日本色材工業研究所グループは、日本色材工業研究所及び連結子会社2社により構成されております。
日本色材工業研究所は化粧品(医薬部外品を含む)の製造受託及び研究開発受託を主要な業務としております。連結子会社であるTHEPENIER PHARMA & COSMETICS S.A.S.(テプニエ社)はフランスにおいて医薬品及び化粧品の製造受託を主要な業務としており、Nippon Shikizai France S.A.S.(日本色材フランス社)は、フランスにおいて化粧品の製造受託を主要な業務としております。
日本色材工業研究所グループの事業内容及び日本色材工業研究所と子会社の当該事業における位置付けは次のとおりであります。
(1) 化粧品事業……………主要な製品は、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイライナー、UV、アイシャドウ、チーク、白粉、打粉、クリーム、美容液、化粧水等であり、日本色材工業研究所及び連結子会社が製造、販売しております。
(2) 医薬品その他事業……主要な製品は、薬用歯磨き、口腔洗浄剤、水虫治療薬、駆虫剤、その他衛生製品等であり、テプニエ社が製造、販売しております。
なお、化粧品事業の一部の製品について、日本色材工業研究所及び連結子会社は加工原材料、半製品を相互に販売または購入し、半製品、製品の製造、販売を行なっております。
有価証券報告書提出日(2025年5月30日)現在における日本色材工業研究所グループの事業の主な系統図は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における日本色材工業研究所グループの将来に関する見通しおよび計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測にはリスクや不確定要素などが包含されており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1) 経営方針
日本色材工業研究所グループは、「美しさと健康とを創りだすことで生活・文化の向上に貢献」することを企業理念とし、化粧品・医薬品・医薬部外品の開発や製造を通して社会の信頼に応えていくとともに、株主の皆様への利益還元を図るため、収益力の向上、企業価値の増大に努めてまいります。
また、日本色材工業研究所グループは、自社ブランドを持たない化粧品、医薬品等の製造受託(OEM)/研究開発受託(ODM)メーカーとして、高度な専門技術と豊富な情報力に裏打ちされた高品質で信頼性の高い製品の供給を目指しており、お客様の良きパートナーとして、企画提案をはじめ研究開発から完成品製造まで一貫して受託できる体制を構築しております。
(2) 目標とする経営指標
日本色材工業研究所グループは資本政策として、資本効率(自己資本利益率:ROE)の維持・改善(当面の目標:8%以上を維持、10%以上を目指す)と資本コストの抑制を通じて、持続的成長と企業価値向上を目指しております。
それに加え、足元は新型コロナウイルス感染症まん延による業績悪化の影響で収益性と財務安定性が低下している状況の中で、収益力の向上と財務安定性の回復を当面の重要課題としております。競争力のある研究開発力と技術力をベースとした収益性の高い効率経営を目指し、売上高営業利益率および自己資本比率を重点指標として高めてまいりたいと考えております。
(3) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上ならびに財務上の課題
次期の経営環境におきましては、引き続き社会・経済がアフター・コロナで正常化していく中で、地域間の跛行性はあっても景気は緩やかな回復・改善傾向が続くものと思われます。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の長期化もあって地政学的リスクは高止まり、資源・エネルギー価格、諸物価や人件費の上昇や、金利や為替相場の変動が経済活動に影響を及ぼすと共に、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
化粧品市場におきましても、国内ではマスク着用が習慣として一部常態化しており、個人消費はメイクアップ製品において新型コロナウイルスの感染拡大前を依然下回っておりますが、足元ではマスク着用も徐々に減り、消費マインドも大きく改善しており、新型コロナウイルス感染症の影響は一層軽減、化粧品需要は回復・改善していくものと思われます。海外においても、既にアフター・コロナに移行しており、化粧品需要は改善していくものと思われます。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大は、わが国におけるマスク着用慣習化や新しい生活様式としての在宅勤務の定着など、化粧品の需要水準に影響を与えたのに加え、マスクに影響されない目周り化粧品やマスクに付きにくい口紅の人気など化粧品需要の内容にも影響を及ぼしました。化粧品ODMメーカーとして事業の成長を実現していくためには、こういった消費者や化粧品メーカーのニーズの変化に対応した新処方の提供や、新たな高付加価値処方の開発といった取組みを、着実に実施していくことが極めて重要と考えております。
このような状況の中、日本色材工業研究所グループは、新型コロナウイルス感染症まん延の影響を受けて悪化した業績からの復活を目指して策定した「中期事業戦略ビジョン(2022-2026)」に基づき、後半の成長ステージとして「コロナからの復活・回復のモメンタムを持続し、更なる成長へ」を掲げ、「競争優位にある「強み」製品の強化と拡大」、「クリーン・ビューティーへの積極取組」、ならびに「高収益体質への転換」を重点戦略として、積極的に取り組んでまいります。
「中期事業戦略ビジョン(2022-2026)」の「重点戦略」の取組み状況
長く続いた新型コロナウイルス感染症まん延の影響が漸く収まり、「コロナからの復活と将来の成長に向けた事業基盤の再構築」から「コロナからの復活・回復のモメンタムを持続し、更なる成長へ」のステージに移行する中で、以下のとおり「重点戦略」に取り組んでまいります。
① 競争優位にある「強み」製品の強化と拡大
(回復する需要への対応)
・社会がアフター・コロナに移行する中で化粧品の需要が回復しており、お客様からの受注の回復・増加にお応えしております。特に、マスク着用機会が減ったことで口紅・リップクリーム等の受注が急激に増加しており、日本色材工業研究所強み分野の一つとして一部設備増強も含めて対応しております。
(コロナ明けの新製品取組みへの対応)
・新型コロナウイルス感染症がまん延する中で化粧品の新製品発売は暫く抑制傾向にありましたが、足元の需要の回復でお客様も新製品発売への取組みを強化されており、日本色材工業研究所が強みを持つ分野を中心に日本色材工業研究所処方のご提案を積極的に行い、受注の増加に結び付けております。
・お客様への提案では、メールマガジン、サンプルキット、動画情報などを活用し、日本色材工業研究所処方・製品の特徴を積極的にご説明することで、受注の増加に結びつけております。
(容器対応力の強化)
・容器対応能力を強化することで、処方と容器セットでのご提案に取組み、トラブルの原因究明などにも対応し、お客様へのサービス向上を進めております。
② クリーン・ビューティーへの積極取組
(顧客ニーズに合った幅広い処方を提案)
・お客様のブラックリスト/グレーリスト(使用できない/使用を抑える原料等のリスト)に対応しつつ高い機能を備えた処方をお客様にご提案することで受注を獲得し、お客様のクリーン・ビューティー/SDGsへの取組みをサポートすると共に、最終消費者のお客様の健康・安全への要求にお応えしております。
(サステナビリティ分野の取組みを推進)
・取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を組成、環境/パートナーシップ/高品質な製品提供/働き方・人財の各分科会を立ち上げて重要課題(マテリアリティ)や指標(KPI)を検討するなど、組織横断でSDGs関連の取組みを推進しております。
③ 高収益体質への転換
(座間・つくば2工場の稼働向上)
・新型コロナウイルス感染症の拡大前に投資したつくば工場第3期等で拡張した生産能力は、新型コロナウイルス感染症まん延による受注落ち込みで活用しきれない状況が続いておりましたが、足元の受注回復・増加に対応して稼働は急速に向上しつつあります。
・経済の回復・正常化に伴う採用難によって工数の確保が困難で、外注加工費が増加しておりますが、請負業者の活用等も含めた対応で工場の稼働は向上しつつあり、収益性の改善に貢献しております。
(インフレへの対応継続)
・原材料費・人件費・光熱費・各種経費の上昇が続く中で、お客様とのコミュニケーションを密に行い、新規受注に際して物価上昇を反映した見積りをお示しすると共に、リピート受注に関しても人件費や諸物価の上昇を反映させていただくことで収益性の維持に努め、価格やコストに見合った製品価値をご提供することで、お客様にご満足をいただくよう努めてまいります。
日本色材工業研究所グループの事業その他の状況、経理の状況等に関する事項のうち日本色材工業研究所グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の投資判断上重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年5月30日)現在において日本色材工業研究所グループが判断したものですが、ここに掲げている項目に限定されるものではありません。
① 化粧品市場環境
国内化粧品市場は既に成熟期に入っており、M&Aによる企業グループの再編、異業種からの新規参入等、競争環境は厳しさを増しております。また、企業グループの再編や同業者同士による合従連衡、海外の化粧品受託製造事業者の国内市場への新規参入等、日本色材工業研究所グループの位置する化粧品受託製造市場も、同様に競争環境は厳しさを増しております。
従って、日本色材工業研究所グループが予期せぬ競争環境の変化に的確に対処できない場合には、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② OEM(Original Equipment Manufacturing)/ODM(Original Design Manufacturing)企業としてのリスク
日本色材工業研究所グループの事業は、顧客化粧品メーカーのブランドで製造し販売するOEM/ODM生産の形態のため、日本色材工業研究所グループの業績は顧客化粧品メーカーの営業施策、販売戦略ならびに外注施策による影響を受け易く、結果、日本色材工業研究所グループの業績が著しく変化する可能性があります。
また、特定顧客化粧品メーカーからの受注依存度が高くなると、その顧客化粧品メーカーの販売施策の影響を強く受ける可能性があります。
③ 製造および品質保証について
日本色材工業研究所グループでは、大規模な地震の発生等災害・事故発生時の生産・研究開発の中断による損失を最小化するため、生産拠点、情報システムおよび本社を事業継続の重要拠点と位置づけ、事業継続計画(BCP)の構築を行っております。しかしながら、想定を超える災害・事故の発生により、製造・研究開発の中断が生じた場合には、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本色材工業研究所グループが提供する製品には、想定外の欠陥等が生じるリスクがあり、またリコールが発生する可能性もあります。日本色材工業研究所グループは、最適な品質を確保できるよう、全力を挙げて取り組んでおりますが、大規模な製造物責任賠償やリコールにつながるようなケースで、このコストが保険によってカバーできない場合、多額の支払いが生じるとともに、日本色材工業研究所グループの製品の信頼性や評判に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外での事業活動
日本色材工業研究所グループの主たる生産・販売・研究開発拠点はいずれも国内でありますが、欧州や北米、ならびにマーケットの急速な拡大が期待されるアジアにおける事業展開を強化しており、今後一層の拡大を目指しております。これらの海外での事業活動におきましては、予期し得ない経済的・政治的な政情不安、労働問題、テロ・戦争の勃発、感染症の流行による社会的混乱等のリスクが潜在するため、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有能な人材の確保
日本色材工業研究所グループは製造受託(OEM)でありかつ研究開発受託(ODM)メーカーでありますが、将来に向けた持続的成長のためには、(ⅰ)研究開発部門の有能な人材の確保と育成(ⅱ)生産部門における労働力の確保と熟練に向けた育成が欠かせないものと考えております。そのため、貢献度を反映した評価制度や有能な人材の積極的な採用と育成を心がけております。しかしながら、人材の確保と育成の状況や重要な人材の流出が日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 戦略的投資活動
日本色材工業研究所グループは、国内においてはつくば工場の拡張による生産能力の増強、海外においてはフランスのテプニエ社ならびに日本色材フランス社を中心とした海外展開に対し、戦略的投資を行っております。
戦略的投資活動の意思決定に際しては、必要な情報収集および検討を実施しておりますが、予期し得ない環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 研究開発活動
研究開発は、日本色材工業研究所グループの競争力の源泉のひとつであり継続的に研究開発投資を行っております。年度計画に則り効率的・効果的な研究開発活動を行っておりますが、特定の製品の開発が長期にわたる場合等、成果が翌期以降に及ぶことがあります。また、予定通りの成果が得られない場合、期間の延長や中断、投資額の増加を余儀なくされる場合や、結果として製品化できない場合もあります。さらに、製品化できた場合でも、様々な不確定要因が重なり、必ずしもお客様にご採用頂けるとは限りません。
このように当初意図した成果が得られない場合には、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 金利水準および為替相場の変動について
当連結会計年度末における日本色材工業研究所グループの借入金等有利子負債残高は9,514百万円であり、金利情勢、その他金融市場の変動が財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。また、日本色材工業研究所グループの外貨建の売上、費用、資産、負債等の項目は、連結財務諸表および財務諸表作成のために邦貨換算しており、換算時の為替相場により現地通貨ベースの価値に変動がなくても邦貨換算後の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 物価等の上昇について
世界的な物価上昇や円安等の経済要因や、需給逼迫、自然災害、地政学上の問題、何らかの理由によるサプライヤーの供給減少、等に起因する、原材料や光熱費、各種経費等の価格高騰・物価上昇が、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。足元では、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、緊迫する中東情勢の影響による、エネルギー価格や世界的な物価上昇が、日本色材工業研究所の業績に影響を及ぼしております。
⑩ 繰延税金資産について
日本色材工業研究所グループは会計基準に従い、回収可能性の認められる繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果はかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。
日本色材工業研究所グループが、繰延税金資産の全部または一部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 法的規制について
日本色材工業研究所グループの属する医薬品および化粧品業界は、医薬品医療機器等法等ならびに最終販売先が海外である場合には現地の規制等により法的規制を受けています。そのため、それらの改正や適用基準の変更によっては、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 知的財産権保護の限界
日本色材工業研究所グループでは蓄積した技術を特許等の知的財産権として権利化を進めておりますが、特許出願は出願から少なくとも1年半は公開されないため、既に他社が出願を行った技術に対して開発投資をしている可能性があります。また、第三者による予測を超えた手段等により日本色材工業研究所の知的財産権が侵害され、結果として技術の不正流用や模倣品の開発により、日本色材工業研究所グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性や、日本色材工業研究所グループの認識の範囲外で、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。
⑬ 大規模災害および感染症の流行等
日本色材工業研究所グループの主たる生産拠点は、神奈川座間市に所在する座間工場ならびに茨城県つくば市所在のつくば工場であります。そのため、特に関東地方および関東以北において大規模な震災、水害等が生じた場合、長期にわたり製品供給が困難になる可能性があります。また、社会的に影響の大きな感染症の拡大が発生し、顧客化粧品メーカーの施策に変化が生じた場合や、外出制限、工場操業を含む事業活動の制限/自粛等、事業活動に何等かの制限が生じた場合、日本色材工業研究所グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような新たな感染症の流行が発生した場合には、感染拡大防止ガイドライン等に則った衛生管理や感染予防対策の実施等により、日本色材工業研究所事業活動が制約を受けたり受注水準に大きな影響を及ぼしたりする恐れがあります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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