当グループは日本農薬株式会社(日本農薬)及び関係会社26社で構成されており、その内訳は親会社1社、連結子会社15社、非連結子会社4社、関連会社6社(持分法適用関連会社3社)です。
事業としては、農薬の製造・販売を主として行っており、この他にも医薬品の製造、関係会社による造園緑化工事、不動産の賃貸、農薬の生産・物流業務等の請負、建物の付帯設備の営繕、作物・環境中の残留農薬の分析等を行っています。
日本農薬グループの事業内容と日本農薬及び関係会社の当該事業に係わる位置づけは次のとおりです。
なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。
・殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤、農薬原体、その他
日本農薬が製造し、全国に跨る特約店網、JA、全農及び農薬メーカー等を通じて販売しています。連結子会社のNichino America, Inc.、Nichino India Pvt. Ltd.、Sipcam Nichino Brasil S.A.、Nichino Europe Co., Ltd.、持分法適用関連会社のSipcam Europe S.p.A.、Agricultural Chemicals(Malaysia)Sdn. Bhd.、関連会社の第一農薬㈱は、それぞれ米国、インド、ブラジル、欧州、マレーシア、沖縄で製造、販売しています。連結子会社の日佳農葯股份有限公司、Nichino Vietnam Co., Ltd.、Nichino Mexico S. de R.L. de C.V.、非連結子会社のNihon Nohyaku Andica S.A.S.は、台湾、東南アジア、中米で販売しています。また、関連会社の㈱アグロ信州は、日本農薬品の販売先です。連結子会社の㈱ニチノー緑化は、ゴルフ場向け農薬及び家庭園芸用薬剤を販売しています。連結子会社の㈱ニチノーサービスに農薬の生産業務を委託しています。連結子会社のNichino do Brasil Agroquimicos Ltda.は、ブラジルにおける農薬の開発及び登録業務を委託しています。
・親会社の㈱ADEKAより原料を購入しています。
・木材薬品
連結子会社の㈱アグリマートから特約店等を通じて販売しています。
・医薬品等
外用抗真菌剤、動物用医薬品、飼料添加物等を主として日本農薬が製造し、医薬品メーカー等を通じて販売しています。
・連結子会社の㈱ニチノー緑化は、緑化・造園その他の建設工事の請負、設計、施工、監理を行っています。
・連結子会社の㈱ニチノーサービスは、不動産の賃貸を行っています。
・連結子会社の㈱ニチノーサービスは、農薬の受注、保管、配送の請負等を行っています。
・連結子会社の日本エコテック㈱は、作物、食品、ゴルフ場の排水、河川等に含まれる農薬残留の分析を行っています。
上記の事業の系統図は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、日本農薬グループが判断したものであります。
日本農薬グループは、基本理念に基づき「食とくらしのグローバルイノベーター」をビジョンに掲げ、世界中の人々の安全で安定的な食の確保とくらしを守ることを使命とし、新たな価値の創造により持続可能な社会の実現に貢献していきます。
事業活動と社会活動の両立を推進することで、新たな価値の創造による安全性の高い、環境に配慮した優れた化学農薬や非化学農薬を創出し、安全で安定的な食の確保に貢献するとともに、これまで培われた技術を、人々のくらしを豊かにする新製品の創出へと価値を創造し、人類と地球が共生できる社会の実現を目指します。
日本農薬グループは、サステナビリティ経営を推進し、新たな価値の創造を持続的に可能とする企業グループを目指し、業績の向上に努め、公正で活力のある事業活動を通じて社会的責任を果たし、社会に貢献することを目指します。
日本農薬グループの中核事業である農薬事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足の深刻化、耕作放棄や転用などによる農地面積の減少、政府による農業資材費低減方針などを背景に、農薬市場は漸減傾向が継続するものと考えられます。また、創薬難度の高まりと農薬登録要件の増加により、新規薬剤開発コストが増大し、開発期間も長期化しております。さらに、各国の農薬登録制度における要件の厳格化、ジェネリック農薬との価格競争、ロシアのウクライナ侵攻に伴う電力高騰や鉱物資源の供給不足による原材料費や委託製造費の高騰、異常気象による農作物への影響など日本農薬グループを取り巻く事業環境は一層厳しさを増しております。
今後の見通しにつきましては、中東情勢の緊迫化やロシアのウクライナ侵攻の長期化、中国経済の減速など、地政学リスクの顕在化による世界経済への影響や気候変動による影響等、不安定で不透明な状況が続くと想定しております。日本農薬グループの中核事業である農薬事業は、食料安定供給を支える農業生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種に比し影響は限定的であると考えられますが、生産、調達などへの直接的な影響や農業を取り巻く環境変化による間接的な影響が想定されます。
このような事業環境下、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」を掲げ、日本農薬グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」の最終年度となる当連結会計年度において、最終年度の数値計画である売上高890億円、営業利益64億円を達成しました。さらに、前年度に続き目標売上高1,000億円を達成することができました。さらには、ターゲット市場における重点剤の登録取得や開発推進、次世代事業の開発推進、スマート農業の海外展開拡大や外部事業者との提携、国内農薬販売の強化、業務改革・働き方改革の推進など、事業基盤の強化に一定の成果を上げることができました。また、株式会社ADEKAとの資本業務提携によるシナジーを早期に創出し発揮するべく活動を推進してきました。
2025年3月期から始まる新中期経営計画「Growing Global for Sustainability(GGS)」では、サステナビリティ経営の推進を成長戦略とし、社会全体と日本農薬グループの持続可能性の両立を実現することを目標に事業活動を推進します。具体的には、事業戦略の深化、環境経営の高度化、人的資本経営の推進に重点的に取り組みます。最終年度である2027年3月期には、営業利益108億円、売上高1,200億円の達成に加え、ROE8%以上を目標として資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。
[ビジョン]
「Global Innovator for Crop & Life 食とくらしのグローバルイノベーター」
・カーボンニュートラルの実現
・環境調和型製品・技術の継続的な創出
・サステナブルな社会の実現に貢献
[中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)]
呼称 「Growing Global for Sustainability(GGS)」
数値計画
(注) 本資料に記載されている計画値および業績見通し等の将来に関する記述は、日本農薬が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
基本方針・基本戦略
日本農薬は、日本農薬グループの社会における存在意義について改めて検証し、日本農薬グループ理念体系を改定するとともに、基本理念とバリュー、ビジョンについて見直しを行いました。新たにビジョンを「Global Innovator for Crop & Life 食とくらしのグローバルイノベーター」と設定し、中期経営計画では、サステナビリティ経営の推進を成長戦略として、社会全体と日本農薬グループの持続可能性の両立を実現することを目標として事業活動と社会活動を推進します。
具体的には、以下に掲げる施策を着実に推進します。
・重点品目・新規事業の拡大
ベンズピリモキサン、ピリフルキナゾン、ピラフルフェンエチル、フルベンジアミド、トルフェンピラドを主要重点品目と定め、エリア戦略に基づき拡販に努めます。また、生物農薬や作物保護資材の収益拡大、選択と集中、リソースの最大活用を図ります。
・原価低減
原体製造の内製化を進め原価低減を図ります。
・エリア戦略に基づいた市場拡大
市場規模拡大が期待できるアジア太平洋、中南米を中心に拡販します。さらに今後成長が期待できる中東・アフリカ市場については事業基盤の整備を進めます。また、高単価かつ世界中で栽培されるSpecialty Crop(果樹・野菜)を中心に主要重点品目の登録、拡販を進めます。
・化学合成
パイプライン化合物(医・動物薬含む)の研究開発を加速します。また、研究開発リソースの選択と集中、グローバル開発・マーケティング戦略の強化、精緻化を進めます。
・バイオリソース活用
生物農薬や作物保護資材のポートフォリオ拡大を進めます。また、バイオベース原料を用いた有用化合物の製造に取り組みます。
・デジタル技術の活用
AI診断ビジネスの収益を拡大します。また、デジタル技術の活用により業務効率化、合理化を実現します。
・新たなビジネスモデルの取り込み・創出
外部価値の取り込みも含め、新規事業の育成、創出に積極的に取り組みます。
・資本収益性の向上
資本コストを意識した経営に取り組みます。指標としてROE8%以上を目指します。
・キャッシュフローの改善
主に在庫削減による改善を図ります。
・固定費適正化(生産性向上)
管理経費や人件費など効率的な業務遂行により生産性を高め適正化を図ります。また、研究開発リソースの選択と集中や厳格な投資判断により適正化に努めます。
・気候変動対応
継続的な施策により2030年GHG排出量23%削減(2020年対比)を目指します。
・生物多様性への配慮
継続的なイノベーションにより「環境調和型製品*」のポートフォリオ拡大に努めます。
*人畜安全性や環境安全性が相対的に高い日本農薬製品
・人的資本経営の推進
従業員のWell‐Beingをテーマとし、人財開発の推進、健康経営、職場の環境整備に取り組みます。
・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進
日本農薬グループの成長には、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進が必須であるという考えのもと、採用、育成・研修、人財活用、健康経営、職場環境について各指標を定め取り組みます。
・コンプライアンス・リスクマネジメントの強化
日本農薬グループの強靭化を推進するため、BCPをブラッシュアップします。また、重要法令にかかわる教育と管理の徹底、品質保証体制や情報セキュリティの強化を図ります。
・グループ各社に対する監査の強化
内部監査の強化などによりグループガバナンスを強化します。
配当方針
累進配当を基本とし、中長期的には配当性向40%水準を目指します。
日本農薬グループは、サステナビリティ経営の推進を成長戦略とし、継続的なイノベーションの創出を通じて事業戦略をさらに深化します。同時に、カーボンニュートラルの実現に向けた環境経営の高度化、人的資本経営の推進による企業価値の向上に取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献します。
日本農薬は、グループ全体のリスク管理の基本方針とその管理体制を「リスクマネジメント規定」において定め、部門を統括する常勤取締役及び執行役員から構成されるリスクマネジメント委員会を設置し、リスクの把握、リスクの顕在化予防、顕在化したリスクの影響を最小限に留めるリスク発生対処等を行なっています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本農薬グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。
1 経済状況等
日本農薬グループは国内のみならず海外にも輸出し、また販売拠点を有しており、輸出、販売している殆どが農薬製品、農薬用原体であります。このため国内外の政治・経済情勢および農業情勢、市場動向、天候、病害虫の発生状況、公的規制などによって、直接的、間接的な影響を受けます。
2 原材料の調達について
日本農薬グループの事業で用いる農薬原体、原料、副原料等の一部については、コストダウンを推進した結果、特定の地域や購入先に集中する傾向にあり、年間購入総額における中国依存度は高い水準にあります。日本農薬グループでは原材料の調達先の複数化を進めることによりリスクを低減するよう取り組んでいますが、相手国での法規制の強化や購入先の操業事故等により調達に制約を受けた場合は日本農薬グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3 原材料の価格変動について
日本農薬グループの事業で用いる農薬原料、副原料等の購入価格は、国内、国外の市況、為替相場の変動および原油、ナフサ価格動向などの影響を受けます。業績に及ぼす影響は、購入価格の引下げ、販売価格への転嫁、為替リスクヘッジなどにより極力回避していますが、予期せぬ事態の場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
4 為替の変動について
日本農薬グループの事業には、農薬原体を含む原材料の輸入、製品の輸出とインド、ブラジル、米国などにおける生産、販売が含まれており、外貨建てとしては米ドル、インドルピー、ブラジルレアルが主なものであります。これらの外貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のため円換算されていますが、換算時の為替レートにより元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円換算後の価格が影響を受ける可能性があります。
5 新製品の開発
新製品の開発には、多大な技術的、財務的、人的資源と長い時間を要します。この間の市場環境の変化、技術水準の進捗、規制動向の変化などにより開発の成否、将来の成長と収益性に影響を受ける可能性があります。
6 災害・事故について
日本農薬グループでは安全で安定的な食の確保と豊かな緑と環境を守ることを使命として、国際標準に基づく品質、環境管理システムにて操業、運営しています。しかしながら、大規模地震や台風などの自然災害による生産設備への被害、工場における事故などのトラブルにより工場停止、原料などの供給不足、品質異常などの不測の事態が発生する可能性があります。これらのリスク回避として、厳格な原材料の受け入れ検査、製品の品質チェック、定期的な設備点検などを実施していますが、自然災害、事故などによる影響を完全に排除する保証はなく、日本農薬グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
7 法的規制
日本農薬グループの事業は、国内外での販売、輸出において農薬取締法、通商関連法、独占禁止法、製造物責任法等様々な法規制、政府規制を受けています。日本農薬グループでは、コンプライアンス委員会活動を通じてコンプライアンス強化に努め、適切に対応すべく取り組んでいますが、今後、法的規制を遵守できなかった場合や、規制の強化によっては日本農薬グループの社会的評価や業績に影響を及ぼす恐れがあります。特に近年、農薬に関する法規制が世界的に強化されており、農薬原体等の新規登録の遅延、中止、既存登録の抹消の処分を受けた場合、日本農薬グループの事業展開に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
8 企業買収・事業投資について
日本農薬グループは、戦略的施策の一環として、グローバルベースで企業買収・事業投資を実施しています。実施に際しては、対象企業や事業について詳細なデューデリジェンスを行い、リスク回避に努めていますが、将来の不確実な経済条件及び経営環境の変化により期待する成果が得られないと判断された場合には、関係会社株式の評価損やのれんの減損損失が発生し、日本農薬グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
9 訴訟に関わるリスクについて
日本農薬グループは、国内及び海外事業に関連して、取引先や第三者との間で、訴訟その他法定手続きが発生するリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合、日本農薬グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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