トーセグループは、トーセ及び連結子会社3社並びに関連会社1社により構成されております。
事業としては、主にゲームソフトやモバイルコンテンツに関する企画・開発・運営などの受託を行っております。
トーセグループにおける各報告セグメントの主要な事業の内容等は、以下のとおりです。
(注) TOSE PHILIPPINES, INC.につきましては、当連結会計年度末現在、清算手続き中です。
以上の企業集団等について事業系統図は以下のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、トーセグループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
トーセの経営方針
経営理念 :永遠に続く会社づくり
使命 :より良い製品とサービスを社会に提供し、健全で豊かな社会の実現に寄与する
スローガン:地球のココロおどらせよう。
トーセグループは、「永遠に続く会社づくり」を経営理念として、従業員や顧客、地域社会などのすべてのステークホルダーとともに、継続的に成長していくという考え方を根底として、事業活動を推進しております。トーセグループは設立以来、特定の資本系列下ではない独立系のデジタルコンテンツ開発会社として、ゲームソフトメーカーやコンテンツプロバイダをはじめとする幅広い業種の顧客に対し、ゲームソフトやモバイルコンテンツなどの企画提案から開発、運営に至る幅広いサービスを提供してまいりました。そのなかで、ディベロッパー専業としては質・量ともにトップクラスの人的基盤を構築しております。変化の激しい業界の中で、その開発人財が常にアップデートしてきた開発技術と知見に裏打ちされた、高い開発品質を軸として、人々のQOL向上に貢献し、社会の幸福度増加に寄与し続けることを、トーセグループの使命としております。この使命をさらに発展させていくため、トーセグループが主にデジタルエンタテインメントのフィールドで蓄積してきた開発技術力を応用し、他のフィールドでも発揮していきたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
トーセグループは、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置づけ、収益力と資本効率の向上に取り組んでおります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
トーセグループを取り巻く事業環境については、2025年3月末までに任天堂社より次世代機の発表が予定されており、発売時期が明らかになることで市場の期待も一層高まると考えられます。次世代機向けのソフト開発需要が見込まれることに加え、普及が進んだプレイステーション5向けや、市場規模が年々成長を続けているPC向けを中心に、ゲームソフト開発需要はまた高まりを見せると予想しております。一方で国内のスマートフォンゲーム市場は、成熟し競争の激しい状況のまま推移しており、新規コンテンツの開発立ち上げや市場投入に踏み切ることは引き続き慎重に検討されるものと考えております。グローバルゲーム市場は、コロナ禍の巣ごもり需要は収束したものの、コロナ禍前よりも高い水準で推移しており、今後も成長が予想されます。
AIへの期待や関心はここ1年で大きく膨らみ、製品やサービスへの組み込みや、業務改善等において、検証・トライアルや研究が各所で進んでいることが見られました。数年後にはわたしたちの生活に密着した欠かせない技術となる可能性があります。
このような事業環境のもと、トーセグループでは、中長期的な企業価値と資本効率の向上に向けて事業活動を推進しております。足元の2025年8月期には黒字転換し業績の回復を図ってまいります。
トーセグループのデジタルエンタテインメント事業においては、2024年8月期に複数の開発案件が中止や失注となりましたが、家庭用ゲーム機向けを中心に開発に関するご相談やご依頼は引き続き寄せられており、新規受注に向けての活動を精力的に推進しております。また、2023年8月期以前から取り組んできた開発案件や2024年8月期に立ち上がった案件がそれぞれ複数件進行中です。なかには2025年8月期の前半にリリースが予定されているものや、海外顧客からの海外市場をターゲットとした案件もあり、これらの開発を着実に進めてまいります。2024年8月期に複数の顧客においてゲーム開発の方針や考え方が転換されたことで、今後も顧客による開発中の案件の見直しや、開発途中の節目で実施される中間成果物の納品検査やその承認手続きの長期化によって、開発進行の乱れが生じる可能性が考えられますが、そのような事態による損失を防止する対策を進めてまいります。具体例としては、プロジェクト管理ルールの強化と徹底には2024年8月期より取り組んできております。また2024年9月にはプロジェクトマネジメント支援室を立ち上げ、開発を進めているプロジェクトチームとは別の視点から進捗と品質をモニタリングし、指導や支援を行うことで、適正な開発進行と、トラブルになりそうな場合の早期対策を徹底してまいります。
その他事業では、SI事業において従前より教育関連分野に注力してきたなか、2024年8月期より新たな教育関連のシステム開発案件を進行させております。他にも複数の案件に取り組む予定であり、非ゲーム分野での事業の拡大を進めてまいります。
中期的に取り組むべき課題としては以下の6点を掲げ、優先的に対処しております。
・開発人財の増強
・開発技術の継続的な成長・発展
・開発プロセスの効率化・省力化
・取引価格の引き上げ
・新規事業へのアプローチ
・グローバル案件の取り込み推進
上述の事業活動のなかで、AIを含む高度な開発技術の探求を続けるとともに、これまで取り組んできた開発工程の標準化の推進に加えて、プロジェクトマネジメント支援室による各プロジェクトの進捗や品質、リソース配分等のモニタリングと指導や支援を実施することにより、さらなる付加価値の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合にトーセグループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。トーセグループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、トーセ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてトーセグループが判断したものです。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場動向について
トーセグループが事業を展開しているデジタルコンテンツ市場においては、技術の進化やユーザーの嗜好の変化が加速しているなど、市場環境が変化する速度が上がっております。トーセグループは、そのような事業環境の変化に適宜対応できるよう、技術の研鑽とトレンドの分析を継続的に行う体制を確立し、事業の強化を図っております。しかしながら、予期せぬ要因により市場の発展が阻害される場合には、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
② 技術革新について
トーセグループが取り組む事業分野においては、コンテンツを供給するプラットフォームの変遷や多様化が進むとともに、ARやVRなどのクロスリアリティ技術や、AI等を活用したコンテンツの台頭など、今後もさらなる技術の進化が見込まれ、技術環境が著しく変化しております。トーセグループは、これらの変化に柔軟に対応するために、先進的で高度な技術やノウハウの蓄積に取り組んでおります。しかしながら、そうした急速な技術革新への対応に時間がかかる場合は、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 他社との競合について
トーセグループが取り組む事業分野においては、数多くの競合他社が存在しております。トーセグループは、企画から開発・運営までワンストップでサービスを提供できる国内最大級の開発体制を擁していることに加え、日々向上を続けている開発技術力や、長年にわたり培ってきたノウハウや企画力によって質の高い魅力的なコンテンツを供給し続けることで、他社との差別化を図っております。しかしながら、トーセグループの優位性を上回るような競合他社が出現した場合には、次第に顧客からの依頼は減少し、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
① 収益認識について
トーセグループでは、ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などが主な事業であり、主に受託契約を締結しております。当該契約については、一定の期間にわたり履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識する方法を採用しております。履行義務の充足にかかる進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した開発原価が、予想される開発原価の合計に占める割合に基づいて行っております。また、契約の初期段階において、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないが、発生する費用を回収することが見込まれる場合は、原価回収基準にて収益を認識しております。原価の予想精度を高めるよう取り組み、また、プロジェクトの進行に伴う予想原価の変動も含めて異常値の有無を確認するなどの適切な体制を構築し運用しておりますが、開発途中において顧客側の事情等により、当初定めた仕様や工期の変更に伴う作業工数の増加が生じ、予想される原価が増加する可能性があります。その場合には、進捗度に変動が生じ、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
② 開発期間の長期化について
トーセが主力としているゲームコンテンツの開発期間は、長いもので3年を超えるものもあります。開発が長期間にわたるため、計画段階において予測した開発期間と実際の開発期間に差異が生じる可能性があります。トーセグループは、受託契約の締結に際し、長期間にわたる大型かつ包括的な契約を避け、複数の個別契約に分割して影響を最小限にするなど対応をしておりますが、仕様追加や納期変更など計画段階では想定できなかった事態が生じた場合、その結果によっては、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ コンテンツの瑕疵について
トーセグループは、顧客に納入するコンテンツを高い品質に保つため、開発スタッフ以外にも数多くの検査専門スタッフを活用して、コンテンツの厳しい社内検査を行っております。しかしながら、トーセグループが顧客に納入したコンテンツに瑕疵が発生しないという保証はなく、大規模な改修の費用や、改修でサービス中断を余儀なくされた場合に逸失した収益などの、損害賠償請求を受けることも考えられます。その結果によっては、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
トーセグループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、積極的にビジネス領域の拡大に取り組んでいく考えです。これにより、費用が先行し、利益率が低下する可能性があります。また、見通しとは異なる状況が発生することなどにより新サービスや新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
① 人財の確保について
トーセグループは、コンテンツの企画・開発・運営に関する事業においてアーティストやプログラマー、音楽や効果音に取り組むサウンドクリエーターなど特殊技術を持つ数多くの人財を活用しております。質の高いサービスを安定的に供給するためには、事業部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人財が要求されていることから、当該人財の採用及び既存の人財の更なる育成・維持に積極的に努めております。しかしながら、人財の獲得競争は激しさを増す一方であるなか、これらの人財がトーセグループより流出した場合や、トーセグループの採用基準を満たす優秀な人財の確保や人財育成が計画どおりに進まなかった場合には、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
② 内部管理体制について
トーセグループは、企業価値の持続的な向上を図るために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更には健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大により、内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、適切な事業運営が困難となり、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
① 法的規制について
トーセグループが取り組む事業分野においては、「著作権法」、「特許法」、「商標法」、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(アミューズメントマシンに関する規制)」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」及びその他関連法令の規制を受けております。また、主に人財を活用する事業であることから、「労働基準法」及び関連法令の遵守にも特に留意する必要があります。これらの法的規制は、社会状況の変化に応じて、今後も適宜改正ないし解釈の変更などがなされる可能性があり、これらに的確に対応できなかった場合には、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
② 情報管理について
トーセグループは、個人情報や開発・営業に係る機密情報を保有しております。情報管理に関しては、機密保持を含めた契約の締結及び情報管理を実践するとともに、従業員には、入社時と毎年秘密保持などに係る誓約書の提出を義務付け、情報の管理と指導を徹底しております。しかしながら、何らかの影響でこれらの機密情報が漏洩した場合、トーセグループの信用失墜や損害賠償請求により、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 知的財産権の侵害について
トーセグループが取り組む事業分野においては、「著作権」、「特許権」、「商標権」、「実用新案権」、「意匠権」などの知的財産権が関係しております。そのため、知的財産権に関する十分な調査を行っておりますが、第三者の知的財産を侵害しているかどうかをすべて調査、把握することは事実上困難です。トーセグループのコンテンツ、技術、商標などが第三者の知的財産を侵害し、ロイヤリティの支払や使用差止、損害賠償を請求された場合、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
④ 第三者との紛争について
トーセグループは、役員、従業員の法令違反などの有無に関わらず、顧客、株主、従業員を含む第三者との予期せぬトラブル、訴訟などが発生する可能性があります。その結果によっては、企業イメージが低下する可能性があるほか、多大な訴訟対応費用などが発生し、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
トーセグループは、余剰資金の有効活用のため、現預金や換金性の高い有価証券を保有しております。これらの資産は国内外の株式や債券などに投資し、安全かつ効率的な資産運用を行っておりますが、株式及び債券市場、為替相場、経済情勢などが急激に変動した場合には、保有する有価証券の減損や評価損が発生し、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(7) 情報セキュリティに関するリスク
トーセグループは、事業部門・コーポレート部門両方の業務において、効率化や品質向上のために様々な情報システムを活用しております。そのため情報システムの安定稼働を阻害するコンピュータウイルスや不正アクセス等を防ぐ対策を講じております。しかしながら、そのような情報システムへの攻撃は巧妙になってきていることから、的確な対策がとれず障害が発生した場合、顧客をはじめステークホルダーの信頼を失い、トーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(8) 地政学に関するリスク
トーセグループは、フィリピンと中華人民共和国に子会社を有しております(なお、フィリピンの子会社については現在清算手続き中です)。日常的に現地の情勢を把握し、突然の機能不全等重大な事態は避けるよう、情勢に応じた対策を前広に講じるよう努めておりますが、所在国・周辺国の政策や情勢次第で、子会社の事業活動に影響が及ぶ可能性があります。
また、トーセグループは海外の顧客との取り引きも今後拡大していきたいと考えております。取り引きの際には、関連地域の情報収集を徹底し、事前にリスクと対策をよく検討し、常に適切な対応が素早くとれる体制で臨んでおります。しかしながら、顧客の国の情勢や政策等がトーセとの取り引きに影響し、それがトーセグループの業績に大きな影響を与える可能性があります。トーセグループは顧客とのコミュニケーションを非常に重視しており、密に行っておりますので、そのような点からも、早い段階でリスクをキャッチし、対策を講じることに努めてまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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