JCRファーマグループは、JCRファーマ、連結子会社8社、持分法適用関連会社1社およびその他の関係会社1社により構成されております。JCRファーマグループが営んでいる主な事業内容およびグループ各社の当該事業における位置付けの概要は、以下のとおりであります。
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JCRファーマ: |
医療用医薬品、再生医療等製品および医薬品原料の製造、仕入ならびに販売 |
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㈱クロマテック: |
購買業務ならびに医療用・研究用機器の仕入および販売 |
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㈱JCRエンジニアリング: |
設備管理業務 |
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JCRインターナショナル・エスエー: |
市場調査業務 |
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JCR USA,インク: |
治験に関する業務委託の管理監督業務 |
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アーマジェン,インク: |
医薬品の開発、知的財産・ライセンス等の管理 |
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JCR ド ブラジル ファーマ: |
ブラジルにおける臨床オペレーション・薬事・開発業務 |
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㈱メディパルホールディングス: |
医薬品の開発業務提携 |
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JCRヨーロッパ・ビーブイ: |
欧州における臨床オペレーション・薬事・開発業務 |
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JCRルクセンブルク・エスエー: |
医薬品及びその原料の流通管理 |
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アライドセル(株): |
再生医療等製品の研究開発、製造および販売 |
以上の事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
JCRファーマグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてJCRファーマグループが判断したものであります。
(1)企業理念
JCRファーマは「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念としています。
この企業理念のもと、遺伝子・タンパク・細胞を軸とした研究とモノづくりを続け、画期的な新薬と基盤技術を創出し、希少疾患の患者さんとその家族に貢献することを、重要なミッションとしております。その実践にあたっては、社員一人ひとりが患者さんとその家族のことを第一に考え、以下のコアバリュー(価値観)に則り挑戦を続けております。
コアバリュー(価値観)
信頼:私たちは、法令遵守はもとより、高い倫理観をもって行動することにより、全てのステークホルダーから信頼される会社を築きます。
自信:私たちは、世界へ通用する医薬品提供を目標に、独自の視点で研究・開発を進め、自信をもって品質の高い製品と情報を提供します。
信念:私たちは、基本理念のもと、“自ら考え、自ら行動する”を信念として、更なる企業成長を目指します。
基本経営方針
以下に提唱する経営方針は3つのコアバリューをもとに、より具体的に企業のあり方を示したものです。
1.顧客満足を念頭に置いた経営
顧客に対し、常に高品質の製品、正確な情報およびきめ細かなサービスを提供し、顧客満足を高めます。
2.法令・社内規則を遵守する社会的良識に基づいた経営
円滑に企業活動を行うために、コーポレート・ガバナンスに基づくコンプライアンスを推進し、内部統制システムの確立を図ります。その為の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(「医薬品医療機器等法」)、会社法、独占禁止法などの関係法令および、業界内の規約・ガイドライン等を遵守します。
3.世界に通用する医薬品開発を目指した経営
希少疾病分野での研究を基盤に、未来への更なる発展を目指して、世界に通用する治療薬の研究・開発に、独自の視点も盛り込みながら、積極的に取り組みます。
4.職場環境への配慮を忘れない経営
製薬企業として信頼性の高い商品提供のために、各事業所の安全かつ働きやすい環境づくりを徹底します。
5.自ら考え、自ら行動する人材を育成する経営
「自ら考え、自ら行動する」ため、部署間の連携を基盤に、明確な目的意識と責任感を持つ仕事のプロの育成を目指します。
6.経営効率を高め、JCRファーマの長所を最大限にのばせる経営
競争の激しい医薬品市場でビジネスを展開する為、市場を見極める視点を忘れずに経営の基本となる「人・物・経費」の効率化を図ります。また、社内連携をより強化することで、JCRファーマだからこそ取り組める個性ある事業を展開していきます。
(2)経営戦略等
1.ありたい姿
患者さんの数が限られている希少疾病には、未だ有効な治療薬がない疾患が多くあります。JCRファーマは創業以来培ってきた独自の「研究開発力」と「モノづくり力」を結集し、患者数が極めて少ない疾患であっても、患者さんとそのご家族のために、「JCRでなければできないこと」を追求することを掲げております。
2.成長戦略
JCRファーマは、国内製品売上、製品ポートフォリオ導出によるライセンス収入、プラットフォーム技術導出によるライセンス収入の3つの柱でグローバルに成長してまいります。独自の血液脳関門通過技術の更なる応用可能性の追求、次なる革新的なプラットフォーム技術の創出、生産技術の向上のため、得られた収益は人的資本・人的資源を含む研究開発と生産能力拡充に積極的に投資いたします。これにより、持続的な成長と「ありたい姿」の実現を目指してまいります。
3.事業活動
2023年度には、主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」の売上が大幅に伸長し、日本国内の成長ホルモン市場においてトップシェアを実現しております。さらに2023年4月から、住友ファーマ株式会社と遺伝子組換えムコ多糖症 II 型治療剤「イズカーゴ®」における日本国内の共同プロモーションを開始し、売上が伸長いたしました。その結果、国内既存製品からの収益のみで、研究開発費と販管費を賄える安定した収益構造を実現しております。研究開発においては、最も注力しているライソゾーム病領域で、17を超える開発品の創製に取り組んでおります。2023年10月に、血液脳関門通過型ムコ多糖症IIIA型治療酵素製剤(開発番号:JR-441)のグローバル臨床第I/II相試験を開始いたしました。またグローバル臨床第III相試験が進んでいるJR-141においては、被験者数登録を加速するため、投資を拡大しております。積極的な研究開発活動の結果、研究開発費は前期比24億3千万円(27.6%)増加し112億3千万円となりました。
4.2023-27年度中期経営計画「Reach Beyond, Together」の進捗
JCRファーマは、2023年5月に、5ヵ年中期経営計画「Reach Beyond, Together」を公表しております。本計画は、過去の中期経営計画である「飛躍」と「変革」において見出した強みをさらに強化し、創業以来培ってきた独自の「研究開発力」と「モノづくり力」を結集させ、「JCRでなければできないこと」を通じた事業価値の最大化を目指すものであります。グローバル化の実現という第二の創業期に、新たなステージに移行するための5つの取り組みを設定しております。
「革新的な基盤技術の創製」
JCRファーマは、血液脳関門(Blood Brain Barrier)を通過して薬剤を脳内に届ける独自技術J-Brain Cargo®を確立し、世界で初めて血液脳関門通過を実証した遺伝子組換えムコ多糖症II型治療剤イズカーゴ®を2021年に日本で上市いたしました。J-Brain Cargo®には豊富なバリエーションがあり、脳内に届けたい薬剤の特性に合わせた最適な分子を設計することで、薬剤が脳内でより効率的に作用するバイオ医薬品を創製することができます。さらに、J-Brain Cargo®を一つの技術基盤とし、これを様々なモダリティ(タンパク質、核酸、遺伝子・細胞治療薬、抗体等)に適用する検討を進めております。J-Brain Cargo®適用のアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療薬では、武田薬品工業株式会社との共同研究は2023年12月に終了したものの、病態モデルマウスにおいて良好な薬効が示されたことから、遺伝子治療領域での適用可能性を確認しております。
JCRファーマは、この独自技術でのアライアンスを積極的に進めております。2023年3月には神経変性疾患を対象として新薬候補物質のタンパク質にJ-Brain Cargo®を適用した研究開発を、同年12月には希少疾病を対象に核酸医薬品の創製を目的として、アレクシオン社とライセンス契約を締結いたしました。研究が順調に進捗し、2024年3月に神経変性疾患治療薬のファーストマイルストーンを達成しております。また、2023年5月には、てんかんを対象としてアンジェリーニファーマとライセンス契約を締結いたしました。さらに、J-Brain Cargo®の開発で培った経験・ノウハウを応用して、脳以外の臓器への輸送システムの開発にも挑戦しております。本年度においては、ムコ多糖症II型でJ-Brain Cargo®を適用した薬剤が血液網膜関門を通過し、網膜への局在と疾患原因物質が減少したことを確認し、これにより視覚障害の改善を期待しうることがモデルマウスを用いた研究により示されました。ムコ多糖症I型では、J-Brain Cargo®を適用した薬剤が、疾患特異的な骨の形態学的変化を抑制しうることを、同じくモデルマウスを用いた研究により示しております。既に確立された技術に基づく製品開発と、次世代モダリティや新規ターゲットへの輸送システムを組み合わせた革新的な基盤技術を創製し、他社とのアライアンスの実現により、これまでにない新たな新薬開発に挑戦してまいります。
「グローバル基準の生産能力発揮」
「グローバル品質保証体制の質・量的拡大」
JCRファーマが創業以来培った高品質かつ高効率なバイオ医薬品の製造能力は、研究開発と並ぶ強みであります。JCRファーマでは、15年以上のシングルユース技術を用いた製造経験を有し、個々の社員が高いスキルを備え、研究段階から製品までの統合された品質管理体制を敷いております。近年ではグローバル基準を満たした治験薬を製造し、JR-141、JR-171、JR-441の海外臨床試験を実施しております。今後もグローバル試験が見込まれる製品が相次ぐため、JCRファーマの高品質・高効率生産の強みを活かし、生産能力の拡大および効率性の向上に努めてまいります。
また、JCRファーマは将来的なグローバル市場への供給能力拡大のため、自社工場新設のための設備投資、海外CMOへの投資を積極的に行った結果、現在、原薬製造では8基の2,000ℓバイオリアクターを有し、さらにMycenax社(台湾)の同様施設も活用予定であります。処方・無菌充填・包装といった製造工程については、高まる需要に対応すべく海外CMOを活用するとともに、2027年度の稼働を目指して新製剤工場の建設準備を進めております。また、グローバル流通管理のための拠点をルクセンブルク大公国に2022年に設立しております。
「希少疾病開発品目の早期上市」
JCRファーマは、ライソゾーム病をはじめとする希少疾病の領域での研究開発に長年取り組んでおり、「患者中心」の原則のもと全社一丸となって、患者さん、医師、規制当局との連携を深めてまいりました。そうした活動が実り、2021年には、J-Brain Cargo®を適用した遺伝子組換えムコ多糖症II型治療薬「イズカーゴ®」を世界に先駆けて本邦で実用化いたしました。現在、この活動を日本から世界へと広げるため、同治療薬(開発番号:JR-141)のグローバル臨床第III相試験を実施中であります。また、2020年にはムコ多糖症I型治療薬(開発番号:JR-171)のグローバル臨床第I/II相試験を、2023年にはムコ多糖症IIIA型治療薬(開発番号:JR-441)のグローバル臨床第I/II相試験を順次開始しております。ムコ多糖症IIIB型治療薬(開発番号:JR-446)についても、2024年度の臨床入りを目指し順調に準備を進めております。
2023年度から2027年度までの5年間で、合計5品目のライソゾーム病治療薬の臨床試験開始を目指しており、今後も着実に歩みを進めてまいります。
「成長を支える人材育成」
研究開発の進捗やグローバル展開、および生産能力の増強のため、社員数は増加を続け、2024年3月末時点で934名となりました(前年同期比55名の増加)。グローバル化という第二の創業期を牽引する次世代リーダーを育成するため、「人材管理」「貢献度の評価」「貢献度に応じた処遇」「人材開発」を軸とした人材戦略を構築中であります。各現場の社員を直接のメンバーとしてプロジェクトを結成し、人材戦略の基盤検討を行いました。また、外部講師だけでなく役員自らも講義を行う「JCRアカデミー」を開講しております。ここでグローバルな業務に必要なマインドやスキルを体系的に学んだ卒業生は、自部署や会社組織全体への課題の提起や海外展開の推進など、多方面で力を発揮しております。また、海外でも専門性の高い人材の採用を積極的に進めており、グローバル臨床開発を加速させるための体制をさらに強化してまいります。
JCRファーマグループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載いたします。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてJCRファーマグループが判断したものであります。また、提出日現在における状況の変化につきましては、末尾に記載しております。
(1)コンプライアンスに関するリスク
医薬品産業等は、医薬品等の有効性及び安全性を担保するために様々な法規制を受けます。さらに、法規制の範囲に限らず、製薬企業が高い倫理観を以て事業活動にあたることが重要です。JCRファーマグループでは、社内規範と企業倫理に沿った経営並びに法令遵守のためコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス行動基準の制定と従業員へのハンドブックの配布、および研修を通じてコンプライアンス周知・啓発を行っております。加えて、薬機法に基づく法令遵守ガイドラインが施行されており、JCRファーマはその体制として、法令遵守担当取締役を含む責任役員を選任したほか社内研修等を実施しております。
しかしながら、社会規範あるいは企業倫理に反する行為が認められ、社会的信用が失墜することにより、結果的にJCRファーマグループの業績及び財政状態に重要な影響を受ける可能性があります。
(2)特定製品への依存のリスク
JCRファーマグループの販売品目のうち、ヒト成長ホルモン製剤の売上高が総売上高に占める割合は、当連結会計年度において41.8%になります。ヒト成長ホルモンは主に小児成長障害に使用される医薬品であることから、日本国内における少子化の影響を受けます。市場統計によれば、ヒト成長ホルモン市場は各社の新たな適応追加や疾患啓発活動の結果、これまでのところ拡大を続けてきましたが、将来的には減少に転じる可能性が高いと認識しております。また、ヒト成長ホルモン市場における競合品として持続性製剤の参入もあり、JCRファーマ品シェアへの影響も想定されます。したがって、これらの不確定要因がJCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、本製剤はJCRファーマグループとPHC株式会社で共同開発した専用注入器グロウジェクター®Lを使用しなければ、自己注射することができません。グロウジェクター®LはPHC株式会社が製造し、同社とはリスク管理も含めた契約を締結しており、繰り返し使用できる機器(耐用年数3年)であることから、同社の生産に支障を生じた場合であっても、業績への影響は低いと認識しております。ただし、長期に渡り支障を生じた場合は、新規患者の獲得や機器の更新が滞り、JCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
JCRファーマグループでは、J-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)を用いた新薬「イズカーゴ®点滴静注用10mg」を2021年5月に月に薬価基準収載し、上市後の年間売上高は伸長しております。当製品については、特定地域における独占的な共同開発およびライセンス契約を2021年9月に武田薬品工業株式会社と締結し、海外における上市を計画しております。さらに、イズカーゴ®に引き続き、J-Brain Cargo®技術を基盤とした複数の研究開発を着実に進捗させ、ヒト成長ホルモン製剤への依存状態から脱却することを目指しております。
(3)安定供給・設備投資に関するリスク
JCRファーマグループでは、国民皆保険制度の下、全国の患者さんに平等かつ安定的に医薬品を供給する責務があると認識しております。そのため、供給不安のリスク対策として、製造に必要な資材及び原料確保状況を定期的に確認し、それら供給元の事業状況を把握しつつ、可能な限りダブルソース化を図っております。また、GLPやGMP等のガイドラインを遵守するなど、品質保証体制を徹底しております。しかしながら、JCRファーマグループの製造施設等や原材料供給元において、技術的もしくは法規制上の問題、大規模災害による影響、国際紛争による政治的混乱等が発生することにより、製品の安定供給に支障が発生する可能性があります。特に、昨今の新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ情勢の状況によって、世界的に天然資源、建材、電子部品等の供給不足の影響があるなか、今後、新規施設建設計画や研究・生産機器等の発注納期について、影響を受ける可能性は否定できません。その動向によっては、JCRファーマグループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)法規制に関するリスク
JCRファーマグループの事業は、関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して種々の許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件および関連法令の遵守に努めており、現時点においては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、法令違反等によりその許認可等が取り消しとなる場合等には、規制の対象となる製商品の回収、または製造ならびに販売を中止することを求められる場合もあり、これらによりJCRファーマグループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、JCRファーマグループが取り扱う医療用医薬品の薬価は、医療制度が国民皆保険を前提としていることから、健康保険法の規定に基づき、厚生労働大臣の定める薬価基準収載価格とされております。薬価基準の改定頻度が高まることや、競合品との競争激化など、薬価改定による売上低下のリスクが存在します。JCRファーマは、製品固有の価格リスクを継続的に評価し、製品価値に見合った仕切価の設定を行うなど、対応を行っております。
(5)研究開発に係るリスク
JCRファーマグループは、希少疾病領域での積極的な研究開発活動に取り組んでいますが、医薬品は所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市することが可能となります。したがって、研究開発の途上において、当該開発品の有効性もしくは安全性が承認に必要とされる基準を満たさない懸念があることが判明し、研究開発の中止もしくは遅延を要する場合は、研究開発費の回収や期待される収益の確保が困難もしくは遅延するリスクがあります。そのような場合はJCRファーマグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、JCRファーマグループの売上高は、主に医薬品・医療機器・再生医療等製品の製造販売の他、開発投資や技術ライセンスに基づく契約金収入により構成されております。また、これら契約金収入は、営業利益等の各利益に大きな影響を及ぼすことがあります。したがって、パイプラインの研究開発に中止・遅延を要する事象が発生した場合、JCRファーマグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)グローバル展開に向けた活動のリスク
JCRファーマグループでは、J-Brain Cargo®という技術基盤を活用し、希少疾病を適応とした革新的医薬品を提供することで、グローバルスペシャリティーファーマを目指しております。その先駆けとして、2021年度にはイズカーゴ®のグローバル展開活動として武田薬品工業株式会社との共同開発およびライセンス契約の締結を完了し、海外における迅速な上市に向けた臨床試験及び当局交渉を実施中です。本契約においては、両社間で適切なガバナンス体制を構築し、適時的に合意・意思決定を行うこととしております。
しかしながら、各国固有の法規制・特許・医療制度等において事業展開のリスクが異なります。両社間の契約上規定のない事案あるいは想定外の事態が発生することで、事業の進捗や、提携先の企業から得られるロイヤリティの見込み時期もしくは有無に変動が生じるリスクがあり、この規模によっては業績への影響を受ける可能性があります。
(7)競合品に係るリスク
JCRファーマグループの製品およびパイプラインには、いずれも競合となりうる他社の開発品目が存在します。これら競合品目の開発が進捗し、発売された場合、JCRファーマグループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8)人的リソースに係るリスク
近年の売上高の増加と研究開発の進捗に伴い研究開発部門、生産部門を中心に人的リソースを拡充しております。今後も複数のパイプラインのグローバル臨床試験、上市を見込んでいることから、引き続き人的リソースの拡大傾向が継続するものと認識しております。近年では、グローバル経験のある人材の確保に取り組み、さらにグローバルに活躍できる人材の教育計画を立案するなど、将来のJCRを牽引する人材を育む取り組みを進めております。しかしながら、人材の採用が困難になる場合あるいは離職率が上昇する場合は、JCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)副作用の発現リスク
現在のパイプラインには、人体にとっては未知の物質に相当する融合たんぱく質であるものが含まれています。新規医薬品では、未知の副作用の発生は常にリスクとして認識すべきものと考えられます。また一般的に、人体は未知の物質に対して抗原抗体反応により体内より排除する機構を持っていることから、これらの薬物が抗原抗体反応を惹起することにより、好ましくない副作用の発現リスクが存在します。現在までの臨床試験において、特段留意が必要なリスクは顕在化しておりませんが、今後、長期に投与した際に看過できない副作用が発現した場合は、JCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権の侵害リスク
JCRファーマグループの血液脳関門通過技術については、競争力のある形で知的財産権の確保に努めております。2020年に米国ArmaGen社を買収することで、米国等におけるJ-Brain Cargo®(血液脳関門通過技術)に関する知的財産権を取得したため、現段階において当該技術に関して他社の知的財産権を侵害するリスクは低いものと判断しております。しかしながら、血液脳関門通過技術を有した他社製品が開発されている状況にあり、将来において知的財産権を巡る訴訟が起こる場合は、JCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟に関するリスク
JCRファーマグループは製造物責任(PL)関連、独占禁止法関連、環境関連やその他に関して訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟に対応すべく、損害保険への加入等のリスク対策を講じておりますが、訴訟が発生した場合、JCRファーマグループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(12)自然災害に係るリスク
JCRファーマグループの製品に係る原薬、製剤工場は神戸市西区に集中しております。
地震、風水害には強い立地条件ではあるものの、大規模停電、想定を超える事象が発生した場合は一定期間操業できなくなることでJCRファーマグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)筆頭株主との関係
JCRファーマグループは、筆頭株主である株式会社メディパルホールディングスとの間で、複数のパイプラインに関する開発投資契約等を締結しており、今後、両社が出資し米国に設立した合弁会社を通じて各種医薬品候補物質の臨床開発を行うほか、2022年には超希少疾病に対するグローバル事業化の独占的交渉権の付与、およびフコシドーシス治療薬の事業化についての実施許諾契約を締結するなど広範囲な業務提携をおこなっております。JCRファーマグループは、同社との戦略的提携関係を維持し、両社の更なる企業価値の向上に努める所存でありますが、何らかの理由により同社との戦略的提携に変更があった場合、JCRファーマグループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(14)金融市況の影響について
株式市況、為替相場および金利の動向によっては、保有する有価証券等の時価の下落、原材料等の輸入価格上昇、退職給付債務および支払利息の増加等、JCRファーマグループの業績および財政状態に重要な影響を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響により社会情勢が大きく変化する可能性を加味し、運転資金を確保することを目的として、2020年4月にバックアップラインとして各金融機関との間で、既存の当座借越枠に加え、コミットメントライン契約を締結しております。
上記のほか、環境保全上の問題の発生、製品を取り巻く環境の変化、ライセンスまたは提携の解消、システム障害および情報流出等、様々なリスクがあり、ここに記載されたものがJCRファーマグループの全てのリスクではありません。
(注)日本でのみ上市されているイズカーゴ®点滴静注用10㎎は、武田薬品工業株式会社と特定地域における独占的な共同開発およびライセンス契約を締結し、海外における上市を計画し臨床試験を進めておりましたが、2024年6月に当該契約を終了いたしました。同剤の臨床開発については、引き続きJCRファーマグループで米国、中南米、欧州においてグローバル第3相臨床試験を実施して参ります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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