アドバネクスの企業集団は、アドバネクス、連結子会社14社及び非連結子会社3社で構成され、日本、米州、欧州、アジアにおいて、精密ばねの製造販売を主な内容として事業活動を展開しております。
当企業集団の主な事業に係る位置付け及びセグメントの関連は、次のとおりであります。
なお、次の区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
なお非連結子会社であるAdvanex Deutschland GmbHは、2023年5月29日の取締役会で清算決議をし、現在清算手続中であるため図表から除外しております。
※1 連結子会社
※2 非連結子会社
企業集団の系統図
企業集団の状況について事業系統図で示すと次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてアドバネクスグループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
アドバネクスグループは、「三つのコアを追求し、アドバネクスの企業活動を永続させることで、地球の未来、社会の発展、全てのステークホルダーの幸福実現に貢献する」を経営理念とし、その三つのコアは「Global:新しい発想でグローバルに展開する」「Change:社会や市場の変化を見据えて自ら変化する」「Innovation:常にイノベーションを起こし、新しい価値や技術を発信する」としています。
(2) 目標とする経営指標
アドバネクスグループは、2027年3月期に連結売上高290億円、連結営業利益15億円、自己資本比率30%以上、ROE7.0%以上の達成などを目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題
中国経済の減速が日本のみならず世界経済に影響を及ぼすことやインフレ継続に伴う金利の高止まりが懸念されること、また中東やウクライナでの紛争問題など地政学リスクも発生しており2024年度の世界経済も予断を許さない状況が続くと見ています。一方、長期的には新興国の経済発展に伴い自動車市場や医療市場のさらなる成長が期待できます。
アドバネクスグループは、精密金属加工総合メーカーとして持続的な成長と連結企業価値向上を図るため、グループ一丸となって、次の課題に対し重点的に取り組んでまいります。
1) 精密金属加工分野における事業基盤の強化と領域拡大
① グローバルビジネス展開と海外拠点の収益化
アドバネクスは線ばね、板ばね、フォーミング加工、インサートモールド、深絞り加工など多様な技術を有し、近年ではメキシコ、インドネシア、インド、チェコ及び埼玉に新工場を開設するなど、事業方針に則りグローバルにビジネスの拡大戦略・投資を進めてきました。一方、メキシコ工場は新規受注獲得から量産(販売)開始まで一定期間を要する自動車向け製品がメインであり、宿命的に投資と回収のタイムラグに伴う先行投資負担が嵩むことに加え、オペレーションが未習熟なまま線ばね、板ばね、フォーミング加工、インサートモールドなどの立ち上げを同時に行い現場が混乱したことなどから2024年3月期は営業損失6億円強を計上するなど連結業績に大きなマイナスの影響を与えました。2025年3月期は上述のとおり予断を許さない状況が続くと見ていますが、アメリカ工場が2024年3月期に黒字転換し2025年3月期も収益改善が進むことや、インド工場の黒字化の目途が立ったこと、またシンガポール工場の生産機能停止の決定を行い赤字圧縮が進む見通しであることなどから収益改善は進展すると見ています。なお、メキシコ工場は多くのエキスパートを派遣するなどグループを挙げて改善取り組みを実施することで2027年3月期までに黒字化させる目論見です。
② 自動車関連市場をコア市場とする成長戦略
アドバネクス売上高の過半を占める自動車市場においては、引き続き成長機会を追求し、日系及び欧米系・中国系部品メーカーとの取引拡大を目指してまいります。国内では、CASE(コネクティッド、自動運転、シェア、電動化)や快適性に関する最先端・高付加価値製品の受注を拡大していきます。海外では国内同様「CASE+快適性」関連に加え、メガサプライヤーと呼ばれる大手の自動車部品メーカーに対してアドバネクスのグローバル供給体制をアピールすることにより取引量拡大を図ってまいります。
③ 医療向け事業のブレイクスルー
医療向け事業は、世界において高度医療の受益者となる高・中所得層が今後15年間で倍増すると予測されていること、アドバネクスのばね製品を採用する医薬品キットの認可がグローバルで進んでいること、加えてボラティリティーが少なく長期的に成長する見通しであることなど、収益への貢献が安定的に見込まれるため、今後さらに強化していきたい事業です。医療市場における主な顧客はメガファーマと呼ばれる世界的な製薬メーカーであり、自動車市場同様、アドバネクスのグローバル供給体制は有利であるため、その強みを最大限に活かし拡大を図ってまいります。
④ 自社製品(規格品)の開発強化と売上拡大
看板製品であるコイルスレッドは、市場規模が拡大基調にあり、そもそも世界を見渡しても競合が少ない寡占化された市場であることから、アドバネクスグループとして販売戦略・生産戦略・技術戦略を共有し全体最適化を図り、競争力と収益性を高めてまいります。
2) 財務体質の改善と株主還元
利益還元については、連結業績に連動して配当性向を30%とすることを引き続き基本方針としておりますが、有利子負債の圧縮を進めるとともに自己資本の充実に努めつつ、株主還元の強化を図ってまいります。
3) 企業統治の強化とグループ最適経営
アドバネクスは2021年3月期以降、ガバナンス体制強化をテーマに掲げ海外子会社14社のトップや役員の多くを本社籍社員に切り替えるなどの取り組みを行ってまいりました。2024年5月23日に公表した「新中期経営計画2025/3期-2027/3期」は「飛躍に向けて手を打つ3か年」と位置付けられており、「グローバル連携・団結の強化」「構造改革の実行」「注力市場への経営資源投下」の三つをテーマとして掲げております。連結における実効性の高いコーポレート・ガバナンスが命題として与えられている中、内部統制の仕組みを強化するとともに、これまで以上に企業統治の強化とグループ全体の最適化を目指した経営を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 世界経済の変動
アドバネクスグループの主要な事業分野は、自動車、OA機器、医療、精密機器などの民生製品であり、それらに使われる精密金属加工製品をグローバルに供給していることから世界経済の変動の影響をうけます。特に日本、米州、欧州及びアジアなどの世界の主要市場において予測を超える景気の後退や需要の縮小はアドバネクスグループの経営成績及び財政状態に多大な影響を与えます。
中国経済の減速が日本のみならず世界経済に影響を及ぼすことやインフレ継続に伴う金利の高止まりが懸念されること、また中東やウクライナでの紛争問題など地政学リスクも発生しており2024年度の世界経済も予断を許さない状況が続く見通しでリスク要因と捉えています。
② 為替レートの変動
アドバネクスグループは、グローバル展開が進んでおり、使用する通貨も多岐にわたりますが“地産地消”のビジネスが中心のため、通貨の異なる市場に輸出するケースは少なく、商流における為替レートの変動リスクは比較的低いと言えます。一方、アドバネクスは成長市場の機会を求めて、近年メキシコ、インドネシア、インド、チェコに新工場を開設するため多くの投資を行った結果、資産等における為替レートの変動リスクを抱えております。なお、2024年度は昨今の大幅な円安からの揺り戻しによる為替差損のリスクを懸念しております。つきましては、海外子会社の事業安定化と現地での資金調達シフトを進めつつ、親会社の投資資産を早期回収することで根本的なリスクヘッジを進めていきます。
③ 原材料の高騰
アドバネクスグループは、金属材やプラスチック材などの原材料を材料メーカー及び商社から調達しております。これらの材料メーカー及び商社とは、契約書を締結し安定的な供給に努めていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足もしくは事故や災害等により供給が停止するリスクがあります。現に2023年度は原材料価格が高騰し、主要な収益圧迫要因となりました。主要な顧客とは販売価格と原材料価格を連動させる契約を結びリスクの軽減を図っておりますが、一部は交渉が難航しており、売価反映までのタイムラグがあるなどリスクヘッジは完全ではありません。一方、災害等による供給停止については、アドバネクスグループが扱う原材料の殆どが代替可能な一般材であるため、一部を除いて材料メーカーの変更によりリスク回避は可能であります。
④ その他コストの高騰
アドバネクスグループは、生産活動のほとんどを電力に依っていますので、円安、インフレ、エネルギーコスト高騰による電力料の高騰は収益圧迫要因となります。また、人件費や運送費の高騰も同様です。アドバネクスの主要市場である自動車やOA機器では従来それらのコストアップ分の価格転嫁は認められていませんでしたが、公正取引委員会からの通達もあり、顧客との個別の交渉は必要であるものの徐々に価格転嫁は認められるようになりました。
⑤ 知的財産権の侵害
アドバネクスグループは、ねじ穴を補強するタングレス・インサートやボルト・ナットのゆるみ防止具のロックワンなど、アドバネクスが商標など知的財産権を保有する製品を製造・販売しております。それらの製品は優れた品質と供給網により日本国内や米州、欧州市場を中心に多くの業界や顧客に使用されております。一方、一部の新興国ではアドバネクスの商標を不当に使用した類似製品(いわゆる偽物)が流通していることが確認されております。それらはアドバネクスの商機を不当に奪うことのみならず、劣った品質によりアドバネクスに対するレピュテーションを下げるリスクとなっております。これに対しアドバネクスグループは顧客への注意喚起及び正規代理店を紹介することなどによりリスクの軽減を図っております。
⑥ 製品の品質問題
自動車メーカーは設計や製造段階を原因とする自動車製品の不具合が発見された場合、無料でそれを修理する「リコール」を行うことがあります。アドバネクスグループの売上は自動車関連向けが過半を占めており、アドバネクス製品を起因とする不具合が発生した場合に顧客よりその対応にかかるコストを請求される可能性があります。これに対しアドバネクスグループは、IATF16949(自動車産業向けの品質マネジメントシステム)を取得し運用することや自動品質判定装置を導入することなど“品質問題を起こしえない製造工程”を目指しております。また、顧客との製品の納入仕様について慎重に交渉を行うことでリスクの軽減を図っております。
⑦ カントリーリスク
アドバネクスグループは、グローバル展開が進んでいることから、進出先の地域特有のリスクを抱えております。具体的には経済成長率やインフレ率を無視した最低賃金の引上げやデモ・テロの発生、自然災害や感染症の拡大、関税や法人税率など税制ルールの変更が想定されます。これらに対しアドバネクスグループは、それぞれの海外子会社との情報共有を密にし現地の状況及び現地政府の考えや方針などを分析することで早期に経営判断を下せるように努めております。
⑧ 災害等
地震・台風・水害等の大規模な自然災害や火災・停電等が発生した場合、製造拠点の設備故障や損壊により復旧費用の発生や製品の供給継続に問題が発生するリスクがあります。アドバネクスグループは、それぞれの拠点においてリスクアセスメントを行ったうえBCP(事業継続計画)を策定しており、災害発生時はその計画に基づいて行動することによって早期復旧や損害の極小化を図ってまいります。
⑨ 訴訟
アドバネクスグループは、事業活動において継続的なコンプライアンスの実践に努めております。それにも関わらず、様々な訴訟及び規制当局による法的手続の当事者となる可能性があります。
⑩ 情報セキュリティ
アドバネクスグループは、事業活動における情報システムの重要性が高まっており、情報資産の保護や安定的な供給の実現のためセキュリティ対策を講じていますが、想定を超えるサイバー攻撃や不正アクセスなどにより、基幹情報システムの停止や機密情報の流出などの問題が発生する可能性があります。
⑪ キャッシュ・フロー
アドバネクスグループは、設備投資などの資金需要が生じた場合には、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、アドバネクスの状況などを総合的に勘案し、必要な資金を調達することとしております。このため、金融市場の不安定化が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加することにより、アドバネクスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 固定資産の減損
アドバネクスグループは、国内に5ヵ所、海外に15ヵ所の生産拠点があり、それぞれにおいて有形固定資産、ソフトウエアなど多くの固定資産を有しております。自動車向け製品は新規受注獲得から量産(販売)開始まで数年の時間を要することから、経営環境の変化等で当初計画していた収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合には、帳簿価額を減額し、当該減少額を減損損失として計上することとなるため、アドバネクスグループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 退職給付債務
アドバネクスグループは2011年11月1日付で適格退職年金制度から、一部確定拠出年金制度に移行していますが、アドバネクスグループの従業員退職給付費用及び退職給付引当金は、割引率、年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される基礎率や前提条件に基づいて算出され、さらに過去の年金資産の運用成果等が反映されております。割引率及び年金資産の運用成果の悪化は、アドバネクスグループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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