ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の株価チャート ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズおよび欧米市場における販売子会社であるHuman Metabolome Technologies America, Inc.(以下「HMT-A」といいます。)の2社で構成され、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、独創的な質量分析技術を駆使して、研究開発から生産効率化、品質保証・検査までを支える“バイオ解析プラットフォーマー”として、顧客・ユーザに付加価値を提供することをビジョンとして事業を展開する慶應義塾大学発のベンチャー企業です。 顧客のライフサイエンス研究支援、機能性素材開発支援、バイオものづくり支援のニーズに対しヒューマン・メタボローム・テクノロジーズのバイオ解析技術・ノウハウにより、ソリューションを提供してまいります。 <事業系統図> (1)メタボローム解析 人間をはじめとする生物は、筋肉や臓器、骨といった多様な機能を持つ器官から成り立ちますが、これらはアミノ酸や脂質、核酸などの代謝物質(メタボライト)を共通の構成因子としており、代謝物質は全ての生命活動において欠かせない役割を担っています。代謝物質は食事により供給され、運動など日々の活動の中で消費されます。その機能に応じて体内や細胞内を移動し、多くの化学反応によって新しい物質へと作り替えられていきます。このような化学反応のことを代謝(メタボリズム)と呼び、この物質変換は代謝経路という一定の規則により成り立っています。代謝の仕組みを理解することは、私たち自身をより深く知ることに繋がります。 メタボローム解析は幅広い分野で利用されていますが、主に以下のようなニーズ分野で代謝を理解する手法として活用されています。① ライフサイエンス研究支援 主にバイオマーカー探索や作用機序解明などの基礎研究分野で利用されています。 生命活動を営むためには、様々な機能を精緻に制御して”恒常性”を維持する仕組み(内的/外的な影響を最小限にし、一定に保つ仕組み)が備わっています。体温や心拍数が一時的に変化しても元に戻ることが、恒常性の身近な例と言えます。しかし、疾病に罹患することにより恒常性が破綻した場合、代謝物質などの構成要素にも影響が及び、健康の時とは異なる振る舞いを示すようになります。それがバイオマーカーです。バイオマーカーとして広く知られているものに、膵臓の機能指標となる血糖(糖尿病)や肝機能の指標となるγ-GTP(肝硬変等)、腫瘍マーカーとしてPSA(前立腺がん)やCA19-9(膵臓がん等)があります。バイオマーカーとは、特定の疾患に対して客観的に評価できる生体上の指標をいいます。 バイオマーカーは、疾患をモニターすることを目的に古くから研究されてきましたが、より高感度で一度に多くの物質を分析できる新しい方法の出現により、新たなバイオマーカーの研究成果が相次いで発表されています。メタボローム解析技術により、探索が進んでいるバイオマーカーには、以下のようなものがあります。・疾患を予測するバイオマーカー・治療の予後を予測するバイオマーカー・投薬による副作用を予測するバイオマーカー・投薬の効果を予測するバイオマーカー 作用機序解明とは、ある成分を摂取した場合にどの代謝経路に作用しているのかを判断するために代謝物の変動の比較分析から情報を提供するものです。摂取した成分が特定の酵素などに働くことにより、活性化あるいは抑制された結果、その後に生成される代謝物の量に変化が生じます。この群比較を行うことにより、対象成分がどの酵素などに働きかけたのかなどを推定するのに活用されています。 ② 機能性素材開発支援 2015年に機能性表示食品制度が開始されました。これは機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそうした商品の正しい情報を得て選択できることを目的としています。国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。この制度により機能性表示食品に関する認知度も向上し、届け出数も増加するとともに、その市場規模も大きく増加して今日に至っています。 この制度は、企業などにより高機能な素材開発の推進を促進することにつながったのみならず、良い素材・商材を生産されている中堅中小企業の幅広い利用にもつながっています。さらに効率的な機能性素材・製品の開発を進めるために、メタボローム解析による網羅的な機能性成分の発見と機能検証への活用が進んでいます。 ③ バイオものづくり支援 「バイオものづくり」とは、生物由来の素材を用いてものづくりを行うこと、さらには微生物などの生物の能力を活用して有用化合物などを作り出すことをいいます。化石燃料を原料としないで物質の生産を行うことができることから、カーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして大きな期待が寄せられています。これにより環境負荷低減に貢献できるのみならず、資源自律経済の推進や、食料安全保障の点からも重要視されています。現政権の戦略17分野の1つでもあり、今後大きな成長が期待されます。 バイオものづくりによる物質生産の拡大を促進していくためには、生産コストを大幅に引き下げることが求められます。微生物の反応が化学的な手法と比べて長い時間を要することや、製造に成功するまで技術的に困難なことが多いため、コストが高くなりがちです。この課題を解消するために、微生物や菌株のゲノム編集などによる生産性の向上への取組みが行われてきましたが、それを効率化するためにメタボローム解析が極めて有用です。また培養プロセスにおける生産性向上にもメタボローム解析が大きく貢献しています。 (2) ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ設立の経緯 生物学、医学分野において、オミクス(注1)は生体の網羅的情報を得る手法として重要です。2001年慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授(当時)は、生体内の低分子代謝物質(メタボローム)(注2)を網羅的に測定する方法を開発しました。このメタボローム測定法はキャピラリー電気泳動装置(Capillary Electrophoresis)と質量分析計(Mass Spectrometer)を組み合わせて測定するもので、頭文字をとってCE-MS法と呼ばれています。 曽我朋義教授の測定法は、生体内のイオン性代謝物質(注3)を、一斉に、かつ、網羅的に測定できる点で画期的な技術でした。メタボローム解析技術は、生物学基礎研究から医薬品開発、疾患バイオマーカー(注4)開発等に用いられるため、本技術の社会的ニーズが見込まれました。 こうした技術の確立を背景に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、CE-MS法の開発者である曽我朋義教授、冨田勝教授、慶應義塾大学等が中心となり、2003年7月に設立されました。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、慶應義塾大学のアントレプレナー資金制度により出資を受けた慶應義塾大学発ベンチャー企業の第1号となりました。 (3) ビジネスモデル ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、主にCE-MS法を用いたメタボローム解析法をコア技術として、代謝物質の網羅的解析技術を用いて顧客の研究開発を支援し、その解析結果に基づくソリューション提案を行うことで、顧客の成功に貢献すべく活動しております。 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは顧客から提供された試料から代謝物質を抽出し、CE-MS等によるメタボローム解析などを行い、解析結果を報告書として納品します。また顧客のご要望に応じて解析結果に基づき、専門家によるソリューションを提案するコンサルテーションも実施しております。 (4) 事業内容 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは主に以下の3分野のニーズにお応えするサービスを提供しております。① ライフサイエンス研究支援サービス(略称 LSS:Life Science analysis Support service) 主に顧客のバイオマーカー探索並びに作用機序解明などのニーズに応えるために、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズが独自に開発した高感度網羅解析技術を活用した受託解析サービスを提供しています。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの解析サービスで得られた代謝物質データは、製薬企業や大学、研究所では基礎生物学研究から薬剤効果及び毒性の評価等、顧客の研究開発進展に貢献しております。 ② 機能性素材開発支援サービス(略称 FDS:Functional material Development Support services) 主に機能性素材開発におけるワンストップソリューションサービスを提供しております。機能性成分探索パッケージでは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズのメタボローム解析技術により製品に含まれる機能性関与成分を網羅的に測定することができます。また小規模でのヒト試験「目利き臨床試験」やヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ独自のアルゴリズムを用いたヘルスクレーム予測パッケージにより、素材のもつ機能を推定いたします。これにより迅速かつ効果的にヘルスクレームを予測することが可能なため、素材の新たな機能を見出すとともに、本臨床試験のアウトカム未達のリスクを軽減します。その後の大規模臨床試験などでも対象素材摂取と非摂取の比較をメタボローム解析にて行うことにより、科学的な効果検証を支援いたします。 ③ バイオものづくり支援サービス(略称 BMS:Bio-Manufacturing Support services) 主にバイオものづくりにおける生産性向上を支援するサービスを提供しています。 バイオものづくりの研究開発に取り組む企業は、宿主となる微生物や動物細胞を用いてバイオエタノールや機能性成分、抗体医薬などを生産しておりますが、このプロセスの生産効率化が、バイオものづくりに関わる企業の方々の共通の課題となっております。 本サービスを活用して細胞内や培養上清中のメタボローム解析を実施することで、宿主となる細胞が、目的の物質を生成するのに必要な、あるいは不必要な一連の栄養素を明らかにすることが可能となります。具体的には、培養上清中の代謝物質を網羅的にかつ経時的に分析することで、培養途中で枯渇している成分、培養液中に蓄積する成分、並びに細胞内の代謝物の経時変化を調べることができ、生産性向上に向けた様々な施策につなげることができます。 本サービスに含まれるフラックス解析により、ある物質が別の物質に変換される反応の速度を推定することができます。これにより、基質となる物質がどの程度効率的に目的の物質に変換されているか、その流れを可視化することができます。加えて理論的に最大量の目的物質が生産される場合の代謝の流れを可視化することにより、理論的にはどの程度のさらなる生産効率化が可能であるかという目標を把握し、基質となる物質をより効率的に目的物質に変換させるためのヒントを得ることができ、バイオものづくりの飛躍的な生産性向上に貢献することが期待されています。 (注1)オミクス(omics)とは、生体内に存在する遺伝子及びその発現、タンパク質、代謝物質等を網羅的に解析し、生体内の挙動を理解しようとする研究アプローチです。遺伝子(gene)ではゲノミクス(genomics)、遺伝子発現(transcript)ではトランスクリプトミクス(transcriptomics)、タンパク質(protein)ではプロテオミクス(proteomics)、代謝物質(metabolite)ではメタボロミクス(metabolomics)と表現します。 (注2)ヒトや動植物の生体内には、生命活動の維持に必要なATP(アデノシン三リン酸)等の高エネルギー物質や有機酸、アミノ酸等、数多くの代謝物質が存在し、酵素による代謝物質の変換が活発に行われています。メタボロームとは、これら生体由来の代謝物質の総称です。個々の代謝物質を指す場合には、メタボライトと言うこともあります。 (注3)イオン性代謝物質とは、水溶液中で電荷を帯びる代謝物質を指します。例えば、食塩(NaCl)は水に溶けると、Na+(ナトリウムイオン)とCl-(塩化物イオン)に分かれます。イオン性代謝物質は、このように分子が分かれて電荷的な性質を持ち、CE-MS法は、こうしたイオン性代謝物質が電荷を帯びている性質を利用し、キャピラリー電気泳動装置で測定試料に含まれる代謝物質を分離します。 (注4)疾患バイオマーカーとは、ある病気の有無、進行状況、重症度、あるいは治療効果などを客観的に示す生体内の指標(マーカー)のことです。血液や尿、唾液、組織などから測定できる分子や物質などの情報がバイオマーカーとなります。代謝物質の疾患バイオマーカーとして広く知られているものに、糖尿病の可能性を示唆する血糖や痛風の発症リスクと関連する尿酸などがあります。

有価証券報告書(2026年6月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、「独創的な質量分析技術を駆使して、研究開発から生産効率化、品質保証・検査までを支える“バイオ解析プラットフォーマー”として、顧客・ユーザに付加価値を提供する」ことをビジョンとしております。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの経営基本方針は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが競争優位性を有するメタボローム解析技術・ノウハウを基軸にした新規事業・新サービスの開発(イノベーション)を強力に推進していくと同時に、業務活動全般におけるオペレーショナル・エクセレンスを高めていくことでさらなる収益性の向上を図り、ステークホルダー全体の満足度を向上し、企業価値を高めていくことです。 (2) 目標とする経営指標ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、2026年7月から2031年6月までの5か年中期経営計画[TIAD6]を策定しました。TIAD6は、企業価値の倍増と加速的な持続的成長の基盤整備を目的に「成長加速基盤構築の期間」と位置付けています。以下の経営指標に対して目標を設定しております。 1)連結営業利益        6億円2)連結売上高営業利益率    25%以上3)連結ROE           15%以上 (3) 経営環境ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の1つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。また政府の戦略17分野の1つであるバイオものづくりに係るビジネスも継続した拡大が見込まれています。また近年のAIの進化は目覚ましく、バイオ解析分野においてもAIを活用したデジタルバイオの時代に向かうことが見込まれています。デジタルバイオ時代は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズにとっても多くの効率化の機会をもたらすと考えておりますが、一方でAIを活用したシミュレーションが拡大することにより、研究開発領域での競争激化や受託解析需要の減少の恐れもあります。 (4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題2020年6月期以降、2023年6月期までは「経営基盤整備の期間」と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画では、これまでの先端研究開発支援事業(現ライフサイエンス研究支援サービス)において着実な増収増益を図るとともに、ヘルスケア・ソリューション事業(現機能性素材開発支援サービス)の拡大と収益化のための「成長基盤構築の期間」と位置付けておりました。2025年6月期には当時のヘルスケア・ソリューション事業のセグメント利益が黒字化し、安定軌道に乗せることができました。また2025年7月より新規事業としてバイオものづくり支援サービスの提供を開始し、2026年6月期に本サービスは計画を上回る成果をあげることができました。一方で、ライフサイエンス研究支援サービスは、3年連続で減収となり、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ全体の中期経営計画未達の主要因となりました。ライフサイエンス研究支援サービスの低迷は、主に国内アカデミア大型案件の年次変動と海外事業の減少によるものです。また設備投資などによる製造原価の増加も全社の利益に影響を及ぼしています。このような結果から、アカデミア案件に左右されない収益構造を構築すること、需要減少の際にも選ばれるだけの技術競争力の強化をしていくこと、さらなる生産性向上の取組が必要であることを確認しました。 これらを踏まえて、5か年中期経営計画[TIAD6]を策定いたしました。TIAD6では下記の5つの課題に対し、重点戦略を定めて実行してまいります。①既存事業の維持・拡大過去3か年において減収となったライフサイエンス研究支援サービスは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの中核であるため、本サービスの維持・拡大が課題となります。また機能性素材開発支援サービスもこれまでは順調に売り上げを拡大してまいりましたが、今後は維持・拡大のステージに入ると考えています。一方、2025年7月よりサービスを開始したバイオものづくり支援サービスは、政府の戦略17分野の1つに選定されるなど今後も大きな成長が見込まれる分野です。このような中、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは以下の戦略により、「既存事業の維持・拡大」を遂行してまいります。 1)営業改革ライフサイエンス研究支援における営業改革を推進してまいります。これまでは受注対応型の営業スタイルが多く、属人的営業にとどまる面がございました。今後企業案件の拡大を進めていくためには、企業顧客の潜在ニーズ創出型の営業スタイルに変えていく必要があり、それを組織として再現性のある「型」に落としていく必要があります。またデータやAIを駆使して営業効率を改善していくことにも取り組んでまいります。 2)バイオものづくり支援の拡大ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズでは、代謝データに微生物に関する様々なデータを統合して、AI解析を行い、代謝シミュレーションに基づいた生産性改善のための仮説提案をさせていただいております。本サービスのさらなる拡大のために、AIを活用して収率向上メカニズムにまで踏み込んだ提案やコンサルティング、ハイスループット解析の磨き込みなどを推進してまいります。 ②事業領域の拡張 既存事業の維持・拡大だけでは成長を加速することは難しいため、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、これまで以上に果敢に事業領域の拡張に取り組んでまいります。 質量分析技術を活用したヘルスデータの測定・解析は、近年AIの発展に伴い、北米を中心に拡大しています。日本では自由診療はまだ黎明期に近い状態ですが、パーソナルヘルスデータを活用した先端医療は、今後の成長領域と考えられています。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、2027年6月期に「ヘルスケア検査受託サービス」という研究開発領域以外の事業に進出してまいります。 ③技術競争力の強化 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズは高感度網羅解析を競争優位性としてこれまで事業を拡大させてまいりました。またバイオものづくり支援のためにハイスループット化にも取り組んでまいりました。今後のAIの発展に伴うデジタルバイオ時代を見据えて、さらに技術的な競争力を強化していくために、高感度分析は「超高感度分析」に大幅にアップグレードし、ハイスループットに関してもさらなる短縮を図ってまいります。またDIAと呼ばれるデータ駆動型解析手法に対応したマルチオミクス解析技術や、標品となる試薬を使わなくても物質の同定ができるライブラリーフリーアノテーション技術の開発にも取り組んでまいります。 ④生産性の向上 人手不足の環境が継続することが見込まれる中、増加する受注に対応するためには鶴岡本社ラボのキャパシティ拡大を、生産性向上により推進していく必要があります。そのために多角的なAI導入、ロボット活用による省人化、ヘルスケア検査受託サービスによる業務平準化によるリソースの有効活用により生産性向上を図ってまいります。 ⑤人的資本強化 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの付加価値を創造しているのは従業員です。TIAD6は従業員のスキルアップとエンゲージメントアップなどなくしては達成できません。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの人的資本を強化するために、専門力強化プログラムの推進と従業員向け譲渡制限付き株式付与制度を新たに実施してまいります。

事業等のリスク

3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のような事項があります。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載はヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループに関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、ご留意ください。  なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループが判断したものであります。(1) 売上高の季節変動に関するリスク ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの主力顧客である大学及び公的研究機関は、公的な補助金を活用し、研究開発活動を進めております。補助金の多くは、6月から7月にかけて徐々に予算の執行が始まります。近年は、早期に予算を執行する傾向にありますが、顧客は年度末までに予算を執行すればよいことや、測定試料の準備が遅延する場合もあり、依然下期に測定試料の到着が集中しております。その結果、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの売上高は第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の受領が遅れた場合には年度内の解析が困難になり、受注がキャンセルされるリスクや、解析量がヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの能力を超え、機会損失が発生するリスクがあります。 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループはこのような季節変動による影響を抑えるため、民間企業や年度末の時期が異なる海外からの受注拡大を図ってまいります。(2) 国内外での競合リスク ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ収益の中心となっているメタボローム解析受託サービスは国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられるようになってきています。価格競争に巻き込まれるとヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの収益性が損なわれる可能性があります。またメタボローム解析以外の解析受託サービスに関しても市場は拡大していますが、既存競合との競争は避けられず、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループがこれらの解析受託市場において一定のシェアを確保できるかどうかはヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの技術開発力、営業提案力次第となります。 メタボローム解析受託サービスについては生産性の改善を通じて、原価の引き下げを図り、価格競争力のある収益構造を構築すべく対応を進めております。メタボローム解析以外の解析受託サービスに関しては、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの独自開発による解析サービスを中心に拡大を図り、またワンストップでの解析サービスの提供などにより、競争優位性を維持強化することで対応を進めてまいります。(3) 事業化及び商品開発の遅延リスク ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの成長は主に新規開発によるイノベーションによってもたらされます。新規性の高い開発には失敗がつきものであるため、開発が困難な障害により頓挫すること、期待する成果を得るために克服すべき障害が想定より多く発生し、成果に至るまでの期間が長引く可能性があります。これらはヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの成長戦略に影響を与えることになります。 こうした開発遅延によるリスクを最小化するために、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは開発審議会で開発プロジェクトの優先度を精査し、毎月経営者による確認・意思決定を迅速に行うこととしております。また研究者・技術者による新規開発を促進するために、業務時間の一定割合を新規開発に費やすこと、新規アイデア創出に必要な費用を予算化するなどにより、イノベーション創出を促進してまいります。(4) 学校法人慶應義塾から供与を受けているメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」について ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」の利用について学校法人慶應義塾よりライセンスを受けております。同解析ソフトは、メタボローム解析において基盤となる重要な解析ソフトウエアであることから、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは複数年のライセンス契約を担保するため、別途学校法人慶應義塾と「「KEIO Master Handsソフトウエア」使用の更新に関する合意書」を締結しておりますが、今後何らかの理由により契約が終了した場合には、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 災害によるリスク 現在の収益の中心である解析受託サービスはその大半が鶴岡本社にて実施されております。鶴岡本社が自然災害その他の事故などにより大きな被害を受けた場合には、その復旧に係る費用並びに一定期間営業が停止することによる機会損失などヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また当該期間中に顧客が競合に移管してしまう可能性なども考えられます。 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループではこうしたリスクに対応するために、復旧に要する費用については保険を付保し、また軽度の災害・事故による影響については、その影響が短期的な業績に影響を与えないような対策(停電対策など)を順次講じていますが、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの規模では分析設備の分散などは業務生産性を大きく損なうため、とりうる対策としては限界があります。 (6) 小規模組織のリスク ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの役職員数は、当連結会計年度末現在、役員5名及び従業員65名と小規模組織であり、個々の役職員の果たす役割が大きく、一定数の人材が流出した場合に当該分野での事業が一定期間滞る可能性があります。 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループでは、こうした人材流出を抑制するために透明性の高い社風を構築し、従業員と会社のおかれている環境・成果などを共有し、一体感の醸成に取り組んでおります。また業績連動賞与を導入することで会社の利益と個々の役職員の利益の連動性を持たせ、利益配分が公正に行われる体系としております。 (7) 情報漏洩リスク ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループは顧客の研究開発支援としての解析受託サービスなどを行っているため、顧客の営業秘密にかかわる情報を扱う場合がございます。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループの重過失又はサイバーセキュリティ被害などによる情報漏洩は、顧客に多大なる損害を与える可能性があると同時に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループ自身もその損害賠償リスク並びにレピュテーションリスクにさらされる可能性があります。 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズグループではこうしたリスクに対応していくために、社内情報管理体制の強化並びにサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。



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