サワイグループホールディングスは、医薬品の製造・販売を行う国内外の子会社の株式若しくは持分を保有することにより、当該会社の事業活動を管理し、その経営の支援や指導を行うことを事業としております。
サワイグループホールディングス及びサワイグループホールディングスの子会社(以下、「サワイグループホールディングスグループ」という。)は、サワイグループホールディングス及び連結子会社6社で構成され、主な事業内容は、医療用医薬品及び一般用医薬品の製造及び販売であります。
各社の事業内容及び位置づけは、次のとおりであります。
沢井製薬株式会社(以下、「沢井製薬」という。)は、製造した医薬品を国内の販売会社、卸売店及び他の医薬品メーカーに販売するほか、医療機関にも直接販売しております。
メディサ新薬株式会社(以下、「メディサ新薬」という。)は、医療用医薬品の販売を行っており、沢井製薬及び他の医薬品メーカーとの間で、製品等の売買を行っております。また、沢井製薬は同社より研究開発の一部及び製造を受託しております。
化研生薬株式会社(以下、「化研生薬」という。は、医療用医薬品の製造及び販売を行っており、同社はメディサ新薬から製品等を購入しております。また、沢井製薬は同社より主原料(原薬)を購入しております。
トラストファーマテック株式会社(以下、「トラストファーマテック」という。)は、医療用医薬品の製造及び販売を行っております。沢井製薬は同社に研究開発の一部及び製造を委託しております。
FrontAct株式会社(以下、「FrontAct」という。)は、医療用機器等の製造販売等を行っております。
なお、サワイグループホールディングスは特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められている数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することになります。
概要図
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において、サワイグループホールディングスグループが判断したものであります。
(1) サワイグループホールディングスグループの経営方針
サワイグループホールディングスグループは、信頼に値する企業を目指すことを第一に掲げ、2024年6月に修正公表した「Sawai Group Vision 2030」達成に向けた道筋をつけるため、2026年度(2027年3月期)を最終年度とする3か年の中期経営計画(以下「新中計」という。)を策定しました。
長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」
①2030年度に目標とする企業グループイメージ
(創りたい世界像)
より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界
(ありたい姿)
個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける、存在感のある会社
②財務目標
売上収益 3,100億円 ROE 13%以上
中期経営計画「Beyond 2027」
①重点テーマ
「信頼される企業の地位確立」を土台となるテーマとして設定し、その上でさらに成長するために下記の重点テーマを設定
a.事業戦略重点テーマ
・GE市場における着実な成長
・GEビジネスの持続性確立
・成長分野への継続投資
b.経営基盤重点テーマ
・持続的成長を支える人財の創出
・サステナビリティへの取り組み
・資本効率改善
②株主還元方針
a.配当
中長期的な利益水準、DOE等を総合的に勘案しながら安定的かつ継続的な配当を目指す
b.自己株式取得
資本効率向上と株主還元策の一環として、フリーキャッシュフロー、市場動向等を踏まえ、機動的に実行
③定量目標
売上収益 2,200億円 ROE 10%以上
(2) サワイグループホールディングスグループの現状認識
日本の医薬品市場を取り巻く環境としては、1961年に実現された国民皆保険制度の恩恵を受け、日本は世界最高水準の長寿社会を実現してきました。その反面、医療費をはじめとする社会保障費用は、年々増加の一途を辿っているため、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなり、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になりつつあります。
このような状況に対して、近年、医療の質を落とすことなく、医療の効率化(医療費の削減)を図るべく、ジェネリック医薬品の使用促進が図られてきました。
政府は2017年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針)及び、2019年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)において「2020年9月までの後発医薬品使用割合80%」を目標として、「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質のさらなる信頼性確保を図りつつ」、「インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」とし、さらに、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)では、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取り組みを進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされています。
ジェネリックシェア80%時代を迎え、ジェネリック医薬品が担う責任と重要性の高まっていく中で、グループの中核会社である沢井製薬の九州工場で製造するテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切な試験が継続的に行われていたことが判明し、沢井製薬が2023年12月に厚生労働省、大阪府及び福岡県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする行政処分を受けました。不適切な方法による試験行為に対する再発防止策に取り組み、サワイグループホールディングスグループ製品の品質に対する信頼性を確保するとともに、安定供給体制を構築してくことが、サワイグループホールディングスグループとして果たすべき社会的責任であると認識しています。
一方、政府により決定された薬価制度の抜本改革によって、通常の2年に1度の薬価改定の間の年度においても薬価調査・薬価改定(中間年改定)が導入されたことで毎年の薬価改定が行われる状況になっており、今後薬価の下落影響が拡大し続ける可能性があります。
このような経営環境の中でサワイグループホールディングスグループは、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を高め、競争に打ち勝つことが、持続的に成長していくために不可欠との判断の下、その達成のために次の(3)にあげた7点が最重要課題であると認識しております。
(3) 当面の対処すべき課題及び具体的取組状況等
① 信頼性の向上
ジェネリック医薬品の品質を確保し、信頼性を向上していくことが、医薬品メーカーとしてのサワイグループホールディングスグループの責務です。こうした中、沢井製薬の九州工場で不適切な試験が継続して実施されてきた原因を踏まえ、再発防止策として、a.沢井製薬社長直轄の企業風土改革プロジェクトの実施、b.既存上市品の製造面及び品質面での再評価とその対策実施、c.全従業員に対する製造管理・品質管理基準(以下、「GMP」という。)教育の再実施や、管理職・監督職の責任の明確化、工場の品質管理部門、品質保証部門への社内外からの人材確保推進などの沢井製薬生産本部における再発防止策の実施を掲げ、すでに取り組みを開始しており、グループ一丸となって継続して取り組むことで、信頼性の回復と向上に努めてまいります。
② 安定供給の維持・確保
治療を必要とする患者さんの元に高品質な医薬品を安定的に供給することは、医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つです。生産設備の拡充による生産能力の増強をはじめとし、世界中から高品質で適切な原材料を確保し、適宜適切かつ継続的な設備投資、厳格な基準による製造管理・品質管理を行うとともに、的確な需要予測と適正在庫の確保を行うことを通じて、安定供給の維持・確保を図り、ジェネリック医薬品の需要増に対応してまいります。また、災害時にも安定供給を維持できるよう策定したBCP(事業継続計画)に基づき、原材料の複数ソース化、生産機械の共通化、代替要員の確保、人財の多能職化並びに工場間の人財交流及び技術の標準化等に取り組んでまいります。
③ 高付加価値ジェネリック医薬品のいち早い開発と確実な上市
競合が多いジェネリック医薬品業界において競争に打ち勝つためには、市場環境、患者さんや医療従事者のニーズに応えた他社品目との差別化が重要であり、また、一番手で上市することがジェネリック医薬品として患者さんのニーズに応えることにもなります。特許・技術・コスト・効率化等の諸課題に挑戦し、高付加価値ジェネリック医薬品の確実な一番手上市を目指してまいります。
④ 情報提供の充実
医薬品は、正確な情報を伴ってはじめて患者さんの治療目的が達成されるものであります。MRの活動のみならず、ウェブやコールセンター等のマルチチャネルを効率的に活用し、情報提供力の充実・強化を図ります。正確な効能・効果、用法・用量、副作用、品質や付加価値といった医薬品情報のほか有用な情報を医療関係者に迅速かつ確実に提供し、顧客満足度の向上に努めてまいります。
⑤ マーケティング機能の充実
競争優位を確立するためには、マーケット分析に基づいた的確な開発品目の選定、ターゲティングの明確化によるMRの生産性の向上が不可欠であります。マーケティング機能の充実と薬価制度改革や医療政策の変化等に伴う競争環境の変化を踏まえた営業戦略の見直しを図ってまいります。
⑥ 企業体質・経営管理の強化
沢井製薬が行政処分を受けた不適切な試験の背景としてa.安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、b.上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、c.試験関与者のGMPに対する理解の欠如といったコンプライアンス体制、意識に関連する事象が挙げられており、企業理念の浸透、コンプライアンス委員会の活動強化、リスク管理の充実、内部統制の整備・拡充といったコーポレート・ガバナンスの強化とSDGsに沿った取り組みによって企業体質の改善、強化を図ってまいります。また、環境変化に的確に対応できるよう意思決定や事業展開のスピードを追求するとともに、コスト削減等による徹底したコスト競争力の強化や業務の効率化、業容拡大に伴う経営基盤の整備・強化、会社の成長を支える人財の育成、ダイバーシティへの取り組みといった企業体質及び経営管理の強化に取り組んでまいります。
⑦ 新規事業基盤の構築・強化
サワイグループホールディングスグループが中長期ビジョンの達成を目指すにあたり、また、将来にわたって持続的成長を遂げていくためには、既存のジェネリック医薬品事業以外の新規領域への展開を図っていく必要があります。併せて、ジェネリック医薬品事業の周辺ヘルスケア分野への新たな展開に向け、事業分野調査をはじめとした新たな事業分野の開拓、展開に取り組んでまいります。
サワイグループホールディングスグループの事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在においてサワイグループホールディングスグループが判断したものであります。
(1) 「医薬品医療機器等法」等による規制
サワイグループホールディングスグループ傘下の企業は「医薬品医療機器等法」等関連法規の規制を受けており、事業所所在の各都道府県の許可・登録・免許及び届出を必要としております。サワイグループホールディングスグループは、十分な法令遵守体制をとっておりますが、かかる医薬品製造販売業の許可等に関して法令違反があった場合には、監督官庁から業務停止、許可等の取り消し等が行われ、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 薬価制度及び医療制度の変更
サワイグループホールディングスグループの主要製品、商品である医療用医薬品を販売するためには、日本においては国の定める薬価基準への収載が必要です。薬価については市場実勢価の調査が行われ、その実勢価格をベースに政策的な側面も加味した薬価改定により多数の品目の薬価が引き下げられます。また、増大する医療費の適正化を目的として薬価制度や医療保険制度の改革議論が引き続き行われており、その動向には細心の注意を払って経営方針・経営戦略に反映させておりますが、薬価引下げ率や制度変更の内容によっては、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 知的財産に関する訴訟
サワイグループホールディングスグループは物質・用途・製法・結晶形・用法・用量・製剤に関する特許並びに意匠及び商標等の知的財産権に関し徹底した調査を行い、また、不正競争防止法も十分に考慮した製品開発を心掛けておりますが、サワイグループホールディングスグループが販売するジェネリック医薬品の先発医薬品には物質・用途特許の期間満了後も複数の製法・結晶形・用法・用量又は製剤に関する特許等が残っていることが多く、当該特許等に基づき訴訟を提起される場合があります。このような事態が生じた場合には、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 競合等の影響
サワイグループホールディングスグループは、日本において販売している製品が度重なる薬価引き下げのため不採算となり、販売中止を余儀なくされることのないように、適正利益を確保した価格で販売するように努めておりますが、多数のメーカーがジェネリック医薬品市場に参入すると、厳しい競争の中で価格の低下を招きやすくなります。さらには、先発医薬品メーカーが、オーソライズドジェネリックの投入等の諸施策により特許満了後の市場シェア低下への対応に努めており、その動向次第ではサワイグループホールディングスグループが計画していた売上収益が確保できないことも想定されます。また、他社に先駆けて毎年数品目のジェネリック医薬品を上市できる研究開発力がサワイグループホールディングスグループの強みですが、競合他社の研究開発力の向上による競合リスクも高まってきており、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 製品回収・販売中止
サワイグループホールディングスグループが販売するジェネリック医薬品の有効成分は、先発医薬品においてその使用実績から有効性と安全性が一定期間にわたって確認されており、また再審査・再評価を受けたものであり、基本的には未知の重篤な副作用が発生するリスクは極めて小さいものです。しかしながら、予期せぬ新たな副作用の発生、製品への不純物混入、新たな検査基準の設定又は厳格化といった事象が発生した場合には、製品回収・販売中止を余儀なくされるとともに当該事故等の内容によっては製造物責任を負う場合があり、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 自然災害等による生産の停滞、遅延
サワイグループホールディングスグループでは、地震・風水害等の自然災害、その他新型コロナウイルス感染症を含むパンデミック等の重大な健康リスクに対しては、人命尊重を第一に事業が継続できるよう、BCPや危機管理規程等の整備・運用による対応を図っております。サワイグループホールディングスグループは、福岡県、兵庫県、千葉県、茨城県及び福井県に生産拠点を配置し製造所の分散及び製造機器の共通化等により操業停止リスクの低減を図っておりますが、自然災害、技術上・規制上の問題等の発生により、生産拠点の操業が停止した場合には、当該生産拠点で製造する製品の供給が停止し経営成績に影響を与える可能性があります。また、重要な原材料については、複数ソース購買などサプライチェーンリスクの管理・対応に努めておりますが、特定の取引先から供給を受けているものがありますので、自然災害等の要因によりその仕入れが停止し、その代替が困難である場合には、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(7) グローバル事業展開等
サワイグループホールディングスグループは、ジェネリック医薬品シェアの高まりに伴う国内市場の成長鈍化を見据え、従来から持続的な成長を目指し、海外展開、資本提携及び企業買収等による新規事業展開の検討を図っており、事業採算性のほか関連法令・政治経済情勢を含め十分な調査に努めておりますが、当初の想定を超える予期せぬ事情変更や投資に見合う効果が得られない場合があり、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 情報管理
サワイグループホールディングスグループは、社内外の個人情報・営業秘密その他多くの重要な情報を保有しております。社内規程を整備し、ITセキュリティ対策や外部のデータセンターを含む複数拠点におけるデータの保存等を実施するほか、グループ情報セキュリティ委員会を設置して教育・啓発を実施する等、情報管理の徹底に努めておりますが、システム障害や事故、外部からの不正アクセス等により漏洩、改ざん、喪失等が発生した場合には、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(9) 米国事業
サワイグループホールディングスグループは子会社であるUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下、「USL」という。)を通した米国ジェネリック医薬品市場におけるビジネス展開に伴い、USLの経営環境や事業の変化等に起因して、期待されていた効果が得られない場合、資産の減損処理を行う必要が生じるなど、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性がありましたが、2024年1月16日開催の取締役会において、サワイグループホールディングスが保有するUSLの持分をBoraに譲渡することを決議し、2024年4月2日をもって譲渡が完了したことにより、当該米国事業に係るリスクは著しく軽減されることになりました。なお、米国事業に起因する反トラスト訴訟に関して譲渡後一定の期間において発生する損失を一定限度内でBoraに対して補償する義務を負っているため、想定されるリスク等を踏まえ見積金額を計上しております。今後、判決等の結果により見積金額を超過する損失が発生した場合には、サワイグループホールディングスグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) その他
上記のほか、金融市況・為替変動によるリスク、コンプライアンスを含むコーポレート・ガバナンスに関するリスク、気候変動をはじめとする環境問題リスク、少子高齢化に伴う中長期的な人手不足、地政学的リスク等、様々なリスクがあり、ここに記載のリスクがサワイグループホールディングスグループにおけるすべてのリスクではありません。サワイグループホールディングスは、グループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、発生頻度と事業に与える影響度から特に重要なリスクを絞り込んでディスカッションを行うなど、リスクに対して必要な対応・対策の整備に努めるほか、関連テーマについて別途グループコンプライアンス委員会、グループサステナビリティ委員会等において、より詳細に検討いたします。また、eラーニング等のツールを活用した定期的な教育啓発活動等により、役職員が法令違反や社会規範に反するリスクの低減を図っております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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