特に新製品や新技術の開発時に、先々のダイセルの事業展開を優位に進め、他社からの侵害訴訟をけん制するためにも競合相手の事業を意識した知的財産権の取得が重要と認識し、注力しております。
ダイセルグループは、国内外の法令遵守に努めております。しかしながらグローバル、かつ多様な分野で事業を行う中で、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。
また、ダイセルに限らず、訴訟を提起するのは他社だけでなく、自社グループの従業員や元従業員からも増えていることも認識しておく必要があると考えております。
裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、ダイセルグループの経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出し、または改ざんされるリスクがあります。
対応策として、管理体制の構築、従業員教育の実施およびIT技術動向の変化に応じたセキュリティソフトの導入・更新などを行っております。また、全社員を対象に「不審メール対応研修」などを実施しております。
近年、人権に係るリスクは大変重要になっており、人権の尊重はダイセルグループ内で徹底されていればよいのではなく、ダイセルグループ外にも求めていくべきものであると考えております。特に新興国を中心としたサプライチェーンにおける人権確保が重要になっており、人権侵害や児童労働等の事実が確認された場合、原材料調達および生産活動の遅延等に関するリスクが顕在化する可能性があります。
対応策として、ダイセルグループでも「ダイセルグループ人権方針」を定め、また人権に関するデューデリジェンスを定期的に実施するなどして、そのリスク低減を図っております。
ダイセルグループが自ら使用、または第三者に貸与する機械および装置、土地および建物などは、投資計画どおりに収益が得られず、投資額の回収が見込めないなど資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされております。当連結会計年度末において、有形固定資産および無形固定資産の帳簿価額の合計は3,197億円であり、想定した事業環境が大きく変わることによる減損のリスクがあります。固定資産の減損損失が発生した場合、ダイセルの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
投資計画の精度向上について、リスクアセスメントの方法の見直しなどに取り組んでおります。
2022年に、ダイセルグループ会社のダイセルミライズ株式会社が販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories Limited Liability Company(以下「UL」という。)の認証に関し、不適切な行為が判明しました。
本件不適切行為を受けて、ダイセルの独立社外監査役とダイセルと利害関係を有しない社外の有識者から構成される調査委員会を設置し、本件不適切行為の事実関係、ダイセル国内子会社でのUL認証に関連する類似案件の有無を調査するとともに、これらの行為の原因分析および再発防止策の提言等を委任し、2022年12月16日に同委員会からの調査報告書を受領しました。本調査報告書につきましては、ダイセルウェブサイト
(https://www.daicel.com/news/assets/pdf/20230110.pdf)にて公表しております。
同委員会からの再発防止策の提言を受け、改めて「安全」「品質」「コンプライアンス」をダイセルの「モノづくり」の基盤と位置付けるとともに、新たに、「ダイセルグループ行動指針」、「ダイセルグループ倫理規範」を定めるとともに、再発防止のための体制構築も進め、2023年4月1日付で、安全と品質に関する監査と取組み推進の機能を分離し、それぞれの機能を強化することを目的とした組織変更を実施しました。
有識者調査委員会からは再発防止に向けて受けた10項目の提言については、各々の項目の主管部門を中心に対策を検討・実施しており、その状況は適宜、取締役会にも報告されております。またこのような品質不正に関するリスクについては、グループ全体のリスク管理活動の整理に先立ち、安全と品質を確かなものにする本部が各工場の品質保証部門と連携して、着実なリスク棚卸の仕組みの構築を進めております。
また、調査委員会によるアンケート調査で確認されダイセルグループにおける品質不適切行為については、安全と品質を確かなものにする本部が中心となって、現時点で本行為が行われていないことおよび確実な再発防止が実施されていることの確認を進めております。
今後もダイセルグループの役職員全員が、今一度「モノづくり」の基本に立ち返り、信頼回復・再発防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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