小松製作所(コマツ)の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部を改正する内閣府令」(平成14年(2002年)内閣府令第11号)附則第3項の規定により、米国会計基準に準拠して作成しており、当該連結財務諸表をもとに、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しています。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。
小松製作所(コマツ)グループ(小松製作所(コマツ)及び小松製作所(コマツ)の関係会社)は「建設機械・車両」、「リテールファイナンス」、「産業機械他」の3部門にわたって、製品の研究開発、生産、販売、サービス、販売金融に至る幅広い事業活動を国内及び海外で展開しています。
小松製作所(コマツ)グループは、小松製作所(コマツ)、連結子会社217社、及び持分法適用会社41社より構成されています。
主な事業内容と主な関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであり、主な事業内容と事業の種類別セグメント情報における事業区分は一致しています。
事業区分及び主要製品・事業内容 |
主要会社 |
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建設機械・車両事業 |
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掘削機械 |
油圧ショベル、ロープショベル、ミニショベル、バックホーローダー、ブラストホールドリル |
小松製作所(コマツ)、コマツカスタマーサポート㈱、コマツ物流㈱、コマツアメリカ㈱、ヘンズレー・インダストリーズ㈱、コマツマイニング㈱、ジョイ・グローバルアンダーグラウンドマイニング㈲、ジョイ・グローバルサーフェスマイニング㈱、ジョイ・グローバルロングビューオペレーションズ㈲、コマツブラジル㈲、コマツブラジルインターナショナル㈲、コマツホールディングサウスアメリカ㈲、コマツカミンズチリ㈲、ジョイ・グローバルチリ㈱、欧州コマツ㈱、英国コマツ㈱、コマツドイツ㈲、コマツイタリア製造㈱、コマツフォレスト㈱、㈲コマツ・シー・アイ・エス、小松(中国)投資有限公司、小松(常州)建機公司、小松機械製造(山東)有限公司、コマツインドネシア㈱、コマツマーケティング・サポートインドネシア㈱、バンコックコマツ㈱、コマツインディア㈲、コマツオーストラリア㈱、ジョイ・グローバルオーストラリアホールディングカンパニー㈱、ジョイ・グローバルオーストラリア㈱、コマツ南アフリカ㈱ 他子会社152社 (会社総数183社) |
積込機械 |
ホイールローダー、ミニホイールローダー、スキッドステアローダー |
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整地・路盤用機械 |
ブルドーザー、モーターグレーダー |
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運搬機械 |
ダンプトラック、アーティキュレートダンプトラック、クローラーキャリア |
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林業機械 |
ハーベスター、フォワーダー、フェラーバンチャー、ログローダー、植林機 |
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地下建設機械 |
シールドマシン、トンネルボーリングマシン |
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地下鉱山機械 |
コンティニュアスマイナー、シアラー、ロードホールダンプ、トラック、ジャンボドリル、ドリフター |
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環境リサイクル機械 |
自走式破砕機、自走式土質改良機、自走式木材破砕機 |
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産業車両 |
フォークリフト |
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その他機械 |
鉄道メンテナンス機械 |
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エンジン、機器 |
ディーゼルエンジン、ディーゼル発電機、油圧機器、バッテリー |
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鋳造品 |
鋳鋼・鋳鉄品 |
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物流関連 |
運輸、倉庫、梱包 |
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ソリューションビジネス |
無人ダンプトラック運行システム(AHS)、フリート管理システム、鉱山機械シミュレーター、坑内掘り通信デバイス、スマートコンストラクションⓇ、KOMTRAX、林業施業ソリューション、建機・林業機械シミュレーター |
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事業区分及び主要製品・事業内容 |
主要会社 |
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リテールファイナンス事業 |
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販売金融
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建設・鉱山機械のリース、割賦
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小松製作所(コマツ)、コマツビジネスサポート㈱、コマツフィナンシャルパートナーシップ、コマツフィナンシャルヨーロッパ㈱、コマツオーストラリアコーポレートファイナンス㈱ 他子会社13社 (会社総数18社)
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産業機械他事業 |
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鍛圧機械 |
サーボプレス、機械プレス |
小松製作所(コマツ)、コマツ産機㈱、コマツNTC㈱、ギガフォトン㈱ 他子会社15社 (会社総数19社) |
板金機械 |
レーザー加工機、プラズマ加工機、プレスブレーキ、シヤー |
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工作機械 |
トランスファーマシン、マシニングセンター、クランクシャフトミラー、研削盤、ワイヤーソー |
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防衛関連 |
弾薬、装甲車 |
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温度制御機器 |
サーモモジュール、半導体製造用温度制御機器 |
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光学機械 |
半導体露光装置用エキシマレーザー |
(注) 主要会社の会社数は提出会社及び連結子会社数です。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において小松製作所(コマツ)が判断したものです。
小松製作所(コマツ)グループ(小松製作所(コマツ)及び連結子会社)では、「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを存在意義として定義し、これを実現するための基本的な考え方として、「品質と信頼性」を追求し、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和を最大化することを経営の基本としています。
この経営の基本を実行するための戦略として、中期経営計画を策定し、顧客価値創造を通じたESG課題解決と収益向上の好循環を生み出し、持続的な成長を図ります。
<中期経営計画:「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」>
2022年4月より、3カ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」 がスタートしています。
中期経営計画では、「安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場をお客さまとともに実現する」という目指すべき姿に向けて、ダントツ商品(製品の高度化)、ダントツサービス(稼働の高度化)、ダントツソリューション(現場全体の最適化)が三位一体となるダントツバリュー(新たな顧客価値)の創出に取り組みます。
未来の現場の実現に向けては、モノ(機械の自動化・自律化と効率化・低排出カーボン化)とコト(顧客プロセス全体の最適化)の両面でのイノベーションに取り組んでいきます。更に、地球温暖化対策と事業成長の両立を実現するため、未来の現場へのロードマップを策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを経営目標のチャレンジ目標としています。
未来の現場へのロードマップ
<成長戦略3本柱と重点活動>
現中期経営計画では、前中期経営計画から引き続き、サステナビリティを重視し、目指す姿からバックキャスティングを行うとともに、外部環境の変化と経営課題などを踏まえ、成長戦略の3本柱として、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築に取り組んでいます。
成長戦略3本柱
足元の外部環境は、気候変動などのサステナビリティリスクに加え、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスク、半導体などの先端技術を巡る経済安全保障リスクや、サイバーセキュリティリスクの増大などにより、不確実性がますます高まっています。
主力の建設・鉱山機械事業の市場環境は、中長期的には、新興国を中心とした人口増や都市化の進展、あるいは、先進国における堅調なインフラ更新投資などにより、緩やかな成長が見込まれますが、短期的には、前述のように、さまざまな外部環境リスクがあり、需要のボラティリティは高いと見込まれます。
こうした環境の中、小松製作所(コマツ)では、将来に向けて、電動化や自動化・自律化・遠隔操作化、コンポーネントやシステム開発などの技術分野、及びソリューションビジネスやバリューチェーンビジネス、林業機械、坑内掘りハードロックなどの事業分野を成長分野と位置づけ、価値創造(イノベーション)のための重点投資を継続していきます。
また、地域・分野特性に応じた商品企画・開発などによる成長市場でのプレゼンス拡大や、コンポーネントの自社開発・生産とIoT(KOMTRAX)活用の強みを活かしたメンテナンス契約付き延長保証の拡大などのアフターマーケット事業の強化により、既存事業における収益機会を最大化し、収益性の更なる向上を図り、需要変動に左右されにくい事業構造の構築を進めていきます。
これらの活動を下支えする経営基盤については、デジタルトランスフォーメーション(DX)や構造改革の推進、環境変動に強いサプライチェーンの構築などに取り組み、事業運営の効率性の向上及び外部環境リスクへの対応力を高めていきます。2023年より、ERM(Enterprise Risk Management)を導入し、全社的なリスクマネジメント体制の強化に取り組んでいます。このほか、2024年2月には、F1チーム「ウィリアムズ・レーシング」とのスポンサー契約を締結したことを発表しました。さまざまなステークホルダーの皆さまへの情報発信を通じて、コマツブランドとの接点を最大化し、グローバル企業としてのブランド認知度を更に高めていきます。
成長戦略における主な重点活動の当期実績と次期以降の課題
成長戦略の3本柱 |
主な活動事例 |
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1.イノベーションによる 成長の加速 |
当期の主な実績 |
・スマートコンストラクションⓇ導入現場数の拡大 ・無人ダンプトラック運行システム(AHS)の市場導入台数:累計727台 ・大型ICTブルドーザー遠隔操作の商用稼働を開始 ・電動化建機4機種を市場導入 ・米国American Battery Solutions社を買収(バッテリーメーカー) ・水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシンを開発、実証実験を開始 ・米国ゼネラルモーターズ社とダンプトラック向け水素燃料電池モジュールの共同開発契約を締結 |
次期以降の課題 |
・スマートコンストラクションⓇの海外展開の加速 ・鉱山用オープンテクノロジープラットフォームを活用したソリューションビジネスの推進 ・電動化、自動化、遠隔操作化の技術開発の強化 ・森林管理ソリューションビジネスの確立 |
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2.稼ぐ力の最大化 |
当期の主な実績 |
・アジアを中心とした都市土木仕様の油圧ショベル(CEシリーズ)の拡販 ・メンテナンス契約付き延長保証の拡大などによるアフターマーケット事業の伸長 ・ハイブリッド油圧ショベルの再生コンポーネント事業を開始(日本) ・カザフスタン共和国での子会社設立(Komatsu Central Asia LLP) ・豪iVolve社を買収(建設・鉱山機械の運行管理システムプロバイダー) |
次期以降の課題 |
・戦略地域における商品企画・開発体制の強化 ・林業機械事業、坑内掘りハードロック事業の拡大 ・アフターマーケット事業の更なる拡大 ・次世代KOMTRAXを活用したビジネスモデルの確立とグローバル展開 ・リマン・リビルド事業の拡大 |
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3.レジリエントな 企業体質の構築 |
当期の主な実績 |
・クロスソーシング、マルチソーシングの展開 ・ERMの導入によるリスクマネジメント体制の強化 ・F1チーム「ウィリアムズ・レーシング」とのスポンサー契約を締結 ・グローバルエンゲージメントサーベイの実施、ダイバーシティ&インクルージョンの推進 ・AI及びDX人材育成の推進 |
次期以降の課題 |
・クロスソーシング、マルチソーシングの一層の展開によるサプライチェーンの強化 ・構造改革、DX活用による業務改革の推進 ・リスクマネジメントの継続的なレベルアップ ・グローバルなブランド戦略の展開 ・タレントマネジメントの推進 |
<成長戦略を通じたESG課題解決>
小松製作所(コマツ)は、サステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指しています。中期経営計画では、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」17のゴールの中から、小松製作所(コマツ)グループの重要課題(マテリアリティ)と特に関連性の高い10のゴールを選定しました。
更に、成長戦略3本柱を通じたESG課題解決を着実に遂行していくために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を把握し、統合報告書で開示していきます。
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SDGsとの関係 |
マテリアリティ(重要課題) |
ESG課題の解決に向けた活動テーマ(主なKPI) |
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人 と 共 に |
ジェンダー 平等
パートナー シップ |
働きがいと 経済成長
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不平等を なくす
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[社員][人権] ・労働安全衛生 ・エンゲージメント向上 ・D&I推進 ・能力開発 ・人権の尊重 |
安全で安心して働ける職場環境づくり (労働災害関連指標) |
社員エンゲージメントの向上 (エンゲージメントサーベイスコア) |
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ダイバーシティ&インクルージョンの推進 (女性、障がい者比率) |
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個人の能力開発と事業成長の実現(DX・AI人材教育) |
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人権デューデリジェンスの推進(実績開示) |
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社 会 と 共 に |
産業と 技術革新
パートナー シップ |
まちづくり
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つくる・ つかう責任
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[顧客][倫理・統治] [地域社会] ・ソリューション提供 ・製品安全・品質 ・ガバナンス ・コンプライアンス ・地域社会への貢献 |
スマートコンストラクションⓇ推進による建設現場の 生産性向上(導入現場数) |
持続可能な資源開発を実現する製品・ソリューションの提供(AHS累積導入台数) |
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顧客現場の安全性・生産性向上ソリューション:技術開発 (自動化、安全装置 開発ステージ) |
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環境・需要変動に対応力のあるバリューチェーンの構築 (アフターマーケット事業:売上伸び率、マルチソーシング比率) |
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ガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底(実績開示) |
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地 球 と 共 に |
クリーン エネルギー
気候変動 への対策 |
産業と 技術革新
陸の豊かさ
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つくる・ つかう責任
パートナー シップ |
[環境] ・低炭素・環境負荷低減へのソリューション開発 ・資源循環 ・エネルギー使用量の低減 ・事業を通じた森林保全への貢献 |
地球環境負荷ゼロ向上(CO2低減、再エネ使用、水使用量) |
顧客現場におけるCO2排出削減 (製品使用のCO2低減、電動化建機開発) |
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持続可能な循環型林業を支援するソリューション提供 (林業機械事業関連指標:売上伸び率、植林、スマート林業等) |
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循環型ビジネス(リマン)の促進 (リマン事業:売上伸び率) |
<中期経営計画の経営目標>
経営目標については、業界トップレベルの「成長性」、「収益性」、「効率性」、「健全性」とともに、「ESG」の経営目標を掲げています。「株主還元」については、成長戦略への重点投資を優先しながら、引き続き安定的な配当の継続に努め、連結配当性向を40%以上とします。
項目 |
経営指標 |
経営目標 |
成長性 |
・売上高成長率 |
・業界水準を超える成長率 |
収益性 |
・営業利益率 |
・業界トップレベルの利益率 |
効率性 |
・ROE*1 |
・10%以上 |
健全性 |
・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 |
・業界トップレベルの財務体質 |
リテール ファイナンス事業 |
・ROA*3 ・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 |
・1.5%-2.0% |
・5倍以下 |
ESG |
・環境負荷低減 |
・CO2排出削減:2030年50%減(2010年比) 2050年カーボンニュートラル(チャレンジ目標) ・再生可能エネルギー使用率:2030年50% |
・外部評価 |
・DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック) ・CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク) |
株主還元 |
・連結配当性向 |
・成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買いを含む)とのバランスをとる |
・連結配当性向を40%以上とする |
*1 ROE=小松製作所(コマツ)株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供するESG投資指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体
小松製作所(コマツ)グループは、開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しています。小松製作所(コマツ)グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において小松製作所(コマツ)が判断したものです。
<戦略リスク>
(1) 製品・ソリューション戦略
小松製作所(コマツ)グループは、「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを存在意義として定義しており、将来の市場や社会のニーズを踏まえて新たな製品・ソリューションの創出、市場導入を進めています。しかしながら、顧客のニーズに合致した製品・ソリューションを市場が要求する時期までに開発できない場合や、小松製作所(コマツ)グループが開発・提供した製品・ソリューションが顧客の評価を得られない場合には、市場での競争力を失う可能性があります。
また、小松製作所(コマツ)グループの事業、製品は、多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要があり、世界では気候変動の要因とされる温室効果ガスの削減への取り組みが進められています。そのため、小松製作所(コマツ)グループは各国においての環境規制及び関連法規等を順守するため、また気候変動への対応のため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入しています。しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響により、小松製作所(コマツ)グループにとって更に多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 事業環境
小松製作所(コマツ)グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境、政治・社会情勢及び競争条件等により、大きく変動する可能性があります。
小松製作所(コマツ)グループの事業は、先進国市場においては総じて景気循環的な産業であり、住宅着工、工業生産水準、インフラへの公共投資、民間設備投資等の、小松製作所(コマツ)グループにとってコントロール不能な要因が小松製作所(コマツ)グループ製品の需要に影響を与える可能性があります。新興国市場においては、需要動向について常に注意を払っていますが、資源需要や資源価格の変動、通貨価値の急激な変動等、不安定な要因を多分にもっており、この変化が小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与える可能性があります。また、小松製作所(コマツ)の予期せぬ方向に世界的規模で同時に経済・市場環境が急激に悪化した場合は、更に受注の減少、顧客によるキャンセルの増加、債権回収の遅延等が発生する可能性があります。
これらの事業環境の悪化が、売上高の減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 事業投資
小松製作所(コマツ)グループは、国際的な競争力を強化するために、様々なビジネスパートナーとの提携・協力や企業買収等を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充、ソリューションビジネスの展開を図っていますが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(4) 社会課題への対応
小松製作所(コマツ)グループは、世界各国において事業を展開しており、気候変動、水資源の枯渇、人権の問題等の様々な社会課題を認識しています。これらの社会課題に誠実に対応し、グローバル企業として社会・環境に対する責任を果たしつつ、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指していますが、社会からその対応が不十分とみなされる可能性があり、その結果、ブランドイメージや社会的信用の低下により、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<オペレーショナルリスク>
(1) 製品の安全・品質
小松製作所(コマツ)グループの提供する製品は、社内で確立した厳しい基準の下、品質と信頼性の維持向上に努めています。万が一、予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合で事故等が発生した場合には、リコール等の改善措置を行っていますが、損害に対する賠償等の発生や、小松製作所(コマツ)グループの評判・信用失墜により小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) サプライチェーン
小松製作所(コマツ)グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受けます。鋼材等の素材価格や原油・電力等のエネルギー価格の高騰は、小松製作所(コマツ)グループ製品の製造原価の増加をもたらします。また、部品・資材の品薄、調達先の倒産あるいは生産打ち切り、多国間での輸出入規制、国際輸送の混乱等により、適時の調達・生産が困難になり、生産効率の低下や販売機会を逸する可能性があります。材料費の増加等による製造原価の上昇については、原価低減や販売価格の見直し等によって対応し、適時の調達・生産の問題については、調達先の複数化と生産体制の相互供給化、安全在庫の保有、関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限にする考えですが、グローバルサプライチェーンの混乱、予期せぬ素材やエネルギー価格の高騰、これら供給の逼迫の長期化は、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 人材獲得・育成
小松製作所(コマツ)グループでは、人材は新しい価値を生み出す重要な経営資源の一つと捉えており、こうした考えの下で継続的に人材への投資を行っており、社内外の環境変化や経営方針との連動を意識しながら、会社・従業員双方の持続的な成長・発展を目指しています。しかしながら、労働人口の減少等による人材確保競争が激化することにより小松製作所(コマツ)グループが必要とする人材の確保・育成が計画的に進まない場合、小松製作所(コマツ)グループの経営計画の実行及び持続的な成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報セキュリティ
小松製作所(コマツ)グループは、グローバルな事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これらの情報の保管に加え、小松製作所(コマツ)グループの様々な業務を遂行するために社内外のシステムを利用しています。小松製作所(コマツ)グループは、これらの情報の機密保持及びシステムの安定稼働に細心の注意を払っており、コンピューターウィルスへの感染、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩・滅失等の事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、小松製作所(コマツ)グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがあります。また、想定を超えた地震・火事などの災害や電源設備の障害等により小松製作所(コマツ)グループが利用する社内外のシステムが停止するリスクもあります。サイバー攻撃やなりすまし等の不正行為の脅威はますます高まっており、小松製作所(コマツ)グループ若しくは小松製作所(コマツ)の主要サプライヤーにて被害が発生した場合は重要な業務の中断による生産や販売への影響を与えるリスクがあります。また、営業上・技術上の機密情報が漏洩・滅失した場合若しくは第三者に不正利用された場合、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。更には、サイバー攻撃が高度化すると、情報セキュリティ対策強化のためのコストが増加するリスクがあります。
(5) 知的財産
小松製作所(コマツ)グループでは、小松製作所(コマツ)グループ製品に関連する多数の特許権、商標権、その他の知的財産に係る権利を取得しています。しかしながら、国又は地域によっては、これらの知的財産権が完全に保護されない場合、若しくは限定的にしか保護されない場合があり、第三者が小松製作所(コマツ)グループの知的財産権を使用して類似した製品を製造、販売することを防止できない場合には、売上高の減少等により小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<財務リスク>
(1) 金融市場の変動
小松製作所(コマツ)グループは、資産の効率化を進めていますが、金融機関からの借入や、社債の発行等による有利子負債があります。長期の固定金利調達を織り交ぜることにより、金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利の上昇は、有利子負債の支払利息を増加させ、小松製作所(コマツ)グループの利益を減少させるリスクがあります。また、小松製作所(コマツ)グループの年金資産に関しては、定期的に運用状況の評価やポートフォリオの見直しを行っていますが、市場性のある証券の公正価値や金利など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、年金費用の増加となり、小松製作所(コマツ)グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 税制
グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っていますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの予期しない事態に直面した場合、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 為替変動
小松製作所(コマツ)グループの海外売上高の主要な部分が、外国為替の変動の影響を受けます。通常は、他の通貨に対して円高になれば小松製作所(コマツ)グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼします。また、外国為替の変動は、同一市場において小松製作所(コマツ)グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性があります。これに対し小松製作所(コマツ)グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクを軽減するよう努めています。また、小松製作所(コマツ)グループは、短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っています。しかし、為替レート水準の予期せぬ変動は、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<ハザードリスク>
(1) 戦争・テロ・地政学リスク
小松製作所(コマツ)グループは、開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しており、特定地域における社会的、政治的、軍事的な緊張の高まりは、小松製作所(コマツ)の事業へ影響を及ぼす可能性があります。小松製作所(コマツ)グループでは、多様化する地政学リスクがもたらす資源価格変動や輸出入規制、サプライチェーンへの影響等を最小限にすべく、各国の政治・経済情勢や法規制の動向を確認し、状況の分析及び対応を行っています。しかし、グローバルでの政治的分断、軍事的緊張によりサプライチェーンの混乱や金融・経済への影響が生じる可能性があります。小松製作所(コマツ)グループでは、経済安全保障推進法をはじめとする経済安全保障関連・諸規制の動向について情報の収集と分析にあたっていますが、予期しない事態に直面した場合、小松製作所(コマツ)グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 自然災害・事故・感染症等
小松製作所(コマツ)グループの拠点において、地震・津波・水害等の自然災害、感染症の流行、放射能汚染、暴動、火災・爆発等の災害事故、第三者による小松製作所(コマツ)グループに対する非難・妨害が発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性があります。また、小松製作所(コマツ)グループが直接の損害を受けない場合でも、物流網及び供給網の混乱、電力・ガス等の供給不足や通信障害、協力企業の生産障害等が長期にわたり継続する可能性があります。小松製作所(コマツ)グループでは、これらのリスクの顕在化に備え、事業継続計画の策定及び訓練等を行っており、重大リスクが顕在化した場合は、緊急対策本部を設置し、被害を最小限にするための適切な措置を講じます。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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