サスメド(4263)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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3 【事業の内容】(1) ビジネスモデルの概要サスメドは、「ICT(※1)の活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」をミッションに、医薬品、医療機器に次ぐ第三の治療法として注目されている「デジタル治療(Digital Therapeutics、以下「DTx」といいます。)」の開発を中心として事業展開を行っております。また、DTxの開発にあたって独自に構築した臨床試験システムを汎用化し、製薬企業、学術研究機関、医療機関、医薬品開発業務受託機関(Contract Research Organization、以下「CRO」といいます。)等の第三者へ提供することで業界全体での創薬プロセスの効率化を、加えて、世の中に膨大に蓄積されている医療データの利活用を目的として開発した機械学習による自動分析システムを製薬企業、学術研究機関等へ提供することで効果的・効率的な医療サービスの実現を目指しております。サスメドのセグメントは①治療用アプリ開発を行う「DTxプロダクト事業」、②汎用臨床試験システムと機械学習自動分析システム並びにこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」の2つとなります。なお、「DTxプロダクト事業」のうち、不眠障害用アプリについては、2023年2月に厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、また2025年9月に厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得しております。 (ビジネスモデルイメージ図) (2) 医薬産業を取り巻く現状と課題2015年9月の国連サミットにおいてSDGs: Sustainable Development Goalsが採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するための目標が掲げられました。SDGsの目標の中の1つに「すべての人に健康と福祉を」という項目が挙げられており、「持続可能な医療」が世界的にも求められております。一方で国内に目を向けると、2023年度の医療給付費は45.6兆円、GDPの7.6%に相当する規模まで拡大しております(出典:国立社会保障・人口問題研究所「令和5年度 社会保障費用統計」)。この医療費の伸びは高齢化の進行によって医療を必要とする人口が増加したこと及び長期の療養が必要になる慢性疾患が増加したことに加えて、高額な医薬品の普及など医療の高度化による影響も強く受けております。慢性疾患への対応では、DTxと呼ばれる新しい治療法が、コストを抑えながら適切な医療を患者に提供する手段として注目されております。DTxは、スマートフォンのアプリケーションなどの形態をした、ソフトウェアによる治療手段で、規制当局の承認を得た科学的根拠に基づく医療機器である、という点で一般的なヘルスケアアプリケーションとは異なります。DTxでは、患者の医療へのアクセスが通常の医療と比べて容易になり、加えて医療機関外での活動データの蓄積が可能となることから、「治療中断率が高い」「適切/適時/適量の治療介入が行えず、結果として療養が長期にわたる」という慢性疾患特有の課題解決につながることが期待されておりますが、ようやく導入期に差し掛かった段階にあります。 (治療用アプリの立ち位置) (治療用アプリと一般的なヘルスケアアプリの違い) 一般的に有体物である医薬品や医療機器では、非臨床試験(※2)として、人体への投与・使用の可否判断を目的とした動物実験等の生物医学的試験の実施が必要となりますが、治療用アプリでは、それらが省略できるほか、医療機器承認後の製造過程においても、ソフトウェア自体が製品となるため製造設備が不要である、工程管理や品質管理が比較的容易であるなど、開発コスト、開発期間、販売後の収益性といった多くの面で大きくリスクが低減できます。 (治療用アプリ開発のプロセス:コストと期間) 医療の高度化に関しては、近年、新しい医薬品・医療機器の開発コストが高騰し続けており、グローバルの大手製薬企業から収集したデータによる推計に基づいて医薬品の開発コストを一剤当たりで比較すると、1990年代に3億1千8百万ドルだったものが2010年には17億7千8百万ドルと5倍以上に膨れ上がっております(出典:医薬産業政策研究所「製薬産業を取り巻く現状と課題」(2014))。そして、このような開発コストの高騰は、高額な薬価に繋がり、最終的には社会保障費の増加を引き起こします。そうした中、厚生労働省を中心に後発医薬品の使用が継続的に推進されておりますが、後発医薬品の普及は社会保障費の抑制につながる反面、新薬の開発に対する民間企業のインセンティブを減少させる可能性もあります。製薬産業については、2023年時点での売上上位100品目の医薬品に関して特許発明者の所在地を創出国として定義した場合、日本の新薬創出能力はアメリカ、スイス、イギリス、ドイツ、デンマークに次いで世界第6位(出典:医薬産業政策研究所「世界売上高上位医薬品の創出企業の国籍 -2023年の動向-」(2025))と年々低下しており、その国際競争力の維持は我が国にとって最重要課題の1つとなっております。新しい医薬品・医療機器を開発する際には、臨床試験・治験といった臨床開発が行われますが、労働集約的で煩雑なプロセスやそれに伴う実施費用の高額化が開発コストの高騰に直結する課題とされており、近年は、臨床試験データをリモートで取得する「リモート治験」が欧米の製薬企業を中心に取り組まれております。リモート治験においても、被験者の識別(なりすまし防止)、医療データの安全な取得・保管・利用など、通常の臨床試験とは異なる課題があり、解決のための手段が求められております。日本では、新薬開発前のシーズ発掘、新薬開発プロセスや市販後調査の効率化を目的として、リアルワールドデータ(以下、「RWD」といいます。)(※3)と呼ばれるレセプト(※4)や電子カルテなどの匿名化された患者単位の医療データを分析する専門部署を2015年ごろから製薬企業が立ち上げ、それに呼応する形で2016年に厚生労働省がレセプトデータベースを公開、2018年には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」といいます。)がMID-NET(※5)の本格運用を開始するなど、既に海外では活用が進んでいるRWDを我が国でも活用しようという動きになっております。新薬開発に関しても、医薬品・医療機器の開発にRWDの活用を可能とするためのガイドラインとして「承認申請等におけるレジストリの活用に関する基本的考え方」や「レジストリデータを承認申請等に利用する場合の信頼性担保のための留意点」が厚生労働省より発出されています。このようなRWDの分析・活用には、分析担当者が日常使用しているような表計算ソフトウェアでは機能・容量面で不十分であり、巨大なデータセットでも取扱可能な統計分析専用のツールやAI(人工知能)機能を組み込んだソフトウェアなどが使用されておりますが、分析結果の根拠が不明確など、医療業界で求められる水準への対応が難しいことや、分析結果の利用に際して後処理に多大な工数を要することが課題となっております。 (3) 具体的な製品又はサービスの特徴サスメドは、前項で述べてきた「医療に対する国家歳出の増大」という課題に対して、「治療用アプリ開発」による新しい治療法の提案、「汎用臨床試験システム」の提供による創薬プロセスの効率化による開発コストの適正化、「機械学習自動分析システム」の提供による医療データの活用による医薬産業のバリューチェーン全体の効率化という大きく3つの方向性から課題を解消すべく事業活動を行っております。 ①「DTxプロダクト事業」セグメント〔治療用アプリ開発〕サスメドは、アンメットメディカルニーズ(※6)への解決策の提案を目指して、慢性疾患や認知行動療法(※7)、運動療法(※8)が有効とされる疾病に対する複数のDTxの開発を行っております。本書提出日現在における開発中のパイプライン(※9)は以下のようになっており、中でも不眠障害用アプリの開発が最も進捗しております。 (サスメドの治療用アプリの開発パイプライン) 厚生労働省の調査によると、日本人の5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」「何らかの不眠がある」と調査に回答しております(出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」不眠症)。また、睡眠障害による日本の経済損失は年間880~1,380億ドルに上るという試算もある(出典:RAND Corporation 「RAND Health Quarterly, 2017; 6(4):11」)ため、睡眠障害の治療は医療経済的観点での喫緊の課題となっております。中でも不眠障害(不眠症)に対する治療法は、米国国立衛生研究所(NIH)の指針では認知行動療法(CBT-I)が第一選択とされておりますが、日本においてはまだ不眠障害に対する認知行動療法に保険診療が適用されておらず、人的リソースに限りのある医療現場にとっては負担が大きい治療法となるため、やむを得ず薬物療法が選択されているケースが多いのが実状となっております。また、薬物療法以外の選択肢が少ないため、日本は睡眠薬の処方量が先進国の中でも多く、厚生労働省が多剤処方(※10)に対して保険点数を減算するなどにより処方減に取り組んでおりますが結果として中小規模の医療機関の経営に大きな影響を及ぼしております。 このような外部環境の中、サスメドは、薬物治療や対面式の認知行動療法とは区別された新たな治療選択肢の確立を目指して、認知行動療法をコンセプトとした治療コンテンツを提供するプログラム医療機器(※11)の開発を進めております。不眠障害に対する認知行動療法は、治療中の改善効果に加え、治療後の改善効果の持続性の両面で、睡眠薬を使用した薬物療法よりも優れていることが実証されておりますが(Jacobs et al., 2004, Arch Intern Med)、上記のとおり、保険診療が適用されていないこと、また人的リソースに限りのある医療現場にとっては負担が大きいことが医療機関での治療法の採用に際して阻害要因となっております。サスメドは、医療現場での人的リソースの不足を解決するために、普及が進んでいるスマートフォンのアプリケーションを活用し、不眠障害治療の新たな治療選択肢を提供することで、睡眠薬の処方量の削減及び適正使用につなげ、社会的課題を解決するサービスを展開してまいります。事業推進上、対処すべき課題としては、治験による医療機器承認と、保険収載(※12)及び収益確保が可能となる保険点数の実現が挙げられます。 (不眠障害用アプリの提供プロセス) 2016年9月より、サスメドが開発を行っている不眠障害用アプリの治験を開始しました。治験の実施によって不眠障害に対する本アプリの有効性並びに安全性を確認することができ、その結果をもとにPMDAと今後の臨床開発の方針について議論した上で2021年の5月から11月まで検証的試験(※13)を実施いたしました。検証的試験の結果、主要エンドポイントを達成し、2023年2月に、厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得しております。令和6年度の診療報酬改定の議論の中で保険収載が見送られることになりましたが、関係機関とも協議を行い、保険収載の手続きを再開するために、2024年8月、製造販売承認事項一部変更承認申請(※14)を行い、2025年9月に承認を取得し、本書提出日現在、保険適用希望書を提出し、保険収載に向けた取り組みを進めております。上市後の販売戦略については、製薬企業等と、彼らが保有するMR(※15)を通じた販売ネットワークの活用を目的に業務提携の議論を行い、2021年12月に塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、以下「塩野義製薬」といいます。)との間で不眠障害用アプリに関する販売提携契約を締結しております。また、医師向けには一般社団法人日本睡眠学会で臨床試験の成果に関する解説並びに認知行動療法をコンセプトとする治療コンテンツを提供するアプリに関する啓蒙を代表取締役社長の上野を中心に行い、潜在患者を含む一般消費者向けには睡眠薬を使用しない不眠障害の治療に関する疾患啓発を塩野義製薬と共同で行っていくことを検討しております。不眠障害用アプリ以外のパイプラインとしては、乳がん患者向けの運動療法を国立研究開発法人国立がん研究センターと、「人生会議」という愛称でも知られるアドバンス・ケア・プランニング(以下、「ACP」といいます。)を提供する治療用アプリを東京慈恵会医科大学と共同で開発しております。2019年には男女合わせて97,812人が乳がんに罹患しており(出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録))、2020年には男女合わせて14,779人が乳がんによって死亡しています(出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省 人口動態統計))。累積罹患リスクで見ると女性の9人に1人が生涯で乳がんに罹患するとされており、部位別では最も罹患率の高い疾患となっています(出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「累積罹患リスク」)。海外の論文では、運動療法の実施によって死亡率が低下することが実証されており(Holmes MD et al. JAMA 2005;293:2479-2486)、一般社団法人日本乳癌学会が発行している「乳がん診療ガイドライン」でも運動療法が推奨されていますが、医療者の時間的リソースに対する負担が大きく、現状は普及に課題を抱えています。サスメドは、現状のリソース面での課題を克服しつつ効果の実証された運動療法を患者に提供するために、国立研究開発法人国立がん研究センターと共同で治療用アプリを開発しております。臨床研究では、身体機能や予後(※16)の指標である最高酸素摂取量がアプリでの介入により有意に改善し、その結果について論文を発表いたしました(Ochi et al.,2021, BMJ Support Palliat Care)。現在は、今後の臨床試験に向けてプロトコル(※17)の検討を行っております。 ACPは、人生の最終段階における治療や療養についてあらかじめ考え、患者やその家族と医療者の間で繰り返し話し合い共有する自発的な取り組みのことです。ACPの実施によって早期に緩和ケアに取り組んだ結果、予後の延長やQOL(※18)の改善といった効果が実証されており(Temel JS et al. N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8))、アメリカや台湾では医療保険の適用対象としてACPが実施されています。日本でも、ACPによる早期緩和ケアと意思決定支援による患者の不安・抑うつ症状の改善、加えて死亡直前の抗がん剤投与の減少による医療費の適正化を目的として、国全体でACPの普及啓発に努めています。そのような環境の中、サスメドは、東京慈恵会医科大学との共同研究において、進行がん患者に対するACP用プログラム医療機器を開発しており、2020年から厚生労働科学研究費「がん対策推進総合研究事業」に採択されております。PoC(※19)取得に向けた探索的試験(※20)を完了しており、その結果については米国臨床腫瘍学会のオーラルセッションで発表を行っております。現在は、企業治験(第Ⅱ相臨床試験に相当)における被験者登録を開始しております。引き続き、ACP用プログラム医療機器の提供によって、不適切な治療の中止と患者自身の不安・抑うつ症状の改善を目指し、取り組みを進めてまいります。また、慢性腎臓病患者向けに運動療法を提供する治療用アプリを国立大学法人東北大学並びに一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会と共同で開発しております。慢性腎臓病は心不全、心筋梗塞、脳血管障害などのリスク因子であり、その患者数は日本国内で1,300万人と推計されています(出典:厚生労働省「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患患者対策の更なる推進を目指して」2018年7月)。慢性腎臓病患者の発症要因としては糖尿病や高血圧などの生活習慣病が挙げられ、生活習慣の変化とともに患者数が増加しております。また、国内の透析患者数は約33万人、透析治療にかかる医療費は患者1人あたり年間500万円と高額であり、総医療費の4%(約1兆6,000億円)を占めている(出典:ニッセイ基礎研究所「人工透析の増加-慢性腎臓病の早期発見は進むか?」2018年)ことから、日本の社会保障費の適正化を図る上で慢性腎臓病患者の透析治療への移行を食い止めることが喫緊の課題となっております。慢性腎臓病患者の腎機能の改善もしくは悪化抑制においては、腎臓リハビリテーションが有効であることが示され、一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会が発刊したガイドラインでも推奨されていますが、その普及にあたっては、各医療機関での医師や理学療法士などのリソース不足が課題となっています。サスメドは、現状のリソース面での課題を克服しつつ効果が示されている腎臓リハビリテーションを患者に提供することを目指して、治療用アプリを開発しております。現在は、PoC取得に向けた探索的試験を完了し、今後の臨床試験に向けたプロトコルの検討を行っております。また、2022年11月には杏林製薬株式会社(本社:東京都千代田区、以下「杏林製薬」といいます。)との間で、耳鼻科領域において、耳鳴に対する新たな治療選択肢の提供を目指し、治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約を締結し、現在は、特定臨床研究(※21)を完了しております。さらに、2023年9月にあすか製薬株式会社(本社:東京都港区、以下「あすか製薬」といいます。)との間で、産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約を締結し、2025年1月より特定臨床研究を開始しております。加えて、持続性知覚性姿勢誘発めまいに対して国立大学法人新潟大学と共同開発を行っている治療用アプリに関して、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会で発表を行い、2024年8月より臨床研究を開始しております。 ②「DTxプラットフォーム事業」セグメント〔汎用臨床試験システム〕前項で記載した不眠障害用アプリの開発過程において獲得したノウハウをベースに、効率的な臨床試験を実施するためのシステム開発を行っております。リクルーティング(※22)の効率化やモニタリング(※23)コストの削減などを通じて医薬品・医療機器の開発コストの適正化が期待できる「リモート治験」が2017年頃から欧米を中心に広がってきていますが、日本では試験データの真正性の確保に課題を残しており、ごく限定的な範囲でのみ実施されている状況です。サスメドのシステムには、リモート治験における上記の課題を解決するために、被験者として適切な対象かどうかを判定する「適格性判定」、データ入力者の本人性を確認する「なりすまし防止」、ブロックチェーン技術(※24)(特許第6563615号、特許第6245782号、特許第6340494号、特許第6530578号、特許第6245783号、ほか)を用いた「データ改竄耐性」、臨床試験データの欠損を防ぐ「デジタル指導」など、リクルーティングから臨床試験データの解析まで、一貫してデータの真正性を確保するための幅広い機能に関する特許技術を実装しております。「データ改竄耐性」の機能に関しては実証実験結果を国際医学雑誌上で論文として発表しており(Motohashi et al., 2019, JMIR)、労働集約的になっている実地でのモニタリング業務の代替によって大幅な臨床試験コストの削減を目指しております。本システムに関しては、共同研究契約を国立がん研究センター中央病院と締結後、乳がん患者に対する運動療法アプリを構築し、2019年5月より臨床研究を開始しております。本臨床研究の実施にあたって採用したシステム構成では、臨床研究データの効率的な信頼性担保を目的としてインフラ部分に上記ブロックチェーン技術を採用しており、経済産業省・厚生労働省の大臣認証を得た上で内閣府の規制のサンドボックス制度(※25)に採択されております。GCP省令(※26)第21条において「1.治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。2.前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行われなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合は、この限りではない。」とされているものの、「他の方法」にどのようなものがあるか、「十分にモニタリングを実施することができる」とはどのような状態か、が不明確な状況でした。サスメドは、規制のサンドボックス制度の中で①ブロックチェーン技術の実装によりサスメドが構築したシステムを使用して適切な改ざん防止措置が講じられ、②被験者や医療機関(利害関係者でないもの)が入力した情報(原資料等)が直接的に報告データに反映される等の手法を用いることが「十分にモニタリングを実施することができる」場合に該当することを確認し、報告を行いました。この報告を受けて、内閣府が「治験データ等と原資料との一致性が確保できるようブロックチェーン技術を活用するときは、その一致性を確認するための実地でのSDV(Source Data Verification)(※27)が求められないことが治験依頼者等にあらかじめ明らかとなるよう、解釈の明確化その他必要な措置を講じる」ことを成長戦略フォローアップの中で明示しました。サンドボックス制度の研究成果については、国際医学雑誌上で論文として発表しております(Hirano et al., 2020, JMIR)。その後、グレーゾーン解消制度(※28)において、サスメドシステムの利用によって実地での照合作業を省略したとしてもGCP省令第21条に違反するものではないこと、並びにこの解釈が医薬品のみではなく、医療機器や再生医療等製品の治験、特定臨床研究でも適用可能であることの確認を要請し、2020年12月には厚生労働省から、当該システムを利用することで実地での照合を省略することはGCP省令に違反するものではなく(ただし、データを直接連携・同期していない部分についての一致性の確認まで一概に不要とは言えず、データの一致性の確認以外の業務については引き続き適切に実施する必要がある)、また、医薬品以外にも本件の解釈が適用可能であるという回答を得ました。 (臨床試験における業務フローの比較) 2022年6月には、アキュリスファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表者:谷垣 任優)との間で企業治験としては世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験の実施に関する業務委託契約を締結し、本書提出日現在、同社において実施されていたナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験、ならびに閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験において良好な解析結果を示したことが報告されています。また、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが実施する筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群を対象とした医師主導治験及びあすか製薬と共同開発を行っている月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリの各特定臨床研究においても、サスメドの臨床試験システムが活用されています。そのほか2023年10月には、2021年に採択された国立大学法人東京医科歯科大学(現:国立大学法人東京科学大学)とのAMED「研究開発推進ネットワーク事業」において、サスメドのブロックチェーン技術を活用した手法が従来の手法に比してモニタリング業務にかかる工数を削減する旨の成果が報告されており、今後も、アカデミア及び製薬企業を中心とする事業会社を対象に本システムの普及に努め、臨床試験の効率化を目指してまいります。加えて、サスメドのブロックチェーン技術の臨床試験以外での活用を目指し、2022年5月には国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターとの間で共同研究を開始しております。本共同研究は、ブロックチェーン技術を精神疾患レジストリ(※29)に拡大適用することによりRWDの質の担保をシステムで実現することを目的としたもので、AMEDの「データ利活用を推進するための臨床データの加工手法と質の担保に関する研究開発」に採択されております。また、2023年9月には国立大学法人東北大学と静脈疾患レジストリの構築に関する基本合意を締結し、2024年12月には統合型静脈疾患レジストリシステムを構築し、現在、企業への提供を開始しております。 〔機械学習自動分析システム〕医療業界で求められているRWDの活用に向けて、Awesome Intelligenceという名称で分析基盤を開発し、クラウドサービス(※30)としての提供を開始しております。既存のAIシステムでは、その判断基準がAI内で学習データと呼ばれる大量のデータに基づいて自律的に構築されるため、システムを操作する人間側には判断基準やその根拠が示されず、ブラックボックス型(※31)になってしまうことが医療分野での利用に際して課題となっております。一方で、サスメドが開発したAwesome Intelligenceでは、分析結果を導き出す際にシステムが注目した特徴量(※32)の寄与度を明示するようなホワイトボックス型(※33)の機械学習をコアアルゴリズムとすることで、医療分野で求められる判断理由の説明を可能としております。また、データサイエンス領域での経験が十分でない医療関係者でも柔軟に分析が行えるように、データの前処理の自動化や分析結果の出力などにより利便性を高めた仕様としております。当期においても、因果探索基盤技術の開発に関する国立大学法人滋賀大学との共同研究をはじめ、複数の製薬企業や学術研究機関、医療機関において活用されました。 (Awesome Intelligenceの概要) 〔DTx開発支援〕自社での治療用アプリ開発並びに治療用アプリを対象とした臨床試験実施の経験に基づいて、治療用アプリの開発を目指す企業を支援しております。治療用アプリを開発するためには、その制作段階において、臨床ニーズの特定から治療アルゴリズムの検討、及びアルゴリズムのアプリケーションへの実装が必要となり、加えて、治療用アプリの制作が完了した後も臨床試験のプロトコル検討、治療用アプリの管理システムの構築、実際の臨床試験の運用までが求められます。アプリケーション開発と臨床開発という異なる専門性をワンストップで提供することで、既にシーズを保有している企業の効率的な治療用アプリ開発を実現しております。また、治療用アプリの制作においては、患者への介入方法、介入を決定するアルゴリズム、患者データの取得といった複数の機能を汎用的なモジュールとして用意し、それらモジュールの組み合わせだけで迅速にアプリケーションの開発を行うことができるシステム基盤を構築しております。当該システム基盤の活用によってアプリケーションの開発期間が短縮できるため、PoC取得に要する時間も短縮が可能です。 <用語解説>※1ICTInformation and Communication Technology。情報通信技術。※2非臨床試験臨床試験における人体への投与・使用の可否を判断することを目的に、動物、培養した細胞、コンピュータ上のシミュレーション等を用いて、開発中の医薬品や医療機器の有効性、安全性の評価・証明を行うための試験。※3リアルワールドデータ調剤レセプトデータ、保険者データ、電子カルテデータなど、臨床現場で得られる診療行為に基づく情報を集めた医療ビッグデータ。※4レセプト患者が受けた保険診療について、医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬明細書。患者に対して、どのような診断・検査・治療が行われ、処方された薬剤の内容が記載されている。※5MID-NETMedical Information Database Network。国内の複数の大規模医療機関が保有する電子カルテやレセプト(保険診療の請求明細書)等の電子診療情報をデータベース化して解析するためのシステム。※6アンメットメディカルニーズまだ有効な治療法が確立されていない疾病に対する、新しい治療薬や治療法への患者、医師からの強い要望。※7認知行動療法個人の認知や行動に働きかけることで病態を改善する治療法。※8運動療法運動を行うことで、障害や疾患の治療を行う治療法。※9パイプライン研究開発段階にある製品の候補品のこと。※10多剤処方1回の処方で複数種類の薬剤を投与すること。睡眠薬の場合、3種類以上の処方で減算対象となる。※11プログラム医療機器疾病の診断、治療又は予防等を目的とする単体のプログラム(ソフトウェア)であって、医療機器に該当し医薬品医療機器等法の規制を受けるもの。AIによる診断支援システムや医師の処方が必要な治療用アプリなどが挙げられる。※12保険収載健康保険制度の適用対象となり、診療費用の自己負担が3割になること。※13検証的試験対象となる薬物、医療機器の使用方法、治療方法を決める試験。第三相試験とほぼ同じ意味。※14製造販売承認事項一部変更承認申請承認後に承認事項の一部を変更しようとするときの手続き。当該変更については厚生労働大臣の承認を受ける必要がある。※15MRMedical Representative(医療情報担当者)。製薬会社などに所属し、医師や薬剤師などの医療関係者に対して自社の医薬品を販売するとともに、その情報を伝える役割を担う。※16予後手術や病気、創傷の回復の見込み。※17プロトコル臨床試験実施計画書。※18QOLQuality Of Life。治療や療養生活を送る患者さんの肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた生活の質。※19PoCProof Of Concept。新しい技術や理論、原理、手法、アイデアなどに対して、実現可能か、目的の効果や効能が得られるかなどを確認するために実験的に行う検証工程のこと。治療用アプリの開発では、検証的試験の開始前に行われる。※20探索的試験検証的試験における用法、用量、試験デザイン、主要評価項目を検討するための試験。第二相試験とほぼ同じ意味。※21特定臨床研究臨床研究のうち製薬企業等から資金提供を受けて実施される臨床研究、または国内で未承認・適応外の医薬品等を用いて行われる臨床研究であり、臨床研究法に準拠して実施。※22リクルーティング臨床試験において被験者を募集すること。※23モニタリング医療機関で行われる臨床試験がGCP(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施基準)、治験実施計画書、各種手順書等に基づき、適正に行われていることを調査する業務。※24ブロックチェーン技術情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種。暗号技術の活用により、データの耐改竄性・透明性が実現できるとされている。 ※25規制のサンドボックス制度IoT、ブロックチェーン、ロボット等の新たな技術や、プラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新しいビジネスモデルの社会実装に向け、規制官庁の認定を受けた実証を行い、その結果を用いて規制の見直しにつなげていく制度。※26GCP省令医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice)。治験を行う製薬企業、病院、医師が遵守しなければならない規則。※27SDV(Source Data Verification)提出されたデータ(主に症例報告書)を原資料と照合・確認し、データの質を保証するGCP省令等の要請に基づき実施される臨床試験(治験)におけるモニタリング作業の1つ。※28グレーゾーン解消制度事業者が現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、安心して新事業活動を行い得るよう、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度。※29レジストリ医療の向上や新薬開発、市販後調査等へ利用することを目的として、特定の疾患や健康状態等について、治療内容、治療経過などの医療情報や健康情報を収集して構築したデータベース。実際の医療環境下で取得されたリアルワールドデータの一つ。※30クラウドサービス従来コンピューター端末にインストールすることで利用していたデータやソフトウェアをネットワーク経由で利用者に提供するサービス。※31ブラックボックス型AIの判断・分析結果について、その結果に至った根拠が説明不可能なシステム。※32特徴量物事や事象などの特徴が表現されたデータ。※33ホワイトボックス型AIの判断・分析結果について、その結果に至った根拠が説明可能なシステム。

有価証券報告書(2025年6月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、サスメドが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針サスメドは、医療現場におけるアンメットメディカルニーズに対して、IT技術の活用による新たなソリューションを提供することで社会へ価値を生み出し、医療が必要な全ての患者に最適な医療を提供し続けることができる、持続可能な社会の実現に貢献することを事業活動の目的としております。上記の目的を実現するため、サスメドでは以下のミッション、ビジョン、バリュー、行動指針を定め、経営を行っております。<ミッション>ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること<ビジョン>持続可能な医療(Sustainable Medicine)の実現<バリュー>サイエンスと専門性の融合によって新たな医療を切り拓く<行動指針>・常に社会的意義を考える・本質的な成果にこだわる・プロフェッショナルとして尊重する・成長を楽しむ・客観的に考え主体的に動く (2) 目標とする経営指標現在、研究開発段階にあるサスメドは、ROA、ROEその他の数値的な目標となる経営指標等は用いておりませんが、DTxプロダクト事業では、長期的視点での収益の最大化のために財務指標に先行する開発パイプラインの件数や臨床試験の進捗度合いを、DTxプラットフォーム事業では、収益の継続的な増加を実現するため契約件数を重要な経営指標として位置付けております。 (3) 中長期的な会社の経営戦略DTxプロダクト事業では、DTxシーズの横断的な探索及び市場性の高い案件の選択と深耕が重要だと考えております。シーズの探索では、代表取締役社長の上野を中心にサスメド役職員が保有する業界内でのネットワークを最大限活用するとともに、機械学習自動分析システムの導入によるRWDの分析や販売後調査を通じて、医療機関・学術研究機関・製薬企業が抱えるDTxシーズの発掘を行ってまいります。案件の選択と集中については、高い収益性が見込まれる案件に十分なリソース配分を行うための投資判断基準を構築して、臨床試験の各相で案件の適切な取捨選択を行い、加えて、自社で完結することに固執せず販売権の導出等、他社との連携による早期収益化の方策を検討してまいります。DTxプラットフォーム事業のうち汎用臨床試験システムでは、サンドボックス制度での研究成果とそれを踏まえたグレーゾーン解消制度でのサスメドの確認に対する厚生労働省からの回答に基づき、臨床試験における実地モニタリングを省略するためのデファクトスタンダートを目指しております。実地モニタリングの省略に加え、被験者募集プロセスの効率化やデータ欠損の防止による臨床試験品質の向上の観点から、製薬企業や学術研究機関における研究開発コストのさらなる低減をシステム全体で実現してまいります。さらに、機械学習自動分析システムでは、RWDを対象としたユースケースを蓄積しながら、新たな機能開発と使いやすいUI/UX(User Interface/User Experience)の改善を継続的に行い、新たな契約の獲得と顧客単価の向上を目指してまいります。DTx開発支援においても、支援実績を積み上げると同時に、システム基盤の機能拡充を図り、更なる効率化を目指してまいります。 (4) 経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題今後事業及び収益の拡大を図るためにサスメドが対処すべきDTxプロダクト事業での主な課題は、開発中の治療用アプリそれぞれの医療機器製造販売承認の取得(不眠障害用アプリは製造販売承認を取得済み)と十分な収益が確保できる水準での保険収載を確実に実現することであります。併せて、臨床ニーズに対応した新たな治療用アプリの開発に着手し、それらを継続的に市場に投入していくことも長期的な課題として認識しております。また、DTxプラットフォーム事業のうち汎用臨床試験システムでの課題は、規制に対応した上で臨床開発コストの低減に着実に寄与すること、機械学習自動分析システムでの課題は、長期にわたって利用してもらうために継続的なユーザーニーズの把握とそのニーズに即した機能拡充を行うことだと考えております。新型コロナウイルス感染症の拡大は多くの事業にネガティブな影響を及ぼしましたが、外出自粛、医療機関への通院に対する抵抗感などが医療業界のデジタル化を促進した要因にもなっており、デジタル技術の活用で医療の効率化を目指すサスメドの事業展開にとってはポジティブな環境となっております。その他、継続的な成長と企業価値の向上を目指す上で対処しなければならない各機能面での課題を以下のように考えております。 (営業活動における課題)サスメドは、国内外の製薬企業や医療機関等と友好的かつ経済的な相互関係(共同研究開発体制)を築いており、今後さらなる共同研究開発契約を獲得・推進するために研究開発体制の整備・充実と連動した戦略的な営業活動が重要だと考えております。 (研究開発活動における課題)サスメドは、DTxプロダクト事業において治療用アプリの治験システム、治療用アプリを搭載した端末装置、および治療用アプリのプログラムに関する特許技術を保有・活用しており、現時点においては大きな技術的優位性があると考えております。また、DTxプラットフォーム事業に分類される汎用臨床試験システムおよび機械学習自動分析システムは今後の活用に大きな可能性を秘めております。サスメドは、自社システムの優位性を確保し続けるため、国内外の製薬企業及び学術研究機関等との共同研究を推進しつつ、今後も自社内における研究開発及びその体制の強化を進めてまいります。 (内部管理・統制における課題)サスメドは、継続的に企業価値を高めていくためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題の1つであると認識しております。経営の効率化を図りながら、一方でその健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に企業価値を向上させることが、株主をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様から信頼をいただく条件であると考えております。企業価値向上のために、俊敏さを備えた全社的に効率的な組織の構築を必要条件としつつ、業務執行の妥当性、管理機能の効率性・有効性を心がけ、改善に努めてまいります。

事業等のリスク

3 【事業等のリスク】本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてサスメドが判断したものであります。 (1) 医療機器の研究開発・医療業界に関するリスク① 研究開発の不確実性についてサスメドは治療用アプリ及びプラットフォームシステムの開発を事業領域としており、特に治療用アプリの開発には医薬品と同じく相当程度の時間と投資が必要となります。治療用アプリの開発では臨床試験の結果や、規制当局からの要望・指導、関連する法令の変更・改訂等によって計画に不確実性が生じ、開発方針の変更、開発の延期もしくは中止などを招くことによってサスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。個々の治療用アプリの開発リスクの低減には限界があるため、学術研究機関との連携強化、治療用アプリ開発プラットフォームの活用によって、効率的なシーズ探索を行い、継続的に開発パイプラインの充実を図る方針としております。 ② 副作用、製造物責任について通常、医療機器は本来期待する効果と共に、期待されない副作用が生じる可能性があります。治療用アプリに関しては、一般の医薬品や医療機器と同様にその安全性に関して臨床試験の中で十分に検討され、また、侵襲性が低く副作用が発生した場合の深刻度も相対的に高くはありませんが、上市後に、より多く使用される段階で予期できない副作用が発現する可能性は否定できません。サスメドは、上記の副作用発生に起因する補償又は賠償に対応するために、想定しうる範囲で治験保険や製造物責任保険への加入を予定しておりますが、補償範囲外の賠償責任を問われる可能性があります。さらに、重篤な副作用や死亡例の発生は、製品及び企業イメージを大きく損ね、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起、製造物責任賠償等と併せて、サスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ③ 医薬品医療機器等法その他の規制についてサスメドが属する医療機器等の業界は研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、医薬品医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度並びにその他関係法令等により、様々な規制を受けています。サスメドが開発している治療用アプリは医療機器に該当し、厚生労働大臣による医療機器製造業あるいは医療機器製造販売業の登録が必要となります。この登録は5年ごとの更新が必要となるため、更新が認められない場合には、治療用アプリの開発を継続できなくなる可能性があります。サスメドでは、人員体制の拡充強化、適正な業務フローの実施を継続的に行い、登録更新に必要な要件を満たしていく方針としております。また、サスメドが開発した治療用アプリやシステムの使用が規制当局によって承認されない場合、それらの上市や他社へのサービス提供が困難になる可能性があります。さらに、承認を取得できた場合であっても健康保険の対象として保険収載されない、もしくは期待通りの保険点数が付与されない場合、サスメドの財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ④ 不眠障害用アプリの販売計画についてサスメドは、これまでに実施した臨床試験等に基づき、2023年2月に製造販売のための承認・許可を取得しております。本書提出日現在、令和6年度診療報酬改定における新しい保険医療材料制度に則って保険収載の手続きを進めるべく、2024年8月に製造販売承認事項一部変更承認を申請し、2025年9月時点において承認を取得しております。サスメドの事業計画は、承認後の保険収載を前提として作成しておりますが、上市に至る過程において様々な薬事規制に従う必要があり、仕様の変更や臨床試験の再実施など、事業計画のスケジュールに変更を及ぼす事象が発生した場合には、サスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業活動に関するリスク① 小規模組織及び少数の事業推進者への依存についてサスメドは、本書提出日現在において常勤取締役4名、非常勤取締役3名及び従業員41名の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっていますが、今後、業容拡大に応じた継続的な管理部門の体制強化により内部管理体制の拡充を図る方針であります。また、サスメドの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、もしくは人材の流出が生じた場合には、サスメドの中期的な事業活動に支障が生じ、財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。サスメドでの人的資本に関する考え方及び取組は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本に関する考え方及び取組」をご参照ください。 ② 特定人物への依存についてサスメドの創業者であり代表取締役社長である上野太郎は、サスメドの経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、サスメドの最高責任者として影響力を有しております。このためサスメドは上野に過度に依存しない体制を構築すべく、複数の取締役による業務管掌領域の分担をはじめとした経営組織の強化を図っておりますが、上野が何らかの理由によりサスメドの業務を継続することが困難となった場合には、サスメドの短期的な事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ③ 治療用アプリ業界の競争環境について治療用アプリやそれに類似する医療機器の開発に携わる企業は、我が国ではまだ少ないものの、海外では既に上場している企業もあり、日本の製薬企業が海外の治療用アプリを日本に導入して臨床試験を開始するなど、国内での競争環境は厳しくなりつつあります。サスメドが開発を進めているパイプラインを対象とした、競合企業との研究・開発、臨床試験、販売等の事業活動での競争結果により、サスメドの治療用アプリの上市が計画通りに進行しない場合、サスメドの中期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。サスメドでは、知的財産権の獲得を中心とした参入障壁の構築により、競争優位性を維持していく方針としております。 ④ 訴訟等についてサスメドは、本書提出日現在、提起されている訴訟はありませんが、将来、何らかの事由の発生によって訴訟等による請求を受ける可能性を完全には回避できません。こうした事態が生じた場合、サスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 知的財産権サスメドでは、研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を利用しており、これらはサスメド所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。一方で、サスメドが現在出願している特許が全て成立する保証はなく、さらに、特許が成立した場合でも、サスメドの研究開発を超える他社の優れた研究開発により、サスメドの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。サスメドの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、サスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。サスメドでは、保有している知的財産の有効活用並びに新たな知的財産権の構築のために、一定規模の研究開発投資を安定的、継続的に実施していく方針としております。また、サスメドでは他社の特許権の侵害を未然に防止するため、サスメドとして必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、サスメドの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、サスメドのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、サスメドの長期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 情報セキュリティについてサスメドはシステム障害、セキュリティ侵害等を未然に防止するためにシステムの多重化をはじめとして様々な手段を講じておりますが、ウイルス、権限のないアクセス、自然災害、通信エラーあるいは電気障害などが引き起こす事故が発生する可能性を否定することはできません。システム障害、セキュリティ侵害等が発生した場合、サスメドが保有する臨床試験における重要な情報等が喪失又は流出する可能性があります。データの喪失あるいは機密情報の流出を招いた場合、データ復旧のために金銭的・時間的に多大な負担を余儀なくされ、特定の開発品の開発スケジュールが遅延することはもとより、損害賠償請求やサスメドの社会的信用の失墜、取引先企業との提携関係の解消など、サスメドの中期的な財務状況や経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (3) 業績・財務及び資本政策等に関するリスク① マイナスの繰越利益剰余金の計上についてサスメドは、デジタル機器やIoT技術を治療に取り入れた治療用アプリの研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。治療用アプリの研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。サスメドも第2期(2017年6月期)から当事業年度(2025年6月期)については当期純損失を計上しております。サスメドは、治療用アプリのシーズ獲得とパイプライン開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指していますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性があり、その場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。今後は、保有する開発パイプラインの他社への導出やマイルストン収入の獲得など、より早期に収益計上を可能とする方策についても検討していく方針であります。 ② 剰余金の分配についてサスメドは、株主への利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、当面は配当等による株主への還元は行わない方針としております。また「① マイナスの繰越利益剰余金の計上について」に記載したとおり、繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れた場合、剰余金の分配についても遅れる可能性があります。 ③ 資金繰りについてサスメドは、研究開発型企業として多額かつ長期にわたる研究開発費用の負担が続くため、継続的に営業損失を計上しており、現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、サスメド事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。今後は、他社との共同研究開発体制の構築、保有する開発パイプラインの他社への導出、マイルストン収入の獲得など、多様な資金調達手段を確保していく方針であります。 ④ 新株発行による資金調達についてサスメドは医療機器の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、サスメドの発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ⑤ 新株予約権の行使及び株式の追加発行等による株式価値の希薄化についてサスメドは、サスメド取締役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用し、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、取締役会の承認により、サスメド取締役、従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っております。今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。本書提出日現在において、これら新株予約権による潜在株式数は743,400株であり、発行済株式総数16,822,700株の4.4%に相当します。またサスメドの取締役に対して、中長期的な企業価値の向上に対するインセンティブとして譲渡制限付株式を付与する制度を導入しており、今後も当該制度による譲渡制限付株式を付与する可能性があります。従って、今後新株予約権が行使された場合や譲渡制限付株式が発行された場合には、サスメドの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。



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