note(5243)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


note(5243)の株価チャート note(5243)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

noteグループは、「メディアプラットフォーム事業」及び「IP・コンテンツクリエーション事業」を展開しております。各事業の概要は以下のとおりです。なお、noteグループはnote及び連結子会社であるnote AI creative株式会社、Tales & Co.株式会社で構成されており、note及びnote AI creative株式会社が主に「メディアプラットフォーム事業」を、Tales & Co.株式会社が主に「IP・コンテンツクリエーション事業」を展開しております。

以下に示す区分はセグメントと同一の区分です。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

(メディアプラットフォーム事業)

1 「note」

「note」は、個人を中心としたあらゆるクリエイターが文章やマンガ、写真、音声、動画等のコンテンツを「note」のWebサイト上で自由に投稿・販売することができ、読者はそのコンテンツを楽しんで応援・購読することができる、CtoCメディアプラットフォームです。

 

出版・テレビ・新聞などの伝統的なメディアでは、いい作品が生み出され、広く人々に届けられ、収益化されるエコシステム(注)1が確立されており、その中で様々な傑作が生み出され、繁栄してきました。しかし、インターネットの登場以降、だれでも創作できる時代になったものの、作品は検索やSNSによって人々に届けられるため、出逢いに偏りが生じ、収益化の手段の大半が広告収入に依存するため、フェイクニュースや過激な表現があふれ良質なコンテンツが生まれにくく、また、その収益性の低さから十分な報酬がクリエイターに還元されず、いい作品が継続的に生み出されるためのエコシステムが確立していませんでした。

 

そこでnoteは、既存のメディア産業がもたらしてくれたような、クリエイター・メディア・ファンをつなぐエコシステムをインターネット上に生み出し、作品が最適な読者に届き、課金モデルによってクリエイターが創作活動に見合った対価が得られる仕組みとしてCtoCメディアプラットフォーム「note」を構築しました。

 


 

 

「note」は、初期費用・月額利用料なしで(月額有料のプレミアム会員登録を除く)、誰でも利用することができます。クリエイターは「note」に会員登録を行うことで無料又は有料のコンテンツの投稿が可能となり、読者は会員登録をせずとも様々なコンテンツを自由に閲覧・購入することができます。個人のクリエイターが任意の価格を設定してコンテンツを販売できる「CtoC×課金」のビジネスモデルにより、ブログやネットメディア、電子新聞・電子書籍等他のメディアと比べ、ユニークなポジショニングを形成しております。

 

noteは、「note」があらゆるクリエイターの本拠地になることを目指しており、「くらし」や「まなび」、「しごと」といった幅広い読者に閲覧されるようなコンテンツから、テクノロジー関連や株式投資等のニッチなファン層に支持されるコンテンツ、エッセイ・体験談や裏話といった独自コンテンツまで、有料・無料問わず、多種多様なオールカテゴリーのコンテンツが共存する、多様性に富んだプラットフォームになっております。

加えて、「note」はランキングがない・広告がないといった特徴から、PV獲得目的の炎上行為が発生しづらく、クリエイターは自由に安心してコンテンツを投稿でき、読者はクリエイターの世界に没頭できる空気感が醸成されており、収益化を意識した良質なコンテンツが集まりやすい環境となっています。

「CtoC×課金」のユニークなビジネスモデルにこのような創作しやすい環境づくりも相まって、数多くの芸能人、経営者、アスリート、政治家、作家、インフルエンサー等の社会的知名度の高いクリエイター(以下、「著名人」という。)にも情報発信の場として「note」を選んでいただいています。著名人だけでなく、様々な業種の法人や、教育機関・行政機関による利用も進んでおり、2024年11月時点で法人アカウントは42,000件超、学校の利用数は703件、自治体は207件、中央省庁/独立行政法人は33件に上っています。

このように「note」は一般クリエイターから著名人・法人・行政機関など幅広いクリエイターが集まり、独自性の高いコンテンツが生み出され、読者やファンが集まる、現時点において唯一無二のメディアプラットフォームとなっており、2024年11月期の年間流通総額は17,064百万円、2024年11月末時点で公開コンテンツ数(注)2は51,072千件、「note」のMAU(注)3は6,574万人、累計会員登録者数(注)4は8,931千人、累計ユニーククリエイター数(注)5は1,526千人、ARPPU(注)6は2,617円となり、多くの支持を集めております。

また、2024年11月期では、クリエイターの上位1,000人の平均売上高が1,282万円となり、中にはnoteだけで生計を立てられるクリエイターもいるほか、多くの読者の目に留まり人気化したコンテンツは、書籍化・映像化されるケースも多く、noteが資本業務提携先などメディアパートナーと連携して発表するケースも含め累計313作品が書籍化されており、クリエイターエコノミーの促進に貢献しています。

 

(注)1.エコシステムとは、複数のプレイヤーが有機的につながることで、共存共栄していく仕組みのことです。

2.公開コンテンツ数は、月末時点において「note」上で公開されているコンテンツ数の総数です。

3.月間アクティブユーザーの略であり、非会員も含め「note」に月1回以上アクセスしたアクティブブラウザの合計数。

4.累計会員登録者数は、月末時点において「note」の登録画面から作成されたログイン用アカウントの総数です。

5.累計ユニーククリエイター数は、「note」を利用してコンテンツを投稿したユーザーの総数です。

6.ARPPU(Average Revenue Per Paid User)は、各四半期の購読者一人当たりの平均月間購入額です。

 

 

「note」の特徴は、以下のとおりです。

① 5種類のコンテンツ

テキストを中心として、テキスト、画像、つぶやき、音声、動画の5種類のコンテンツを簡単に作ることができます。エッセイ・ブログなどの文章コンテンツだけでなく、音声・動画配信や漫画・イラストの掲載など、幅広いコンテンツが投稿されており、様々なクリエイターの活動拠点となっています。

 

② 様々な課金機能

クリエイターは、作成したコンテンツの価格を自由に設定して販売することができます。無料会員の場合には、100円から5万円の範囲内で販売価格を設定することができます。月額500円のnoteプレミアムに会員登録した場合には、販売上限価格を10万円に設定することが可能となるほか、コンテンツ単位や複数のコンテンツをまとめたマガジン単位での販売以外に、月1回以上の記事更新により月額制で記事を販売できる定期購読マガジンの販売や、数量限定での販売等、様々な課金・販売形態でのコンテンツ販売が可能となります。また、2024年8月にはタイムセール機能が追加され、クリエイターは好きなタイミングで自身の有料記事を割引価格で販売できるようになりました。タイムセール機能を使うことで、クリエイターは記事が注目されるタイミング、戦略的に注目を集めたいタイミングで、価格を期間限定で下げることができ、より多くの読者に記事を届けるための効果的なプロモーションが行えます。

 

③ コミュニケーション

お気に入りのクリエイターのアカウントをフォローすることや好きなコンテンツに読者が「スキ(注)7」やコメントを残してクリエイターと読者が交流することができ、コンテンツやファンを蓄積することができます。また、2022年7月には、月額会費制でコミュニティ運営ができる機能「サークル」を、創作活動の種類によらず、ファンとつながり継続的に応援を得て、創作活動に集中できるようになる機能「メンバーシップ」にリニューアルしました。「メンバーシップ」では、会員限定コンテンツの公開のほか、イベント・セミナー等への招待、会員限定で割引クーポンを配布するなど、リターン(会員限定特典)の設定を工夫することで、より幅広い創作活動に対してファンからの支援を受けることができるようになり、読者との長期的な関係構築を目指すことができます。

 

(注)7.スキとは、読者が気に入ったコンテンツや、共感したコンテンツに対して、クリエイターにその気持ちを伝えるためのアクションボタンのことです。

 

④ ランキングがない

ランキング制度を設けると、刺激的な見出しのあるコンテンツなど読者の興味を惹き易く閲覧数が増えやすいコンテンツばかりがランキング上位に集約されていく傾向があり、また中長期的には投稿コンテンツの均一化を助長させてしまう可能性もあると考えております。そのため、「note」ではランキング制度を無くすことで、クリエイターの自由な創作活動を促し、コンテンツの多様性を保っております。

 

⑤ 広告がない

「note」はクリエイターが広告で収益を稼ぐ場所ではないため、投稿コンテンツには広告が表示されません。そのため、読者がクリエイターの世界に没頭できる空間が形成されております。また、広告が表示されないことにより、PV偏重のコンテンツが生まれにくい、あるいはPV獲得目的の炎上行為を起こすインセンティブが生じづらい等の空気感の醸成、環境の構築が図られております。

 

⑥ 最適な読者に届く

読者やnoteディレクターによるピックアップや、AIによるレコメンド機能により、コンテンツが最適な読者に届きます。いい作品が埋もれず、様々なクリエイターの才能を引き上げられる仕組みになっています。

 

 

⑦ 継続的な「カイゼン」

クリエイター又は読者からの要望を「フィードバック」として適時に吸い上げ、機能改善や拡充等に反映させる「カイゼン」に積極的に取り組んでおります。「フィードバック」に寄せられた要望等にはエンジニアがスピード感をもって対応しており、毎年数多くのカイゼンを行っております。

 

⑧ EC・HRとしての利用

商品開発の背景、創業ストーリー、商品や会社の魅力も綴ることでファンを形成し、実際の商品販売や採用の応募へとつなげることができます。

 

⑨ メディアとの強固なネットワーク

「note」上で話題となっているクリエイターを、株式会社テレビ東京ホールディングスや株式会社日本経済新聞社、株式会社文藝春秋、UUUM株式会社等の資本業務提携先をはじめとしたメディアパートナーに紹介する「クリエイター支援プログラム」を行っております。同プログラムを通じて、「note」に投稿されたコンテンツから、ドラマ化、映画化、書籍化につながった作品が多数誕生しており、またマネジメント契約やテレビ番組への出演等にもつながるなど、オンラインのみならず、オフラインの場でもクリエイターの創作活動を後押しする仕組みを構築しております。クリエイターにとっては「note」に投稿された作品がマルチチャネルでさらに拡がるため、活動機会の増加につながるとともに、既存メディアにとっても「note」を通じて新しいクリエイターの発掘を行うことができ、良好かつ強固な関係性の構築につながっています。

 

noteは、クリエイターが「note」に投稿した有料コンテンツを読者が購読・利用した場合、当該コンテンツ代金から一定の料率に基づくサービス利用料をいただいております。サービス利用料は事務手数料(注)8及びプラットフォーム利用料(注)9で構成されております。なお、noteの公開記事のうち、有料コンテンツの比率は24.8%(2024年11月末時点)となっております。

 

(注)8.事務手数料は、読者の決済手段に応じて変動し、コンテンツ代金に以下の料率を乗じて計算されます(いずれも税込)。

決済手段

料率

クレジットカード決済

5%

PayPay決済

7%

PayPal決済

6.5%

noteポイント決済

10%

携帯キャリア決済

15%

 

9.プラットフォーム利用料は、コンテンツ代金から事務手数料を控除した後の金額から以下の料率を乗じて計算されます(いずれも税込)。

取引の種類

料率

有料コンテンツ・有料マガジンの販売、
サポート機能・メンバーシップ機能の利用

10%

定期購読マガジンの販売

20%

 

 

 

2 「note pro」

「note pro」は、「note」の基盤を活用しつつ、企業がオリジナルな自社サイトとして情報を発信できる機能を拡充したメディアSaaS(注)10です。「note pro」の利用企業は、「note」のシンプルなUI(注)11を用いて、初期費用をかけることなく、最短即日でオウンドメディア(注)12・ホームページの構築・運用ができるほか、「note」プラットフォーム上の読者にアクセスすることができるため、自社独自での集客活動をせずとも、効率的なマーケティング活動や集客を行うことが可能となります。また、カスタマーサクセスによるサポート、システムのUI/UXのアップデートも実施しており、決済・ダッシュボード(注)13・コンテンツ管理等の機能を標準機能として利用可能となります。そのため、情報発信において多くの法人が抱えるさまざまな課題を解決し、企業やサービスの想いを届けることに集中することが可能となり、従前からのファンのみならず、将来的に企業のファンになってくれる可能性のある潜在顧客層など、幅広い読者とつながって関係性を深めていくことができると考えています。

「note pro」が利用企業に対して提供する価値は以下のとおりです。


 

「note pro」を活用した企業活動は「サブスクリプションメディア」、「ブランディング」、「HRマーケティング」、「販促/EC」、「ファンコミュニティ作り」など多様に拡大しており、読者との双方向コミュニケーションを通じて、エンゲージメントの向上に利用されております。

2019年3月にリリースした後、2024年11月末時点で有料契約数は797社となり、大手企業から出版社、ベンチャー企業など様々な企業にご利用いただいています。

 

(注)10.メディアSaaSとは、メディア Software as a Serviceの略称であり、企業が自社で所有・運用するメディアを構築するためのソフトウエアを、ネットワーク経由でお客様に提供するサービスのことを指しております。

11.UIとは、User Interfaceの略称であり、情報の表示様式等のコンピュータとそのユーザーとの接点を指しております。

12.企業が自社で保有・運営するWebサイトや自社ブログのことを指しております。

13.Webサイトへの訪問者数やコメント数などの情報をひとまとめにして表示するツールのことを指しております。

 

 

「note pro」で利用できる主な機能は以下のとおりです。


「note pro」の特徴は、独自ドメインを持つ独立したWebサイトとしての機能性を持つことと、「note」を基盤とする集客力を持つことであり、これらの特徴から、「note pro」はWebサイトとSNSの特徴を併せ持つサービスとなっています。そのため、企業は「note pro」の利用により、ユーザーとのつながりづくりからインターネット上におけるビジネス活動まで一貫して行うことが可能となり、企業の情報発信をDX(デジタルトランスフォーメーション)するサービスとなっています。

 

それぞれの特徴の詳細は以下のとおりです。

① Webサイトとしての機能性

一般的なWebサイト構築では、ゼロベースで開発を行う必要があり、集客・SEO対策などの運用面やセキュリティ対策等のメンテナンスも必要となるため、手間・コスト・時間がかかりますが、「note pro」はカスタマイズにより簡単に開発できるうえ、システムやUI/UXが常時最新にアップデートされるほか、決済・ダッシュボード機能・コンテンツ管理等のビジネス機能も備えています。情報発信だけでなく、インターネットにおけるビジネス活動も行うことができるWebサイトとなっています。

 

② 「note」を基盤とする集客力

「note pro」は、「note」から独立したWebサイトでありながら、「note」のプラットフォームとつながっているため、「note」のユーザーに対して直接情報を届けることができる集客力を持っています。「note pro」のコンテンツは「note」のレコメンド機能により最適な「note」ユーザーに届けられ、アカウントのフォローやコメント等の機能により「note」ユーザーと直接つながることができます。さまざまな企業がSNSマーケティング等の場面で利用しており、noteのメディアプラットフォームとしての競争優位性の高さが、note proのメディアSaaSとしての競争優位性を高めています。

 

料金体系については、月額80,000円(税別)のサブスクリプションモデルとなっており、利用企業の有料契約数に応じた月額利用料金を主な収益源としております。この他、オプション機能の契約によって追加で発生する月額のオプション利用料金(外部サービスへの記事配信対応や、詳細な分析が可能なGoogleアナリティクスの利用設定等)も、「note pro」の収益源となっております。

 

 

<事業系統図(「note」及び「note pro」)>

 

3 「法人向けサービス」

法人向けサービスとして、クリエイターの創作意欲を喚起するために、「note」上で定期的に企業協賛型のコンテストを開催しております。コンテストとは、企業とコラボしてテーマを決め、テーマに沿ったコンテンツをクリエイターから募集し、その後審査員により審査を行い、優れたコンテンツを表彰するものです。クリエイターは受賞特典として賞金・賞品や受賞作品のメディア掲載などがあるほか、活動の幅を広げるきっかけにもなっています。企業側としては、自社の取り組み等の発信につなげることができます。

noteは、企業から依頼を受け、コンテストを企画・開催し、その対価として協賛金により収益を得ております。なお、協賛企業の意向を踏まえたオリジナルテーマを設定してクリエイターから作品を募り、審査会にて優秀作品を選定して表彰を行う「コラボコンテスト」と、協賛企業が発信したいメッセージをもとにテーマを設定もしくはnoteのお題から選定し、noteと共同で投稿企画を開催する「コラボテーマ」といったラインナップがあります。

 

<事業系統図(「コンテスト」)>

 

(IP・コンテンツクリエーション事業)

noteの連結子会社であるTales & Co.株式会社において、クリエイターの企画や作品のエージェント、コンテンツ制作・販売、外部企業からの企画・コンテンツ制作受託などに取り組んでおります。

 

これまで「note」でIP・コンテンツ生み出してきたクリエイターを含む多くのクリエイターにアプローチし、メディア・コンテンツ企業と連携してクリエイターの作品を「note」内だけでなく他のメディアにも展開していくことでより多くの読者に届けることを目指します。

 

収益構造については、読者や企業に対してコンテンツや作品を販売して売上をいただき、クリエイターに制作料・原稿料をお支払いする形で事業を展開していきます。

 


 


有価証券報告書(2023年11月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてnoteグループが判断したものです。

 

(1)経営方針

noteグループは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」をミッションに掲げ、クリエイターがテキストやマンガ、写真、音声等のコンテンツを自由に投稿・販売することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援・購読できるメディアプラットフォーム「note」を中心とした事業を展開し、あらゆる分野のクリエイターの、いちばん基本的な活動の場所となることを目指しております。

 

(2)経営環境

noteグループを取り巻く経営環境については、スマートフォンアプリ等を通じての個人間取引やサブスクリプション型ビジネス、インターネット上でサービスを提供するSaaSのトレンドが引き続き拡大しているなか、特に新型コロナウイルス感染症の流行拡大以降に見られる社会的な変化が後押しとなり、あらゆる人がオンラインでコンテンツや商品を発表・販売する動きが広まり、クリエイターエコノミーが拡大している状況であると認識しています。

こうした環境において、noteグループはメディアプラットフォーム事業として、あらゆる人がインターネット上で文章等のコンテンツを投稿・販売できるプラットフォーム「note」と、企業の情報発信をDX(デジタルトランスフォーメーション)する「note pro」を提供しており、個人・法人問わず創作活動・情報発信の場として、需要は引き続き拡大しているものと考えております。IP・コンテンツクリエーション事業としては、主に連結子会社であるTales & Co.株式会社を中心に、note内外から優秀なクリエイターを発掘し、新たな作品の創作のサポートと、メディア・コンテンツ企業との連携によって、多くの読者・視聴者に素晴らしい作品を届け、拡大する需要を満たしていくことが可能だと考えています。

 

(3)経営戦略

「note」は、CtoC(個人から個人へ)の情報発信メディアであり、かつ有料記事による課金ができる「CtoC × 課金」のモデルで、電子書籍・電子新聞やWebメディア、ブログ等の他のメディアと比べてもユニークなポジションを形成しています。加えて、Creative、Technology、Designの3つが一体となったnoteグループの強みを活かしたプロダクト開発力を活かし、クリエイターや読者からの要望やフィードバックを適時に吸い上げ、速やかに機能改善・拡充等に反映することでつくり上げてきた優れたUI/UXが高く評価されており、クリエイターの裾野は拡大してきています。また、株式会社日本経済新聞社、株式会社文藝春秋などのメディアや、EコマースのBASE株式会社等さまざまな企業との提携によって、「note」に投稿された作品がマルチチャネルでさらに拡がり、クリエイターサクセスが促進されることで、オンライン・オフラインを問わずクリエイターの創作活動を後押し、既存メディアにとっては新しいクリエイターを発見する場となっております。

「note」はこうした取り組みにより、クリエイターが増え、コンテンツが増えると読者が集まり、コンテンツが売れてさらにクリエイターが集まる、というクリエイター・読者・コンテンツの相互作用によるネットワーク効果がはたらくことで、広告宣伝費をかけずに自律的に拡大する、以下のグロースモデルによって、競争優位性を獲得してきました。

 

 


 

さらに「note」が提供する価値を最大化するためには、以下の図に示すように、CREATION(いい作品を生み出す)・DISTRIBUTION(広く人々に届ける)・FINANCE(収益化する)という3つの課題にバランスよく取り組むことが重要であると考えています。グロースモデルに沿った自律的な成長に加え、各項目を着実に伸ばすさまざまな施策に取り組んでまいります。


 

noteグループは「note」というプラットフォームをインターネット上の「街」と捉えており、個人・法人に関わらずあらゆる人が集まり、インターネットにおける創作・ビジネスをはじめとしたあらゆる活動の本拠地となることを目指します。この実現のため、今後は「note」の強化だけでなく「note」を軸とする既存のエコシステムを拡張させ、より多様で数多くのクリエイターサクセスを創出していく方針です。

エコシステムを拡張させる具体的な施策としては、下記の図に示すとおり2つの方向性を想定しており、これまでのnoteグループが展開してきた各サービスの強化と、「note」に集まるあらゆるジャンルのコンテンツやユーザー資産を活用した新サービスの立ち上げに取り組んでいます。

また、その双方の方向性に共通して、生成AI技術などの最新技術を用いた創作活動の革新にも取り組んでいます。

 

 


 

2025年11月期は、エコシステムを拡張させるため、①ポイント機能の導入やアプリの機能強化等を通じた「note」のさらなる強化、②「note」に集まる資産を活用した「note」外の新サービス立ち上げ、③「note pro」のビジネス機能やAI関連ツールの開発・強化によるメディア・企業への外部提供拡大、④AI関連技術への投資による「note」の提供価値向上をはじめとする創作にまつわるバリューチェーンの革新、の4点に重点的に取り組んでまいります。

 

これらの取り組みによる成長イメージは以下のとおりです。2024年11月期はコスト規律を維持しながら人材への戦略的な成長投資を実施し、2025年11月期以降は「note」「note pro」の成長に加えて新規事業の貢献により、売上高成長率20~30%の実現と早期の通期黒字化達成を目指してまいります。


 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

noteグループでは、財務指標のうち成長投資の源泉となる売上総利益を最重視し、最大化を目指しています。

事業上の重要指標として、「note」については流通総額(GMV)を、「note pro」についてはARRを設定し、各事業の売上高の継続的かつ累積的な増加を目指しています。

そのほか、プラットフォームの更なる拡大のため、累計ユニーククリエイター数、累計会員数、公開コンテンツ数といったメディアプラットフォームに関する各種指標についても推移を注視しています。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

コンテンツ配信業界を取り巻く環境は、底堅く推移しております。こうした中、この業界で課題とされるコンテンツの充実や読者へのレコメンド機能をはじめとしたサイトの最適化等システムへの対策が急務となっております。

noteグループはこうした課題に対して、「note」の事業活動を通じてビジネス上の継続基盤を強固にするとともに「note pro」の事業活動を通じて導入企業の増加を図るなど、今後も既存事業の強化を図りつつ、これまでに培ってきた技術や資産を活用した新規事業に取り組み、「note」のエコシステムを拡張していく方針です。

以上の取り組みにおいては、それぞれ次のような課題があると認識しております。

 

① 「note」「note pro」のさらなる拡大

「note」については、累計ユニーククリエイター数、累計会員登録者数、公開コンテンツ数といったメディアプラットフォームとしての各種指標を継続的に伸ばすほか、多くのユーザーを抱える影響力の大きなプラットフォームとしての健全性の確保を重要な課題として認識しております。またクリエイターの継続的な創作活動を後押しすることで「note」上で継続的に購読されるコンテンツの割合を増加させるために、クリエイターと読者のコミュニケーションの充実と、クリエイターの創作意欲を喚起することが必要と考えており、ポイント制度およびアプリ課金機能の導入やコンテストを実施しております。その結果、ユーザー数及び流通総額は着実に積み上げられております。

また、「note pro」については、セールス&マーケティングの強化や機能拡充により、有料契約数を飛躍的に増加させることが重要と考えております。 具体的には、「note pro勉強会」などのマーケティング目的のイベントや「note pro」のサクセス事例を増やすこと等を通じ、「note」を利用する法人を中心とする幅広い企業に対し認知拡大を図るほか、ChatGPTを活用し効率よく記事を書けるツール「AIアシスタントβ」においてビジネス用テンプレートの活用など法人向け特別機能を追加したり、noteの記事を通じて読者のメールアドレスを取得できる機能を導入するといった、情報発信をサポートするだけでなくビジネス成果につながる新たな機能の開発・強化を行なっています。その結果、有料契約数を伸ばしております。

 

② 生成AI技術を活用した新機能・新サービスの開発

昨今の生成AI技術の進歩を踏まえて、noteグループのサービスにおいても最新技術を導入し、ユーザーの体験の向上に取り組むことが重要と考えております。noteグループは連結子会社であるnote AI creative株式会社を中心に他社とも連携しながら生成AI技術を活用することで、クリエイターの創作活動をサポートする機能や、読者が求めるコンテンツと出会いやすくするためのアルゴリズムなど、ミッションの達成につながる施策を積極的に実施してまいります。

 

③ 新規事業の立ち上げと拡大

noteグループは今後、「note」を軸とする既存のエコシステムを拡張させ、より多様で数多くのクリエイターサクセスを創出していく方針です。エコシステムを拡張させる具体的な施策としては、これまで「note」の開発・強化を通じて培ってきた技術を活用したメディア・法人向けツールの外部提供と、「note」に集まるあらゆるジャンルのコンテンツやユーザー資産を活用した新サービスの立ち上げの2つを想定し、取り組んでいます。

これらの取り組みにより新規事業を立ち上げ、拡大させていくことで、さらなる成長とミッション達成を実現してまいります。

 

 

④ 優秀な人材の確保と育成、それに合わせた組織体制の構築

コンテンツ配信業界においてインターネットに関する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それらに対応した新商品及びサービスが常に生み出されております。これらの最新ニーズ及び新商品並びにサービスを的確に察知し、迅速な意思決定を行える体制を整え、常に市場をリードしていくことがnoteグループの成長につながります。これを実現するために、国内のニーズを的確に察知できる人材の確保が可能な体制を構築してまいります。

noteグループの経営理念に共感し、意欲、業務推進能力を兼ね備えた人材の中途採用を実施することはもちろんのこと、事業拡大及びサービス品質の向上等により知名度を上げることで採用力を強化し、noteグループが必要とする優秀な人材を継続的に確保・育成するべく取り組むと同時に、拡大する人員に合わせ、効率的な組織体制の構築に取り組んでまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

noteグループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。noteグループが効率的に拡大できる体制の確立に向けて、コンプライアンスの徹底及び内部統制の強化を重要な課題として認識しております。これまでも体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に伴って人的補充を行い、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員監査の実施によるコーポレート・ガバナンスの充実などを行っていく方針です。

 

⑥ 情報管理体制の強化

noteグループは、事業推進上、利用動向等の個人情報や機密情報を保持しております。このような情報が流出した場合や不適切な取り扱いがなされた場合、noteグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約獲得や今後の事業展開への影響が生じるおそれがあります。

そのため、個人情報等の機密情報を取り扱う際の業務フロー、社内規程の整備、定期的な社内教育の実施、セキュリティの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を行ってまいります。

 

⑦ 業務の効率化による生産性向上

需要拡大に備えた増員は、一方で人件費等のコストアップにつながりnoteグループの利益圧迫要因となります。noteグループでは全業務のプロセスの継続的な見直しを行い、無駄を削減し業務の効率化を図ってまいります。また、基幹システムを中心にシステム投資を強化し、インフラ面を改善するとともに業務の省力化による生産性向上を図ってまいります。

 

⑧ 業務基幹システムの維持・強化

noteグループの業務は、お客様を個別にかつ的確に管理し、必要な時に迅速に情報把握をできることが業務遂行上重要であり、その管理の根幹をなすnoteグループの基幹システムを安定的に稼働させることが経営戦略上非常に重要な課題です。昨今の事業拡大、事業の継続的発展に伴い当該システムに対する負荷は、比例的に増大いたしますので、機能の拡充を継続的に実施していく方針です。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

noteグループは、「リスク管理規程」を定め、代表取締役CEOを委員長とするリスク管理委員会を設置し、個別リスクの把握と評価、対応すべき優先度、リスク管理方法等を審議するとともに、定期的なモニタリングを行い、体制の整備、見直しを行っております。また、リスクが顕在化した場合、事件・事故が発生した場合又はリスクが顕在化する恐れがある場合、事件・事故に発展する可能性がある場合を緊急事態とし、代表取締役CEOを緊急対策本部長とする緊急対策本部を設置し、迅速に対応することとしております。

本書に記載したnoteグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は以下のとおりです。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。noteグループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、note株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてnoteグループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に係るリスク

① インターネット関連市場の動向について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

noteグループは、インターネット上におけるメディアプラットフォーム「note」の運営を主な事業基盤としており、インターネット及び関連サービス等のさらなる発展が、noteグループが今後成長を図る上で重要であると考えております。現状、国内におけるインターネットの利用率は86.2%(出所:総務省「令和6年版情報通信白書」令和6年7月公表)に達しており、一般的に普及していると言える中、スマートフォン及びタブレット端末や高速通信手段の普及が急速に進むなど、インターネットの利用環境は年々改善されており、今後についても同様の傾向が続くと思われます。noteグループは、インターネット関連市場の動向が経営戦略の根幹をなすものと位置付け、日々その動向を注視しながら、適宜noteグループの経営戦略に織り込んでまいります。

しかしながら、インターネット利用に関する新たな規制やその他予期せぬ要因により、インターネット利用環境が急激な変化に見舞われ、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合、noteグループの事業展開に支障が生じ、noteグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業に係るリスク

① 競合優位性について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

noteグループは、優良なクリエイターが配信する質の高いコンテンツを提供することによって、コンテンツ産業において独自のポジションを確立し、競争優位性を有した事業展開を図っております。しかしながら、今後、高い資本力や知名度を有する企業等が参入した場合や同種の機能で価格優位性に優れたサービスが登場した場合には、競争の激化とユーザーの流出等が生じ、noteグループの競合優位性が薄れ、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに備え、今後もサービス・機能を継続的にアップデートすることによりプラットフォームの価値を高め、クリエイターはさらに創作活動が続けやすく、読者は魅力的なコンテンツに出会いやすい環境をつくることにより、さらに競争優位性を高めてまいります。

 

 

② 解約リスクについて

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

「note」による収益はサービス利用料が、「note pro」による収益は月額利用料がそれぞれ主となっており、その後、顧客の意思に従って契約の更新や継続的な購入又は解約がなされます。noteとしては、できる限り各サービスの利用契約が継続されるよう、「note」のプラットフォームのUI/UXの向上、「note pro」の充実したカスタマーサポートの提供を通じた顧客ニーズの継続的な把握及び当該ニーズを反映するための機能改善開発に取り組んでおります。かかる取り組みに加え、各サービスを利用しているユーザー数はそれぞれ、2024年11月末時点で、「note」の累計会員登録者数893万人、「note pro」の有料契約数797社にのぼり、且つ、「note pro」の顧客属性は採用広報、リード獲得、ブランディング、コンテンツ販売目的など、分散していることから、解約数が急激に増加するリスクは低いと考えておりますが、万が一解約数が急激に増加した場合は、noteグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ サイト運営の健全性等について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

noteが運営する「note」では、クリエイターが自由にコンテンツを投稿できる他、「note」上のコンテンツに対してユーザーがコメントを投稿できる仕組みを提供しています。この仕組みにより、ユーザー間のコミュニケーションが活発化し、多様で創造的な表現が行われる場を提供しております。また、生成AIを活用したコンテンツ制作は、クリエイターの創造性を広げ、より多様な表現を可能にする手段としてnoteもその価値を肯定的に捉えています。一方で、生成AIの普及に伴い、悪意を持った不適切なコンテンツや誤情報の自動生成・投稿のリスクも増加しています。これに加え、健全性を欠いたり、他者を誹謗中傷するようなコンテンツやコメントが投稿されるリスクも引き続き存在しています。これらが現実化した場合、noteのプラットフォームの信頼性が損なわれ、ユーザー離脱や社会的批判、さらには炎上等のレピュテーションリスクを招く可能性があります。noteでは、こうしたリスクに対応するため、以下の対策を講じています。

・クリエイターやユーザー向けに、明確な利用規約や「コミュニティガイドライン」を策定し、サイト上に明示することで健全な利用を促進

・「安心創作勉強会」を通じて、著作権や法律に関する知識を提供し、生成AIを含む適切な創作活動を支援

・AI/機械学習技術を活用したコンテンツ監視システムの導入、及び専任チームによるパトロールを実施し、不適切コンテンツの早期発見と迅速な対応を実現

さらに、投稿内容が利用規約で禁止されている行為に該当する場合には、コンテンツやコメントの削除、利用停止などの措置を講じています。また、監視体制の強化の一環として、社内マニュアル・基準の策定及び定期的な見直しを行っています。

これらの取り組みにより、生成AIの利点を最大限活かしつつ、健全で安心なプラットフォーム運営を維持することを目指しています。ただし、不適切な投稿に対してnoteが十分な対応ができない場合には、クレームやネット上の拡散、通報等に端を発した炎上等によるレピュテーションリスクが発生する可能性があり、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定のカテゴリー収益について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteは、多様なカテゴリーのコンテンツから収益を獲得しておりますが、当連結会計年度の売上構成比率において、競馬等の公営競技や、ビジネス・投資・IT等といったユーザーの経済的利益に直結しやすいカテゴリーに係る流通金額はより比重が高いものとなっております。今後、何らかの事由により当該カテゴリーの流通金額が減少した場合、noteグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

noteとしては、上記のような特定カテゴリーの比率を下げるために、「note」のトップページにて積極的にユーザーに知ってもらいたい多様なカテゴリーのコンテンツやユーザーにマッチするであろうコンテンツについて今日の注目記事としてピックアップしたり、おすすめコンテンツとして表示したりするなど、閲覧コンテンツの多様性及び収益化機会の確保に向けた取り組みを行っているほか、note pro事業や法人向けサービス事業の収益拡大に取り組んでおります。

 

 

⑤ 不正利用に関するリスクについて

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

「note」では、プラットフォーム上での有料コンテンツに対する支払方法について各種の決済手段を提供しております。「note」では、購入者が第三者のクレジットカードを不正に利用する不正決済を防止するために、社内の専門部署により取引状況の監視を行うとともに、3Dセキュアの導入やシステムによる不正決済の検知を行っております。しかしながら、万が一、これらの事態を事前に防止できなかった場合、クレジットカード売上の取消しによる決済代行会社への売上金の返金やnoteグループの信用の下落等による損害が発生し、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 先行投資から見込まれる効果が期待どおりに実現しないリスクについて

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループのビジネスモデルは、プラットフォームのUI/UXの向上のための投資を行い、当該プラットフォーム上でのコンテンツの流通量の拡大に伴う収益の増加により、投資回収を図る形態のため、noteグループのサービスを拡大していくための開発人員の採用・育成にかかる先行投資が発生いたします。また、継続的な事業成長のためには、信頼性の面でより優れたプラットフォーム基盤の構築やさらなる認知度の向上及び顧客拡大に取り組んでいかなければならないと考えております。

noteグループでは従来、これらの取り組みを積極的に進め、開発人員を中心とした優秀な人材の採用等の継続的な投資を行ってきた成果が徐々に現れるようになり、またコストマネジメントを中心とした収益性改善に取り組んだ結果、当連結会計年度において、営業利益及び営業キャッシュ・フローがプラスとなっております。

noteグループは今後、これまで採用・育成した人材を中心にサービスの機能を継続的にアップデートし、より多くのユーザーを獲得するとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・PR活動等を進めることを想定しております。

しかしながら、事業環境の急激な変化等により、想定どおりに事業展開が進まず、これらの先行投資がnoteグループの想定する成果につながらなかった場合は、noteグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 税務上の繰越欠損金について

発生可能性:高、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:小

当連結会計年度末時点において、税務上の繰越欠損金が存在しております。noteグループの業績が事業計画に比して順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、noteグループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業運営体制について

① 特定人物への依存について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

note代表取締役CEOである加藤貞顕は、noteグループの創業者であり、2011年の創業以来代表を務めております。同氏は、出版・コンテンツ業界に関する豊富な知識と経験、人脈を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

noteグループは、取締役会及びその他の会議体における情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏がnoteグループの業務を継続することが困難となった場合は、noteグループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 優秀な人材の確保について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループが事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最重要課題であると認識しております。noteグループでは、将来に向けた採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでおります。

noteグループは今後もこれらの施策を継続していく予定ではありますが、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材が十分に確保・育成できなかった場合や、採用後の人材流出が進んだ場合には、noteグループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループでは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しますように、コンプライアンス及びコーポレート・ガバナンスの徹底を図るための様々な施策を実施しております。また、業務の適正化及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。

しかしながら、事業の急速な拡大等により、各事業の予算管理・資金繰り管理・業務プロセス等内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム障害について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループの事業はインターネットを利用しているため、自然災害、事故、不正アクセスなどによって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能などのシステム障害が発生する可能性があります。noteグループでは、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じております。しかしながら、これらの対策を講じているにも拘らず、障害が発生した場合には、noteグループに直接的損害が生じるほか、noteグループのサーバーの作動不能や欠陥等に起因するサービスの停止等については、noteグループのシステム自体への信頼性の低下を招きかねず、noteグループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制について

① 情報の管理について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループのサービスでは、多種多様かつ大量の企業情報及び個人情報を取り扱っており、これらの情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社員教育の徹底と管理体制の構築を行っております。

noteグループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行うとともに、第三者による脆弱性診断を受けておりますが、何らかの理由で利用者のプライバシー又は個人情報が漏洩する可能性や不正アクセス等による情報の外部への漏洩又はこれらに伴う悪用等の可能性があり、そのような事態が発生した場合には、noteグループの事業展開、経営成績、財政状態及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

また、noteグループが事業を運営する各法域における利用者のプライバシー及び個人情報の保護に係る法規制に改正等があった場合にも、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 知的財産権について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

noteグループが事業活動を行うに当たり、第三者が保有する商標権、著作権、特許権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払い、著作権に関する社内研修の実施や弁護士に随時相談する体制の構築などの対策を行っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、実際に当該事象が発生した場合には、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ インターネットにおける法的規制について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

現在のところnoteグループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」、「電気通信事業法」等が存在します。近年インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきておりますが、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の制定又は既存法令等の解釈変更がなされた場合には、noteグループの事業運営が制約を受け、事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、AI技術の急速な進展に伴い、AI技術に関する規制が強化される場合、業界全体でのビジネス運営に影響が及ぶ可能性があります。

noteグループでは、そのような可能性に対して、積極的に情報を得る体制の強化、一般社団法人クリエイターエコノミー協会を通じた法改正への関与及び顧問弁護士等の専門家との協力体制の構築を行っており、変化する法規制環境に迅速に対応し、事業運営の安定性を確保することを目指しております。

 

④ 請負業務について

発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

請負契約の下で行われる業務委託においては、労働関係法令に則った適切な対応が求められます。noteグループでは、コンテストの参考作品の作成依頼など、請負業務に関する外注管理規程を制定し全社的な問題意識の共有化・定着化を図り、適正な業務委託の徹底に努めております。このような取り組みにもかかわらず、請負業務の趣旨から逸脱して業務が遂行され、偽装請負等の問題が発生した場合には、noteグループの信用を失い、事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟について

発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

noteグループでは、コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させること、法令遵守や社会倫理に関する研修を行うことで、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。しかしながら、noteグループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。また、ユーザーは即時にコンテンツを公開できるため、ユーザーによるコンテンツの公開によって名誉毀損を受けたとして、第三者からnoteグループが訴訟などを受ける可能性があります。知的財産権の侵害についても前述のとおり訴訟発生リスクがあるものと考えております。提起された訴訟の内容及び結果によっては、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用や企業ブランドイメージの悪化等により、noteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。

 

 

(5)その他

① 配当政策について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

noteは、更なる財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題の一つとして位置づけております。そのため、現時点においては内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資を積極的に行っていくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。しかしながら、noteは株主への利益還元も重要な経営課題であると認識しており、将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討してまいる方針ですが、現時点において配当実施の可能性及び、その実施時期につきましては未定です。

 

② 新規事業及びM&Aを伴う業容拡大について

発生可能性:低、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中

noteグループは、ミッションである「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ために、非連続な成長を目指していくことを経営方針としております。新規事業開始や資本業務提携に加え、今後はM&A(企業や事業の合併及び買収)を含む積極的な業容拡大を進めてまいりますが、これらの新規事業開始や業容拡大等がもたらす影響について、noteグループが予め想定しなかった結果が生じ、結果としてnoteグループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、これら新規事業開始や業容拡大等は、その性質上、多額の買収対価や投資資金を必要とする場合があります。そのため、株式交換やエクイティファイナンスにより新株を発行する場合や、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達する場合があります。多数の新株発行や多額の借入又は社債の発行により、株式希薄化や負債比率増加に伴う財務安定性の棄損を招くリスクがあり、かかる場合においては、noteの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、業容が拡大していく中で、事業の取捨選択方針を誤り、限られた経営資源が分散し、成長事業に十分な資源の投下ができないリスクや、多角化により管理コストが増大するリスクを招く可能性があります。

このようなリスクに対応するため、資本業務提携やM&Aを含む新規事業への進出においては、決められた期間において達成すべき業績指標(KPI)を設け取締役会において、各事業をモニタリングしてまいります。また、noteグループの企業規模を勘案しつつ、株主への還元等の機動性確保の観点から、必要に応じて資本金の減少等も実施してまいります。

 

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

発生可能性:高、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:小

noteは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、noteの役員及び従業員に対して新株予約権(インセンティブを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を含む)を付与しております。また、今後においてもnote役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストック・オプションなどの株式報酬制度を実施・導入する可能性があります。本書提出日の前月末現在において、これら新株予約権による潜在株式数は1,286,000株であり、発行済株式総数16,384,700株の7.85%に相当します。

noteでは、権利行使期間において段階的に行使が可能となる条件を付与することで、希薄化の影響が分散するようにしております。なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりです。

今後、これら新株予約権が行使された場合には、将来的に既存株主が保有する株式価値の希薄化や需給関係に影響を及ぼす可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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