ブリヂストングループは、ブリヂストン、子会社232社(うち連結子会社232社)、及び関連会社等124社(うち持分法適用会社124社)により構成されており、「日本」「アジア・大洋州・インド・中国」「米州」「欧州・中近東・アフリカ」の報告セグメント及びその他のセグメント区分で以下の事業を行っております。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に記載のとおりであります。
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セグメントの名称 |
主要な事業 |
主要会社 |
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日本 |
プレミアムタイヤ事業 ソリューション事業 化工品・多角化事業[スポーツ、サイクル] |
[統括・製造・販売] |
ブリヂストン |
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[タイヤ販売統括] |
ブリヂストンタイヤソリューションジャパン㈱ |
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[タイヤ販売] |
ブリヂストンリテールジャパン㈱ |
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Bridgestone Mining Solutions Latin America S.A. |
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Bridgestone Mining Solutions Australia Pty. Ltd. |
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[化工品販売] |
ブリヂストン化工品ジャパン㈱ |
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[ゴルフ用品製造・販売] |
ブリヂストンスポーツ㈱ |
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[自転車等製造・販売] |
ブリヂストンサイクル㈱ |
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アジア・ 大洋州・ インド・ 中国 |
プレミアムタイヤ事業 ソリューション事業 |
[統括・販売] |
Bridgestone Asia Pacific Pte. Ltd. |
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普利司通(中国)投資有限公司 |
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[タイヤ製造・販売] |
普利司通(無錫)輪胎有限公司 |
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Bridgestone India Private Ltd. |
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Thai Bridgestone Co., Ltd. |
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Bridgestone Tire Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. |
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PT Bridgestone Tire Indonesia |
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[タイヤ販売] |
Bridgestone Australia Ltd. |
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米州 |
プレミアムタイヤ事業 ソリューション事業 多角化事業[空気バネ] |
[統括] |
Bridgestone Americas, Inc. |
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[タイヤ製造・販売] |
Bridgestone Americas Tire Operations, LLC |
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Bridgestone Bandag, LLC |
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Bridgestone Canada Inc. |
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Bridgestone de Mexico, S.A. DE C.V. |
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Bridgestone do Brasil Industria e Comercio LTDA. |
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Bridgestone Argentina S.A.I.C. |
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[タイヤ販売] |
Bridgestone Retail Operations, LLC |
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[タイヤ原材料製造・販売] |
Firestone Polymers, LLC |
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[空気バネ製造・販売] |
Firestone Industrial Products Company, LLC |
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欧州・ 中近東・ アフリカ |
プレミアムタイヤ事業 ソリューション事業 |
[統括・販売] |
Bridgestone Europe NV/SA |
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[タイヤ製造・販売] |
Bridgestone Poznan Sp. z o.o. |
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Bridgestone Stargard Sp. z o.o. |
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Bridgestone Hispania Manufacturing, S.L.U. |
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Bridgestone South Africa (Pty) Ltd. |
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[タイヤ販売] |
First Stop Ayme SAS |
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Bridgestone Middle East & Africa FZE |
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その他 |
その他の事業 |
[ファイナンスほか] |
ブリヂストンファイナンス㈱ |
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Bridgestone Treasury Singapore Pte. Ltd. |
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(注)1 プレミアムタイヤ事業は主に乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、スペシャリティ系タイヤ(鉱山・建設車両用、農業車両用、モーターサイクル用)事業を行っております。
2 ソリューション事業は小売サービス事業、生産財系BtoBソリューション(トラック・バス系、鉱山、航空)事業を行っております。
3 化工品事業は主に油圧・高機能ホース、ゴムクローラ、樹脂配管、免震ゴム事業を行っております。
ブリヂストングループの事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面において、変化が複合的・加速度的に起こり続けています。さらに、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティに取り組むことの重要性も、より一層高まり、EV化、デジタル化の加速など、モビリティ業界におけるCASE(ケース)、MaaS(マース)の動きへも繋がっています。このような事業環境において、新興EVメーカーが急成長を遂げるなどモビリティ業界の構造変化が進むと共に、タイヤに求められる価値も大きく変化し続けています。ブリヂストングループは、変化が常態化し、予測困難な時代を生き抜き、ビジョンに掲げる「サステナブルなソリューションカンパニー」として社会価値・顧客価値を持続的に提供し続けるため、2022年に発表した「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」をブリヂストン創立100周年となる2031年へ向けた道筋として、常態化する変化に動じず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるということを意味するレジリアントな“エクセレント”ブリヂストンを目指し、変革を加速しております。
2023年に最終年を迎えた中期事業計画(2021-2023)においては、事業環境の変化に対応できる強いブリヂストンへ戻すことを目指して歩を進めてまいりました。コア事業であるプレミアムタイヤ事業においては、乗用車用高インチタイヤや鉱山車両用タイヤなどのプレミアムタイヤとリトレッドの生産強化投資を実行すると共に、プレミアム領域へのフォーカスをより一層徹底するなど今後の成長へ向けた布石を打ちました。一方で、成長事業と位置付けたソリューション事業では、プレミアムタイヤ事業との連動を深めることで成長を図りましたが、成長性・収益性の観点から欧米の乗用車用タイヤ向けソリューションの一部中止を決定するなど、今後の成長へ向けては課題が残る結果となりました。このような中期事業計画(2021-2023)の結果を踏まえて、2024年は、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを迅速に回し、継続的改善及び、経営・業務品質の向上を徹底してまいります。
2024年を初年度とする中期事業計画(2024-2026 : 2026年度 売上収益4兆8,000億円レベル、調整後営業利益6,400億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE11%レベル)においては、中期事業計画(2021-2023)から継続して以下の3つの軸に沿って、経営を進めてまいります。その1つ目は、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、2つ目は、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、3つ目は2030年をマイルストンとした「将来への布石を打つ」であります。また、経営・業務品質の向上を徹底させ、ブリヂストングループのあらゆる業務において、生産性の向上や、質の高い業務を遂行することを常に目指すという意味のオペレーショナルエクセレンスをブリヂストンのバリューチェーン全体において追求してまいります。そのために、経営スタンスとして「Passion for Excellence(パッション フォー エクセレンス)(常に生産性、質の高い業務を追求することへの情熱を持つこと)」を設定し、グローバルで取り組みを進めております。さらに、価値創造へよりフォーカスするため、中期事業計画(2024-2026)のビジネス基本シナリオとして、4つの項目を掲げております。1つ目は、「良いビジネス体質を創る」、2つ目は「良いタイヤを創る」、3つ目は「良いビジネスを創る」、4つ目は「良い種まきをし、新たなビジネスを創る」です。
2024年の最優先課題は、「良いビジネス体質を創る」であり、経営・業務品質の向上を徹底することにより、本来2023年で完了を目指していた、変化に対応できる強いブリヂストンに戻ることを実現してまいります。グローバルでより現物現場で基本に忠実にPDCAを回し、ブリヂストンのDNAである継続的改善とイノベーションを組み合わせ、オペレーショナルエクセレンスを追求してまいります。これを可能とするために、2024年1月1日より、より進化させた「グローカル体制」を構築しております。ブリヂストングループのビジネスを、主に米欧を中心とするBridgestone West(ブリヂストン ウェスト)、日本・アジアを中心とするBridgestone East(ブリヂストン イースト)の2つのリージョンとして区分し、さらにその下に地域、市場、ビジネスの特性に合わせて細かく47エリアを設定し、現物現場で価値創造へフォーカスする体制といたしました。プレミアムタイヤ事業においては、収益性の低い地域である欧州事業を中心に不採算ビジネスの削減や小売事業の再編、再構築など、よりプレミアム領域にフォーカスするためのビジネス再編・再構築を実行し、稼ぐ力を強化することで、今後の成長につなげてまいります。
また、2024年に変化に対応できる強いブリヂストンに戻した後、基本ビジネスシナリオに沿って、2025年から2026年に着実に成長を実現するため、成長へ向けた基盤を構築してまいります。その中核は、「良いタイヤを創る」と「良いビジネスを創る」です。
「良いタイヤを創る」では、ブリヂストンが独自に創造する「新たなプレミアム」として位置付けた商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」技術を搭載した断トツ商品を、EVを含めた新車装着用タイヤから市販用タイヤへ拡大すると共に、生産・開発をシンプル化し、コストを最適化するモノづくり基盤技術BCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture(ブリヂストン コモナリティ モジュラリティ アーキテクチャ))の導入を推進し、価値創造を加速させてまいります。断トツ商品の拡大においては、その価値を認めて頂くことにより価格ポジションを向上させると共に、鉱山車両用タイヤの断トツ商品である「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」や、乗用車用及びトラック・バス用プレミアムタイヤの販売拡大・シェアアップも継続強化してまいります。
「良いビジネスを創る」では、お客様が断トツ商品を使っていただく段階において、断トツ商品の価値を増幅させることを目指し、小売拠点の拡大や質の強化など、販売・サービスチャネルを進化させてまいります。特に、日本・米国において、現物現場でお客様一人ひとりに寄り添い、困りごとを解決した上で、高品質なサービス・ソリューションを提供するリアルと、Eコマースを含めたデジタルを活用したサービスを強化する計画です。加えて、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動をコアとして新たなコーポレートブランディングへ着手いたします。その活動を通じ、モータースポーツ文化の発展を支え続けると共に、「Passion to Turn the World(パッション トゥ ターン ザ ワールド)(世界を変えていく情熱)」というメッセージを中心に、レースに掛ける情熱、「自ら極限へ挑戦」する姿を示していくことで、多くのステークホルダーの皆様に共感を頂きながら、サステナブルなプレミアムブランドを構築し、企業価値の向上を目指してまいります。
最後に、4つ目の「良い種まきをし、新たなビジネスを創る」では、2027年以降の次期中期事業計画期間も含め、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で設定した実現したい姿への布石を打ってまいります。まずは、生産財(鉱山車両用、航空機用、トラック・バス用タイヤ)ソリューションにおいて、断トツ商品・現物現場におけるサービスなどの強いリアルと、デジタルを駆使した独自のアルゴリズムの構築により、タイヤの摩耗予測を耐久予測ソリューションへ進化させることに着手をいたします。鉱山車両用、航空機用タイヤソリューションにおいては、お客様との共創を推進し、価値創造を進めております。また、トラック・バス用タイヤにおいては、米国を中心にプレミアムタイヤとリトレッド、メンテナンス、車両運行モニタリングを一括したパッケージとして、お客様にご提供する「Fleetcare(フリートケア)」プログラムの拡大を推進してまいります。これらの事業は、モビリティテック事業として、構築を進めてまいります。
さらに、化工品・多角化事業においては、ブリヂストングループの強みが活きる領域にフォーカスし、油圧ホース事業などを強化し、探索事業ではリサイクル事業、ソフトロボティクス事業、グアユール事業を技術開発から事業化へ向けた取り組みを推進してまいります。
経営の中核であるサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化(脱炭素化)、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を推進する取り組みとビジネスを連動するブリヂストングループ独自のサステナビリティビジネスモデルを進化させてまいります。
特に、環境面は、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を設定し、その実現に向けた取り組みを進めております。カーボンニュートラル化へ向けては、2030年にCO2の総量(Scope1、2)(注)を2011年対比50%削減、2050年にカーボンニュートラル化という明確なターゲットを掲げており、2023年は30%削減の目標を上回る約50%の削減を見込んでおります。このCO2排出量削減に向けたグローバル各工場における再生可能エネルギー(電力)比率についても、2023年は50%の目標を上回る約60%を見込んでおり、2030年目標の100%達成に向けて取り組みを進めてまいります。バリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)(注)については、2030年までに、商品・サービス・ソリューションのライフサイクルを通じて、Scope1、2における排出量の5倍以上のCO2削減に貢献(基準年:2020年)することを目標とし、活動を進めてまいります。サーキュラーエコノミーの実現に向けては、2030年までに再生資源・再生可能資源比率を40%に向上、2050年までにサステナブルマテリアル化を目標としており、2023年は再生資源・再生可能資源比率の目標37%の達成を見込んでおります。引き続きENLITEN(エンライトン)、リトレッドを含む商品戦略を進化させると共に、リサイクル事業、天然ゴム事業、グアユール事業などを通じた再生可能資源の活用を強化してまいります。さらに、中期事業計画(2024-2026)期間全体においては、森林破壊防止や小規模農家支援など、ネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みをより一層強化してまいります。これらのサステナビリティに関する取り組みについては、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動の推進を通じて、原材料調達からリサイクルまで、モータースポーツタイヤのバリューチェーン全体で、サステナブル化をいち早く進めることで、経営全体もアジャイルでサステナブルな経営に進化することを目指してまいります。
また、事業環境が常に変化していく中、変化に動じないためにグローバル経営リスク管理を強化してまいります。各地域事業のトップマネジメントで構成されるグローバル経営リスクコミッティにおいて、経営リスクについて幅広い議論を実施し、3つの重点アイテムを設定しております。重点アイテムごとにプロジェクトチームを設置し、それぞれのアイテムについてリスクの洗い出しと対策を推進してまいります。1つ目は、地政学リスクであります。リスク発生時のビジネス影響の分析とその最小化に向けた対策の検討、実行体制を整備し、従業員の安全確保、資産保護、顧客対応、企業・ブランドイメージの保護、原材料の代替ソーシング検討及び確保などの対応を進めてまいります。2つ目は、TRWP(Tire Road Wear Particle(タイヤ ロード ウェア パーティクル))、6PPD(タイヤ業界で一般的に使用される老化防止剤)についての対応であります。TRWPは、タイヤが安心安全な移動を支えるために必要な路面と摩擦することによって発生する粉塵で、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物です。ブリヂストングループは業界のリーダーとして、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)傘下のタイヤ産業プロジェクトや、各地域業界団体での取り組みをリードし、他の業界関係者や学術機関などとも連携しながら、タイヤのライフサイクルにおける環境への影響についての調査を推進してまいります。その他、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、継続的なアプローチを進めてまいります。6PPDについては、業界全体として取り組み、代替品の評価を進めております。3つ目は、サイバー攻撃への対応であります。ブリヂストングループでは2022年第1四半期に米国子会社においてサイバー攻撃が発生し、各地域においても緊急対策を実施、グローバルでセキュリティー対応チームを立ち上げ、抜本的な対策を進めております。2023年には、グローバルアセスメントを実施し、サイバー攻撃に対応するブリヂストングループのグローバル標準の設定を進めております。
これら全ての企業活動の基盤となる人財については、生産性・創造性の向上を基本として、「人財投資を強化し、付加価値をあげ、価値創造の好循環を生む」ことを目指しております。その取り組みを表す指標として「人的創造性」をグローバル経営指標として2023年から試行いたしました。厳しい事業環境下においても、人財投資を拡大し、日本においては、リスキリングやデジタル研修、現場での挑戦を後押しする現場100日チャレンジ、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック・プログラム、生産現場の環境改善を実行するなど、多様な人財が輝く場、働きやすい職場づくりを進めております。2024年からは、人的創造性を正式なグローバル経営指標へ加え、より一層の取り組み強化を計画しております。また、人的創造性向上に関連した活動を連動し、企業文化の進化も推進してまいります。
ブリヂストングループは、「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」を未来からの信任を得ながら経営を進める軸及びベクトルとして、サステナビリティとビジネスの成長を両立し、社会・パートナー・お客様といった様々なステークホルダーと共に価値を創出することで、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
(注) Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)、Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等を指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。ブリヂストングループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、当該リスク発生の回避、及び発生した場合の対応に努めております。
ただし、記載された事項以外にも予見することが困難なリスクが存在し、ブリヂストングループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中に含まれる将来に関する記載は、有価証券報告書提出日(2024年3月26日)現在で判断したものであります。
(リスクの管理・評価プロセス)
ブリヂストングループでは、毎年各地域及びグループ全体で直面する可能性のあるリスクを影響度と発生可能性の観点から評価及び特定し、そのリスクに対してグループ全体だけではなく、事業・SBU・部門単位での責任者を明確にし、自律的且つ継続的にリスク管理を行うとともに、経営上重大なリスクに関しては、Global CEOの直接の指揮の下で対応する体制をとっております。
(1) 事業を取り巻く経済環境、及び需要動向に関するリスク
ブリヂストングループは、開発・調達・生産・流通・販売などの事業活動をグローバルに展開しており、ブリヂストングループの業績及び財政状態は、事業活動を行っているそれぞれの国や地域における金利、為替、株式相場の変動などの経済環境や需要動向の変化により、さまざまな形で影響を受けております。当連結会計年度のブリヂストングループの地域ごとの売上収益比率は、米州が51%、欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカが22%、日本が14%、中国・アジア・大洋州が13%の構成となっており、これらの地域の経済環境が悪化した場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に特に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ブリヂストングループはロシア事業の譲渡を2023年12月に完了いたしました。
また、ブリヂストングループのビジネスは自動車産業と密接に関連していることから、ブリヂストングループの業績及び財政状態は、グローバルな自動車産業の景況による影響を受けております。自動車産業の動向以外にも、タイヤ市販用市場では各国の消費動向や自動車燃料価格の変動などによる影響を受けており、これらの要因によりタイヤ需要が減少する、あるいは予想している需要増加が減速する場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ブリヂストングループの鉱山・建設車両用大型・超大型ラジアルタイヤや油圧ホース等一部の商品につきましては、資源産業及び土木・建築産業の景況による影響を受けており、これらの要因により需要が減少する、あるいは予想している需要増加が減速する場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、ブリヂストングループは、日本、欧州、北米などさまざまな地域で冬用タイヤを販売しておりますが、これらの地域における降雪が少なく需要が減少する場合には、ブリヂストングループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
(2) 法律・規制・訴訟に関するリスク
ブリヂストングループは、事業活動を行っている各国において、投資、貿易、為替管理、移転価格を含む税制、独占禁止、環境保護、個人情報保護など、関連する法律や規制の適用を受けております。ブリヂストングループの事業活動に影響を及ぼすものとして、例えば、国内外においてタイヤ性能に関する表示制度・規制や化学物質規制などが制定・導入されております。したがって、将来においても、新たな法律や規制により、事業活動の制約やコストの上昇などブリヂストングループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
これらの他、ブリヂストングループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があります。重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業活動中断のリスク
・災害、戦争・テロ・暴動、社会的・政治的混乱など
ブリヂストングループは、開発・調達・生産・流通・販売などの事業活動をグローバルに展開しており、さまざまな国や地域における大規模な地震や風水害などの自然災害や、戦争・テロ・暴動、ボイコット、感染症、エネルギー供給障害、交通機能障害を含む社会的・政治的混乱などのリスクにさらされております。さらに、国内外における政治的・経済的条件の急激且つ大幅な変動などの要因により、ブリヂストングループの事業活動の継続に支障をきたす可能性があり、その結果、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ブリヂストングループの事業活動の中核として重要な拠点が多数所在している日本における地震災害リスクに対しては、ブリヂストングループは耐震診断の結果に基づき優先順位をつけて耐震補強工事を計画的に進めております。さらに、地震災害が発生した場合の迅速な初期対応の推進及び業務を早期に復旧継続させることを目的としたBCPを策定し、その運用を振り返ることで内容を継続的に改善しております。また、新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの未知なる病原体が引き起こす感染症の拡大に対しても、従業員・家族・関係者の生命と安全の確保を最優先しながら事業損失の最小化を図るためのBCPを策定し、その運用を通じて内容を拡充しております。しかしながら、実際に発生した場合には、操業の中断・縮小、施設等の損害、多額の復旧費用などにより、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ブリヂストングループの特定商品や特定原材料を集中的に生産している拠点で事業活動の継続に支障をきたすような事態が生じた場合は、供給義務を果たせないことによる顧客からの信頼の喪失や賠償責任の追及につながる可能性もあり、その場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報システム障害
ブリヂストングループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、セキュリティの高度化などシステムやデータの保護に努めておりますが、それにもかかわらず、災害やサイバー攻撃など外的要因や人為的要因などにより情報システムに障害が生じた場合、重要な業務やサービスの停止、機密情報・データや個人情報の盗取や漏洩などのインシデントを引き起こし、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。その結果、ブリヂストングループのブランドイメージや社会的信用の低下、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ストライキ
ブリヂストングループは、円滑な労使関係の構築に努めておりますが、労使間の交渉が不調に終わり、長期間に及ぶストライキなどが発生した場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があり、その結果、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 気候変動及び自然資本損失に関するリスク
ブリヂストングループは気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に認識し、事業戦略への反映を進めております。主なリスクとしては、脱炭素社会や自然と共生する社会への転換に伴う「移行リスク」並びに気候変動及び自然資本損失による「物理的リスク」を認識しております。反面、これらの社会や顧客のニーズ変化を新たな成長機会とも捉えております。リスクとその対応の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動及び自然資本損失に関する取組み」に記載しております。
(5) 企業イメージに関するリスク
ブリヂストングループは、事業活動を通じて企業イメージ・ブランドイメージの維持向上に努める一方、法令遵守や企業倫理に基づく事業活動、及び火災や労働災害などの企業災害の防止・対策活動に努めておりますが、それにもかかわらず、社会的な信用を失墜させるような企業不祥事や企業災害が発生した場合には、顧客からの信頼喪失や株価の下落を招き、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 為替変動に関するリスク
ブリヂストングループは、開発・調達・生産・流通・販売などの事業活動をグローバルに展開しており、原材料の調達や販売活動などにおいて、多種の通貨による取引を行っております。外貨建営業債権債務に対しては為替予約取引など、また、外貨建貸付金及び借入金に対しては通貨スワップ取引などを行うことにより、短期的な為替相場の変動影響を最小限にする努力をしておりますが、世界各地で国際間取引を行っていることから、為替相場の変動は、ブリヂストングループの業績に影響を及ぼすことになります。また、海外での売上収益、費用、資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動による影響を受けることになります。一般に、他国通貨に対する円高はブリヂストングループの業績に悪影響を及ぼし、円安はブリヂストングループの業績に好影響をもたらします。
(7) 競争激化に関するリスク
ブリヂストングループは、それぞれの市場で多数の企業と競合しており、販売価格競争を含む厳しい競争環境の中で事業を推進しております。また、原材料価格・エネルギー費・労務費の上昇等によって原価・経費面でマイナス影響を受けることがあります。このような事業環境に対し、ブリヂストングループは、生産性の向上や経費マネジメントの改善、顧客や市場への新しい商品価値の提案などによる内部努力を継続しておりますが、それらの努力で利益低下を吸収できない場合には、ブリヂストングループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ブリヂストングループは、製造業者として技術力を核とした戦略を重視しており、新技術を搭載した製品の市場投入を積極的に進めております。これらの技術開発のための投資や費用は、最終的に高い商品価値を顧客に認めていただくために投入しているものですが、競合他社との激しい競争において、事業として十分な成果に結びつけることができない場合は、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 製品の欠陥に関するリスク
ブリヂストングループは、製造業者として販売する製品の品質に万全を期すことに努めております。特に、タイヤなど人命にかかわる商品を主に扱っているという認識に立ち、製品品質の確保、市場情報の収集や品質に関する早期警報システムの構築など、品質保証体制の充実に努めておりますが、予測できない原因により製品に欠陥が生じた場合や、顧客の安全・安心を最優先に確保するという観点から大規模なリコールなどを実施する可能性は皆無ではありません。そのような事態が発生した場合には、回収費用、社会的な信用の毀損、顧客への補償や訴訟費用・賠償費用などにより、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の製造物責任訴訟や集団訴訟は、より重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 原材料調達に関するリスク
ブリヂストングループは、タイヤなどゴム製品の原材料として天然ゴムを使用しておりますが、天然ゴムの主要生産地である東南アジア諸国における災害、戦争・テロ・暴動、社会的・政治的混乱、ストライキ、あるいは収穫不良などにより、天然ゴムの安定供給に支障が生じた場合、ブリヂストングループの生産に必要な量を確保することが困難になり、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、天然ゴム以外の主要原材料調達においても、原料需給の逼迫や供給能力の制約により、ブリヂストングループの生産に必要な量を確保することが困難になる場合、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、ブリヂストングループは、いくつかの主要原材料の調達について、グループ内の原材料生産拠点、又は一部のグループ外供給元に依存しております。このため、特定の原材料供給元の操業が停止するなどにより、必要な原材料の調達ができない状況が発生した場合は、当該原材料に依存しているブリヂストン又はグループ会社の生産に著しい悪影響を及ぼし、その結果、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、需給の逼迫や投機目的の売買などにより、ブリヂストングループが調達している原材料の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できない場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 退職給付費用及び債務に関するリスク
ブリヂストングループの退職給付費用及び債務は、数理計算上の割引率などの前提条件に基づいて算出しております。しかしながら、年金資産等の制度資産の公正価値、金利の変動等により、これらの前提条件に大きな変動があった場合、あるいは前提条件の変更が必要になった場合には、退職給付費用や債務が増加し、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産侵害に関するリスク
ブリヂストングループでは、知的財産を企業の競争力を高めるための重要な経営資源と位置づけ、第三者の知的財産権に対する侵害の予防、及び保有している多数の知的財産権の保護に努めております。それにもかかわらず、ブリヂストングループの認識又は見解との相違から、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、ブリヂストングループとして製造販売中止、あるいは損害賠償などが必要になった場合には、ブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者による知的財産権侵害をブリヂストングループが主張したにもかかわらず、侵害があったと認められない場合には、ブリヂストングループの製品差別化や競争優位性が確保されず、結果としてブリヂストングループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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