当連結会計年度におけるエイチワングループ(エイチワン、連結子会社及び持分法適用会社)は、エイチワン及び連結子会社13社、持分法適用会社2社により構成されており、自動車部品の製造及び販売を主たる業務としております。
また、その他の関係会社である本田技研工業株式会社とは、継続的で緊密な事業上の関係にあります。
エイチワングループ各社のセグメントに係る位置付けは次のとおりであります。なお、以下に示す区分はセグメントと同一であります。
(連結対象会社)
(持分法適用会社)
エイチワングループの事業の内容を系統図に示すと以下のとおりであります。
(注)前連結会計年度において連結子会社であったH-ONE India PVT., Ltd.は、当連結会計年度に株式を売却したことに伴い、連結子会社から除外しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、エイチワングループ(エイチワン及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 経営基本方針
エイチワングループは、経営理念に「世界に貢献する企業に向かって『尊重 信頼 挑戦』そこから生まれる夢の実現」を掲げ“多様な文化や価値観を持つ国際社会と協調・協力しながら社会ニーズに応えられる企業として発展していくこと”“先進的な加工技術への挑戦と技術の蓄積によって、期待を超える魅力あふれる製品を素早く提供し、世界中から信頼される企業となること”を目指しております。
これら経営方針とビジョンのもと、株主、顧客、従業員、社会など全てのステークホルダーから信頼される企業であり続けられるよう企業価値、株主価値の向上に努めてまいります。
② 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
CASE革命と呼ばれる100年に一度の自動車業界の変革期にあって、エイチワングループを取り巻く環境は大きく変化しております。エイチワングループでは、強みとする研究から量産までの一貫体制による開発力及び生産力(自動車フレームの性能解析や金型技術、超ハイテン材のプレス・溶接加工技術)を基軸に、急速な変化にも即応しながらゆるぎない成長を遂げていくための戦略基盤となる、2030年を最終年とする長期ビジョン「2030年VISION」を策定し、2023年度を初年度とする第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)とともに、エイチワングループの中長期経営方針として掲げ、企業としての持続的成長の実現とともに、持続的に成長する社会の実現へ貢献、新たな価値を提供できる企業として事業成長を遂げてまいります。
◇2030年VISION
2030年VISION:「Be a Value Creator(価値創造者になる)」
コーポレートスローガン:「Exceed expectations(期待を超える)」
※ なお、2030年VISIONに関して、エイチワングループのコア・コンピタンス(強み・魅力)を、「テクノロジー(お客様のニーズを具現化するものづくり技術)」と「ホスピタリティ(お客様のニーズをお客様と一緒になって実現する)」と定義しております。
2030年VISIONに向けてエイチワングループは、ESGの取組みと価値創造文化の醸成を基盤に、既存事業の強化と新商品の開発を進めてまいります。そして、エイチワングループのコア・コンピタンスとESGを礎としつつこれに全員の「Think Value」を加え、新たな価値を生み出してまいります。そのプロセスでは、自動車業界で存在感を示すとともに、社会に必要とされそして社会に役立つ価値を創出し、これらを通じて期待を超える「Value Creator」を目指しております。
◇第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)
経営方針:事業基盤を再構築し、価値創造思考で確かな成長を実現する
重点施策:
経営指標
2024年5月24日付で経営ビジョン『Change 2027』を公表しており、第7次中期最終年度(2026年3月期)を含む今後3期間の経営指標を次のとおり計画しております。
なお、同期間の売上収益、ROE及び為替レートは次のとおり計画しております。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(収益力の強化)
技術価値に見合った適正な製品価格設定に努めるとともに、省人化等の原価低減策を推進し収益力を強化してまいります。特に重要地域である北米及び中国地域拠点の収益力強化に注力してまいります。
(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)
主力得意先の新車種開発の早期から技術提案営業を進め新規部品の受注獲得を目指すとともに、既生産部品の継続受注を図ります。拡販においても技術提案営業のほかエイチワングループの供給体制を活かし、国内外で受注活動を積極的に進めてまいります。また、金型や鋳物についても受注拡大とこれまでに培ってきた技術や知見を活かした自動車フレームの受注活動を進めてまいります。
(新技術及び新商品の開発推進)
自動車フレームの製造で培った優れた技術とアイデアで夢のある技術開発や商品開発を進め、より多くのお客様に新たな価値を提供し売上収益の拡大を図ってまいります。
(サステナビリティの強化)
環境やLCAに配慮した生産活動や環境に配慮した活動に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現を目指し、地球環境保全へ貢献してまいります。
また、女性の新規採用者における比率の向上や管理職への登用をはじめとした、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、男性の育児休業取得を推進するワークライフバランスへの取組み、安全で働きやすい職場環境づくり、健康経営、人権に関する取組、ガバナンス強化などESG各領域の施策を推進し、サステナビリティを強化してまいります。
(品質高位安定化)
お客様の期待を超える品質水準の達成、安定化に取り組んでまいります。
(人材開発)
グローバルに活躍できる人材の採用、育成、選抜に向けた諸施策を国内外で進めてまいります。
(北米連結子会社における経理体制強化)
北米連結子会社の決算業務の適正化にむけて、以下の対策を講じております。
① 北米連結子会社における経理人材の安定的な確保と育成
(人員拡充と良質な人材確保、決算手順とマニュアルに基づく指導等)
② 北米連結子会社における決算財務報告プロセスの運用定着化
(作業手順書及び決算チェックリストの拡充)
③ 北米連結子会社における棚卸資産の決算処理の早期安定化
(在庫管理システムの改善、担当者の決算処理の習熟度促進等)
④ 北米連結子会社の課題の早期発見と対応策の検討における親会社の監視指導体制の強化
(エイチワンと北米連結子会社との定期的なコミュニケーションの実施、エイチワンの内部監査室による北米連結子会社に対する監査の強化等)
エイチワンは、北米連結子会社の決算業務の安定化にむけて運用を定着させ、親会社としても状況の適時適切な把握に努め支援してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の内容、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下に記載してある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてエイチワングループ(エイチワン、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 依存度の高い販売先
当連結会計年度末日現在、本田技研工業株式会社はエイチワンの発行済株式の20%以上を保有しており、同社はエイチワンのその他の関係会社に該当しております。
エイチワングループは、主に自動車の車体フレームを製造し、複数の自動車メーカー等に販売しておりますが、その最大の販売先はホンダグループ(本田技研工業株式会社、同社の連結子会社及び持分法適用会社)であります。当連結会計年度の連結売上収益における同グループ向けの販売実績は約90%を占めていることから、今後、同グループからの受注量が低下した場合、売上収益の減少を通じてエイチワングループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
エイチワングループは、主に前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)」のとおりホンダグループからの受注獲得に努めると同時に、他の自動車メーカーとの取引拡大にも注力しております。
(2)市場、顧客ニーズに基づく新技術の開発
自動車業界は、電動化の進展並びにCASEやMaaSの拡大といった変革期にあり、技術開発に対する顧客ニーズも多様化してきております。そのような中で、エイチワングループの既存の製品や製造方法に取って代わる新素材を用いた製品や新しい製造技術が市場や得意先に受け入れられた場合には、シェアの低下を通じてエイチワングループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
エイチワングループは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「開発/生産技術の競争力強化」並びに「事業領域の拡大」を据え、より高性能な自動車フレーム並びにその製造技術の研究開発に経営資源を積極的に投入するとともに、中長期で顧客の多彩なニーズにお応えするため新たな技術開発や商品開発を通じた新価値創造を図っております。
(3) 製品の品質
エイチワングループは、国際的な品質管理基準に基づいた品質保証体制を構築し、製品の品質の維持と向上に努めております。しかしながら、エイチワングループの製品に重要な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の責任に問われた場合、多額の対策費用の発生やエイチワングループの評価の低下による受注の減少を通じてエイチワングループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
エイチワングループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「品質高位安定化」を据え、品質向上にたゆまず取り組んでいるほか、不測の事態に備えリスクの一部を生産物賠償責任保険でカバーしております。
(4) 気候変動・環境規制への対応
温室効果ガス排出等による温暖化の深刻な影響に対し、地球環境の保全を喫緊の課題として取り組むことが求められています。各国が強化する環境規制や、ステークホルダーが求める脱炭素への事業を通じた貢献の要請に適切に対応できない場合、社会評価の低下等による機会損失により、エイチワングループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
エイチワングループでは、主に前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題(サステナビリティの強化)」を据え、「2050年度カーボンニュートラル実現」を目指し、生産時(Scope1+2)における温室効果ガス排出量を省エネ施策の実行と再生可能エネルギー由来の電力への切り替えによって削減する取り組みを行っております。製品のライフサイクル(Scope1~3)における温室効果ガス排出量は、購入した鋼板が大部分を占めていることから、より環境負荷の少ない方法で製造された鋼板への切り替えの検討や、リサイクルアルミ加工技術の活用といった技術開発をすすめています。
(5) 財務会計上の見積り
エイチワングループの財政状態及び経営成績は、以下の財務会計的な要因を含む資産及び負債への財務会計上の評価、会計基準の変更及び新たな適用により影響を受ける可能性があります。
① 有形固定資産及び無形資産
事業に供する有形固定資産及び無形資産は事業環境の変化等によって、帳簿価額の回収が見込めなくなった場合には、対象資産に対する減損損失の計上によりエイチワングループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
エイチワングループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「収益力の強化」を据え、エイチワン、連結子会社及び持分法適用会社の業績向上を図るほか、各社の事業計画の月次モニタリングを通じてリスクの早期把握に努めております。
② 退職給付関係
退職給付に係る負債は、退職給付債務と年金資産の動向によって変動しますが、数理計算上の仮定に変動が生じた場合、又は運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合等には、エイチワングループの財政状態及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。
なお、数理計算上の仮定の影響については、後記 「第5 経理の状況 Ⅰ 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22.従業員給付」に記載しております。
③ 繰延税金資産
繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して、将来の課税所得に関する予想等に基づく回収可能性を評価することにより計上されておりますが、経営状況の悪化により回収できないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正等があった場合には、繰延税金資産の額が減額され、エイチワングループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
エイチワングループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「収益力の強化」を据え、エイチワン、連結子会社及び持分法適用会社の業績向上を図るほか、各社の事業計画の月次モニタリングを通じてリスクの早期把握に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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