住友ベークライト(4203)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


住友ベークライト(4203)の株価チャート 住友ベークライト(4203)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

住友ベークライトグループ(住友ベークライトおよび関係会社)は住友ベークライト、子会社51社および関連会社5社(2025年3月31日現在)で構成され、半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品の製造および販売等の事業活動を行っております。

住友ベークライトグループの事業における各社の位置付けおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。

 

2025年3月31日現在

区分

主要製品

サービス

主要な関係会社の位置づけ

製造・加工
およびその販売

他社品の販売

半導体関連材料

半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、感光性ウェハーコート用液状樹脂、半導体用液状樹脂、半導体基板材料

九州住友ベークライト㈱

Sumitomo Bakelite Singapore Pte.Ltd.

台湾住友培科股份有限公司

蘇州住友電木有限公司

Sumitomo Bakelite Europe (Ghent) NV

Sumitomo Bakelite (Thailand) Co., Ltd.

住友倍克(香港)有限公司

Sumitomo Plastics America, Inc.

Sumitomo Bakelite Europe (Ghent) NV

Sumibe Korea Co., Ltd.

高機能プラスチック

フェノール樹脂成形材料、工業用フェノール樹脂、成形品、合成樹脂接着剤、フェノール樹脂銅張積層板、エポキシ樹脂銅張積層板、航空機内装部品

秋田住友ベーク㈱

㈱サンベーク

山六化成工業㈱

SumiDurez Singapore Pte. Ltd.

SNC Industrial Laminates Sdn. Bhd.

P.T. Indopherin Jaya

上海住友電木有限公司

南通住友電木有限公司

住友倍克澳門有限公司

威派塑胶模具(東莞)有限公司

Durez Corporation

Sumitomo Bakelite North America, Inc.

Vaupell Holdings, Inc.

Durez Canada Co., Ltd.

Sumitomo Bakelite Europe NV

Sumitomo Bakelite Europe (Ghent) NV

Sumitomo Bakelite Europe (Barcelona), S.L.U.

Sumitomo Bakelite (Thailand) Co.,Ltd.

クオリティオブライフ関連製品

医療機器製品・医薬品、メラミン樹脂化粧板・化粧シート、ビニル樹脂シートおよび複合シート、鮮度保持フィルム、ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板、防水工事の設計ならびに施工請負、バイオ関連製品

秋田住友ベーク㈱

SBカワスミ㈱

住ベシート防水㈱

住ベテクノプラスチック㈱

北海太洋プラスチック㈱

筒中興産㈱

SBパックス㈱

P.T. SBP Indonesia

Kawasumi Laboratories (Thailand)Co., Ltd.

南通住友電木有限公司

東莞住友電木有限公司

Vaupell Holdings, Inc.

㈱ソフテック

西部樹脂㈱

Sumitomo Bakelite Singapore Pte.Ltd.

Sumitomo Bakelite (Thailand) Co., Ltd.

住友倍克(香港)有限公司

Sumitomo Plastics America, Inc.

Kawasumi Laboratories America, Inc.

 

 

区分

主要製品・サービス

主要な関係会社の位置づけ

分析調査等

その他

試験・研究の受託、基礎研究の受託

住ベリサーチ㈱

Promerus, LLC

 

 

 

 

 

事業の系統図(2025年3月31日現在)

 


(注) 矢印は製品および材料等の支給または販売を示しております。

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、住友ベークライトグループが判断したものであります。

 

(1) 会社の基本方針

我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

住友ベークライトグループは、社会・環境の急激な変化にも適応できるよう、これまで以上に経営基盤を強化するとともに、社会課題の変化を成長機会に結びつけることで将来につながるサステナブルな経営を推進するべく、2021年度から3か年の中期経営計画に取り組んでまいりました。2023年度は、2022年度に上方修正しました数値目標(売上収益3,000億円、事業利益300億円、ROE10%)には届きませんでしたが、過去最高益の事業利益274億58百万円を達成しました。

これまでの3年間の総括を踏まえ、2030年ありたい姿からのバックキャストにより、2024年度から2026年度の新たな中期経営計画を策定するとともに、経営の重要課題(マテリアリティ)についても見直しを行いました。その骨子は、次のとおりであります。

 

2030年
ありたい姿
(数値目標)

事業利益   :550億円

事業利益率  :13%

ROE    :10%

ビジョン

お客様との価値創造を通じて

「未来に夢を提供する会社」

中期方針

“ニッチ&トップシェア”を目指し、
価値創造につながるポートフォリオ改革に挑戦する

中期戦略

①製品構成を最適化し、既存事業の収益力を強化

②SDGsに則した環境的・社会的価値を有する

新商品/新ソリューションを創出

③個人の自律性と組織の一体感を高め、全社力を最大化

2026年度
数値目標
(中期経営計画
最終年度)

事業利益  :400億円

事業利益率 :11.5%

ROE   :9%

 

 

経営の重要課題

(マテリアリティ)

環境・社会価値の創造

「価値創造のアクセル」

顧客との共創、人的資本(人材の活躍)経営、イノベーション、DX

「事業を継続する基盤」

安全衛生、製品責任、コンプライアンス、サイバーセキュリティ、

人権尊重、サステナブル調達、コーポレート・ガバナンス

 

 

新たな中期経営計画の初年度である2024年度における事業分野別の取り組みは次のとおりであります。全社取り組みの詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(半導体関連材料)

回復、成長が見込まれる半導体市況を見据え、中国および台湾の新生産ライン増設により封止材のグローバル供給体制を強化して拡販を進め、グローバルシェアのさらなる拡大を目指します。研究開発においては、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)やパワーデバイスをはじめとする次世代半導体向けの材料開発や環境対応の推進を目的に、社外協業・共創の場となるオープンラボの拡充を図ってまいります。モビリティ分野におきましては、従来の戦略3製品(モーター磁石固定用封止材、ECU/TCU一括封止材、パワーモジュール用封止材)にステーター絶縁層・コイル封止材を加え、モビリティ戦略3+1製品と位置づけ、新生産拠点の本格稼働やオープンラボの拡充を通じてグローバル展開を加速します。

 

(高機能プラスチック)

グローバル視点での生産拠点の最適化、ならびにスマートファクトリー化推進による生産性向上等により、既存領域の製品の収益力強化を図るとともに、電動車(バッテリー、e-Axle、各種電動パーツ)、半導体関連(レジスト、パワーモジュール、センサー)、航空機(内装材)等の強化領域向けの高付加価値製品へ製品ポートフォリオ改革を推進します。また、循環型社会へ適応すべく、バイオマス製品の拡大に加え、熱硬化性樹脂のリサイクル技術の開発を推進し、早期の社会実装を目指すとともに、中長期的には他製品への応用展開につなげてまいります。

 

(クオリティオブライフ関連製品)

・医療機器事業およびバイオ事業

営業効率の向上や製品ラインナップの拡充など、引き続き、SBカワスミ株式会社との医療機器事業の統合によるグループシナジーの最大化を図ってまいります。強化領域(血管内、消化器、内視鏡領域)の製品ラインナップ拡充とあわせ、グローバル戦略として、主力製品の低侵襲医療機器、血液バッグ等については、それぞれ欧米、アジア地域への拡販を加速します。また、2024年2月に出資しました、医療機器に特化したベンチャーキャピタルファンドを活用し、スタートアップを含めた外部との協業機会の増加、新規事業の創出にも積極的に取り組んでまいります。バイオ事業においては、事業規模拡大を目指し、主力製品に加え、細胞・遺伝子治療支援製品の拡販とともに、新製品と位置づけている創薬支援用生体模倣システムの実用化を目指し、事業開発を推進してまいります。

・フィルム・シート事業

半導体関連製品のアジアへの展開強化、モノマテリアル医薬品包装製品の欧州への展開等、高シェア製品のグローバル展開を進めます。また、食品ロス削減への貢献が期待される食品包装用スキンパックの市場認知度の向上や、新たな環境対応製品の市場投入にも取り組みます。スマートファクトリー化による生産性向上を継続し、収益力の強化も図ってまいります。

・産業機能性材料事業および防水関連事業

高付加価値の機能材製品であるアイウェア、車載向け光学制御製品、および電動車向け絶縁シートを軸とした高収益ビジネスモデルへの転換とあわせ、グローバル展開による拡販を推進します。防水関連では、急増するリフォーム物件の取込み、太陽光発電向け防水部材の拡販等により、住宅領域での事業強化に取り組んでまいります。


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

 

(1) 住友ベークライトグループのリスクマネジメント体制

 住友ベークライトグループのリスクマネジメント体制は次のとおりであります。

[サステナビリティ推進委員会]

住友ベークライトグループのサステナビリティ活動を継続的かつ全社的に行う母体として設置しています。下部委員会であるリスクマネジメント委員会の方針・計画・実績・外部公表する項目および数値について承認し、これらを取締役会に報告しています。

[リスクマネジメント委員会]

住友ベークライトグループの経営成績等に重要な影響を与える主要リスクの選定、主要リスクの対応策の妥当性確認、追加検討すべき対策についての指示などを個別リスク主管部、各事業部門に対して行っています。

リスクマネジメント委員会の委員は、社長、事業統轄役員、個別リスク主管部の長で構成されています。2023年度は3回開催されました。

[個別リスク主管部]

総務本部・人事本部・経理企画本部・生産技術本部・研究開発本部・IT推進本部・調達本部などの個別リスク主管部は、所管するリスクについて、住友ベークライトグループの各事業部門と連携を取りながら、住友ベークライトグループ全体の対応策を立案・推進しています。

[各事業部門]

住友ベークライトグループの営業部門、工場、研究開発部門などの各事業部門は、本来業務の一部として、自部門、自社の業務遂行上のリスクを適切に管理するためにさまざまな対策を講じています。

 

 

 

●リスクマネジメント体制図

 


 

なお、上記のほか、住友ベークライトグループは、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの企業統治体制を整え、リスクマネジメントを含む内部統制システムを整備・運用しております。

 

住友ベークライトグループにおける主要リスクの選定・承認は年1回実施しており、そのプロセスは次のとおりであります。

・リスクマネジメント委員会は、各事業部門・個別リスク主管部の統轄役員から「主要リスク抽出質問票」(リスクの内容と当該リスクが顕在化した場合の影響、発生可能性、影響度、現状とっている主な対応について、事業部門・個別リスク主管部としての評価を記入)の回答を収集。また、社長からのヒアリングを実施。

・「主要リスク抽出質問票」で抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性をもとに算出したリスク指数が高いものを主要リスク候補として、リスクマネジメント委員会にてリスクマップの作成、主要リスクの選定・承認、主要リスクに対する次年度の対応計画への反映を実施。

・サステナビリティ推進委員会は、選定された主要リスクおよび主要リスクに対する対応計画を承認し、取締役会に報告。

 

●主要リスクの選定・承認フロー


 

■  発生可能性のレベル選択の目安

レベル

発生可能性のレベル選択の目安

1) 発生可能性-低

100年に1回程度~10年に1回程度

2) 発生可能性-中

数年に1回程度~年に1回程度

3) 発生可能性-高

年に複数回以上

 

 

■  影響度のレベル選択の目安

レベル

影響度のレベル選択の目安

 (下記の複数が当てはまる場合は、一番影響度のレベルが高いものを選択)

金銭的影響

人命

評判(レピュテーション)

稼働への影響

1)影響度-小

~5,000万円

・医師の手当てが必要な

 傷病者が発生

・日常の管理で解決する

・1拠点に限り数日程度

  の稼働に影響

2)影響度-中

5,000万円~

10億円

・入院が必要な傷病者が

 発生

・マスメディアやWEB媒

  体に(悪い意味で)小さ

  く取り上げられる

・一部の取引先や消費者

  の信用を失う

・1拠点に限り数週間の

  稼働に影響

・複数拠点で数日程度の

  稼働に影響

3)影響度-大

10億円~

・死亡者が1名以上発生

・傷病者が多数発生

・マスメディアやWEB媒

  体に(悪い意味で)大々

  的に取り上げられる

・取引先や消費者の信用

  を著しく失う

・1拠点に限り数ヶ月以

  上稼働に影響

・複数拠点で数週間の稼

  働に影響

 

 

 

(2) 主要リスクの内容と顕在化した際の影響、主要リスクへの対応策

本報告書に記載した住友ベークライトグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要リスクには、下記のものがあります。ただし、これらは住友ベークライトグループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の各注記、その他においても個々に記載しておりますので、併せてご参照ください。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において住友ベークライトグループが判断したものです。

 

      主要リスクとして挙げた各リスク項目のリスクマップ上の位置

 

発生可能性

影響度

・法令および規制への対応

・製品の品質

・ 災害・事故・パンデミック

・ 地政学リスク

・ 情報セキュリティインシデント

・ 環境負荷低減対策(気候変動対応を含む)

 

 

 

・ 原材料の供給問題、価格変動

・ 人的資本リスク

 

 

 

 

 

 

1.災害・事故・パンデミックについて

発生時期:不定

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・住友ベークライトグループでは、想定される災害・事故等のうち「地震」「爆発・火災」「風水害」「パンデミック」を重大事態と位置付けております。特に近年、気候変動による大型の「風水害」や、新型コロナウイルス感染症に代表される世界規模の「パンデミック」が現実の事態となっており、住友ベークライトグループのみならずサプライチェーン全体への影響を考える必要があります。

・これらの事態が発生した場合は、近隣住民・従業員の人的被害、施設・設備の損壊や電気・ガス・水道・通信機能の停止により、製品の供給を継続できない状況が発生する恐れがあります。また、顧客・調達先・物流の機能停止によるサプライチェーン分断により、事業活動の継続性が確保できない可能性があります。これらの結果、多額の損害賠償の請求を受けるなど、経営成績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

[ リスクへの対応・機会 ]

住友ベークライトグループでは、災害・事故等の発生時の事業の継続性を確保するためBCP(事業継続計画)を策定し、必要に応じて関係先と共有しております。また、減災対応や持続性確保として、これまでも適正在庫の確保、国内外事業所での生産体制の二重化、予備品の増強や復旧体制の制度化といった対策を行ってきました。なお、東日本大震災の際には、宇都宮事業所の建屋や設備の一部に損壊がありましたが、このBCPに従った行動で住友ベークライトグループにおける被害を最小限に抑えることができました。

一方で、住友ベークライトグループでは、気候変動の影響や科学技術の進歩により、災害・事故等の発生頻度や影響の大きさ・範囲は、毎年変化するものであると認識しております。最新の情報を踏まえてこれらの対策の妥当性を毎年検証し、今後もBCPの見直しおよび訓練を実施してまいります。

調達先各社の協力を得て実施しているサプライチェーンの上流におけるBCP確認と追加対応策の検討については、後述の「7.原材料の供給問題、価格変動について」のリスクへの対応・機会欄に記載のとおりであります。

・また、上記災害のうち、住友ベークライトグループの要因で引き起こされる可能性のある「爆発・火災」については、国内外の事業所で発生したヒヤリハット情報も取り込み、原因解明・対策立案・住友ベークライトグループ全体への対策展開を進めております。日本国内で導入されている爆発・火災事故に直結する機器への異常予兆管理システムを海外事業所へ展開中です。

・新型コロナウイルス感染症への社内の対応については、本社に緊急対策本部と対策事務局を設置し、感染状況に応じた対策を検討し、都度通知文を発信するなど柔軟に運用いたしました。また、これらの運用を踏まえて「全社『新型感染症』対策マニュアル」の見直しを適宜行っております。関係会社においても、このマニュアルを参考に、所在国の法令・規制や就業規則の違いなどを考慮した上で、それぞれ対策体制、行動計画等を策定しました。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、BCPの整備・運用、生産体制の二重化、サプライチェーンのBCP対応が重要視されております。このため、上述のようなBCP対応を充実化させることは住友ベークライトグループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

2.地政学リスクについて

発生時期:不定

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・米中貿易摩擦、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの国際関係の変化を背景に、各国の経済安全保障政策が強化され、最先端技術の国外流出を阻止するための法規制や、制裁・法規制の対象となった企業との輸出入取引や資金決済が停止となる可能性があります。これらの情勢変化や政策に適切に対応できない場合、刑事罰や行政罰や民事訴訟、さらにブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。また、戦争・紛争が発生した場合には、住友ベークライトグループ社員の人命・資産が脅かされることに加え、物流・調達・インフラの寸断により事業継続に支障をきたす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・戦争・紛争テロ・暴動等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、従業員の安全確保を最優先としつつ、事業継続や情報管理の観点も考慮した海外拠点の危機管理マニュアルの整備、実効性の強化を進めております。

・輸出入規制や経済制裁、物流・調達・インフラの寸断の影響を軽減、極小化するため、輸出入規制や経済制裁などの情報収集、マルチファブ化やマルチソース化を進めております。

 

 

 

3.情報セキュリティインシデントについて

発生時期:不定

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・近年、サイバー攻撃は巧妙化、高度化しており、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。住友ベークライトグループがサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、取引先等への補償などの費用発生により、住友ベークライトグループにおける経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・住友ベークライトグループでは、情報セキュリティインシデント発生に備えた組織横断的機関である「SUMIBE-CSIRT」を設置し、定例会議などを通してトピックスの共有、情報セキュリティ事故発生を未然に防ぐための対策策定、事故発生時の対応手順の整備を行う一方で、有事の際には経営層を含めた対応や外部セキュリティ関係機関との連携を行う体制としております。

・情報セキュリティインシデントを予防するための具体的な取り組みとしては、不正攻撃の標的となる脆弱性への対応の徹底、セキュリティ対策製品の導入によるリスク検知、外部セキュリティ企業とも連携したサイバー攻撃の常時監視、外部機関によるセキュリティ評価等の対策を行っております。さらに、日本シーサート協議会やサイバー情報共有イニシアティブ(J-CSIP)等、サイバー攻撃に関する情報共有や対応強化を行う外部団体に参加し、積極的な情報入手を図っております。引き続き、外部セキュリティ企業支援のもと、グローバルで連携したインシデント対応体制の確立を進めていきます。

・また、差し迫るサイバーリスクに対しては、適宜住友ベークライトグループ内に注意喚起を発信、また国内外の全役員、従業員を対象に、サイバーリスクのトレンドを踏まえた情報セキュリティ教育を定期的に実施する等、情報セキュリティインシデントへの予防強化と情報セキュリティへの意識向上に取り組んでおります。セキュリティインシデント発生時の被害の最小化と早期復旧を図るべく、社内でのインシデント発生訓練に加え、外部団体との合同訓練にも参加する等、体制の強化にも取り組んでおります。

 

・社内セキュリティ人材の強化策として、国家資格である「情報処理安全確保支援士」の取得を進めており、2024年3月末時点で情報システム部門に所属する人員のうちの約10%がこの資格を有しております。また、日本国外の拠点におけるセキュリティ人材配置・育成も進めていきます。

近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような情報セキュリティ管理体制の整備・運用が重要視されております。このため、上述のような情報セキュリティ管理体制の整備・運用の維持改善をすることは住友ベークライトグループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

4.環境負荷低減対策について(気候変動対応を含む)

発生時期:中長期

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言、2030年度に温室効果ガス(GHG)の46%削減(2013年度比)が表明された後、2021年のCOP26では1.5℃目標に向かって世界が努力することが合意され、さらに2023年のCOP28では1.5℃目標達成のための緊急的な行動の必要性が明記されました。地球規模での気候変動問題に対して、企業においても緊急的な行動が求められています。温室効果ガス排出規制の強化、カーボンプライシングなどが具体的なリスクとして考えられますが、これらの対策が遅れている企業は市場から淘汰されていくリスクがあると認識しております。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・2050年に向けたカーボンニュートラルの達成は、有機化学産業に属する住友ベークライトグループにとっての重要課題と認識しております。住友ベークライトグループは、気候変動への取組み強化を進める中で「環境ビジョン2050(ネットゼロ)」を掲げ、2021年6月には、2030年目標として「温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+2)46%以上削減(2013年度比)」を、2050年目標として「カーボンニュートラルに挑戦」を設定し、各種排出量削減の取り組みをしております。その結果、2023年度の排出量実績が目標を上回る47%削減を達成する見込みとなりました。

 これを受けて基準年を見直し、1.5℃目標に準じた2030年目標を新たに設定し、Scope1+2のGHG排出量削減目標を、従来の2013年度比46%削減から2021年度比48%削減(2013年度比57%削減)に更新しました。Scope3のGHG排出量削減についても、削減目標を設定し、サプライチェーンとの協力により削減の取り組みを加速してまいります。

・上記のGHG排出量削減の2030年度目標の前倒しでの達成は、2022年1月から開始した再生可能エネルギー由来の電力への切り替え拡大をはじめ、太陽光発電の導入拡大、プロセス効率改革活動を推進してきたことが寄与しております。

・環境負荷低減については、住友ベークライトグループは、長年にわたり継続して取り組んでいるレスポンシブル・ケア活動の一環で、環境負荷低減対策にも積極的に取り組んでまいりました。経営トップを長とするサステナビリティ推進委員会およびその下位委員会であるカーボンニュートラル推進委員会において、GHG削減や省エネルギーの目標の策定、進捗管理、モニタリングを行っております。

・環境負荷低減に必要なイノベーション技術の開発については、社内開発はもとより、産学官連携プログラムや産業界プロジェクトに積極参画し、遅滞ない開発を目指してまいります。技術的なイノベーションをより計画的に進めていけるよう、2035年までの全社環境開発ロードマップの策定も行いました。

・気候変動は住友ベークライトグループにとってリスクである一方で、機会としても捉えております。住友ベークライトグループとして設定したSDGs重点項目(気候変動含む7項目:SDGs目標3、7、8、9、12、13、14)を設定し、SDGs貢献製品の2023年度売上収益比率50%以上を目標に取組んでおります。2023年度売上収益比率は61.3%の見込みであり、2023年度目標を大幅に上回る見通しです。これを受けて、新たに中期目標としてSDGs貢献製品の売上収益比率を2026年度65%以上と設定しました。

・リスクマネジメント委員会では、TCFDタスクチームを設置し、住友ベークライト主要事業についてシナリオ分析を行いました。EVを中心とした自動車関連製品、半導体関連製品、常温保存や鮮度保持機能を有する食品包装用高機能フィルム等が「機会」になると見込んでおります。また機会に関連して、使用する原料や製品の廃棄について、資源循環(3R+Renewable)の観点からケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル技術の確立、バイオマス原料の活用が不可欠と認識しており、早期の戦略立案とその実行に努めてまいります。

・これらの活動の状況と結果は統合報告書やCDP(カーボンディスクロージャープログラム)他を通じ継続的かつ積極的に外部発信してまいります。

 

 

 

 

5.法令および規制への対応について

発生時期:不定

発生可能性:低

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・住友ベークライトグループはグローバルに事業活動を展開しており、日本および諸外国において、様々な分野にわたる広範な法令および規制に服しております。このうち、機能性化学品メーカーである住友ベークライトグループの事業内容に密接に関わる法令および規制としては、化学物質規制、廃棄物・排水・粉塵の排出に係る規制などがあります。例えば、化学物質規制に関しては、POPs条約への規制物質追加に伴う日本の化審法の第一種特定化学物質が増加予定、欧州REACHやCLPに改正の動きなど、世界的に大きく変化しています。これらの法令や規制の変更に対しては、新たな対策コストが発生する可能性があります。

・また、万一住友ベークライトグループが現在または将来の法令および規制を遵守できなかった場合には、刑事罰・課徴金・民事訴訟による多額の損失発生、信用失墜などにより経営成績等への悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・住友ベークライトグループは、事業活動を進めるにあたって、法令および企業倫理を順守することが極めて重要であると認識し、コンプライアンス重視の経営を推進しております。住友ベークライトグループのコンプライアンス違反リスクの極小化、コンプライアンスのための仕組みづくりの推進、コンプライアンス意識の啓蒙活動の推進を行うため、「コンプライアンス委員会」を設置しております。2023年度は、コンプライアンス委員会を1回開催し、内部通報制度の実効性や対応の妥当性の確認などを行いました。

・総務本部(贈収賄・競争法・安全保障貿易管理コンプライアンスなど)、人事本部(労務コンプライアンス)、生産技術本部(化学品規制・排出規制・安全衛生コンプライアンスなど)、研究開発本部(知財コンプライアンス)、経理企画本部(会計・税務コンプライアンス)などの個別リスク主管部は、住友ベークライトグループの各部門と連携を取りながら、社内ルールなどの仕組みづくりや教育の実施、事業部門への指導・支援を適宜進めております。例えば、上記で例示した化学物質規制への対応に関しては、住友ベークライトグループでは各国の最新の化学物質規制への対応もキャッチアップ可能な化学物質管理システムを運用・維持管理することにより、各国の法規制に対する抜け漏れを防ぎ、リスクの低減に努めております。

・住友ベークライトの監査室、生産技術本部、総務本部等の内部監査を担当する部署では、「内部統制システム構築の基本方針」「内部監査規程」「財務報告に係る内部統制基本規程」「モノづくり監査規程」「安全保障輸出管理規程」等に基づき、住友ベークライトおよび海外を含む関係会社を対象として、実地での往査と被監査部門での自己監査結果の点検による書面監査を適宜組み合わせて監査・評価を行っております。監査・評価は、各部門における業務の適法性および各種基準への適合性の観点からモニタリングを行っており、発見され指摘事項として挙げられた不備については、当該部門に対して書面による是正報告を求めております。2023年度のコンプライアンス状況については、環境、人権、労働、安全衛生、製品・サービスの提供や使用、顧客情報やデータの管理、適切な会計処理、公正な取引などの観点でこれらの監査・評価を行った結果、法令や規則に対する重大な違反はありませんでした。

 

・住友ベークライトグループでは、コンプライアンス違反の早期発見・未然防止を図るため、コンプライアンス違反またはそのおそれを知った場合に、社内窓口(監査室長)または社外窓口(弁護士)に通報できる、内部通報制度(住友ベークライトグループでは「コンプライアンス通報制度」と称しています。)を導入しております。住友ベークライトグループの役員、従業員だけでなく、住友ベークライトグループのステークホルダー(退職者、採用応募者、取引先を含む)も通報することが可能です。通報者のプライバシーを厳重に保護するとともに、通報により通報者が不利益を被らないよう必要な措置を講じております。また、住友ベークライトグループ共通の「コンプライアンス通報制度」に加え、関係会社によっては、所在国の法令上の要求や会社の規模などを考慮した上で独自の内部通報制度を設置しております。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような法令・規制への対応、コンプライアンス体制の整備・運用が重要視されております。このため、上述のような法令・規制への対応、コンプライアンス体制の整備・運用の維持改善をすることは住友ベークライトグループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

6.製品の品質について

発生時期:不定

発生可能性:低

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・住友ベークライトグループの製品は、自動車・航空機・医療機器・電子材料等の直接・間接に人命に関わる用途にも使用されております。そのため、大規模な製品事故が発生した場合、顧客に損害を与えたり、社会に悪影響を及ぼしたりする結果、損害賠償やリコール等で多額の費用負担が発生するばかりでなく、住友ベークライトグループに対する信用失墜により、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

・また、科学技術の進歩や顧客市場や使用方法の変化により、上市後に顧客等から求められる品質管理水準が高くなり、予期せぬ品質問題が生じることもあります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・住友ベークライトグループは国際的な品質管理基準(ISO 9001のほか、製品の用途に応じてIATF 16949(自動車部品)、ISO 13485(医療機器)、AS9100(航空宇宙産業)など)に準拠した品質マニュアルに従い、各種製品の設計管理から製造・販売までの一貫した品質管理体制をとっております。

・住友ベークライトグループでは、有資格者による内部監査や外部監査による現地品質監査により、品質管理状態の検証を年1回行い、各所で抽出された懸念事項を全社で共有して改善する活動を進めるとともに、FMEA、FTAという手法を用いた潜在的品質リスクの洗い出しとその低減対応を行うなどの改善活動を行っております。変更管理、初動管理には特に注意を払った活動を行っております。直近では、海外関係拠点のマザー機能を有する国内主要4拠点においてAI/IoT技術を駆使した人的変動要素の排除とトレーサビリティの強化を行っており、現在、海外主力5工場への展開を進めております。

・また、住友ベークライトグループでは国内外の全事業所で発生した品質問題について直ちに共有し、一元管理するシステムを構築して、対応の遅れが無いよう逐次監視すると共に、品質問題の初動対応と被害拡大防止、発生と流出防止の対策が効果的であるかの検証を行っております。

・すべての製品に完全に不良や欠陥が無いこと、および将来にわたって全く品質クレームやリコールが発生しないことまでは保証できませんが、これらの取り組みにより、安心して使用できる製品提供に努めてまいります。

・顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような国際的な品質管理基準に沿った品質管理体制の整備・運用、認証の取得などが重要視されています。このため、上述のような品質管理体制の維持改善をすることは、住友ベークライトグループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

7.原材料の供給問題、価格変動について

発生時期:短期

発生可能性:高

影響度:中

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・長引く景気後退による需要減によりサプライヤーが減産、事業縮小、撤退など事業ポートフォリオを見直す動きが増えてきています。その結果、川上原料が入手困難になり廃番などのリスクも増えてきております。各地の紛争等の地政学要因、気候変動、地震など自然災害などによる供給問題、また、物流の2024年問題や法令改正・環境規制の強化による供給不安、円安、原油・非鉄金属などの相場に連動した価格の高騰が起こる可能性があり、そのような場合には、売上減少や収益性の悪化、事業の継続に支障が生じる可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・住友ベークライトグループでは安定調達を第一に考え、重要原料につき調達先の複数化、適正在庫の確保などによりリスクの低減に努めております。日本国内から調達している重要原料の調達先約100社については、水害・地震・火災・パンデミックなどのBCPについて調達先との協議を重ね、対策実施あるいは計画作成まで完了しました。欧米や中国から調達している重要原料の調達先約80社についても、代替品や安全在庫3ヶ月分以上の確保に向けた対応を進めております。また、新規原材料の採用にあたっては、BCP対策有無の確認に加え、現在製造や流通が禁止されている物質だけではなく、将来的に製造や流通が禁止される蓋然性の高い物質を含まないことを採用の基準の一つとし、リスク低減を図っております。

・植物や鉱物などの天産物由来の原料については、地域が変わることによって生じる組成や成分の違いをコントロールする技術開発にも継続して取り組んでおります。

・主要原材料の価格変動については顧客と協議の上、フォーミュラ制(原料価格変動分を製品価格に自動反映)を適用することも進めております。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、サプライチェーンのBCP対応が重要視されております。このため、上述のような対応を充実化させることは住友ベークライトグループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

8.人的資本リスクについて

発生時期:中長期

発生可能性:高

影響度:中

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・下記により、事業活動の継続性が確保できず、住友ベークライトグループにおける経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

- 少子高齢化による労働力人口の減少により、必要な人材の確保・維持ができない

- 未来予測が困難な時代に即した柔軟な組織マネジメントができない

- DX推進に必要な人材が確保できない

- キーパーソン・有能な社員の離職転職、人材採用の遅滞による重要業務の停止・停滞・遅延

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・DE&Iを推進することにより、多様な人材の活躍によるイノベーションを創出します。未来の予測が困難な時代においては、多様な視点を持つ人材が異なる意見を持ち寄り柔軟な発想で対応することが必要です。女性の活躍推進、介護や障がい等で就業に制約がある社員や、文化的背景が異なる外国人、LGBTQの方など、多様な人材が活躍できる会社にしていきます。

・マネジメント教育の充実、360°評価を用いた教育の拡大により、マネジメント層のリーダーシップを強化することで、個人および組織のパフォーマンスの向上につなげていきます。

・人材確保だけでなく、DE&Iの観点からも、新卒+キャリアのハイブリッド採用を推進していきます。

・データサイエンスの活用および全社的なDXをさらに推進するため、関連する教育講座を増設するとともに、褒賞制度も含めたデータサイエンティスト社内認定制度を導入しています。認定者以外にも、各種教育を通じてプログラミングやデータ分析技術に精通し、課題解決が可能な「データ活用人材」の輩出を目指します。

・エンゲージメントサーベイによる科学的な分析結果をもとに、必要な施策をとり、従業員のエンゲージメント向上によるパフォーマンス向上を図ります。

 

 

 

なお、「第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営の重要課題(マテリアリティ)と主要リスクとの対比は次のとおりであります。

 

経営の重要課題(マテリアリティ)

主要リスク

環境・社会価値の創造

環境負荷低減対策(気候変動対応を含む)

価値創造のアクセル

 

顧客との共創

人的資本(人材の活躍)経営

人的資本リスク

イノベーション

DX

人的資本リスク

事業を継続する基盤

 

安全衛生

災害・事故・パンデミック

製品責任

製品の品質/法令・規制への対応

コンプライアンス

法令・規制への対応

サイバーセキュリティ

情報セキュリティインシデント

人権尊重

法令・規制への対応

サステナブル調達

原材料の供給問題、価格変動について/災害・事故・パンデミック/地政学リスク

コーポレート・ガバナンス

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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