triplaは新たに、「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」をパーパスとして設定いたしました。収益及び利益を拡大しtriplaが成長していくことに加え、社会問題を解決するために宿泊施設の持続可能な成長、世界中の地域社会の発展を目指すことを社内外のステークホルダーに向けて明示するため、パーパスを設定いたしました。具体的には下記を推進、支援いたします。
a. 宿泊施設の利益を最大化し、施設改善や環境対策、ホスピタリティ向上のための投資をサポートすることで、地域社会の観光産業が持続可能な形で発展するよう推進します。
b. 宿泊施設が地域社会との連携を強化し、地方創生を支援する取り組みを推進します。
c. 宿泊施設が多様なニーズに対応し、インクルーシブで持続可能な観光体験を提供することを支援します。
なお、triplaグループの事業は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
triplaグループは、宿泊施設向けに、「tripla Book」を中心に、「tripla Bot」、「tripla Connect」等を提供しております。それぞれのサービスの概要は下記のとおりです。
「tripla Book」は、2019年7月のサービス提供の当初から宿泊施設向けのクラウド型の公式サイト予約システムとして、宿泊施設の公式サイトに、triplaグループで用意したJava Scriptを埋め込むことにより、宿泊施設の公式サイト上で予約が可能となるウィンドウが表示され、自社予約(注1)を実装できるサービスを提供しております。本サービスを展開している地域としては日本、台湾、韓国、東南アジア等となります。「tripla Book」の特徴は下記のとおりです。
「tripla Book」は、簡単に、予約に掛ける時間を可能な限り短くするよう機能的なデザインを考慮しております。ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトを訪問した場合でも、宿泊予約が完了するまでの時間が長く掛かる、直感的な画面操作ができない等となれば、ユーザー(宿泊客)が離脱しやすくなり、結果として、宿泊予約は減少します。そのため、離脱を防止し、自社予約を増加させるため、操作の簡単さ、予約完了に至るまでの時間を短くするような仕様としております。
料金体系としては、部屋数に応じた月額の基本料金と従量料金があり、従量料金は「tripla Book」を通じて宿泊した部屋数が閾値を超えた場合に発生いたします。閾値の設定は、原則として、宿泊施設が「tripla Book」を契約する前に利用していた他社予約エンジンによる過去1年間の月ごとの宿泊実績(部屋数)といたします。
ユーザー(宿泊客)が会員登録した場合、LINEやFacebookといったSNSを利用し、簡単にログインすることが可能です。
宿泊施設は自らが提供する独自のポイントプログラムを設けている場合があります。例えば、宿泊者が次回、同じ宿泊施設もしくは同じブランドの施設で宿泊する場合に、ポイントを利用することで値引を受けることができるような場合があります。triplaは「tripla Book」を株式会社DIGITALIOが提供するデジタルギフト(注3)のサービス「デジコ」とAPI(注4)連携し、宿泊施設の独自のポイントプログラムによって、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設を通して獲得したポイントを、利用した宿泊施設のみでなく、外部のAmazon、App Store & iTunes、Google Play等で使用できるような機能を提供しております。なお、ポイントプログラム自体は各宿泊施設独自のものであり、triplaが負担するポイントプログラムではありません。
宿泊施設の公式サイトに掲載する宿泊料金を、宿泊予約をする際に、OTA(注5)が提示する価格と比較し、自動的に値引する機能を備えております。自社予約を最も安い料金とすることで、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトから予約しようとするインセンティブとなります。
後述する「tripla Connect」との連携によって可能となります。
宿泊施設のプラン情報、部屋在庫の情報はPMS(注7)によって管理されていることが多く、PMSとOTA、予約エンジンを連携するため、多くの宿泊施設においては、チャネルマネージャーを導入しています。予約エンジンを拡販する上で、チャネルマネージャーとの連携は必須であり、triplaは2018年5月に「手間いらず」との連携を行い、その後、「TLリンカーン」、「ねっぱん」、「らく通with」との連携が2020年1月に完了したことにより、国内大手4社との連携が完了いたしました。なお、日本国内においては、チャネルマネージャーではなく、サイトコントローラーと言う名称が一般的です。
公式サイトにて、宿泊予約のみでなく、国内大手航空会社及びLCCの提供する航空券付き宿泊プランの販売が可能となります。ダイナミックパッケージ専用のプランを作成することなく、既存プランを航空券付きとすることができるため、宿泊施設側の工数が大きく増えることはありません。
2024年4月から、外国人宿泊客に対し、自国通貨で宿泊代金を表示することができ、また自国通貨によるクレジットカードでの決済が可能です。対応する通貨の種類はおよそ140程度となります。各宿泊客が自ら為替換算を考慮する必要がなく、宿泊予約中の離脱防止につながります。また、海外で発行されたクレジットカードで決済する際の決済時エラーによる機会損失を防止し、自社予約比率の向上、事前カード決済比率(注8、9)の向上が期待できます。
日本語以外で、英語、韓国語、中国語繁体字、中国語簡体字、タイ語、インドネシア語、アラビア語の7つの外国語に対応しております。ユーザーに合わせて表示する言語を切り替えることが可能です。また、外国語表示の場合に、事前決済(注8)必須に切り替える、日本語と外国語でのプランの売り分けといったことも可能です。
海外の様々なチャネルマネージャーとtripla Bookの連携を、コネクティビティハブを通すことによって簡易的に行うことが可能です。これにより、従来、日本、台湾、韓国に販売してきたtripla Bookを東南アジアを含む海外での販売が可能となります。また、tripla Bookを利用する各宿泊施設は、国を越えて様々な旅行代理店に自社の宿泊プランを販売できるようになります。また、同一の会員基盤を活用して国内外の宿泊客の集客が可能となります。
オンラインによる宿泊予約の方法としては従来より、OTAによる予約、宿泊施設による自らの公式サイト上での自社予約が存在しております。このうち、OTAは、OTAのウェブサイト上に各施設の情報を掲載することができるため、施設にとってはマーケティングに資するという反面、手数料率が高く、OTAによっては、氏名と電話番号以外のユーザー(宿泊客)の情報がOTAにのみ蓄積され施設に蓄積されないという課題があります。これに対し、「tripla Book」は、基本料金はあるものの手数料率はOTAより抑えるとともに、ユーザー(宿泊客)のデータを自社で取得し、活用することができます。なお、データの活用については、「tripla Connect」との連携により可能です。また、宿泊施設が自らの公式サイト上に自社予約の仕組みを開発するためには、開発に関する人材、ノウハウ、ユーザー(宿泊客)にとって使いやすいUX/UIとするための機能的なデザインをする等、多額の開発費用が必要となり、triplaの「tripla Book」であれば、Java Scriptの埋め込み等により実装することができ、多額の開発や多くの工数を必要としません。
(注) 1.自社予約:ユーザーが各宿泊施設のHPから宿泊予約をすることを言います。
2.UX/UI:UXはUser Experienceの略称です。サービスを通してユーザーが得られる体験を指します。UIはUser Interfaceの略称です。WebサイトでいうところのUIは、サイトの見た目や、使いやすさのことを指します。単にWebサイトの見た目ではなく、レイアウトや使用されている画像はもちろん、文字のフォント、メニューやボタンの操作性などユーザーが目にするもの・操作するものすべてが含まれています。
3.デジタルギフト:オンライン上でやり取りするギフトのことを言います。現物を届けるのではなく、SNSやメール等を通して、URLやコードの形でギフトを送り、送られた相手は店舗やネットショップ等で、ギフトが入手できます。
4.API:Application Programming Interfaceの略称です。ソフトウェア、プログラム、Webサービス等の間をつなぐインターフェースのことを言います。
5.OTA:Online Travel Agentの略称です。実店舗を持たずインターネット上のみで旅行商品の取引を行う旅行会社のことを言います。ポータルサイトを運営し、宿泊施設の情報をポータルサイトに掲載し、宿泊予約が可能となります。
6.チャネルマネージャー:OTAや予約システム等の複数の宿泊予約情報とPMSを連携することで、在庫、プラン、価格等をまとめて管理するシステムのことを言います。
7.PMS:Property Management Systemの略称です。宿泊施設が、部屋在庫、予約情報、請求情報等の情報を管理し、売上情報を連携する基幹システムのことを言います。
8.事前カード決済:決済は宿泊予約時にtripla Book上で事前に決済されるパターンと、宿泊時に宿泊施設で決済されるパターンがあり、前者を言います。
9.事前カード決済比率:宿泊予約時にtripla Book上で事前に決済された取扱高・GMV÷取扱高・GMV合計。
「tripla Book」の収益、各指標の推移は下記のとおりです。なお、提出会社のみの数値を記載しております。
年度別の各指標の推移(2022年10月期~2024年10月期)
四半期別の各指標の推移(2022年10月期~2024年10月期)
(注) 1.営業収益:損益計算書上に表示される営業収益の合計です。
2.固定収益:tripla Bookの基本料収入による月次定額の収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。
3.従量収益:tripla Bookの宿泊代金、決済代金によって生じる従量料金による収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。
4.導入施設数:tripla Bookを利用している施設数です。表内の数値は各期末の数値となります。
5.固定収益単価:固定収益を平均施設数で除した額です。平均施設数は前期末と当期末の平均値により算出しています。
6.取扱高・GMV:Gross Merchandise Valueの略称です。tripla Book経由での契約施設全体のチェックアウトベースでの宿泊代金総額です。表内の数値は各期間における合計数値となります。
「tripla Bot」は、宿泊施設等の公式サイト上にチャットボットを表示させ、ユーザー(宿泊客等)からの質問に対し、triplaで開発したAIが自動的に回答するサービスです。宿泊施設等は、自ら開発を行うことなく、triplaで用意したJava scriptを自社の公式サイトに埋め込むことにより実装することが可能です。従来、電話で受け付けていた質問をチャットボットで代用できるため、問い合わせ対応に掛けていた人的リソースを減少させ、より付加価値の高い業務にリソースを割くことができます。本サービスを展開している地域としては日本、台湾、韓国、東南アジアとなります。
「tripla Bot」の特徴は下記のとおりです。
自社開発のAI自然言語処理は、これまでに蓄積されたデータにより、95%以上のAI回答率(注1)となっております。また、顧客である宿泊施設からヒアリングし、FAQを登録することで回答精度を高めます。さらに、「tripla Bot」を導入後に、ユーザー(宿泊客)から問い合わせが来た場合にそれをAIに学習させることで継続的に回答精度が上がります。
AIが回答できないユーザー(宿泊客)からの問い合わせをチャットが受け付けた場合には、triplaの人力オペレーターが回答するハイブリッド方式を採用しております。但し、人力オペレーターが回答するかどうかは、顧客が契約しているプランによって異なります。プランの概要については、後述しております。
「tripla Bot」上で、ユーザー(宿泊客)が予約に必要な情報を入力することにより、宿泊予約をすることもできる等、宿泊施設に特化した機能があります。
tripla Bot上でやり取りするのみでなく、LINE、Facebook Messenger、slack、WhatsappといったSNS等の他サービスとWebhookで連携することにより、これらのSNS上でのチャットによるやり取りが可能です。また、「tripla Bot」で収集した情報をslackやメールに送信する、Google sheetsへ転記する等に利用できます。
日本語以外で、英語、韓国語、中国語繁体字、中国語簡体字、タイ語、インドネシア語、アラビア語の7つの外国語に対応しております。訪日外国人旅行客が増えており、それらのニーズに対応可能です。
AIのみが回答する「AI限定」プランと、「フルサービス」プランの2つのプランがあります。フルサービスについては、実際のリクエスト数(注3)に応じて金額が毎月変動いたします。基本料金が月額25,000円であり、リクエスト数が100件増加するごとに追加25,000円課金されます。AI限定プランについては、あらかじめリクエスト数を見積もり、利用実態を加味した上で料金を決定いたします。AIの回答精度の高まり、人件費の抑制等を考慮し、新規獲得については原則AI限定プランにより契約獲得しております。また、既存のフルサービスプランについても、AI限定プランへの移行を進めております。
OpenAI社の対話型AI「ChatGPT」との連携をしています。triplaが独自に蓄積してきた宿泊施設に対する過去の問い合わせデータ、会話データ等を認識した上で、必要な情報をチャットボット上で提供するにあたり、より人間的で自然な会話が可能となるとともに、回答精度と速度の向上に寄与いたします。
tripla Botを契約している宿泊施設は、後述するtripla Guideの利用が可能であり、館内案内の問い合わせにも、tripla Botでのチャットボットを利用可能です。
(注) 1.AI回答率:triplaのフルサービスプラン(人力オペレーターによる回答が可能なプラン)のうち、AIが回答を行ったリクエスト数を全リクエスト数で割った比率です。なお、回答率の数値は、2022年10月期のフルサービスの全体のリクエスト数に対し、AIによる回答を行ったリクエスト数の割合を示しています。AI回答率の計算において、フルサービスプランのみを集計している理由は、AI限定プランの場合はオペレーターにつながらず、すべてAIが回答するためです。
2.Webhook:Webアプリケーションによりイベントが実行された際、外部サービスにHTTP通信でデータを送信する仕組みです。
3.リクエスト数:契約施設全体のリクエスト数です。リクエスト数は、チャットにより問い合わせを受けた数の内、同一日における同一ユーザーによるものを除いた数値を言います。
tripla Botの収益、各指標の推移は下記のとおりです。なお、提出会社のみの数値を記載しております。
年度別の各指標の推移(2022年10月期~2024年10月期)
四半期別の各指標の推移(2022年10月期~2024年10月期)
(注) 1.導入施設数:tripla Botを利用している施設数です。表内の数値は各期末の数値となります。
tripla Connectは、宿泊施設向けに特化したCRM・MAツール(注1)です。宿泊施設は、複数の経路によりユーザーのデータを取得し、データをセグメントに分け分析・可視化し、セグメントごとにマーケティング施策を実施することで、自社予約の増加につなげます。本サービスを展開している地域としては日本、台湾となります。主たる特徴は下記のとおりです。
宿泊施設のPMSには、過去実際に宿泊した宿泊客の情報が保存されていますが、当該情報のみでなく、ユーザーが宿泊施設のウェブサイトに訪れたときに発行されるクッキー(注2)の情報、会員登録している場合には当該会員情報、tripla Book上での過去の予約情報等のデータも広く取り込むことが可能です。顧客の同意に基づき、取得・分析を行っております。
取得したデータを、セグメントに分類いたします。セグメントの例としては、下記が例ですが、下記以外にも、宿泊施設がカスタマイズしてセグメント分類を行うことが可能です。
c. AIを活用した最適プランのレコメンド
セグメントに分けたデータに最適な宿泊プランをtriplaAIがレコメンドを行い、下記のマーケティング施策をサポートいたします。
マーケティング施策としては、メールマガジンの配信、tripla Bot上で吹き出しを表示させる等の積極的なプロモーションが可能です。
1施設あたり月額15,000円に加え、メール送信数、SMS送信数に連動した料金体系となります。
(注) 1.CRM・MAツール:CRMはCustomer Relationship Managementの略称で、顧客管理のソフトウェアです。tripla Connectにおいては、宿泊施設によるユーザー(宿泊客)の予約情報を管理します。MAはMarketing Automationの略称で、マーケティング活動の自動化・効率化を実現するためのソフトウェアです。
2.クッキー:ユーザー(宿泊客)が特定のウェブサイトを訪れたときに、当該ウェブサイトから、ユーザー(宿泊客)のスマートフォンやパソコン内のブラウザーに保存される情報です。
tripla Linkは、チャネルマネージャーであり、OTA及び公式ウェブサイトの料金と空室在庫を一元管理し、PMS(Property Management System)へ予約を連携するサービスです。「Booking.com」や「Expedia」等の海外主要OTAに加え、「じゃらんnet」、「楽天トラベル」等の国内主要OTAの他、台湾の大手OTAである「Lion Travel」、「ez Travel」、インドネシアの大手OTA「Traveloka」等を含む東南アジアや東アジアで展開されているローカルOTAとも連携しております。宿泊施設はこれらのOTAへの情報掲載が可能となり、東南アジアや東アジアの宿泊客に向けた新たな販路の拡大が可能となり、インバウンド宿泊客の集客への増加につながります。料金体系は、対象施設が11部屋以上であれば、施設あたり月額7,000円、10部屋以下であれば部屋あたり月額700円となります。
本サービスを展開している地域としては日本、台湾、東南アジア等となります。triplaの連結子会社であるBookandLink社は、「Channel Ku」という名称でインドネシアでチャネルマネージャーのサービスを展開しております。また、同じくtriplaの連結子会社であるSurehigh社は「HOTEL NABE」という名称で台湾でチャネルマネージャーのサービスを展開しております。tripla Linkは、これらの会社が開発、販売していたサービスを日本向けにローカライズし、展開しているものです。
⑤ tripla Guide
tripla Guideは、宿泊客が宿泊施設の滞在中に、滞在時の館内案内やフロアガイド等の必要な情報を一元化して閲覧できる旅ナカ(注1)専用のサービスです。tripla Botを契約している宿泊施設が利用可能なサービスです。本サービスを展開している地域としては日本となります。宿泊施設側、宿泊客側に対して、それぞれ下記のメリットがあります。
a. 宿泊施設側のメリット
チェックイン時の案内や問い合わせ対応等の工数削減、ペーパーレス化による労力やコストの削減が可能となります。また、自動翻訳機能により、宿泊者は多言語で情報を取得できるため、外国人宿泊者に対するコミュニケーション課題の改善にも繋がります。他、ルームサービスの注文等の滞在中のサービス利用が簡単に行えるようになるとともに、顧客情報に合わせたクーポン提供、会員プログラムへの登録の促進等により、リピート率の増加や収益向上が期待できます。
b. 宿泊者側のメリット
宿泊者はQRコードを読み取ることで、滞在中に必要な情報を一覧で簡単に取得できます。チャットボットtripla Botを利用したコミュニケーションも可能となるため、滞在中にタイムリーなコミュニケーションを取ることも可能です。また、ルームサービスの注文等の滞在中のサービス利用が簡単に行えるようになり、滞在中に利用できるクーポンも取得できるため、より満足度の高い滞在が可能となります。
(注) 1.旅ナカ:旅行者が実際に旅行先を訪れている期間を言います。なお、旅行に行く前の下調べをしている期間を旅マエ、旅行から帰って来た間もない期間を旅アトと言います。
⑥ tripla Boost
tripla Boostは、tripla Bookを利用する宿泊施設向けに、公式ウェブサイトへの集客を支援する広告運用サービスです。従来、「tripla Agent」という名称でサービス展開していましたが、2023年11月にリブランディングの上、ローンチいたしました。Google Hotel Ads等のメタサーチ (注1)広告、Google広告、Yahoo!広告等のリスティング広告やディスプレイ広告、Facebook、LINE等のSNS広告出稿が可能となるサービスです。また、当該広告運用についてもtriplaが代行を行います。宿泊施設が宿泊客を獲得するにあたっての施策の設計から運用までをtriplaが担うことで、宿泊施設の人材不足やノウハウ不足を補い、取扱高(GMV)の増加、自社予約比率の向上を目的といたします。料金体系としては、実広告費として実際に利用した費用やtripla Boostを利用して獲得した宿泊代金に対して、triplaの利益分を加算した従量料金の料金体系となります。triplaの利益分としては、連携するメタサーチによって異なり、Google Hotel Ads有料枠だと、CPC(クリック課金)方式で広告費の20%、CPA(成果報酬型)方式で宿泊代金の12%となります。本サービスを展開している地域としては日本となります。
(注) 1.メタサーチ:複数の検索エンジンから選んだ検索結果を表示するシステムのことを言います。
⑦ tripla Page
宿泊施設向けに特化した、ノーコードで多言語の公式ホームページが制作できるサービスです。宿泊施設が自社公式ホームページ経由の予約を獲得し収益を最大化するためには、公式ホームページの利便性を高め離脱を防ぐ必要があります。しかし、ホームページ作成や運用に割くための時間や人材が不足しており、必要とわかっていながら手を付けられていない宿泊施設が多くあります。また、外注により高額な費用を負担しているケースもあります。これらの課題解決のために、ITの知識がなくとも、誰でも簡単に公式ホームページを作成し、運用できるサービスです。また、「tripla Book」や「tripla Bot」との連携で、クーポン訴求などのプロモーションも可能となり、予約コンバージョン率(CVR)の改善が見込めます。
本サービスを展開している地域としては日本、台湾となります。triplaの連結子会社であるSurehigh社は、triplaがM&Aで株式を取得する前から、台湾で同種サービスを展開しております。tripla Pageは、Surehigh社が開発、販売していたサービスを日本向けにローカライズし、展開しているものです。
⑧ tripla Analytics
tripla Analyticsは、triplaグループ及び各宿泊施設が持つPMS(Property Management System)のデータを活用し、各種の宿泊施設の帳票が分析できるBIサービス(注1)です。宿泊施設の中には、ユーザー(宿泊客)の分析、レベニューマネジメント(注2)を積極的に行っていない施設もあります。tripla Analyticsにより、tripla BookやOTA等のユーザー(宿泊客)のデータが、ダッシュボード(図やグラフ等の簡単な作成が可能)、レポート等により可視化され、分析を容易に行うことができます。当該分析に基づき、その時々に応じた最適な宿泊代金を設定し、各宿泊施設の収益の最大化を図るレベニューマネジメントが可能です。また、顧客である宿泊施設のレベニューマネジメントにより自社予約の収益を増加させることで、triplaグループのtripla Bookの収益の増加にも貢献いたします。
料金体系は、1施設あたり月額9,800円であり、2施設以上の契約の場合、施設ごとに月額7,000円が追加されます。本サービスを展開している地域としては日本となります。
(注) 1.BIサービス:Business Inteligenceサービスの略称。組織が持つ様々なデータを分析・見える化して、経営や業務に役立てるソフトウェアのことです。
2.レベニューマネジメント:需要と供給に応じて価格を変動させ、収益を最大化させるための販売管理を行うことです。
⑨ tripla Success
宿泊施設の人材不足に対応するため、宿泊施設がWeb上での集客を実施する際の業務をtriplaが代行するサービスです。triplaのスタッフが予約エンジン、チャネルマネージャー、OTA等導入、管理等の業務を担います。これにより宿泊施設の業務負荷を軽減し、triplaの他サービスの導入、運用するためのハードルが下げることで顧客獲得につなげ、機会損失を削減いたします。
業務の内容としては下記のようなものがありますが、例示であり、宿泊施設の要望を聞いた上で、柔軟に代行内容、料金を決定いたします。なお、本サービスは、triplaが展開する他サービスと異なり、システムの提供はなく、業務を代行するサービスとなります。
本サービスを展開している地域としては日本となります。
triplaの事業を事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてtriplaグループが判断したものであります。
triplaグループは、パーパスとして、「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」を掲げております。triplaグループは、宿泊施設に対し、「tripla Book」を基本とし、様々なサービスを提供しております。宿泊施設が、自社予約を増やすことで収益を増加させ、費用を削減し、生産性を高めるよう、宿泊業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える総合的なエコシステムを提供して参ります。
また、triplaグループのCore Value(行動指針)として、7つを掲げております。特に、「Market-In for Customer Satisfaction」については、顧客にとって必要なものを開発するという思想を徹底し、新しいサービス・プロダクトの開発を進めております。世界15ケ国から集まった多様性が高い企業文化、多言語でのコミュニケーションを行いながら、パーパスの達成を追求いたします。
Core Value(行動指針)
マーケットイン思考を徹底し、顧客満足を常に追い求めます。市場が真に望むものを私達は提供します。
自らの担当領域は当然に自らが責任を持ちつつ、会社全体のために当事者意識を持って行動します。
行動し、行動により結果を出します。求められる結果は何かを常に考え行動します。
常に革新と改善を続けます。環境は変わり続けます。現時点における最善が今後も最善であるとは考えません。
常に学び、自分自身を成長させ続けます。チームに良い影響を与えることを約束し、チームも成長させ続けます。
効率よく、より少ないリソースでより多くのことを実現するチームを作ります。
謙虚、尊敬、信頼をバランスよく持ち、他者と接し、強いチームを作ることに貢献します。
①市場環境について
triplaグループのホスピタリティソリューション事業と関連性がある宿泊業界においては、数年間に及び新型コロナウイルス感染症による事業環境の悪化に苦しんで参りましたが、訪日観光客を中心に観光需要の回復は鮮明となっており、レジャー目的を中心とした宿泊施設の需要回復は、今後も期待できるものと考えております。観光庁が公表している宿泊旅行統計調査によりますと、当連結会計年度における延べ宿泊者数(訪日外国人旅行者を含む)は、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の同月と比較し108%となり、その内訳として、日本人の宿泊者数は101%、訪日外国人の宿泊者数は136%となっております。
上記の宿泊者数の数値は、国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査」に基づいて記載しております。
②市場規模について
日本の宿泊市場の規模としては、およそ5兆円程度です(e-Stat 政府統計の総合窓口よりデータ抽出)。また、同じく世界の宿泊市場の規模としては、韓国1兆円、台湾8,000億円、インドネシア1兆円等です。なお、各数値は宿泊自体の市場規模であり、triplaグループが対象としているITサービスの市場規模とは異なります。
③競争優位性について
triplaグループが提供する「tripla Book」は類似サービスを提供する事業者が複数存在する業界であります。その中のtriplaグループの優位性としましては、拡張性の高さ、多機能であることにあると考えております。
(拡張性の高さ)
triplaグループの「tripla Book」はクラウド型で提供しており、機能を開発後、速やかにローンチすることが可能です。開発速度としては平均30機能を月間でリリースしております。今後も、triplaグループのCore Value(行動指針)である「Market-In for Customer Satisfaction」に基づき、triplaグループの顧客、もしくは潜在的な顧客に対して徹底したヒアリングを行い、優先順位を付けた上で、求める機能の開発を進めて参ります。汎用的に使える機能の開発についてはすべて内製で開発する方針であります。また、「tripla Bot」、「tripla Connect」等の他サービスとも連携しており、より拡張性を高め、triplaグループのパーパスである「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」を実現して参ります。
(多機能)
単に予約をするのみでなく、「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載のとおり、複数の機能があります。
④主要製品・サービスの内容について
triplaグループの主要なサービスの内容につきましては、「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載しております。
⑤顧客基盤及び販売網について
triplaグループは主に、宿泊施設向けにサービスを提供しており、宿泊施設からの問い合わせやtriplaグループからの提案等により、受注しております。
triplaグループの営業収益は、2023年10月期から2024年10月期にかけて58.8%の成長率となっております。今後の成長戦略としては、現状提供している「tripla Book」、「tripla Bot」、「tripla Connect」、「tripla Boost」、「tripla Pay」、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」の導入施設数の拡大、取扱高・GMVの増加を行うことによる単価の向上を継続的に成長させることを重視して参ります。これらと並行し、パーパスである「最高の旅行ソリューションを通じて、宿泊施設の持続可能な成長と、世界中の地域社会の発展を支援する。」の実現のため、現状営業収益の大半を占めている「tripla Book」、「tripla Bot」に加え、「tripla Connect」、「tripla Boost」、「tripla Pay」、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」もクロスセルを進めて参ります。個々のサービスが収益を上げることは当然として、tripla Botのみを利用している顧客に対してtripla Bookを販売するといったクロスセルによる営業収益の増加、tripla Connectやtripla Boost等を用いて、顧客である宿泊施設の自社予約を増加させtripla Bookの収益を増加する等、各サービスが相互に関連し、一体となって顧客である宿泊施設の自社予約増加、収益最大化を図り、宿泊施設、triplaの収益がともに最大化するWin-winのビジネスモデルを目指します。そのために必要なエンジニア等の人材を積極的に採用して参ります。
また、APAC(アジア太平洋地域)へ販路拡大を目標としており、2023年3月には韓国支店の設立を行いました。また、2023年11月にはBOOKANDLINK PTE. LTD.及び同社の子会社であるPT. SURYA JAGAT MANDIRI(以下「BookandLink社」と言います。)の株式取得及び子会社化を行い、2023年12月には旭海國際科技股份有限公司(英文名称:Surehigh International Technology Inc. 以下「Surehigh社」と言います。)の株式取得に関する契約を締結いたしました。事業展開する地域を拡大することにより営業収益、営業利益の拡大を図るとともに、サービス・プロダクトの販路拡大(triplaのサービスを海外子会社の販路で拡販するとともに、海外子会社のサービスをtriplaの販路で拡販する)、プロダクトの強化、エンジニアリングリソースの効率化等、グループ一体となってシナジーを創出して参ります。
triplaグループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、営業収益、営業利益を重視しております。当該指標を採用した理由は、税金や為替等の営業活動以外の影響を除外した上で、投資家がtriplaグループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、triplaグループの成果を端的に表すことができるためです。
2024年10月期の営業収益1,867百万円の内、親会社であるtripla株式会社単体分が1,639百万円であります。単体の営業収益の95.3%は、「tripla Book」、「tripla Bot」の2つのサービスにより構成されており、特に、72.9%は営業収益の「tripla Book」により構成されております。tripla Bookの収益構造は、施設あたりの月額固定料金による「固定収益」、宿泊や決済の取扱高・GMV(Gross Merchandise Value)に応じて課金される「従量収益」に分けられます。従量収益はさらに、宿泊従量課金による従量収益と、決済従量課金による従量収益に分けられます。
以上より、tripla Bookの営業収益の達成状況を判断する上で、導入施設数、取扱高・GMVを重要な指標としております。導入施設数を増加させることで固定収益を増加させ、取扱高・GMVを増加させることで従量収益を増加させることで、triplaグループの目標である営業収益を達成いたします。ただし、取扱高・GMVが低い場合には、triplaグループの目標である営業収益を達成しない可能性があり、導入契約施設数を増やすのみならず、取扱高・GMVも増やすことが重要となるビジネスモデルです。
また、tripla Bot、tripla Connect等のその他のサービスについても、導入施設数が重要な指標であります。
重要な連結子会社であるBookandLink社において開発、販売を行っている主たるサービスは、チャネルマネージャーであり、導入施設数が重要な指標であります。
重要な連結子会社であるSurehigh社において開発、販売を行っている主たるサービスは、予約エンジン、チャネルマネージャー、ウェブサイトビルダー(注1)であり、導入施設数が重要な指標であります。
各社の各種サービスにおいて、重要な指標である当該指標等を拡大させることで、営業収益の継続的かつ累積的な増加を実現して参ります。
なお、各指標については「第1 [企業の概況] 3 事業の内容 (2)サービス概要」に記載しております。
triplaグループが事業を行うにあたり、対処すべき課題として以下の点に取り組んでおります。
triplaグループは、さらなる事業成長のためには、サービス・プロダクトの強化が必要であると認識しております。2024年10月期においても、「tripla Book」を始めとした各プロダクトについて、その契約施設数を順調に伸ばして参りました。今後もさらなる契約の増加、既存契約の解約抑止のため、競合や顧客要望を意識しながら継続的に機能強化をしていくことが必要であると考えております。2024年10月期においては、「tripla Analytics」、「tripla Link」、「tripla Page」等の日本での展開を開始いたしました。
2024年10月期においては、3件の企業買収を行いました。2023年11月にBOOKANDLINK PTE. LTD.(以下「BookandLink社」と言います。)及び同社の子会社であり主としてインドネシアで事業展開を行っているPT. SURYA JAGAT MANDIRI(以下「SJM社」と言います。)の株式を取得し子会社化いたしました。また、2024年2月には旭海國際科技股份有限公司(英文名称:Surehigh International Technology Inc. 本社:台湾 以下「Surehigh社」と言います。)、ENDURANCE TECHNOLOGY SOLUTION PTE. LTD.(本社:シンガポール 以下「Endurance社」と言います。)の株式を取得し子会社化いたしました。これらの子会社と連携し、サービス・プロダクトの開発を進めて参ります。
各社が提供しているサービス・プロダクトを日本で展開開始することについては2024年10月期中に実行できましたので、今後各サービス・プロダクトを強化するため、必要な開発投資を行って参ります。また、日本で展開しているサービス・プロダクトを海外販路で展開する等の相互連携を今後進める予定です。
triplaグループが安定してサービスを提供し、継続的に成長し続けるためには、コンプライアンスを重視した内部管理体制の強化、日本及び海外での法令準拠及びコーポレート・ガバナンスの充実に向けた取組が重要だと考えております。2024年10月期においては子会社が増加したため、グループ全体の内部管理体制の強化を行って参ります。今後も事業規模の拡大に合わせ、管理部門の一層の体制強化を図り、企業価値の最大化に努めて参ります。
triplaグループは、事業成長のためには、契約施設数の増加が必要であると認識しております。顧客基盤の拡大を行うためには、プロダクトの強化を行うとともに、営業等の人材の確保と在籍する人材の継続的な強化に努めて参ります。
2024年10月期においては、triplaグループの営業収益の大部分は、tripla Book、tripla Botによって構成されております。今後はtripla Connect、tripla Linkを始めとした他サービスについても収益貢献を加速させて参りたいと思っております。
triplaにおいては、プロダクト開発やユーザーの獲得に関する投資を先行して行い、事業拡大を図ったことから、2021年10月期までは営業損失を計上しておりましたが、事業の拡大に伴い、契約施設数が順調に積み上がり、ユーザーの利用を促進することで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用を含む営業費用が営業収益に占める割合は低下したことから、2022年10月期以降は黒字となりました。2025年10月期から2027年10月期の計画数値について、2024年10月決算発表とともに公表させて頂きましたが、継続的な黒字を計画しております。今後も利益及びキャッシュ・フローの改善に努めて参ります。
triplaは2022年10月期以降黒字であるものの、2021年10月期までは営業赤字が継続しておりました。また、tripla Bookによる宿泊予約についてのユーザーからの預り金の増加を除くと、営業活動によるキャッシュ・フローは赤字が継続しておりました。今後、計画している十分な営業収益が獲得できない場合には営業赤字、営業活動によるキャッシュ・フローは赤字となる可能性があります。そのような場合に備え、常に一定水準の手元流動性を確保し、信用獲得に努めて参ります。手元流動性確保のため、金融機関との良好な取引関係の継続や内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤のさらなる強化を図って参ります。
(注) 1.ウェブサイトビルダー:ウェブサイトを作成するためのサービス。「tripla Page」及びSurehigh社の提供する「微官網」がこれにあたる。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてtriplaグループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。また、triplaグループがコントロールできない外部要因や必ずしもリスク要因に該当しない事項についても記載しております。triplaグループはこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、「第4[提出会社の状況] 4 [コーポレート・ガバナンスの状況等] (1) [コーポレート・ガバナンスの概要] ④ 企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理体制の整備の状況等」に記載のとおり、リスク・コンプライアンス委員会にて協議の上リスク回避あるいは発生時に迅速に対応する所存ですが、triplaグループの経営状況、将来の事業についての判断及びtripla株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
各リスクについて、発生可能性、発生する可能性のある時期、影響度、総合的な重要性については、下表のとおりです。
各リスクの具体的な内容は、下記のとおりです。
新型コロナウイルス感染症のまん延前である2019年までにおいては、訪日外国人数の増加もあり、年ごとの延べ宿泊者数は継続的に増加してまいりました(国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査」によります)。しかしながら、2020年から数年間において新型コロナウイルス感染症のまん延により宿泊業界は大きな影響を受けました。2024年10月期においては当該影響は相当程度回復したと言えますが、新型コロナウイルス感染症以外にも様々な要因により、宿泊市場が影響を受ける可能性があります。たとえば、自然災害などの天変地異、新型コロナウイルス感染症以外のウイルス性の疾患の流行、国際紛争等の不測の事態による国内旅行者、訪日外国人の減少等により、宿泊施設の収益を悪化させ、宿泊施設のDXへの取組が減衰するような場合には、当初計画していたような営業収益の成長が見込めず、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクは完全に排除できる性格のものでないことから、市況の急変等の場合においては、顕在化する可能性があると認識しております。
triplaグループはさらなる事業の拡大を目指し、新規サービスを視野に入れ事業展開を行っております。早期の収益化ができるよう、事前にサービス、プロダクトを綿密に検討の上で実施していく方針です。しかしながら、新規事業においては、安定して収益を生み出すまである程度の時間がかかることも予想され、その結果triplaグループの営業収益率の低下を招く可能性があります。2024年10月期においてローンチしたtripla Analytics、tripla Link、tripla Page等の新規サービスについて、その成長性、採算性には不透明な点があるため、中長期において予想した収益が得られない可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。triplaグループは、新規事項の概況及び市場動向を注視しながら、適切なタイミングで事業の再編や構造改革を実施するよう努めております。
triplaは2023年11月に、BookandLink社の株式取得を完了し、BookandLink社及びSJM社を連結子会社といたしました。
また、2024年2月に、Surehigh社及びEndurance社の株式を取得し、連結子会社といたしました(Endurance子会社のタイ法人を除く)。東南アジア、台湾、一部中東地域を中心として海外に多くの顧客が増え、連結財務諸表上、海外子会社の営業収益も増加いたしました。また、今後も年度を経るごとに増収していくことを計画しております。triplaは、株式取得前に各種のDue Dilignece(以下、「DD」と言います。)を実施し、リスクをDDにより把握し、将来の事業計画を策定の上、株式取得に至っております。しかしながら、シナジーを生み出すには時間が掛かることも予想され、その結果、当初の事業計画の遅れを招き、株式やのれんの減損損失が発生し、財務面に影響を与える可能性があります。また、法務DDは行った上で買収を行っておりますが、海外の法令等の変更に関するリスク、重要な従業員の退職等が影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。triplaは、各子会社及び弁護士事務所を含めた外部の専門家との各種連携を進め、事業計画の達成に努めます。
triplaグループが事業を行っているtripla Bookやtripla Botは、コアな特許等による参入障壁が存在しない業界であるため、当該市場にも競合他社が複数存在しております。triplaグループは競合他社のプロダクト、サービスの情報を把握の上、日々改善に努めておりますが、競合他社のプロダクト、サービスのレベルが大幅に上昇すること、強力な新規参入者が市場参入することにより、triplaグループの優位性が損なわれるような場合、triplaグループの営業収益が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は中長期的には顕在化する可能性があると認識しております。triplaグループは各サービス・プロダクトの強化、品質の向上を図るとともに、新サービス・プロダクトのローンチ、それらのクロスセルを進めることで顧客目線での利便性を高めること等により、競争力の維持に努めております。
triplaグループは、2024年10月末時点において、グループ全体で8,037施設の宿泊施設を顧客として、事業を展開しております。triplaグループの顧客の中には、複数の施設を抱えるチェーンホテルブランドもあります。新型コロナウイルス感染症のさらなる拡大を始めとした様々な要因により、このようなチェーンホテルが倒産・廃業となる可能性があります。このような場合、triplaグループの営業収益が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。triplaグループは特定の大口顧客には依存しておらず、営業収益の10%を超える取引先としては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「4 生産、受注及び販売の実績」に記載のとおり、2023年10月期及び2024年10月期にはありませんでした。特定の大口顧客に依存せず、宿泊施設に広くあまねく利用して頂くよう努めております。
(注) 大口・大手は、当該顧客への営業収益の割合が、営業収益全体の10%を超える取引先を言います。
triplaグループのサービスは「tripla Book」、「tripla Bot」、「tripla Connect」を含め多くがクラウド型のシステムの提供であるため、常時、宿泊施設、ユーザーとの通信が発生いたします。また、triplaグループのサービスはAmazon Web Service(以下、「AWS」という。)等の外部クラウドサーバーを利用しております。そのため、triplaグループの事業は通信ネットワーク及びAWSに依存しており、システムに障害が生じた場合、triplaグループのサービスが停止する可能性があるため、不正アクセスに対するモニタリング、ファイヤーウォールの設定など、システム障害を未然に防ぐための取組を行っております。しかしながら、上記の取組をもってしても、すべての可能性を想定しての対策は困難であり、火災、地震などの自然災害や外的破損、人為的ミスによるシステム障害、想定外の長期間に渡る停電、コンピュータウイルスの侵入やクラッカーによる妨害等、その他予期せぬ事象の発生により、万一、triplaグループの設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、triplaグループはサービスの停止を余儀なくされることとなり、triplaグループの営業収益が低下するとともに営業費用が増加し、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、翌期においても相応に存在すると認識しております。triplaグループは、障害に対して迅速に対応すべく、システム稼働状況のモニタリングを継続的に行っており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には速やかに連絡が入り、早急に復旧を行うための体制を整備・運用しております。これにより、障害発生の未然防止及び障害発生時の影響最小化に努めております。なお、AWSはFISC安全対策基準(注)を満たす安全性を備えております。
(注) 「FISC」とは、金融情報システムに関連する様々な問題についての研究調査や、安全対策の普及・推進活動を行うため、1984年に設立された財団法人(2011年に公益財団法人へと移行)であり、「FISC安全対策基準」とは高い信頼性とセキュリティが求められる金融情報システムを構築する際の、安全対策の共通の指針となることを目的に、1985年に策定されたものです。
triplaグループは、triplaウェブサイト上の各サービスの中で、ユーザーの個人情報を取得し、また保有しております。その個人情報の管理は、triplaグループにとって重要な責務と認識しており、厳重なアクセス管理を行うとともに、各種不正アクセス防止対策を行うなど、ネットワークセキュリティの向上に努めております。一方、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)は、個人情報を利用して事業活動を行う法人及び団体等に対して、個人情報の適正な取得、利用及び管理等を義務付け、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権益保護をはかることを目的とした法律であり、triplaグループにおいても個人情報取扱事業者としての義務が課されているため、当該法律の規定を踏まえた個人情報の取扱いに関して、個人情報保護の方針(以下「プライバシーポリシー」という。)を定め、運用しております。また、プライバシーポリシーの運用を徹底するとともに社内の情報アクセス権を管理し、かつ個人情報の取扱いに関する社内教育を行うなど、管理運用面についても、慎重を期しております。しかしながら、個人情報が外部に流出したり悪用されたりする可能性が皆無とは言えず、かかる事態が発生した場合には、triplaグループの風評の低下によるサービス利用者の減少、当該個人からの損害賠償請求等が発生し、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は、コンピュータウイルスによる被害等が社会的に発生しており、コロナ禍により在宅勤務が増加している昨今、triplaグループにおいても翌期以降、相応に存在すると認識しております。triplaグループでは、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、プライバシーマークの取得、当該公的認証に準拠した規程・マニュアルの整備・運用、各従業員への研修等を行うことで、個人情報管理体制の強化に努めております。
triplaグループはインターネットを通じて、インターネットユーザーに各種サービスを提供しておりますが、インターネットに関しては法的整備の不備が各方面から指摘されており、triplaグループ事業を規制する法令等が今後新たに制定される可能性があります。このような場合、triplaグループの事業展開に制約を受け、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。宿泊業界においては、「旅行業法」、「旅館業法」等関連事業法令の規制があります。これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合、triplaグループの事業展開に制約を受け、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。triplaグループは、法制改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。
triplaグループは、triplaグループが提供するサービスに関し、知的財産権を登録しておりません。現時点において、triplaグループは第三者の知的財産権は侵害していないものと認識しておりますが、万一、知的財産権の侵害を理由として、第三者より損害賠償請求及び使用差止請求等を受けた場合には、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。triplaグループが属するIT事業において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、triplaグループの事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、triplaグループの事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する等の対応を余儀なくされる可能性があり、triplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。triplaグループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう調査を行っております。また、必要に応じて専門家と連携を取りリスクの軽減を図って参ります。
2020年から数年間にわたって新型コロナウイルスが感染拡大し、旅行需要に対して大きな影響を与えましたが、新型コロナウイルス感染症以外にも、感染症が流行する可能性があります。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)、2012年に中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)が海外で流行しました。新たな感染症の発現、流行により、予約数に応じた従量収益の減少、及び新規契約獲得の鈍化や閉館等による契約数の減少等による営業収益の減少等のtriplaグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクは完全に排除できる性格のものでないことから、市況の急変等の場合においては、顕在化する可能性があると認識しております。
triplaグループの営業収益の一部は宿泊チェックアウト時に発生する取扱高・GMVに連動して課金しています。そのため、旅行需要が多いシーズンである8月を含む第4四半期に、営業収益も多くなる傾向にあります。そのため、台風、地震等による災害の発生、感染症のまん延等の何らかの事情により、旅行シーズンの営業収益が計画どおりに進捗しなかった場合、triplaグループの営業収益が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は翌期においても相応に存在すると認識しております。なお、第9期(2023年10月期)及び第10期(2024年10月期)におけるtriplaグループの四半期の営業収益の推移は下記のとおりです。
・第9期(2023年10月期)
(注)第9期につきましては提出会社のみの数値を記載しております。
・第10期(2024年10月期)
triplaは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、当連結会計年度末現在における付与数は239,235株であり、当連結会計年度末現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、4.08%となります。これらの新株予約権が行使された場合、tripla株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
triplaでは、付与する数量や希薄化の割合を考慮するとともに、ベスティング条項を定める等の適切な資本政策により、当該リスクの軽減を図っております。
triplaは、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、triplaは現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、triplaの事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
triplaは未だ成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先することが、株主への最大の利益還元につながるものと判断しております。
triplaグループは、2024年10月期が設立第10期目であり、社歴は短く、組織体制は未だ小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに準じたものとなっております。triplaグループは、今後の業務拡大に伴い、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策に対し十分な対応ができなかった場合は、triplaグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。triplaは、事業拡大に応じて人員の増強や内部管理体制の一層の充実を図って参ります。
triplaの創業者であり、代表取締役でもある高橋和久、鳥生格の両氏は、triplaグループ事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略構築など、triplaグループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。代表取締役CEOである高橋和久は、全社的な経営戦略全般において重要な役割を果たしております。代表取締役CTOである鳥生格は、全社的な経営戦略及びサービス・プロダクトの戦略において重要な役割を果たしております。triplaグループは事業拡大に伴い、取締役会等における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、両氏に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何かしらの理由により両氏のうちいずれかが業務を継続することが困難となった場合には、triplaグループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。triplaグループは、両氏に過大な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員の情報共有や権限委譲等によって両氏への過度な依存の脱却に努めております。
2024年10月期末時点において、triplaに税務上の繰越欠損金が存在しております。triplaの経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は、高いと認識しております。
triplaの過去5期間における主要な経営成績の推移は、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」に記載のとおりであります。第7期(2021年10月期)までの期間においては、継続的に営業損失、経常損失、当期純損失を計上しておりました。また、第6期(2020年10月期)及び第7期(2021年10月期)においては、tripla Bookによる宿泊代金の預り金を除くと継続的に営業キャッシュ・フローの赤字を計上しておりました。一方、宿泊市場向けに市場展開を行っており、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても、導入施設数、営業収益を拡大させるとともに、営業損失の額を減少させて参りました。
第8期(2022年10月期)においては営業利益、経常利益、当期純利益とも黒字化し、tripla Bookによる宿泊代金の預り金を除いた営業活動によるキャッシュ・フローもプラスに転じました。また、第9期(2023年10月期)以降、営業収益、経常利益、当期純利益とも成長を続けております。
triplaグループは、今後も導入施設数の拡大、取扱高・GMVの増加等により収益獲得を進めるとともに、規律あるコスト管理を行うことで黒字を維持していく方針でありますが、計画が想定どおりに進まない場合には、triplaの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化した場合でも会社運営が行えるよう、手元流動性を確保いたします。
このようなリスクが顕在化する可能性は、中程度と認識しております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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