テクノプロ・ホールディングスグループは、機械、電気・電子、組込制御、ソフト開発・保守、生化学、施工管理領域等における技術者派遣・請負業務を主体に、「R&Dアウトソーシング事業」、「施工管理アウトソーシング事業」、「国内その他事業」、「海外事業」のセグメントで事業を展開しており、2025年6月30日現在、テクノプロ・ホールディングス及び連結子会社30社で構成されています。また、グループ全体で30,575人の技術者(日本国内では28,100人)を擁し、日本全国に221の営業・受託拠点を設置し、日本では、2,700社以上の顧客に技術系人材サービスを提供しています。
テクノプロ・ホールディングスグループは、中長期的な外部環境の変化とテクノプロ・ホールディングスグループのケイパビリティを踏まえ、「技術」「人」「顧客」「社会」の観点から、「『技術』と『人』のチカラでお客さまと価値を共創し、持続可能な社会の実現に貢献する。」というテクノプロ・ホールディングスグループの存在意義を「テクノプロ・グループ・パーパス」として定めており、この「テクノプロ・グループ・パーパス」の実現を通じて、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。加えて、テクノプロ・ホールディングスグループでは「テクノプロ・グループ・パーパス」を起点とした価値観・行動指針を定め、役職員の業務活動に浸透させています。これらを前提とした経営戦略を策定・遂行することで、持続可能な社会の実現に向けた価値創造を目指しています。
「テクノプロ・グループの理念体系図」
テクノプロ・ホールディングスグループは、技術者派遣・請負業務を遂行するために、技術者のスキル向上のための教育研修体制、事業関連法令に対するコンプライアンス体制、情報システムを含めた事務管理体制等を整備しており、事業運営を安定的に支える基盤を確立しています。技術者の多くはテクノプロ・ホールディングスグループの正社員であり、技術者のキャリア形成を支援しつつ顧客へ配属することで、タイムリーな技術者の確保や人件費の変動費化に対する顧客ニーズに安定的に応えており、事業規模を活かしながら高稼働率を維持しています。各事業の概要は、以下のとおりとなります。
(R&Dアウトソーシング事業)
R&Dアウトソーシング事業では、自動車・自動車部品、産業機械・装置、情報通信機器、電気・電子機器、IT、半導体、エネルギー、医薬品、化学等の業界における大手企業を主な顧客として、機械、電気・電子、組込制御、ITネットワーク、ビジネスアプリケーション、システム保守運用、生化学等の技術領域において、クラウドサービスの導入・運用、ERPの要件定義や実装、モデルベースシステムズエンジニアリング、データ解析・計測等の技術者派遣及び請負業務を提供しています。
グループ会社の中では、㈱テクノプロが当分野を主に担っています。㈱テクノプロは社内カンパニー制を採用しており、テクノプロ・デザイン社、テクノプロ・エンジニアリング社、テクノプロ・IT社、及びテクノプロ・R&D社の社内カンパニーが、各々の技術領域における技術者派遣・請負業務を展開しています。
㈱テクノプロの2025年6月30日現在の顧客数は2,054社にのぼり、24,673人の技術者を擁しており、各社内カンパニーが幅広い産業に属する多くの顧客をカバーして、特定の産業の好不調に左右されにくい構造となっています。㈱テクノプロに加えて、2016年3月以降、買収により連結子会社化した以下の各社が、R&Dアウトソーシング事業を構成しています。
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株式取得時期 |
法人名 |
事業内容 |
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2016年3月 |
㈱オンザマーク |
情報システム構築(コンサルティング、設計、開発)、Internet Professional Service 業務 (2020年7月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2016年12月 |
㈱テクノプロ・エンベデッド (旧安川情報エンベデッド㈱) |
組込開発分野における請負・受託、技術者派遣業務 (2017年10月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2017年10月 |
㈱エデルタ |
システムインテグレーション、パッケージプロダクツ販売業務 (2022年7月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2018年1月 |
㈱プロビズモ |
アプリケーション開発・保守・運用、ITコンサルティング、ITインフラ構築業務 |
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2018年4月 |
テクノライブ㈱ |
技術開発支援及び受託開発サービス、システム開発業務 (2018年11月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2018年7月 |
㈱エムアイシステム |
ビジネスアプリケーション及びWEB開発、基幹システム開発保守業務 (2019年5月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2018年11月 |
㈱ソフトワークス |
車載システム、FA系システムの開発、技術者派遣業務 (2018年12月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
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2021年7月 |
㈱ジーコムネット |
ERPパッケージの導入コンサルティング・設計開発・運用保守、技術者派遣業務 (2021年10月に㈱テクノプロへ吸収合併) |
(施工管理アウトソーシング事業)
施工管理アウトソーシング事業は、㈱テクノプロ・コンストラクション及び㈱トクオが営んでいます。㈱テクノプロ・コンストラクションは、建設業界、主に大手ゼネコン・サブコンを顧客として、建築・土木・設備電気・プラント領域における施工管理(安全管理、品質管理、工程管理、原価管理)の技術者派遣業務、建築図面作成の請負業務を提供しています。首都圏・関西圏以外に、北海道、東北、北陸、東海、中国及び九州地方に拠点を有しており、与信、安全衛生及びコンプライアンスに力点を置いた、大手ゼネコンを中心とする重点顧客とのリレーションを重視した事業運営を行っています。㈱テクノプロ・コンストラクションの2025年6月30日現在の顧客数は663社にのぼり、3,427人の技術者を擁しています。また、㈱トクオは、建築分野の調査・設計を主要業務としており、建設分野において上流から下流までの全領域をカバーできる体制構築を進めています。
(国内その他事業)
国内その他事業では、人材紹介及び技術系教育研修業務を行っています。人材紹介は、外資系テクノロジー企業を主要顧客にスカウト型人材紹介を提供するBoyd&Moore Executive Search㈱、及び国内企業に対して技術者の登録型・スカウト型人材紹介を提供するテクノブレーン㈱が営んでおり、テクノプロ・ホールディングスグループのR&Dアウトソーシング事業における技術者採用チャネルの一つとしても活用しています。なお、Boyd&Moore Executive Search㈱の海外子会社については、国内その他事業セグメントではなく、海外事業セグメントに含まれています。技術系教育研修は、ピーシーアシスト㈱が運営する国内43ヶ所のWinスクール等において、テクノプロ・ホールディングスグループ及びグループ外向けに、IT・CAD等の技術教育研修サービスを提供しています。
(海外事業)
海外事業では、中国において4法人体制で技術アウトソーシング及び人材紹介業務、東南アジア・インドにて技術者派遣及び受託開発業務(欧米や日本の顧客へのオフショア・デリバリーを含みます)、英国にて技術者派遣及び人材紹介業務を行っています。現地顧客への事業拡大に加え、アジアや欧米諸国に進出している日系企業に対する技術系サービスの提供及びオフショア業務を積極的に推進しています。さらには、アジアを主体とした有能な外国籍技術者の日本国内における採用にも海外各社のネットワークを活用しています。
なお、技術者派遣業務は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。)に規定されており、テクノプロ・ホールディングスグループが雇用する技術者を派遣先の指揮命令のもと、派遣先の労働に従事させる業務となります。一方で、請負業務は、テクノプロ・ホールディングスグループが顧客から設計・開発を受注し、その成果物を納入する業務であり、技術者はテクノプロ・ホールディングスグループの指揮命令に従います。請負業務は、顧客の拠点に設計開発チームが常駐して行う形態(オンサイト)と、顧客から依頼された業務を持ち帰りテクノプロ・ホールディングスグループ拠点で実施する形態(オフサイト)に大別され、テクノプロ・ホールディングスグループでは、前者を「(狭義の)請負業務」、後者を「受託業務」と称しています。
[事業系統図]
テクノプロ・ホールディングスグループの主要な事業系統図は、以下のとおりです。
技術者派遣・請負業務では、新卒者とキャリア(既卒者)を採用し、顧客のオーダー(引合)を獲得し、オーダーに対して技術者をマッチング(配属)することが主要なビジネスプロセスとなります。また、教育研修やスキル・キャリアパスの管理を含む技術者のサポートも重要なプロセスです。
(2025年6月30日現在)
なお、テクノプロ・ホールディングスは有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
テクノプロ・ホールディングスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、テクノプロ・ホールディングスが合理的であると判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
テクノプロ・ホールディングスグループは、中長期的な外部環境の変化とテクノプロ・ホールディングスグループのケイパビリティを踏まえ、「技術」「人」「顧客」の観点から、テクノプロ・ホールディングスグループの存在意義「パーパス」を定めています。この「パーパス」の実現を通じて、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。
「テクノプロ・グループ・パーパス」
『技術』と『人』のチカラで
お客さまと価値を共創し、
持続可能な社会の実現に貢献する。
「タグライン」
(2)目標とする経営指標
テクノプロ・ホールディングスグループは、売上収益、営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益の中長期的な成長を重視しています。また、テクノプロ・ホールディングスグループの売上収益と営業利益の大半を占めるR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業においては、売上収益の構成要素である、総在籍技術者数、稼働率、及び技術者一人当たり売上を重要なKPIとして管理しています。加えて、先行投資を伴う領域(M&A、技術者の採用・育成等)については、価値創造の観点から、資本コストを意識したROIC(投下資本利益率)指標を重視しています。
(3)外部環境
DX推進のための取組みはさまざまな産業で継続的に行われており、デジタル系技術者を中心とした需要に変化はないと想定しています。一方、中長期的には、構造的な技術者不足問題は解消されず、雇用法制に起因する国内企業における技術者外部依存は継続する見込みです。特に、ローコード/ノーコード開発や生成AI等、常に進化を続けるデジタル技術を自社に取り込むための、IT技術者ニーズはさらに高まると考えています。
総じて、日本を取り巻く中長期的トレンドとして、次のようなことが予想されます。
a.技術変化:デジタル技術・環境技術の開発加速と普及、開発の自動化
b.労働環境・市場の変化:構造的な技術者不足の継続や少子高齢化の進展、雇用の流動化と働き方の多様化
c.グローバル化:開発の海外移転や海外におけるデジタル技術の進展、グローバルな企業間競争の激化
このトレンドは、テクノプロ・ホールディングスグループを取り巻く中長期的な需要と供給に、下記の影響を及ぼすと考えられます。
<需要面>
デジタル化ニーズの高まりを背景として、顧客の情報システム部門に加え、事業部門や現場でのデジタル化が浸透するとともに、全産業とIT産業の垣根が低下し、自前主義からの脱却(オープンイノベーションの浸透)が進みます。加えて、人材・役務の提供だけでなく、成果物、さらには課題の発見・解決策を求める顧客ニーズが高まります。
<供給面>
構造的な技術者不足を背景に、求職者優位の技術者採用市場が継続し、優秀な技術者獲得競争が激化していきます。加えて、フリーランス、副業といった多様な雇用形態が徐々に浸透し、シニア・女性・外国籍といった技術者供給源の重要性が増します。また、クラウドやリモートワーク・ツールの浸透により、ニアショアやオフショアでのサービス提供の可能性が高まり、特に、海外の技術者をいかに有効活用できるかが、供給制約への対処の一つとなっていきます。
(4)会社の経営戦略
上述の中長期的な外部環境を踏まえると、テクノプロ・ホールディングスグループの経営戦略の焦点は、いかに魅力的な仕事を採り・創り、有能な技術者を惹きつけるか、になります。
そのためには、コア事業である国内技術者派遣業務で培った、大手顧客基盤とのリレーション、IT系技術者の規模、技術者育成システム、多様な技術・産業領域をカバーする技術者群、豊富なオーダーを背景とする採用力といった、従来のケイパビリティとコアコンピタンスだけでは不十分であり、「デジタル技術に対応した人材育成やリスキリング力」「国内の供給制約や雇用形態を超える技術者獲得力」「技術知見の組織的な蓄積と活用力」「顧客課題の発見や解決策提案と実行力」を新たに強化していく必要があります。
テクノプロ・ホールディングスグループは、これらケイパビリティの進化に立脚して、コア事業である技術者派遣業務を常に進化させていく必要があり、コア事業の「質」をより重視した成長を図るとともに、「多角化」ではなく『進化』を軸とした事業変革を推進し、中長期的な需要と供給の変化を先んじてとらえた事業拡大とビジネスモデルの変容を目指します。
上記の観点から、以下を主な内容とした、2022年6月期から始まる5ヶ年の中期経営計画『Evolution 2026』を策定し、遂行しています。
(ア)コア事業の基本運営方針
デジタル化や技術者に対する旺盛な需要を背景に、コア事業の短期的成長はまだ十分見込まれます。しかし、中長期的には、技術革新の加速、開発の自動化や海外移転、技術者採用難と賃金上昇等が顕在化した場合には、現行の従来型派遣モデルのまま、売上成長のドライバーとして技術者数の増加、すなわち「規模」のみを追い求める事業リスクは大きくなると考えます。また、同業他社との差別化要因や競争優位の源泉として、これまでの技術者の採用力や顧客への配属力から、人材開発/育成機能の重要性が一段と増しています。採用面においては、国内需給ギャップを解消するため、育成前提の技術者や高スキルの外国籍技術者の採用を強化します。さらに、現在主体とする正社員雇用形態に加え、雇用の流動化や働き方の多様化をとらえた人的資本の活用を志向します。育成面においては、技術者育成機能の強化(教育体制、研修コンテンツ開発、キャリアプラン助言等)やOJT育成環境の拡大(チーム派遣、請負・受託、アライアンス等)を推進します。営業面においても、IT領域における新規顧客セグメント(流通や金融等の非製造業、公共等)を開拓するとともに、顧客接点を活かした、現場技術者による新規オーダー・顧客課題の捕捉を促進します。
(イ)コア事業の進化の方向性
コア事業のバリューチェーン(採用・育成・配属)及び顧客基盤・技術者基盤をレバレッジすることで、「多角化」ではなく『進化』の方向性として、ソリューション事業、技術者育成事業、及びDX推進事業のこれまで以上の成長を図ります。
<ソリューション事業>
従来型技術からデジタルへといった技術領域の拡張、単なる人材だけではなく成果・構想へといったデリバリーの拡張を推進し、デジタル要素技術の役務提供サービス、従来技術にデジタル要素技術を融合した開発サービス、デジタル系グローバル製品に係る技術開発サービス等を提供いたします。ソリューション事業においては、注力するデジタル要素技術・ソリューションを具体的に定めるとともに、グローバル展開を志向することで、国外の技術者・開発ノウハウの活用を推進します。
<技術者育成事業>
テクノプロ・ホールディングスグループの技術者育成資源を集約化したうえで、コア事業の営業チャネルと技術者育成ノウハウを活かし、技術者育成カリキュラムやコンテンツの企業向け外販を推進します。さらには、上流工程としての技術者育成コンサルティングや技術者育成IT基盤を提供することによって、当事業をテクノプロ・ホールディングスグループの収益源の柱の一つへと育てます。
<DX推進事業>
技術者の採用から配属・退職に至るライフサイクルデータを一気通貫で蓄積・分析できることは、テクノプロ・ホールディングスの競争優位性の一つです。これまで開発を進めてきた「タレントマネジメントシステム」を一段と進化させ、現場にて実効性のある分析・施策の仮説検証に基づくAIエンジンを開発し、テクノプロ・ホールディングスグループのデジタルトランスフォーメーションを実現します。加えて、プロフィットセンター化を視野に、データ知見を活用したビジネスモデルを中長期的に構築していきます。
現行の事業セグメントとの関係では、「ソリューション事業」と「DX推進事業」は、R&Dアウトソーシング事業、施工管理アウトソーシング事業、及び海外事業に包含され、「技術者育成事業」は、国内その他事業に包含されます。それぞれの主な短中期的な取組みは、以下のとおりとなります。
① R&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業
テクノプロ・ホールディングスにおいては、技術者一人当たり売上の向上や間接業務効率化等のオペレーション改善を通じて、収益性を高める余地はまだ十分にあると考えています。したがって、多様な採用チャネルの活用と技術者リテンションの取組み強化による技術者数の増加を図るとともに、シフトアップ・チャージアップの推進により、成長と収益性向上を実現いたします。そのためには、注力する要素技術やソリューションを明確化したうえで、技術者育成制度や先端的技術力を有するベンチャーとのアライアンス、有望ITベンダーとのパートナリングといった、外部エコシステムを活用したデジタル技術の習得や役務提供を超えるソリューションの提供が不可欠となります。さらには、情報システム投資によるコアプロセスのIT武装化により、技術者の採用・育成・配属・退職等に係る膨大なデータを蓄積・分析することで、より効果的なビジネスプロセスを実現いたします。
② 国内その他事業
人材紹介、技術者向け教育研修はそれぞれ、主力事業であるR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業のコアプロセス(採用・育成)の一翼を担う業務であり、セグメント間のシナジー創出を強化し、テクノプロ・ホールディングスグループによるデジタル技術者の獲得、技術者の高付加価値化・ソリューション化に寄与することが基本方針となります。加えて、人材紹介では、独自の技術者・外国籍データベースやオフショアオペレーションを活かした差別化を志向いたします。また、技術者向け教育研修では、R&Dアウトソーシング事業の技術者育成で得られた知見・ノウハウを活かし、デジタル技術領域の育成メニューやe-Learningを充実させ、企業顧客への外販を強化いたします。
③ 海外事業
テクノプロ・ホールディングスグループの海外拠点は、ローカルベースでのビジネス(現地の技術者を現地の顧客に配属)を主力展開してきました。今後は、国内のソリューション提供に資するデジタル技術・技術者資源の獲得を目的とした拡大を進めます。デジタル技術での開発力とコスト競争力といった観点から海外拠点を拡充し、オフショアリングモデルと新技術領域でのCenter of Excellence(COE)拠点の構築を推進することで、海外技術者基盤を活かしたソリューションの提供、コストアービトラージを享受する開発体制の強化及び技術・ノウハウの高度化、並びに技術者の国内移転を加速します。
これらの戦略を遂行するにあたり、具体的な中期事業戦略との整合性を重視したM&Aは重要な手段であると位置付けており、積極的に活用していく方針です。テクノプロ・ホールディングスグループでは、中期経営計画の5ヶ年累計で400億円のM&A投資枠を設定し、以下のターゲット領域に示すように、国内ソリューションや海外オフショアの中核拠点、補完的なデジタル要素技術や特定のソリューション・顧客セグメントの獲得を推進します。また、M&Aを実行するに際し、買収後3年以内のROIC(投下資本利益率)10%達成、継続的・反復的な買収、1件当たりの買収額は時価総額の5%を上限とする、といった厳格な財務規律を定めています。
<M&A・アライアンスのターゲット領域>
現行の中期経営計画は、2021年8月10日に公表した「テクノプロ・グループ 中期経営計画(FY22.6-FY26.6)『Evolution 2026』」に詳細を記載しています。
2024年6月期の実績及び2025年6月期の予想数値は、以下のとおりです。
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2021年6月期 (実績) |
2024年6月期 (実績) |
2025年6月期 (予想) |
2026年6月期 (計画) |
5ヶ年平均 伸び率 |
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売上収益 |
1,613億円 |
2,192億円 |
2,370億円 |
2,500億円 |
9.2% |
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営業利益 |
194億円 |
219億円 |
270億円 |
320億円 |
10.5% |
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親会社の所有者に帰属 する当期利益 |
132億円 |
146億円 |
185億円 |
220億円 |
10.7% |
(注)1.5ヶ年平均伸び率は、2021年6月期(実績)を起点として算出しています。
2.M&Aの売上収益への貢献は、2026年6月期に合計300億円を見込んでいます。
(5)対処すべき課題
上記を背景に、対処すべき課題として、以下の内容に取り組んでまいります。これらは各事業セグメントに共通するものとなりますが、特に、②及び④についてはR&Dアウトソーシング事業及び施工管理アウトソーシング事業、⑤についてはR&Dアウトソーシング事業、施工管理アウトソーシング事業及び国内その他事業に、主として関連するものになります。
① 外部環境変化への対応
テクノプロ・ホールディングスグループの主要顧客である大手日系企業は、将来にわたる国際競争力を維持するため、積極的な研究開発投資を継続的に行っており、テクノプロ・ホールディングスグループの持続的な成長の要因となっています。一方で、国内における技術者の供給逼迫や賃金上昇圧力は継続しており、テクノプロ・ホールディングスグループにとっては、技術者採用費用増加、技術者育成費用増加、技術者賃金上昇、技術者退職リスクの増加、といったリスク要因が顕在化してきています。テクノプロ・ホールディングスグループでは、引き続き、需要の高いデジタル技術領域を中心とした技術者育成への投資継続等、量から質への転換を図る一方で、最適な採用と育成ミックスの実現、採用効率・育成効率の向上を推進することで、短期・中長期での売上・利益双方の成長を目指してまいります。
② 契約単価の改善
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2020年 6月期 |
2021年 6月期 |
2022年 6月期 |
2023年 6月期 |
2024年 6月期 |
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技術者一人当たり売上(千円/月) |
630 |
634 |
658 |
669 |
678 |
(注)2021年6月期までは㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションのみ、2022年6月期以降は国内子会社全てを対象とした売上高合算/Σ[月末稼働技術者数]により算定
テクノプロ・ホールディングスグループの技術者一人当たり売上は、既存技術者の契約単価上昇が、下げ要因である稼働日数や残業時間の減少、新卒を含めた未経験技術者の採用を上回り、継続的に上昇しています。また、中期経営計画『Evolution 2026』で打ち出しているソリューション事業の拡大や技術者育成が寄与し、2024年6月期には678千円/月まで技術者一人当たり売上を上昇させることができました。中長期的な技術者需給状況や同業他社の水準を勘案すると、テクノプロ・ホールディングスグループの技術者一人当たり売上は、今後も改善の余地があると判断しています。ソリューション事業の拡大や技術者に対する教育研修の充実等を通じて技術者の付加価値を高めていくことに加えて、戦略的シフトアップ(技術者を同一案件に長期間固定させず、技術者のスキル向上に応じた適正価格水準の案件への配属を進めること)を進め、引き続き契約単価の上昇に取り組んでいます。
③ 高付加価値技術者の確保と育成
人材の確保はテクノプロ・ホールディングスグループの成長の礎であり、高付加価値技術者をいかに多く獲得し、あるいは在籍技術者のスキルをいかに高めていくかは、重要な経営課題の一つです。技術者採用市場は近年逼迫しており、知人紹介や人材紹介会社等の多様な採用チャネルを活用するとともに、外国籍技術者の採用も推進し、ソリューション事業拡大に向けた質を重視した採用強化に努めています。また、中長期的に需要が見込まれるデジタル技術を主体としたターゲット要素技術領域(AI/データサイエンス、クラウド、サイバーセキュリティ等)における技術者育成を、テクノプロ・ホールディングスグループの教育研修基盤と戦略的アライアンスを活用しつつ進めることで、技術者の高付加価値化を図り、技術者人事制度の充実等を通じて、技術者のリテンションを推進してまいります。
④ IT技術の活用とプラットフォーム化
技術者派遣業務においては、採用母集団の形成、スクリーニングと採用、配属(マッチング)、リテンション、研修、育成・要員計画といったコアプロセスが存在し、IT技術の進展により、各プロセスにおける技術者情報を可視化し、一気通貫で活用する仕組みを推進しています。技術者情報の収集・蓄積・分析をデータサイエンスやAIも活用しつつ充実させることで、採用効率の向上、効果的な人材育成、AIマッチングによる適正な技術者配属(契約単価向上)等、コアプロセスを強化するための効果的な打ち手を導入いたします。また、中長期的には、これらの仕組みやデータ分析で得られる知見の技術者育成事業への活用や、さらなる事業化(DX推進事業)を図ります。
⑤ 業務プロセスの向上
テクノプロ・ホールディングスグループの本社及び事業所の事務業務は、プロセス・ルール・帳票の標準化を進めることにより、まだ生産性を向上できる余地があります。営業・人事・会計といったテクノプロ・ホールディングス基幹システムの抜本的な見直しを進め、ワンシステム化・IT共通基盤の強化を目指しています。情報システムへの投資による基幹システムのバージョンアップとともに、内部統制を具備した事務の標準化・効率化を推進し、事務機能の強化を図ることで、事業の拡大・進化に伴うオペレーティングレバレッジの向上を実現いたします。
⑥ コア事業進化のための投資推進
ソリューション事業、技術者育成事業、及びDX推進事業を加速するうえでは、人材獲得・育成、IT投資、M&A投資等の先行投資が必須となります。コア事業である国内技術者派遣業務で培った資産・ケイパビリティを活かし、これら先行投資によりコア事業を進化させることが、テクノプロ・ホールディングスグループの中長期的な成長と価値創造の鍵になります。
成長戦略には必ず不確実性・リスクが伴うものであり、これらをいかにコントロールし対処するかは、戦略実行上の鍵となります。テクノプロ・ホールディングスグループでは、全社的リスク管理(Enterprise Risk Management、ERM)体制として、戦略や事業目的の達成に影響を及ぼす可能性のある事象をリスクと認識し、組織全体として適切に管理する仕組み・プロセスを構築しています。テクノプロ・ホールディングスグループの受容できるリスク量への考え方(リスク選好)を明確化したうえで、網羅的にリスクを識別し、影響度、予見可能性、発生確率等の観点からリスクの定性・定量的な評価を行い、回避、低減、移転、受容等の観点から対策を検討しています。また、テクノプロ・ホールディングスグループの役職員に対して、リスク管理に関する教育・研修を継続的に実施しています。
テクノプロ・ホールディングスグループの全社的リスク管理体制としては、ERM委員会においてリスクを包括的に評価のうえ、ERMに係る基本方針及び体制整備・運用に係るERM計画を策定し、各リスク主管部門と事業部門によるその実行状況をモニタリングしています。また、テクノプロ・ホールディングス取締役会は、ERM委員会からの報告及び取締役会での審議を通じて、全社的リスク管理を監督しています。
以下、各リスクカテゴリーに応じて重要性が高いと考えるリスクを記載いたしますが、予見可能性や発生確率が低い事項も含まれます。テクノプロ・ホールディングス株式に関する投資判断は、これらの記載事項を十分検討したうえで行われる必要があると考えています。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、テクノプロ・ホールディングスが合理的であると判断したものです。また、テクノプロ・ホールディングスグループに発生しうるリスク及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限られるものではありません。
-政治/経済-
(1)顧客の属する業界の景気動向
テクノプロ・ホールディングスグループは、2024年6月30日時点で国内に26,054人の技術者を擁しており、そのうち92.4%(24,061人)が無期雇用となっています。顧客の属する業界の景気が悪化した場合には、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、さらには派遣契約期間中での中途解約等が生じる可能性があります。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では無期雇用の待機技術者の人件費負担が大きくなり、テクノプロ・ホールディングスグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、稼働率の安定的な維持を図っています。また、多様な産業や顧客と取引することで、特定の産業や顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した事業運営を行っています。なお、テクノプロ・ホールディングスグループにおける顧客上位10社の売上高占有率は、11.6%(当連結会計年度)です。
(2)世界的な経済情勢の長期的趨勢
テクノプロ・ホールディングスグループへの需要は、顧客の研究開発やITシステム開発への投資に強く連動しています。テクノプロ・ホールディングスグループの主要顧客である大手日系企業は、将来にわたる国際競争力を維持するため、積極的な研究開発投資を継続的に行っており、テクノプロ・ホールディングスグループの持続的な成長の要因となっています。
しかしながら、近年の世界的な保護主義への回帰や、自由主義経済への制約が将来にわたって継続し、あるいは世界規模での新たな感染症が定期的に蔓延することで、多くの日系企業が研究開発投資に消極的な姿勢に転換した場合には、技術人材への需要が減少し、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、財務健全性を担保し、管理業務の効率性向上を進めるとともに、日本及び進出国の景気・需要動向のモニタリングを強化し、先行KPI管理を実施することで、景気変動への対応力を確立しています。
-技術動向-
(3)技術革新への対応
現代において技術変化のスピードは加速度的に増しており、テクノプロ・ホールディングスグループは、技術革新に適時適切に対応していく必要があります。このような技術革新に関しては、次のようなリスクがあり、これらに対応できない場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・テクノプロ・ホールディングスグループが技術変化の方向性を正しく予測・認識できない場合や、たとえできたとしてもテクノプロ・ホールディングスグループの技術者の有する技術スキルの向上・転換が間に合わず、技術が陳腐化するリスク
・新たな技術により研究開発やITシステム開発の工数が大幅に縮減し、技術人材への需要が減少することによって、テクノプロ・ホールディングスグループに余剰人員が発生するリスク
・新たな技術に対応できる技術者の確保又は育成に、多額の費用が発生するリスク
テクノプロ・ホールディングスグループでは、技術者の有する能力やスキルの高度化、新たな技術の習得等を支援するためにさまざまな教育研修の機会を整備するとともに、教育研修の投資効率の向上に努めています。また、テクノプロ・ホールディングスグループでは、持続的な成長のために、Center of Intelligence(COI)という組織において将来の技術動向等を分析し、注力すべき要素技術・ソリューションを具体的に定め、当該領域で活躍する技術者の確保・育成及びCenter of Excellence(COE)拠点の開発を進めています。
-労働環境-
(4)技術者の確保
国内における技術者需給は逼迫するトレンドが継続し、中長期的には、テクノプロ・ホールディングスグループの技術者人材確保が難航するおそれがあります。特に、デジタル技術領域における技術者の獲得は、需要の増大によって厳しい状況が続いており、需要に見合う供給を十分に確保できない場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
採用力は、テクノプロ・ホールディングスグループの強みの一つであり、優秀な技術者の獲得は成長の推進力です。テクノプロ・ホールディングスグループでは、採用チャネルを人材紹介事業者の活用や知人紹介等に多角化するとともに、外国籍技術者の獲得も推進し、ソリューション事業拡大に向けた質を重視した採用強化に努めています。
年間の国内技術者採用数については、2021年6月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する事業環境の不透明性に対応して採用を抑制したため、前年度に比べ大幅な減少となりましたが、2022年6月期以降は、新卒・中途ともに採用活動の再開により採用数も回復し、総在籍技術者数は2024年6月末時点で過去最高となりました。
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2018年 6月期 |
2019年 6月期 |
2020年 6月期 |
2021年 6月期 |
2022年 6月期 |
2023年 6月期 |
2024年 6月期 |
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技術者採用数(人) |
4,151 |
4,512 |
4,398 |
1,405 |
3,830 |
4,314 |
4,575 |
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総在籍技術者数(人) |
16,797 |
19,293 |
21,264 |
20,330 |
22,048 |
24,125 |
26,054 |
(注)技術者採用数(M&Aによる獲得を含む。)及び総在籍技術者数はともに国内に限り、総在籍技術者数は年度末時点
また、国内における技術者確保という観点では、退職人数が増えることで在籍技術者数が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。毎年従業員満足度調査を実施し、その結果をもとに処遇改善施策を実施する等、退職率の低減に努めています。
(5)国内の人口推移
テクノプロ・ホールディングスグループの事業の大半は国内で行われていますが、国内の総人口や技術者数は継続的に減少すると見込まれており、テクノプロ・ホールディングスグループが事業を展開する市場の縮小や、新卒・中途採用の競争激化が一層進んだ場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、国内での技術人材需要は継続的な高止まりが予想され、グローバル人材の採用や技術開発の効率化によって顧客の技術開発ニーズに応えることができれば、テクノプロ・ホールディングスグループの新たな成長機会となる可能性があります。
(6)雇用慣行や働き方の変化
日本において技術開発サービスの需要が強い背景の一つとして、日本的雇用慣行では迅速な直接雇用人員の調整が困難であり、研究開発やITシステム開発のプロジェクトにおいて、適時適切な人材を確保することが難しいことがあります。しかし近年、日本では雇用慣行が徐々に変化しつつあり、HRテックやリモートワーク等の普及、フリーランスといったギグエコノミーの浸透によって、将来的に雇用の流動化や働き方の多様化が一層進展し、顧客が開発プロジェクトごとに必要な人材を直接確保することが一般化した場合には、人材のアウトソース需要が減少し、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これら雇用慣行や働き方の変化は、テクノプロ・ホールディングスグループにとってリスクである一方、人材の新たな供給源といった機会ともなりうるものです。従来の事業モデルに縛られることなく、フリーランスの活用、オフショアリング開発の拡大や、より一層柔軟な人事制度の導入なども含め、事業モデルを進化させることで成長を図ります。
(7)新事業領域拡大に向けた人材確保
テクノプロ・ホールディングスグループのコア事業の進化を加速させるためには、国内技術者派遣業務の枠を超えた経営・事業人材の確保が不可欠です。テクノプロ・ホールディングスグループは、技術者の採用には競争力があるものの、経営・事業人材の採用には、逼迫した労働市場において業種を問わない事業者との厳しい獲得競争にさらされています。人材紹介会社やM&Aを通じて人材獲得を図るものの、計画どおりに採用が進展しない場合には、コア事業の進化が鈍化し、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、国内人材採用に加えて、人材育成の一層の強化、高度外国人材の活用を進めることで、コア事業の進化を担う人材拡充を図っています。
-戦略/市場・競合・オペレーション-
(8)グローバル化の進展
近年、テクノプロ・ホールディングスグループの主要顧客である大手日系企業は、研究開発やITシステム開発のグローバル化を進めており、この動きは今後ますます加速するものと考えられます。また、新興国の技術力向上により、欧米においては重要な開発プロジェクトであっても、コスト・技術の両面からオフショアリング開発が選択される傾向にあります。テクノプロ・ホールディングスグループがグローバルでのソリューション提供体制を構築できない場合には、こういった日本における技術開発サービス需要の変化に対応できず、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、M&Aを成長戦略の一つの柱と位置付けています。日本企業に対するオフショアリング開発(特にデジタル領域)は、欧米に比べるとまだ浸透しておらず、M&Aによって欧米市場で培ったサービスデリバリー力・技術力・人材を取り込むことは、国内において先行者になりうる機会を創出するととらえています。
(9)顧客の需要動向の変化
近年、デジタル化やソフトウェア化の進展により、顧客が必要とする技術領域の幅は拡がっており、また、顧客需要は単なる役務提供を越えて、成果物、さらには課題発見・解決を求める傾向が強くなっています。これらの需要の変化に適切に対応できない場合には、成長機会を逸し、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、テクノプロ・ホールディングスグループのサービスが役務提供にとどまらず、ソリューション提供型に進化していく必要性を十分認識し、国内技術者派遣業務とのバランスを勘案しつつ、ケイパビリティ獲得のための投資や組織・オペレーションの革新を進めています。
(10)中期経営計画の達成
テクノプロ・ホールディングスグループは、2022年6月期を初年度とする5ヶ年の中期経営計画『Evolution 2026』を策定し、中期事業戦略を遂行しています。しかし、外部環境変化の読み違いやそのスピードに追いつけず、また、想定どおりにテクノプロ・ホールディングスグループのケイパビリティを『進化』させられず、結果としてコア事業の成長や進化を実現できない場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、事業戦略ごとの細かな方針とタイムラインをまとめた5ヶ年のロードマップを作成し、また、各方針に紐づく詳細なKPIを定めて、中期事業戦略の推進・進捗管理体制を強化しています。もし、戦略遂行に遅れが生じたり、修正が必要となったりした場合には、先んじて経営資源の投下や組織体制の強化を図ることで、戦略実現と計画数値の達成の蓋然性を高めるよう努めています。
-M&A/提携・カントリーリスク・会計財務-
(11)企業買収(M&A)
テクノプロ・ホールディングスグループは、成長戦略の一環として、国内・海外におけるM&Aを推進しています。M&Aに際しては、対象となる企業について詳細なデューデリジェンスを実施し、リスク回避に努めていますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、対象会社の当初想定した収益計画を達成できない場合、対象会社の事業運営に支障をきたすような事態が発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、M&Aの基本原則として、中期事業戦略との整合性、買収プロセスの透明性、強固な財務規律、買収後の統合作業(PMI)やガバナンス方針を明確化しており、特に財務規律として、資本コストを上回るROIC(投下資本利益率)を価値創造のための重要な経営指標の一つとして位置付けています。
(12)減損会計の適用
テクノプロ・ホールディングスグループは、2024年6月30日現在、連結財政状態計算書に合計488億85百万円ののれんと無形資産を計上しています。これらは総資産の32.0%を占めており、主要なのれんの内訳は、機械、電気・電子領域(146億51百万円)、Robosoftグループ(102億50百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)になります。テクノプロ・ホールディングスグループでは、国内及び海外において積極的にM&Aを推進している結果、のれんと無形資産は増加傾向にありますが、テクノプロ・ホールディングスグループの収益性に認識可能な低下がみられる場合には、のれんや無形資産の減損が生じているか否かについての判断が必要となります。のれんや無形資産に関する減損損失が生じた場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、のれんは非償却性資産です。
また、M&Aや出資にあたり、ダウンサイドリスクの回避を意識しながら、当初の投資額や取得比率を抑えて減損の潜在額を小さくすることや、売主である創業者にインセンティブを与え、当該事業の経営リスクを軽減することを目的として、非支配株主にプット・オプションを付与している場合があります。当該事業が当初想定した収益計画から大きく乖離した場合には、オプションの公正価値に変化が生じているか否かの判断が必要になり、テクノプロ・ホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、M&Aを実行するに際し、投資検討におけるデューデリジェンスの過程から、事業部門やPMI担当者によるチームを組成し、投資後の計画を先行的に策定し、投資後においては各種施策を早期に開始することで、当該事業の経営改善やグループ間連携の強化による想定シナジーの早期実現に努めています。
-法律規制・情報システム-
(13)関連法制の動向
テクノプロ・ホールディングスグループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣業務を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の許可の取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為がテクノプロ・ホールディングスグループで発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、組織・規程・役職員教育を含めて、厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。
また、労働者派遣法をはじめとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われており、テクノプロ・ホールディングスグループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では労働者派遣法以外にも、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、高年齢者雇用確保措置等の改訂が実施されており、テクノプロ・ホールディングスグループでは当該改訂に対応するための諸施策を採っていますが、今後のさらなる改訂によっては、対応のために多額の費用が発生する可能性があります。一方で、規制の厳格化によって中小派遣事業者が淘汰され、テクノプロ・ホールディングスグループへの需要がさらに増え、市場シェア拡大につながる可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、従業員にとって魅力的な働き方や処遇等を実現する各種制度を関係法令に先駆けて整備し、海外ソリューション事業や技術者育成事業の拡大により、法改正への耐性を強化してまいります。
なお、テクノプロ・ホールディングスグループが許認可を受けている労働者派遣事業及び有料職業紹介事業に関して、事業廃止又は許可取消、事業停止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められています。本書提出日時点において、テクノプロ・ホールディングスが認識している限り、テクノプロ・ホールディングスグループにはこれら事業廃止又は許可取消、事業停止の事由に該当する事実及びその兆候はありません。
(14)個人情報保護
テクノプロ・ホールディングスグループは、技術者を含む従業員や、採用応募者の個人情報を大量に保有しており、個人情報の外部流出が発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループへの社会的信用の失墜等により、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、役職員への継続的な教育研修等を通じて、個人情報の適正な取扱いを浸透させています。また、テクノプロ・ホールディングスCSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び情報システム面も含めた個人情報に関するセキュリティ対策を講じています。
(15)情報セキュリティ
テクノプロ・ホールディングスグループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知りうる可能性があります。テクノプロ・ホールディングスグループの技術者によって、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループへの損害賠償請求等により、テクノプロ・ホールディングスグループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、テクノプロ・ホールディングスグループの情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、テクノプロ・ホールディングスグループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。また、テクノプロ・ホールディングスグループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、テクノプロ・ホールディングスグループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
-労務管理-
(16)労務管理
テクノプロ・ホールディングスグループは、海外を含め約28,000人の従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しています。このため、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、テクノプロ・ホールディングスグループの理念体系における「価値観」として、
『私たちは、
- 一人ひとりの学びや成長を促す環境やプログラムを整備しています
- 専門性を極めるだけでなく、スキルのチェンジや新たな獲得の機会も提供します
- 技術進歩・環境変化に対応し活躍を続けられるよう、全力でサポートします』
を掲げ、採用時における人材品質の確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度の向上等の取組みを実践しています。
-ハザード・ESG・気候変動-
(17)感染症への対応
人・物・金・情報のグローバル化の進展に伴い、感染症のリスクは確実に増加しています。2020年に世界的に拡大した新型コロナウイルスによって、そのリスクは顕在化いたしました。感染症においては、人と人との物理的接触が制約を受けるという特有の要素があり、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営上は、技術者を含む従業員の在宅勤務の要請、技術者の地域間移動の制限、対面での営業活動や採用活動の制約といった供給面においてまず影響が現れます。さらには、国や産業により深度や期間は異なるものの、顧客企業の業績悪化につながり、結果としての技術者需要の減少や研究開発プロジェクトの縮小や遅延といった形で、テクノプロ・ホールディングスサービスの需要面にも影響を与えます。総じて、感染症リスクは、政治・経済、技術動向、労働環境等の他のリスクにも波及する可能性があるものです。新型コロナウイルスに限らず、さまざまな感染症リスクが顕在化し、増大した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、在宅勤務を支える情報システムや人事制度等を構築・運用し、またリモートでの顧客開拓を推進する等、感染症拡大下であっても、従業員の健康・安全を最優先した事業運営体制を整備しています。また、新型コロナウイルスによる感染症リスクに対する認知の劇的な高まりは、デジタル技術の社会・企業活動への浸透を促進することが確実であり、テクノプロ・ホールディングスグループとしては、デジタル技術に対応した技術者・ソリューションを拡充し、事業拡大を図る機会ととらえています。
(18)自然災害・事故
テクノプロ・ホールディングスグループは、全国に200ヶ所以上の事業拠点を有しており、テクノプロ・ホールディングスグループの技術者は国内2,500社以上の顧客先にて勤務しています。そのため、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、テクノプロ・ホールディングスグループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、自然災害や事故について事業継続計画及び企業危機対策規程を定め、一方、情報システム障害に関しては、データリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
(19)気候変動
テクノプロ・ホールディングスグループは、事業運営において敷地や生産設備等を保有する必要がないことから、気候変動による直接的影響は僅少である点をシナリオ分析により確認しています。しかし、炭素税導入や政府の再エネ政策、あるいは低炭素技術や次世代環境技術の進展は、顧客に必要となる技術に影響を与えます。テクノプロ・ホールディングスの技術者やソリューションがこれら顧客需要の変化に対応できない場合、テクノプロ・ホールディングスグループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、テクノプロ・ホールディングスグループの気候変動に対する取組みが不充分で、顧客や投資家の理解が得られない場合、顧客との円滑な取引関係の構築や長期安定株主の獲得に問題が生じる可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、「テクノプロ・グループ 環境方針」において気候変動への対応を環境重点分野の一つに定めています。業界動向・技術動向等の調査分析を担当する専門部署による調査・分析機能を活用し、低炭素・脱炭素等の環境技術に関する技術者育成とソリューション提供体制を強化し、顧客の需要変化に対応いたします。また、2022年6月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに加入いたしました。今後は、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとのより一層良好なコミュニケーションが取れるよう、TCFDのフレームワーク(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に基づいた情報開示を進めるとともに、長期的な視点でリスクを分析し、気候変動に対する対策を進めてまいります。詳しい情報は、テクノプロ・ホールディングスホームページでご確認ください。(https://www.technoproholdings.com/sustainability/environment/tcfd.html)
-レピュテーション-
(20)コンプライアンス・業界イメージ
テクノプロ・ホールディングスグループの主要な事業である技術者派遣業務は、多くの人材を雇用する社会的責任の大きな事業であり、テクノプロ・ホールディングスグループ役職員により、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合、社会的信用や企業イメージを棄損する行為が行われた場合には、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、技術者派遣市場は事業者数が多く細分化されており、テクノプロ・ホールディングスグループのみならず、類似の事業を営む他社においてコンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合にも、業界全体に対するイメージの悪化を通じて、テクノプロ・ホールディングスグループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
テクノプロ・ホールディングスグループでは、テクノプロ・ホールディングス総務・CSR管掌執行役員を委員長とし、テクノプロ・ホールディングス各部門長等で構成されるコンプライアンス委員会において、重視すべきコンプライアンスリスクの特定とその重点管理を行っています。実務面では、グループ横断のコンプライアンス専任部門の設置、トラブル発生時のエスカレーションルールの徹底、内部監査の実施と是正活動、内部通報制度の周知等を通して、重大なコンプライアンス違反の発生を防ぐことに努めています。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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