テクセンドフォトマスク(429a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


テクセンドフォトマスク(429a)の株価チャート テクセンドフォトマスク(429a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

テクセンドフォトマスクは、半導体用フォトマスクの製造・販売会社として、TOPPANグループから吸収分割により事業を継承する会社として設立され、2022年4月より営業を開始しました。

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク、連結子会社13社及び持分法適用会社2社の計16社で構成されており、世界各地に広がるサービスネットワークと主要な半導体需要地域に所在する8つの製造拠点を活用し、EUVフォトマスク生産などを手掛ける等、業界最先端の技術開発力で、外販フォトマスク市場のリーディングカンパニーとして事業活動を行っております。また、微細加工技術を応用し、ナノインプリントモールド等の新事業領域の開拓を進めております。

テクセンドフォトマスクグループの事業は、前身であるTOPPANグループにおいて印刷テクノロジーの一つである微細加工技術を応用し、1968年にトランジスタ用のマスクの量産を開始したことに端を発しております。以来、半世紀以上に及ぶ歴史の中で、台湾に中華凸版電子股份有限公司(現:中華科盛德光罩股份有限公司)を設立し、またDuPont Photomasks Inc.を買収することで、今日では世界各国に製造拠点を有する外販フォトマスクメーカーとして、2024年において半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア38.9%というトップの位置におります。(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)

テクセンドフォトマスクグループの報告セグメントはフォトマスク事業の単一セグメントでありますが、事業の内容の記載にあたりましては、以下「フォトマスク事業領域」と「新事業領域」に区分して記載いたします。

 

(フォトマスク事業領域)

フォトマスクとは、フォトリソグラフィ技術において、対象物に任意の図形(パターン)を転写するための原版となるガラス基板であり、一般に写真のネガに例えられます。

今日では半導体製造工程の一つである露光(リソグラフィ)プロセスにおいて広く使用されており、フォトマスク上の半導体回路パターンをシリコンウェハ上に縮小露光することにより微細な回路パターンを形成することが可能となります。テクセンドフォトマスクグループでは、半導体メーカーや研究機関等の顧客から量産及び試作・研究開発用途で、様々な高精細フォトマスクの製造を受託しております。

半導体用フォトマスクは、半導体製造プロセスにおける「金型」として極めて重要な役割を果たすものであり、微細かつ高精度な製品を短納期で納入することが求められます。

フォトマスクは、顧客より支給された半導体回路のパターンデータをもとに、電子ビーム等でマスクブランクス(ガラス基板上に遮光膜を成膜し、その上に感光材であるフォトレジストをコーティングしたもの)上に回路パターンを描画し、現像・エッチングを経て製造されます。顧客に納入するに際しては、この後、各種寸法の測定や外観形状の検査を経て、顧客が要求する精度・仕様に合致していることの品質保証が必要となります。

 

半導体用フォトマスクの使用イメージ

 

(光マスク)


半導体用フォトマスクの製造工程

 


 

 

 

 

a 半導体用フォトマスクについて

(a) 業界構造及びテクセンドフォトマスクグループの事業領域について

半導体市場におけるビジネスモデルは、時代とともに大きく変化しており、かつては設計から製造まで一貫して行う垂直統合型が主流でしたが、1980年代後半以降、微細化競争の激化に伴い、水平分業型が台頭しました。今日の市場は、半導体の設計から製造、販売までを一貫して行う垂直統合型デバイスメーカー「IDM(Integrated Device Manufacturer)」が存続している一方、水平分業型モデルにおける自社で製造工程を持たない「ファブレス」と呼ばれるモデルとして、半導体設計のみを手掛ける「デザインハウス」と、実際にその半導体製造を請け負う「ファウンドリ」と呼ばれるプレイヤーによって構成されております。

IDMがフォトマスクを自社で内作する方針を継続してきた一方、水平分業化の潮流の中で、ファウンドリにおいてはフォトマスクの生産を100%外部委託するモデルも確立されました。これにより、半導体用フォトマスクは内作と外販という2つの大きな市場を形成しております。

テクセンドフォトマスクグループは外販フォトマスクメーカーとして、内作機能を持たないファウンドリからの需要に加え、内作において生産キャパシティを超過した際のフォトマスク需要についても製造を委託されております。半導体デバイス製造工程におけるフォトマスクの位置づけを図に示すと以下のとおりとなります。

 


 

(b) 需要構造について

半導体デバイスは、主にロジック半導体とメモリ半導体に大別されます。

ロジック半導体は、電子機器の頭脳とも呼べるもので、情報を処理し、論理演算や制御を行うものであり、CPU(中央処理装置)やGPU(画像処理装置)等がこれに該当します。汎用的なものから特定のアプリケーションに特化したものまで幅広い製品が存在しますが、基本的にはアプリケーションごとに開発設計がなされます。特に先端品領域では微細化技術の進展に伴う設備投資負担の高まりから、前述の水平分業化が進んでおります。

メモリ半導体は、データを記憶するための半導体であり、短期記憶向けのDRAMや長期記憶向けのNAND型フラッシュメモリ等が該当します。メモリ半導体は主に同一製品を大ロットで量産・在庫販売するものであるため、メモリ半導体メーカーは規模の経済を追求するため垂直統合型が主流となります。そのため、ロジック半導体と比較して、メモリ半導体用フォトマスクはIDMによる内作の割合が高い市場となります。テクセンドフォトマスクグループにおいては、ロジック半導体用フォトマスクが主軸製品となり、メモリ半導体用フォトマスクについては主に内作を持たないメモリサプライヤー向けにDRAM用フォトマスクの製造を請け負っております。

 

テクセンドフォトマスクグループにおける半導体用フォトマスクの生産量は、フォトマスクが回路原版として使われるため、単に半導体市場全体の製造ボリュームに比例するものではなく、回路パターンの複雑さや半導体デバイスの設計件数に影響を受けます。そのため、同一製品を大量生産するメモリ半導体市場よりもロジック半導体市場の動向に左右されやすい傾向にあるといえます。

また、半導体市場においては微細化の度合いを、回路線幅等に基づくプロセスノードによって分類し、「〇〇ナノメートル」と表現しております。基準値はその時代々々によって流動的であるものの、プレイヤーの限られる先端技術を用いて作られるものを「先端ノード」、技術的に普及が進んだものを「レガシーノード」と大別されております。かつては微細化が進むことで既存のレガシーノード需要が先端ノードに置き換えられてしまうという、プロセスマイグレーションの考え方が一般的でしたが、現代ではIoTや車載向けなど、必ずしも最先端の技術を必要としない半導体デバイスの量的需要が増加したことで、先端ノードはもちろんのこと、レガシーノードにおいても市場規模の拡大が続いております。

 

 

半導体用フォトマスクの需要は、半導体デバイスメーカーにおける新たな技術ノードへの対応や、新たな生産プロセス構築のための「研究開発・試作生産フェーズ」と既に確立した生産プロセスを用いる「量産フェーズ」のそれぞれにおいて発生します。

そのため、半導体デバイスそのものの量的需要とは別に、半導体デバイスメーカーの技術開発・製品開発が続く限り、一定の需要が継続安定的に発生いたします。また、研究開発段階において半導体用フォトマスクを提供するパートナーに選ばれることにより、テクセンドフォトマスクグループのフォトマスクが顧客の生産プロセスにおける基準として採用されるため、以後の量産段階における半導体用フォトマスク需要において、テクセンドフォトマスクに最適化された製造仕様が適用されることで、セカンドベンダーとして他社が参入を図る際の技術的な参入障壁となります。そのため、テクセンドフォトマスクグループでは自社における研究開発や顧客等との共同開発等に対して積極的な人的投資・設備投資を実行し、顧客の上流段階からの技術要求に精確かつ柔軟に対応できる技術・開発体制、並びに生産体制を構築しております。

 

半導体用フォトマスクの構造

半導体デバイスは、同一のシリコンウェハ上にフォトリソグラフィ工程を複数回繰り返し、回路パターンを多層(レイヤー)構造で成形することで生産されます。したがって、一つの半導体デバイスに対しフォトリソグラフィの回数分だけ複数枚のフォトマスクが必要となり、これらは一つのセットとして使用されます。

フォトマスクに要求される微細化の精度は各レイヤーにおいて異なり、一般に、微細化が進むと高精度なレイヤー(クリティカルレイヤー)において要求される加工精度がより微細なものとなるとともに、回路パターンの積層にあたっては低精度(ラフレイヤー)~中精度のレイヤー(ミドルレイヤー)も必要となるため、セットあたりのフォトマスク枚数も増加し、マスクセット単価が上昇する構造となっております。

また、ウェハ工程の歩留まり向上など、デバイスメーカーにおいてフォトマスクをセットで効率的に運用するには、フォトマスクの仕上がりの傾向やレイヤー間の重ね合わせ精度が重要となります。このことから、通常フォトマスクを外注する場合は同一のフォトマスクベンダーにセット単位で発注されます。

 

 


 

b テクセンドフォトマスクグループ製品

テクセンドフォトマスクグループは顧客より支給される仕様に基づく完全受注生産のため、テクセンドフォトマスクグループの独自の製品ラインナップと呼べるものは存在しません。他方、フォトマスクはその構造に基づき、以下のように大別することができ、テクセンドフォトマスクグループでは顧客の要求仕様に合わせて各種フォトマスクの生産を受託しております。

 

(a) バイナリーマスク

バイナリーマスクとは単純な遮光膜のパターンのみで形成されるマスクです。単純に光を透過する/遮断するという機能のみのマスクで、主として露光波長以上の太さのパターン形成に用いられます。

近年、半導体における先端領域である32nm以細で使用される液侵露光と呼ばれるリソグラフィ技術においては、ハーフトーン形位相シフトマスクよりもバイナリーマスクの方に優位性がある事が判明したことに伴い、テクセンドフォトマスクではブランクスベンダーとの共同開発により、より加工性の高い新型バイナリブランクス(OMOG:Opaque MoSi on Glass) ※を開発、寸法精度及び解像性の高いバイナリーマスクの作成を可能にしました。

 


(b) 位相シフトマスク

位相シフトマスク(Phase-Shifting Mask:PSM)とは、光の位相や透過率を制御する事で、ウェハへの露光時の解像度や焦点深度(DOF:Depth of Focus)を改善し、転写特性を向上させたフォトマスクです。露光波長以下のリソグラフィでは標準的に使用されている技術であり、代表的なものに「ハーフトーン型(Attenuated PSM)」や「レベンソン型(Alternative PSM)」等があります。

前述OMOGブランクスが普及した現在でも、いまだ量的需要が多くある一方、位相シフトマスクは描画工程を複数回必要とすることなどから、バイナリーマスクに比べて製造工程が煩雑となります。テクセンドフォトマスクでは良品率の維持・改善により安定的な供給体制の実現とコスト抑制に努めております。

 


(c) EUVフォトマスク

EUVフォトマスクは次世代フォトリソグラフィの第一候補として挙げられている技術であり、既存のDUV光(ArF:193nm)よりもさらに短い波長のEUV光(13.56nm)を用いるので、より微細なパターンの露光が可能となります。従来のDUV光を用いた技術とは異なり、EUVはガラスに吸収されてしまい透過することができず、ガラスレンズによる光の屈折現象で集光が出来ないため、半導体製造プロセスにおけるウェハ露光機及びフォトマスクはいずれも透過型ではなく反射型の光学系となります。

現在は大手IDMを中心にウェハ工程での採用が進んでおり、多くのEUVフォトマスクは内作マスクショップより供給されておりますが、今後内作マスクショップを持たないファンドリ等でも微細化の追従によりEUVリソグラフィ工程が採用されていくことが想定され、テクセンドフォトマスクグループでは当該需要の取り込みに向け、関連する研究機関や技術顧客へ向けた試作品の提供を開始しております。

 


 

 

c テクセンドフォトマスクグループの生産体制について

テクセンドフォトマスクグループでは、アジア5工場、米国1工場、欧州2工場の計8工場でフォトマスクの製造を行っております(シンガポールのみ、2025年現在、フォトマスク製造工程において前工程にあたるデータ処理工程のみを行っておりますが、2026年に新工場が稼働予定です。)。外販フォトマスクの生産においては納期が非常に重要であり、顧客デバイスメーカーより回路パターンのデータを受領後、通常、最先端品でも2週間程度、レガシー品では2~3日程度と、極めて短い納期で納入することが要求されます。そのため、基本的に地産地消によって顧客の近くに工場を構え生産することが最良とされております。他方で、半導体需要はその時々、地域や顧客の事情により変動が大きいため、ある工場において単一の顧客又は工場が立地する地域顧客のみをもって工場の稼働率を常に高く維持することは困難であり、現地の最大需要に合わせて設備投資をすることは事業上のリスクを高めると考えられます。同様に、安易に設備投資、キャパシティ拡張を行うことが難しいため、繁忙期には需要が現地の生産キャパシティを超過する事態も発生し得ます。

テクセンドフォトマスクグループではアジア・北米・欧州全ての地域で現地供給できる体制を整えており、現地顧客に対し短納期で製品を提供することはもちろん、繁忙期において現地工場のみでは対応しきれない顧客需要について、グループ内部の生産委託によって他地域の工場から供給する柔軟な製造体制を構築しております。これにより複数工場間で生産需要・キャパシティを平準化し、グローバル全体での工場稼働率を高く維持することを可能としております。

 

テクセンドフォトマスクグループの生産体制


 

d テクセンドフォトマスクグループの優位性

(a) 技術開発の優位性について

テクセンドフォトマスクグループでは、材料ベンダーと共同で先端マスクブランクスの開発を行っております。これにより材料の組成に関与し深い知見を得ることで、先端フォトマスクの生産において、自社の加工プロセスを最適化することが可能となっております。フォトマスクブランクスの特性はウェハの生産プロセスにも影響を与えるため、顧客プロセスへの最適化も企図したブランクスを開発し、同材料の採用を顧客に提案することで、先端品フォトマスク需要をいち早く取り込むことにも寄与しております。過去の開発成果の一つとして、バイナリーマスクでありながら高い精度を実現するOMOG材は、テクセンドフォトマスクでの採用にとどまらず、共同開発者であるブランクスベンダーを通して販売され、広く業界内に普及しております。現在は次世代EUV技術であるHigh-NA向けEUVフォトマスクブランクスの開発にも取り組んでおり、EUV領域においてもテクセンドフォトマスクの開発した技術が業界標準となることを目指しております。

 

材料開発は、同時に知的財産権によるテクセンドフォトマスクグループの優位性構築にも寄与しており、導入初期において販売制限によって他社の参入を排除することはもちろんのこと、普及期においてはロイヤリティ収入を得る形でテクセンドフォトマスクの業績に寄与することになります。

生産技術においても、過去の技術開発ノウハウとそのデータ蓄積に加え、AIの活用により、精度・効率の高いプロセス条件を早期に確立し生産性や良品率の向上を図っております。テクセンドフォトマスクグループのノウハウはテクセンドフォトマスクグループの生産プロセス改善のみならず、顧客プロセスの生産性向上も視野に、特に、HAZEと呼ばれる顧客の生産プロセスにおいて同じフォトマスクを繰り返し使用することで発生するフォトマスクの品質低下に対し、それを抑制する取り組みを強化しております。HAZEが発生した際は当該フォトマスクのHAZEを除去するメンテナンス作業が必要となるところ、HAZEの抑制は顧客生産ラインの稼働率の維持・向上に直結するため、そのような課題を抱える顧客からは一定の評価を得ているものと認識しております。

 

(b) 高度な生産キャパシティ管理について

テクセンドフォトマスクグループではクリティカルレイヤーで必要となるクリティカルレイヤー向け先端生産設備のみならず、ラフレイヤー・ミドルレイヤーで必要となるフォトマスクのためのレガシー生産設備も多数保有しております。これにより先端半導体デバイスにおけるフォトマスクの需要に対し、クリティカル~ラフレイヤーまで、セット単位で対応することができることに加え、量的需要が旺盛なレガシー半導体向けにも対応することが可能であり、広範囲なテクノロジーノードの需要に対応することが可能となっております。

過去に普及したレガシーノード向け生産設備は、現在すでに市場から同じ機種を調達することが困難となっており、新たに調達する場合はオーバースペックとなる先端ノード向けの生産設備を購入せざるを得ません。テクセンドフォトマスクグループではレガシーノード向けフォトマスク生産設備の延命・維持管理にも力を入れており、セルフメンテナンスのノウハウ構築や、EOLを迎えたパーツの代替品開発まで幅広く取り組んでおります。これによってレガシー設備の更新投資を最小化し、競合他社、とりわけ参入障壁の低いレガシーノード領域において新興フォトマスクメーカーに対し大きなコストアドバンテージを得ることにつなげております。

 

(c) グローバル生産体制によるタイムリーかつ柔軟な製品供給について

テクセンドフォトマスクグループでは複数の製造拠点が連携して生産を行っており、製造拠点間のバックアップによって短納期での製品供給とBCP(事業継続計画)を実現しております。

通常、フォトマスクの生産に用いる描画機や検査機といった主要設備は、フォトマスク生産の受注前に顧客の使用許諾(認定)が必要であり、仮に同型機種であっても、その性能において個々に異なる傾向を示すことがあるため、工場が異なれば別個に認定を要求されることも少なくありません。テクセンドフォトマスクグループでは、各生産設備のパラメータに補正をかけプロセス条件を最適化することで、異なる工場の生産設備を使用しても同じ特性の仕上がりとなるよう、サイト間・設備間のデータマッチング技術の高度化に注力しており、その成果として、短期間で複数の生産工場について認定を取得することを可能としております。

 

複数拠点での生産認定に加え、AIを用いた生産管理システムを構築することで、過去の生産データから各設備の工程能力や出荷までの工数を試算し、納期及び設備稼働の最適化を実現すべく、同生産管理システムの開発と改善に取り組んでおります。フォトマスクは顧客の半導体デバイスの設計に合わせた一点一様の製品であり、製品の仕様とその時々の各生産設備の稼働状況に合わせて、多岐に渡る使用すべき装置の組み合わせから、最適な工程順を検討する必要があります。特に、検査工程で欠陥が見つかった場合は修正工程と検査工程を複数回繰り返す可能性があるため、出荷納期のコントロールは容易ではありません。本生産管理システムを用いることで、納期予測の精度向上と、迅速かつ正確な顧客への納期回答を可能とし、得意先からの信頼向上や出荷枚数の増加を目指しております。

 

(d) 最先端領域での取り組みについて

テクセンドフォトマスクグループでは、最先端領域において様々なパートナーとの共同開発プロジェクトに取り組んでおります。フォトマスクの材料ベンダー、生産設備ベンダーのみならず、Interuniversity Microelectronics Centre(imec)などの研究開発機関を介してウェハ工程も含めた様々な先端技術開発プレイヤーとの協働を展開しており、特に直近ではInternational Business Machines Corporation(IBM)社と2nm半導体向けEUVフォトマスクのプロセス共同開発契約を締結しております。

 

また、テクセンドフォトマスク内部の取り組みとしてもマルチビーム描画装置を用いたEUVフォトマスク生産の技術深耕に加え、半導体製造工程のウェハプロセスにおける光の性質を考慮して、フォトマスク上の回路パターンの最適化を図るCurvilinear技術の開発にも注力しており、EUVのみならず従来型の光リソグラフィにおける更なる技術進展にも対応すべく、技術開発・研究開発の取り組みを進めております。

 

(新事業領域)

テクセンドフォトマスクグループは、半導体用フォトマスク事業を通じて培ったリソグラフィ技術を応用し、高精度なナノインプリント用モールド及びシリコンステンシルマスクを開発、製造しております。

 

a ナノインプリント用モールド

ナノインプリントとは、樹脂をモールドと呼ばれる型と基板で挟み込み硬化させることで、数十ナノメートル単位のパターンを転写する微細加工技術です。工程がシンプルなため、微細構造体を安価に再現性良く大量に製造する技術として期待されております。テクセンドフォトマスクグループは、半導体用フォトマスク事業を通じて培ったリソグラフィ技術を応用し、高精度なナノインプリント用モールドを開発、製造しております。

 

b シリコンステンシルマスク

シリコンステンシルマスクは、パターンを形成するためにナノスケールの貫通開口を加工した電子ビームリソグラフィ(EBリソグラフィ:Electron Beam Lithography)用のフォトマスクです。EBリソグラフィは、先端のマスクを作製するための技術として、半導体業界で研究が進められております。テクセンドフォトマスクグループは微細加工技術をコア技術としてステンシルマスクの開発を進め、供給体制を構築しております。

 

(※用語)

フォトリソグラフィ

 

紫外線(UV)、深紫外線(DUV)、極端紫外線(EUV)などの光源を用いて回路パターンを転写する工程

プロセスノード

 

 

プロセスノードとは、半導体製造における微細加工技術の世代や規模を示す指標であり、一般的には、トランジスタのサイズ(ゲート長)や回路の線幅などの最小寸法をナノメートル(nm)単位で表す。「プロセス」を略して単に「ノード」と呼ぶこともある。

IoT

 

"Internet of Things(モノのインターネット)"の略で、さまざまな「モノ」がインターネットに接続され、情報をやり取りする仕組みのこと。従来は人がパソコンやスマートフォンを使ってインターネットにアクセスしていましたが、IoTでは身の回りの「モノ」自体がネットに接続される。

新型バイナリブランクス(OMOG:Opaque MoSi on Glass)

 

遮光膜にCr(クロム)に従来型のバイナリブランクスに代わり、テクセンドフォトマスクが材料メーカーと共同開発した、MoSi(モリブデン・シリサイド)を使用したバイナリブランクスのこと。

ハーフトーン型(Attenuated PSM)

 

 

 

180度の位相差を付けた半透明遮光膜を用いたフォトマスクのこと。光は物質を透過する時に伝播速度が遅れ、その分だけ位相が変わることから、その性質を利用して、半透明な遮光膜をフォトマスク上に付けるとパターンの部分で局所的に位相を変えることが可能となる。

レベンソン型(Alternative PSM)

 

 

フォトマスクに光の位相差を発生させる透明膜を付けたり、フォトマスクのガラスをエッチングして位相差を発生させるタイプの位相シフトマスクのこと。

次世代フォトリソグラフィ

 

従来の光リソグラフィ技術の限界を超え、より小さなプロセスノードでの製造を可能にするリソグラフィ技術のこと。

DUV光

 

Deep Ultravioletの略で、フォトリソグラフィにおいて使用される深紫外線。

ArF

 

 

Argon Fluoride(フッ化アルゴン)エキシマレーザーのこと。半導体製造で用いられる特殊な光源。波長が193nmと非常に短いため、微細なパターンを形成するのに適している。

High-NA

 

EUVプロセスにおけるレンズ開口数NAを従来の0.33から0.55に高める技術。

HAZE

 

露光を繰り返すことで、露光エネルギーがフォトマスク表面のガス状異物に作用し、フォトマスク表面に曇りや成長性の異物を発生させる現象。

EOL

 

「End Of Life」の略称であり、ここではフォトマスク製造装置メーカーが旧世代機種に対する保守サービスや保守パーツの提供を終了すること。

マルチビーム描画装置

 

複数の電子ビームを同時に使用して回路パターンを描画する描画装置のこと。

Curvilinear

 

より複雑な設計のウェハを製造するために、フォトマスク上のパターンにスクエア(曲線)形状を利用する技術

 

 

 

(事業系統図)

 


 


有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

半導体生産における金型ともいうべきフォトマスクは、半導体メーカーの内作マスクショップ又はテクセンドフォトマスクグループのようなフォトマスク生産を専業とする外販マスクベンダーによって供給されており、半導体市場全体の歴史的な離合集散の中、内作・外販から成る今日のフォトマスク市場は限られたプレイヤーによって形成されております。

テクセンドフォトマスクグループは長年培ってきたフォトマスクに関する微細加工技術及び生産技術により、世界各国に生産体制を有する外販フォトマスクベンダーとして、半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア38.9%と世界トップ(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)の地位を確立しており、今後も質と量、最先端とレガシーといった全方位的な需要に対応していくことで、外販フォトマスクベンダーとしての現在の地位を堅持するとともに、市場の発展に寄与していく方針です。

具体的には、最先端領域では積極的な設備投資や人的投資、半導体メーカーや設備・材料ベンダーとの戦略的提携により、EUVフォトマスクをはじめとした新興技術の開発に注力してまいります。

また、レガシー領域に対しては計画的な装置の更新投資や、EOLとなった保守パーツの在庫確保、設備保守技術の内製対応、さらには第三者ベンダーとの代替保守パーツ共同開発など、様々な既存設備延命施策を実施するとともに、生産技術・生産管理の向上により、コスト競争力と生産キャパシティの維持・強化を図ってまいります。

さらに、フォトマスクの製造技術を応用したナノインプリントモールド製品などの事業化を進めており、今後はMRグラス向けWaveguideモールドやメタレンズといった周辺事業領域も開拓することにより、半導体向けフォトマスク以外のビジネスポートフォリオの多様化を図ってまいります。

 

(2) 経営環境

① 経営状況

半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により微細化競争は更に激化しており、最先端半導体メーカーは一桁ナノメートル台あるいは1ナノメートルより更に微細な次世代半導体の開発を追求しております。現在これら最先端半導体に用いられるフォトマスクは、その殆どが各半導体メーカーの内作フォトマスクショップにより供給されておりますが、今後他の半導体メーカーがこれら最先端領域にキャッチアップする際、その多くが内作マスクショップを持たないことから、先端半導体向けフォトマスクの外注需要が高まることが予想されます。同時に、現在最先端半導体を生産する半導体メーカーも、更なる微細化に経営資源を集中する目的で、現在内作で対応しているフォトマスクを外注化することも予想されます。

併せて、今日ではエッジAIやIoTといった過去には存在しなかった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も顕著に増加しており、多くの半導体メーカーにおいてフォトマスクの外注需要が増加しております。一方で、これまでレガシー半導体向けフォトマスク生産に使用されてきた各種の生産設備がEOLを迎えており、設備更新にあたってはオーバースペックとなる最新設備を導入せざるを得ず、コスト競争力が業界全体での課題となっております。

加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが、各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。

 

 

② 市場動向

2025年の半導体市場規模は前年比11.2%増の7,009億ドルになると予測されております(出典:WSTS「2025年春季半導体市場予測について」)。その大部分を占めるのがロジック半導体とメモリ半導体となりますが、中でもロジック半導体はASICやASSPといった特定用途向け半導体において、産業機器向けや車載向けなどの用途拡大と性能の向上により半導体市場全体の成長を牽引しており(図1)、半導体用フォトマスクの需要も拡大しております。

2024年における世界の半導体フォトマスク市場は約55.6億ドルとなりました(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)。ハイエンド品、特にEUVマスクの需要がけん引したことで前年比2.3%の増となりました。2025年はEUVの量産適用が更に加速することが想定され、半導体フォトマスク市場は、58.5億ドル(前年比5.3%増)まで成長することが見込まれております。

フォトマスク市場においては、内作の市場占有度が2024年でも63%(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)と高いものの、コロナ禍を経て幅広いノードで半導体不足が顕在した現在、先端ノードを採用するファウンドリが事業拡大を続けていることに加え、IoTや車載用途の普及により、レガシーノードのデバイス需要も旺盛になっており、外販マスク市場は着実に市場規模を拡大しております(図2)。現在、レガシーノードにおいては、業界全体として製造装置の老朽化が進んでいることから、今後、既存の製造能力に制約が生じる懸念も高まっております。

 

(図1) 用途別半導体市場


出典:世界半導体市場統計(CY23~CY26E)、及び富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」

(CY27E~CY30E)に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

(図2) 半導体用フォトマスクの市場規模推移


出典:テクセンドフォトマスクが調査を委託した第三者機関の調査に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

近年はファブレス・ファンダリモデルの定着に加え、半導体設計ツールの普及などを背景に、専用に設計した特定用途に特化した半導体チップの需要が、レガシー領域も含めて増加しております(図3)。フォトマスクは半導体チップ生産における原版であるところ、半導体用フォトマスク市場においては、レガシー領域の堅調な需要に加え、プロセスノードマイグレーション(微細化、より微細なプロセスノードへの生産移行)による先端ノード需要が増加傾向にあり、広範なプロセスノードにおいてフォトマスクの量的需要(フォトマスクセット数)が増加しております。特に最先端領域においては、微細化の進展に伴い、半導体のチップ構造がより多層化、複雑化するため、その生産に必要な1セット当たりのフォトマスク枚数が増加することに加え、1セットあたりのASP(平均販売価格)も上昇傾向にあります(図4)。

 

(図3) プロセスノード別半導体チップ設計数の推移


出典:IBS 「2025 Analysis on Design Starts」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

 

(図4) プロセスノードごとの半導体チップ構造と必要となるフォトマスクの相関関係イメージ


出典:富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

また、経済安全保障の観点から半導体サプライチェーンの自国・自地域回帰の動きが活発化しており、IDMやファウンドリの新工場・ライン建設への投資が加速傾向にあります。SEMI「World Fab Forecast 3Q23」による半導体製造拠点の建設開始数は以下のように推測されており、この傾向はテクセンドフォトマスクグループのような外販フォトマスクベンダーにとっては追い風となると考えております。

 

 

(単位:拠点数)

 

2023年~2027年(5年間)

全世界

+108

中国

+45

米国

+18

欧州

+12

日本

+11

台湾

+11

東南アジア

+7

韓国

+4

 

出典:SEMI「World Fab Forecast 3Q23」

 

 

以上のとおり、半導体市場の拡大、チップデザインの多様化、プロセスノードの微細化、自国・自地域回帰に伴う半導体デバイスの新工場・ラインの増加等を背景に、マスク外販需要は引き続き成長すると考えられます。併せて、今後内作がHigh-NA EUVに資金と人材を集中させ、既存ノードについては外販を活用する可能性が高いこと、並びに、ファウンドリが最先端ノードの適用を進めることで先端フォトマスクの外販需要の成長がさらに加速していくことが考えられます。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① フォトマスク事業の拡大
a フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長

テクセンドフォトマスクグループの持続的な成長実現には、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠です。

地域軸では、各国地域における業界動向と産業政策や輸出規制等を注視しつつ、投資機会を見極めてまいりますが、特に量的需要の拡大が見込まれるアメリカ及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、テクセンドフォトマスクグループの生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリング強化と、それに伴い同国政府が進める国産化政策によって現地競合企業との競争が激化していることに鑑み、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。

いずれの地域においても、現地当局との関係構築や、有力な顧客との間に長期供給契約を締結することで安定的な取引関係を構築するなど、強固な事業基盤を構築することで、現在のテクセンドフォトマスクグループのポジションを盤石なものとしていくことが重要であると考えております。

先端技術領域においては、テクセンドフォトマスクグループは既に、同領域におけるフォトマスクの技術開発・生産に不可欠となるマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入済みであり、EUVフォトマスクの開発・生産に加え、Curvilinearなど最新技術を用いた光マスクの生産にも適用を進めております。特に、EUVフォトマスクに関しては、ブランクスメーカーと共同でHigh-NAリソグラフィ向けの新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を実施し、次世代のEUVフォトマスク開発において競合他社に先行することを目指しております。

 

b レガシー領域の戦略的強化

前掲「プロセスノード別半導体チップ設計数の推移」にあるように、今日の半導体市場では28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー半導体領域においても成長が見込まれております。これはAIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加する一方で、レガシー領域においてはIoTや自動運転など多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高い性能を必要としない半導体の量的需要が増加することに起因しております。

テクセンドフォトマスクグループでは、こうした旺盛な需要に対するタイムリーなフォトマスク供給体制を維持すべく、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的・計画的な更新に取り組んでおります。加えて、装置延命と自社内保守技術の高度化により稼働率の維持・向上と原価低減を図るとともに、元の装置ベンダーとは異なる後発ベンダーと連携した代替パーツの共同開発等も進めており、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。

 

c グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化

テクセンドフォトマスクグループ各社では、得意先と同一国内に存在する製造拠点での生産を原則としながらも、顧客要求仕様や各製造拠点における稼働状況、生産能力等に鑑みて、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に努めております。本施策の更なる向上のため、8生産拠点が連携し、あたかも1つの工場(バーチャル「1」工場)として機能するよう、拠点間の生産委託の自動化と、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を推進し、ワークフロー改革に取り組んでおります。

 

② 新事業の開拓

テクセンドフォトマスクグループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、テクセンドフォトマスクでは特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールドによる競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場におけるテクセンドフォトマスクグループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。

 

さらに、中期的な戦略としてはナノインプリント技術を活用した試作ビジネスを日本で展開すべく、朝霞工場において試作ラインを構築するとともに、ARグラス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、本格量産に向けたOEMやターンキーソリューションの提供体制を構築することを計画しております。

 

ナノインプリントモールドの形状

 


 

③ ESGの強化

テクセンドフォトマスクグループは、社会的責任のある企業として、脱炭素・低炭素を目指す取り組みを積極的に推進しております。特に、フォトマスク製造には大きな電力を消費することを意識し、設備投資によるエネルギー効率の改善や、IoT技術を用いた運用管理の最適化を実施し、事業を拡大しながらも炭素排出量の削減に努めてまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

テクセンドフォトマスクグループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。

 

(※用語)

Waveguide

 

光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。

メタレンズ

 

 

ナノスケールの構造を利用して光を精密に制御する光学デバイスのことで、スマートフォンカメラ、AR/VRデバイス、医療機器、LiDARシステムなど、多岐にわたる応用分野で使用される。

ASIC

「Application Specific Integrated Circuit」の略称。特定用途向けICのこと。

ASSP

「Application Specific Standard Product」の略称。特定用途向け専用標準ICのこと。

マスターモールド

 

ナノインプリント技術において使用される金型のこと。テクセンドフォトマスクでは3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

 

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

半導体生産における金型ともいうべきフォトマスクは、半導体メーカーの内作マスクショップ又はテクセンドフォトマスクグループのようなフォトマスク生産を専業とする外販マスクベンダーによって供給されており、半導体市場全体の歴史的な離合集散の中、内作・外販から成る今日のフォトマスク市場は限られたプレイヤーによって形成されております。

テクセンドフォトマスクグループは長年培ってきたフォトマスクに関する微細加工技術及び生産技術により、世界各国に生産体制を有する外販フォトマスクベンダーとして、半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア38.9%と世界トップ(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)の地位を確立しており、今後も質と量、最先端とレガシーといった全方位的な需要に対応していくことで、外販フォトマスクベンダーとしての現在の地位を堅持するとともに、市場の発展に寄与していく方針です。

具体的には、最先端領域では積極的な設備投資や人的投資、半導体メーカーや設備・材料ベンダーとの戦略的提携により、EUVフォトマスクをはじめとした新興技術の開発に注力してまいります。

また、レガシー領域に対しては計画的な装置の更新投資や、EOLとなった保守パーツの在庫確保、設備保守技術の内製対応、さらには第三者ベンダーとの代替保守パーツ共同開発など、様々な既存設備延命施策を実施するとともに、生産技術・生産管理の向上により、コスト競争力と生産キャパシティの維持・強化を図ってまいります。

さらに、フォトマスクの製造技術を応用したナノインプリントモールド製品などの事業化を進めており、今後はMRグラス向けWaveguideモールドやメタレンズといった周辺事業領域も開拓することにより、半導体向けフォトマスク以外のビジネスポートフォリオの多様化を図ってまいります。

 

(2) 経営環境

① 経営状況

半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により微細化競争は更に激化しており、最先端半導体メーカーは一桁ナノメートル台あるいは1ナノメートルより更に微細な次世代半導体の開発を追求しております。現在これら最先端半導体に用いられるフォトマスクは、その殆どが各半導体メーカーの内作フォトマスクショップにより供給されておりますが、今後他の半導体メーカーがこれら最先端領域にキャッチアップする際、その多くが内作マスクショップを持たないことから、先端半導体向けフォトマスクの外注需要が高まることが予想されます。同時に、現在最先端半導体を生産する半導体メーカーも、更なる微細化に経営資源を集中する目的で、現在内作で対応しているフォトマスクを外注化することも予想されます。

併せて、今日ではエッジAIやIoTといった過去には存在しなかった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も顕著に増加しており、多くの半導体メーカーにおいてフォトマスクの外注需要が増加しております。一方で、これまでレガシー半導体向けフォトマスク生産に使用されてきた各種の生産設備がEOLを迎えており、設備更新にあたってはオーバースペックとなる最新設備を導入せざるを得ず、コスト競争力が業界全体での課題となっております。

加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが、各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。

 

 

② 市場動向

2025年の半導体市場規模は前年比11.2%増の7,009億ドルになると予測されております(出典:WSTS「2025年春季半導体市場予測について」)。その大部分を占めるのがロジック半導体とメモリ半導体となりますが、中でもロジック半導体はASICやASSPといった特定用途向け半導体において、産業機器向けや車載向けなどの用途拡大と性能の向上により半導体市場全体の成長を牽引しており(図1)、半導体用フォトマスクの需要も拡大しております。

2024年における世界の半導体フォトマスク市場は約55.6億ドルとなりました(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)。ハイエンド品、特にEUVマスクの需要がけん引したことで前年比2.3%の増となりました。2025年はEUVの量産適用が更に加速することが想定され、半導体フォトマスク市場は、58.5億ドル(前年比5.3%増)まで成長することが見込まれております。

フォトマスク市場においては、内作の市場占有度が2024年でも63%(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)と高いものの、コロナ禍を経て幅広いノードで半導体不足が顕在した現在、先端ノードを採用するファウンドリが事業拡大を続けていることに加え、IoTや車載用途の普及により、レガシーノードのデバイス需要も旺盛になっており、外販マスク市場は着実に市場規模を拡大しております(図2)。現在、レガシーノードにおいては、業界全体として製造装置の老朽化が進んでいることから、今後、既存の製造能力に制約が生じる懸念も高まっております。

 

(図1) 用途別半導体市場


出典:世界半導体市場統計(CY23~CY26E)、及び富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」

(CY27E~CY30E)に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

(図2) 半導体用フォトマスクの市場規模推移


出典:テクセンドフォトマスクが調査を委託した第三者機関の調査に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

近年はファブレス・ファンダリモデルの定着に加え、半導体設計ツールの普及などを背景に、専用に設計した特定用途に特化した半導体チップの需要が、レガシー領域も含めて増加しております(図3)。フォトマスクは半導体チップ生産における原版であるところ、半導体用フォトマスク市場においては、レガシー領域の堅調な需要に加え、プロセスノードマイグレーション(微細化、より微細なプロセスノードへの生産移行)による先端ノード需要が増加傾向にあり、広範なプロセスノードにおいてフォトマスクの量的需要(フォトマスクセット数)が増加しております。特に最先端領域においては、微細化の進展に伴い、半導体のチップ構造がより多層化、複雑化するため、その生産に必要な1セット当たりのフォトマスク枚数が増加することに加え、1セットあたりのASP(平均販売価格)も上昇傾向にあります(図4)。

 

(図3) プロセスノード別半導体チップ設計数の推移


出典:IBS 「2025 Analysis on Design Starts」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

 

(図4) プロセスノードごとの半導体チップ構造と必要となるフォトマスクの相関関係イメージ


出典:富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

また、経済安全保障の観点から半導体サプライチェーンの自国・自地域回帰の動きが活発化しており、IDMやファウンドリの新工場・ライン建設への投資が加速傾向にあります。SEMI「World Fab Forecast 3Q23」による半導体製造拠点の建設開始数は以下のように推測されており、この傾向はテクセンドフォトマスクグループのような外販フォトマスクベンダーにとっては追い風となると考えております。

 

 

(単位:拠点数)

 

2023年~2027年(5年間)

全世界

+108

中国

+45

米国

+18

欧州

+12

日本

+11

台湾

+11

東南アジア

+7

韓国

+4

 

出典:SEMI「World Fab Forecast 3Q23」

 

 

以上のとおり、半導体市場の拡大、チップデザインの多様化、プロセスノードの微細化、自国・自地域回帰に伴う半導体デバイスの新工場・ラインの増加等を背景に、マスク外販需要は引き続き成長すると考えられます。併せて、今後内作がHigh-NA EUVに資金と人材を集中させ、既存ノードについては外販を活用する可能性が高いこと、並びに、ファウンドリが最先端ノードの適用を進めることで先端フォトマスクの外販需要の成長がさらに加速していくことが考えられます。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① フォトマスク事業の拡大
a フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長

テクセンドフォトマスクグループの持続的な成長実現には、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠です。

地域軸では、各国地域における業界動向と産業政策や輸出規制等を注視しつつ、投資機会を見極めてまいりますが、特に量的需要の拡大が見込まれるアメリカ及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、テクセンドフォトマスクグループの生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリング強化と、それに伴い同国政府が進める国産化政策によって現地競合企業との競争が激化していることに鑑み、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。

いずれの地域においても、現地当局との関係構築や、有力な顧客との間に長期供給契約を締結することで安定的な取引関係を構築するなど、強固な事業基盤を構築することで、現在のテクセンドフォトマスクグループのポジションを盤石なものとしていくことが重要であると考えております。

先端技術領域においては、テクセンドフォトマスクグループは既に、同領域におけるフォトマスクの技術開発・生産に不可欠となるマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入済みであり、EUVフォトマスクの開発・生産に加え、Curvilinearなど最新技術を用いた光マスクの生産にも適用を進めております。特に、EUVフォトマスクに関しては、ブランクスメーカーと共同でHigh-NAリソグラフィ向けの新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を実施し、次世代のEUVフォトマスク開発において競合他社に先行することを目指しております。

 

b レガシー領域の戦略的強化

前掲「プロセスノード別半導体チップ設計数の推移」にあるように、今日の半導体市場では28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー半導体領域においても成長が見込まれております。これはAIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加する一方で、レガシー領域においてはIoTや自動運転など多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高い性能を必要としない半導体の量的需要が増加することに起因しております。

テクセンドフォトマスクグループでは、こうした旺盛な需要に対するタイムリーなフォトマスク供給体制を維持すべく、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的・計画的な更新に取り組んでおります。加えて、装置延命と自社内保守技術の高度化により稼働率の維持・向上と原価低減を図るとともに、元の装置ベンダーとは異なる後発ベンダーと連携した代替パーツの共同開発等も進めており、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。

 

c グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化

テクセンドフォトマスクグループ各社では、得意先と同一国内に存在する製造拠点での生産を原則としながらも、顧客要求仕様や各製造拠点における稼働状況、生産能力等に鑑みて、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に努めております。本施策の更なる向上のため、8生産拠点が連携し、あたかも1つの工場(バーチャル「1」工場)として機能するよう、拠点間の生産委託の自動化と、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を推進し、ワークフロー改革に取り組んでおります。

 

② 新事業の開拓

テクセンドフォトマスクグループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、テクセンドフォトマスクでは特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールドによる競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場におけるテクセンドフォトマスクグループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。

 

さらに、中期的な戦略としてはナノインプリント技術を活用した試作ビジネスを日本で展開すべく、朝霞工場において試作ラインを構築するとともに、ARグラス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、本格量産に向けたOEMやターンキーソリューションの提供体制を構築することを計画しております。

 

ナノインプリントモールドの形状

 


 

③ ESGの強化

テクセンドフォトマスクグループは、社会的責任のある企業として、脱炭素・低炭素を目指す取り組みを積極的に推進しております。特に、フォトマスク製造には大きな電力を消費することを意識し、設備投資によるエネルギー効率の改善や、IoT技術を用いた運用管理の最適化を実施し、事業を拡大しながらも炭素排出量の削減に努めてまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

テクセンドフォトマスクグループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。

 

(※用語)

Waveguide

 

光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。

メタレンズ

 

 

ナノスケールの構造を利用して光を精密に制御する光学デバイスのことで、スマートフォンカメラ、AR/VRデバイス、医療機器、LiDARシステムなど、多岐にわたる応用分野で使用される。

ASIC

「Application Specific Integrated Circuit」の略称。特定用途向けICのこと。

ASSP

「Application Specific Standard Product」の略称。特定用途向け専用標準ICのこと。

マスターモールド

 

ナノインプリント技術において使用される金型のこと。テクセンドフォトマスクでは3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

 

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

半導体生産における金型ともいうべきフォトマスクは、半導体メーカーの内作マスクショップ又はテクセンドフォトマスクグループのようなフォトマスク生産を専業とする外販マスクベンダーによって供給されており、半導体市場全体の歴史的な離合集散の中、内作・外販から成る今日のフォトマスク市場は限られたプレイヤーによって形成されております。

テクセンドフォトマスクグループは長年培ってきたフォトマスクに関する微細加工技術及び生産技術により、世界各国に生産体制を有する外販フォトマスクベンダーとして、半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア38.9%と世界トップ(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)の地位を確立しており、今後も質と量、最先端とレガシーといった全方位的な需要に対応していくことで、外販フォトマスクベンダーとしての現在の地位を堅持するとともに、市場の発展に寄与していく方針です。

具体的には、最先端領域では積極的な設備投資や人的投資、半導体メーカーや設備・材料ベンダーとの戦略的提携により、EUVフォトマスクをはじめとした新興技術の開発に注力してまいります。

また、レガシー領域に対しては計画的な装置の更新投資や、EOLとなった保守パーツの在庫確保、設備保守技術の内製対応、さらには第三者ベンダーとの代替保守パーツ共同開発など、様々な既存設備延命施策を実施するとともに、生産技術・生産管理の向上により、コスト競争力と生産キャパシティの維持・強化を図ってまいります。

さらに、フォトマスクの製造技術を応用したナノインプリントモールド製品などの事業化を進めており、今後はMRグラス向けWaveguideモールドやメタレンズといった周辺事業領域も開拓することにより、半導体向けフォトマスク以外のビジネスポートフォリオの多様化を図ってまいります。

 

(2) 経営環境

① 経営状況

半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により微細化競争は更に激化しており、最先端半導体メーカーは一桁ナノメートル台あるいは1ナノメートルより更に微細な次世代半導体の開発を追求しております。現在これら最先端半導体に用いられるフォトマスクは、その殆どが各半導体メーカーの内作フォトマスクショップにより供給されておりますが、今後他の半導体メーカーがこれら最先端領域にキャッチアップする際、その多くが内作マスクショップを持たないことから、先端半導体向けフォトマスクの外注需要が高まることが予想されます。同時に、現在最先端半導体を生産する半導体メーカーも、更なる微細化に経営資源を集中する目的で、現在内作で対応しているフォトマスクを外注化することも予想されます。

併せて、今日ではエッジAIやIoTといった過去には存在しなかった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も顕著に増加しており、多くの半導体メーカーにおいてフォトマスクの外注需要が増加しております。一方で、これまでレガシー半導体向けフォトマスク生産に使用されてきた各種の生産設備がEOLを迎えており、設備更新にあたってはオーバースペックとなる最新設備を導入せざるを得ず、コスト競争力が業界全体での課題となっております。

加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが、各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。

 

 

② 市場動向

2025年の半導体市場規模は前年比11.2%増の7,009億ドルになると予測されております(出典:WSTS「2025年春季半導体市場予測について」)。その大部分を占めるのがロジック半導体とメモリ半導体となりますが、中でもロジック半導体はASICやASSPといった特定用途向け半導体において、産業機器向けや車載向けなどの用途拡大と性能の向上により半導体市場全体の成長を牽引しており(図1)、半導体用フォトマスクの需要も拡大しております。

2024年における世界の半導体フォトマスク市場は約55.6億ドルとなりました(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)。ハイエンド品、特にEUVマスクの需要がけん引したことで前年比2.3%の増となりました。2025年はEUVの量産適用が更に加速することが想定され、半導体フォトマスク市場は、58.5億ドル(前年比5.3%増)まで成長することが見込まれております。

フォトマスク市場においては、内作の市場占有度が2024年でも63%(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)と高いものの、コロナ禍を経て幅広いノードで半導体不足が顕在した現在、先端ノードを採用するファウンドリが事業拡大を続けていることに加え、IoTや車載用途の普及により、レガシーノードのデバイス需要も旺盛になっており、外販マスク市場は着実に市場規模を拡大しております(図2)。現在、レガシーノードにおいては、業界全体として製造装置の老朽化が進んでいることから、今後、既存の製造能力に制約が生じる懸念も高まっております。

 

(図1) 用途別半導体市場


出典:世界半導体市場統計(CY23~CY26E)、及び富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」

(CY27E~CY30E)に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

(図2) 半導体用フォトマスクの市場規模推移


出典:テクセンドフォトマスクが調査を委託した第三者機関の調査に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

近年はファブレス・ファンダリモデルの定着に加え、半導体設計ツールの普及などを背景に、専用に設計した特定用途に特化した半導体チップの需要が、レガシー領域も含めて増加しております(図3)。フォトマスクは半導体チップ生産における原版であるところ、半導体用フォトマスク市場においては、レガシー領域の堅調な需要に加え、プロセスノードマイグレーション(微細化、より微細なプロセスノードへの生産移行)による先端ノード需要が増加傾向にあり、広範なプロセスノードにおいてフォトマスクの量的需要(フォトマスクセット数)が増加しております。特に最先端領域においては、微細化の進展に伴い、半導体のチップ構造がより多層化、複雑化するため、その生産に必要な1セット当たりのフォトマスク枚数が増加することに加え、1セットあたりのASP(平均販売価格)も上昇傾向にあります(図4)。

 

(図3) プロセスノード別半導体チップ設計数の推移


出典:IBS 「2025 Analysis on Design Starts」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

 

(図4) プロセスノードごとの半導体チップ構造と必要となるフォトマスクの相関関係イメージ


出典:富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

また、経済安全保障の観点から半導体サプライチェーンの自国・自地域回帰の動きが活発化しており、IDMやファウンドリの新工場・ライン建設への投資が加速傾向にあります。SEMI「World Fab Forecast 3Q23」による半導体製造拠点の建設開始数は以下のように推測されており、この傾向はテクセンドフォトマスクグループのような外販フォトマスクベンダーにとっては追い風となると考えております。

 

 

(単位:拠点数)

 

2023年~2027年(5年間)

全世界

+108

中国

+45

米国

+18

欧州

+12

日本

+11

台湾

+11

東南アジア

+7

韓国

+4

 

出典:SEMI「World Fab Forecast 3Q23」

 

 

以上のとおり、半導体市場の拡大、チップデザインの多様化、プロセスノードの微細化、自国・自地域回帰に伴う半導体デバイスの新工場・ラインの増加等を背景に、マスク外販需要は引き続き成長すると考えられます。併せて、今後内作がHigh-NA EUVに資金と人材を集中させ、既存ノードについては外販を活用する可能性が高いこと、並びに、ファウンドリが最先端ノードの適用を進めることで先端フォトマスクの外販需要の成長がさらに加速していくことが考えられます。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① フォトマスク事業の拡大
a フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長

テクセンドフォトマスクグループの持続的な成長実現には、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠です。

地域軸では、各国地域における業界動向と産業政策や輸出規制等を注視しつつ、投資機会を見極めてまいりますが、特に量的需要の拡大が見込まれるアメリカ及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、テクセンドフォトマスクグループの生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリング強化と、それに伴い同国政府が進める国産化政策によって現地競合企業との競争が激化していることに鑑み、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。

いずれの地域においても、現地当局との関係構築や、有力な顧客との間に長期供給契約を締結することで安定的な取引関係を構築するなど、強固な事業基盤を構築することで、現在のテクセンドフォトマスクグループのポジションを盤石なものとしていくことが重要であると考えております。

先端技術領域においては、テクセンドフォトマスクグループは既に、同領域におけるフォトマスクの技術開発・生産に不可欠となるマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入済みであり、EUVフォトマスクの開発・生産に加え、Curvilinearなど最新技術を用いた光マスクの生産にも適用を進めております。特に、EUVフォトマスクに関しては、ブランクスメーカーと共同でHigh-NAリソグラフィ向けの新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を実施し、次世代のEUVフォトマスク開発において競合他社に先行することを目指しております。

 

b レガシー領域の戦略的強化

前掲「プロセスノード別半導体チップ設計数の推移」にあるように、今日の半導体市場では28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー半導体領域においても成長が見込まれております。これはAIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加する一方で、レガシー領域においてはIoTや自動運転など多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高い性能を必要としない半導体の量的需要が増加することに起因しております。

テクセンドフォトマスクグループでは、こうした旺盛な需要に対するタイムリーなフォトマスク供給体制を維持すべく、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的・計画的な更新に取り組んでおります。加えて、装置延命と自社内保守技術の高度化により稼働率の維持・向上と原価低減を図るとともに、元の装置ベンダーとは異なる後発ベンダーと連携した代替パーツの共同開発等も進めており、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。

 

c グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化

テクセンドフォトマスクグループ各社では、得意先と同一国内に存在する製造拠点での生産を原則としながらも、顧客要求仕様や各製造拠点における稼働状況、生産能力等に鑑みて、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に努めております。本施策の更なる向上のため、8生産拠点が連携し、あたかも1つの工場(バーチャル「1」工場)として機能するよう、拠点間の生産委託の自動化と、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を推進し、ワークフロー改革に取り組んでおります。

 

② 新事業の開拓

テクセンドフォトマスクグループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、テクセンドフォトマスクでは特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールドによる競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場におけるテクセンドフォトマスクグループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。

 

さらに、中期的な戦略としてはナノインプリント技術を活用した試作ビジネスを日本で展開すべく、朝霞工場において試作ラインを構築するとともに、ARグラス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、本格量産に向けたOEMやターンキーソリューションの提供体制を構築することを計画しております。

 

ナノインプリントモールドの形状

 


 

③ ESGの強化

テクセンドフォトマスクグループは、社会的責任のある企業として、脱炭素・低炭素を目指す取り組みを積極的に推進しております。特に、フォトマスク製造には大きな電力を消費することを意識し、設備投資によるエネルギー効率の改善や、IoT技術を用いた運用管理の最適化を実施し、事業を拡大しながらも炭素排出量の削減に努めてまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

テクセンドフォトマスクグループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。

 

(※用語)

Waveguide

 

光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。

メタレンズ

 

 

ナノスケールの構造を利用して光を精密に制御する光学デバイスのことで、スマートフォンカメラ、AR/VRデバイス、医療機器、LiDARシステムなど、多岐にわたる応用分野で使用される。

ASIC

「Application Specific Integrated Circuit」の略称。特定用途向けICのこと。

ASSP

「Application Specific Standard Product」の略称。特定用途向け専用標準ICのこと。

マスターモールド

 

ナノインプリント技術において使用される金型のこと。テクセンドフォトマスクでは3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

 

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

半導体生産における金型ともいうべきフォトマスクは、半導体メーカーの内作マスクショップ又はテクセンドフォトマスクグループのようなフォトマスク生産を専業とする外販マスクベンダーによって供給されており、半導体市場全体の歴史的な離合集散の中、内作・外販から成る今日のフォトマスク市場は限られたプレイヤーによって形成されております。

テクセンドフォトマスクグループは長年培ってきたフォトマスクに関する微細加工技術及び生産技術により、世界各国に生産体制を有する外販フォトマスクベンダーとして、半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア37.8%と世界トップ(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)の地位を確立しており、今後も質と量、最先端とレガシーといった全方位的な需要に対応していくことで、外販フォトマスクベンダーとしての現在の地位を堅持するとともに、市場の発展に寄与していく方針です。

具体的には、最先端領域では積極的な設備投資や人的投資、半導体メーカーや設備・材料ベンダーとの戦略的提携により、EUVフォトマスクをはじめとした新興技術の開発に注力してまいります。

また、レガシー領域に対しては計画的な装置の更新投資や、EOLとなった保守パーツの在庫確保、設備保守技術の内製対応、さらには第三者ベンダーとの代替保守パーツ共同開発など、様々な既存設備延命施策を実施するとともに、生産技術・生産管理の向上により、コスト競争力と生産キャパシティの維持・強化を図ってまいります。

さらに、フォトマスクの製造技術を応用したナノインプリントモールド製品などの事業化を進めており、今後はMRグラス向けWaveguideモールドやメタレンズといった周辺事業領域も開拓することにより、半導体向けフォトマスク以外のビジネスポートフォリオの多様化を図ってまいります。

 

(2) 経営環境

① 経営状況

半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により微細化競争は更に激化しており、最先端半導体メーカーは一桁ナノメートル台あるいは1ナノメートルより更に微細な次世代半導体の開発を追求しております。現在これら最先端半導体に用いられるフォトマスクは、その殆どが各半導体メーカーの内作フォトマスクショップにより供給されておりますが、今後他の半導体メーカーがこれら最先端領域にキャッチアップする際、その多くが内作マスクショップを持たないことから、先端半導体向けフォトマスクの外注需要が高まることが予想されます。同時に、現在最先端半導体を生産する半導体メーカーも、更なる微細化に経営資源を集中する目的で、現在内作で対応しているフォトマスクを外注化することも予想されます。

併せて、今日ではエッジAIやIoTといった過去には存在しなかった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も顕著に増加しており、多くの半導体メーカーにおいてフォトマスクの外注需要が増加しております。一方で、これまでレガシー半導体向けフォトマスク生産に使用されてきた各種の生産設備がEOLを迎えており、設備更新にあたってはオーバースペックとなる最新設備を導入せざるを得ず、コスト競争力が業界全体での課題となっております。

加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが、各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。

 

 

② 市場動向

2025年の半導体市場規模は前年比11.2%増の7,009億ドルになると予測されております(出典:WSTS「2025年春季半導体市場予測について」)。その大部分を占めるのがロジック半導体とメモリ半導体となりますが、中でもロジック半導体はASICやASSPといった特定用途向け半導体において、産業機器向けや車載向けなどの用途拡大と性能の向上により半導体市場全体の成長を牽引しており(図1)、半導体用フォトマスクの需要も拡大しております。

2024年における世界の半導体フォトマスク市場は約55.6億ドルとなりました(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)。ハイエンド品、特にEUVマスクの需要がけん引したことで前年比2.3%の増となりました。2025年はEUVの量産適用が更に加速することが想定され、半導体フォトマスク市場は、58.5億ドル(前年比5.3%増)まで成長することが見込まれております。

フォトマスク市場においては、内作の市場占有度が2024年でも63%(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)と高いものの、コロナ禍を経て幅広いノードで半導体不足が顕在した現在、先端ノードを採用するファウンドリが事業拡大を続けていることに加え、IoTや車載用途の普及により、レガシーノードのデバイス需要も旺盛になっており、外販マスク市場は着実に市場規模を拡大しております(図2)。現在、レガシーノードにおいては、業界全体として製造装置の老朽化が進んでいることから、今後、既存の製造能力に制約が生じる懸念も高まっております。

 

(図1) 用途別半導体市場


出典:世界半導体市場統計(CY23~CY26E)、及び富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」

(CY27E~CY30E)に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

(図2) 半導体用フォトマスクの市場規模推移


出典:テクセンドフォトマスクが調査を委託した第三者機関の調査に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

近年はファブレス・ファンダリモデルの定着に加え、半導体設計ツールの普及などを背景に、専用に設計した特定用途に特化した半導体チップの需要が、レガシー領域も含めて増加しております(図3)。フォトマスクは半導体チップ生産における原版であるところ、半導体用フォトマスク市場においては、レガシー領域の堅調な需要に加え、プロセスノードマイグレーション(微細化、より微細なプロセスノードへの生産移行)による先端ノード需要が増加傾向にあり、広範なプロセスノードにおいてフォトマスクの量的需要(フォトマスクセット数)が増加しております。特に最先端領域においては、微細化の進展に伴い、半導体のチップ構造がより多層化、複雑化するため、その生産に必要な1セット当たりのフォトマスク枚数が増加することに加え、1セットあたりのASP(平均販売価格)も上昇傾向にあります(図4)。

 

(図3) プロセスノード別半導体チップ設計数の推移


出典:IBS 「2025 Analysis on Design Starts」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

 

(図4) プロセスノードごとの半導体チップ構造と必要となるフォトマスクの相関関係イメージ


出典:富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

また、経済安全保障の観点から半導体サプライチェーンの自国・自地域回帰の動きが活発化しており、IDMやファウンドリの新工場・ライン建設への投資が加速傾向にあります。SEMI「World Fab Forecast 3Q23」による半導体製造拠点の建設開始数は以下のように推測されており、この傾向はテクセンドフォトマスクグループのような外販フォトマスクベンダーにとっては追い風となると考えております。

 

 

(単位:拠点数)

 

2023年~2027年(5年間)

全世界

+108

中国

+45

米国

+18

欧州

+12

日本

+11

台湾

+11

東南アジア

+7

韓国

+4

 

出典:SEMI「World Fab Forecast 3Q23」

 

 

以上のとおり、半導体市場の拡大、チップデザインの多様化、プロセスノードの微細化、自国・自地域回帰に伴う半導体デバイスの新工場・ラインの増加等を背景に、マスク外販需要は引き続き成長すると考えられます。併せて、今後内作がHigh-NA EUVに資金と人材を集中させ、既存ノードについては外販を活用する可能性が高いこと、並びに、ファウンドリが最先端ノードの適用を進めることで先端フォトマスクの外販需要の成長がさらに加速していくことが考えられます。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① フォトマスク事業の拡大
a フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長

テクセンドフォトマスクグループの持続的な成長実現には、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠です。

地域軸では、各国地域における業界動向と産業政策や輸出規制等を注視しつつ、投資機会を見極めてまいりますが、特に量的需要の拡大が見込まれるアメリカ及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、テクセンドフォトマスクグループの生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリング強化と、それに伴い同国政府が進める国産化政策によって現地競合企業との競争が激化していることに鑑み、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。

いずれの地域においても、現地当局との関係構築や、有力な顧客との間に長期供給契約を締結することで安定的な取引関係を構築するなど、強固な事業基盤を構築することで、現在のテクセンドフォトマスクグループのポジションを盤石なものとしていくことが重要であると考えております。

先端技術領域においては、テクセンドフォトマスクグループは既に、同領域におけるフォトマスクの技術開発・生産に不可欠となるマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入済みであり、EUVフォトマスクの開発・生産に加え、Curvilinearなど最新技術を用いた光マスクの生産にも適用を進めております。特に、EUVフォトマスクに関しては、ブランクスメーカーと共同でHigh-NAリソグラフィ向けの新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を実施し、次世代のEUVフォトマスク開発において競合他社に先行することを目指しております。

 

b レガシー領域の戦略的強化

前掲「プロセスノード別半導体チップ設計数の推移」にあるように、今日の半導体市場では28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー半導体領域においても成長が見込まれております。これはAIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加する一方で、レガシー領域においてはIoTや自動運転など多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高い性能を必要としない半導体の量的需要が増加することに起因しております。

テクセンドフォトマスクグループでは、こうした旺盛な需要に対するタイムリーなフォトマスク供給体制を維持すべく、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的・計画的な更新に取り組んでおります。加えて、装置延命と自社内保守技術の高度化により稼働率の維持・向上と原価低減を図るとともに、元の装置ベンダーとは異なる後発ベンダーと連携した代替パーツの共同開発等も進めており、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。

 

c グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化

テクセンドフォトマスクグループ各社では、得意先と同一国内に存在する製造拠点での生産を原則としながらも、顧客要求仕様や各製造拠点における稼働状況、生産能力等に鑑みて、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に努めております。本施策の更なる向上のため、8生産拠点が連携し、あたかも1つの工場(バーチャル「1」工場)として機能するよう、拠点間の生産委託の自動化と、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を推進し、ワークフロー改革に取り組んでおります。

 

② 新事業の開拓

テクセンドフォトマスクグループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、テクセンドフォトマスクでは特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールドによる競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場におけるテクセンドフォトマスクグループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。

 

さらに、中期的な戦略としてはナノインプリント技術を活用した試作ビジネスを日本で展開すべく、朝霞工場において試作ラインを構築するとともに、ARグラス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、本格量産に向けたOEMやターンキーソリューションの提供体制を構築することを計画しております。

 

ナノインプリントモールドの形状

 


 

③ ESGの強化

テクセンドフォトマスクグループは、社会的責任のある企業として、脱炭素・低炭素を目指す取り組みを積極的に推進しております。特に、フォトマスク製造には大きな電力を消費することを意識し、設備投資によるエネルギー効率の改善や、IoT技術を用いた運用管理の最適化を実施し、事業を拡大しながらも炭素排出量の削減に努めてまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

テクセンドフォトマスクグループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。

 

(※用語)

Waveguide

 

光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。

メタレンズ

 

 

ナノスケールの構造を利用して光を精密に制御する光学デバイスのことで、スマートフォンカメラ、AR/VRデバイス、医療機器、LiDARシステムなど、多岐にわたる応用分野で使用される。

ASIC

「Application Specific Integrated Circuit」の略称。特定用途向けICのこと。

ASSP

「Application Specific Standard Product」の略称。特定用途向け専用標準ICのこと。

マスターモールド

 

ナノインプリント技術において使用される金型のこと。テクセンドフォトマスクでは3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

 

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

半導体生産における金型ともいうべきフォトマスクは、半導体メーカーの内作マスクショップ又はテクセンドフォトマスクグループのようなフォトマスク生産を専業とする外販マスクベンダーによって供給されており、半導体市場全体の歴史的な離合集散の中、内作・外販から成る今日のフォトマスク市場は限られたプレイヤーによって形成されております。

テクセンドフォトマスクグループは長年培ってきたフォトマスクに関する微細加工技術及び生産技術により、世界各国に生産体制を有する外販フォトマスクベンダーとして、半導体向け外販フォトマスク市場におけるシェア37.8%と世界トップ(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)の地位を確立しており、今後も質と量、最先端とレガシーといった全方位的な需要に対応していくことで、外販フォトマスクベンダーとしての現在の地位を堅持するとともに、市場の発展に寄与していく方針です。

具体的には、最先端領域では積極的な設備投資や人的投資、半導体メーカーや設備・材料ベンダーとの戦略的提携により、EUVフォトマスクをはじめとした新興技術の開発に注力してまいります。

また、レガシー領域に対しては計画的な装置の更新投資や、EOLとなった保守パーツの在庫確保、設備保守技術の内製対応、さらには第三者ベンダーとの代替保守パーツ共同開発など、様々な既存設備延命施策を実施するとともに、生産技術・生産管理の向上により、コスト競争力と生産キャパシティの維持・強化を図ってまいります。

さらに、フォトマスクの製造技術を応用したナノインプリントモールド製品などの事業化を進めており、今後はMRグラス向けWaveguideモールドやメタレンズといった周辺事業領域も開拓することにより、半導体向けフォトマスク以外のビジネスポートフォリオの多様化を図ってまいります。

 

(2) 経営環境

① 経営状況

半導体市場は歴史的に微細化の追求とともに成長してきましたが、近年ではEUVリソグラフィの実用化等の技術革新により微細化競争は更に激化しており、最先端半導体メーカーは一桁ナノメートル台あるいは1ナノメートルより更に微細な次世代半導体の開発を追求しております。現在これら最先端半導体に用いられるフォトマスクは、その殆どが各半導体メーカーの内作フォトマスクショップにより供給されておりますが、今後他の半導体メーカーがこれら最先端領域にキャッチアップする際、その多くが内作マスクショップを持たないことから、先端半導体向けフォトマスクの外注需要が高まることが予想されます。同時に、現在最先端半導体を生産する半導体メーカーも、更なる微細化に経営資源を集中する目的で、現在内作で対応しているフォトマスクを外注化することも予想されます。

併せて、今日ではエッジAIやIoTといった過去には存在しなかった半導体の用途が拡充されたことにより、先端光マスクの需要も顕著に増加しており、多くの半導体メーカーにおいてフォトマスクの外注需要が増加しております。一方で、これまでレガシー半導体向けフォトマスク生産に使用されてきた各種の生産設備がEOLを迎えており、設備更新にあたってはオーバースペックとなる最新設備を導入せざるを得ず、コスト競争力が業界全体での課題となっております。

加えて、米中摩擦を筆頭に安全保障などの観点から、半導体市場はデカップリングが進みつつあり、各国において自国の半導体産業を確立すべく様々な産業支援策がとられております。これにより従来、国際的な水平分業モデルとして一極集中的な供給体制を取ってきた半導体業界全体、各プレイヤーが、各国地域に分散した製造拠点を構築する方針に舵を切ると共に、各地において新たなファウンドリが勃興する事態に発展しつつあります。

 

 

② 市場動向

2025年の半導体市場規模は前年比11.2%増の7,009億ドルになると予測されております(出典:WSTS「2025年春季半導体市場予測について」)。その大部分を占めるのがロジック半導体とメモリ半導体となりますが、中でもロジック半導体はASICやASSPといった特定用途向け半導体において、産業機器向けや車載向けなどの用途拡大と性能の向上により半導体市場全体の成長を牽引しており(図1)、半導体用フォトマスクの需要も拡大しております。

2024年における世界の半導体フォトマスク市場は約55.6億ドルとなりました(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)。ハイエンド品、特にEUVマスクの需要がけん引したことで前年比2.3%の増となりました。2025年はEUVの量産適用が更に加速することが想定され、半導体フォトマスク市場は、58.5億ドル(前年比5.3%増)まで成長することが見込まれております。

フォトマスク市場においては、内作の市場占有度が2024年でも63%(出典:SEMI「2024 PHOTOMASK CHARACTERIZATION STUDY」)と高いものの、コロナ禍を経て幅広いノードで半導体不足が顕在した現在、先端ノードを採用するファウンドリが事業拡大を続けていることに加え、IoTや車載用途の普及により、レガシーノードのデバイス需要も旺盛になっており、外販マスク市場は着実に市場規模を拡大しております(図2)。現在、レガシーノードにおいては、業界全体として製造装置の老朽化が進んでいることから、今後、既存の製造能力に制約が生じる懸念も高まっております。

 

(図1) 用途別半導体市場


出典:世界半導体市場統計(CY23~CY26E)、及び富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」

(CY27E~CY30E)に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

(図2) 半導体用フォトマスクの市場規模推移


出典:テクセンドフォトマスクが調査を委託した第三者機関の調査に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

近年はファブレス・ファンダリモデルの定着に加え、半導体設計ツールの普及などを背景に、専用に設計した特定用途に特化した半導体チップの需要が、レガシー領域も含めて増加しております(図3)。フォトマスクは半導体チップ生産における原版であるところ、半導体用フォトマスク市場においては、レガシー領域の堅調な需要に加え、プロセスノードマイグレーション(微細化、より微細なプロセスノードへの生産移行)による先端ノード需要が増加傾向にあり、広範なプロセスノードにおいてフォトマスクの量的需要(フォトマスクセット数)が増加しております。特に最先端領域においては、微細化の進展に伴い、半導体のチップ構造がより多層化、複雑化するため、その生産に必要な1セット当たりのフォトマスク枚数が増加することに加え、1セットあたりのASP(平均販売価格)も上昇傾向にあります(図4)。

 

(図3) プロセスノード別半導体チップ設計数の推移


出典:IBS 「2025 Analysis on Design Starts」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

 

(図4) プロセスノードごとの半導体チップ構造と必要となるフォトマスクの相関関係イメージ


出典:富士経済「2025年 半導体材料市場の現在と将来展望」に基づきテクセンドフォトマスクにて作成

 

また、経済安全保障の観点から半導体サプライチェーンの自国・自地域回帰の動きが活発化しており、IDMやファウンドリの新工場・ライン建設への投資が加速傾向にあります。SEMI「World Fab Forecast 3Q23」による半導体製造拠点の建設開始数は以下のように推測されており、この傾向はテクセンドフォトマスクグループのような外販フォトマスクベンダーにとっては追い風となると考えております。

 

 

(単位:拠点数)

 

2023年~2027年(5年間)

全世界

+108

中国

+45

米国

+18

欧州

+12

日本

+11

台湾

+11

東南アジア

+7

韓国

+4

 

出典:SEMI「World Fab Forecast 3Q23」

 

 

以上のとおり、半導体市場の拡大、チップデザインの多様化、プロセスノードの微細化、自国・自地域回帰に伴う半導体デバイスの新工場・ラインの増加等を背景に、マスク外販需要は引き続き成長すると考えられます。併せて、今後内作がHigh-NA EUVに資金と人材を集中させ、既存ノードについては外販を活用する可能性が高いこと、並びに、ファウンドリが最先端ノードの適用を進めることで先端フォトマスクの外販需要の成長がさらに加速していくことが考えられます。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① フォトマスク事業の拡大
a フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長

テクセンドフォトマスクグループの持続的な成長実現には、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠です。

地域軸では、各国地域における業界動向と産業政策や輸出規制等を注視しつつ、投資機会を見極めてまいりますが、特に量的需要の拡大が見込まれるアメリカ及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、テクセンドフォトマスクグループの生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリング強化と、それに伴い同国政府が進める国産化政策によって現地競合企業との競争が激化していることに鑑み、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。

いずれの地域においても、現地当局との関係構築や、有力な顧客との間に長期供給契約を締結することで安定的な取引関係を構築するなど、強固な事業基盤を構築することで、現在のテクセンドフォトマスクグループのポジションを盤石なものとしていくことが重要であると考えております。

先端技術領域においては、テクセンドフォトマスクグループは既に、同領域におけるフォトマスクの技術開発・生産に不可欠となるマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入済みであり、EUVフォトマスクの開発・生産に加え、Curvilinearなど最新技術を用いた光マスクの生産にも適用を進めております。特に、EUVフォトマスクに関しては、ブランクスメーカーと共同でHigh-NAリソグラフィ向けの新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を実施し、次世代のEUVフォトマスク開発において競合他社に先行することを目指しております。

 

b レガシー領域の戦略的強化

前掲「プロセスノード別半導体チップ設計数の推移」にあるように、今日の半導体市場では28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー半導体領域においても成長が見込まれております。これはAIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加する一方で、レガシー領域においてはIoTや自動運転など多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高い性能を必要としない半導体の量的需要が増加することに起因しております。

テクセンドフォトマスクグループでは、こうした旺盛な需要に対するタイムリーなフォトマスク供給体制を維持すべく、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的・計画的な更新に取り組んでおります。加えて、装置延命と自社内保守技術の高度化により稼働率の維持・向上と原価低減を図るとともに、元の装置ベンダーとは異なる後発ベンダーと連携した代替パーツの共同開発等も進めており、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。

 

c グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化

テクセンドフォトマスクグループ各社では、得意先と同一国内に存在する製造拠点での生産を原則としながらも、顧客要求仕様や各製造拠点における稼働状況、生産能力等に鑑みて、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に努めております。本施策の更なる向上のため、8生産拠点が連携し、あたかも1つの工場(バーチャル「1」工場)として機能するよう、拠点間の生産委託の自動化と、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を推進し、ワークフロー改革に取り組んでおります。

 

② 新事業の開拓

テクセンドフォトマスクグループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、テクセンドフォトマスクでは特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールドによる競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場におけるテクセンドフォトマスクグループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。

 

さらに、中期的な戦略としてはナノインプリント技術を活用した試作ビジネスを日本で展開すべく、朝霞工場において試作ラインを構築するとともに、ARグラス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、本格量産に向けたOEMやターンキーソリューションの提供体制を構築することを計画しております。

 

ナノインプリントモールドの形状

 


 

③ ESGの強化

テクセンドフォトマスクグループは、社会的責任のある企業として、脱炭素・低炭素を目指す取り組みを積極的に推進しております。特に、フォトマスク製造には大きな電力を消費することを意識し、設備投資によるエネルギー効率の改善や、IoT技術を用いた運用管理の最適化を実施し、事業を拡大しながらも炭素排出量の削減に努めてまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

テクセンドフォトマスクグループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。

 

(※用語)

Waveguide

 

光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。

メタレンズ

 

 

ナノスケールの構造を利用して光を精密に制御する光学デバイスのことで、スマートフォンカメラ、AR/VRデバイス、医療機器、LiDARシステムなど、多岐にわたる応用分野で使用される。

ASIC

「Application Specific Integrated Circuit」の略称。特定用途向けICのこと。

ASSP

「Application Specific Standard Product」の略称。特定用途向け専用標準ICのこと。

マスターモールド

 

ナノインプリント技術において使用される金型のこと。テクセンドフォトマスクでは3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

 

 


事業等のリスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がテクセンドフォトマスクグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 経営に関するリスク

① 半導体業界の需要変動に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループの主力事業を取り巻く半導体業界は需要変動が激しい業界であり、経済環境及び地政学リスクなどの要因により、テクセンドフォトマスクグループにおいてもその影響を受ける可能性があります。世界経済の動向により、特にマクロ経済の逆風や景気後退が発生した場合、半導体を使用する各種電子機器の需要が変動し、半導体市場全体の需要が縮小するリスクがあります。さらに、IDMやファウンドリの事業戦略の変化に伴い、外販フォトマスクの需要も変動する可能性があります。加えて、特定地域における政治・経済的な不安定要因や貿易摩擦が半導体サプライチェーンに影響を及ぼし、フォトマスク需要に変動を引き起こす可能性があります。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループではEUVフォトマスクやCurvilinear技術など、次世代技術の開発や生産設備への投資を積極的に実施しており、半導体市場の技術革新に迅速に対応しております。また、販売先やベンダー、コンソーシアム等との共同開発を通じて、顧客の技術要求に応えられる研究開発・生産体制を構築することにより、テクセンドフォトマスクグループは半導体デバイスメーカーの研究開発段階から技術パートナーとして参画することを可能としております。半導体用フォトマスクの需要は、研究開発フェーズと量産フェーズの二段階に大別されますが、研究開発フェーズの需要は量産フェーズに比べて経済動向の直接的な影響を受けにくいため、テクセンドフォトマスクグループとしては底堅いフォトマスク需要が期待できます。さらに、研究開発段階からテクセンドフォトマスクグループが主たるサプライヤーとして採用されることで、量産段階においてもテクセンドフォトマスクグループが優先的かつ継続して採用される可能性が高まります。このような取り組みにより、量産前から一定のニーズを取り込み、半導体市場の動向に業績が大きく影響を受けるリスクを低減しております。

 

② 競合に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

フォトマスク市場は、IDMやファウンドリといった半導体メーカー自らがフォトマスクを製造する「内作」と、内作を有しない半導体メーカー、または内作の超過需要による外注に対し、外部からフォトマスクを供給する「外販」に大別され、外販市場はテクセンドフォトマスクグループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーによって形成されております。このため、主要販売先であるIDMやファウンドリが内作による調達方針を強化した場合、あるいは外販フォトマスクベンダー間の価格競争等が激化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

特に、外販フォトマスク市場においては、近年中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されます。また、IDMやファウンドリが有する内作が、将来的に外販フォトマスクベンダーとして事業を拡大する可能性も否定できるものではなく、これら競合構造の変化がテクセンドフォトマスクグループの事業環境に不確実性をもたらすリスクが存在します。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは「① 半導体業界の需要変動に関わるリスク」に記載のとおり、最先端ノードに対応する技術開発や設備投資を強化しているとともに、レガシー需要の取り込みに向けた製造設備のセルフメンテナンス技術の確立やEOLとなったパーツの代替品開発を行うことにより、多くのレガシーノード向けフォトマスク需要に対する生産能力、価格競争力を確保することで競合他社に対する差別化を図っております。

併せて、半導体メーカーのフォトマスク内作強化の懸念に対しても、上記施策により、半導体メーカーが内作において経営資源をレガシー領域に追加で投入するよりも、あるいは内作を持たない半導体メーカーが新たに内作を構築するよりも、テクセンドフォトマスクグループに外注することの経済合理性が高くなるよう図っております。

中国競合企業の台頭、あるいは内作の外注事業開拓については、フォトマスクの製造委託においては、半導体の回路設計情報を受領する必要があることから、各国・地域による安全保障政策等に関する規制、あるいは半導体メーカー間においてはその設計ノウハウは秘匿されるべき競争力の源泉であることに鑑み、その蓋然性は一定程度低いものと想定されますが、テクセンドフォトマスクにおいてはフォトマスク製造専業の独立性を活かし、顧客との信頼関係を強化することで競争力の維持に努めてまいります。また、特定顧客において発生する価格競争の事業全体への影響を低減すべく、テクセンドフォトマスクグループでは単一の顧客に過度に依存した事業とならぬよう幅広い販売先との取引関係を構築しております。

 

③ サプライチェーンに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、事業に必要となる原材料や製造設備・部品、並びに、エネルギーなどを外部のサプライヤー・協力企業より調達しております。半導体製造においては、材料又は製造設備において、特定のサプライヤーが大きなシェアを有し、その供給に問題が生じた場合は半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすリスクが否定できません。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料、製造設備について顧客の認定(使用許諾)によって指定されるケースが多く、テクセンドフォトマスクグループの独断で材料又は設備を切り替えることができないことに加え、認定範囲を拡大(代替材料・設備の使用許諾)する場合には、生産ラインごとに顧客による評価作業が必要となるケースもあり、許諾を得るまでに長ければ半年程度の期間を要します。このため、代替の認定がない状態で認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は、品質問題(性能不良・異物混入等)が生じた場合など、事業に必要となる十分な原材料等の安定的調達が困難となる事態が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。加えて、原材料やエネルギー価格の高騰などによっても、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、顧客より提示されるフォーキャスト情報に基づき、各種サプライヤーとの間に密な情報交換を行うことで、良好な取引関係を構築し、安定調達に努めております。また、各国・地域におけるフォトマスク市場の動向とともにサプライチェーンに関する情報を共有し、BCPの観点から需要の多い材料銘柄、使用設備については、代替となる認定対象・範囲の拡大について、顧客に対し適宜提案を行っております。さらに、不測の事態に備えテクセンドフォトマスクグループの各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。

 

④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク

(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、国内外において広く生産・販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しています。そのため、特に、外貨建て取引に係る為替相場の変動は、短期的に業績へ影響を与える可能性があり、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても急激な為替変動が影響を及ぼすことが想定されます。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化などにより、相対的にテクセンドフォトマスクグループの競争力が低下し、売上高および利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、輸出規制に抵触した場合は、輸出禁止・罰金等の行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。各国・地域の安全保障に関する措置、産業政策の動向、並びに、輸出に係る規制の変化等には細心の注意を払い事業を行っておりますが、上記のような国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、上記のような通商政策の動向を継続的にモニタリングする体制の整備を通じて、これらのリスクの低減に努めております。為替変動等の金融市場環境に関してはグループ全体で情報の収集・共有を行い、金融機関による為替動向の分析を踏まえて、必要に応じて為替予約等のリスク回避・軽減施策を講じております。関税については、各顧客需要を割り当てる生産拠点を随時見直し、テクセンドフォトマスクグループの輸出入によって発生する関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては、顧客との協議を通じて、販売価格への適切な反映を図っております。また、国際情勢や各国・地域における半導体およびフォトマスクの輸出規制、技術開発に関する規制等の動向についても、随時情報共有と内容把握に努めており、政策当局、業界団体、各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通じて早期に情報を収集し、テクセンドフォトマスクグループ事業への影響を分析するとともに、事前の対応策を検討しています。規制の順守にあたっては、輸出管理部門を中心に、各国・地域の輸出規制や技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に実施し、グループ役職員の知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。

 

⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しに則した適切なタイミングでの設備投資と、フォトマスク生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、及び開拓による成長を通じた収益の拡大と収益性の向上をめざすとともに業務効率の向上等の追求をめざしております。
 市場環境が、上記目標策定時の前提と異なる場合、目標の達成が困難となる可能性があります。また、外販フォトマスク市場における想定以上の競争激化や、エンジニアをはじめとする各種人財の確保、関連する法律、規制又は税制の不利益な変更、技術動向の変化への対応等の潜在的なリスクに対応できない場合、また、これらリスクに対応する費用が想定を超えて発生した場合等、テクセンドフォトマスクグループが定めた目標を達成できず、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。


 (リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することで、特定の顧客需要や特定工場の供給能力に依存しない事業構造の構築を図っております。市場環境の変化に対しては、営業部門で常時顧客動向の把握に努めるとともに、工場・スタッフ部門においても各国・地域の政策や規制、技術動向の変化を注視し、定期的な会議の中でそれら集約された情報を基に適時に戦略・戦術の見直しを行い、環境変化に柔軟に対応すべく図っております。

 
⑥ 労務管理に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において制定・施行されている労務に係る各種の法令及び規則に基づく適正な労務管理を行っております。しかしながら、万が一、長時間労働、ハラスメント、差別・人権侵害等のコンプライアンス違反、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、その他従業員が被害を受ける事象が発生した場合、法令及び規則に基づく処罰・処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損、補償等による費用の発生により、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、労務に関わる各種の法令及び規則に基づく適正な労働時間管理、並びに、安全衛生管理の徹底に向け、労務管理に係わる各種研修・実習の充実をはかるとともに、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、エンゲージメントの向上、従業員の健康と安全の維持・向上をはかるべく、様々な制度の整備や具体的施策の展開に取り組んでおります。

 

⑦ 税務に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域の税制に準拠した税額計算を行い適正な納税に努めておりますが、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、テクセンドフォトマスクグループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、税務がテクセンドフォトマスクグループ経営、業績に与える影響を理解するとともに、税務リスクを継続して包括的に評価する税務スタッフの育成や税務ノウハウの蓄積に向け、税務専門家の活用など幅広い対応施策に取り組んでおります。

 

⑧ 環境規制に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の漏洩・流出、騒音・振動等に係る様々な法的規制の遵守が求められております。テクセンドフォトマスクグループは、これらの法的規制に細心の注意を払い事業を行っておりますが、万が一テクセンドフォトマスクグループがこれらの法的規制に違反した場合や、規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等により環境保全関連費用が増加した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、ESG委員会等の会議体において、ESGマテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。

 

⑨ 有形固定資産の減損損失リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、生産キャパシティの維持・拡大のため設備投資を継続して実施し多くの有形固定資産を保有しております。また、設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの検討を経て投資判断を行っております。しかしながら、想定を超えた経営環境や事業の状況の著しい変化等により有形固定資産の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識することにより、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

設備投資にあたり、適切な投資実施時期(タイミング)と合理的な収益率を明らかにする投資基準の精度向上に取り組むとともに、必要に応じて外部の調査機関等を活用した市場環境のモニタリングを行うなど、設備投資に係る減損損失リスクの軽減、回避策を講じております。

 

⑩ 知的財産に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、保有・蓄積した技術及び製造する製品の競争力強化の観点から事業運営における知的財産に関する各種の取り組みが重要であると認識しており、知的財産権の保護・権利化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、第三者がテクセンドフォトマスクグループの知的財産権を侵害した場合、若しくは、万が一、テクセンドフォトマスクグループが第三者の知的財産権を侵害した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

研究開発部門・技術開発部門・事業戦略部門・法務部門等の関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、定期的な知的財産権に関する教育を実施する等、知的財産戦略に係る各種施策を実施しております。

 

⑪ 製品の品質等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、製造する半導体用フォトマスクに対して、半導体メーカー等の顧客より高度な品質管理が要求されており、製品品質の維持向上に向けた教育制度を整備するとともに、定期的な内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を早期に発見・是正する体制を整えております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、万が一、テクセンドフォトマスクグループ製品の品質に起因した問題により顧客に損失が発生した場合、顧客に対する損害賠償責任が発生することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、各製造拠点にて作業の標準化を進めるとともに、製造レシピを整理しMES(製造実行システム)を通じた生産・品質管理を行うとともに、品質管理に係る各工程の監査、品質保証に関わる人員や設備の充実化に取り組んでおります。また、複数の製造拠点間の製造連携についても、高精度なデータマッチング技術によって異なるサイト間・設備間でも高品質かつ均質なフォトマスク生産を実現しており、品質問題の発生時や工程品質の悪化に対し、他拠点の知見も活用することで、早期改善を実現しております。

 

⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループにおいて、不測の事態による情報漏洩やサイバー攻撃等によるシステム障害、重要なデータの破壊・改竄・漏洩、その復旧を条件とした身代金要求等が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの社会的信用の低下、ノウハウ流出、多額の対応費用の支出等のほか、事業活動の停止を余儀なくされるリスク等も想定され、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、「情報セキュリティ基本方針」を掲げ、情報セキュリティに係る規程類の改定・整備体制を構築するとともに、各国・地域に所在する各社・拠点におけるセキュリティ対策状況、対策の精度、有効性の評価及び改善指導を適宜実施しております。また、外部からのサイバー攻撃への対応施策として、社内ネットワークに接続する電子機器・情報端末の利用状況の監視、操作ログの解析等の技術的な対策に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、並びに全役職員を対象とした教育を実施し、情報セキュリティに対する意識醸成への取り組みを進めております。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)

テクセンドフォトマスクグループでは、国内外において事業を展開しており、各国の法令・規制、業界ルール、社会的規範を遵守する必要があります。これらに違反した場合、短期的にはレピュテーションリスクの顕在化、中期的には事業停止・行政処分、長期的にはブランド毀損や市場からの退出リスクを伴うものとして認識しています。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、従業員への教育・研修の実施、内部通報制度の運用、監査体制の強化などを通じて、リスクの未然防止と早期発見に努めています。また、違反が発生した場合には、速やかに事実関係を調査し、コンプライアンス委員会に報告の上、再発防止策を講じる体制を整備しています。

 

⑭ 訴訟等に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)

テクセンドフォトマスクグループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で取引先等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります(労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩などに関連する請求に関して、顧客、サプライヤー、その他の取引相手、競合他社、従業員、規制当局などから提起される訴訟を含む。)。それらの訴訟等でテクセンドフォトマスクグループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等がテクセンドフォトマスクグループの将来的な事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、法務部門そのほか関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、訴訟等の発生の予防及び対応に係る各種施策を実施しております。

 

⑮ 朝霞工場に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクの朝霞工場は、TOPPANホールディングス株式会社が保有する朝霞工場の敷地内に所在し、土地及び一部の建物を同社から賃借しております。本書提出日現在の賃料は土地が月額1,552,250円、建屋が月額3,816,020円となります。当該賃借についての賃貸借契約では、土地・建物ともに賃貸借期間は10年間(2032年3月31日まで)と定めており、契約期間末までの間において土地・建物の賃借を引き続き継続するか、若しくは、工場移転又は廃止の検討・判断を行う必要があります。検討の結果、朝霞工場の移転又は廃止するとの判断に至った場合、工場の移転又は廃止に伴うコストの発生及び生産停止のリスクが生ずることにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

朝霞工場の賃貸借契約については、契約期間を2032年3月末までの長期契約とし、契約期間内での貸主による一方的な契約終了、契約破棄を認めない条項を設け、事業の継続性を担保しております。また、フォトマスクの需要動向、技術革新の状況等の事業環境を踏まえながら、朝霞工場の拡張性、有用性、収益性を見極め、同工場のあり方、製造拠点としての独立性の確保という視点からの検討を進めるとともに、施設ユーティリティについてもテクセンドフォトマスク自らが保守管理可能な体制整備に努めてまいります。

 

(2) 災害等のリスク

 自然災害・伝染病リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において地震・台風等の重大な災害によりテクセンドフォトマスクグループ施設・設備(描画機・検査機等の主要装置及び装置が設置してあるクリーンルーム)に損傷が生じた場合、或いは、重篤な伝染病の蔓延等により生産・営業活動の停滞を強いられるなど、外部のサプライヤー・協力会社に加え顧客を含むサプライチェーン全体の混乱を招く事象が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、BCPの観点から各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を受けることで、特定の製造拠点に過度に依存しない生産体制を構築しております。また、需要の多い材料、設備について、各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。併せて、重大な災害の発生に備え各種マニュアル・行動手順や緊急連絡網の整備をはかるなど、事業継続に向けた対策を講じております。

 

(3) 親会社グループとの関係について

① 資本関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、TOPPANホールディングス株式会社はテクセンドフォトマスクの発行済株式の50.1%を所有するテクセンドフォトマスクの親会社であります。その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、TOPPANホールディングス株式会社が上場後も相当数のテクセンドフォトマスク株式を保有する場合、テクセンドフォトマスクの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のテクセンドフォトマスクの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

親会社であるTOPPANホールディングス株式会社との適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した運営に努めてまいります。

 

② 人的関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

本書提出日現在において、取締役として黒部隆がTOPPANホールディングス株式会社より選任されております。親会社の意向が強く反映され、テクセンドフォトマスクの経営判断やガバナンスの独立性が低下する可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

③ 競合について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

現時点において、テクセンドフォトマスクグループが行っているフォトマスク事業は、TOPPANグループが行っている事業と競合関係にはありません。しかしながら、将来においてTOPPANグループの事業戦略によっては、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する可能性が考えられます。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクは凸版印刷からの分社化に際し、フォトマスク事業において使用される設備をはじめ、知的財産、顧客基盤、及び人財すべてを承継しております。半導体業界は一般に参入障壁の高い業界と認識されており、特にフォトマスクを含む前工程については単純な資本力のみならず、過去のテクノロジーから培ってきた技術ノウハウ(描画・プロセス技術、検査技術、修正技術、洗浄技術等)の蓄積により、高品質なフォトマスクを安定生産することが出来る生産体制を構築しています。従って、TOPPANグループが改めてフォトマスク業界に参入し、テクセンドフォトマスクグループと競合するまで事業を拡大するには相当程度の時間とリソースを要することが想定され、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する蓋然性は極めて低いものと認識しております。

 

④ 事業運営及び取引について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループの事業運営において、TOPPANグループの承認を要する規程・規則は設けられておらず、テクセンドフォトマスクグループの事業運営にあたり独立性は確保されているものと判断しております。また、TOPPANグループとの取引を行うにあたっては、関連当事者取引として求められる、取引における合理性及び取引条件の妥当性を検証する統制手続きを経て取引を行っております。しかしながら、TOPPANグループは議決権の行使を通じてテクセンドフォトマスクグループの事業運営及びTOPPANグループとの取引に影響を及ぼしうる立場にあることから、TOPPANグループの利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、TOPPANグループとの取引を含め関連当事者との取引にあたっては、当該取引がTOPPANグループ以外の他の株主の利益に十分配慮されており、かつ、予め設けた規程に基づき、取引条件の妥当性、事業上における正当性、経済的な合理性、経済取引としての健全性等の要件について、社外取締役を中心にした特別委員会において検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、統制環境の実効性を担保しております。

 

(4) ファンド株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、インテグラルグループが合計でテクセンドフォトマスクの発行済株式の49.9%を所有(関連当事者は20.9%を所有するIceインテグラル2投資事業有限責任組合のみ)しております。また、社外取締役として山崎壯がインテグラルグループより選任されております。テクセンドフォトマスクの上場時にあたり、インテグラルグループは所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する予定ですが、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

(国際会計基準(IAS第24号『関連当事者の開示』)に基づき、関連当事者を開示)

 

(リスクへの対応)

インテグラルグループとの適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した事業運営に努めてまいります。また、テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

(5) テクセンドフォトマスク株式の流動性に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクは、東京証券取引所のプライム市場への上場を予定しており、上場に際しては、主要株主であるインテグラルグループによるテクセンドフォトマスク株式のグローバル・オファリングによる売出しによって、テクセンドフォトマスク株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしております。東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は35%以上でありますが、テクセンドフォトマスク株式の新規上場時における流通株式比率は未定であります。また、市場環境によって上場時よりもテクセンドフォトマスク株式の流動性が低下する場合には、テクセンドフォトマスク株式の市場における売買が停滞する可能性があり、テクセンドフォトマスク株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク株式の流動株式比率の向上、流通株式の増加に向け、TOPPANホールディングス株式会社及びインテグラルグループとの適切な意見交換、対話を重ねてまいります。また、従業員の所有する新株予約権の行使等による流通株式数の増加を図るなど、テクセンドフォトマスク株式の流動性の向上に取り組んでまいります。

 

 

(6) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクのグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。

なお、テクセンドフォトマスクは本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることでテクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備

2.土地使用用途の相違

3.建屋建設時の行政手続きの未完

4.建屋増設時の行政手続きの不備

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスク及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。

その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、テクセンドフォトマスクグループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。

 

事業等のリスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がテクセンドフォトマスクグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 経営に関するリスク

① 半導体業界の需要変動に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループの主力事業を取り巻く半導体業界は需要変動が激しい業界であり、経済環境及び地政学リスクなどの要因により、テクセンドフォトマスクグループにおいてもその影響を受ける可能性があります。世界経済の動向により、特にマクロ経済の逆風や景気後退が発生した場合、半導体を使用する各種電子機器の需要が変動し、半導体市場全体の需要が縮小するリスクがあります。さらに、IDMやファウンドリの事業戦略の変化に伴い、外販フォトマスクの需要も変動する可能性があります。加えて、特定地域における政治・経済的な不安定要因や貿易摩擦が半導体サプライチェーンに影響を及ぼし、フォトマスク需要に変動を引き起こす可能性があります。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループではEUVフォトマスクやCurvilinear技術など、次世代技術の開発や生産設備への投資を積極的に実施しており、半導体市場の技術革新に迅速に対応しております。また、販売先やベンダー、コンソーシアム等との共同開発を通じて、顧客の技術要求に応えられる研究開発・生産体制を構築することにより、テクセンドフォトマスクグループは半導体デバイスメーカーの研究開発段階から技術パートナーとして参画することを可能としております。半導体用フォトマスクの需要は、研究開発フェーズと量産フェーズの二段階に大別されますが、研究開発フェーズの需要は量産フェーズに比べて経済動向の直接的な影響を受けにくいため、テクセンドフォトマスクグループとしては底堅いフォトマスク需要が期待できます。さらに、研究開発段階からテクセンドフォトマスクグループが主たるサプライヤーとして採用されることで、量産段階においてもテクセンドフォトマスクグループが優先的かつ継続して採用される可能性が高まります。このような取り組みにより、量産前から一定のニーズを取り込み、半導体市場の動向に業績が大きく影響を受けるリスクを低減しております。

 

② 競合に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

フォトマスク市場は、IDMやファウンドリといった半導体メーカー自らがフォトマスクを製造する「内作」と、内作を有しない半導体メーカー、または内作の超過需要による外注に対し、外部からフォトマスクを供給する「外販」に大別され、外販市場はテクセンドフォトマスクグループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーによって形成されております。このため、主要販売先であるIDMやファウンドリが内作による調達方針を強化した場合、あるいは外販フォトマスクベンダー間の価格競争等が激化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

特に、外販フォトマスク市場においては、近年中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されます。また、IDMやファウンドリが有する内作が、将来的に外販フォトマスクベンダーとして事業を拡大する可能性も否定できるものではなく、これら競合構造の変化がテクセンドフォトマスクグループの事業環境に不確実性をもたらすリスクが存在します。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは「① 半導体業界の需要変動に関わるリスク」に記載のとおり、最先端ノードに対応する技術開発や設備投資を強化しているとともに、レガシー需要の取り込みに向けた製造設備のセルフメンテナンス技術の確立やEOLとなったパーツの代替品開発を行うことにより、多くのレガシーノード向けフォトマスク需要に対する生産能力、価格競争力を確保することで競合他社に対する差別化を図っております。

併せて、半導体メーカーのフォトマスク内作強化の懸念に対しても、上記施策により、半導体メーカーが内作において経営資源をレガシー領域に追加で投入するよりも、あるいは内作を持たない半導体メーカーが新たに内作を構築するよりも、テクセンドフォトマスクグループに外注することの経済合理性が高くなるよう図っております。

中国競合企業の台頭、あるいは内作の外注事業開拓については、フォトマスクの製造委託においては、半導体の回路設計情報を受領する必要があることから、各国・地域による安全保障政策等に関する規制、あるいは半導体メーカー間においてはその設計ノウハウは秘匿されるべき競争力の源泉であることに鑑み、その蓋然性は一定程度低いものと想定されますが、テクセンドフォトマスクにおいてはフォトマスク製造専業の独立性を活かし、顧客との信頼関係を強化することで競争力の維持に努めてまいります。また、特定顧客において発生する価格競争の事業全体への影響を低減すべく、テクセンドフォトマスクグループでは単一の顧客に過度に依存した事業とならぬよう幅広い販売先との取引関係を構築しております。

 

③ サプライチェーンに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、事業に必要となる原材料や製造設備・部品、並びに、エネルギーなどを外部のサプライヤー・協力企業より調達しております。半導体製造においては、材料又は製造設備において、特定のサプライヤーが大きなシェアを有し、その供給に問題が生じた場合は半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすリスクが否定できません。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料、製造設備について顧客の認定(使用許諾)によって指定されるケースが多く、テクセンドフォトマスクグループの独断で材料又は設備を切り替えることができないことに加え、認定範囲を拡大(代替材料・設備の使用許諾)する場合には、生産ラインごとに顧客による評価作業が必要となるケースもあり、許諾を得るまでに長ければ半年程度の期間を要します。このため、代替の認定がない状態で認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は、品質問題(性能不良・異物混入等)が生じた場合など、事業に必要となる十分な原材料等の安定的調達が困難となる事態が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。加えて、原材料やエネルギー価格の高騰などによっても、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、顧客より提示されるフォーキャスト情報に基づき、各種サプライヤーとの間に密な情報交換を行うことで、良好な取引関係を構築し、安定調達に努めております。また、各国・地域におけるフォトマスク市場の動向とともにサプライチェーンに関する情報を共有し、BCPの観点から需要の多い材料銘柄、使用設備については、代替となる認定対象・範囲の拡大について、顧客に対し適宜提案を行っております。さらに、不測の事態に備えテクセンドフォトマスクグループの各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。

 

④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク

(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、国内外において広く生産・販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しています。そのため、特に、外貨建て取引に係る為替相場の変動は、短期的に業績へ影響を与える可能性があり、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても急激な為替変動が影響を及ぼすことが想定されます。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化などにより、相対的にテクセンドフォトマスクグループの競争力が低下し、売上高および利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、輸出規制に抵触した場合は、輸出禁止・罰金等の行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。各国・地域の安全保障に関する措置、産業政策の動向、並びに、輸出に係る規制の変化等には細心の注意を払い事業を行っておりますが、上記のような国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、上記のような通商政策の動向を継続的にモニタリングする体制の整備を通じて、これらのリスクの低減に努めております。為替変動等の金融市場環境に関してはグループ全体で情報の収集・共有を行い、金融機関による為替動向の分析を踏まえて、必要に応じて為替予約等のリスク回避・軽減施策を講じております。関税については、各顧客需要を割り当てる生産拠点を随時見直し、テクセンドフォトマスクグループの輸出入によって発生する関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては、顧客との協議を通じて、販売価格への適切な反映を図っております。また、国際情勢や各国・地域における半導体およびフォトマスクの輸出規制、技術開発に関する規制等の動向についても、随時情報共有と内容把握に努めており、政策当局、業界団体、各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通じて早期に情報を収集し、テクセンドフォトマスクグループ事業への影響を分析するとともに、事前の対応策を検討しています。規制の順守にあたっては、輸出管理部門を中心に、各国・地域の輸出規制や技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に実施し、グループ役職員の知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。

 

⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しに則した適切なタイミングでの設備投資と、フォトマスク生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、及び開拓による成長を通じた収益の拡大と収益性の向上をめざすとともに業務効率の向上等の追求をめざしております。
 市場環境が、上記目標策定時の前提と異なる場合、目標の達成が困難となる可能性があります。また、外販フォトマスク市場における想定以上の競争激化や、エンジニアをはじめとする各種人財の確保、関連する法律、規制又は税制の不利益な変更、技術動向の変化への対応等の潜在的なリスクに対応できない場合、また、これらリスクに対応する費用が想定を超えて発生した場合等、テクセンドフォトマスクグループが定めた目標を達成できず、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。


 (リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することで、特定の顧客需要や特定工場の供給能力に依存しない事業構造の構築を図っております。市場環境の変化に対しては、営業部門で常時顧客動向の把握に努めるとともに、工場・スタッフ部門においても各国・地域の政策や規制、技術動向の変化を注視し、定期的な会議の中でそれら集約された情報を基に適時に戦略・戦術の見直しを行い、環境変化に柔軟に対応すべく図っております。

 
⑥ 労務管理に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において制定・施行されている労務に係る各種の法令及び規則に基づく適正な労務管理を行っております。しかしながら、万が一、長時間労働、ハラスメント、差別・人権侵害等のコンプライアンス違反、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、その他従業員が被害を受ける事象が発生した場合、法令及び規則に基づく処罰・処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損、補償等による費用の発生により、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、労務に関わる各種の法令及び規則に基づく適正な労働時間管理、並びに、安全衛生管理の徹底に向け、労務管理に係わる各種研修・実習の充実をはかるとともに、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、エンゲージメントの向上、従業員の健康と安全の維持・向上をはかるべく、様々な制度の整備や具体的施策の展開に取り組んでおります。

 

⑦ 税務に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域の税制に準拠した税額計算を行い適正な納税に努めておりますが、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、テクセンドフォトマスクグループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、税務がテクセンドフォトマスクグループ経営、業績に与える影響を理解するとともに、税務リスクを継続して包括的に評価する税務スタッフの育成や税務ノウハウの蓄積に向け、税務専門家の活用など幅広い対応施策に取り組んでおります。

 

⑧ 環境規制に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の漏洩・流出、騒音・振動等に係る様々な法的規制の遵守が求められております。テクセンドフォトマスクグループは、これらの法的規制に細心の注意を払い事業を行っておりますが、万が一テクセンドフォトマスクグループがこれらの法的規制に違反した場合や、規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等により環境保全関連費用が増加した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、ESG委員会等の会議体において、ESGマテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。

 

⑨ 有形固定資産の減損損失リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、生産キャパシティの維持・拡大のため設備投資を継続して実施し多くの有形固定資産を保有しております。また、設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの検討を経て投資判断を行っております。しかしながら、想定を超えた経営環境や事業の状況の著しい変化等により有形固定資産の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識することにより、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

設備投資にあたり、適切な投資実施時期(タイミング)と合理的な収益率を明らかにする投資基準の精度向上に取り組むとともに、必要に応じて外部の調査機関等を活用した市場環境のモニタリングを行うなど、設備投資に係る減損損失リスクの軽減、回避策を講じております。

 

⑩ 知的財産に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、保有・蓄積した技術及び製造する製品の競争力強化の観点から事業運営における知的財産に関する各種の取り組みが重要であると認識しており、知的財産権の保護・権利化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、第三者がテクセンドフォトマスクグループの知的財産権を侵害した場合、若しくは、万が一、テクセンドフォトマスクグループが第三者の知的財産権を侵害した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

研究開発部門・技術開発部門・事業戦略部門・法務部門等の関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、定期的な知的財産権に関する教育を実施する等、知的財産戦略に係る各種施策を実施しております。

 

⑪ 製品の品質等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、製造する半導体用フォトマスクに対して、半導体メーカー等の顧客より高度な品質管理が要求されており、製品品質の維持向上に向けた教育制度を整備するとともに、定期的な内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を早期に発見・是正する体制を整えております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、万が一、テクセンドフォトマスクグループ製品の品質に起因した問題により顧客に損失が発生した場合、顧客に対する損害賠償責任が発生することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、各製造拠点にて作業の標準化を進めるとともに、製造レシピを整理しMES(製造実行システム)を通じた生産・品質管理を行うとともに、品質管理に係る各工程の監査、品質保証に関わる人員や設備の充実化に取り組んでおります。また、複数の製造拠点間の製造連携についても、高精度なデータマッチング技術によって異なるサイト間・設備間でも高品質かつ均質なフォトマスク生産を実現しており、品質問題の発生時や工程品質の悪化に対し、他拠点の知見も活用することで、早期改善を実現しております。

 

⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループにおいて、不測の事態による情報漏洩やサイバー攻撃等によるシステム障害、重要なデータの破壊・改竄・漏洩、その復旧を条件とした身代金要求等が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの社会的信用の低下、ノウハウ流出、多額の対応費用の支出等のほか、事業活動の停止を余儀なくされるリスク等も想定され、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、「情報セキュリティ基本方針」を掲げ、情報セキュリティに係る規程類の改定・整備体制を構築するとともに、各国・地域に所在する各社・拠点におけるセキュリティ対策状況、対策の精度、有効性の評価及び改善指導を適宜実施しております。また、外部からのサイバー攻撃への対応施策として、社内ネットワークに接続する電子機器・情報端末の利用状況の監視、操作ログの解析等の技術的な対策に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、並びに全役職員を対象とした教育を実施し、情報セキュリティに対する意識醸成への取り組みを進めております。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)

テクセンドフォトマスクグループでは、国内外において事業を展開しており、各国の法令・規制、業界ルール、社会的規範を遵守する必要があります。これらに違反した場合、短期的にはレピュテーションリスクの顕在化、中期的には事業停止・行政処分、長期的にはブランド毀損や市場からの退出リスクを伴うものとして認識しています。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、従業員への教育・研修の実施、内部通報制度の運用、監査体制の強化などを通じて、リスクの未然防止と早期発見に努めています。また、違反が発生した場合には、速やかに事実関係を調査し、コンプライアンス委員会に報告の上、再発防止策を講じる体制を整備しています。

 

⑭ 訴訟等に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)

テクセンドフォトマスクグループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で取引先等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります(労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩などに関連する請求に関して、顧客、サプライヤー、その他の取引相手、競合他社、従業員、規制当局などから提起される訴訟を含む。)。それらの訴訟等でテクセンドフォトマスクグループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等がテクセンドフォトマスクグループの将来的な事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、法務部門そのほか関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、訴訟等の発生の予防及び対応に係る各種施策を実施しております。

 

⑮ 朝霞工場に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクの朝霞工場は、TOPPANホールディングス株式会社が保有する朝霞工場の敷地内に所在し、土地及び一部の建物を同社から賃借しております。本書提出日現在の賃料は土地が月額1,552,250円、建屋が月額3,816,020円となります。当該賃借についての賃貸借契約では、土地・建物ともに賃貸借期間は10年間(2032年3月31日まで)と定めており、契約期間末までの間において土地・建物の賃借を引き続き継続するか、若しくは、工場移転又は廃止の検討・判断を行う必要があります。検討の結果、朝霞工場の移転又は廃止するとの判断に至った場合、工場の移転又は廃止に伴うコストの発生及び生産停止のリスクが生ずることにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

朝霞工場の賃貸借契約については、契約期間を2032年3月末までの長期契約とし、契約期間内での貸主による一方的な契約終了、契約破棄を認めない条項を設け、事業の継続性を担保しております。また、フォトマスクの需要動向、技術革新の状況等の事業環境を踏まえながら、朝霞工場の拡張性、有用性、収益性を見極め、同工場のあり方、製造拠点としての独立性の確保という視点からの検討を進めるとともに、施設ユーティリティについてもテクセンドフォトマスク自らが保守管理可能な体制整備に努めてまいります。

 

(2) 災害等のリスク

 自然災害・伝染病リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において地震・台風等の重大な災害によりテクセンドフォトマスクグループ施設・設備(描画機・検査機等の主要装置及び装置が設置してあるクリーンルーム)に損傷が生じた場合、或いは、重篤な伝染病の蔓延等により生産・営業活動の停滞を強いられるなど、外部のサプライヤー・協力会社に加え顧客を含むサプライチェーン全体の混乱を招く事象が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、BCPの観点から各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を受けることで、特定の製造拠点に過度に依存しない生産体制を構築しております。また、需要の多い材料、設備について、各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。併せて、重大な災害の発生に備え各種マニュアル・行動手順や緊急連絡網の整備をはかるなど、事業継続に向けた対策を講じております。

 

(3) 親会社グループとの関係について

① 資本関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、TOPPANホールディングス株式会社はテクセンドフォトマスクの発行済株式の50.1%を所有するテクセンドフォトマスクの親会社であります。その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、TOPPANホールディングス株式会社が上場後も相当数のテクセンドフォトマスク株式を保有する場合、テクセンドフォトマスクの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のテクセンドフォトマスクの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

親会社であるTOPPANホールディングス株式会社との適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した運営に努めてまいります。

 

② 人的関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

本書提出日現在において、取締役として黒部隆がTOPPANホールディングス株式会社より選任されております。親会社の意向が強く反映され、テクセンドフォトマスクの経営判断やガバナンスの独立性が低下する可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

③ 競合について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

現時点において、テクセンドフォトマスクグループが行っているフォトマスク事業は、TOPPANグループが行っている事業と競合関係にはありません。しかしながら、将来においてTOPPANグループの事業戦略によっては、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する可能性が考えられます。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクは凸版印刷からの分社化に際し、フォトマスク事業において使用される設備をはじめ、知的財産、顧客基盤、及び人財すべてを承継しております。半導体業界は一般に参入障壁の高い業界と認識されており、特にフォトマスクを含む前工程については単純な資本力のみならず、過去のテクノロジーから培ってきた技術ノウハウ(描画・プロセス技術、検査技術、修正技術、洗浄技術等)の蓄積により、高品質なフォトマスクを安定生産することが出来る生産体制を構築しています。従って、TOPPANグループが改めてフォトマスク業界に参入し、テクセンドフォトマスクグループと競合するまで事業を拡大するには相当程度の時間とリソースを要することが想定され、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する蓋然性は極めて低いものと認識しております。

 

④ 事業運営及び取引について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループの事業運営において、TOPPANグループの承認を要する規程・規則は設けられておらず、テクセンドフォトマスクグループの事業運営にあたり独立性は確保されているものと判断しております。また、TOPPANグループとの取引を行うにあたっては、関連当事者取引として求められる、取引における合理性及び取引条件の妥当性を検証する統制手続きを経て取引を行っております。しかしながら、TOPPANグループは議決権の行使を通じてテクセンドフォトマスクグループの事業運営及びTOPPANグループとの取引に影響を及ぼしうる立場にあることから、TOPPANグループの利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、TOPPANグループとの取引を含め関連当事者との取引にあたっては、当該取引がTOPPANグループ以外の他の株主の利益に十分配慮されており、かつ、予め設けた規程に基づき、取引条件の妥当性、事業上における正当性、経済的な合理性、経済取引としての健全性等の要件について、社外取締役を中心にした特別委員会において検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、統制環境の実効性を担保しております。

 

(4) ファンド株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、インテグラルグループが合計でテクセンドフォトマスクの発行済株式の49.9%を所有(関連当事者は20.9%を所有するIceインテグラル2投資事業有限責任組合のみ)しております。また、社外取締役として山崎壯がインテグラルグループより選任されております。テクセンドフォトマスクの上場時にあたり、インテグラルグループは所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する予定ですが、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

(国際会計基準(IAS第24号『関連当事者の開示』)に基づき、関連当事者を開示)

 

(リスクへの対応)

インテグラルグループとの適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した事業運営に努めてまいります。また、テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

(5) テクセンドフォトマスク株式の流動性に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクは、東京証券取引所のプライム市場への上場を予定しており、上場に際しては、主要株主であるインテグラルグループによるテクセンドフォトマスク株式のグローバル・オファリングによる売出しによって、テクセンドフォトマスク株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしております。東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は35%以上でありますが、テクセンドフォトマスク株式の新規上場時における流通株式比率は未定であります。また、市場環境によって上場時よりもテクセンドフォトマスク株式の流動性が低下する場合には、テクセンドフォトマスク株式の市場における売買が停滞する可能性があり、テクセンドフォトマスク株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク株式の流動株式比率の向上、流通株式の増加に向け、TOPPANホールディングス株式会社及びインテグラルグループとの適切な意見交換、対話を重ねてまいります。また、従業員の所有する新株予約権の行使等による流通株式数の増加を図るなど、テクセンドフォトマスク株式の流動性の向上に取り組んでまいります。

 

 

(6) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクのグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。

なお、テクセンドフォトマスクは本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることでテクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備

2.土地使用用途の相違

3.建屋建設時の行政手続きの未完

4.建屋増設時の行政手続きの不備

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスク及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。

その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、テクセンドフォトマスクグループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。

 

事業等のリスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がテクセンドフォトマスクグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 経営に関するリスク

① 半導体業界の需要変動に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループの主力事業を取り巻く半導体業界は需要変動が激しい業界であり、経済環境及び地政学リスクなどの要因により、テクセンドフォトマスクグループにおいてもその影響を受ける可能性があります。世界経済の動向により、特にマクロ経済の逆風や景気後退が発生した場合、半導体を使用する各種電子機器の需要が変動し、半導体市場全体の需要が縮小するリスクがあります。さらに、IDMやファウンドリの事業戦略の変化に伴い、外販フォトマスクの需要も変動する可能性があります。加えて、特定地域における政治・経済的な不安定要因や貿易摩擦が半導体サプライチェーンに影響を及ぼし、フォトマスク需要に変動を引き起こす可能性があります。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループではEUVフォトマスクやCurvilinear技術など、次世代技術の開発や生産設備への投資を積極的に実施しており、半導体市場の技術革新に迅速に対応しております。また、販売先やベンダー、コンソーシアム等との共同開発を通じて、顧客の技術要求に応えられる研究開発・生産体制を構築することにより、テクセンドフォトマスクグループは半導体デバイスメーカーの研究開発段階から技術パートナーとして参画することを可能としております。半導体用フォトマスクの需要は、研究開発フェーズと量産フェーズの二段階に大別されますが、研究開発フェーズの需要は量産フェーズに比べて経済動向の直接的な影響を受けにくいため、テクセンドフォトマスクグループとしては底堅いフォトマスク需要が期待できます。さらに、研究開発段階からテクセンドフォトマスクグループが主たるサプライヤーとして採用されることで、量産段階においてもテクセンドフォトマスクグループが優先的かつ継続して採用される可能性が高まります。このような取り組みにより、量産前から一定のニーズを取り込み、半導体市場の動向に業績が大きく影響を受けるリスクを低減しております。

 

② 競合に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

フォトマスク市場は、IDMやファウンドリといった半導体メーカー自らがフォトマスクを製造する「内作」と、内作を有しない半導体メーカー、または内作の超過需要による外注に対し、外部からフォトマスクを供給する「外販」に大別され、外販市場はテクセンドフォトマスクグループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーによって形成されております。このため、主要販売先であるIDMやファウンドリが内作による調達方針を強化した場合、あるいは外販フォトマスクベンダー間の価格競争等が激化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

特に、外販フォトマスク市場においては、近年中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されます。また、IDMやファウンドリが有する内作が、将来的に外販フォトマスクベンダーとして事業を拡大する可能性も否定できるものではなく、これら競合構造の変化がテクセンドフォトマスクグループの事業環境に不確実性をもたらすリスクが存在します。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは「① 半導体業界の需要変動に関わるリスク」に記載のとおり、最先端ノードに対応する技術開発や設備投資を強化しているとともに、レガシー需要の取り込みに向けた製造設備のセルフメンテナンス技術の確立やEOLとなったパーツの代替品開発を行うことにより、多くのレガシーノード向けフォトマスク需要に対する生産能力、価格競争力を確保することで競合他社に対する差別化を図っております。

併せて、半導体メーカーのフォトマスク内作強化の懸念に対しても、上記施策により、半導体メーカーが内作において経営資源をレガシー領域に追加で投入するよりも、あるいは内作を持たない半導体メーカーが新たに内作を構築するよりも、テクセンドフォトマスクグループに外注することの経済合理性が高くなるよう図っております。

中国競合企業の台頭、あるいは内作の外注事業開拓については、フォトマスクの製造委託においては、半導体の回路設計情報を受領する必要があることから、各国・地域による安全保障政策等に関する規制、あるいは半導体メーカー間においてはその設計ノウハウは秘匿されるべき競争力の源泉であることに鑑み、その蓋然性は一定程度低いものと想定されますが、テクセンドフォトマスクにおいてはフォトマスク製造専業の独立性を活かし、顧客との信頼関係を強化することで競争力の維持に努めてまいります。また、特定顧客において発生する価格競争の事業全体への影響を低減すべく、テクセンドフォトマスクグループでは単一の顧客に過度に依存した事業とならぬよう幅広い販売先との取引関係を構築しております。

 

③ サプライチェーンに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、事業に必要となる原材料や製造設備・部品、並びに、エネルギーなどを外部のサプライヤー・協力企業より調達しております。半導体製造においては、材料又は製造設備において、特定のサプライヤーが大きなシェアを有し、その供給に問題が生じた場合は半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすリスクが否定できません。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料、製造設備について顧客の認定(使用許諾)によって指定されるケースが多く、テクセンドフォトマスクグループの独断で材料又は設備を切り替えることができないことに加え、認定範囲を拡大(代替材料・設備の使用許諾)する場合には、生産ラインごとに顧客による評価作業が必要となるケースもあり、許諾を得るまでに長ければ半年程度の期間を要します。このため、代替の認定がない状態で認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は、品質問題(性能不良・異物混入等)が生じた場合など、事業に必要となる十分な原材料等の安定的調達が困難となる事態が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。加えて、原材料やエネルギー価格の高騰などによっても、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、顧客より提示されるフォーキャスト情報に基づき、各種サプライヤーとの間に密な情報交換を行うことで、良好な取引関係を構築し、安定調達に努めております。また、各国・地域におけるフォトマスク市場の動向とともにサプライチェーンに関する情報を共有し、BCPの観点から需要の多い材料銘柄、使用設備については、代替となる認定対象・範囲の拡大について、顧客に対し適宜提案を行っております。さらに、不測の事態に備えテクセンドフォトマスクグループの各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。

 

④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク

(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、国内外において広く生産・販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しています。そのため、特に、外貨建て取引に係る為替相場の変動は、短期的に業績へ影響を与える可能性があり、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても急激な為替変動が影響を及ぼすことが想定されます。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化などにより、相対的にテクセンドフォトマスクグループの競争力が低下し、売上高および利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、輸出規制に抵触した場合は、輸出禁止・罰金等の行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。各国・地域の安全保障に関する措置、産業政策の動向、並びに、輸出に係る規制の変化等には細心の注意を払い事業を行っておりますが、上記のような国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、上記のような通商政策の動向を継続的にモニタリングする体制の整備を通じて、これらのリスクの低減に努めております。為替変動等の金融市場環境に関してはグループ全体で情報の収集・共有を行い、金融機関による為替動向の分析を踏まえて、必要に応じて為替予約等のリスク回避・軽減施策を講じております。関税については、各顧客需要を割り当てる生産拠点を随時見直し、テクセンドフォトマスクグループの輸出入によって発生する関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては、顧客との協議を通じて、販売価格への適切な反映を図っております。また、国際情勢や各国・地域における半導体およびフォトマスクの輸出規制、技術開発に関する規制等の動向についても、随時情報共有と内容把握に努めており、政策当局、業界団体、各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通じて早期に情報を収集し、テクセンドフォトマスクグループ事業への影響を分析するとともに、事前の対応策を検討しています。規制の順守にあたっては、輸出管理部門を中心に、各国・地域の輸出規制や技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に実施し、グループ役職員の知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。

 

⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しに則した適切なタイミングでの設備投資と、フォトマスク生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、及び開拓による成長を通じた収益の拡大と収益性の向上をめざすとともに業務効率の向上等の追求をめざしております。
 市場環境が、上記目標策定時の前提と異なる場合、目標の達成が困難となる可能性があります。また、外販フォトマスク市場における想定以上の競争激化や、エンジニアをはじめとする各種人財の確保、関連する法律、規制又は税制の不利益な変更、技術動向の変化への対応等の潜在的なリスクに対応できない場合、また、これらリスクに対応する費用が想定を超えて発生した場合等、テクセンドフォトマスクグループが定めた目標を達成できず、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。


 (リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することで、特定の顧客需要や特定工場の供給能力に依存しない事業構造の構築を図っております。市場環境の変化に対しては、営業部門で常時顧客動向の把握に努めるとともに、工場・スタッフ部門においても各国・地域の政策や規制、技術動向の変化を注視し、定期的な会議の中でそれら集約された情報を基に適時に戦略・戦術の見直しを行い、環境変化に柔軟に対応すべく図っております。

 
⑥ 労務管理に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において制定・施行されている労務に係る各種の法令及び規則に基づく適正な労務管理を行っております。しかしながら、万が一、長時間労働、ハラスメント、差別・人権侵害等のコンプライアンス違反、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、その他従業員が被害を受ける事象が発生した場合、法令及び規則に基づく処罰・処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損、補償等による費用の発生により、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、労務に関わる各種の法令及び規則に基づく適正な労働時間管理、並びに、安全衛生管理の徹底に向け、労務管理に係わる各種研修・実習の充実をはかるとともに、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、エンゲージメントの向上、従業員の健康と安全の維持・向上をはかるべく、様々な制度の整備や具体的施策の展開に取り組んでおります。

 

⑦ 税務に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域の税制に準拠した税額計算を行い適正な納税に努めておりますが、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、テクセンドフォトマスクグループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、税務がテクセンドフォトマスクグループ経営、業績に与える影響を理解するとともに、税務リスクを継続して包括的に評価する税務スタッフの育成や税務ノウハウの蓄積に向け、税務専門家の活用など幅広い対応施策に取り組んでおります。

 

⑧ 環境規制に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の漏洩・流出、騒音・振動等に係る様々な法的規制の遵守が求められております。テクセンドフォトマスクグループは、これらの法的規制に細心の注意を払い事業を行っておりますが、万が一テクセンドフォトマスクグループがこれらの法的規制に違反した場合や、規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等により環境保全関連費用が増加した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、ESG委員会等の会議体において、ESGマテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。

 

⑨ 有形固定資産の減損損失リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、生産キャパシティの維持・拡大のため設備投資を継続して実施し多くの有形固定資産を保有しております。また、設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの検討を経て投資判断を行っております。しかしながら、想定を超えた経営環境や事業の状況の著しい変化等により有形固定資産の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識することにより、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

設備投資にあたり、適切な投資実施時期(タイミング)と合理的な収益率を明らかにする投資基準の精度向上に取り組むとともに、必要に応じて外部の調査機関等を活用した市場環境のモニタリングを行うなど、設備投資に係る減損損失リスクの軽減、回避策を講じております。

 

⑩ 知的財産に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、保有・蓄積した技術及び製造する製品の競争力強化の観点から事業運営における知的財産に関する各種の取り組みが重要であると認識しており、知的財産権の保護・権利化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、第三者がテクセンドフォトマスクグループの知的財産権を侵害した場合、若しくは、万が一、テクセンドフォトマスクグループが第三者の知的財産権を侵害した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

研究開発部門・技術開発部門・事業戦略部門・法務部門等の関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、定期的な知的財産権に関する教育を実施する等、知的財産戦略に係る各種施策を実施しております。

 

⑪ 製品の品質等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、製造する半導体用フォトマスクに対して、半導体メーカー等の顧客より高度な品質管理が要求されており、製品品質の維持向上に向けた教育制度を整備するとともに、定期的な内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を早期に発見・是正する体制を整えております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、万が一、テクセンドフォトマスクグループ製品の品質に起因した問題により顧客に損失が発生した場合、顧客に対する損害賠償責任が発生することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、各製造拠点にて作業の標準化を進めるとともに、製造レシピを整理しMES(製造実行システム)を通じた生産・品質管理を行うとともに、品質管理に係る各工程の監査、品質保証に関わる人員や設備の充実化に取り組んでおります。また、複数の製造拠点間の製造連携についても、高精度なデータマッチング技術によって異なるサイト間・設備間でも高品質かつ均質なフォトマスク生産を実現しており、品質問題の発生時や工程品質の悪化に対し、他拠点の知見も活用することで、早期改善を実現しております。

 

⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループにおいて、不測の事態による情報漏洩やサイバー攻撃等によるシステム障害、重要なデータの破壊・改竄・漏洩、その復旧を条件とした身代金要求等が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの社会的信用の低下、ノウハウ流出、多額の対応費用の支出等のほか、事業活動の停止を余儀なくされるリスク等も想定され、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、「情報セキュリティ基本方針」を掲げ、情報セキュリティに係る規程類の改定・整備体制を構築するとともに、各国・地域に所在する各社・拠点におけるセキュリティ対策状況、対策の精度、有効性の評価及び改善指導を適宜実施しております。また、外部からのサイバー攻撃への対応施策として、社内ネットワークに接続する電子機器・情報端末の利用状況の監視、操作ログの解析等の技術的な対策に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、並びに全役職員を対象とした教育を実施し、情報セキュリティに対する意識醸成への取り組みを進めております。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)

テクセンドフォトマスクグループでは、国内外において事業を展開しており、各国の法令・規制、業界ルール、社会的規範を遵守する必要があります。これらに違反した場合、短期的にはレピュテーションリスクの顕在化、中期的には事業停止・行政処分、長期的にはブランド毀損や市場からの退出リスクを伴うものとして認識しています。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、従業員への教育・研修の実施、内部通報制度の運用、監査体制の強化などを通じて、リスクの未然防止と早期発見に努めています。また、違反が発生した場合には、速やかに事実関係を調査し、コンプライアンス委員会に報告の上、再発防止策を講じる体制を整備しています。

 

⑭ 訴訟等に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)

テクセンドフォトマスクグループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で取引先等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります(労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩などに関連する請求に関して、顧客、サプライヤー、その他の取引相手、競合他社、従業員、規制当局などから提起される訴訟を含む。)。それらの訴訟等でテクセンドフォトマスクグループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等がテクセンドフォトマスクグループの将来的な事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、法務部門そのほか関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、訴訟等の発生の予防及び対応に係る各種施策を実施しております。

 

⑮ 朝霞工場に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクの朝霞工場は、TOPPANホールディングス株式会社が保有する朝霞工場の敷地内に所在し、土地及び一部の建物を同社から賃借しております。本書提出日現在の賃料は土地が月額1,552,250円、建屋が月額3,816,020円となります。当該賃借についての賃貸借契約では、土地・建物ともに賃貸借期間は10年間(2032年3月31日まで)と定めており、契約期間末までの間において土地・建物の賃借を引き続き継続するか、若しくは、工場移転又は廃止の検討・判断を行う必要があります。検討の結果、朝霞工場の移転又は廃止するとの判断に至った場合、工場の移転又は廃止に伴うコストの発生及び生産停止のリスクが生ずることにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

朝霞工場の賃貸借契約については、契約期間を2032年3月末までの長期契約とし、契約期間内での貸主による一方的な契約終了、契約破棄を認めない条項を設け、事業の継続性を担保しております。また、フォトマスクの需要動向、技術革新の状況等の事業環境を踏まえながら、朝霞工場の拡張性、有用性、収益性を見極め、同工場のあり方、製造拠点としての独立性の確保という視点からの検討を進めるとともに、施設ユーティリティについてもテクセンドフォトマスク自らが保守管理可能な体制整備に努めてまいります。

 

(2) 災害等のリスク

 自然災害・伝染病リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において地震・台風等の重大な災害によりテクセンドフォトマスクグループ施設・設備(描画機・検査機等の主要装置及び装置が設置してあるクリーンルーム)に損傷が生じた場合、或いは、重篤な伝染病の蔓延等により生産・営業活動の停滞を強いられるなど、外部のサプライヤー・協力会社に加え顧客を含むサプライチェーン全体の混乱を招く事象が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、BCPの観点から各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を受けることで、特定の製造拠点に過度に依存しない生産体制を構築しております。また、需要の多い材料、設備について、各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。併せて、重大な災害の発生に備え各種マニュアル・行動手順や緊急連絡網の整備をはかるなど、事業継続に向けた対策を講じております。

 

(3) 親会社グループとの関係について

① 資本関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、TOPPANホールディングス株式会社はテクセンドフォトマスクの発行済株式の50.1%を所有するテクセンドフォトマスクの親会社であります。その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、TOPPANホールディングス株式会社が上場後も相当数のテクセンドフォトマスク株式を保有する場合、テクセンドフォトマスクの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のテクセンドフォトマスクの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

親会社であるTOPPANホールディングス株式会社との適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した運営に努めてまいります。

 

② 人的関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

本書提出日現在において、取締役として黒部隆がTOPPANホールディングス株式会社より選任されております。親会社の意向が強く反映され、テクセンドフォトマスクの経営判断やガバナンスの独立性が低下する可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

③ 競合について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

現時点において、テクセンドフォトマスクグループが行っているフォトマスク事業は、TOPPANグループが行っている事業と競合関係にはありません。しかしながら、将来においてTOPPANグループの事業戦略によっては、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する可能性が考えられます。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクは凸版印刷からの分社化に際し、フォトマスク事業において使用される設備をはじめ、知的財産、顧客基盤、及び人財すべてを承継しております。半導体業界は一般に参入障壁の高い業界と認識されており、特にフォトマスクを含む前工程については単純な資本力のみならず、過去のテクノロジーから培ってきた技術ノウハウ(描画・プロセス技術、検査技術、修正技術、洗浄技術等)の蓄積により、高品質なフォトマスクを安定生産することが出来る生産体制を構築しています。従って、TOPPANグループが改めてフォトマスク業界に参入し、テクセンドフォトマスクグループと競合するまで事業を拡大するには相当程度の時間とリソースを要することが想定され、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する蓋然性は極めて低いものと認識しております。

 

④ 事業運営及び取引について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループの事業運営において、TOPPANグループの承認を要する規程・規則は設けられておらず、テクセンドフォトマスクグループの事業運営にあたり独立性は確保されているものと判断しております。また、TOPPANグループとの取引を行うにあたっては、関連当事者取引として求められる、取引における合理性及び取引条件の妥当性を検証する統制手続きを経て取引を行っております。しかしながら、TOPPANグループは議決権の行使を通じてテクセンドフォトマスクグループの事業運営及びTOPPANグループとの取引に影響を及ぼしうる立場にあることから、TOPPANグループの利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、TOPPANグループとの取引を含め関連当事者との取引にあたっては、当該取引がTOPPANグループ以外の他の株主の利益に十分配慮されており、かつ、予め設けた規程に基づき、取引条件の妥当性、事業上における正当性、経済的な合理性、経済取引としての健全性等の要件について、社外取締役を中心にした特別委員会において検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、統制環境の実効性を担保しております。

 

(4) ファンド株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、インテグラルグループが合計でテクセンドフォトマスクの発行済株式の49.9%を所有(関連当事者は20.9%を所有するIceインテグラル2投資事業有限責任組合のみ)しております。また、社外取締役として山崎壯がインテグラルグループより選任されております。テクセンドフォトマスクの上場時にあたり、インテグラルグループは所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する予定ですが、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

(国際会計基準(IAS第24号『関連当事者の開示』)に基づき、関連当事者を開示)

 

(リスクへの対応)

インテグラルグループとの適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した事業運営に努めてまいります。また、テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

(5) テクセンドフォトマスク株式の流動性に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクは、東京証券取引所のプライム市場への上場を予定しており、上場に際しては、主要株主であるインテグラルグループによるテクセンドフォトマスク株式のグローバル・オファリングによる売出しによって、テクセンドフォトマスク株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしております。東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は35%以上でありますが、テクセンドフォトマスク株式の新規上場時における流通株式比率は未定であります。また、市場環境によって上場時よりもテクセンドフォトマスク株式の流動性が低下する場合には、テクセンドフォトマスク株式の市場における売買が停滞する可能性があり、テクセンドフォトマスク株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク株式の流動株式比率の向上、流通株式の増加に向け、TOPPANホールディングス株式会社及びインテグラルグループとの適切な意見交換、対話を重ねてまいります。また、従業員の所有する新株予約権の行使等による流通株式数の増加を図るなど、テクセンドフォトマスク株式の流動性の向上に取り組んでまいります。

 

 

(6) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクのグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。

なお、テクセンドフォトマスクは本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることでテクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備

2.土地使用用途の相違

3.建屋建設時の行政手続きの未完

4.建屋増設時の行政手続きの不備

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスク及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。

その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、テクセンドフォトマスクグループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。

 

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がテクセンドフォトマスクグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 経営に関するリスク

① 半導体業界の需要変動に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループの主力事業を取り巻く半導体業界は需要変動が激しい業界であり、経済環境及び地政学リスクなどの要因により、テクセンドフォトマスクグループにおいてもその影響を受ける可能性があります。世界経済の動向により、特にマクロ経済の逆風や景気後退が発生した場合、半導体を使用する各種電子機器の需要が変動し、半導体市場全体の需要が縮小するリスクがあります。さらに、IDMやファウンドリの事業戦略の変化に伴い、外販フォトマスクの需要も変動する可能性があります。加えて、特定地域における政治・経済的な不安定要因や貿易摩擦が半導体サプライチェーンに影響を及ぼし、フォトマスク需要に変動を引き起こす可能性があります。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループではEUVフォトマスクやCurvilinear技術など、次世代技術の開発や生産設備への投資を積極的に実施しており、半導体市場の技術革新に迅速に対応しております。また、販売先やベンダー、コンソーシアム等との共同開発を通じて、顧客の技術要求に応えられる研究開発・生産体制を構築することにより、テクセンドフォトマスクグループは半導体デバイスメーカーの研究開発段階から技術パートナーとして参画することを可能としております。半導体用フォトマスクの需要は、研究開発フェーズと量産フェーズの二段階に大別されますが、研究開発フェーズの需要は量産フェーズに比べて経済動向の直接的な影響を受けにくいため、テクセンドフォトマスクグループとしては底堅いフォトマスク需要が期待できます。さらに、研究開発段階からテクセンドフォトマスクグループが主たるサプライヤーとして採用されることで、量産段階においてもテクセンドフォトマスクグループが優先的かつ継続して採用される可能性が高まります。このような取り組みにより、量産前から一定のニーズを取り込み、半導体市場の動向に業績が大きく影響を受けるリスクを低減しております。

② 競合に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

フォトマスク市場は、IDMやファウンドリといった半導体メーカー自らがフォトマスクを製造する「内作」と、内作を有しない半導体メーカー、または内作の超過需要による外注に対し、外部からフォトマスクを供給する「外販」に大別され、外販市場はテクセンドフォトマスクグループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーによって形成されております。このため、主要販売先であるIDMやファウンドリが内作による調達方針を強化した場合、あるいは外販フォトマスクベンダー間の価格競争等が激化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

特に、外販フォトマスク市場においては、近年中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されます。また、IDMやファウンドリが有する内作が、将来的に外販フォトマスクベンダーとして事業を拡大する可能性も否定できるものではなく、これら競合構造の変化がテクセンドフォトマスクグループの事業環境に不確実性をもたらすリスクが存在します。

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは「① 半導体業界の需要変動に関わるリスク」に記載のとおり、最先端ノードに対応する技術開発や設備投資を強化しているとともに、レガシー需要の取り込みに向けた製造設備のセルフメンテナンス技術の確立やEOLとなったパーツの代替品開発を行うことにより、多くのレガシーノード向けフォトマスク需要に対する生産能力、価格競争力を確保することで競合他社に対する差別化を図っております。

 

併せて、半導体メーカーのフォトマスク内作強化の懸念に対しても、上記施策により、半導体メーカーが内作において経営資源をレガシー領域に追加で投入するよりも、あるいは内作を持たない半導体メーカーが新たに内作を構築するよりも、テクセンドフォトマスクグループに外注することの経済合理性が高くなるよう図っております。

中国競合企業の台頭、あるいは内作の外注事業開拓については、フォトマスクの製造委託においては、半導体の回路設計情報を受領する必要があることから、各国・地域による安全保障政策等に関する規制、あるいは半導体メーカー間においてはその設計ノウハウは秘匿されるべき競争力の源泉であることに鑑み、その蓋然性は一定程度低いものと想定されますが、テクセンドフォトマスクにおいてはフォトマスク製造専業の独立性を活かし、顧客との信頼関係を強化することで競争力の維持に努めてまいります。また、特定顧客において発生する価格競争の事業全体への影響を低減すべく、テクセンドフォトマスクグループでは単一の顧客に過度に依存した事業とならぬよう幅広い販売先との取引関係を構築しております。

 

③ サプライチェーンに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、事業に必要となる原材料や製造設備・部品、並びに、エネルギーなどを外部のサプライヤー・協力企業より調達しております。半導体製造においては、材料又は製造設備において、特定のサプライヤーが大きなシェアを有し、その供給に問題が生じた場合は半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすリスクが否定できません。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料、製造設備について顧客の認定(使用許諾)によって指定されるケースが多く、テクセンドフォトマスクグループの独断で材料又は設備を切り替えることができないことに加え、認定範囲を拡大(代替材料・設備の使用許諾)する場合には、生産ラインごとに顧客による評価作業が必要となるケースもあり、許諾を得るまでに長ければ半年程度の期間を要します。このため、代替の認定がない状態で認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は、品質問題(性能不良・異物混入等)が生じた場合など、事業に必要となる十分な原材料等の安定的調達が困難となる事態が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。加えて、原材料やエネルギー価格の高騰などによっても、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、顧客より提示されるフォーキャスト情報に基づき、各種サプライヤーとの間に密な情報交換を行うことで、良好な取引関係を構築し、安定調達に努めております。また、各国・地域におけるフォトマスク市場の動向とともにサプライチェーンに関する情報を共有し、BCPの観点から需要の多い材料銘柄、使用設備については、代替となる認定対象・範囲の拡大について、顧客に対し適宜提案を行っております。さらに、不測の事態に備えテクセンドフォトマスクグループの各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。

 

④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク

(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、国内外において広く生産・販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しています。そのため、特に、外貨建て取引に係る為替相場の変動は、短期的に業績へ影響を与える可能性があり、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても急激な為替変動が影響を及ぼすことが想定されます。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化などにより、相対的にテクセンドフォトマスクグループの競争力が低下し、売上高および利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、輸出規制に抵触した場合は、輸出禁止・罰金等の行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。各国・地域の安全保障に関する措置、産業政策の動向、並びに、輸出に係る規制の変化等には細心の注意を払い事業を行っておりますが、上記のような国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、上記のような通商政策の動向を継続的にモニタリングする体制の整備を通じて、これらのリスクの低減に努めております。為替変動等の金融市場環境に関してはグループ全体で情報の収集・共有を行い、金融機関による為替動向の分析を踏まえて、必要に応じて為替予約等のリスク回避・軽減施策を講じております。関税については、各顧客需要を割り当てる生産拠点を随時見直し、テクセンドフォトマスクグループの輸出入によって発生する関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては、顧客との協議を通じて、販売価格への適切な反映を図っております。また、国際情勢や各国・地域における半導体およびフォトマスクの輸出規制、技術開発に関する規制等の動向についても、随時情報共有と内容把握に努めており、政策当局、業界団体、各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通じて早期に情報を収集し、テクセンドフォトマスクグループ事業への影響を分析するとともに、事前の対応策を検討しています。規制の順守にあたっては、輸出管理部門を中心に、各国・地域の輸出規制や技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に実施し、グループ役職員の知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。

 

⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しに則した適切なタイミングでの設備投資と、フォトマスク生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、及び開拓による成長を通じた収益の拡大と収益性の向上をめざすとともに業務効率の向上等の追求をめざしております。
 市場環境が、上記目標策定時の前提と異なる場合、目標の達成が困難となる可能性があります。また、外販フォトマスク市場における想定以上の競争激化や、エンジニアをはじめとする各種人財の確保、関連する法律、規制又は税制の不利益な変更、技術動向の変化への対応等の潜在的なリスクに対応できない場合、また、これらリスクに対応する費用が想定を超えて発生した場合等、テクセンドフォトマスクグループが定めた目標を達成できず、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。


 (リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することで、特定の顧客需要や特定工場の供給能力に依存しない事業構造の構築を図っております。市場環境の変化に対しては、営業部門で常時顧客動向の把握に努めるとともに、工場・スタッフ部門においても各国・地域の政策や規制、技術動向の変化を注視し、定期的な会議の中でそれら集約された情報を基に適時に戦略・戦術の見直しを行い、環境変化に柔軟に対応すべく図っております。

 
⑥ 労務管理に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において制定・施行されている労務に係る各種の法令及び規則に基づく適正な労務管理を行っております。しかしながら、万が一、長時間労働、ハラスメント、差別・人権侵害等のコンプライアンス違反、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、その他従業員が被害を受ける事象が発生した場合、法令及び規則に基づく処罰・処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損、補償等による費用の発生により、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、労務に関わる各種の法令及び規則に基づく適正な労働時間管理、並びに、安全衛生管理の徹底に向け、労務管理に係わる各種研修・実習の充実をはかるとともに、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、エンゲージメントの向上、従業員の健康と安全の維持・向上をはかるべく、様々な制度の整備や具体的施策の展開に取り組んでおります。

 

 

⑦ 税務に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域の税制に準拠した税額計算を行い適正な納税に努めておりますが、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、テクセンドフォトマスクグループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、税務がテクセンドフォトマスクグループ経営、業績に与える影響を理解するとともに、税務リスクを継続して包括的に評価する税務スタッフの育成や税務ノウハウの蓄積に向け、税務専門家の活用など幅広い対応施策に取り組んでおります。

 

⑧ 環境規制に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の漏洩・流出、騒音・振動等に係る様々な法的規制の遵守が求められております。テクセンドフォトマスクグループは、これらの法的規制に細心の注意を払い事業を行っておりますが、万が一テクセンドフォトマスクグループがこれらの法的規制に違反した場合や、規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等により環境保全関連費用が増加した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、ESG委員会等の会議体において、ESGマテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。

 

⑨ 有形固定資産の減損損失リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、生産キャパシティの維持・拡大のため設備投資を継続して実施し多くの有形固定資産を保有しております。また、設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの検討を経て投資判断を行っております。しかしながら、想定を超えた経営環境や事業の状況の著しい変化等により有形固定資産の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識することにより、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

設備投資にあたり、適切な投資実施時期(タイミング)と合理的な収益率を明らかにする投資基準の精度向上に取り組むとともに、必要に応じて外部の調査機関等を活用した市場環境のモニタリングを行うなど、設備投資に係る減損損失リスクの軽減、回避策を講じております。

 

⑩ 知的財産に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、保有・蓄積した技術及び製造する製品の競争力強化の観点から事業運営における知的財産に関する各種の取り組みが重要であると認識しており、知的財産権の保護・権利化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、第三者がテクセンドフォトマスクグループの知的財産権を侵害した場合、若しくは、万が一、テクセンドフォトマスクグループが第三者の知的財産権を侵害した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

研究開発部門・技術開発部門・事業戦略部門・法務部門等の関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、定期的な知的財産権に関する教育を実施する等、知的財産戦略に係る各種施策を実施しております。

 

⑪ 製品の品質等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、製造する半導体用フォトマスクに対して、半導体メーカー等の顧客より高度な品質管理が要求されており、製品品質の維持向上に向けた教育制度を整備するとともに、定期的な内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を早期に発見・是正する体制を整えております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、万が一、テクセンドフォトマスクグループ製品の品質に起因した問題により顧客に損失が発生した場合、顧客に対する損害賠償責任が発生することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、各製造拠点にて作業の標準化を進めるとともに、製造レシピを整理しMES(製造実行システム)を通じた生産・品質管理を行うとともに、品質管理に係る各工程の監査、品質保証に関わる人員や設備の充実化に取り組んでおります。また、複数の製造拠点間の製造連携についても、高精度なデータマッチング技術によって異なるサイト間・設備間でも高品質かつ均質なフォトマスク生産を実現しており、品質問題の発生時や工程品質の悪化に対し、他拠点の知見も活用することで、早期改善を実現しております。

 

⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループにおいて、不測の事態による情報漏洩やサイバー攻撃等によるシステム障害、重要なデータの破壊・改竄・漏洩、その復旧を条件とした身代金要求等が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの社会的信用の低下、ノウハウ流出、多額の対応費用の支出等のほか、事業活動の停止を余儀なくされるリスク等も想定され、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、「情報セキュリティ基本方針」を掲げ、情報セキュリティに係る規程類の改定・整備体制を構築するとともに、各国・地域に所在する各社・拠点におけるセキュリティ対策状況、対策の精度、有効性の評価及び改善指導を適宜実施しております。また、外部からのサイバー攻撃への対応施策として、社内ネットワークに接続する電子機器・情報端末の利用状況の監視、操作ログの解析等の技術的な対策に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、並びに全役職員を対象とした教育を実施し、情報セキュリティに対する意識醸成への取り組みを進めております。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)

テクセンドフォトマスクグループでは、国内外において事業を展開しており、各国の法令・規制、業界ルール、社会的規範を遵守する必要があります。これらに違反した場合、短期的にはレピュテーションリスクの顕在化、中期的には事業停止・行政処分、長期的にはブランド毀損や市場からの退出リスクを伴うものとして認識しています。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、従業員への教育・研修の実施、内部通報制度の運用、監査体制の強化などを通じて、リスクの未然防止と早期発見に努めています。また、違反が発生した場合には、速やかに事実関係を調査し、コンプライアンス委員会に報告の上、再発防止策を講じる体制を整備しています。

 

⑭ 訴訟等に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)

テクセンドフォトマスクグループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で取引先等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります(労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩などに関連する請求に関して、顧客、サプライヤー、その他の取引相手、競合他社、従業員、規制当局などから提起される訴訟を含む。)。それらの訴訟等でテクセンドフォトマスクグループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等がテクセンドフォトマスクグループの将来的な事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、法務部門そのほか関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、訴訟等の発生の予防及び対応に係る各種施策を実施しております。

 

⑮ 朝霞工場に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクの朝霞工場は、TOPPANホールディングス株式会社が保有する朝霞工場の敷地内に所在し、土地及び一部の建物を同社から賃借しております。本書提出日現在の賃料は土地が月額1,552,250円、建屋が月額3,816,020円となります。当該賃借についての賃貸借契約では、土地・建物ともに賃貸借期間は10年間(2032年3月31日まで)と定めており、契約期間末までの間において土地・建物の賃借を引き続き継続するか、若しくは、工場移転又は廃止の検討・判断を行う必要があります。検討の結果、朝霞工場の移転又は廃止するとの判断に至った場合、工場の移転又は廃止に伴うコストの発生及び生産停止のリスクが生ずることにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

朝霞工場の賃貸借契約については、契約期間を2032年3月末までの長期契約とし、契約期間内での貸主による一方的な契約終了、契約破棄を認めない条項を設け、事業の継続性を担保しております。また、フォトマスクの需要動向、技術革新の状況等の事業環境を踏まえながら、朝霞工場の拡張性、有用性、収益性を見極め、同工場のあり方、製造拠点としての独立性の確保という視点からの検討を進めるとともに、施設ユーティリティについてもテクセンドフォトマスク自らが保守管理可能な体制整備に努めてまいります。

 

(2) 災害等のリスク

 自然災害・伝染病リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において地震・台風等の重大な災害によりテクセンドフォトマスクグループ施設・設備(描画機・検査機等の主要装置及び装置が設置してあるクリーンルーム)に損傷が生じた場合、或いは、重篤な伝染病の蔓延等により生産・営業活動の停滞を強いられるなど、外部のサプライヤー・協力会社に加え顧客を含むサプライチェーン全体の混乱を招く事象が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、BCPの観点から各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を受けることで、特定の製造拠点に過度に依存しない生産体制を構築しております。また、需要の多い材料、設備について、各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。併せて、重大な災害の発生に備え各種マニュアル・行動手順や緊急連絡網の整備をはかるなど、事業継続に向けた対策を講じております。

 

(3) 親会社グループとの関係について

① 資本関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、TOPPANホールディングス株式会社はテクセンドフォトマスクの発行済株式の50.1%を所有するテクセンドフォトマスクの親会社であります。テクセンドフォトマスクの上場時において、TOPPANホールディングス株式会社は所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する可能性があり、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、TOPPANホールディングス株式会社が上場後も相当数のテクセンドフォトマスク株式を保有する場合、テクセンドフォトマスクの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のテクセンドフォトマスクの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

親会社であるTOPPANホールディングス株式会社との適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した運営に努めてまいります。

 

② 人的関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

本書提出日現在において、取締役として黒部隆がTOPPANホールディングス株式会社より選任されております。親会社の意向が強く反映され、テクセンドフォトマスクの経営判断やガバナンスの独立性が低下する可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

③ 競合について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

現時点において、テクセンドフォトマスクグループが行っているフォトマスク事業は、TOPPANグループが行っている事業と競合関係にはありません。しかしながら、将来においてTOPPANグループの事業戦略によっては、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する可能性が考えられます。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクは凸版印刷からの分社化に際し、フォトマスク事業において使用される設備をはじめ、知的財産、顧客基盤、及び人財すべてを承継しております。半導体業界は一般に参入障壁の高い業界と認識されており、特にフォトマスクを含む前工程については単純な資本力のみならず、過去のテクノロジーから培ってきた技術ノウハウ(描画・プロセス技術、検査技術、修正技術、洗浄技術等)の蓄積により、高品質なフォトマスクを安定生産することが出来る生産体制を構築しています。従って、TOPPANグループが改めてフォトマスク業界に参入し、テクセンドフォトマスクグループと競合するまで事業を拡大するには相当程度の時間とリソースを要することが想定され、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する蓋然性は極めて低いものと認識しております。

 

 

④ 事業運営及び取引について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループの事業運営において、TOPPANグループの承認を要する規程・規則は設けられておらず、テクセンドフォトマスクグループの事業運営にあたり独立性は確保されているものと判断しております。また、TOPPANグループとの取引を行うにあたっては、関連当事者取引として求められる、取引における合理性及び取引条件の妥当性を検証する統制手続きを経て取引を行っております。しかしながら、TOPPANグループは議決権の行使を通じてテクセンドフォトマスクグループの事業運営及びTOPPANグループとの取引に影響を及ぼしうる立場にあることから、TOPPANグループの利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、TOPPANグループとの取引を含め関連当事者との取引にあたっては、当該取引がTOPPANグループ以外の他の株主の利益に十分配慮されており、かつ、予め設けた規程に基づき、取引条件の妥当性、事業上における正当性、経済的な合理性、経済取引としての健全性等の要件について、社外取締役を中心にした特別委員会において検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、統制環境の実効性を担保しております。

 

(4) ファンド株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、インテグラルグループが合計でテクセンドフォトマスクの発行済株式の49.9%を所有(関連当事者は20.9%を所有するIceインテグラル2投資事業有限責任組合のみ)しております。また、社外取締役として山崎壯がインテグラルグループより選任されております。テクセンドフォトマスクの上場時にあたり、インテグラルグループは所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する予定ですが、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

(国際会計基準(IAS第24号『関連当事者の開示』)に基づき、関連当事者を開示)

 

(リスクへの対応)

インテグラルグループとの適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した事業運営に努めてまいります。また、テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

(5) テクセンドフォトマスク株式の流動性に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクは、東京証券取引所のプライム市場への上場を予定しており、上場に際しては、親会社であるTOPPANホールディングス株式会社或いは主要株主であるインテグラルグループ、又はその両者によるテクセンドフォトマスク株式のグローバル・オファリングによる売出しによって、テクセンドフォトマスク株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしております。東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は35%以上でありますが、テクセンドフォトマスク株式の新規上場時における流通株式比率は未定であります。また、市場環境によって上場時よりもテクセンドフォトマスク株式の流動性が低下する場合には、テクセンドフォトマスク株式の市場における売買が停滞する可能性があり、テクセンドフォトマスク株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク株式の流動株式比率の向上、流通株式の増加に向け、TOPPANホールディングス株式会社及びインテグラルグループとの適切な意見交換、対話を重ねてまいります。また、従業員の所有する新株予約権の行使等による流通株式数の増加を図るなど、テクセンドフォトマスク株式の流動性の向上に取り組んでまいります。

 

 

(6) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクのグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。

なお、テクセンドフォトマスクは本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることでテクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備

2.土地使用用途の相違

3.建屋建設時の行政手続きの未完

4.建屋増設時の行政手続きの不備

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスク及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。

その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、テクセンドフォトマスクグループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。

 

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がテクセンドフォトマスクグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてテクセンドフォトマスクが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 経営に関するリスク

① 半導体業界の需要変動に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループの主力事業を取り巻く半導体業界は需要変動が激しい業界であり、経済環境及び地政学リスクなどの要因により、テクセンドフォトマスクグループにおいてもその影響を受ける可能性があります。世界経済の動向により、特にマクロ経済の逆風や景気後退が発生した場合、半導体を使用する各種電子機器の需要が変動し、半導体市場全体の需要が縮小するリスクがあります。さらに、IDMやファウンドリの事業戦略の変化に伴い、外販フォトマスクの需要も変動する可能性があります。加えて、特定地域における政治・経済的な不安定要因や貿易摩擦が半導体サプライチェーンに影響を及ぼし、フォトマスク需要に変動を引き起こす可能性があります。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループではEUVフォトマスクやCurvilinear技術など、次世代技術の開発や生産設備への投資を積極的に実施しており、半導体市場の技術革新に迅速に対応しております。また、販売先やベンダー、コンソーシアム等との共同開発を通じて、顧客の技術要求に応えられる研究開発・生産体制を構築することにより、テクセンドフォトマスクグループは半導体デバイスメーカーの研究開発段階から技術パートナーとして参画することを可能としております。半導体用フォトマスクの需要は、研究開発フェーズと量産フェーズの二段階に大別されますが、研究開発フェーズの需要は量産フェーズに比べて経済動向の直接的な影響を受けにくいため、テクセンドフォトマスクグループとしては底堅いフォトマスク需要が期待できます。さらに、研究開発段階からテクセンドフォトマスクグループが主たるサプライヤーとして採用されることで、量産段階においてもテクセンドフォトマスクグループが優先的かつ継続して採用される可能性が高まります。このような取り組みにより、量産前から一定のニーズを取り込み、半導体市場の動向に業績が大きく影響を受けるリスクを低減しております。

② 競合に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)

フォトマスク市場は、IDMやファウンドリといった半導体メーカー自らがフォトマスクを製造する「内作」と、内作を有しない半導体メーカー、または内作の超過需要による外注に対し、外部からフォトマスクを供給する「外販」に大別され、外販市場はテクセンドフォトマスクグループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーによって形成されております。このため、主要販売先であるIDMやファウンドリが内作による調達方針を強化した場合、あるいは外販フォトマスクベンダー間の価格競争等が激化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

特に、外販フォトマスク市場においては、近年中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されます。また、IDMやファウンドリが有する内作が、将来的に外販フォトマスクベンダーとして事業を拡大する可能性も否定できるものではなく、これら競合構造の変化がテクセンドフォトマスクグループの事業環境に不確実性をもたらすリスクが存在します。

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは「① 半導体業界の需要変動に関わるリスク」に記載のとおり、最先端ノードに対応する技術開発や設備投資を強化しているとともに、レガシー需要の取り込みに向けた製造設備のセルフメンテナンス技術の確立やEOLとなったパーツの代替品開発を行うことにより、多くのレガシーノード向けフォトマスク需要に対する生産能力、価格競争力を確保することで競合他社に対する差別化を図っております。

 

併せて、半導体メーカーのフォトマスク内作強化の懸念に対しても、上記施策により、半導体メーカーが内作において経営資源をレガシー領域に追加で投入するよりも、あるいは内作を持たない半導体メーカーが新たに内作を構築するよりも、テクセンドフォトマスクグループに外注することの経済合理性が高くなるよう図っております。

中国競合企業の台頭、あるいは内作の外注事業開拓については、フォトマスクの製造委託においては、半導体の回路設計情報を受領する必要があることから、各国・地域による安全保障政策等に関する規制、あるいは半導体メーカー間においてはその設計ノウハウは秘匿されるべき競争力の源泉であることに鑑み、その蓋然性は一定程度低いものと想定されますが、テクセンドフォトマスクにおいてはフォトマスク製造専業の独立性を活かし、顧客との信頼関係を強化することで競争力の維持に努めてまいります。また、特定顧客において発生する価格競争の事業全体への影響を低減すべく、テクセンドフォトマスクグループでは単一の顧客に過度に依存した事業とならぬよう幅広い販売先との取引関係を構築しております。

 

③ サプライチェーンに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、事業に必要となる原材料や製造設備・部品、並びに、エネルギーなどを外部のサプライヤー・協力企業より調達しております。半導体製造においては、材料又は製造設備において、特定のサプライヤーが大きなシェアを有し、その供給に問題が生じた場合は半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすリスクが否定できません。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料、製造設備について顧客の認定(使用許諾)によって指定されるケースが多く、テクセンドフォトマスクグループの独断で材料又は設備を切り替えることができないことに加え、認定範囲を拡大(代替材料・設備の使用許諾)する場合には、生産ラインごとに顧客による評価作業が必要となるケースもあり、許諾を得るまでに長ければ半年程度の期間を要します。このため、代替の認定がない状態で認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は、品質問題(性能不良・異物混入等)が生じた場合など、事業に必要となる十分な原材料等の安定的調達が困難となる事態が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。加えて、原材料やエネルギー価格の高騰などによっても、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、顧客より提示されるフォーキャスト情報に基づき、各種サプライヤーとの間に密な情報交換を行うことで、良好な取引関係を構築し、安定調達に努めております。また、各国・地域におけるフォトマスク市場の動向とともにサプライチェーンに関する情報を共有し、BCPの観点から需要の多い材料銘柄、使用設備については、代替となる認定対象・範囲の拡大について、顧客に対し適宜提案を行っております。さらに、不測の事態に備えテクセンドフォトマスクグループの各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。

 

④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク

(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループは、国内外において広く生産・販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しています。そのため、特に、外貨建て取引に係る為替相場の変動は、短期的に業績へ影響を与える可能性があり、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても急激な為替変動が影響を及ぼすことが想定されます。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化などにより、相対的にテクセンドフォトマスクグループの競争力が低下し、売上高および利益に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、輸出規制に抵触した場合は、輸出禁止・罰金等の行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。各国・地域の安全保障に関する措置、産業政策の動向、並びに、輸出に係る規制の変化等には細心の注意を払い事業を行っておりますが、上記のような国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、上記のような通商政策の動向を継続的にモニタリングする体制の整備を通じて、これらのリスクの低減に努めております。為替変動等の金融市場環境に関してはグループ全体で情報の収集・共有を行い、金融機関による為替動向の分析を踏まえて、必要に応じて為替予約等のリスク回避・軽減施策を講じております。関税については、各顧客需要を割り当てる生産拠点を随時見直し、テクセンドフォトマスクグループの輸出入によって発生する関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては、顧客との協議を通じて、販売価格への適切な反映を図っております。また、国際情勢や各国・地域における半導体およびフォトマスクの輸出規制、技術開発に関する規制等の動向についても、随時情報共有と内容把握に努めており、政策当局、業界団体、各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通じて早期に情報を収集し、テクセンドフォトマスクグループ事業への影響を分析するとともに、事前の対応策を検討しています。規制の順守にあたっては、輸出管理部門を中心に、各国・地域の輸出規制や技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に実施し、グループ役職員の知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。

 

⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しに則した適切なタイミングでの設備投資と、フォトマスク生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、及び開拓による成長を通じた収益の拡大と収益性の向上をめざすとともに業務効率の向上等の追求をめざしております。
 市場環境が、上記目標策定時の前提と異なる場合、目標の達成が困難となる可能性があります。また、外販フォトマスク市場における想定以上の競争激化や、エンジニアをはじめとする各種人財の確保、関連する法律、規制又は税制の不利益な変更、技術動向の変化への対応等の潜在的なリスクに対応できない場合、また、これらリスクに対応する費用が想定を超えて発生した場合等、テクセンドフォトマスクグループが定めた目標を達成できず、テクセンドフォトマスクグループの事業活動、経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。


 (リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することで、特定の顧客需要や特定工場の供給能力に依存しない事業構造の構築を図っております。市場環境の変化に対しては、営業部門で常時顧客動向の把握に努めるとともに、工場・スタッフ部門においても各国・地域の政策や規制、技術動向の変化を注視し、定期的な会議の中でそれら集約された情報を基に適時に戦略・戦術の見直しを行い、環境変化に柔軟に対応すべく図っております。

 
⑥ 労務管理に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において制定・施行されている労務に係る各種の法令及び規則に基づく適正な労務管理を行っております。しかしながら、万が一、長時間労働、ハラスメント、差別・人権侵害等のコンプライアンス違反、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、その他従業員が被害を受ける事象が発生した場合、法令及び規則に基づく処罰・処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損、補償等による費用の発生により、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、労務に関わる各種の法令及び規則に基づく適正な労働時間管理、並びに、安全衛生管理の徹底に向け、労務管理に係わる各種研修・実習の充実をはかるとともに、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、エンゲージメントの向上、従業員の健康と安全の維持・向上をはかるべく、様々な制度の整備や具体的施策の展開に取り組んでおります。

 

 

⑦ 税務に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域の税制に準拠した税額計算を行い適正な納税に努めておりますが、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、テクセンドフォトマスクグループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、税務がテクセンドフォトマスクグループ経営、業績に与える影響を理解するとともに、税務リスクを継続して包括的に評価する税務スタッフの育成や税務ノウハウの蓄積に向け、税務専門家の活用など幅広い対応施策に取り組んでおります。

 

⑧ 環境規制に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、各拠点所在国・地域において水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の漏洩・流出、騒音・振動等に係る様々な法的規制の遵守が求められております。テクセンドフォトマスクグループは、これらの法的規制に細心の注意を払い事業を行っておりますが、万が一テクセンドフォトマスクグループがこれらの法的規制に違反した場合や、規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等により環境保全関連費用が増加した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、ESG委員会等の会議体において、ESGマテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。

 

⑨ 有形固定資産の減損損失リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、生産キャパシティの維持・拡大のため設備投資を継続して実施し多くの有形固定資産を保有しております。また、設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの検討を経て投資判断を行っております。しかしながら、想定を超えた経営環境や事業の状況の著しい変化等により有形固定資産の収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失を認識することにより、テクセンドフォトマスクグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

設備投資にあたり、適切な投資実施時期(タイミング)と合理的な収益率を明らかにする投資基準の精度向上に取り組むとともに、必要に応じて外部の調査機関等を活用した市場環境のモニタリングを行うなど、設備投資に係る減損損失リスクの軽減、回避策を講じております。

 

⑩ 知的財産に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクグループは、保有・蓄積した技術及び製造する製品の競争力強化の観点から事業運営における知的財産に関する各種の取り組みが重要であると認識しており、知的財産権の保護・権利化に積極的に取り組んでおります。しかしながら、第三者がテクセンドフォトマスクグループの知的財産権を侵害した場合、若しくは、万が一、テクセンドフォトマスクグループが第三者の知的財産権を侵害した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

研究開発部門・技術開発部門・事業戦略部門・法務部門等の関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、定期的な知的財産権に関する教育を実施する等、知的財産戦略に係る各種施策を実施しております。

 

⑪ 製品の品質等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、製造する半導体用フォトマスクに対して、半導体メーカー等の顧客より高度な品質管理が要求されており、製品品質の維持向上に向けた教育制度を整備するとともに、定期的な内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を早期に発見・是正する体制を整えております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、万が一、テクセンドフォトマスクグループ製品の品質に起因した問題により顧客に損失が発生した場合、顧客に対する損害賠償責任が発生することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、各製造拠点にて作業の標準化を進めるとともに、製造レシピを整理しMES(製造実行システム)を通じた生産・品質管理を行うとともに、品質管理に係る各工程の監査、品質保証に関わる人員や設備の充実化に取り組んでおります。また、複数の製造拠点間の製造連携についても、高精度なデータマッチング技術によって異なるサイト間・設備間でも高品質かつ均質なフォトマスク生産を実現しており、品質問題の発生時や工程品質の悪化に対し、他拠点の知見も活用することで、早期改善を実現しております。

 

⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクグループにおいて、不測の事態による情報漏洩やサイバー攻撃等によるシステム障害、重要なデータの破壊・改竄・漏洩、その復旧を条件とした身代金要求等が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの社会的信用の低下、ノウハウ流出、多額の対応費用の支出等のほか、事業活動の停止を余儀なくされるリスク等も想定され、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、「情報セキュリティ基本方針」を掲げ、情報セキュリティに係る規程類の改定・整備体制を構築するとともに、各国・地域に所在する各社・拠点におけるセキュリティ対策状況、対策の精度、有効性の評価及び改善指導を適宜実施しております。また、外部からのサイバー攻撃への対応施策として、社内ネットワークに接続する電子機器・情報端末の利用状況の監視、操作ログの解析等の技術的な対策に加え、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、並びに全役職員を対象とした教育を実施し、情報セキュリティに対する意識醸成への取り組みを進めております。

 

⑬ コンプライアンスに関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)

テクセンドフォトマスクグループでは、国内外において事業を展開しており、各国の法令・規制、業界ルール、社会的規範を遵守する必要があります。これらに違反した場合、短期的にはレピュテーションリスクの顕在化、中期的には事業停止・行政処分、長期的にはブランド毀損や市場からの退出リスクを伴うものとして認識しています。このようなリスクが顕在化することにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、従業員への教育・研修の実施、内部通報制度の運用、監査体制の強化などを通じて、リスクの未然防止と早期発見に努めています。また、違反が発生した場合には、速やかに事実関係を調査し、コンプライアンス委員会に報告の上、再発防止策を講じる体制を整備しています。

 

⑭ 訴訟等に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)

テクセンドフォトマスクグループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で取引先等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります(労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩などに関連する請求に関して、顧客、サプライヤー、その他の取引相手、競合他社、従業員、規制当局などから提起される訴訟を含む。)。それらの訴訟等でテクセンドフォトマスクグループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等がテクセンドフォトマスクグループの将来的な事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループでは、法務部門そのほか関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、訴訟等の発生の予防及び対応に係る各種施策を実施しております。

 

⑮ 朝霞工場に関わるリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)

テクセンドフォトマスクの朝霞工場は、TOPPANホールディングス株式会社が保有する朝霞工場の敷地内に所在し、土地及び一部の建物を同社から賃借しております。本書提出日現在の賃料は土地が月額1,552,250円、建屋が月額3,816,020円となります。当該賃借についての賃貸借契約では、土地・建物ともに賃貸借期間は10年間(2032年3月31日まで)と定めており、契約期間末までの間において土地・建物の賃借を引き続き継続するか、若しくは、工場移転又は廃止の検討・判断を行う必要があります。検討の結果、朝霞工場の移転又は廃止するとの判断に至った場合、工場の移転又は廃止に伴うコストの発生及び生産停止のリスクが生ずることにより、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

朝霞工場の賃貸借契約については、契約期間を2032年3月末までの長期契約とし、契約期間内での貸主による一方的な契約終了、契約破棄を認めない条項を設け、事業の継続性を担保しております。また、フォトマスクの需要動向、技術革新の状況等の事業環境を踏まえながら、朝霞工場の拡張性、有用性、収益性を見極め、同工場のあり方、製造拠点としての独立性の確保という視点からの検討を進めるとともに、施設ユーティリティについてもテクセンドフォトマスク自らが保守管理可能な体制整備に努めてまいります。

 

(2) 災害等のリスク

 自然災害・伝染病リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において地震・台風等の重大な災害によりテクセンドフォトマスクグループ施設・設備(描画機・検査機等の主要装置及び装置が設置してあるクリーンルーム)に損傷が生じた場合、或いは、重篤な伝染病の蔓延等により生産・営業活動の停滞を強いられるなど、外部のサプライヤー・協力会社に加え顧客を含むサプライチェーン全体の混乱を招く事象が発生した場合、テクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、BCPの観点から各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を受けることで、特定の製造拠点に過度に依存しない生産体制を構築しております。また、需要の多い材料、設備について、各拠点において適切な在庫量を確保するとともに、各拠点間で在庫を適時融通可能な体制を構築しております。併せて、重大な災害の発生に備え各種マニュアル・行動手順や緊急連絡網の整備をはかるなど、事業継続に向けた対策を講じております。

 

(3) 親会社グループとの関係について

① 資本関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、TOPPANホールディングス株式会社はテクセンドフォトマスクの発行済株式の50.1%を所有するテクセンドフォトマスクの親会社であります。テクセンドフォトマスクの上場時において、TOPPANホールディングス株式会社は所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する可能性があり、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、TOPPANホールディングス株式会社が上場後も相当数のテクセンドフォトマスク株式を保有する場合、テクセンドフォトマスクの役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等のテクセンドフォトマスクの株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

親会社であるTOPPANホールディングス株式会社との適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した運営に努めてまいります。

 

② 人的関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

本書提出日現在において、取締役として黒部隆がTOPPANホールディングス株式会社より選任されております。親会社の意向が強く反映され、テクセンドフォトマスクの経営判断やガバナンスの独立性が低下する可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

③ 競合について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:小)

現時点において、テクセンドフォトマスクグループが行っているフォトマスク事業は、TOPPANグループが行っている事業と競合関係にはありません。しかしながら、将来においてTOPPANグループの事業戦略によっては、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する可能性が考えられます。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクは凸版印刷からの分社化に際し、フォトマスク事業において使用される設備をはじめ、知的財産、顧客基盤、及び人財すべてを承継しております。半導体業界は一般に参入障壁の高い業界と認識されており、特にフォトマスクを含む前工程については単純な資本力のみならず、過去のテクノロジーから培ってきた技術ノウハウ(描画・プロセス技術、検査技術、修正技術、洗浄技術等)の蓄積により、高品質なフォトマスクを安定生産することが出来る生産体制を構築しています。従って、TOPPANグループが改めてフォトマスク業界に参入し、テクセンドフォトマスクグループと競合するまで事業を拡大するには相当程度の時間とリソースを要することが想定され、テクセンドフォトマスクグループの事業と競合する蓋然性は極めて低いものと認識しております。

 

 

④ 事業運営及び取引について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:中)

テクセンドフォトマスクグループの事業運営において、TOPPANグループの承認を要する規程・規則は設けられておらず、テクセンドフォトマスクグループの事業運営にあたり独立性は確保されているものと判断しております。また、TOPPANグループとの取引を行うにあたっては、関連当事者取引として求められる、取引における合理性及び取引条件の妥当性を検証する統制手続きを経て取引を行っております。しかしながら、TOPPANグループは議決権の行使を通じてテクセンドフォトマスクグループの事業運営及びTOPPANグループとの取引に影響を及ぼしうる立場にあることから、TOPPANグループの利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、TOPPANグループとの取引を含め関連当事者との取引にあたっては、当該取引がTOPPANグループ以外の他の株主の利益に十分配慮されており、かつ、予め設けた規程に基づき、取引条件の妥当性、事業上における正当性、経済的な合理性、経済取引としての健全性等の要件について、社外取締役を中心にした特別委員会において検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、統制環境の実効性を担保しております。

 

(4) ファンド株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)

本書提出日現在において、インテグラルグループが合計でテクセンドフォトマスクの発行済株式の49.9%を所有(関連当事者は20.9%を所有するIceインテグラル2投資事業有限責任組合のみ)しております。また、社外取締役として山崎壯がインテグラルグループより選任されております。テクセンドフォトマスクの上場時にあたり、インテグラルグループは所有するテクセンドフォトマスク株式を売却する予定ですが、その保有・処分方針によっては、テクセンドフォトマスク株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

(国際会計基準(IAS第24号『関連当事者の開示』)に基づき、関連当事者を開示)

 

(リスクへの対応)

インテグラルグループとの適切な意見交換等を実施し、健全かつ適正な関係を維持するとともに、少数株主の利益に配慮した事業運営に努めてまいります。また、テクセンドフォトマスクの役員体制に関しては、少数株主の権利を保護し・権利を尊重した体制とするため、独立社外役員の積極登用を行ってまいります。

 

(5) テクセンドフォトマスク株式の流動性に関するリスク

(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:小)

テクセンドフォトマスクは、東京証券取引所のプライム市場への上場を予定しており、上場に際しては、親会社であるTOPPANホールディングス株式会社或いは主要株主であるインテグラルグループ、又はその両者によるテクセンドフォトマスク株式のグローバル・オファリングによる売出しによって、テクセンドフォトマスク株式の流動性の確保に可能な限り努めることとしております。東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は35%以上でありますが、テクセンドフォトマスク株式の新規上場時における流通株式比率は未定であります。また、市場環境によって上場時よりもテクセンドフォトマスク株式の流動性が低下する場合には、テクセンドフォトマスク株式の市場における売買が停滞する可能性があり、テクセンドフォトマスク株式の需給関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスクグループは、テクセンドフォトマスク株式の流動株式比率の向上、流通株式の増加に向け、TOPPANホールディングス株式会社及びインテグラルグループとの適切な意見交換、対話を重ねてまいります。また、従業員の所有する新株予約権の行使等による流通株式数の増加を図るなど、テクセンドフォトマスク株式の流動性の向上に取り組んでまいります。

 

 

(6) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について

(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

テクセンドフォトマスクのグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。

なお、テクセンドフォトマスクは本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることでテクセンドフォトマスクグループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備

2.土地使用用途の相違

3.建屋建設時の行政手続きの未完

4.建屋増設時の行政手続きの不備

 

(リスクへの対応)

テクセンドフォトマスク及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。

その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、テクセンドフォトマスクグループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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