ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の株価チャート ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズおよび先端研究開発支援事業の欧米市場における販売子会社であるHuman Metabolome Technologies America, Inc. (以下「HMT-A」といいます。)の2社で構成され、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、ヘルスケア研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献する[ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー]を目指して事業を展開する慶應義塾大学発のベンチャー企業です。

 2025年6月期までは先端研究開発支援事業とヘルスケア・ソリューション事業の2事業セグメントに分けておりましたが、ビジネスモデルがほぼ同一であることから、2026年6月期より事業セグメントを統合して1事業として運営しております。

 顧客のライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援のニーズに対しヒューマン・メタボローム・テクノロジーズのメタボローム解析技術・ノウハウにより、ソリューションを提供してまいります。

 

<事業系統図>

 

(1)メタボローム解析

 人間をはじめとする生物は、筋肉や臓器、骨といった多様な機能を持つ器官から成り立ちますが、これらはアミノ酸や脂質、核酸などの代謝物質(メタボライト)を共通の構成因子としており、代謝物質は全ての生命活動において欠かせない役割を担っています。代謝物質は食事により供給され、運動など日々の活動の中で消費されます。その機能に応じて体内や細胞内を移動し、多くの化学反応によって新しい物質へと作り替えられていきます。このような化学反応のことを代謝(メタボリズム)と呼び、この物質変換は代謝経路という一定の規則により成り立っています。代謝の仕組みを理解することは、私たち自身をより深く知ることに繋がります。

 メタボローム解析は幅広い分野で利用されていますが、主に以下のようなニーズ分野で代謝を理解する手法として活用されています。

① ライフサイエンス研究支援

 主にバイオマーカー探索や作用機序解明などの基礎研究分野で利用されています。

 生命活動を営むためには、様々な機能を精緻に制御して”恒常性”を維持する仕組み(内的/外的な影響を最小限にし、一定に保つ仕組み)が備わっています。体温や心拍数が一時的に変化しても元に戻ることが、恒常性の身近な例と言えます。しかし、疾病に罹患することにより恒常性が破綻した場合、代謝物質などの構成要素にも影響が及び、健康の時とは異なる振る舞いを示すようになります。それがバイオマーカーです。バイオマーカーとして広く知られているものに、膵臓の機能指標となる血糖(糖尿病)や肝機能の指標となるγ-GTP(肝硬変等)、腫瘍マーカーとしてPSA(前立腺がん)やCA19-9(膵臓がん等)があります。バイオマーカーとは、特定の疾患に対して客観的に評価できる生体上の指標をいいます。

 バイオマーカーは、疾患をモニターすることを目的に古くから研究されてきましたが、より高感度で一度に多くの物質を分析できる新しい方法の出現により、新たなバイオマーカーの研究成果が相次いで発表されています。メタボローム解析技術により、探索が進んでいるバイオマーカーには、以下のようなものがあります。

・疾患を予測するバイオマーカー

・治療の予後を予測するバイオマーカー

・投薬による副作用を予測するバイオマーカー

・投薬の効果を予測するバイオマーカー

 作用機序解明とは、ある成分を摂取した場合にどの代謝経路に作用しているのかを判断するために代謝物の変動の比較分析から情報を提供するものです。摂取した成分が特定の酵素などに働くことにより、活性化あるいは抑制された結果、その後に生成される代謝物の量に変化が生じます。この群比較を行うことにより、対象成分がどの酵素などに働きかけたのかなどを推定するのに活用されています。

 

② 機能性素材開発支援

 2015年に機能性表示食品制度が開始されました。これは機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそうした商品の正しい情報を得て選択できることを目的としています。国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。この制度により機能性表示食品に関する認知度も向上し、届け出数も増加するともに、その市場規模も大きく増加して今日に至っています。

 この制度は、企業などにより高機能な素材開発の推進を促進することにつながったのみならず、良い素材・商材を生産されている中堅中小企業の幅広い利用にもつながっています。さらに効率的な機能性素材・製品の開発を進めるために、メタボローム解析による網羅的な機能性成分の発見と機能検証への活用が進んでいます。

 

③ バイオものづくり支援

 「バイオものづくり」とは、生物由来の素材を用いてものづくりを行うこと、さらには微生物などの生物の能力を活用して有用化合物などを作り出すことをいいます。化石燃料を原料としないで物質の生産を行うことができることから、カーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして大きな期待が寄せられています。これにより環境負荷低減に貢献できるのみならず、資源自律経済の推進や、食料安全保障の点からも重要視されています。2024年6月に政府が発表したバイオエコノミー戦略では、2030年までに100兆円の市場規模を目標としているとされています。

 バイオものづくりによる物質生産の拡大を促進していくためには、生産コストを大幅に引き下げることが求められます。微生物の反応が化学的な手法と比べて長い時間を要することや、製造に成功するまで技術的に困難なことが多いため、コストが高くなりがちです。この課題を解消するために、微生物や菌株のゲノム編集などによる生産性の向上への取組みが行われてきましたが、それを効率化するためにメタボローム解析が極めて有用です。また培養プロセスにおける生産性向上にもメタボローム解析が大きく貢献しています。

 

(2) ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ設立の経緯

 生物学、医学分野において、オミクス(注1)は生体の網羅的情報を得る手法として重要です。2001年慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授(当時)は、生体内の低分子代謝物質(メタボローム)(注2)を網羅的に測定する方法を開発しました。このメタボローム測定法はキャピラリー電気泳動装置(Capillary Electrophoresis)と質量分析計(Mass Spectrometer)を組み合わせて測定するもので、頭文字をとってCE-MS法と呼ばれています。

 曽我朋義教授の測定法は、生体内のイオン性代謝物質(注3)を、一斉に、かつ、網羅的に測定できる点で画期的な技術でした。メタボローム解析技術は、生物学基礎研究から医薬品開発、疾患バイオマーカー(注4)開発等に用いられるため、本技術の社会的ニーズが見込まれました。

 こうした技術の確立を背景に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、CE-MS法の開発者である曽我朋義教授、冨田勝教授、慶應義塾大学等が中心となり、2003年7月に設立されました。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、慶應義塾大学のアントレプレナー資金制度により出資を受けた慶應義塾大学発ベンチャー企業の第1号となりました。

 

(3) ビジネスモデル

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、主にCE-MS法を用いたメタボローム解析法をコア技術として、代謝物質の網羅的解析技術を用いて顧客の研究開発を支援し、その解析結果に基づくソリューション提案を行うことで、顧客の成功に貢献すべく活動しております。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは顧客から提供された試料から代謝物質を抽出し、CE-MS等によるメタボローム解析などを行い、解析結果を報告書として納品します。また顧客のご要望に応じて解析結果に基づき、専門家によるソリューションを提案するコンサルテーションも実施しております。

 

(4) 事業内容

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは主に以下の3分野のニーズにお応えするサービスを提供しております。

① ライフサイエンス研究支援サービス(略称 LSS:Life Science analysis Support service)

 主に顧客のバイオマーカー探索並びに作用機序解明などのニーズに応えるために、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズが独自には開発した高感度網羅解析技術を活用した受託解析サービスを提供しています。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの解析サービスで得られた代謝物質データは、製薬企業や大学、研究所では基礎生物学研究から薬剤効果及び毒性の評価等、顧客の研究開発進展に貢献しております。

 

② 機能性素材開発支援サービス(略称 FDS:Functional material Development Support services)

 主に機能性素材開発におけるワンストップソリューションサービスを提供しております。機能性成分探索パッケージでは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズのメタボローム解析技術により製品に含まれる機能性関与成分を網羅的に測定することができます。また小規模でのヒト試験「目利き臨床試験」やヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ独自のアルゴリズムを用いたヘルスクレーム予測パッケージにより、素材のもつ機能を推定いたします。これにより迅速かつ効果的にヘルスクレームを予測することが可能なため、素材の新たな機能を見出すとともに、本臨床試験のアウトカム未達のリスクを軽減します。その後の大規模臨床試験などでも対象素材摂取と非摂取の比較をメタボローム解析にて行うことにより、科学的な効果検証を支援いたします。

 

③ バイオものづくり支援サービス(略称 BMS:Bio-Manufacturing Support services)

 主にバイオものづくりにおける生産性向上を支援するサービスを提供しています。

 バイオものづくりの研究開発に取り組む企業は、宿主となる微生物や動物細胞を用いてバイオエタノールや機能性成分、抗体医薬などを生産しておりますが、このプロセスの生産効率化が、バイオものづくりに関わる企業の方々の共通の課題となっております。

 本サービスを活用して細胞内や培養上清中のメタボローム解析を実施する事で、宿主となる細胞が、目的の物質を生成するのに必要な、あるいは不必要な一連の栄養素を明らかにする事が可能となります。具体的には、培養上清中の代謝物質を網羅的にかつ経時的に分析する事で、培養途中で枯渇している成分、培養液中に蓄積する成分、並びに細胞内の代謝物の経時変化を調べる事ができ、生産性向上に向けた様々な施策につなげることができます。

 本サービスに含まれるフラックス解析により、ある物質が別の物質に変換される反応の速度を推定する事ができます。これにより、基質となる物質がどの程度効率的に目的の物質に変換されているか、その流れを可視化する事ができます。加えて理論的に最大量の目的物質が生産される場合の代謝の流れを可視化する事により、理論的にはどの程度のさらなる生産効率化が可能であるかという目標を把握し、基質となる物質をより効率的に目的物質に変換させるためのヒントを得ることができ、バイオものづくりの飛躍的な生産性向上に貢献することが期待されています。

 

(注1)オミクス(omics)とは、生体内に存在する遺伝子及びその発現、タンパク質、代謝物質等を網羅的に解析し、生体内の挙動を理解しようとする研究アプローチです。遺伝子(gene)ではゲノミクス(genomics)、遺伝子発現(transcript)ではトランスクリプトミクス(transcriptomics)、タンパク質(protein)ではプロテオミクス(proteomics)、代謝物質(metabolite)ではメタボロミクス(metabolomics)と表現します。

 

(注2)ヒトや動植物の生体内には、生命活動の維持に必要なATP(アデノシン三リン酸)等の高エネルギー物質や有機酸、アミノ酸等、数多くの代謝物質が存在し、酵素による代謝物質の変換が活発に行われています。メタボロームとは、これら生体由来の代謝物質の総称です。個々の代謝物質を指す場合には、メタボライトと言うこともあります。

 

(注3)イオン性代謝物質とは、水溶液中で電荷を帯びる代謝物質を指します。例えば、食塩(NaCl)は水に溶けると、Na+(ナトリウムイオン)とCl-(塩化物イオン)に分かれます。イオン性代謝物質は、このように分子が分かれて電荷的な性質を持ち、CE-MS法は、こうしたイオン性代謝物質が電荷を帯びている性質を利用し、キャピラリー電気泳動装置で測定試料に含まれる代謝物質を分離します。

 

(注4)疾患バイオマーカーとは、ある病気の有無、進行状況、重症度、あるいは治療効果などを客観的に示す生体内の指標(マーカー)のことです。血液や尿、唾液、組織などから測定できる分子や物質などの情報がバイオマーカーとなります。代謝物質の疾患バイオマーカーとして広く知られているものに、糖尿病の可能性を示唆する血糖や痛風の発症リスクと関連する尿酸などがあります。

 


有価証券報告書(2024年6月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、ヘルスケア分野の研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献する[ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー]を目指して活動をしてまいります。

これらの活動を通じて、産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力の向上(SDG’s目標9)に貢献していきます。その結果クライアント企業及び自社の製品化・サービス化により、感染症などへの予防・対処や健康増進(SDG’s目標3)に貢献していきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、当連結会計年度におきましても11期連続での増収となりました。営業利益も対前年比4.4%増となりましたが、中期経営計画の目標に対しては未達となりました。持続的な中長期的成長を果たすために第21期から第23期(2024年6月期から2026年6月期)までの中期経営計画は成長基盤構築をテーマとしており、中長期的な成長を果たすためのイノベーションを創出しつつ、当初の中期経営計画に基づく利益計画を達成し、企業価値の向上を図っていくことがステークホルダーから期待されているものと認識しております。

2026年6月期までの中期経営計画におきましては、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの企業理念の実現に向けた道のりの通過点として、最終年度には以下の経営指標を目標としております。

 

1)連結売上高      16億円

2)連結営業利益      3億円

 

(3) 経営環境

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の一つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。

また政府がバイオエコノミー戦略2024を発表し、環境負荷軽減、資源自律経済の実現、食料安定供給などに資する「バイオものづくり」市場の急拡大が見込まれています。バイオエコノミー市場は2030年から2040年には200兆円から400兆円になるという試算もあり*1、バイオエコノミー戦略では2030年に100兆円を目指すこととしております*2。「バイオものづくり」の実用化には、生産性向上によるコスト削減が重要な課題の一つですが、メタボロミクスによる生産性マーカーや律速反応の特定が、この課題の解決に極めて有用であると期待されています。

*1:出所:2023年5月経産省資料「2020 McKinsey Global Institute Analysis」

*2:出所:「2024年6月内閣府バイオエコノミー戦略」

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの中期経営戦略は、基盤となる先端研究開発支援事業の持続的収益拡大とヘルスケア・ソリューション事業の早期確立です。

2020年6月期以降、2023年6月期までは会社の経営基盤の構築期間と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。この結果、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ連結では増収増益を継続し、安定した事業基盤・収益基盤を構築することができました。

2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画は、これまでの先端研究開発支援事業において着実な増収増益を図るとともに、ヘルスケア・ソリューション事業の拡大と収益化のための事業基盤構築の時期と位置付けております。

 

[先端研究開発支援事業]

高感度網羅解析技術を活用した新サービスメニューの拡充や生産性の向上を通じて、さらなるオペレーショナル・エクセレンスを高めてまいります。このような活動を推進することでこれまで同様、持続的な増収増益を目指します。

 

[ヘルスケア・ソリューション事業]

機能性素材開発包括支援サービスの提供を通じて、機能性素材開発企業の画期的な製品開発を支援することで、成長に向けた事業基盤を構築してまいります。当該セグメントは開発投資が先行しており、セグメント損失を計上してきましたが、中期経営計画では全社共通配賦経費を除いたセグメント利益の計上を目指します。

 

上述の中期計画達成のために、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが対処すべき課題は以下のとおりです。

①企業分野での売上成長

先端研究開発支援事業、ヘルスケア・ソリューション事業ともに企業分野での売上成長を目指してまいります。

先端研究開発支援事業では、1)革新的な新サービス提供、2)海外事業強化、3)新規事業創造を進めてまいります。

 

1)革新的な新サービス提供

低分子化合物(いわゆる代謝物質)と高分子化合物(タンパク質など)の中間程度の分子量を有する中分子化合物の網羅解析を可能とする独自技術の開発を進め、中分子メタボロミクスサービスとして提供してまいります。

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの強みであるキャピラリー電気泳動質量分析装置(CE-MS)を応用した独創性の高い分析手法であり、既存のメタボロミクス(低分子化合物の網羅解析技術)やプロテオミクス(タンパク質の網羅解析技術)では解析対象に含まれない中分子領域の物質群を網羅的に解析することが可能です。創薬研究に加え新規のバイオマーカーや機能性物質の探索、作用機序の解明などをさらに進化させていくことができます。製薬企業や医学薬学分野の研究者などが主要な顧客になると考えております。

 

2)海外事業強化

欧米グローバル企業からのヒューマン・メタボローム・テクノロジーズサービスに対する評価が高まり、徐々に受注が拡大しております。これを加速するために営業リソースを強化し、特にグローバルファーマ向けの高感度網羅解析サービスの受注を拡大することに加え、新サービスの拡販にも取り組んでまいります。

 

3)新規事業創造

「バイオものづくり」生産性向上支援サービスの開発に取組みます。政府がバイオエコノミー戦略2024を発表し、環境負荷軽減、資源自律経済の実現、食料安定供給などに資する「バイオものづくり」市場の急拡大が見込まれています。バイオエコノミー市場は2030年から2040年には200兆円から400兆円になるという試算もあり*1、バイオエコノミー戦略では2030年に100兆円を目指すこととしております*2。

「バイオものづくり」の実用化には、生産性向上によるコスト削減が重要な課題の一つですが、メタボロミクスによる生産性マーカーや律速反応の特定が、この課題の解決に極めて有用であると期待されています。これには、よりハイスループットなメタボローム解析技術や高度な代謝シミュレーション技術が求められるため、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループはこれまでに培ってきた技術・ノウハウなどを活かし、これら技術の確立を進めており、年度内にもパイロット顧客との取組みを開始する予定です。

*1:出所:2023年5月経産省資料「2020 McKinsey Global Institute Analysis」

*2:出所:「2024年6月内閣府バイオエコノミー戦略」

 

ヘルスケア・ソリューション事業においては、機能性素材開発包括支援サービスの拡販にさらに注力してまいります。2024年8月には大幅に対象物質を拡充した機能性関与成分探索パッケージの提供を開始いたしました。地域商社などと連携して拡販することにより、地域活性化の取組支援を強化してまいります。山形県の地域商社との取組みは、2024年5月より開始しております。今後は他県への横展開などを進めてまいります。また食品・化粧品の機能性に関する予測が可能となるヘルスクレーム予測パッケージも機能を強化して展開を加速してまいります。これらの機能性素材開発包括支援サービスの提供を通じて、廃棄物や残渣などの未利用資源の利活用および価値向上によるSDGs推進の取組みを支援してまいります。

 

②生産性の向上による収益性の更なる改善

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの解析業務は鶴岡本社で実施しており、上述売上増に対応するためのキャパシティ改善を効率的に行うことにより、生産性を改善し、収益性を大幅に改善することにつながります。そのための生産管理システムを導入などのデジタル化の推進に加えて、ロボット導入などによる自働化推進、ハイスループット技術手法の開発による単位当たりの解析時間短縮など、多面的な生産性改善を進めてまいります。また解析以外の業務につきましても、デジタル化を推進していくことで、業務の見える化を推進し、効率改善を通じた生産性改善を行ってまいります。

 

③リスク管理体制の強化

 中期経営計画では、新たなサービス・ソリューションの開発・導入が持続的成長のカギとなるため、チャレンジングな取組みを効率よく実行することが求められています。また、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループを取り巻く事業環境の変化に対する継続的なリスク対策の検討も必要となっています。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループではリスク管理委員会による全社横断的なリスク評価と対策検討を行うことに加えて、月次開発会議での開発に係る討議を行うことで、機動的なリスク管理を実施しております。また情報セキュリティリスクに関しても、一定の対策を講じ、継続的に対応強化を推進しております。

 

④従業員の成長

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの付加価値を創造しているのは従業員です。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループがヘルスケア・ソリューション・プロバイダーへ成長するためには、従業員が新たな価値を創造し、社会実装につなげるという一連のサイクルを高速に回すことが重要となります。そのためには、従業員のさらなる成長が不可欠であり、新たな取組みにも積極的にチャレンジし、成長できる環境(体制・ツール)の整備などに取り組んでまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のような事項があります。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載はヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループに関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが判断したものであります。

(1) 売上高の季節変動に関するリスク

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの主力顧客である大学及び公的研究機関は、公的な補助金を活用し、研究開発活動を進めております。補助金の多くは、6月から7月にかけて徐々に予算の執行が始まります。近年は、早期に予算を執行する傾向にありますが、顧客は年度末までに予算を執行すればよいことや、測定試料の準備が遅延する場合もあり、依然下期に測定試料の到着が集中しております。その結果、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの売上高は第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の受領が遅れた場合には年度内の解析が困難になり、受注がキャンセルされるリスクや、解析量がヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの能力を超え、機会損失が発生するリスクがあります。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループはこのような季節変動による影響を抑えるため、民間企業や年度末の時期が異なる海外からの受注拡大を図ってまいります。

(2) 国内外での競合リスク

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ収益の中心となっているメタボロミクス受託サービスは国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられるようになってきています。価格競争に巻き込まれるとヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの収益性が損なわれる可能性があります。またメタボロミクス以外の解析受託サービスの拡大に関しても市場は拡大していますが、既存競合との競争は避けられず、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループがこれらの解析受託市場において一定のシェアを確保できるかどうかはヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの技術開発力、営業提案力次第となります。

 メタボロミクス受託サービスについては生産性の改善を通じて、原価の引き下げを図り、価格競争力のある収益構造を構築すべく対応を進めております。メタボロミクス以外の解析受託サービスに関しては、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの独自開発による解析サービスを中心に拡大を図り、またワンストップでの解析サービスの提供などにより、競争優位性を維持強化することで対応を進めてまいります。

 

(3) 事業化及び商品開発の遅延リスク

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの成長は主に新規開発によるイノベーションによってもたらされます。新規性の高い開発には失敗がつきものであるため、開発が困難な障害によりとん挫すること、期待する成果を得るために克服すべき障害が想定より多く発生し、成果に至るまでの期間が長引く可能性があります。これらはヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの成長戦略に影響を与えることになります。

 こうした開発遅延によるリスクを最小化するために、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは開発プロジェクトの優先度を精査し、毎月経営者による確認・意思決定を迅速に行うこととしております。また研究者・技術者による新規開発を促進するために、業務時間の一定割合を新規開発に費やすこと、新規アイデア創出に必要な費用を予算化するなどにより、イノベーション創出を促進してまいります。

(4) 学校法人慶應義塾から供与を受けているメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」について

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」の利用について学校法人慶應義塾よりライセンスを受けております。同解析ソフトは、メタボローム解析において基盤となる重要な解析ソフトウエアであることから、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは複数年のライセンス契約を担保するため、別途学校法人慶應義塾と「「KEIO Master Handsソフトウエア」使用の更新に関する合意書」を締結しておりますが、今後何らかの理由により契約が終了した場合には、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 災害によるリスク

 現在の収益の中心である解析受託サービスはその大半が鶴岡本社にて実施されております。鶴岡本社が自然災害その他の事故などにより大きな被害を受けた場合には、その復旧に係る費用並びに一定期間営業が停止することによる機会損失などヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また当該期間中に顧客が競合に移管してしまう可能性なども考えられます。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループではこうしたリスクに対応するために、復旧に要する費用については保険を付保し、また軽度の災害・事故による影響については、その影響が短期的な業績に影響を与えないような対策(停電対策など)を順次講じていますが、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの規模では分析設備の分散などは業務生産性を大きく損なうため、とりうる対策としては限界があります。

 

(6) 小規模組織のリスク

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの役職員数は、当連結会計年度末現在、役員5名及び従業員58名と小規模組織であり、個々の役職員の果たす役割が大きく、一定数の人材が流出した場合に当該分野での事業が一定期間滞る可能性があります。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは、こうした人材流出を抑制するために透明性の高い社風を構築し、従業員と会社のおかれている環境・成果などを共有し、一体感の醸成に取り組んでおります。また業績連動賞与を導入することで会社の利益と個々の役職員の利益の連動性を持たせ、利益配分が公正に行われる体系としております。

 

(7) 情報漏洩リスク

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは顧客の研究開発支援としての解析受託サービスなどを行っているため、顧客の営業秘密にかかわる情報を扱う場合がございます。特に今後成長牽引を期待して展開・拡大を進めていくヘルスケア・ソリューション事業においては顧客からの秘密情報が多く含まれることが想定されるため、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの重過失又はサイバーセキュリティ被害などによる情報漏洩は、顧客に多大なる損害を与える可能性があると同時に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ自身もその損害賠償リスク並びにレピテーションリスクにさらされる可能性があります。

 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループではこうしたリスクに対応していくために、社内情報管理体制の強化並びにサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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