エーザイ(4523)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】エーザイグループは、連結財務諸表提出会社(以下、「エーザイ」という。)、連結子会社49社および持分法適用会社1社で構成され、その事業内容を医薬品事業とその他事業に区分しています。医薬品事業では、医療用医薬品、一般用医薬品等の研究開発・製造・販売を行っており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。 事業区分、主要製品等および主要な会社の関係は、次のとおりです。事業区分主要製品等主要な会社医薬品事業医療用医薬品一般用医薬品(日本)エーザイEAファーマ株式会社(北米)Eisai Corporation of North America (米国)Eisai Inc. (米国)Eisai Ltd. (カナダ)(中国)衛材(中国)投資有限公司衛材(中国)薬業有限公司衛材(蘇州)貿易有限公司(欧州)Eisai Europe Ltd. (英国)Eisai Ltd. (英国)Eisai Manufacturing Ltd. (英国)Eisai GmbH (ドイツ)Eisai S.A.S. (フランス)Eisai Farmacéutica S.A. (スペイン)Eisai S.r.l. (イタリア)(アジア他)Eisai Asia Regional Services Pte. Ltd. (シンガポール)衛采製薬股份有限公司(台湾)Eisai (Thailand) Marketing Co., Ltd. (タイ)Eisai Korea Inc. (韓国)Eisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd. (インド)その他事業ライセンス医薬品原料業務サービス(日本)エーザイ株式会社サンプラネット上記における事業区分は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記、5. セグメント情報」における事業区分と同一です。 事業の系統図は、次のとおりです。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてエーザイグループが判断したものです。 (1)企業理念エーザイグループは、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとですべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。エーザイグループの使命は、患者様と生活者の皆様の満足の増大であり、他産業との連携によるhhcエコシステムを通じて、日常と医療の領域で生活する人々の「生ききるを支える」ことです。その結果として売上や利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考えています。エーザイグループは、このhhc理念の実現に向けて、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築に努めるとともに、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでいます。本企業理念は、定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっています。エーザイグループは、hhc理念に基づき、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現し、社会的インパクトを創出することで、長期的な企業価値の増大をめざします。 (2)エーザイの未来創造戦略2025年3月、エーザイグループは、hhc理念に基づき、すべての人が自分らしく生ききる世界をつくるための「エーザイの未来創造戦略」を策定しました。本戦略を経営の根幹に据え、エーザイグループの医薬品事業等を通じた患者様や生活者の皆様への貢献と、これを支える基盤としてコーポレートガバナンス強化および地球環境保全や社会課題の解決に中長期的に取り組み、企業としての継続的成長と社会の持続的発展への寄与をめざします。エーザイグループは、本戦略の実現による中長期的な企業価値向上に向けて、優先的に取り組む重要な課題とその目標を中期経営計画に定め、取り組みを推進します。 (3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」エーザイグループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。「EWAY Future & Beyond」では、エーザイグループが貢献すべき主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大しました。患者様と生活者の皆様の「生ききるを支える」という想いとともに、アンメット・メディカルニーズが極めて高く、エーザイグループが最も強みを持つ認知症を中心とする神経領域とがん領域に立脚したサイエンスとデータに基づくソリューションを創出し、他産業やグループとの連携によるエコシステムの構築を通じて、hhceco(hhc理念+エコシステム)企業へと進化することをめざしています。エーザイグループは、認知症領域、がん領域、グローバルヘルス領域における社会善の実現に加え、人財価値の最大化を重要マテリアリティとして特定し、2030年度に向けた長期目標とKPIおよびリスクを設定・特定しました。これらのマテリアリティを羅針盤とし、社会善の効率的な実現に取り組んでいきます。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。 ② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、エーザイグループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域にフォーカスし、創薬仮説の構築・検証から承認取得までの創薬活動を推進しています。グローバルヘルス領域においても継続的な貢献を果たしていくことをめざしています。また、人々の日常領域から医療領域までのすべてのライフステージを支えるエコシステムを、アカデミア、企業、自治体などのパートナーと連携して構築することで、価値創造をめざします。加えて、これらの価値創造を下支えするべく、効率性の追求と収益性の向上に向けた構造改革も推進しています。グローバル全体のオペレーションを最適化し、単なる費用削減ではなく、組織・プロセスを抜本から見直すことで、全社収益構造の変革をはかります。(a) 認知症を中心とする神経領域レカネマブ(ブランド名:「レケンビ」)について、早期ADを対象に、米国、日本、中国、欧州、アジア等において53の国と地域で承認を取得し、6カ国で申請中です。18カ月間の2週に1回投与による初期療法完了後に4週に1回の投与を可能とする点滴静注維持療法は、7カ国で承認を取得し、12の国と地域で申請中です。在宅・在所での投与が可能となる皮下注オートインジェクター製剤(SC-AI)について、維持療法として米国で承認を取得し、初期療法では米国、日本、中国などで申請中です。血液バイオマーカーを用いたアミロイドβ蓄積のプレスクリーニングテストの拡大と確定診断の実装に向けた動きも着実に進んでおり、引き続き、複数のパートナー企業との協働により推進をはかります。ADのDisease Continuumに基づく他のプロジェクトの開発も進行中です。レカネマブについては、プレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45試験(フェーズⅢ試験)が2028年度中のトップライン取得に向け順調に進行しています。また、抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体「E2814」については、顕性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(DIAN-TU)が顕性遺伝ADを対象としたTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)をレカネマブとの併用で実施中です。エーザイグループが実施している孤発性ADを対象としたフェーズⅡ試験も進行中です。さらに、ダメージを受けたコリン作動性神経の機能を回復し、コリン作動性神経の変性を予防することが期待される選択的Tropomyosin receptor kinase A(TrkA)結合シナプス再生剤「E2511」、およびアストロサイト経路を標的としてシナプス機能低下抑制が期待される抗Erythropoietin-producing hepatocellular receptor A4(EphA4)抗体「E2025」については、それぞれフェーズⅠ試験が米国において進行中です。自社創製の脳移行型バイスペシフィック抗体技術である「Evolpath」についても複数のプロジェクトで開発が進行しています。不眠症治療剤「デエビゴ」の開発を通じて獲得した独自のオレキシンプラットフォームを活用し、創製したオレキシン2受容体アゴニスト「E2086」は、ナルコレプシータイプ1を対象としたフェーズⅠb試験において、患者様の日中の覚醒度を改善する可能性を示唆するデータを示し、現在、フェーズⅡ試験を実施中です。 (b) 認知症エコシステム認知症エコシステムを通じて、認知症発症前の日常領域における健康状態の維持、疾患啓発、予防から、発症後の医療領域における正確な診断、治療(薬物・非薬物)効果の確認、QOL(Quality of Life)の向上に寄与するソリューションの提供をめざしています。日常領域段階では、子会社であるArteryex株式会社が健康管理サービス(パシャっとカルテ)を提供しています。また、デジタル事業子会社テオリア・テクノロジーズ株式会社が、認知症関連情報のポータルサイト「テヲトル」を運営し総合的な情報・サービスを提供するとともに、健康・高リスク段階から、認知機能低下段階、軽度認知障害(MCI)や認知症段階の各ステージに最適なサービス開発と提供を進めています。介護事業子会社であるエコナビスタ株式会社においても、SaaS型(クラウド型)の高齢者向け見守りシステム「ライフリズムナビ」により、MCIや認知症の早期検知や介護事業者の業務効率化への貢献をめざします。これら子会社との緊密な連携により、疾患啓発活動、介護施設、開業医、専門医の循環型医療連携体制の構築を進めていきます。また中国においては、日常生活から医療までのワンストップオンライン健康プラットフォームである銀髪通(Yin Fa Tong)を通じてオンライン診療を提供し、デジタル技術を活用した医療較差の是正に取り組んでいます。アジア地域では、他産業や非営利団体とのエコシステム構築を拡大し、認知症の疾患認知率向上、早期発見、早期診断に向けた取り組みを進めています。 (c) がん領域抗がん剤「レンビマ」(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA (以下、米メルク社)と共同開発)については、単剤療法としての甲状腺がん、肝細胞がん、胸腺がん(日本)やペムブロリズマブとの併用療法による腎細胞がん、子宮内膜がん等の適応で承認を取得しています。最大市場である米国において2030年6月30日まで独占期間が継続する状況のもと、既存適応症における拡大と新規適応の取得による価値最大化に引き続き取り組みます。米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)については、米国、日本で申請を行いました。エリブリンをペイロードとした抗体薬物複合体である「MORAb-202」、レンビマ薬剤耐性解除を期待するファーストインクラスの中分子治療薬「E7386」の開発や、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害剤「タスフィゴ」の適応拡大に向けた臨床試験も進行中です。オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。今後も導入および自社創薬による開発パイプライン強化を進めていきます。 (d) グローバルヘルス領域グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、理念が導くエーザイグループのビジネスであるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧するため、その治療薬である「DEC(一般名:ジエチルカルバマジン)錠」をエーザイグループのインド・バイザッグ工場で製造し、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ」で提供することにコミットしています。2026年3月末までに33カ国に28.1億錠を供給し、そのうち8カ国でリンパ系フィラリア症制圧が達成されました。さらに、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、NTDsに対する新薬開発の経験豊富な非営利団体/非政府組織、アカデミアとのパートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)をはじめとするNTDsやマラリアに対する新薬開発を推進しているほか、疾患啓発活動にも取り組んでいます。マイセトーマについては、スーダンにて、抗真菌剤「E1224」(一般名:ホスラブコナゾール)によるフェーズⅡ試験がDNDiおよびスーダンのハルツーム大学菌腫研究センターにより実施され、スーダンにおける承認申請に向けた準備を進めています。マラリアについては、米国のブロード研究所と共同で創出した新規薬剤候補「E1018」のフェーズⅠ試験をエーザイが実施しています。 (e) 人財価値の最大化エーザイは、hhc理念のもとで、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現するため、社員を主要なステークホルダーの一つと定め、「安定的な雇用の確保」に加え、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」に努めることを定款に明記しています。エーザイグループは、全社戦略と人事戦略を融合するべく、「社員一人ひとりのエナジーを解き放ち、組織のシナジーを生み出し、社会的インパクトの最大化に貢献する」という「グローバルHRパーパス」を定めました。エーザイグループにおけるすべてのリージョン・ファンクションは、このグローバルHRパーパスに基づき、組織・人財に関する課題解決に取り組んでいます。グローバルHRパーパスを実現するために、人事的に重要な取り組みを「グローバルHRイニシアチブ」として設定し、推進しています。具体的には、グローバルに最適で公平なタレントマネジメントを行うべく、基盤となる人事制度・システムのグローバル統合に向けた取り組みを進めています。またhhc理念をはじめとする共通の価値観に基づく一体感ある組織文化を醸成しつつ、様々な異なる意見や価値観を尊重して、課題解決に取り組んでいくことは、エーザイのイノベーション創出の源泉であるとともに、企業理念の実現に向けた重要なアプローチであり、グローバルにおける組織力強化なども進めています。2023年度からは「Human Capital Report」を発行し、人事戦略と連動する人的資本に関する取り組みやKPIを開示しています。開示によって得られる社内外からの様々なフィードバックも踏まえ、企業価値を高める本質的資産へのエーザイ人財の転換に向けて人的資本経営に継続的に取り組んでいます。 ③ コンプライアンス・リスク管理 エーザイグループは、コンプライアンスを「法令と倫理の遵守」と定義し、経営の根幹に据えています。また、内部統制を「企業活動を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用されている体制およびプロセス」 と定義し、「ENW内部統制ポリシー」をグループの役員および全従業員で共有しています。あわせてチーフコンプライアンスオフィサーおよび内部統制担当執行役を任命し、コンプライアンスとリスク管理を推進しています。また、第三者で構成されるコンプライアンス委員会より客観的な評価を受け、継続的な向上をめざしています。 ④ 地政学リスクへの対応米国をはじめとする各国通商政策の変更や中東情勢の不透明感などによる地政学的、経済的な不確実性の高まりが懸念されます。エーザイは米国および関係諸国の関税政策の動向を常に注視し、エーザイ事業への影響を精査、最小化するための対応策を検討しています。また、原材料の複数購買体制および複数工場での製品の製造体制を構築するなど、柔軟なサプライチェーン体制の整備に取り組んでいます。中東情勢についても、原油などのエネルギー価格の高騰や原料調達・輸送手段への影響を踏まえ、エーザイ事業への影響の最小化に向けた対応を検討しています。 ⑤ 目標とする経営指標中長期の企業価値向上に連動する指標として、エーザイグループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」*1および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」*2を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROE*3は8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。2026年度と2028年度の経営指標の目標は、以下のとおりです。 2026年度業績予想2028年度目標売上収益8,835億円10,000億円営業利益700億円900億円コア営業利益700億円900億円調整ROIC8.7%9.0%*1 コア営業利益営業利益から、将来の収益に直接紐づかない一過性の損益項目(①製品の導出・売却に関わる損益、②有形固定資産売却損益、③事業再編に伴う解雇給付費用、④のれんの減損損失、⑤訴訟等による多額の賠償または和解費用)を除外した指標*2 調整ROIC(投下資本利益率)= 税引後コア営業利益÷(親会社所有者帰属持分-為替換算差額+純有利子負債)*3 ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分 (4)資本政策の基本的な方針エーザイグループの資本政策は、中長期的な企業価値の向上を企図し、「成長投資」、「健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営」、「株主還元」を軸に展開しています。 ① 中長期企業価値向上に資する成長投資エーザイグループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。投資判断にあたっては、収益性・投資回収性・事業リスクなどを総合的に評価し、短期的な指標に偏らず、中長期的な価値創出に資する案件を選定します。これにより、将来の収益基盤を強化し、企業価値の持続的な向上を実現していきます。 ② 健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営エーザイグループは、成長投資に必要な資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。また、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、・財務健全性の維持・資本効率の向上・運転資本・在庫水準の最適化などを通じて、バランスシートマネジメントに取り組みます。 ③ 株主還元エーザイグループは、積極的な成長投資と株主の皆様への還元の最適なバランスを追求します。連結業績、配当性向、およびフリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案し、持続的・安定的な配当を実施します。また、財務状況、市場環境を踏まえ、総還元性向を勘案し、自己株式の取得についても検討していきます。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がエーザイグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクや不確実性は、次のとおりです。ただし、これらはエーザイグループに係るすべてのリスクや不確実性を網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。エーザイグループを取り巻くリスクや不確実性に関して、エーザイグループではGrowth & Operating Comitteeなどの意思決定機関において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応を検討しています。その検討結果は取締役会へ報告・議論されており、以下に記載したリスクや不確実性には執行側だけでなく取締役会における議論も反映しています。なお、これらは当連結会計年度末現在において判断したものであり、文中の将来に関する事項はその発生あるいは達成を保証するものではありません。 (1)企業理念企業理念にもとづく経営 エーザイは、企業理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念の主役を「日常と医療の領域で生活する人々」ととらえ直し、従来の「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」へと貢献すべき主役を拡大しました。2022年6月に定款の一部を変更し、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念として定款に規定しステークホルダーズと共有しており、これらを「パーパス」としてとらえています。また、その実現の結果として得られる患者様と生活者の皆様のベネフィット向上が、長期的にエーザイグループの業績および企業価値の向上につながると考えています。2021年4月からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の戦略意思ならびに2022年5月に発出したhhceco(hhc理念+エコシステム)宣言における他産業との連携を推進するビジネスモデル構築についても企業理念であるhhcに依拠したものであり、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現する企業として患者様の真のニーズを理解することによって生まれる強い動機付けがエーザイグループのイノベーションの源泉となっています。また、患者様価値を創出するための新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等を統制のもとで推進する重要性を「インテグリティ」としてとらえています。リンパ系フィラリア症の治療薬の無償提供をはじめとする医薬品アクセス向上や、認知症と共生する「まちづくり」への取り組みなど、ESGへの取り組みもこの理念を根幹として展開しています。 従って、企業理念のエーザイグループへの浸透の不徹底と理念実現に向けた経営の実践の停滞など、患者様と生活者の皆様がベネフィット向上を十分に得るうえでの阻害要因が生じた場合には、エーザイグループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業戦略レケンビと次世代AD治療剤の価値最大化 エーザイグループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においても、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」(一般名:レカネマブ)と次世代AD治療剤の価値最大化を最重要戦略の一つと定めています。その中で、患者様の受診開始から診断、治療およびモニタリングまでの診断・治療パスウェイの構築を進めています。また、「レケンビ」については血液バイオマーカーの進展や維持療法及び皮下注製剤の開発なども併せ、このパスウェイの効率化をめざしています。米国では、静脈投与による維持療法、皮下注製剤による維持療法が新たな治療選択肢として承認され、さらに他国へも同様に治療選択肢の拡大をめざしています。これらによるパスウェイの変革ができない場合、患者様に「レケンビ」および次世代AD治療剤を十分にお届けできない可能性があり、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 また、エーザイグループは、「レケンビ」について、米国においてValue-based Pricingのコンセプトに基づき透明性の高い説明を伴った価格を設定するなど、より幅広い当事者様アクセスの促進、経済的負担の軽減および医療システムの持続可能性への貢献をめざしていますが、様々な要因により患者様の「レケンビ」へのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。レンビマの価値最大化 エーザイグループと米メルク社は、抗がん剤「レンビマ」と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)を含む他の治療薬との併用療法に関して複数のがん種を対象とする複数の臨床試験を実施中です。 しかしながら、本併用療法の臨床試験において期待した結果が得られなかった場合、競合品の予期せぬ試験結果や承認タイミングによってポジショニングが変化した場合、並びに当初想定した時期に「レンビマ」が追加の適応症に関する承認を取得できないことで製品の競争力が減弱した場合などに、「レンビマ」の売上計画を達成できない可能性があります。パートナーシップモデル エーザイグループは、ビジネスの効率性・生産性を向上させるうえで、パートナーシップは有効な手段と考えており、最先端のサイエンスやテクノロジーの活用による新薬開発の加速を目的としたパートナーシップや、各リージョンでのリソースの効率的活用と事業価値最大化、協業先との新しいソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを活用しています。 パートナーシップを活用した医薬品および「日常と医療の領域で生活する人々」を対象とした新しいソリューションの研究開発、生産、販売活動において、パートナーとの意見の相違が生じた場合や事業環境の変化等に伴いパートナーの事業継続が困難となった場合、もしくは協業が困難になった場合には、上記活動に遅延や非効率が生じるほか、為替変動の影響などにより予測外のパートナー費用負担が発生することで計画された利益が想定外に減少するなど、事業価値最大化に支障をきたす可能性があります。加えて、各国の、薬価および保険制度の変更は、パートナーシップに重要な影響を及ぼす可能性があります。 また、契約の解釈の相違などが生じた場合には、パートナーとの間で訴訟や仲裁に発展し、最終的にはパートナーシップの解消をもたらす可能性もあります。この場合、将来に期待されていた新薬の創出や売上収益が実現できないなど、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。デジタルトランスフォーメーション エーザイグループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」において、全ステークホルダーの想いをつなげ、解決スピードを加速させ、データに基づく強固な経営を効率的に実行するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げています。新技術の活用により創薬のスピードと成功確率を飛躍的に向上させるとともに、「日常と医療の領域で生活する人々」に薬剤を含めたソリューションをお届けするまでの全局面におけるパラダイムシフトの実現を企図し、他産業と得意技を持ち寄り協業するエコシステム(hhceco)の構築によりデジタルトランスフォーメーションを実現させることが重要課題です。エーザイではCOO & チーフグロースオフィサーとチーフインフォメーションオフィサーを中心に、全社デジタル戦略を加速します。 近年のAIの進展は創薬やバックオフィスを含む業務効率化に大きく寄与すると期待されるため、エーザイはAI活用を推進しています。一方で、情報セキュリティ・法令・倫理等のリスクを適切に評価・管理しないまま運用を拡大すると、AI活用に起因する情報漏洩や法令・コンプライアンス違反等が生じる恐れがあり、エーザイグループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、エーザイではAIのガバナンス体制とルールを整備し、リスク評価・管理の下で全社的なAIの導入、普及啓発および人材育成を段階的に推進することで、AIによる業務効率化を図っています。 (3)医薬品の研究開発、生産および販売活動新薬開発 エーザイグループは、神経領域やがん領域をはじめとして、多くの新薬開発を行っています。新薬の研究開発には長い期間と多額の投資を必要とします。加えて、有効性や安全性の観点から医薬品候補化合物の開発を中止あるいは中断する可能性があります。過去の例では、米メルク社とエーザイグループが共同開発を行っている「レンビマ」とペムブロリズマブの併用療法では、転移性非小細胞肺がんに係るフェーズⅢ試験において主要評価項目を達成しませんでした。 また、臨床試験で期待された結果が得られた場合であっても、各国の厳格な承認審査の結果、承認が得られないもしくは追加データの提出を要求され承認が遅延する可能性があります。あるいは、承認が得られた場合でも承認条件として求められた追加臨床試験で安全性・有用性が検証できなかった場合には承認を取り消される可能性があります。 このような新薬開発の不確実性に伴い、当初想定していた開発計画が中止あるいは遅延した場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。副作用 医薬品は承認・販売された場合でも、その後のデータ・事象により、医薬品としてのベネフィットとリスクのプロファイルが承認時とは異なってくる場合があります。重大な副作用の発現・集積により、製品の添付文書の変更、販売停止、回収等の措置を実施する場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 エーザイは、製品に関するすべての有害事象や安全性に関する情報を科学的・医学的に評価し、規制当局に報告する体制としてすべての地域の安全管理責任者等で編成するセーフティ・エグゼクティブ・コミッティ、および製品毎の安全性医学評価責任者等で編成するグローバル・セーフティ・ボードを設置しています。これらの体制を中心として、新薬も含め製品のグローバルな安全性監視体制を確立し、継続的に製品の適正使用の徹底に努めています。製品品質および安定供給 高品質な医薬品を患者様へ確実にお届けする必要がありますが、使用する原材料、自社工場あるいは製造委託先での製造プロセス等、何らかの原因により製品品質に問題が生じた場合や、使用原材料の供給停止や製造工程における技術上の問題、パンデミック、国家間の紛争などによる地政学的問題、重大な災害あるいは経済安全保障上の問題等により工場の操業停止やサプライチェーンに問題が生じた場合には、製品の欠品、回収、販売停止などにより患者様の健康に支障をきたす可能性があるほか、業績へ影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの原因による急な需要変動により製品の安定供給に影響が及ぶ可能性があります。加えて、現在日本政府や米国政府が取り組んでいる経済安全保障の対応において、法令上の義務を課され、エーザイグループ製品の安定供給体制をより強化する対応が求められる、あるいはサプライチェーンの変更が求められる可能性があります。さらに、米国に端を発する各国の関税政策変更により製造原価が上昇するリスクがあり、その影響を抑制するため、サプライチェーンを変更する可能性があります。 エーザイグループは、国内外に自社工場を保有し、安心してご使用いただける高品質な医薬品の供給を可能とする安定供給体制ならびに品質保証体制を構築しており、グローバル基準のGMP(製造管理および品質管理に関する基準)に準拠した製造および品質管理を行っています。製造委託先に対しても、製造委託先における安定供給体制ならびに品質保証体制の確認、定期的なGMP監査に加え技術者派遣による製造現場の確認などを実施しています。あわせて、製造委託先と原材料の取引先に対してサステナビリティ評価を実施するとともに「ビジネス・パートナーのための行動指針」の遵守をお願いすることで、エーザイグループと同様の人権尊重・腐敗防止への取り組みを求めています。さらに、流通段階での品質確保にも取り組んでいます。また、事業継続計画(BCP)に定めた重要原材料や完成品の適正在庫を確保するとともに、地政学的なリスクを考慮した原材料の複数購買体制および複数工場での製品の製造体制を構築することで、パンデミック、重大な災害、紛争や急な需要変動が発生した場合においても安定供給を確保する体制の整備に取り組んでいます。中東情勢についても、原油などのエネルギー価格の高騰や原料調達・輸送手段への影響を踏まえ、エーザイ事業への影響の最小化に向けた対応を検討しています。知的財産(注1) 先発医薬品の特許期間およびデータ保護期間が切れると、通常同一成分のジェネリック医薬品の販売が可能となり、先発医薬品の売上収益が大きく減少する可能性があります。また、特許の不成立や特許成立後の無効審判の結果等により取得した特許権を適切に保護できない場合、想定より早くジェネリック医薬品やバイオシミラー品の市場参入を招き、同様に売上収益が減少する可能性があります。 加えて、特許期間内であっても、米国のようにジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請が可能な国もあり、そのような国では、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請を行った企業との間で特許侵害訴訟が起こる可能性があります。それら特許訴訟の結果によっては、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品が当該特許期間満了より早期に参入し、当該国内の市場シェアが大幅かつ急速に低下する可能性があります。例えば、米国において「レンビマ」に関する後発品申請に関する訴訟が係属しており、その結果によってはエーザイグループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、エーザイグループの医薬品を保護する物質特許が無効と判断された場合、当該国内における当該医薬品の市場価値が失われ、エーザイグループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 一方、エーザイグループでは、第三者の知的財産権を侵害することのないように常に注意を払っていますが、万が一エーザイグループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から当該事業活動を中止することを求められたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。訴訟 エーザイグループは、その事業運営に関し、製造物責任その他の人身被害等の製品に関する事項、消費者保護、商業規制、証券法、データ保護、契約違反、法令違反、環境規制など様々な事由に関連して、政府を含む第三者の提訴や調査等に起因する訴訟、仲裁その他の法令上や行政上の手続きに関与し、または関与する可能性があります。訴訟等の法的手続きは、その性質上、不確実性を伴います。エーザイグループはこれらの手続きに適切に対応し、正当な主張を行って参りますが、将来的にエーザイグループに賠償金支払いを命じる判決や、和解による支払いなどが生じる可能性があり、この結果、エーザイグループの経営状況、業績、社会的評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。データの信頼性 製薬企業にとって、研究データ、生産データ、市販後調査や医薬品安全性監視等に関するデータのインテグリティ(完全性、一貫性、正確性)の確保は、製品の安全性や信頼性の根拠となるため極めて重要であり、これら重要データのインテグリティが確保できないことにより、新薬開発の遅延・中止や、製品の回収、販売の停止など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 エーザイグループでは、データの記録・検証・承認・保管のシステム化を推進しています。さらに、適切な内部統制の構築・整備、運用等により、製品品質を裏付けるデータ、臨床試験データおよび市販後調査を含む医薬品安全性監視に関するデータのインテグリティの強化をはかるとともに、重要データに携わる社員を対象とした研修を継続して実施しています。また、データのインテグリティ確保にあたり、取引開始前に新規委託候補先におけるデータ管理体制を確認しています。医療費抑制策 日本、米国、欧州をはじめとした各国政府は、増大する医療費を抑えるため、様々な薬剤費抑制策を導入・検討しています。米国では、薬剤費抑制策の一環としてメディケア薬価交渉プログラムが導入され、2026年1月には本プログラムの対象薬として「レンビマ」が選定されました。今後、エーザイグループと連邦政府機関のCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)による、メディケアパートDにおける「レンビマ」価格の交渉が実施され、2026年度中に新価格の公表、2028年1月より新価格が適用される見込みです。日本では医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品やバイオ後続品の使用促進などの施策がとられています。中国においても、国家医薬品償還リスト収載に伴う大幅な価格引き下げや集中購買制度においてより安価なジェネリック医薬品の使用が促進されており、過去の例においては、「レンビマ」を国家医療保険償還医薬品リストに収載する際、販売価格を引き下げました。また、末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買の対象となったことから販売価格を引き下げました。欧州では、新薬承認が得られた製品であっても、期待した価格による保険償還がなされない場合があります。これらの施策の推進ならびに新たな施策の導入により、当初に見込んでいた売上収益が得られない可能性があります。 エーザイグループでは、各国の制度や政策動向を把握しつつ、有効性や安全性に加え、介護の軽減や対象疾患の重篤度など、薬剤のもつ社会的価値を算出し、イノベーションに対する適切な評価の推進をはかっています。(注1)米国における「レンビマ」に関する後発品申請に関する訴訟について、2025年5月、米国ニュージャージー州連邦地方裁判所においてShilpa Medicare Limitedに対し勝訴の判決を得ました。Shilpa Medicare Limitedは、本判決について米国連邦高等裁判所に上訴中です。また、これまでエーザイが提起した「レンビマ」に関する後発品申請 に関する訴訟について、SUN Pharmaceutical Industries Ltd.及びSUN Pharmaceutical Industries Inc.に対しては2024年3月21日に、Dr. Reddy’s Laboratories, Ltd. 及びDr. Reddy’s Laboratories, Inc.に対しては2025年9月22日に、Torrent Pharmaceuticals Ltd.に対しては2025年11月6日に、それぞれ和解契約を締結し、2030年6月30日以前に特定の条件が発生しない場合、2030年6月30日まで「レンビマ」の後発医薬品販売を行わないことが確認されています。 (4)その他サクセッション エーザイグループは、30年以上にわたり、現代表執行役CEOが強いリーダーシップを発揮してグローバルに事業を展開し成長を遂げてきました。代表執行役CEOがサクセッションプランを策定して、将来の代表執行役CEOを育成することに加え、突発的事態に対しても万全な備えを行うこと、および代表執行役CEOの選定においては、取締役会がその客観性や公正性を確保することが重要です。これらができない場合、エーザイグループの企業理念の実現や経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 このため、エーザイ取締役会は代表執行役CEOの選定を取締役会の最も枢要な意思決定事項のひとつと位置付けるとともに、サクセッションプランに関するルール、手続きを定め、独立社外取締役が将来の代表執行役CEOの育成等のプロセスに関与することで、CEO選定の客観性と公正性を合理的に確保できると考えています。hhcガバナンス委員会では、代表執行役CEOのサクセッションプランを全取締役で議論するとともに突発的事態に対する備えについても上記の検討の中で確認がなされています。 また、エーザイ執行役およびグローバル重要ポジションにおいて、最適の人財を配することができない場合、エーザイグループの経営へ大きな影響を及ぼす可能性があります。エーザイグループは、CEOのサクセッションへの取り組みに加え、執行役を含むグローバルでの重要ポジションにおける計画的なリーダーシップの継承を企図して、後継候補者の選定と育成、リテンション施策などの進捗状況を確認するサクセッションプランニングを年1回実施しています。人財の確保と育成 エーザイの強みは「企業理念の深い浸透」です。エーザイは企業理念(hhc理念)への深い理解と共感を根幹とし、全社員が主体的に取り組む自律したプロフェッショナルとして活躍することをめざしています。またエーザイは、定款において、社員をhhc理念の実現に向けた社の重要なステークホルダーと定め、その基本的な考え方として、「安定的な雇用の確保」、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」を掲げています。 hhc理念に共感する多様な人財を獲得し、社員一人ひとりがhhc理念実現に向け、様々な環境下において個性や強みを発揮し、中長期的に取り組むことができない場合、イノベーションの創出と企業理念の実現に大きな影響を及ぼす可能性があります。 エーザイの人財育成の基本は、社員一人ひとりが患者様とともに時間を過ごす共同化によって患者様の真のニーズを理解することであり、この共同化が社員一人ひとりの動機付けとなります。グローバルリーダー育成プログラム等、様々な社内研修プログラムに患者様との共同化のセッションを盛り込み、hhc理念の浸透をはかることで人財育成を強化しています。また、エーザイの健康宣言で掲げる「Work とLifeの健康」を実現すべく、社員の健康管理、タイムマネジメント、長時間労働の是正を進めるとともに、多様な社員が様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組むことができる就業環境を整備しています。社員の健康と多様な働き方を支援する各種制度の導入や職場環境の整備を進めており、より魅力ある企業となることで、人財の確保を図っています。情報セキュリティ IT・デジタルの活用が進展する一方、サイバー攻撃は、日々高度化・巧妙化しており、ランサムウェアや標的型メール攻撃、さらには外部委託先といったサプライチェーンを経由した攻撃などにより、操業停止等、事業活動への影響が生じるリスクが高まっています。エーザイグループは、個人情報や未公開情報、パートナー企業との機密情報など、多様かつ重要な情報資産を多く保有しています。これらの重要情報が漏えい・改ざん・消失した場合、法的責任の発生や競争優位性の喪失、さらには企業としての信頼失墜につながるおそれがあります。特に、グローバルでの個人情報保護規制への適切な対応が求められるとともに、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して直接的な影響を及ぼす可能性があります。 これらのリスクに関するエーザイグループの対応については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」⑨情報セキュリティへの取り組み」をご参照ください。 気候変動 気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。エーザイグループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、当提言が推奨する気候シナリオ分析を行い、2020年度に結果を開示しました。その後、気候変動に関連するリスク・機会のエーザイグループに及ぼしうる影響を再評価するため、複数の気候シナリオを考慮した分析を再度実施し、結果を2023年度に開示しました。 分析の結果、物理的リスクとして、気候変動に伴う感染症リスク増加により医薬品アクセス維持・向上のために必要な投資・コストが増加する可能性があるほか、自然災害により生産活動の停滞や資産・従業員への被害が生じる可能性を再認識しました。これらのリスクに対して、熱帯感染症に対する医薬品の開発や蔓延地域への医薬品供給による医薬品アクセスの維持・向上に努めているほか、生産拠点のバックアップ体制導入や製品・原料の在庫確保、生産拠点・倉庫における自然災害リスクの確認と予防策の実施といった対策を講じています。移行リスクでは、温室効果ガス排出削減ならびにその開示が不十分な場合のステークホルダーズからの信頼性低下や、炭素税価格上昇に伴うエネルギーコスト・調達品価格上昇のリスクを再確認しました。また、温室効果ガス排出削減のための追加的な設備投資や、包装材等を温室効果ガス排出量の少ない製品に切り替えるために追加的なコストが発生する可能性をリスクとして認識しました。これらのリスクに対しては、ネットゼロ達成に向けたロードマップに則り、2030年を目標年とするRE100の達成を視野に入れた再生可能エネルギー電力の積極的導入、インターナル・カーボンプライシングの導入による温室効果ガス削減投資の推進、一部製品の包装容器でのバイオプラスチック採用やその他製品での低環境負荷包材導入検討といった対策を講じています。 エーザイグループは、2023年11月にSBT1.5℃目標の承認を取得し、かつ同12月には「気候変動イニシアティブ(JCI)」より2050年までのネットゼロ達成にコミットするJCI Race to Zero Circleへの参加承認を取得し、各目標達成に向けた取り組みを進めています。2025年度は、取り組みを加速させるべく、「気候変動緩和のための移行計画」を精緻化し、GHG排出削減に向けた戦略とロードマップの構築、財務・投資計画との連動などより具体的かつ実効性ある計画としました。この移行計画に影響を与えるような急激な気候変動、規制の強化等の新興リスクの有無についても継続して監視していきます。 これらのリスクに関するエーザイグループへの財務影響と対策状況は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み (2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」④ 気候変動に関する取り組み」に記載しています。のれんや無形資産の減損 エーザイグループは、企業買収や製品・開発品の導入を通じて獲得したのれんおよび無形資産を計上しています。これらの資産については、計画と実績の乖離や市場の変化等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損処理をする必要があり、エーザイグループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 例えば、エーザイグループにおけるのれん(2025年度末残高:2,592億円)の多くはアメリカス医薬品事業に配分しています。その回収可能価額は、経営者により承認された事業計画を基礎としたアメリカス医薬品事業の将来キャッシュ・フローや成長率等の仮定を用いて算定しており、それらの仮定は、将来における新薬の承認取得・適応追加の有無および時期、上市後の薬価および販売数量、競合品の状況や金利の変化等の影響を受けます。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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