1.事業環境
(1)カイオム・バイオサイエンスが研究開発を手掛ける抗体医薬品
ヒトには、体内に侵入した細菌やウイルス等のタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物を攻撃、排除するために、体内で抗体というタンパク質を作る能力(抗原抗体反応)が備わっています。これは免疫と言われる身体を守る防御システムの一つです。こうして体内で作られた抗体は、特定の抗原にのみ結合する性質を持っており、正常な細胞とがん細胞を見分けたり、病気の原因となるタンパク質の機能を抑えたりすることができます。この抗体というタンパク質を医薬品として体の外から投与するものが抗体医薬品です。従来の低分子医薬品では、正常な細胞にも作用することで副作用を引き起こすこともありますが、抗体医薬品は、疾患に関連する細胞だけが持っている抗原をピンポイントで狙い撃ちするため、高い治療効果と安全性が期待されております。
現在、世界で承認されている抗体医薬は100品目を超えており、がんや自己免疫疾患の領域では目覚ましい治療効果をもたらしたものもあります。しかしながら、膵臓がん、肺がん、アルツハイマー病、糖尿病合併症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等、未だに治療満足度、薬剤貢献度が低い疾患が残されており、また、既存の抗体治療薬よりも優れた抗体に対するニーズも存在します。カイオム・バイオサイエンスは、自社の技術プラットフォームを初めとする抗体・タンパク質周辺技術を最大限に活用して、そのようなアンメットニーズ(*)の高い分野に対する抗体創薬に取り組んでおります。
<抗原抗体反応>
(2)抗体医薬品市場
抗体医薬品は、がんや自己免疫疾患等を中心に医療の現場で処方されており、近年の全世界医療用医薬品の市場においては抗体薬品を中心とするバイオ医薬品処方箋薬のシェアは3割を超え、売上高の上位100品目の半数以上を占めるまでになっております。また、抗体薬物複合体(ADC(*))やバイスペシフィック抗体(*)に代表される多価抗体などの次世代型抗体については、従来よりも有用性を高めた医薬品としての開発が進められ販売されるに至っており、今後も抗体医薬品市場の一層の拡大が期待されております。(出典:Evaluate World Preview 2022)
2.カイオム・バイオサイエンスのビジネスモデル
(1)経営理念
カイオム・バイオサイエンスは、「医療のアンメットニーズに創薬の光を」というミッションのもと、「アンメットニーズに対する抗体医薬の開発候補品を生み出すNo.1ベンチャー企業を目指す」という経営ビジョンを掲げ、アンメットニーズの高い疾患領域に対する抗体創薬と創薬支援を事業の基本として、成長性と安定性を兼備した経営を目指しております。
(2)ビジネスモデル
カイオム・バイオサイエンスは、独自の抗体作製技術(ADLib®システム、Tribody®、DoppeLib™)や創薬力を用いて治療薬や診断薬等の抗体医薬品候補を研究開発する「創薬事業」および「創薬支援事業」を展開しております。「創薬事業」では、抗体医薬品の基礎・探索研究(*)、前臨床段階を主な事業領域として、アンメットニーズの高い疾患領域における抗体創薬研究を行い、医薬候補品を製薬企業等に導出(*)します。また、カイオム・バイオサイエンスのパイプライン(*)のうちCBA-1205やCBA-1535については、カイオム・バイオサイエンスの収益性を最大化するため、初期臨床試験を実施したのちに導出を行います。また、「創薬支援事業」では、製薬企業や診断薬企業、アカデミア等の研究機関で実施される創薬研究を支援するため、抗体などのタンパク質の発現・精製等のサービスや、カイオム・バイオサイエンスの保有する抗体作製技術を用いた抗体作製サービスの提供、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務の提供を行います。このように、カイオム・バイオサイエンスは拡大する抗体医薬品市場において製薬企業等に製品やサービスの提供を行うことを主たる事業としており、これによりカイオム・バイオサイエンスは、契約一時金、マイルストーン(*)、ロイヤルティ(*)、受託サービス料等の対価を企業等から受け取り収益を獲得します。
なお、上記の事業は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
<カイオム・バイオサイエンスの収益モデル・事業系統図>
<事業系統図(創薬事業)>
<事業系統図(創薬支援事業)>
(3)カイオム・バイオサイエンスの基本戦略
カイオム・バイオサイエンスは、カイオム・バイオサイエンスが保有する複数の抗体作製技術を用いて標的抗原に対する多様な抗体を作製し、リード抗体(*)を取得することで、有効な治療法がない重篤な疾患や、薬剤による治療満足度が低い疾患を中心とした、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬の開発候補品を生み出す、No.1ベンチャー企業を目指します。
(4)カイオム・バイオサイエンスの基本戦略を遂行するための3つの強み
・医薬品候補抗体を継続的に創出するための独自のADLib®システム、Tribody®、DoppeLib™等の複数の抗体作製技術、タンパク質調製や抗体エンジニアリングに関する技術やノウハウ等からなる技術プラットフォームを保有していること
・臨床開発機能を有し、自社による創薬テーマの設定から非臨床パッケージの構築、開発戦略および薬事戦略の立案、ならびにCMC(*)開発によるCMO(*)マネジメントなど、医薬品候補の創製から初期臨床開発までを最速で実施できる体制を確立していること
・専門性の高い人材が持つネットワークを通じて、カイオム・バイオサイエンスの研究開発の推進に最適なリソースや資源を獲得できること
3.事業内容
(1)創薬事業
創薬事業は、アンメットニーズの高い疾患領域における抗体創薬研究と開発(共同開発を含む)を行い、その研究成果物であるリード抗体等の知的財産を製薬企業等に実施許諾し、契約一時金、マイルストーンおよびロイヤルティ、並びに共同開発等に係る収入等を獲得する事業です。
医薬品の開発には、一般的に基礎・探索研究、前臨床開発、臨床開発、申請・承認、製造・販売のプロセスがありますが、カイオム・バイオサイエンスの創薬事業においては、基礎・探索研究段階から前臨床開発および初期臨床開発段階までの抗体医薬品開発の上流工程を主な事業領域としております。本事業においては、自社で開発候補抗体(ヒト化抗体(*)、ヒト抗体)の前臨床データパッケージまでを作成し、早期導出を図ることを基本戦略としますが、CBA-1205やCBA-1535のように特定のプログラムにおいては抗体の価値を高め、収益性の向上が期待できる自社での初期臨床開発も行ってまいります。
また、当該事業領域におけるパイプラインは、自社の抗体作製技術等を用いた創薬研究活動や外部からの新規パイプラインの導入(*)によって、拡充を図ってまいります。
カイオム・バイオサイエンスが保有しているパイプラインは下記のとおりです。
CBA-1205は、肝臓がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現している抗原DLK-1というタンパク質に選択的に結合する遺伝子組換えヒトIgG1型モノクローナル抗体(*)です。糖鎖改変技術によって抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性(*))を増強させたファースト・イン・クラス(*)抗体で、DLK-1を発現するがん細胞を移植したマウスに対して強力な抗腫瘍活性を示します。DLK-1は、幹細胞(*)や前駆細胞(*)のような未熟な細胞の増殖・分化を制御することが明らかにされていましたが、肝臓がんをはじめとする複数のがん細胞表面においてもDLK-1が発現しており、その増殖に関与していることが明らかにされています。そのためDLK-1はがん治療における新たな標的分子としての可能性が期待されています。
CBA-1535は3つの抗原結合部位を有する多重特異性抗体で、抗原結合部位の内の2つは多くの固形がんに発現がみられるタンパク質5T4に結合し、残りの1つが免疫細胞であるT細胞(*)上のタンパク質CD3に結合する、Tribody®技術を用いて創製されたT cell engager(*)というカテゴリに入る、がん治療用候補抗体です。患者さんが元来保有している免疫を司るT細胞の働きを活性化することで、がん細胞を攻撃します。想定される適応疾患としては、悪性中皮腫、小細胞肺がんや非小細胞肺がんなどのアンメットニーズが高い領域での開発が期待されます。
PCDC(*)は、幅広い固形がん(肺がん、膵臓がん等)で発現が確認されているCDCP-1というタンパク質をターゲットとし、結合特性等に基づく広い有効域・安全域が期待される抗体です。がん細胞上のCDCP-1に結合した後、細胞内に取り込まれやすい性質を利用して、抗体に薬物を結合したADC用途を中心とした開発が期待されます。
PTRY(*)は3つの分子を認識するTribody®技術を用いて創製したがん治療用候補抗体で、固形がんに発現が認められる「5T4」、免疫細胞であるT細胞上の「CD3」、免疫チェックポイント阻害に関与する「PD-L1」に結合するがん治療用の多重特異性抗体です。T cell engagerに加えて免疫チェックポイント阻害機能を加えることで従来のがん免疫療法では十分に効果が期待できなかった患者さんへの新たな治療薬となることを期待しています。また、複数の機能を一つの薬剤に持たせることで患者さんや医療現場の負担軽減、薬価抑制による医療経済への貢献にも有用な薬剤として期待されます。
PXLR(*)は、がん細胞により呼び寄せられる薬剤耐性環境の原因細胞である免疫抑制細胞を減少させ、薬剤耐性のがん微小環境を改善、再発抑制が期待される、がん治療用候補抗体です。
PFKR(*)はFractalkine (CX3CR1) receptorの機能阻害抗体であり、自己免疫性神経疾患等の病態進行を抑制することが期待されます。また、2024年11月に旭化成ファーマ株式会社(以下、旭化成ファーマ)との間で、ライセンス契約を締結いたしました。
また、カイオム・バイオサイエンスでは、自社単独または共同研究により新規のターゲットに対する複数の抗体創薬プロジェクトを推進しております。新規創薬プロジェクトの発足においては、大学・研究機関等から、従来の技術では抗体作製が困難な抗原情報を入手するなど、ターゲット(抗原)の獲得も積極的に行っております。それらの抗原に対する抗体が、疾患モデル動物などを用いた評価により、治療効果を有する事を確認した場合、カイオム・バイオサイエンスはその発明について共同出願を行い事業化の権利を確保した上で研究活動を推進いたします。またカイオム・バイオサイエンスの創薬力を向上するため、基礎的かつ高度な専門性を要求される分野において大学・研究機関等と共同研究を行い、カイオム・バイオサイエンスが保有する抗体作製技術の改良や、創薬基盤技術における課題解決を図るなど技術革新にも取り組んでおります。
(2)創薬支援事業
製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するため、抗体などのタンパク質の発現・精製等のサービスや、カイオム・バイオサイエンスの保有する抗体作製技術を用いた抗体作製サービス、ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務を提供することによってサービス料等の収入を獲得する事業です。
<主なサービスの内容>
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サービス項目 |
内 容 |
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タンパク質・抗原調製、抗体の発現精製 |
抗体作製に必要な組換えタンパク質(抗原)や、研究開発用途の抗体などを細胞に発現させ、精製を行います。種類に応じた発現・精製方法を選び、純度や物性の分析を行います。 |
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安定発現細胞株作製 |
安定的に組換えタンパク質(抗原や抗体)を供給できるように、遺伝子組換え技術を用いて、組換えタンパク質を効率よく発現する細胞株を作製します。 |
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ADLib®システム等による抗体作製 |
ADLib®システムやハイブリドーマ法(*)といった抗体作製技術を用い、創薬研究に用いるモノクローナル抗体作製を行います。カイオム・バイオサイエンスの抗体創薬の知識・ノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせた抗体作製プランを提案いたします。 |
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ADLib®システムを用いた抗体の親和性向上業務 |
カイオム・バイオサイエンスで培ったADLib®システムの技術・ノウハウを活かし抗体の結合力(抗体親和性)を向上させることで、より薬効の高い抗体医薬の精製が期待できます。 |
4.カイオム・バイオサイエンスの抗体作製技術
(1) 抗体作製技術
カイオム・バイオサイエンスは抗体作製技術のADLib®システムやTribody®作製技術など独自の抗体作製技術を保有し、また、汎用的な技術であるハイブリドーマ法などの複数の技術を用いて抗体作製を行っております。また、それぞれの技術の特性を活かして統合的に運用することにより抗体作製力を最大化してまいります。また、新たに多重特異性抗体作製技術であるDoppeLib™の開発も進めており、カイオム・バイオサイエンスの抗体作製技術の強化にも努めております。
<抗体作製技術とその特徴>
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抗体作製技術 |
技術の特性 |
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ADLib®システム |
・抗原があれば10日前後という短期間で直接ヒトIgG抗体が獲れる ・自律的多様化という独創的な抗体ライブラリ(*)の特徴を生かし、抗原特異的抗体(*)の取得から抗体の高親和性化までを連続的に行うことが可能 ・動物免疫(*)と異なり、自己抗原への免疫寛容(*)の影響を受けないため、理論的にはあらゆる配列のタンパク質を認識する抗体を取得できる可能性がある
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Tribody® |
・3つ以上の異なる抗原結合部位を持つ抗体であるTribody®およびその発展型多重特異性抗体のデザイン・エンジニアリング・創薬開発を可能にする技術プラットフォームをいう ・CBA-1535のように腫瘍細胞の近傍でT細胞を活性化することにより、がん細胞を叩くT cell engagerというカテゴリや、複数の疾患関連細胞を架橋することでがん以外の疾患の治療薬も設計可能 |
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ハイブリドーマ法 |
・動物免疫による抗体作製法で、最もよく用いられる ・手法が確立されており、医薬品化された実績も多い ・ヒト抗体産生動物を用いた場合、ヒト化の工程を経ずにヒト抗体を取得することができる
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DoppeLib™ |
・2つの異なる抗原結合部位を持つ多重特異性抗体を迅速かつ網羅的にスクリーニングする技術 ・培養細胞表面上に多重特異性抗体を発現させるため、標的の組合せ、親モノクローナル抗体の最適組合せを効率的に評価できる技術 ・多重特異性抗体の探索研究において強力な課題解決手法となるものと期待
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(2) カイオム・バイオサイエンス独自の抗体作製技術ADLib®システム
① ADLib®システムの仕組み
ニワトリのB細胞由来のDT40細胞(*)は、様々な種類の抗体を生み出すメカニズムを持っています。カイオム・バイオサイエンスでは薬剤処理により人為的に活性化させて、試験管内において短期間で多種多様なモノクローナル抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)を作り出しています。そのライブラリの中からターゲットである抗原に特異的に結合する抗体を取得します。この方法をカイオム・バイオサイエンスでは、ADLib®システム(トリ免疫細胞を用いたモノクローナル抗体作製システム:Autonomously Diversifying Library、総称してADLib®)と呼んでおります。
<ADLib®システムによる抗体作製のイメージ図>
② ヒトADLib®システムについて
ヒトADLib®システムは、遺伝子組換え技術によりDT40細胞のトリ抗体遺伝子がヒト抗体遺伝子に置き換えられており、ヒト化の工程を経ることなく、ヒト抗体を直接取得することができます。
<ヒトADLib®システムの概略>
③ 従来の抗体作製技術との主な違い
ADLib®システムは、従来の抗体作製技術とは異なるテクノロジーとして、次のような技術的特徴を有しております。
a.迅速な抗体取得
ADLib®システムでは、抗体セレクションの全工程を試験管内で実現したことにより、10日程度でターゲット特異的な抗体を判定することが可能で、他の技術と比較して抗体取得の判定期間が短い点が大きな特徴です。競争の激しい医薬開発の分野では、いち早い特許取得が重要であり、この点で他の方法に比べて短期間で抗体を作製できるADLib技術には大きなメリットがあります。
b.従来の免疫法では困難な抗原に対する抗体取得
ヒトを含む動物は、体内に入ってきた異物に対しては免疫反応(*)が起きて抗体を作りますが、がんの様に、自分を構成している成分が何かのきっかけにより過剰に体内で増えて病気を引き起こすような場合には、そもそも自身の体の成分なので異物とはみなされず、免疫寛容とよばれる仕組みにより抗体を作ることができません。進化の過程においてマウスとヒトの間でもほとんど変化することなく種を超えて受け継がれてきたタンパク質は非常に類似していることがあり、ヒトを構成する成分であってもマウスで抗体を取得することは容易ではありません。しかし、試験管内で抗体が得られるADLib®システムは、生体外で抗体を作製するシステムなので、免疫寛容による制限を受けることはありません。
(3) 多重特異性抗体作製技術「DoppeLib™」
多重特異性抗体は、新しい作用機序に基づく治療用抗体設計を可能にするなど、近年急速に発展を遂げている新しい抗体モダリティの1つです。自由度高く抗体設計が可能なことから、標的の組合せ、親モノクローナル抗体の最適組合せなどについて、多サンプルを効率的に評価できるスクリーニング技術が求められます。カイオム・バイオサイエンスは、迅速かつ網羅的に最適な多重特異性抗体取得を可能にする多重特異性抗体ハイスループットスクリーニング技術「DoppeLibTM」の研究開発を進めており、本技術は、多重特異性抗体の探索研究において強力な課題解決手法となるものと期待します。
5.特許ポートフォリオ
(1)基盤技術に係る主要特許
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関連 |
発明の名称 |
出願人 |
登録状況 |
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ヒトADLib®システム |
ヒト抗体を産生する細胞 |
カイオム・バイオサイエンス |
日本・欧州・中国で成立。 |
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抗体の取得方法 |
カイオム・バイオサイエンス |
日本・米国・欧州・中国で成立。 |
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抗体可変領域の多様化を促進する方法 |
カイオム・バイオサイエンス |
日本・米国・欧州・中国で成立。 |
(2)リード抗体に係る主要特許
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関連 |
発明の名称 |
出願人 |
登録状況 |
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CBA-1205 |
in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトDlk-1抗体 |
カイオム・バイオサイエンス (リブテックから承継) |
日本、米国、欧州、中国を含む計7ヵ国で成立。 |
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がん治療用医薬 (レンバチニブ併用) |
カイオム・バイオサイエンス |
日本、欧州、中国を含む計4ヵ国で成立。 米国他で出願済。 |
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がん治療用医薬 (FGFR4阻害剤併用) |
カイオム・バイオサイエンス |
PCT出願済 |
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抗体組成物の精製方法 |
カイオム・バイオサイエンス |
PCT出願済 |
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CBA-1535 |
5T4及びCD3に対する3つの結合ドメインを含む融合タンパク質 |
カイオム・バイオサイエンス
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日本・米国・欧州・英国・中国を含む計10ヵ国で成立。 |
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PCDC |
抗CDCP1抗体 |
カイオム・バイオサイエンス |
日本、中国を含む計4ヵ国で成立。 米国、欧州他で出願済。 |
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PTRY |
融合タンパク質 |
イタリア CEINGE社 |
PCT出願済 |
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PXLR |
抗ヒトCXCL1抗体 |
公立大学法人大阪 |
PCT出願済 |
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PFKR |
抗ヒトCX3CR1抗体 |
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター カイオム・バイオサイエンス |
PCT出願済 |
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LIV-2008 |
in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトTROP-2抗体(ヒト化) |
カイオム・バイオサイエンス (リブテックから承継) |
日本、米国、欧州、中国を含む計10ヵ国で成立。 |
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in vivoで抗腫瘍活性を有する抗ヒトTROP-2抗体(マウス) |
カイオム・バイオサイエンス (リブテックから承継) |
米国を含む計7ヵ国で成立。
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BMAA(*) |
抗セマフォリン3A抗体、並びにこれを用いたアルツハイマー病及び免疫・炎症性疾患の治療 |
(公)横浜市立大学、 カイオム・バイオサイエンス
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日本、米国、欧州で成立。 |
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてカイオム・バイオサイエンスが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
カイオム・バイオサイエンスは創業以来、カイオム・バイオサイエンス独自の抗体作製技術であるADLib®システムの研究開発や技術導出に向けた取り組みを行ってまいりました。
現在、カイオム・バイオサイエンスではADLib®システムをはじめ複数の抗体作製技術を保有し、これまでの製薬企業やアカデミア等との協業を通じて培ってきた抗体創薬に関わる周辺の技術も蓄積しております。これらの技術を活かし、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体創薬の新規創製を進めるとともに、自社の臨床開発機能を活かし画期的な新薬の初期臨床開発に注力する経営を進めております。
複数の抗体作製技術を用いることでリード抗体取得の可能性を高め、有効な治療法がない重篤な疾患や、薬剤による治療満足度が低い疾患を中心に「医療のアンメットニーズに創薬の光を」あてる研究開発を強く推進し、人類の健康に貢献をしてまいります。
(2)経営環境
「第1 企業の概況 3 事業の内容 1.事業環境」に記載しております。
(3)目標とする経営指標
創薬事業においては、医療用医薬品の開発候補品となるリード抗体を創出し、臨床開発を目的として製薬企業に導出することで収益を得るビジネスに取り組んでおります。カイオム・バイオサイエンスが保有する開発候補品の収益性向上や導出確度の向上を鑑み、前臨床試験(*)段階、または、初期臨床試験を実施した後の導出を目指しております。一般的には臨床開発を行い、医療用医薬品として承認に至る可能性が高まることによって、導出時に得られる収益性が高くなります。しかしながら、臨床開発に入った抗体医薬品候補が承認に至るまでの成功確率は一般的に10~20%程度と言われているため、1つの開発品目だけにカイオム・バイオサイエンスの事業や将来の収益の可能性を依存することは経営上の様々なリスクが大きくなります。従いまして、カイオム・バイオサイエンスは研究開発の各段階において、複数の開発品目を保有することで事業全体の成功確度を高めることを目標に掲げております。なお、カイオム・バイオサイエンスでは臨床段階のプログラムにつきましては、研究開発費と導出によって得られる収益の状況を鑑みて、同時期に扱う品目数を2~3つと想定しており、現在、カイオム・バイオサイエンスではCBA-1205とCBA-1535の2つの開発品目を有しております。これらの開発品目の初期臨床開発を進め、抗体の安全性及び初期の有効性の評価を行ったのちに、製薬会社等へ導出することにより契約一時金や開発マイルストーン等の獲得を目標としております。また、導出契約締結時には契約一時金の獲得により単年度の黒字化を達成することも重要な目標としております。
また、探索研究段階にある創薬プロジェクトでは、リード抗体獲得及び知財化に向けて、抗体作製や動物試験等の研究開発を推進しております。リード抗体獲得の成功確率を向上させるために、社内での技術改良に加え、社外の技術導入や共同研究等のアライアンスも積極的に推進することで、創薬力を高める取り組みを行っております。リード抗体獲得に資する共同研究は常時10テーマ程度を実施することを目安にしており、現在国内のアカデミアや企業を中心に共同研究が進んでおります。なお、カイオム・バイオサイエンスの開発・導出候補品で構成される開発パイプラインの拡充に向けては、有望なシーズ(*)の導入も視野に入れております。
創薬支援事業においては、複数の安定顧客に質の高い抗体作製およびタンパク質・抗体の発現精製等の委受託業務を継続的に提供することで、収益基盤の安定化と本事業で獲得した収益を創薬事業での研究開発投資に充当しております。本事業では収益性を高めるために、カイオム・バイオサイエンスの抗体研究領域における高い業務品質と柔軟な業務遂行を通した高付加価値型のビジネスの遂行により、セグメントの利益率50%確保を目指しております。また、付加価値の高い業務品質や柔軟な業務遂行力を維持することが本事業における目標達成にとって重要な要素であり、収益性を高めるために現在は国内の大手抗体医薬企業との取引に注力をしております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
カイオム・バイオサイエンスの中長期的な事業シナリオは次のとおりです。
① 治療用抗体の臨床開発及び導出戦略
ファースト・イン・クラス抗体であるCBA-1205および、多重特異性抗体であるCBA-1535の臨床開発を進め、第1相臨床試験終了後の導出を目指します。CBA-1205については、第1相臨床試験の前半パートの固形がん患者さんを対象とした症例登録が2021年に完了し、安全性の高さが示されたため、2022年から始めた後半パートでは肝細胞がんの患者さんにおける安全性と有効性の確認を進めております。本抗体の導出時期については、後半パートにおいて肝細胞がんに効果を示唆する有用なデータを取得できることによって導出するシナリオを想定しており、導出により2025年度までの単年度の黒字化を目指しております。また、2022年6月に臨床試験を開始したCBA-1535は、現在、第1相臨床試験の前半パートにおいて固形がん患者さんを対象に、段階的に治験薬の投与量を増やしながら安全性の確認を進めております。
② 治療用リード抗体の継続的な創出
アカデミアやバイオベンチャー等との共同研究を軸に、カイオム・バイオサイエンスの抗体作製技術を用いてアンメットニーズに対するリード抗体を継続的に創出し、製薬企業等へ早期に導出することを目指します。現在、カイオム・バイオサイエンスではがん治療用抗体のPCDC、前期にパイプライン化したTribody™創薬テーマであるPTRYについて導出活動を推進しております。さらに、当年度に新規パイプライン化した中枢神経系領域の治療用抗体のPFKR、がん領域の治療用候補抗体PXLRについても、導出のためのデータパッケージの構築作業と並行して製薬企業への紹介活動を開始しております。今後も継続的に新規リード抗体を創出し製薬企業へ導出を推進することがカイオム・バイオサイエンスの成長の源泉となることから、カイオム・バイオサイエンスでは次世代抗体を取得するための抗体基盤技術の研究開発を積極的に行っております。カイオム・バイオサイエンスの抗体基盤技術を強化することで抗体創薬領域における競争優位性を確保し、有望なリード抗体創製により単一のプロダクトや契約に依存しない経営上のリスク分散や安定的な収益を獲得できる事業運営を行っております。
③ 開発候補品の継続的な保持
カイオム・バイオサイエンスが手掛けるような医薬品の研究開発事業は通常、開発期間が長く相当程度の開発中止リスクが伴うため、安定的な成長にはステージの異なる複数のパイプラインの確保が必要となります。カイオム・バイオサイエンスでは自社の創薬研究によってリード抗体を継続的に創出し、新たなパイプラインに加えるだけでなく、前臨床段階から外部企業との提携・共同研究開発を行うことにより、開発ポートフォリオを充足させ開発候補品を断続的に保持することを目指します。また、CBA-1205やCBA-1535に続く臨床開発については、新たな臨床開発候補品を創出すべく、カイオム・バイオサイエンスの基盤技術の改良や応用を行いながら創薬プロジェクトの研究活動を積極的に推進するなど、臨床開発候補品の確保にむけた取り組みを進めてまいります。
④ 創薬研究・開発と事業開発の連動
新規の創薬研究・開発においては、将来の提携や早期の導出が実現できるよう、業界での開発動向や既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査、検討の上、最適な創薬ターゲットの選定と出口戦略の策定が重要です。そのため、カイオム・バイオサイエンスでは自社での評価の他に、製薬企業等との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの連携などを通じて、ターゲットの選定が適切に行われるよう努めてまいります。その上で提供可能なパイプラインがクライアントのニーズに即していた場合には、早期にライセンス契約へと繋げていくことを目指します。
⑤ 収益最大化を目指した初期臨床開発の実施
医療用医薬品の導出において、一般的には開発後期になるほど医薬品開発の成功確率があがり、それにより導出時の経済条件は有利になります。カイオム・バイオサイエンスは、一部のパイプラインにおいては前臨床段階での導出のみならず初期臨床開発を実施した上で導出することで、カイオム・バイオサイエンスの収益性が最大化するような取り組みを進めてまいります。
⑥ 収益基盤としての創薬支援事業の拡大
カイオム・バイオサイエンスは継続的に創薬事業での研究投資を行うにあたり、その必要資金については自社の収益から充当できる状況を目指しております。そのために、既存顧客の取引拡大に加え、国内外の新規顧客との取引契約獲得を積極的に進め、創薬支援事業を継続的に拡大させてまいります。
(5)対処すべき課題
カイオム・バイオサイエンスが認識する対処すべき課題については以下のように考えております。
① 抗体作製力の維持向上とパイプライン拡充
カイオム・バイオサイエンスは、抗体医薬の開発候補品を継続的に創出して、革新的な医薬品を待ち望む患者さんに貢献することを目指しておりますが、保有するパイプラインが様々な理由で開発の遅延や中断、中止等になるリスクがあります。また、承認申請にむけた臨床開発は導出後の製薬企業で行われますが、導出先企業の開発戦略変更等によりライセンス契約終了などの影響が生じるリスクがあります。それらの開発や事業上のリスクに対応するためには、創薬パイプラインを拡充することにより、開発中止等によって生じる経営上の様々なリスクを分散する必要があると考えております。そのためには抗体作製技術の継続的な改良を行うことでカイオム・バイオサイエンスの競争優位性を高め、自社での抗体作製力の向上を図りパイプラインを創出することにより、様々な開発ステージでバランス良く構成された複数のパイプラインの保有を企図した研究開発活動を推進いたします。また、大学や企業等の外部の有望な抗体医薬候補品の導入も含め、創薬パイプラインの拡充を進めてまいります。
② 初期臨床開発の着実なる遂行
カイオム・バイオサイエンスは、医薬品の研究開発段階の中でも比較的早期の導出を目指しておりますが、導出時の収益性を向上させ、導出先による医療用医薬品としての承認取得の可能性を高めることも重要であると考え、自社での初期臨床開発の取り組みを進めております。現在、カイオム・バイオサイエンスが保有するパイプラインのうち、がん治療用候補抗体のCBA-1205とCBA-1535については、価値最大化を目指して社外専門家と提携しながら、臨床試験を着実に進めております。
③ 創薬支援事業の拡大に対応した人材及び研究設備の確保
カイオム・バイオサイエンスは、研究投資に必要な資金確保にむけて創薬支援事業の拡大を進めておりますが、顧客である製薬企業等のセカンドラボとして質の高い研究支援サービスの提供には優秀な人材の確保と育成、研究環境の確保が重要と考えております。現在、継続的に人材採用を進めるなど、同事業拡大にむけた取り組みを積極的に進めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在においてカイオム・バイオサイエンスが判断したものであります。
1.事業環境に関する項目
(1) 抗体医薬品市場の成長性に関するリスク
現在、世界では100以上の抗体医薬品が上市(*)されており、今後も抗体医薬品市場は安定的に成長するものと見込んでおります。しかしながら、各種疾患のメカニズムや病態の解明により、疾患特異的に作用する分子標的薬の開発、低分子特有の副作用を軽減するために疾患部位に薬を送り届けるデリバリーシステムの開発等との競合や、再生医療による治療の普及等により想定どおりに市場が拡大しない場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 医薬品開発における医薬品医療機器等法その他の規制に関するリスク
カイオム・バイオサイエンスが参画する医薬品業界は、研究、開発、製造および販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法、薬事行政指導およびその他関連法規等により、様々な規制を受けております。カイオム・バイオサイエンスは医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として、カイオム・バイオサイエンスの開発候補品が導出先の製薬企業において上市された場合を想定し事業計画を策定しています。カイオム・バイオサイエンスの抗体が医薬品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性があり、これらに大きな変更が発生した場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 医薬品開発に関するリスク
一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物や抗体であっても、前臨床試験や臨床開発の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の期間延長や中止を行うことがあります。このように、各開発品の研究開発には多くの不確実性が伴い、カイオム・バイオサイエンスの現在および将来における開発品についても同様に不確実性のリスクが内在しております。カイオム・バイオサイエンスは、研究開発段階から収益が得られるビジネスモデルを構築することにより、各開発品の研究開発リスクの分散を図っておりますが、期待どおりの収益が得られる契約が締結できる保証はありません。このような場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業計画や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 臨床開発に関するリスク
カイオム・バイオサイエンスは、基礎・探索研究、前臨床試験の事業領域として、開発候補抗体の前臨床データパッケージまでを作成したパイプラインの早期での導出を基本戦略としておりますが、一部のパイプラインについては、収益性や導出可能性を検討した上で、初期臨床開発を実施いたします。臨床開発は長期、高額、かつ不確実なプロセスであり、遅延または更なる必要事項が生じうるものであり、試験の全ての段階において失敗が生じえます。また、臨床試験の中間結果は、その最終結果を予想させるものではなく、開発の初期段階においては有望であるように見える製品候補であっても、失敗する可能性があります。さらに、臨床試験を完了するために十分な被験者を適時に確保できないために、遅延等が生じる可能性もあります。このように、パイプラインの試験を完了するためには数年を要し、試験において遅延が生じた場合、カイオム・バイオサイエンスパイプラインの開発費用は増加します。大幅な臨床試験の遅延は、カイオム・バイオサイエンスがパイプラインを導出する能力を害する可能性があります。カイオム・バイオサイエンスがパイプラインに関し、開発、規制上の承認の取得を成功裡に行うことができず、または導出による収益を認識できない場合、カイオム・バイオサイエンスの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 他社との競合について
競合他社が同じターゲットで優れた機能を持つリード化合物を創出した場合は、導出候補先である製薬企業等への導出活動が容易でなくなる可能性があります。また、複数の同業他社の参入に伴いアライアンス活動の競争が激化しカイオム・バイオサイエンス事業の優位性に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替レートの変動に関するリスク
カイオム・バイオサイエンスは、社外との提携関係の構築をグローバルに展開していることから、海外の取引先との間で外貨建取引を行っております。これまでは、カイオム・バイオサイエンスの外貨建取引の多くが支払サイトも短いことから、多額の為替差損益を計上することはありませんでしたが、今後の研究開発活動の拡大に伴い、外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動によりカイオム・バイオサイエンスの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業内容に関する項目
(1) 収益計上に関するリスク
創薬事業において、医薬品の基礎研究開始から上市に至るまでには長い年月を要することから、研究開発の成果が事業収益として計上されるまでには長期間を要します。また、医薬品開発の成功確率は近年ますます低くなっており、上市に至らないケースも多いため、最終的に事業収益が計上されない可能性もあります。カイオム・バイオサイエンスの事業モデルは、前臨床試験段階もしくは臨床試験の初期段階での導出により収益を獲得する事業モデルであるため、導出候補先の製薬企業がその後の開発を実施することになります。このため、臨床試験は導出候補先の製薬企業に依存し、当該導出候補先において順調に臨床試験が進まない場合や経営環境の変化や経営方針の変更など、カイオム・バイオサイエンスが制御しえない要因が発生した場合には、当該医薬品の開発が遅延あるいは中止となる可能性があります。一方、研究開発が順調に進捗して上市に至った場合であっても、当該医薬品が市場において評価されず、当初契約していた販売マイルストーンなどの収益を計上できない可能性があります。カイオム・バイオサイエンスは、ステージの異なる複数のパイプラインを確保することで抗体医薬の開発候補品を継続的に創出し、医薬企業への導出を目指しておりますが、契約の締結時期、医薬品開発の進捗状況、医薬品販売開始時期等の遅れによる収益上の期ずれ、また何らかの事由により医薬品開発、販売が中止となる場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業計画および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の取引先に依存するリスク
カイオム・バイオサイエンスは、中外製薬株式会社及びChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.(以下、「中外製薬グループ」)や小野薬品工業株式会社(以下、「小野薬品」)との間で抗体医薬品研究にかかる委託研究取引基本契約を締結しており、当事業年度におけるカイオム・バイオサイエンスの売上高に占める両社の割合は高い水準となっております。カイオム・バイオサイエンスでは、委託研究における付加価値を向上させることで、その他製薬企業等から収益を獲得しながら、各クライアントとの良好な取引関係を維持・継続していく方針であります。しかしながら、中外製薬グループや小野薬品の経営方針の変更による委託業務量の減少や契約条件の変更、本契約の解除等が生じた場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
カイオム・バイオサイエンスは、研究開発活動等においてカイオム・バイオサイエンスが所有しまたは使用許諾を受けた様々な知的財産権を使用しています。カイオム・バイオサイエンスが創製した技術等について、カイオム・バイオサイエンスの知的財産権を侵害されるリスクまたはカイオム・バイオサイエンスが他社の知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。こうしたリスクに対応するために、積極的かつ速やかに特許出願等を行うことで排他性の確保を図るとともに、特許情報データベース等を活用して情報収集を行い、カイオム・バイオサイエンス特許権の侵害および他社関連特許権の早期発見・対応に努めております。すでに基盤技術特許は国内外で成立し、現時点においてカイオム・バイオサイエンスは知的財産侵害に関する訴訟や第三者による請求について認識していませんが、第三者の特許の存在により特許侵害訴訟を提起された場合には多額の訴訟費用を発生させることとなり、カイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新規パイプラインに関するリスク
カイオム・バイオサイエンスが保有するパイプラインの開発上のリスクに対し、カイオム・バイオサイエンスは、アカデミアやバイオテックとの提携やカイオム・バイオサイエンスの優秀な人材が持つネットワークを通じてターゲットを獲得し、アンメットニーズに対する医薬品開発に有用な抗体を作製することにより、新規パイプラインの探索および創出を図っており、シーズの導入にも努めております。しかしながら、これらの活動により、新規パイプラインの探索および創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により新規パイプラインの探索および創出活動に支障が生じた場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業戦略および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 技術に関するリスク
カイオム・バイオサイエンスは、医療におけるアンメットニーズを解決しうるターゲットについて、抗体を用いて医薬品を創出することを目指した研究開発を行っており、基礎・探索研究から前臨床試験までの抗体創薬開発を行い、創製した医薬候補品を製薬企業等に導出するために必要な技術やノウハウを有しております。カイオム・バイオサイエンスの強みは、ADLib®システムをはじめとした複数の抗体作製技術を用いて作製された抗体を動物試験で評価し臨床開発に向けたデータパッケージを作ることにあります。しかしながら、カイオム・バイオサイエンスの強みである抗体創薬研究に関わる技術やノウハウが、他の革新的な技術や安価な技術等で代替できる場合や特許期間が満了した場合等により、その競合優位性が保持できない場合、カイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 複数の製薬企業との関係に関するリスク
カイオム・バイオサイエンスが製薬企業と共同研究契約を締結する場合、当該契約が定めるターゲットに重複が生じないよう配慮しておりますが、研究内容によっては、部分的に重なりが発生する可能性も考えられます。その結果、カイオム・バイオサイエンスがどちらか一方の企業との共同研究の機会を喪失することでカイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 提携先に影響されるリスク
提携先企業の技術および研究開発の進捗に大きな差が生じた場合、また経営不振や経営方針の変更があった場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
3.業績に関するリスク
(1) マイナスの繰越利益剰余金の計上について
カイオム・バイオサイエンスは安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指しておりますが、事業が計画どおりに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金が計画どおりに解消できない可能性があります。
(2) 資金調達について
カイオム・バイオサイエンスでは、研究開発費が収益に先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業運転資金や研究開発投資および設備投資等の資金需要が予想されます。製薬企業等とのアライアンスによる収益や新株予約権の権利行使等によるキャッシュインおよび人件費や研究開発活動にかかる投資活動等のキャッシュアウトを見込んだ資金計画を策定しておりますが、十分な事業活動資金を確保できない場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 減損会計について
カイオム・バイオサイエンスは事業用の固定資産を保有しておりますが、経営環境や事業の著しい変化などにより事業計画が想定どおり進まない場合や価値の低下があった場合、減損会計の適用によりカイオム・バイオサイエンスの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.その他のリスク
(1) 小規模組織であること
カイオム・バイオサイエンスは小規模な組織であるため、研究開発体制および社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。このような限られた人材の中で、業務遂行上、取締役および幹部社員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分が大きいため、カイオム・バイオサイエンスの業容の拡大に応じた人員の増強や社内管理体制の充実等を図っております。しかしながら、一部の取締役および幹部社員の退職により事業活動に不備が生じた場合には、カイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の人物への依存について
カイオム・バイオサイエンスの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員に強く依存しています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保または育成が計画通りにいかない場合は、カイオム・バイオサイエンスの財政状態および経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(3) 新株式の発行による株式価値の希薄化について
カイオム・バイオサイエンスは資金調達を目的とした増資や新株予約権行使による新株式の発行を機動的に実施していく可能性があります。新株式の発行はカイオム・バイオサイエンスの事業計画を達成する上で合理的な資金調達手段であると判断しておりますが、発行済株式総数が増加することにより、カイオム・バイオサイエンス株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
(4) 営業機密の漏洩について
カイオム・バイオサイエンスにおける事業では、カイオム・バイオサイエンスは顧客である製薬企業等からの情報を預かる立場にあります。従いまして、カイオム・バイオサイエンスは役職員との間において顧客情報を含む機密情報に係る契約を締結しており、さらに退職時にも個別に同様の契約を締結し顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。また、抗原名をプロジェクトコード化した社内共通言語を用いた顧客情報管理を実施するとともに、顧客情報へのアクセス制限も行っております。しかしながら、万一顧客の情報が外部に漏洩した場合は、カイオム・バイオサイエンスの信用低下等によりカイオム・バイオサイエンスの事業等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害等の発生について
カイオム・バイオサイエンスは、地震等の自然災害、大規模事故、火災、テロや戦争、感染症等のパンデミック等が発生した際には、リスク管理規定に基づきリスクを低減する措置を講じます。しかしながら、事業拠点の周辺地域で、または世界的に影響を及ぼす様な大規模な事態が発生した場合には、カイオム・バイオサイエンスが保有する抗体ライブラリの滅失、データの消失、設備の損壊、各種インフラ及び研究資材等の供給制限、社内や取引先での集団感染等によって、カイオム・バイオサイエンスの研究開発の進捗及び事業等に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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