東邦亜鉛グループは、東邦亜鉛と子会社15社で構成され、非鉄金属製品の製造販売、環境・リサイクル事業、非鉄金属資源の探査・開発・生産及び販売、電子部材・機能材料の製造販売を主な内容とし、子会社を通じ物流その他サービス事業を展開しております。
東邦亜鉛グループの事業内容及び東邦亜鉛と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
なお、当連結会計年度において取りまとめた事業再生計画の一環として、資源事業からの早期撤退と、亜鉛製錬事業については各種メタルの製品加工業及び亜鉛ダスト処理を中心とした金属リサイクル事業へ再編することを決定しております。
また、前連結会計年度において事業撤退を決定したプレーティング事業、機器部品事業及び防音建材事業の3事業につきましては、当連結会計年度において事業撤退を完了いたしました。
事業の系統図は次のとおりであります。
(注)1.連結子会社(○印)11社(前連結会計年度は14社)、持分法適用会社(※印)該当無し(前連結会計年度は1社)
2.連結子会社であったエンデバー鉱山操業会社2社及びラスプ鉱山操業会社1社(いずれもCBH Resources Ltd.の子会社)については、その全保有株式を譲渡したため、当連結会計年度において連結の範囲から除外しております。
3.持分法適用関連会社であったAbra Mining Pty Ltd.については、豪州会社法に基づく任意管理手続(Voluntary Administration)開始に伴い、同社に対する実質的な影響力がなくなったことにより東邦亜鉛の関連会社に該当しなくなったため、当連結会計年度において持分法の適用範囲から除外しております。なお、当該任意管理手続のもと債権者集会による同社再建案の決議を経て、2025年6月4日付で、その全保有株式の譲渡を完了いたしました。
4.子会社であった諸城華日粉末冶金有限公司及び東邦亜鉛(上海)貿易有限公司については、当連結会計年度において、その全保有株式を譲渡又は清算手続きを完了しております。また、関連会社であった群馬環境リサイクルセンター㈱及び㈱プリーマタイヤサプライズについても、当連結会計年度において、その全保有株式を譲渡しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において東邦亜鉛グループが判断したものであります。
東邦亜鉛グループは以下4項目を経営理念とし、東邦亜鉛グループの経営を行っております。
① “顧客”を満足させる良質の製品・サービスを提供する。
② “株主”の期待に応える業績をあげ、企業価値の増大を図る。
③ “従業員”の生活を向上させ、働き甲斐のある会社にする。
④ “地域”の一員として認められ、地域にとって存在価値のある会社を目指す。
これらの経営理念を土台に、東邦亜鉛グループのサステナビリティ基本方針でもある「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」の実現に向かって、グループ一丸となって取り組んでまいります。
2023年度における東邦亜鉛グループを取り巻く経営環境は、具体的には「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」の《経営環境》に記載したとおりであります。米国経済は金融引き締めのなかで底堅い雇用と所得環境により堅調に推移しましたが、日本経済は物価高・海外経済減速や円安傾向により景気回復に一服感が見られ、欧州経済は金融引き締め政策、また、中国経済は賃金上昇による輸出競争力の低下や不動産市場の低迷が影響するなど、世界経済は減速傾向にあり、ウクライナ情勢やイスラエル・ハマス紛争による中東情勢など国際情勢が不安定化し、エネルギー価格高騰懸念など、今後の経済見通しに不確実性が高まる状況となりました。こうした世界経済の減速感を反映し、東邦亜鉛の主力製品である亜鉛と鉛の金属相場は、年度末に向けて下落傾向が続きました。
東邦亜鉛がこれまで主力とする製錬事業においては、特に亜鉛製錬について、市況変動の大きさや価格転嫁が困難な事業環境の下、固定費抑制など徹底した操業コスト引き下げ等の努力を続けてきましたが、電力費やコークス等の副原料費の高騰により、高コストな事業構造となり、大きく収支が悪化しています。
また、製錬事業に対する原料の長期安定的調達と自山鉱比率の引上げを目的として、豪州CBH Resources Ltd.による鉱山事業に進出しましたが、市況変動や鉱石品位による損益振幅が大きく、操業効率の改善施策等を講じてきたものの、長年に渡り厳しい収支が続いてきました。
このような厳しい事業環境に対処するため、東邦亜鉛といたしましては、2023年11月に2030年ビジョンを策定し、亜鉛製錬については、リサイクル原料比率の引き上げにより収支を改善させること、資源事業については、一時的に多額の損失計上を強いられるものの、現在の東邦亜鉛の財務体力の観点から、収益変動の激しい鉱山事業からの撤退を基本方針として事業ポートフォリオを再構築すること、また、成長が期待される電子部材・機能材料事業の業態拡大を目指すことといたしました。
しかしながら、東邦亜鉛を取り巻く経営環境は、ウクライナや中東情勢等の地政学リスクの高まりによる電力費とエネルギー価格の上昇、コロナ後の景気回復による大幅なインフレ進行に伴う原材料費や人件費の上昇、循環型社会や脱炭素を目指す社会的要請の高まりなど、想定を超えて大きく変化しており、今後もその厳しさを増すことが見込まれます。また、東邦亜鉛の財務基盤を回復させるためには、早期に東邦亜鉛の収益構造を改善させることが急務となっております。
このような危機感から、今般、2030年ビジョンで目指した事業再生施策を大幅に見直し、外部専門家の支援も得ながら、ステークホルダーの皆様から信任いただける抜本的な東邦亜鉛事業再生計画を策定し断行することといたしました。現在、同計画詳細は策定の段階にありますが、骨子は次のとおりであります。
変化に挑戦する企業文化・意識改革を推し進め、東邦亜鉛の事業ポートフォリオを「循環型社会」「脱炭素」「環境問題対応の技術力」及び「顧客に認められる開発力」の観点から再構築し、新しい東邦亜鉛に向けて変革、成長する。
高コスト事業構造である亜鉛製錬事業は、現在取り組んでいるリサイクル原料比率の引き上げによる収支改善に留まらず、今後の事業のあり方をゼロベースで見直す。また、資源事業は、東邦亜鉛の財務体力の観点から継続することは難しく、保有鉱山の閉山や売却などにより早期に事業撤退する。
抜本的な事業ポートフォリオの再編を行い、新しい東邦亜鉛の柱として、国内トップシェアである鉛事業(リサイクル原料比率引き上げによる生産増強と銀等の副産物回収強化)、国内シェアトップクラスの亜鉛リサイクル事業(電炉ダストを原料とする酸化亜鉛の生産効率向上)から成る基盤事業に加え、世界トップシェアの機能材料事業(電解鉄)と、市場拡大・新規案件獲得が期待される電子部材事業から成る成長事業に対して、経営資源を重点的にシフトし、成長と企業価値の向上を目指す。
新しい東邦亜鉛へと成長するために、徹底的なコスト削減、効率的資金運用、保有遊休資産売却による収益性改善、事業環境の変化に対応し的確な経営判断を可能とする組織体制の再整備とガバナンス体制の強化を行う。あわせて、強固な財務基盤への早期回復を目指し、資本性資金の導入も検討する。
本事業再生計画は現在鋭意策定中であります。外部環境の変化に対応して持続的成長を遂げる新生東邦亜鉛の道筋を、財務基盤の回復シナリオとともに、まとまり次第、追って公表いたします。
東邦亜鉛グループの経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において東邦亜鉛グループが判断したものです。
製錬事業の亜鉛及び鉛や銀の原料鉱石価格と製品価格は、LME(ロンドン金属取引所)やその他の国際市場の価格を基準としております。国際市場の価格は、需給バランスや投機筋の思惑、政治や経済の状況などから影響を受けて変動し、価格が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
亜鉛及び鉛の製錬事業の主原料である鉱石は、海外から輸入しておりますが、その買鉱条件である製錬費(T/C)は米ドル建てとなっていることと、各製品の国内販売価格は米ドル建て価格を円換算したものを基礎としているため、米ドルに対する円高は東邦亜鉛グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。この関係は豪州で鉱山業を営む連結子会社CBH Resources Ltd.(以下、CBH社)においても同様で、生産物である鉱石価格が米ドル建てであるため、豪ドル安が好影響をもたらします。そのため、為替相場が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
東邦亜鉛の主要製品である亜鉛の製造には多量の電力消費を伴います。また、亜鉛・鉛の製造にはコークスや重油等を多く使用いたします。電力やコークスの価格は原油、LNGや石炭といったエネルギー資源価格に大きく影響を受けるものであり、同価格が大幅に上昇した場合には、製造原価が大きく悪化し、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、東邦亜鉛グループは根本的には市況の影響を相対的に受けにくい事業の収益拡大及び安定化を図っていくとともに、市況影響を受けやすい製錬事業・資源事業に多くを依存した東邦亜鉛グループの事業ポートフォリオの見直しが必要であります。また、当座の市況影響に対しては、市況変動のリスクヘッジを目的とした為替予約、商品先渡取引やオプション取引などを用いて対処いたします。エネルギーコスト高に対しては、製法や仕入先の工夫により対処いたします。
東邦亜鉛グループの主力事業である製錬事業の主原料である亜鉛及び鉛鉱石の確保は、経営上の重要課題です。亜鉛及び鉛鉱石は、すべてを海外の鉱山から調達しており、世界的な鉱石需給の状況や、鉱山における事故等不測の事態の発生は、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には原料不足による減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらに対して、東邦亜鉛グループは、ペルー・豪州等の有力鉱山との間で長期買鉱契約を結ぶ等、安定的な原料確保を図っております。さらに、廃バッテリーや製鋼ダスト等のリサイクル原料の利用を増加させる等、鉱石以外の原料の多様化を図ってまいります。
東邦亜鉛グループの主力事業である製錬事業や資源事業は市況の影響を受けやすい業態です。市況のコントロールは難しいことから、計画通りの生産を行うことで販売機会を確保することが東邦亜鉛グループの業績には重要です。自然災害(地震や洪水などに加え新型コロナウイルス感染症の拡大といった病気の蔓延を含む)や操業上の事故・トラブルで操業に支障が生じて計画通りの生産が行えない場合、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらについては、長期的な計画に沿った予防的設備保守や、安全操業のための各種施策を確実に行ってまいります。
東邦亜鉛グループは、主に亜鉛・鉛・銀の原料鉱石の安定確保を目指して、豪州において自社開発鉱山を運営しております。しかしながら、鉱山の開発や運営には埋蔵量や操業状況などに関連して、想定外の採算や投資効率の悪化といった不確実性リスクが不可避であり、経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。具体的には採掘コスト増によるコスト高や減損損失の計上による影響です。
東邦亜鉛連結子会社であるCBH社が運営しているラスプ鉱山については、今後の中長期事業計画を慎重に検討した結果、次期主力となる鉱体開発の経済性は低く、同鉱体開発を前提とする同鉱山の中長期事業計画は事業性を見込めないとの結論に至り、当連結会計年度において、2024年中に同鉱山を閉山することを決定いたしました。これに伴い、ラスプ鉱山の固定資産の大宗について減損損失を計上しております。今後の鉱山開発については、東邦亜鉛グループの財務体力の観点から継続は難しく、現在保有している鉱山については、将来的な追加損失の発生を最小限に抑制することを目指して、閉山あるいは売却により早期に撤退する方針としております。当該方針は、現在策定中の事業再生計画の骨子のひとつであり、本計画の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
国内外の事業所においては、環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌、地下水等の汚染防止に努め、また、国内の管理鉱山については、鉱山保安法に基づき、坑廃水による水質汚濁の防止や堆積場の安全管理等、鉱害防止に努めておりますが、関連法令の改正等によっては、東邦亜鉛グループに新たな費用が発生する可能性があります。また、気候変動対策に対する社会的要請が急速に高まっており、東邦亜鉛ではTCFDフレームワークによる分析を実施し、リスク及び機会の把握に努めています。カーボンニュートラルの達成は気候変動対策の中核となりますが、脱炭素実現に向けた取り組みにより、原材料の調達や製造工程等において、追加的な義務(コスト)や事業形態の変更などの可能性があり、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
なお、非鉄スラグの問題(東邦亜鉛が過去に出荷した非鉄スラグの一部における土壌汚染対策法の土壌環境基準超過及び不適切な使用・混入の問題)につきましては、再発防止のため、業務執行部門から独立した専門部署として「品質保証室」、「環境・安全室」を本社に設置しており、品質保証体制を強化するとともに、今一度、環境保全に対する意識を高め、これに取り組んでまいります。
東邦亜鉛グループが事業活動を行う上で保有する情報資産について、万一、従業員等による操作上の錯誤や不正アクセスによる紛失や盗難、サイバー攻撃やコンピュータウイルスの感染等による漏洩や改竄、関連法令への不適合などの事態が発生した場合には、東邦亜鉛グループに対する社会的信用の低下、対策費用の発生、生産プロセスの中断や取引の停止等により、東邦亜鉛グループの経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
これらの情報資産を適切に保護・管理することは経営上の重要課題と位置付けており、情報セキュリティ関連規程を制定し、役職員の情報資産の保護に対する認識を高め管理を強化するとともに、社長の直轄下にサステナビリティ推進本部長を委員長とする「情報セキュリティ管理委員会」を設置し、当該委員会においてPDCAサイクルを回すことにより情報セキュリティ管理における運用体制を定期的に見直しさらなる向上に取り組んでおります。
東邦亜鉛グループは、当連結会計年度において、多額の親会社株主に帰属する当期純損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。東邦亜鉛グループは当該重要事象を解消するための対応策として、現在、事業再生計画を鋭意策定中であります。本事業再生計画につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
なお、継続企業の前提に関する詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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