住友ゴム工業の企業集団は、住友ゴム工業と子会社87社(以下「住友ゴム工業グループ」という。)及び関連会社10社並びにその他の関係会社1社(住友電気工業㈱)で構成され、タイヤ事業、スポーツ事業及び産業品他事業のほか、各事業に付帯・関連するサービス等の事業を国内及び海外で展開しております。
各事業における各社の位置づけの概要は次のとおりであります。
なお、以下の3事業は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
事業 |
主要製品 |
区分 |
国内 |
海外 |
タイヤ |
タイヤ・チューブ (自動車用、建設車両用、産業車両用、レース・ラリー用、モーターサイクル用等)
オートモーティブ事業 (パンク応急修理剤、空気圧警報装置等) |
製造 |
住友ゴム工業 ㈱ダンロップリトレッドサービス |
PT Sumi Rubber Indonesia Sumitomo Rubber (Thailand) Co., Ltd. Sumitomo Rubber do Brasil Ltda. Sumitomo Rubber South Africa (Pty) Limited Sumitomo Rubber AKO Lastik Sanayi ve Ticaret A.Ş. Sumitomo Rubber USA, LLC 住友橡膠(常熟)有限公司 住友橡膠(湖南)有限公司 |
販売 |
住友ゴム工業 ㈱ダンロップタイヤ |
住友橡膠(中国)有限公司 Falken Tyre Europe GmbH Sumitomo Rubber North America, Inc. Sumitomo Rubber Middle East FZE Sumitomo Rubber Australia Pty Ltd. Micheldever Group Ltd. |
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他23社 |
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その他 |
中田エンヂニアリング㈱ SRIロジスティクス㈱ |
Sumirubber Thai Eastern Corporation Co., Ltd. SRI USA, Inc. Sumitomo Rubber Europe GmbH |
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(計60社) |
他9社 |
他7社 |
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スポーツ |
スポーツ用品 (ゴルフクラブ、ゴルフボール、その他ゴルフ用品、テニス用品等)
ゴルフトーナメント運営
ゴルフスクール・ テニススクール運営 |
製造 |
住友ゴム工業 ㈱ダンロップゴルフクラブ |
Roger Cleveland Golf Company, Inc. Dunlop Srixon Sports Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. |
他2社 |
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販売 |
㈱ダンロップスポーツマーケティング |
Srixon Sports Europe Ltd. Dunlop Sports Korea Co., Ltd. Cleveland Golf Canada Corp. |
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他9社 |
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その他 |
㈱ダンロップスポーツエンタープライズ |
Dunlop International 1902 Limited |
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(計29社) |
他1社 |
他8社 |
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産業品他 |
高機能ゴム事業 (制振ダンパー、OA機器用ゴム、医療用ゴム等)
生活用品事業 (炊事・作業用手袋、車椅子用スロープ等)
インフラ事業 (防舷材、工場用・スポーツ施設用各種床材等) |
製造 |
住友ゴム工業 |
中山住膠精密橡膠有限公司 Sumirubber Vietnam, Ltd. Sumirubber Malaysia Sdn. Bhd. |
他2社 |
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販売 |
住友ゴム工業 ㈱住ゴム産業 ㈱ダンロップホームプロダクツ |
香港住膠有限公司 |
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その他 |
- |
- |
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(計8社) |
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その他 |
その他の関係会社 |
住友電気工業㈱ |
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(計1社) |
(注)1.事業ごとの会社数には住友ゴム工業を含めておりません。
2.2024年1月1日よりダンロップタイヤ北海道㈱ほか国内タイヤ販売子会社10社および住友ゴム工業㈱タイヤ国
内リプレイス営業本部の一部機能を組織再編により㈱ダンロップタイヤに統合しております。
3.当連結会計年度にLonstroff AG(以下、LAG)及びLAGの100%子会社であるLonstroff Medical Elastomer
d.o.o.(以下、LSI)の支配を喪失することになりました。なお、LAGの株式の譲渡は、2024年1月31日に完了
しており、本株式譲渡により、LSIも住友ゴム工業の子会社ではなくなりました。
4.Sumitomo Rubber USA, LLC(以下、SRUSA)における生産活動をすべて終了し、その後必要な準備を行ったの
ちに同社を解散することを2024年11月7日開催の取締役会にて決議しております。
5.㈱ダンロップスポーツウェルネスにおいては、事業構造改革の一環として、全株式を㈱ナガセに譲渡する
内容の株式譲渡契約を締結することについて、2024年9月27日開催の取締役会にて決議、株式譲渡契約を締結
して2024年12月上旬に譲渡を完了しております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
(注)1.2024年1月1日よりダンロップタイヤ北海道㈱ほか国内タイヤ販売子会社10社および住友ゴム工業㈱タイヤ国
内リプレイス営業本部の一部機能を組織再編により㈱ダンロップタイヤに統合しております。
2.当連結会計年度にLonstroff AG(以下、LAG)及びLAGの100%子会社であるLonstroff Medical Elastomer
d.o.o.(以下、LSI)の支配を喪失することになりました。なお、LAGの株式の譲渡は、2024年1月31日に完了
しており、本株式譲渡により、LSIも住友ゴム工業の子会社ではなくなりました。
3.Sumitomo Rubber USA, LLC(以下、SRUSA)における生産活動をすべて終了し、その後必要な準備を行ったの
ちに同社を解散することを2024年11月7日開催の取締役会にて決議しております。
4.㈱ダンロップスポーツウェルネスにおいては、事業構造改革の一環として、全株式を㈱ナガセに譲渡する
内容の株式譲渡契約を締結することについて、2024年9月27日開催の取締役会にて決議、株式譲渡契約を締結
して2024年12月上旬に譲渡を完了しております。
住友ゴム工業グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において住友ゴム工業グループが判断したものであります。
(1)経営方針及び経営戦略等
住友ゴム工業グループでは、これまで受け継がれてきた「住友事業精神」を基盤に、2020年に「Our Philosophy」を制定し、グループ全社員が意思決定や行動の起点とするよう継続的に教育、浸透を図っております。
今後も、「Our Philosophy」を基盤として、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に取り組んでまいります。
企業理念体系「Our Philosophy Purpose」
2023年にスタートいたしました中期計画については、ターニングポイントとする2025年までに、既存事業の選択と集中、成長事業の基盤づくりを推進するとともに足元の業績回復にも注力し、中期計画財務目標の前倒し達成を図るべく、グループを挙げて取り組んでおります。
2023年は、中期計画の着実な実行に加え、足元の業績改善とキャッシュ創出に注力した結果、経営指標の良化につなげることができました。また、構造改革においても、2事業の目途付けを行うことができました。
今後も引き続き構造改革に着実に取り組むとともに、成長事業の基盤づくりとして、将来の成長への投資も追求してまいります。
中期計画の骨子
2023年は中期計画で設定しておりました2027年目標に向けて、足元の業績改善として外部環境の追い風を取り込むとともに、値上げや構成改善、経費やコスト抑制に全社で注力した結果、利益向上につなげることができました。また、キャッシュ創出では、利益増に加え、2020年から取り組む全社での在庫圧縮、債権短縮などの効果や投資抑制により改善が進みました。その結果、中期計画の財務目標として掲げた経営指標につきまして、いずれも当初計画からは大幅良化につなげることができました。
引き続き、更なる改善を目指し中期計画を推進することで、2027年目標の前倒し達成を目指してまいります。
中期計画の財務数値目標と2023年実績
また、住友ゴム工業グループは、「ESG経営の推進」として、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」という「Our Philosophy」の「Purpose(存在意義)」そのものである、気候変動や生物多様性、人権の尊重をはじめとする社会課題解決に積極的に取り組んでおります。
ESG経営を推進するにあたり、ESG担当役員を委員長、各部門担当役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を年2回開催し、全社方針の徹底、重要課題の進捗確認等を実施しております。同委員会における経営層によるモニタリングやレビューを通じてサステナビリティの取組みを継続して強化し、持続的成長を支える強固な経営基盤を構築することで持続可能な社会の実現への貢献を目指してまいります。
[Environment(環境)]
住友ゴム工業の環境に対する取組みについては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般」に記載のとおりであります。
[Social(社会)]
「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」という「Our Philosophy」の「Vision」のもと、多様な属性や価値観を持つ一人ひとりが尊重され、働きがいを持つことができる風土作りを進めております。なお、詳細については「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」に記載のとおりであります。
[Governance(ガバナンス)]
住友ゴム工業のコーポレート・ガバナンス体制の概要は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。「Our Philosophy」を全ての企業活動の基盤とし、業務の執行状況について取締役会や監査役会で適宜監督を行うことで、変化の大きい社会情勢やグローバルな事業拡大等に適切に対応できる体制としております。
従来から実施していた取締役会の実効性評価は継続して実施しております。2023年も実効性向上に向けた種々の施策に取り組んだ結果、取締役会に付議される事案の数や内容の適切性、事務局のサポート体制等については高評価でしたが、取締役会構成の多様性確保、一部のテーマで議論が不足している等の課題も見えてきました。引き続き、取締役会の実効性を高め、更なる企業価値向上につなげてまいります。
2023年3月度の取締役会からは、社外取締役が取締役会議長を務めております。新たな視点に基づく問題提起や議事運営が行われており、取締役会における議論の活性化、実効性の向上にもつながっております。
また、社外取締役が委員長を務め、委員の過半数を社外役員とする指名・報酬委員会では、中長期的な視点で住友ゴム工業の取締役会運営に必要なスキルを落とし込んだスキルマトリックスを活用し、企業価値向上につながる役員体制や報酬設計について議論を行っております。今後も、取締役が中期計画達成に向けてグループ全体をさらに主導できる体制づくりを進めてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき主な課題
今後の経営環境につきましては、世界的な金融引き締めや物価上昇、地政学的緊張などの様々なリスクはありますが、全体として緩やかな回復が期待されます。
このような情勢のもと、住友ゴム工業グループは、引き続き中期計画を着実に推進することで、「Our Philosophy」の具現化を図りつつ、企業の経済的価値・社会的価値向上を目指し、次のような課題に取り組んでまいります。
(タイヤ事業)
住友ゴム工業のタイヤ技術コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマート・タイヤ・コンセプト)」を進化させた商品・サービスを順次市場に投入していくことで、将来のCASEの時代やサステナブルな社会に貢献してまいります。
中でも、アクティブトレッド技術やセンシングコアといった住友ゴム工業独自の技術で差別化を図りながら対応してまいります。
まず、アクティブトレッド技術は、様々な外部環境にシンクロし、性質がスイッチする住友ゴム工業独自のゴム技術で、2024年秋には、当該技術の一部を搭載したオールシーズンタイヤの新商品を発売予定です。住友ゴム工業では、従来のオールシーズンタイヤから性能向上したこの新商品を、主に関東以西の準降雪・非降雪地域において、天候に左右されずにより安心してご活用いただけるよう、販売に注力してまいります。また、将来的にはEV用タイヤなどにも搭載するべく、アクティブトレッド技術の更なる技術開発に取り組んでまいります。
車輪の回転速度からタイヤ周りの状態・状況を検知するセンシングコアは、将来のモビリティ社会に貢献できる住友ゴム工業独自の技術と考えており、本年から事業化を一部開始します。
また、従来からセンシングコアの事業化の一環として、米国ベンチャー企業である「Viaduct社」と提携し、車両故障予知の実証実験を開始しておりましたが、今般、同社に出資し、提携関係を強化しました。これにより、「Viaduct社」のAIを活用したタイヤ以外の自動車部品の車両故障予知ソリューションサービスと、住友ゴム工業のセンシングコアによるタイヤの状態把握を組み合わせた、車両全体の故障予知ソリューションサービスとして推進してまいります。
また、2024年1月に、タイヤ事業本部を新設しました。調達、技術、生産、物流、販売までタイヤ事業の組織運営を一体化することで、事業効率を向上させ損益改善につなげていくため運営、組織体制を見直したものです。
タイヤ事業本部では、すでに構築している開発・製造・販売・需給のグローバル体制を活用し一元的に管理することで、全体最適でのオペレーションをより追求してまいります。具体的には、タイヤサイズ数の削減、原材料費最適化、生産・物流最適化など、あらゆる面で効率化を図ってまいります。
販売面でも、各地域の販売動向や顧客ニーズを見極めたうえで優先度を決定し、スピード感をもって新技術・新商品を市場投入してまいります。本年は、北米において、市場で好評を得ているワイルドピークシリーズの新商品を発売し順調に販売をスタートしております。その他の地域におきましても、それぞれの地域特性、顧客ニーズに合致した商品ラインナップで拡販を図ってまいります。
(スポーツ事業)
スポーツ事業では、ゴルフおよびテニスの需要は総じて堅調に推移し、ウェルネス事業でも持ち直しの傾向が見られました。今後もスポーツ関連用品やサービスを通じて、お客様に感動と「ヨロコビ」を提供し続けてまいります。
ゴルフ用品では、世界最大市場である北米においてマーケティングおよび営業体制を強化するとともに、日米2拠点での開発体制により、市場ニーズに応じた他社と差別化した魅力のある商品を投入することで、一層の拡販と新たな価値創出につなげてまいります。
テニス用品では、全豪オープンのオフィシャルパートナー契約やATPツアーとのグローバルパートナーシップ契約の継続、世界有数のアカデミーとの協業等での若手育成およびトッププロ選手との契約強化といった「ダンロップ」ブランドの価値向上施策を基盤に、ボールやラケットのシェアアップを図ります。
ウェルネス事業では、アフターコロナで市場が緩やかに回復する中、不採算店舗の整理や運営の効率化を図りながら、サービス品質、顧客満足度の向上に一層努めてまいります。
(産業品他事業)
制振事業では、国内新築戸建住宅用制振ダンパーでシェアNo.1の技術をさらに進化させ、自動倉庫分野などへ事業領域を拡大し、引き続き地震に強いまちづくりに取り組むとともに、「令和6年能登半島地震」からの復興にも貢献してまいります。医療用ゴム製品事業では、住友ゴム工業独自の高付加価値ゴム製品で医薬品市場において事業を拡大することで、人々がより安心して、安全・快適に生活できる社会づくりに貢献してまいります。
今後も全ての商材において時代のニーズに適応する付加価値の高い商品を開発・提供することにより、更なる成長を目指してまいります。
住友ゴム工業グループの事業活動に重大な影響を及ぼす恐れのある経営リスクについては、「リスク管理規定」に基づき、それぞれの担当部署及び各子会社において事前にリスク分析、対応策を検討し、経営会議等で審議しております。リスク分析・対応策の検討にあたっては、必要に応じて顧問弁護士等の専門家に助言・指導を求めております。経営リスクのうち、組織横断的リスクについては、住友ゴム工業管理部門の各部が、それぞれの所管業務に応じ関連部署と連携しながら、全社的対応を行っております。
また、「リスク管理規定」に基づき社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しており、年2回開催する同委員会にて住友ゴム工業グループのリスク管理活動を統括し、リスク管理体制が有効に機能しているか適宜調査・確認しております。
住友ゴム工業グループにとって重大なリスクが顕在化し、又は顕在化が予想される場合には、「危機管理規定」に基づき、社長が危機管理本部を設置します。
このようなリスク管理体制のもと、グローバルに展開する住友ゴム工業の事業活動も考慮のうえ、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを次のとおり記載しております。ただし、住友ゴム工業グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において住友ゴム工業グループが判断したものであります。住友ゴム工業グループは、これらのリスクを認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
(政治経済情勢・需要変動・法律・規制等に係るリスク)
住友ゴム工業グループは、タイヤ事業、スポーツ事業及び産業品他事業を展開しております。各分野や各地域に特有の需要変動や、環境対応など顧客ニーズの変化、また、各国の政治情勢の影響を受けることがあります。海外における戦争、テロ、暴動、ストライキ等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、有事の際には現地拠点の安全確認、現地情報の社内展開を行っております。さらに、アジア・大洋州、欧州・アフリカ、米州の各地域を統括する組織を設置し、必要に応じて弁護士やコンサルタント等の専門家と契約するなどして現地特有の法規制、商習慣、リスク等を踏まえ現地拠点の経営について協議する等、リスク管理の面からも各地域における関係会社の支援を行っております。
また、住友ゴム工業グループは、連結売上収益に占める、国内外の自動車用タイヤの割合が大きく、自動車産業の景況が悪化した場合、自動車用タイヤの需要減少や大口顧客との取引減少など、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
技術開発・研究面でも、製品開発の遅延等により顧客への新製品納入遅れが生じた場合、販売減少、信用・評判の失墜、競争力低下など、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、住友ゴム工業グループが運営する事業分野において革新技術が出現し、市場で普及した場合、住友ゴム工業製品の需要が減少するなど、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほか、各市場において、輸入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更や移転価格税制等により税金コストが増加するリスクなど各市場における法律・規制変更が住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(投資回収に係るリスク)
住友ゴム工業グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資及び事業の買収等の投資を行い、更なる企業価値の向上に努めております。
投資実行にあたっては、事業計画の策定、将来価値の測定について十分な検討を行っておりますが、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離や、割引率、移転価格税制等の重要な仮定の変動によって、想定した回収可能価額が見込めない場合は減損損失が発生するなど、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、住友ゴム工業グループ会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、住友ゴム工業が保有する関係会社株式や住友ゴム工業グループ会社への貸付金の評価に影響を及ぼすなど、住友ゴム工業の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末における、住友ゴム工業が買収により取得した主要な連結子会社は、Sumitomo Rubber South Africa (Pty) Limited、㈱ダンロップスポーツウェルネス、Lonstroff AG ※、Sumitomo Rubber USA, LLC.及びMicheldever Group Ltd.となります。
※翌連結会計年度にLonstroff AG(LAG)及びLAGの100%子会社であるLonstroff Medical Elastomer d.o.o.(LSI)の支配を喪失することになりました。なお、LAGの株式の譲渡は、2024年1月31日に完了しており、本株式譲渡により、LSIも住友ゴム工業の子会社ではなくなります。
(製品の品質管理に係るリスク)
住友ゴム工業グループは、所定の品質基準に基づき、製品の品質確保に万全の対策を講じておりますが、製品の欠陥やクレームが発生する可能性があります。
住友ゴム工業グループは、欠陥が発生した場合又は裁判等により欠陥が認定された場合に備え、欠陥に起因する損害賠償等の諸費用に対する損害保険を付保しておりますが、保険で補償されない費用が発生する可能性があります。また、クレームに対する処理費並びに製品の回収・交換による費用が発生する可能性があります。これらの事態が発生した場合、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
住友ゴム工業グループでは、品質保証本部を中心に品質保証体制の強化や過去の不適切事案を教材としたケーススタディ研修、部門間・拠点間のコミュニケーション向上やグループガバナンスの強化につながる諸施策を継続的に進めております。引き続き、Our Philosophyに掲げる「信用と確実」の遵守を徹底し企業風土改革を推進するとともに、Bad News First/Fastも徹底していくことで、不適切な事案が再発しない体制づくりを進めてまいります。
(コンプライアンスに係るリスク)
住友ゴム工業グループは、グローバルに事業を遂行するにあたり、国内外の各種法令の適用を受けております。これらの法令に違反する行為、企業倫理に反する行為などにより、法令に基づく処罰、訴訟の提起及び信用・評判の失墜など、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
住友ゴム工業グループでは、「住友の事業精神」をベースに制定した「Our Philosophy」に基づき、コンプライアンスを基盤とした事業運営が実践できるよう取り組んでおります。組織としては、社長を委員長とする「企業倫理委員会」を設置し、年4回の委員会開催を通じ住友ゴム工業グループのコンプライアンス体制の強化を図っております。併せて、企業倫理ヘルプライン(相談窓口)として、社長直轄の「コンプライアンス相談室」を設置し、住友ゴム工業グループ内で問題が発見された場合には、相談者が不利益を被らないよう十分配慮したうえで、事実関係の調査を進める体制を整えております。また、必要に応じて顧問弁護士の助言を得るなど、適法性にも留意しております。さらに、コンプライアンスに関するべからず集である「企業行動基準」を作成し、国内従業員に配布するほか、英語版や住友ゴム工業グループが所在する地域のその他の言語版も作成し、毎年10月の法令遵守・企業倫理月間において浸透活動を行うなど、グローバルでのコンプライアンス強化を図っています。
(気候変動によるリスク)
住友ゴム工業グループは、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に賛同し、気候変動に関するリスクと機会の分析を行い、事業戦略への影響を把握し、気候変動の緩和や適応につながる対策を検討しております。
気候変動による住友ゴム工業グループの事業に及ぼすリスクとして、世界各国における気候変動に対する規制や制度の変化に伴い、住友ゴム工業グループの製造拠点におけるエネルギー転換などの費用増加、気温上昇に伴う台風や洪水、降水量の増加などの自然災害の激甚化による生産設備への損害など事業活動へのさまざまな影響が考えられます。その他、主要な原材料である天然ゴムの収穫不良による価格高騰をはじめとした原材料調達への影響、降雪量の減少によるスタッドレスタイヤの需要減少なども考えられ、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
気候変動の緩和に貢献するため、住友ゴム工業グループは2050年までに自社事業のカーボンニュートラルの達成を目指すとともに、サプライチェーン全体のカーボンニュートラル実現に向けて、自社事業に伴う直接的なCO2排出および間接的なCO2排出を含む2030年の削減目標を設定しています。自社操業による燃料等の燃焼および電気の使用によるCO2排出(スコープ1および2)については2017年比55%の削減を目指します。また材料開発・調達(スコープ3 カテゴリ1)では、サステナブル原材料の活用およびサプライヤーエンゲージメントの強化などにより、2021年比25%の削減、そして物流(スコープ3 カテゴリ4)ではモーダルシフトの推進などにより、2021年比10%削減を目指します。また販売・使用(スコープ3 カテゴリ11)および回収・リサイクル(スコープ3 カテゴリ12)においてはCO2排出量の削減に貢献するために、タイヤの転がり抵抗低減、ロングライフ化、およびリトレッドタイヤの販売拡大などを進めます。
気候変動による機会の獲得に向けては、CASE/MaaSの進展による次世代タイヤの需要増加、環境負荷低減を考慮したタイヤや低燃費タイヤの需要拡大など、気候変動が進展した場合に見込まれる商品需要へ備えていきます。そのうえで、気候変動が住友ゴム工業グループの事業に与える影響について、財務的評価を継続的に行い、気候変動の緩和と適応に取り組みます。
詳細は、住友ゴム工業企業情報サイトの「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応」(https://www.srigroup.co.jp/sustainability/genki/ecology/04_5.html)をご覧ください。
(原材料等の調達に係るリスク)
住友ゴム工業グループの製品の主要原材料は、天然ゴム、石油化学製品及び金属材料です。従いまして、天然ゴム価格、原油価格、鋼材価格等の商品市況価格が上昇すると、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がありますが、価格転嫁交渉等により財政状態及び経営成績への影響を最小化するよう取り組んでおります。原材料については、サプライヤーの倒産、自然災害、戦争、テロ、ストライキ、交通機能の障害等により、必要量の調達が困難となる可能性があるため、複数購買先の確保、供給に問題が発生した場合に備えた事業継続計画(BCP)策定、代替が効かない重要部材は備蓄を行う、サプライヤーとの対話によるリスク抽出等の対策を講じ、財政状態及び経営成績への影響を最小限にとどめるよう取り組んでおります。
(為替変動によるリスク)
為替の変動は、住友ゴム工業グループが輸出販売する製品の価格、購入する原材料の価格及び外貨建資産・負債の価値、外貨建財務諸表の邦貨換算等に影響を与えますが、日本円が他の通貨に対して円高になると、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、住友ゴム工業グループは、連結売上収益に占める海外売上収益の割合が当連結会計年度で70.5%(国際会計基準(以下「IFRS」という。)での数値)となり、今後も住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績が為替変動により受ける影響は拡大する可能性があります。
このため、住友ゴム工業グループでは、為替予約や通貨ごとの輸出入のバランス化等により、為替変動によるリスクの軽減を図っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できるものではありません。
(災害時のリスク)
住友ゴム工業グループは、世界の広範な地域で事業を展開しており、それらの事業は自然災害、疾病、戦争、テロ等に直接又は間接の影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
住友ゴム工業グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった巨大地震、集中豪雨、大型台風等により被害を受けた経験を踏まえ、大規模自然災害が発生した際も重要業務を継続し、迅速な復旧を図るため、事業継続計画(BCP)の策定と、国内外の拠点で災害を想定しBCPに基づいて事業継続のために対応する実践訓練を行うなど、従来より対策を講じております。また、各事業所で地震、火災等を想定して防災避難訓練及び安否確認訓練を実施するなど、有事の際に被害を最小限に抑えるよう従業員の防災意識を高めるための活動を実施しております。
(産業事故等のリスク)
住友ゴム工業グループは、日本、アジア、欧州、米州等に製造拠点を有しており、各製造拠点において火災、爆発、有害物質の漏えい等の産業事故や環境汚染が発生し、工場の操業や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、社会的信用の失墜、被災者への補償、復旧費用、生産活動停止による機会損失、顧客に対する補償など、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
住友ゴム工業グループでは、産業事故を予防するため、点検と対策を計画的に進め、産業事故の発生防止対策を実施しております。また、定期的に海外製造拠点を含め防災監査を実施し、防災対策の点検と評価を行い、各拠点の防災活動強化を図っております。環境面でも環境汚染防止のための設備対策やモニタリングを実施するなど、環境に配慮した事業運営を実施しております。
また、重要設備の停止による生産活動への影響を最小限に抑えるために、日常的及び定期的な設備保全を行う一方、老朽化更新を計画的に進めております。
(情報の流出によるリスク)
住友ゴム工業グループは、事業活動を通じて、営業秘密、ノウハウ、データ等の機密情報のほか、顧客情報や従業員の個人情報も保有しております。コンピューターウイルス感染や不正アクセスなどサイバー攻撃のほか、パソコン、スマートフォン等の情報端末の紛失など、故意、過失を問わず情報漏えいし、社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、技術開発情報漏えいによる競争力低下等により、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。企業の情報管理の重要性が増している中、機密情報や個人情報等の秘密保持については、社内規定の整備と運用の徹底、情報機器へのセキュリティ対策などソフト面、ハード面での対策を実施し、リスクを最小化するよう取り組んでおります。
(金利の変動によるリスク)
住友ゴム工業グループは、有利子負債の削減を推進し財務体質の改善を図るとともに、資金調達手段の多様化や金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じておりますが、金利が中長期的に上昇した場合、資金調達コストが上昇し、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(保有有価証券の時価の下落によるリスク)
住友ゴム工業グループは、市場性のある株式を保有しております。このため全般的かつ大幅な株価下落が続いた場合、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付債務に係るリスク)
住友ゴム工業グループは、ポイント制の退職一時金、確定給付企業年金、確定拠出年金制度を導入しております。従業員の退職給付債務及び費用については、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、具体的には、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
企業年金基金の年金資産運用にあたっては、代議員会・理事会などを設けて重要事項の審議、決定執行が行われ、外部の運用コンサルタント会社の助言なども仰ぎながら、定期的に「資産運用管理委員会」を開催するなど適切に管理運用を行っております。
(知的財産に係るリスク)
住友ゴム工業グループは、特許権、商標権等の知的財産権の取得により自社の知的財産権保護を行っておりますが、他社からの知的財産権侵害等により競争優位性が損なわれるなど住友ゴム工業グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
住友ゴム工業が開発する製品及び技術については住友ゴム工業が保有する知的財産権による保護に努めているほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう細心の注意を払い、リスク管理を徹底しております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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